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<図1>
  • 特許-レール固定システム 図1
  • 特許-レール固定システム 図2
  • 特許-レール固定システム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】レール固定システム
(51)【国際特許分類】
   E01B 9/38 20060101AFI20220118BHJP
   E01B 9/14 20060101ALI20220118BHJP
   E01B 9/00 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
E01B9/38
E01B9/14
E01B9/00
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020538694
(86)(22)【出願日】2019-01-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-30
(86)【国際出願番号】 EP2019050327
(87)【国際公開番号】W WO2019137905
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2020-07-10
(31)【優先権主張番号】102018100554.7
(32)【優先日】2018-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507178730
【氏名又は名称】シュヴィハーク・アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SCHWIHAG AG
【住所又は居所原語表記】Konstanzerstrasse 70-72, 8274 Taegerwilen, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン リーンハート
(72)【発明者】
【氏名】フランク マイアー
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第202015103972(DE,U1)
【文献】国際公開第2015/040118(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/215757(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/032969(WO,A1)
【文献】特表2013-526665(JP,A)
【文献】特表2010-529328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 9/38
E01B 9/14
E01B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ール基礎にレール(2)を固定するためのレール固定システム(1)であって、ベースプレート(10)と、少なくとも1つのダボ(20)とを有しており、
前記ベースプレート(10)は、前記ベースプレート(10)を厚さ方向で完全に貫通する少なくとも1つの開口(15)を有しており、
前記ダボ(20)は前記開口(15)内に取り付けられており、前記開口内で、保持輪郭によって保持されており、前記厚さ方向で少なくとも一方の側で、前記ベースプレート(10)を越えて突出しており、
前記ベースプレート(10)は、レール固定のための1つ以上の構成要素を取り付けるための組付け面(11)と、前記組付け面(11)に対して厚さ方向で反対側に位置する載置面(14)とを有しており、前記開口(15)は、前記組付け面(11)と前記載置面(14)とを貫通しており、前記ダボ(20)は前記載置面(14)の側で、前記ベースプレート(10)を越えて突出しているレール固定システム(1)において、
前記保持輪郭を実現するために、前記開口(15)が雌ねじ山(16)を有し、かつ/または前記ダボ(20)が雄ねじ山(23)を有しており、前記ダボ(20)は、前記組付け面(11)の側から前記開口(15)内へとねじ込まれるように構成されていることを特徴とする、レール固定システム(1)。
【請求項2】
前記ダボ(20)は前記組付け面(11)の側から前記開口(15)内に取り付けられる、請求項1記載のレール固定システム(1)。
【請求項3】
前記組付け面(11)は、前記レール(2)を載置するために構成された、レール載置区分(12)および/またはアングル状ガイドプレート(4)を受容するために構成された1つ以上の受容部(13)を有している、請求項1または2記載のレール固定システム(1)。
【請求項4】
前記載置面(14)はリブ構造を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載のレール固定システム(1)。
