(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】少なくとも1つのスイッチギアキャビネットを機械加工するための方法
(51)【国際特許分類】
H02B 3/00 20060101AFI20220118BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
H02B3/00 C
G05B19/418 Z
(21)【出願番号】P 2020558462
(86)(22)【出願日】2019-03-22
(86)【国際出願番号】 DE2019100274
(87)【国際公開番号】W WO2019201377
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2020-10-20
(31)【優先権主張番号】102018109606.2
(32)【優先日】2018-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512086138
【氏名又は名称】リッタル ゲーエムベーハー ウント コー.カーゲー
【氏名又は名称原語表記】Rittal GmbH & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Auf dem Stuetzelberg,35745 Herborn,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハイン,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ホリクハウス,ハイコ
(72)【発明者】
【氏名】ベーメ,ジーグフリート
(72)【発明者】
【氏名】マーティン,ラース
【審査官】北岡 信恭
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-053934(JP,A)
【文献】特開2016-218699(JP,A)
【文献】国際公開第2017/191059(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 3/00
G05B 19/418
G06F 30/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのスイッチギアキャビネットを機械加工するための方法であって、
-複数の部品で構成され、かつ少なくとも1つの取り外し可能に取り付けられた部品を備える、少なくとも1つのスイッチギアキャビネットを提供するステップと、
-前記スイッチギアキャビネットから前記取り外し可能に取り付けられた部品を取り外して取り除くステップと、
-取り外して取り除かれた部品を機械加工し、機械加工された部品を、関連付けられたスイッチギアキャビネットで再組立するために提供するステップと、
-再組立のために提供された前記機械加工された部品に、対応する前記スイッチギアキャビネットを再割り当てするステップと、
を備える方法において、
前記少なくとも1つのスイッチギアキャビネットは、個別に機械可読なスイッチギアキャビネット識別子を有し、前記少なくとも1つの取り外し可能に取り付けられた部品は、個別に機械可読な部品識別子を有し、前記スイッチギアキャビネット識別子と前記部品識別子は互いに割り当てられているものであって、前記スイッチギアキャビネットに前記部品を再割り当てするステップには、機械可読な両識別子を機械読み取りし、互いに割り当てられた両識別子を有する前記部品と前記スイッチギアキャビネットを一体化させることが含まれていることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのスイッチギアキャビネットを提供するステップには、前記スイッチギアキャビネットの製造が含まれており、前記スイッチギアキャビネットを製造する際、
前記部品識別子が設けられた、前記スイッチギアキャビネットの前記取り外し可能に取り付けられた部品と、
前記スイッチギアキャビネット識別子が設けられた、前記スイッチギアキャビネットの少なくとも1つの追加部品とが、
互いに独立して製造され、製造後に両識別子を読み込むことにより、初めて互いの割り当てが行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スイッチギアキャビネットの前記取り外し可能に取り付けられた部品を提供または取り外して取り除くステップに、前記部品の目標機械加工状態を表し、前記部品識別子を介して前記部品に割り当てられている第1データセットを生成することと、前記第1データセットをリモートアクセスのために保存することと、が含まれていることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記目標機械加工状態を表す前記第1データセットの生成には、前記部品を現在の状態から前記目標機械加工状態に移行させるために必要とされる、少なくとも1つの機械加工ステップを、前記第1データセットの中に保存することが含まれることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記スイッチギアキャビネットの製造には、前記取り外し可能に取り付けられた部品を連続生産で製造することが含まれ、前記方法にはさらに、
-前記取り外し可能に取り付けられた部品の部品識別子を連続生産時に検出するステップと、
-前記第1データセットを読み込み、前記目標機械加工状態または少なくとも1つの機械加工ステップを検出するするステップと、
-前記取り外し可能に取り付けられた部品を連続生産から切り離し、前記取り外し可能に取り付けられた部品が機械加工ステーションに提供されるステップであって、前記機械加工ステーションにおいて、前記取り外し可能に取り付けられた部品を前記目標機械加工状