【請求項5】
前記雄ねじ山(23)は、異なるねじ山特性値を有する2つの区分を有している、請求項1から4までのいずれか1項記載のレール固定システム(1)。
【請求項6】
前記保持輪郭を実現するために、前記ダボ(20)は、前記開口(15)の最も小さい直径を上回る直径を有するダボ頭部(21)を有している、請求項1から5までのいずれか1項記載のレール固定システム(1)。
【請求項7】
前記ダボ(20)内には締結ねじ(6)がねじ込まれている、請求項1から6までのいずれか1項記載のレール固定システム(1)。
【請求項8】
前記ベースプレート(10)と前記ダボ(20)とは少なくとも部分的にコンクリート床(7)内に固定され、または少なくとも部分的にコンクリートによって埋め込まれている、請求項1から7までのいずれか1項記載のレール固定システム(1)。
【請求項9】
前記ベースプレート(10)は前記厚さ方向で8~15mmの深さで前記コンクリート床(7)内に設置され、かつ/または前記ダボ(20)は120mm以上の深さまで前記コンクリート床(7)内に達している、請求項8記載のレール固定システム(1)。
【請求項10】
前記ベースプレート(10)は、前記ベースプレート(10)を厚さ方向で完全に貫通する複数の開口(15)を有しており、前記レール固定システム(1)は、相応に前記開口(15)内に取り付けられ、そこでそれぞれ保持輪郭によって保持され、前記厚さ方向で前記ベースプレート(10)を越えて突出する複数のダボ(20)を有している、請求項1から9までのいずれか1項記載のレール固定システム(1)。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項記載のレール固定システム(1)を製作する方法であって、ダボ(20)を開口(15)内に、前記ダボが前記開口内で、前記保持輪郭によって保持され、前記ベースプレート(10)の厚さ方向で、少なくとも一方の側で、前記ベースプレート(10)を越えて突出するように、取り付ける、方法。
【請求項12】
前記ベースプレート(10)は、レール固定のための1つ以上の構成要素を取り付けるための組付け面(11)と、前記組付け面(11)に対して前記厚さ方向で反対側に位置する載置面(14)とを有しており、前記ダボ(20)を、前記組付け面(11)の側から前記開口(15)内に、前記ダボが前記載置面(14)の側で前記ベースプレート(10)を越えて突出するように取り付ける、請求項11記載の方法。
【請求項13】
請求項8記載のレール固定システム(1)を製作する方法であって、前記ダボ(20)を前記開口(15)内に取り付ける際に前記ダボ(20)および/または前記ベースプレート(10)を変形させず、前記コンクリートの硬化後は、損傷の際に、前記ダボを破壊することなくねじり出す、もしくは交換することができる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好適には直結軌道のためのレール基礎にレールを固定するためのレール固定システムであって、少なくとも1つの開口を備えたベースプレートと、開口に取り付けられる少なくとも1つのダボとを有するレール固定システムに関する。本発明はさらに、レール固定システムを製作する方法に関する。
【0002】
背景技術
直結軌道のためのレール基礎にレールを固定するために、例えば組付けプレート、システムフレーム、または傾斜プレートとして形成されていてよいベースプレートが使用される。
【0003】
独国実用新案第202015103972号明細書には、コンクリート床にロックし、レール保持手段を組み付けるためのダボを備えた組付けプレートが記載されている。組付けプレートは、下面に、支持構造に取り付けるための載置面を有している。組付けプレートに1つのダボ(同じく複数のダボ)を予め組み付けるために、ダボ頭部が載置面の側から、組付けプレートの相応の開口内に取り付けられ、ここでばね支持された保持手段によって保持される。このように予め組み付けられたレール固定システムは、まだ液状のコンクリート床内に振動しながら導入される。コンクリートの硬化後に、組付けプレートを通して締結ねじがダボ内に取り付けられる。
【0004】
上述した従来技術によれば、ダボは下方からベースプレート内に差し込まれ、ロックされる。コンクリートは流し込みの際に、下方からベースプレートへと作用し、ベースプレートを上方に押す浮揚力を発生させる。同時に、ダボは、その長さによってコンクリート内に深く装着されているので、コンクリートによって固定されている。このような理由から、ダボがベースプレートから外れて、コンクリートが意図に反してベースプレートとダボとの間に流れるという危険が生じる。コンクリートの硬化後の修正は、時間とコストがかかる。さらなる問題点は、組付けプレートにコンクリートを流し込んだ後は、ダボを、例えば損傷の際に、簡単に交換することができないことにある。結果として、ダボを取り外す場合にはその前に、まずベースプレートを壊してコンクリートから取り出さなければならない。しかしながら、ダボは下方からベースプレート内でロックされていて、コンクリート内深くに流し込みにより固定されているので、取外しにより、コンクリート本体が著しく破壊される恐れがある。