態に近づけるために、前記少なくとも1つの機械加工ステップ、および/または、追加の機械加工ステップが実行されるステップと、
-機械加工ステップが実行された後に、前記取り外し可能に取り付けられた部品を連続生産に復帰させるステップと、
が備えられていることを特徴とする請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記スイッチギアキャビネットの製造に、前記取り外し可能に取り付けられた部品を連続生産で製造することが含まれ、前記取り外し可能に取り付けられた部品は複数の機械加工ステーションを通過し、少なくとも1つの機械加工ステーションにおいて、
-前記取り外し可能に取り付けられた部品の前記部品識別子が読み取られ、
-前記部品識別子に割り当てられた前記第1データセットが記録され、
-前記部品を前記目標機械加工状態に近づけるために少なくとも1つの機械加工ステップを実行し、
-前記第1データセットの中に更新された機械加工状態を保存し、
-前記第1データセットがリモートアクセスのために保存される、
ことを特徴とする請求項3~5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1データセットには、前記スイッチギアキャビネットの内部で作成されるスイッチギア用の孔パターンに関する機械設計情報、またはスイッチギアキャビネットエアコンディショナーを組み立てるための孔パターンに関する機械設計情報が含まれ、前記機械設計情報は好ましくはMCADデータであって、前記取り外し可能に取り付けられた部品の製造には、前記孔パターンを生成するための、前記取り外し可能に取り付けられた部品の機械加工、好ましくは前記スイッチギアキャビネットの取付板、のレーザー加工を含む機械加工が含まれることを特徴とする請求項3~6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記スイッチギアキャビネット識別子を介して前記スイッチギアキャビネットに割り当てられ、リモートアクセスのために保存される第2データセットを生成するステップをさらに含み、前記第2データセットには、前記スイッチギアキャビネットの内に作られている、または作られる予定であるスイッチギアの回路図が含まれ、前記第2データセットは、前記第1データセットの改変、好ましくは前記第1データセットの拡充によって、前記第1データセットから取得可能であることを特徴とする請求項
3~7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記スイッチギアの検出された変更に基づいて前記回路図を変更し、前記第2データセットを更新することによって、更新された第2データセットに変更された回路図が含まれることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記スイッチギアの変更の検知に、前
記スイッチギアの部品に係る前記部品識別子の検出が含まれ、前
記スイッチギアの部品組立体における変化は、検知された前記部品識別子を前記回路図と比較することによって、検知されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記スイッチギアキャビネットの内部を光学的または電磁気的に少なくとも部分的に検知するステップ、好ましくは前
記スイッチギアが配置される取付板の取付け面側を検知するステップをさらに備え、前記検知するステップには、前記スイッチギアの少なくとも1つの部品に関する、少なくとも1つの部品の識別子を検知することが含まれており、前記検知するステップにはさらに、前記部品の識別子を検知することに加えて、前記部品の位置情報を、追加部品識別子が設けられた前記スイッチギアの少なくとも1つの追加部品と比較して、検知することが含まれていることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
-前記スイッチギアキャビネット識別子を介して前記スイッチギアキャビネットに割り当てられ
たスイッチギアのCAD設計から、前記スイッチギアキャビネットの中に
前記スイッチギアを作成するステップであって、前
記スイッチギアの電子部品に関するデータシート情報が、前
記スイッチギア内部の相互接続に関する情報にリンクし、前記スイッチギアキャビネット識別子の下で、中央アーカイブデータベース内の少なくとも1つのデータセットに保存される、ステップと、
-前記スイッチギアの試験検証情報が前記少なくとも1つのデータセットに追加される、前記スイッチギアの技術検証ステップであって、必要とされる試験検証情報が完全なものである場合、前記スイッチギアキャビネットのコミッショニング開始が引き起こされるステップと、
-前記スイッチギアをコミッショニングし、前記スイッチギアのコミッショニング情報がマン・マシンインターフェースを介して、前記少なくとも1つのデータセットに追加されるステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項1~11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
-前記スイッチギアキャビネット識別子を読み込み、前記スイッチギアキャビネットの中に形成され
るスイッチギアのCAD設計を提供するステップであって、前記CAD設計は、前記スイッチギアキャビネット識別子を介して前記スイッチギアキャビネットに割り当てられており、またコンピュータ支援補助ユニットに前記CAD設計が読み込まれるステップと、