【0005】
発明の開示
本発明の課題は、改善された信頼性および/または耐久性および/または保守整備の可能性を備えた、レール基礎にレールを固定するためのレール固定システムを提供することにある。
【0006】
この課題は、請求項1の特徴を有するレール固定システムならびに請求項13の特徴を備えた方法により解決される。有利な別の構成は、従属請求項、本発明の以下の記載、ならびに好適な実施例の説明により明らかである。
【0007】
本発明によるレール固定システムは、レール基礎にレールを取り外し可能に固定するために用いられる。レール基礎は好適には、直結軌道のためのコンクリート床であるが、軌道枕木またはその他の適したレール基礎であってもよい。レール固定システムは、好適にはプラスチックから成るベースプレートと、少なくとも1つのダボとを有している。ベースプレートは、好適には、レールを固定するための構成要素を取り付けるための組付けプレートである。ベースプレートは、このベースプレートを厚さ方向で完全に貫通する少なくとも1つの開口を有している。換言すると、開口は貫通孔である。厚さ方向とはこの場合、ベースプレートの組付け状態で見て、鉛直方向、すなわち重力方向を意味する。ダボは開口内に取り付けられており、開口内で、保持輪郭によって保持されており、厚さ方向で少なくとも一方の側で、ベースプレートを越えて突出している。
【0008】
開口は、ベースプレートの厚さ方向の貫通孔であるので、ダボは、後の時点で、例えばコンクリートによって埋め込んだ後またはコンクリートを流し込んだ後、またはコンクリート床内に取り付けた後、上方から、回転させてベースプレートから取り外すことができる。これによりレール固定システムの信頼性および保守整備の可能性が改善される。特に、コンクリート床を部分的にまたは完全に破壊する必要はない。ダボは、ベースプレートの開口内への取付けの際に、変形したり、構造的に脆弱にされたり損傷されたりすることはなく、同じことはベースプレートにも当てはまるので、レール固定システムの耐久性は改善される。さらに、開口は両側からアクセスすることができるので、ダボを上方から開口内に取り付け、重力方向で保持輪郭により確実に保持することができ、これによりコンクリートの流し込みの際に、ベースプレートとダボとに異なる浮揚力がかけられたとしても、ダボが外れる危険性は減じられる。
【0009】
好適には、ベースプレートは、レール固定のための1つ以上の構成要素を取り付けるための組付け面と、組付け面に対して厚さ方向で反対側に位置する載置面とを有しており、開口は、組付け面と載置面とを貫通しており、もしくは組付け面と載置面とに開口しており、ダボは載置面の側で、ベースプレートを越えて突出している。組付け面は好適には成形されており、すなわち、隆起部と凹部とを有している。したがって、組付け面は、水平な、または傾けられたレール載置区分を有していてよく、このレール載置区分上にレールは、組付け状態で、場合によっては減衰させかつ/またはばね弾性的な中間層を介して載置される。組付け面は代替的にまたは付加的に、例えば凹部として形成された、アングル状ガイドプレートを受容するために形成されている1つ以上の受容部を有していてよい。アングル状ガイドプレートはさらに、レールを摩擦接続的に弾性保持するために、湾曲した鋼製ばねである締結クランプと共に用いることができる。このために、締結クランプは好適にはそれぞれ、締結クランプの保持区分がばね弾性的にレールのレール脚部に押し付けられるように、アングル状ガイドプレートを介して締結ねじによってねじ固定される。
【0010】
好適には、ダボは、組付け面の側から、ベースプレートの開口内に取り付けられ、これによりレール固定システムを、特に迅速かつ安価な形式で保守整備することができ、例えばダボを交換することができる。
【0011】
好適には、載置面はリブ構造を有しており、これによりベースプレートがコンクリートに係合し、特に確実に固定される。
【0012】
好適には、保持輪郭を実現するために、開口が雌ねじ山を有し、かつ/またはダボが雄ねじ山を有しており、ダボは、組付け面の側から開口内へとねじ込まれ、かつねじり出されるように構成されている。このようにして、ダボが開口内で確実にロックされるだけでなく、ダボとベースプレートとは、変形、損傷、またはその他の構造的な脆弱化を生じることなく、予め組み付けられる。これによりレール固定システムの信頼性はさらに改善される。さらにダボは後から、レール基礎を損傷することなく、工具によって簡単にねじ外しすることができる。特別な実施形態では、ダボのねじ込みおよびねじ外しが引き続き可能であるならば、上述した両ねじ山のうち一方が省かれてもよいことを補足しておく。