-効率の良い組立ステップ手順を決定するために、前記コンピュータ支援補助ユニットを用いて、前記CAD設計を、互いを基礎とする個別の組み立てステップに、細分化するステップであって、前記組立ステップ手順には、前
記スイッチギアの2つの部品に関する、それぞれの場合における2つの連続した配線ステップ、または前
記スイッチギアの2つの部品に関する、それぞれの場合における2つの連続した部品配置ステップが含まれているステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項1~12の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
-前記組立ステップ手順のうち、手動で実行可能な組立ステップの可視化を、組立現場に設置され、組立指示として画像情報および/またはテキスト情報を出力する表示ユニットを用いて行うステップと、
-表示された画像情報および/またはテキスト情報に基づいて、前記手動で実行可能な組立ステップを実行するステップと、
-組立現場に設置された入力ユニットを介して、完了した組立ステップを確認し、前記組立ステップの完了をロギングし、前記組立ステップ手順から次の組立ステップを呼び出すステップと、を含み、
-前記組立ステップ手順のうち全ての組立ステップが実行されるまでに、前記スイッチギアキャビネット識別子に割り当てられたプロトコルデータセットが生成され、リモートアクセスのために保存され、前記プロトコルデータセットには、前記組立ステップ手順のうち完了した組立ステップの記録が含まれていることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも複数の電気部品および/または電子部品から構成される、スイッチギアキャビネットのため
のスイッチギアの機器構成ステップをさらに含む方法であって、前記機器構成ステップには、
-前
記スイッチギアの電子回路図を用意するステップと、
-前記電子回路図を前記スイッチギアキャビネットの内部の3次元組立配置図に変換させるステップであって、好ましくは前記スイッチギアキャビネットの取付板に設けられた電気部品および/または電子部品の配置を表す3次元取付板配置図に変換させるステップと、
-前記3次元配置図を改変させることによって、少なくとも1つの別の3次元配置図を生成するステップであって、前
記スイッチギアが物理パラメタに対して最適化されたときに極値をとるような品質関数が適応され、好ましくは前記電気部品および/または電子部品のパッキング密度、前記スイッチギアの熱負荷、前記スイッチギアの電気エネルギー消費量、前記電気部品および/または電子部品を配線するための配線長、に対して最適化されたときに極値をとるような品質関数が適応されるステップと、
-前記別の3次元配置図を表す第3データセットを生成し、前記スイッチギアキャビネット識別子を前記第3データセットに割り当て、リモートアクセスのために前記第3データセットを保存するステップと、
を含むことを特徴とする請求項1~14の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は少なくとも1つのスイッチキャビネットを機械加工するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この方法には少なくとも1つのスイッチギアキャビネットを提供することが含まれており、当該スイッチキャビネットは複数の部品から構成され、少なくとも1つの取り外し可能に取り付けられている部品を有している。例えば、電気キャビネットには通常、フラットパネルが取付けられた電気キャビネットフレームを有しており、フラットパネルとは側壁、ドア部材、天井部材、および電気キャビネットの中に取付けられた取付板などである。フラットパネルと取付板は通常、ねじ接合などにより、フレームに取り外し可能に接続されており、当該フレームはスイッチキャビネットの支持構造を形成する。フレームと、フレームに取付けられたフラットパネルと、内部に取付けられた取付板とからなる、このようなスイッチキャビネットは、スイッチキャビネットメーカーの一般的な量産品である。
【0003】
スイッチキャビネットはスイッチギアを収容するために使用されるが、その用途に応じて大きく異なるように設計されることが多く、このためスイッチキャビネットの構造について様々な要件が必要となる場合もある。例えば、スイッチギアのタイプに応じて、スイッチギアを冷却する必要がある。この目的のため、例えば、スイッチギアキャビネット筐体の側壁に開口部を形成する必要があるが、この開口部から側壁の内部または表面に取り付けられた冷却ユニットが、スイッチギアキャビネット筐体からくる熱風を引き込み、これをスイッチギアキャビネット筐体の中に冷風として吹き込むことにより戻す。スイッチキャビネットがデータセンターとして使用される場合、例えば、列をなす同じタイプのスイッチキャビネットとして、スイッチキャビネットを配置させるように意図させることが可能で、これら列状のスイッチキャビネットは互いに機械的に接続されているだけでなく、数個のスイッチキャビネットにまで及ぶ連続的な組み立てスペースを形成していることが多々あり、これを例えば、サーバーラックなどを配置させるために使用することができる。例えば、スイッチギアキャビネット列の電力供給を、スイッチギアキャビネット列の全スイッチギアキャビネットまで延在する連続的なブスバー組立体を介して供給することにより、各々のスイッチキャビネットの中に設けられている電子スイッチギアシステムの電気部品および/または電子部品に、電力を供給することが、一般的に行われている。ITインフラストラクチャは、文言上は電子スイッチギアではないが、本発明の表現を単純化するために、電子スイッチギアという用語により網羅されるものとする。
【0004】