【0013】
好適には、開口内における保持、およびコンクリート床またはその他のレール基礎におけるロックの際の様々な要件を考慮するために、雄ねじ山は、側面形状、側面間隔、コア直径、公称直径等のようなねじ山特性値が異なる2つの区分を有している。
【0014】
好適には、ダボは、保持輪郭を実現するために、ねじ山構造に対して代替的または付加的に、開口の最も小さい直径を上回る直径を有するダボ頭部を有している。これにより、ダボは、問題なく上方から開口内に取り付けることができると同時に、コンクリート床内への取付けの際にまたはコンクリートによる埋め込みの際に、意図に反して外れてしまうことを特に確実に阻止することができる。
【0015】
好適には、ベースプレートは、厚さ方向で8~15mmの深さでコンクリート床内に設置され、かつ/またはダボは120mm以上の深さでコンクリート床内に到達しており、これによりレールの確実な保持と同時に、レール固定システムの保守整備の可能性が得られる。
【0016】
好適には、ベースプレートは、ベースプレートを厚さ方向で完全に貫通する複数の、特に好適には2つの開口を有しており、レール固定システムは、相応に開口内に取り付けられ、そこでそれぞれ保持輪郭によって保持され、厚さ方向でベースプレートを越えて突出する複数の、特に好適には2つのダボを有している。これにより一方では、コンクリート床におけるベースプレートの固定が改善され、他方では、より多数のダボをレール固定のためにかつ/または別の構成要素を取り付けるために相乗的に使用することができる。したがって、2つのダボの場合は、例えば2つの締結クランプの緊締により、場合によってはアングル状ガイドプレートを介在させて、レールを両側でベースプレートに固定することができる。
【0017】
本発明による方法は、上記説明によるレール固定システムを製作するために用いられる。この場合、1つのダボ(複数のダボも同様)を所属の開口内に、開口内で保持輪郭によってこのダボを保持し、このダボがベースプレートの厚さ方向で少なくとも一方の側で、ベースプレートを越えて突出するように、取り付ける。この方法は、レール固定システムの前組付けを実現する。
【0018】
レール固定システムに関して説明した特徴、技術作用、利点、ならびに実施例は、その製作方法に関しても同様に当てはまる。
【0019】
したがって、特に好適な実施形態によれば、ダボを上方から、すなわち組付け面の側から開口内に取り付け、これによりダボは下方に向かって、すなわち載置面の側でベースプレートを越えて突出する。さらに、前組付けは好適には、開口内へのダボの取付けの際に、ダボおよび/またはベースプレートが変形されないように、特に脆弱化されないように行われる。特に好適な実施形態により、ベースプレートの変形が排除されるならば、これによりベースプレートの部分、例えば保持輪郭も変形されない。
【0020】
本発明のさらなる利点および特徴は、以下の好適な実施例の説明により明らかである。ここに記載された特徴は、単独で、または特徴が互いに矛盾しない限りは、上述した特徴の1つ以上と組み合わせて、実現することができる。好適な実施例の以下の説明はこの場合、添付の図面を参照して行われる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】レール固定システム、このレール固定システムによって固定すべきレール、ならびにコンクリート床を示す、部分的に分解して示す斜視図である。
図2図1のレール固定システムのベースプレートを示す概略的な断面図である。
図3図1のレール固定システムのベースプレートを示す概略的な平面図である。
【0022】
好適な実施例の詳細な説明
以下に、図面につき好適な実施例を説明する。この場合、同じ、類似の、または同様の作用を有するエレメントには、図面において同じ符号を設け、重複を避けるためこれらのエレメントの繰り返しの説明は部分的に省く。
【0023】
図1には、ベースプレート10と、このベースプレートに接続される2つのダボ20とを有するレール固定システム1が示されている。
【0024】
ベースプレート10は、この実施例では、レール2を固定するための成形された組付け面11を備えた組付けプレートである。この目的で、組付け面11は、傾けられたレール載置区分12を有しており、このレール載置区分上にレール2は、固定状態で、場合によっては減衰させかつ/またはばね弾性的な中間層3を介して載置される。組付け面11はさらに、アングル状ガイドプレート4を受容するために形成されている受容部13を有している。アングル状ガイドプレート4はさらに、レール2を摩擦接続的に弾性保持するために湾曲した、鋼製ばねである締結クランプ5と共に用いられる。このために、締結クランプ5はそれぞれ、締結クランプ5の保持区分がばね弾性的にレール2のレール脚部2aに押し付けられるように、アングル状ガイドプレート4を介して締結ねじ6によってねじ固定される。
【0025】