このため、スイッチギアキャビネットメーカーにより規格品として提供されるスイッチギアキャビネットは、エンドユーザーに実際に使用される前に、大きくカスタマイズされる必要があり、これはスイッチギアキャビネットとスイッチギアキャビネットの中に組み込まれたスイッチギアの機械的条件に関わるものである。これによりスイッチキャビネットメーカーとスイッチキャビネット筐体のエンドユーザー(例えば、スイッチキャビネットの内部に収容されているスイッチギアを用いて機械を制御する機械メーカー)との間の付加価値連鎖の中に、スイッチキャビネット構築にまつわる産業分野が創出されるという事実に繋がっているが、これはスイッチキャビネットのメーカーから、標準化されたシリーズのスイッチキャビネットを取得し、これらにエンドユーザーに必要とされるスイッチギアを設置することにより、機械的、多くの場合は仕上げ機械加工にケースバイケースで必要とされる程度にスイッチキャビネットをカスタマイズ化するということを専門としている。
【0005】
このようなカスタマイズ化は通常、取り外し可能で後加工されたスイッチキャビネットの少なくとも1つの部品、例えばフラットパネルまたは取付板が、スイッチキャビネットから、好ましくはスイッチキャビネットフレームから取り外され、スイッチキャビネットから取り除かれることによって、当該部品をカスタマイズ化用の機械加工ステーションなどに供給して、フラットパネルまたは取付板に、開口部または螺子付き通路を作るという事実に関連している。
【0006】
取付板はまた、取付板にスイッチギアを設けるためにスイッチギアキャビネットから取り除かれ、スイッチギアの機能テストおよび部品の配線などを含む、電子スイッチギアの電気部品および/または電子部品が、手動あるいは自動で提供されるしたがって、取り外し可能に取付けられた部品の少なくとも1つの機械加工ステップは、当該部品をスイッチキャビネットから取り外して取り除くことが完了したときに行われる。加工済の部品はその後、関連するスイッチギアキャビネットでの再組立に供することができる。再組立のために提供された加工済部品を、対応するスイッチキャビネットに正確に再割り当てするために、これまでは、手動で与えられるマーキングなどを使用して、取り外し可能な部品とスイッチキャビネットを、一時的にマーキングすることが一般的に行われてきた。これは結果的に手間がかかり、またエラーを起こしやすい。
【0007】
したがって本発明の目的は、少なくとも1つのスイッチキャビネットを、簡単にかつミスなく機械加工するための方法を提供することである。
【0008】
この目的は、請求項1に係る特徴を有する方法により解決することができる。従属請求項は何れも、本発明の有利な実施形態に関するものである。
【0009】
したがって、前記少なくとも1つのスイッチキャビネットは、個別に機械可読なスイッチキャビネット識別子を有し、前記少なくとも1つの取り外し可能に取り付けられた部品は、個別に機械可読な部品識別子を有し、前記スイッチキャビネット識別子と前記部品識別子は互いに割り当てられているものであって、部品をスイッチキャビネットに再割り当てするステップには、機械可読な両識別子を機械読み取りし、互いに割り当てられた識別子を有する前記部品と前記スイッチキャビネットを一体化させることが、含まれていることを特徴とする。
【0010】
例えば、少なくとも2つの同じスイッチキャビネットを提供することが可能であって、これは例えばスイッチキャビネットメーカーの特定の製品番号を有する標準製品に対応する2つのスイッチキャビネットである。この2つのスイッチキャビネットはしたがって、その特徴が互いに異なるものではない。特に、これら2つのスイッチキャビネットは、フラットパネルが固定されたスイッチキャビネットフレームを有することができる。これら2つのスイッチキャビネットのフレームならびに、取付板およびフラットパネルは、したがって互いに異なるものではない。スイッチギアキャビネットに関する上記取り外し可能に取り付けられた部品の少なくとも1つは、必要に応じて、部品識別子の他に、スイッチギアキャビネット識別子を有することができ、これはスイッチギアキャビネット識別子を有する部品が、フラットパネルなどの、スイッチギアキャビネットに取り外し可能に取付けられた部品、スイッチギアキャビネットドアなどである場合である。したがって、スイッチキャビネットメーカーにより供給された2シリーズのスイッチキャビネットはそれぞれ、少なくともスイッチキャビネット識別子が設けられた部品を有することができる。それぞれのスイッチキャビネットに取り外し可能に取付けられたもう一方の部品のうち少なくとも1つの部品は、対応するスイッチキャビネット識別子が割り当てられた部品識別子を有することができる。
【0011】
対応するスイッチキャビネットのフレームに部品識別子を設けないことも考えられるが、これはフレームが加工されず、このため複数のスイッチキャビネットが存在する場合に、特定のフレームに特定のスイッチキャビネットを個別的に割り当てること、つまり特定のスイッチキャビネット識別が必要とされない場合である。しかし整合性の関係で、スイッチキャビネットフレームにはスイッチキャビネット識別子に割り当てられた部品識別子を有することができるものとして考えることとする。
【0012】
スイッチキャビネット識別子を有するスイッチキャビネットの部品であって、そこにスイッチキャビネットの様々な取り外し可能に取付けられた部品が、対応する部品識別子により割り当てられている部品は、したがって特定のスイッチキャビネットの基準部品またはマスター部品としての機能を有しており、ここに特定のスイッチキャビネットに関する、取り外し可能に取付けられた特定の追加部品を、対応する部品識別子を用いて割り当てることができる。
【0013】
このようにして、複数の同じスイッチギアキャビネットが存在する場合、取り外し可能に取付けられた部品を分解した後で、必要に応じて、これら分解された部品のうち少なくとも1つを機械加工した後で、再加工の前から提供されていたこれらの部品を、同じスイッチギアキャビネットで再組立することが可能である。特に、スイッチギアキャビネットのフラットパネルなど、高度にカスタマイズされ再加工されたスイッチギアキャビネット部品については、上記の割り当てによって、分解後の部品を機械加工し、加工済の部品を対応するスイッチギアキャビネットに再割り当てした後で、分解前にスイッチギアキャビネットを構成していた部品そのものを、実際に再組立することができる。
【0014】
前記少なくとも1つのスイッチギアキャビネットを提供するステップには、スイッチギアキャビネットの製造が含まれる場合があり、前記スイッチギアキャビネットを製造する際、前記部品識別子が設けられた前記スイッチギアキャビネットの前記取り外し可能に取り付けられた部品と、前記スイッチギアキャビネット識別子が設けられた前記スイッチギアキャビネットの少なくとも1つの追加部品とが、互いに独立して製造され、これらが製造された後に両識別子を読み込むことにより、初めて互いに割り当てが行われる。
【0015】
前記スイッチキャビネットの前記取り外し可能に取り付けられた部品を提供、または取り外して取り除くステップに、前記部品の目標機械加工状態を表す第1データセットの生成が含まれる場合があり、前記第1データセットは前記部品識別子を介して前記部品に割り当てられており、また当該ステップには、前記第1データセットをリモートアクセスのために保存することが含まれている。
【0016】
このようにして、例えば、早ければスイッチギアキャビネットの製造段階で、スイッチギアキャビネットメーカーは、フラットパネルまたは取付板の中に切り欠きを形成するなど、シリーズ製品にカスタマイズ化の対応を実行することも可能である。
【0017】
スイッチキャビネットが製造される前、またはその加工中に、早くも目標機械加工状態を表す第1データセットを、例えば、スイッチギアメーカーから、スイッチキャビネットメーカーに送信するということを考えることもできる。同様にして、目標機械加工状態をスイッチギアメーカーからスイッチキャビネットメーカーにCAD設計の形態で送信させることができ、スイッチキャビネットメーカーはこれより第1データセットを生成し、取り外し可能に取り付けられた部品を製造する際に、これを部品の部品識別子に割り当てる。また例えば、スイッチギアメーカーがスイッチギアキャビネットメーカーにCAD設計を送信し、スイッチギアキャビネットメーカーは、シリーズのスイッチギアキャビネットの機械再加工、例えばスイッチギアキャビネットのフラットパネルのうち少なくとも1つに、少なくとも1つの開口部を形成することに従事することも可能である。スイッチギアキャビネットメーカーはその後、スイッチギアキャビネットの後加工に関するCAD設計から、当該後加工により影響を受けるスイッチギアキャビネットの各部品に対する第1データセット、または関係する部品の目標機械加工状態を表す共通データセットを生成することができ、それぞれの第1データセットはその後、それぞれの部品に割り当てられ、例えば、関連するそれぞれの部品が、スイッチギアキャビネットの部品の粗生成で製造され、個別に部品を認識する部品識別子が設けられるとすぐに、対応する部品識別子を用いてそれぞれの部品への割り当てが行われる。したがってスイッチキャビネットの製造プロセスのできるだけ早いときに、スイッチキャビネットの個別の部品に、当該それぞれの部品に関する後加工の情報を、部品識別子を用いたリンクを介して、割り当てることができる。制御キャビネットの部品はしたがって、部品に関するデータセットを部品に割り当てるだけで、早くも粗生成プロセスにおいて、高度にカスタマイズ化させることができる。
【0018】
また例えば、シリーズ製品と比較して再加工される制御キャビネットの部品は、制御キャビネットを構築するために最初に組み立てられる前に、個々に再加工を行うことが可能であって、制御キャビネットメーカーからスイッチギアメーカーに納品される制御キャビネット製品が、例えばフラットパネル中の切り欠きなどの形態で、シリーズ製品と比較して、ある程度カスタマイズ化されて表されているようにすることも可能である。
【0019】
しかし連続生産においても、本発明に係る、スイッチキャビネットと少なくとも1つの取り外し可能な部品の認識には、例えば、部品識別子に割り当てられたデータセットを介して、部品に関する少なくとも1つの製造ステップを特定することによる利点、例えば、部品に係る目的とする塗装、封止部材を形成するための目的とする発泡成形、最終組み立てにおける取付けに関する目的とする封止機能、等を特定することによる利点を備えることができる。
【0020】
目標機械加工状態を表す第1データセットの生成には、当該部品を現在の状態から目標機械加工状態に変化させるために必要とされる、少なくとも1つの機械加工ステップを、第1データセットの中に保存することを含むことができる。目標機械加工状態は、最終の機械加工状態とは異なるものとすることができる。
【0021】
パネルの製造には、取り外し可能に取付けられた部品を大量生産で製造するだけでなく、取り外し可能に取付けられた部品の部品識別子を大量生産時に捉えるステップと、第1データセットを読み込み、目標機械加工状態または少なくとも1つの機械加工ステップを検知するステップと、前記取り外し可能に取り付けられた部品を連続生産から切り離し、前記取り外し可能に取り付けられた部品が機械加工ステーションに提供されるステップであって、前記機械加工ステーションにおいて、前記取り外し可能に取り付けられた部品を前記目標機械加工状態に近づけるために、前記少なくとも1つの機械加工ステップ、および/または、追加の機械加工ステップが実行されるステップと、前記機械加工ステップが実行された後に、前記取り外し可能に取り付けられた部品を連続生産に復帰させるステップと、が備えられている。