上述した実施例ではベースプレート10は、上述した形式の組付けプレートであるが、ベースプレート10は別の形式で構成されていてもよい。したがって、ベースプレート10は例えばシステムフレームであってよい。ベースプレート10は、構成要素、例えばレール2、中間層3、アングル状ガイドプレート4、締結クランプ5、および/または締結ねじ6を、この実施例ではレールベースとして働くコンクリート床7に取り付けるために用いられる。組付け面11の成形部(隆起部および凹部)の他に、ベースプレート10は、コンクリート床7の側に、すなわち下面に、載置面14を有しており、この載置面は好適にはリブ構造を有しており、これによりベースプレート10はコンクリートに係合する。
【0026】
ベースプレート10は好適にはプラスチックから成っているが、別の材料、例えば金属または金属合金から製造されてもよい。
【0027】
ベースプレート10は、ダボ20を受容するための、1つ以上の、この実施例では2つの開口15を有している。開口15は、貫通孔として形成されていて、すなわち開口は、ベースプレート10を鉛直方向で完全に貫通しており、これによりダボ20を(組付け状態で見て)上方から相応の開口15内へと取り付けることができる。ダボ20は、(組付け状態で見て)重力方向に沿って開口15内で保持構造体によってロックされる。すなわち、ダボは、開口15から下方に向かって簡単に、特に破壊されずには、引き出され得ない。この目的で、ダボ20は、ダボ頭部21を有していてよく、ダボ頭部の構造は、ダボ20のダボ軸部22とは異なっており、特にダボ頭部21は、ダボ軸部22よりも拡大された直径を有していてよい。ダボ頭部21の直径は、特に、開口15の最も小さい直径よりも大きくてよい。
【0028】
好適には、ダボ20は相応の開口15内にねじ込まれる。この場合、ダボ20は雄ねじ山23を有している。雄ねじ山23はさらに、側面形状、側面間隔、コア直径、公称直径等のようなねじ山特性値が互いに異なる頭部ねじ山区分23aと、軸部ねじ山区分23bとを有することができる。 ねじ込み可能なダボ20の場合、開口15は好適には相応の雌ねじ山16を有している。雌ねじ山16と、特に頭部ねじ山区分23aの雄ねじ山23とは、互いに適合するので、確実かつ維持可能なねじ固定が保証されている。ねじ山対は、上昇するコンクリートに対する確実なシールを保証するように設計されている。
【0029】
開口15の雌ねじ山16は、図2によればベースプレート10の横断面図に概略的に示されている。レール固定システム1のベースプレート10の平面図は図3に示されている。
【0030】
ベースプレート10とダボ20とから成るレール固定システム1は、好適には予め組付け可能または部分的に予め組付け可能であり、すなわち、レール固定システムをコンクリート床7に固定する前に、またはコンクリートによって埋め込む前に、ダボ20が、ベースプレート10内に取り付けられる。上述した構成要素、例えばアングル状ガイドプレート4および締結クランプ5の1つ以上を、レール固定システム1の部分であるとみなすことができることを補足しておく。
【0031】
レール固定システム1を前組付けした後、この実施形態によれば、ベースプレート10を、予め組付けられたダボ20と共に、最終組付けするために、コンクリート床7の液状のコンクリート内に導入する、またはコンクリートによって埋め込む。硬化後は、ベースプレートは、例えば8~15mmの深さで、コンクリート内に設置される。ダボ20はコンクリート内に、より深くまで、例えば120mm以上の深さまで到達する。
【0032】
ダボ20は上方から開口15内に取り付けられ、重力方向で確実にロックされるので、コンクリートの流し込みの際に、ベースプレート10とダボ20とに異なる浮揚力がかけられたとしても、ダボ20が外れることはあり得ない。ダボ20は、開口15内への取付けの際に、変形したり、構造的に脆弱にされたり損傷されたりすることはなく、同じことはベースプレート10にも当てはまるので、レール固定システム1の耐久性は改善される。特に、保持構造の変形は生じない。さらに、ダボ20は、所定の期間経過後に、例えば摩耗または損傷といった理由で、上方から、ベースプレート10から取り外すことができ、好適にはねじを外すことができる。コンクリート床7を部分的にまたは完全に破壊する必要はない。
【0033】
使用可能であるならば、本発明の範囲を逸脱することなく、実施例に示した全ての個々の特徴を組み合わせ、かつ/または取り替えることができる。
【符号の説明】
【0034】
1 レール固定システム
2 レール
2a レール脚部
3 中間層
4 アングル状ガイドプレート
5 締結クランプ
6 締結ねじ
7 コンクリート床
10 ベースプレート
11 組付け面
12 レール載置区分
13 受容部
14 載置面
15 開口
16 雌ねじ山
20 ダボ
21 ダボ頭部
22 ダボ軸部
23 雄ねじ山
23a ねじ山頭部区分
23b ねじ山軸部区分
図1
図2
図3