【0022】
スイッチキャビネットの製造に、取り外し可能に取り付けられた部品を連続生産で製造することが含まれる場合であって、取り外し可能に取り付けられた部品が複数の機械加工ステーションを通過可能な場合には、少なくとも1つの前記機械加工ステーションにおいて、前記取り外し可能に取り付けられた部品の部品識別子を読み取ることができ、部品識別子に割り当てられた第1データセットを記録し、第1データセットおよび、場合によっては、そこに含まれているCAD設計を考慮して、当該部品を少なくとも目標機械加工状態に近づけるために、少なくとも1つの機械加工ステップを実行することができる。更新された機械加工状態は第1データセットの中に保存可能で、リモートアクセスのために保存される。
【0023】
したがって、本方法には実行された機械加工ステップを第1データセットの中に文書化することも含まれる場合がある。第1データセットにはしたがって、様々な機械加工ステーション間での部品の製造中に問題となっている部品の現在の機械加工状態を反映させることができる。これによって、第1データセットを使用することで、取り外し可能に取り付けられた部品の機械加工が予想通り上手く行っているか、つまり目標機械加工状態への近づき具合を、製造中の任意のタイミングで、監視可能なことを確実にすることができる。
【0024】
第1データセットには、取付板やフラットパネルなどの取り外し可能に取り付けられた部品を機械加工するための孔パターン、例えば取付板に設けられるスイッチギア用の孔パターン、あるいはスイッチキャビネットエアーコンディショナーをフラットパネルの表面または内部に取り付けるための孔パターン、に関する機械設計情報を含むことができる。この設計情報は例えばCADデータとして提供することができる。取り外し可能に取り付けられた部品の製造には、孔パターンを生成するために行われる、取り外し可能に取り付けられた部品のレーザー加工などの機械加工が伴う場合がある。例えば、その組み立てられた部品としては、電子スイッチギアを形成するための孔パターンが設けられている取付板とすることができる。取付けられる側の部品はスイッチギアキャビネットの側壁とすることができ、この中に孔パターンが導入されることにより、スイッチギアキャビネットのエアーコンディショナーユニットを、スイッチギアキャビネットの側壁の表面または内部に取り付け、これをスイッチギアキャビネットの内側に流体的に接続させることができる。
【0025】
さらに本方法は、スイッチキャビネット識別子を介してスイッチキャビネットに割り当てられ、リモートアクセスのために保存される第2データセットの生成を含むことができ、ここにおいて第2データセットは、スイッチキャビネットの中で作成されるまたは既に作成されているスイッチギアの回路図を含むことができる。第2データセットは、回路図に関するデータを拡充することなどにより、第1データセットから生成することができる。
【0026】
制御キャビネットを一意的に認識することにより、制御キャビネットと、制御キャビネット内に作られるまたは既に作られているスイッチギアとの間に、明確な割り当てを行うことが可能となる。スイッチギアキャビネットの中にスイッチギアが作成される前に、スイッチギアと、場合によっては部品パーツリストなどの追加情報と、を少なくとも表す回路図の形態で、内部に作成されるスイッチギアに、「空の」スイッチギアキャビネットを割り当てることができる。これにより、スイッチギアを製造するために、スイッチギアキャビネットを生産ラインの様々な機械加工ステーションで、様々な後加工工程に付すことが必要なスイッチギアメーカー側の物流管理が大きく単純化される。
【0027】
電子スイッチギアには、構築後にスイッチギアが設置されるスイッチキャビネットが、恒久的に割り当てられるため、スイッチキャビネットが高度にカスタマイズ化されることによって、スイッチギアが設置されるスイッチキャビネットのスイッチキャビネット識別子を利用することで、スイッチギアを明確に認識することができる。
【0028】
例えば、スイッチキャビネット識別子に割り当てれられ、スイッチキャビネットの内部に収容されたスイッチギアの回路図が含まれる、第2データセットを生成することができる。場合によっては、第2データセットは、例えば部品パーツリスト、メンテナンス計画など、スイッチギアに関する追加情報を含むことができる。これによりスイッチギアに変更が生じた場合、あるいはメンテナンスが必要な時に、適切な対応を第2データセット内で文書化し、リモートアクセスのために保存することが可能で、ここでの適切な対応策として、特に回路図に合わせた適応化が含まれる場合がある。したがって紙の回路図や、紙のメンテナンス履歴を保存しておく必要性がなくなる。スイッチキャビネットの識別子とスイッチギアとの間に一定の割り当てが存在するため、紙での文書化で起こりえる、回路図と実際のスイッチギアとの間に混乱が生じることや、回路図の紛失を、防止することができる。第2データセットは、第1データセットを変更することにより、特に第1データセットを拡充することにより、取得することができる。
【0029】
本方法にはまた、スイッチギアの変更記録に応じて回路図を変更すること、および第2データセットをアップデートすることで、アップデートされた第2データセットに変更された回路図が含まれるようにすることができる。スイッチギアの変更はヒト/機械インターフェースを介して手動で記録することができ、あるいは例えば光学認識または部品認識を用いて半自動的に行うこともできる。
【0030】
半自動で検知を行う場合、電子スイッチギアの全ての部品またはスイッチギアの少なくとも一部の電子部品に、個別の部品識別子を設けることができる。このような識別化は好ましくは無接触で行われる必要があり、好ましくは光学的に読み取り可能であって、例えばQRコードの形式で提供することが可能であるが、QRコードに限られるものではない。光学認識などの検知手段を用いれば、少なくとも各部品に部品識別子が設けられている限り、スイッチギアにどの部品が設けられているかを判断することができる。第2データセットは、例えばスイッチギアの部品のリストを含むことができ、これは例えば、スイッチギアの修理またはメンテナンスが必要なときに、スイッチギア部品組立に変更が生じた場合などに、記録された部品に基づいて更新することができる。例えば、スイッチギアの変更に関する記録には、電子スイッチギアの部品の部品識別子を記録することが含まれ、電子スイッチギアの部品機器における変化を、記録されている部品識別子と回路図を比較することによって、記録することができることを想定することができる。
【0031】
部品識別子を利用すれば、パーツリストの提供以外にも、各部品の互いの相対的な配置を記録することも可能である。この目的のため、本方法には、少なくとも部分的な光学的または磁気的なスイッチギアキャビネット内部の検知、特に電子スイッチギアが配置される取付板の取付け面側の検知が含まれており、この検知にはスイッチギアの少なくとも1つの部品に関する、少なくとも1つの部品の識別子を検知することが含まれており、この検知には、部品識別子の検知に加えて、追加部品識別子が設けられたスイッチギアの少なくとも1つの追加部品に対する、当該部品の位置情報の検知がさらに含まれる。さらに検知としては、スイッチギアの少なくとも1つの部品の正確な位置を検知することが含まれる。これは検知された位置情報を用いて、2D配置図または3D配置図を配置させることを含む場合がある。検知には電子スイッチギアの完成具合の検知が含まれる場合もある。部品リストを検知された部品と比較させることができる。
【0032】
部品識別子が設けられたスイッチギアの電子部品として、電子スイッチギアの配線が含まれる場合もある。例えば、第1の部品と第2の部品との間に配線され、これらを電気的に接続するワイヤは、その両端部に部品識別子を有することができ、これを用いて第1の部品または第2の部品に接続されていて、各部品の配線を比較し、必要に応じて、検知された配線を回路図に保存されている配線と比較して、必要な場合に変化または変更を文書化するために、本発明を利用することも可能である。回路図はまた、スイッチキャビネット識別子を介した、または回路図によって表されるスイッチギアが形成された取付板の部品識別子を介した、リモートアクセス用のデータセットとして保存することができる。
【0033】
本方法はまた、スイッチギアのCAD設計を基にして、スイッチキャビネットの中に電子スイッチギアを形成することを含むことができ、スイッチギアはスイッチキャビネット識別子を介してスイッチキャビネットに割り当てられており、これにより電子スイッチギアの電子部品に関するデータシート情報が、電子スイッチギア内部の相互接続に関する情報にリンクし、スイッチキャビネット識別子の下で、中央アーカイブデータベース内の少なくとも1つのデータセットに保存される。
【0034】
本方法にはまたスイッチギアの技術検証が含まれる場合があり、スイッチギアの試験検証情報が少なくとも1つのデータセットに追加される。必要とされる試験検証情報が完全なものである場合、スイッチギアのコミッショニング開始を引き起こすことができる。その後スイッチギアをコミッショニングさせることにより、スイッチギアのコミッショニング情報を、少なくとも1つのデータセットへと、好ましくはヒト・マシンインターフェースを介して追加することができる。
【0035】
このようにしてスイッチギアの構築の様々な段階で、スイッチギアを将来収容するスイッチギアキャビネットの製造中であっても、スイッチギアの構築とコミッショニングに必要な措置を互いに割り当てるために、スイッチギアキャビネット識別子を使用することができる。MCADやECADツールなどの適切な設計ツールを用いることで、スイッチギアキャビネットが製造される前と、スイッチギアが作成される前において、スイッチギアおよびそれを収容するスイッチギアキャビネットの完成設計を作成することが可能であり、これにはスイッチギアの技術検証およびスイッチギアのコミッショニングに関する情報が含まれている。スイッチギアのこの完成設計は、特定のスイッチギアキャビネットとその部品を、一意的なスイッチギアキャビネット識別子とそれにリンクした部品識別子を用いて、当該特定のスイッチギアキャビネットとその部品に割り当てることができ、製造から運転を経過して廃棄に至るまで、スイッチギアキャビネットまたはスイッチギアの各段階において、各識別子に割り当てられた情報の束から、各々の場合に必要とされる情報を、関係する当事者が検索することができるようになっている。
【0036】
このようにして、スイッチギアのコミッショニングの後において、本方法には、スイッチギアの修理またはメンテナンスを継続して行い、またメンテナンス情報または修理情報を、アーカイブデータベース中の少なくとも1つのデータセットに追加することが含まれる場合がある。本方法には、スイッチギアの3次元CAD設計を使用することで、スイッチギアの修理を実行することが含まれる場合がある。
【0037】
コミッショニング開始を引き起こすとは、少なくとも1つのエネルギー源を、スイッチギアキャビネットからスイッチギアへと、スイッチギア、および/または、少なくとも1つの接続端子に接続することで、これを起動させることが含まれる。スイッチギアのコミッショニング開始が完了した後で、またコミッショニングが行われる場合には、アーカイブデータベース内の少なくとも1つのデータセットを、電子スイッチギアの追加コミッショニング情報でさらに拡充させることができる。
【0038】
したがって、電子スイッチギアを製造する段階で早くもドキュメンテーションを作成することが可能であって、スイッチギアに設けられた部品を再現するだけでなく、ドキュメンテーション内にデータシート情報を実装することによって、これにより紙での通常のスイッチギアキャビネットフォルダーよりも高度で深遠な情報が提供される。さらに、これにリンクした機能情報は、特定の電子スイッチギアのそれぞれの設置状況におけるスイッチギアの特定の電子部品の機能に関する情報、例えばポンプなどの三相モーター用の周波数コンバーターの制御に関する情報を提供することができる。
【0039】
スイッチギアに関する全ての情報は、スイッチギアならびにスイッチギアが設置されるスイッチキャビネットの全ての製品ライフサイクルにわたって引き継がれ、また動的に更新することができる。
【0040】
本方法にはまた、スイッチギアキャビネット識別子を読み込み、スイッチギアキャビネット内に形成される電子スイッチギアのCAD設計を提供することが含まれ、ここにおいてスイッチギアキャビネット識別子を介して、CAD設計がスイッチギアキャビネットに割り当てられる。本方法にはCAD設計をコンピュータ支援補助ユニットにインポートすることも含まれる場合がある。コンピュータ支援補助ユニットはCAD設計を細分化するためにセットアップすることができる。CAD設計は、互いを基礎とした個別の組立ステップに分解することができ、これにより、例えばスイッチギアキャビネットの取付板に設けられた電子スイッチギアの、効率の良い組立ステップの手順を決定することができる。
【0041】
組立ステップの手順としては、電子スイッチギアの2つの部品に関する2つの連続した配線ステップ、または電子スイッチギアの2つの部品に関する少なくとも2つの連続した部品配置ステップが含まれる場合がある。
【0042】
コンピュータ支援補助ユニットは、互いを基礎とした個別の組立ステップに、CAD設計を分解するために設定することができ、このCAD設計には、少なくとも3次元配置、および電子スイッチギアの個別の電子部品の部品リストが含まれる。
【0043】
コンピュータ支援補助ユニットは、ステップ手順を制御するための許容差評価デバイスを備えることができ、これを使用することで、スイッチギアの取付け部品に関するセンサー記録された実際の設置位置を、所定の設置許容誤差を考慮して、回路図に基づいた目標仕様と比較することができる。実際の設置位置のセンサー記録は光学的に且つ画像処理の助けを借りて行うことができる。コンピュータ支援補助ユニットを用いた部品認識をしやすくするため、電子スイッチギアの各部品にそれぞれ部品識別子を設けることができ、これにより部品識別子で標識化された各部品を他の部品と明確に区別することができる。
【0044】
さらに本方法は、組立ステップ手順のうち手動で実行可能な組立ステップの可視化を、組立現場に設置され、組立指示として画像情報および/またはテキスト情報を出力する表示ユニットを用いて行うこと含むことができる。本方法にはさらに、表示された画像情報および/またはテキスト情報に基づいて、手動で実行可能な組立ステップを実行することがさらに含まれる場合がある。さらに本方法には組立現場に設置された入力ユニットを介して完了した組立ステップを確認すること、完了した組立ステップのロギング機能、ならびに組立ステップ手順から次の組立ステップを検索すること、を含むことができる。組立ステップ手順のうち全ての組立ステップが完了するまでに、スイッチキャビネット識別子に割り当てられたプロトコルデータセットを生成し、リモートアクセスのために保存することができ、これには組立ステップ手順のうち完了した組立ステップのプロトコルが含まれる。
【0045】
さらに本方法は、少なくとも複数の電気部品および/または電子部品から構成されるスイッチキャビネットのための電子スイッチギアの機器構成を含むことができる。この機器構成としては、電子スイッチギアの電子回路図の生成、またはこれが既に存在する場合には、電子回路図の提供が含まれる場合がある。
【0046】
さらに本方法は、電子回路図をスイッチギアキャビネット内部の3次元組立配置図に変換させること、特にスイッチギアキャビネットの取付板に設けられた電気部品および/または電子部品の配置を表す3次元取付板配置図に変換させることを含むことができる。
【0047】
さらに本方法は、3次元配置図を改変させることによって、少なくとも1つの別の3次元配置図を生成することを含むことができ、ここにおいて、電子スイッチギアが物理パラメタに対して最適化されたときに極値をとるような品質関数が適応され、この物理パラメタは好ましくは、スイッチギアの電気部品および/または電子部品のパッキング密度、スイッチギアの熱負荷、スイッチギアの電気エネルギー消費量、スイッチギアの電気部品および/または電子部品に関する少なくとも1つの配線長、である。
【0048】
さらに、本方法は、別の3次元配置図を表す第3データセットを生成すること、スイッチギアキャビネット識別子を第3データセットに割り当てること、およびリモートアクセスのために第3データセットを保存することを含むことができる。
【0049】
生成された3次元配置図を別の3次元配置図に改変させるために、品質関数を使用した改変アルゴリズムを適用することができる。品質関数は改変により達成される目標を表しており、目標とは例えば、電子スイッチギアの空間使用効率を高めることなどである。複数の目標を同時に達成しようとする場合には、目標同士にコンフリクトが生じた場合に、最小公倍数で妥協できるところを探すことができる。品質関数の代わりに、例えば電子スイッチギアの最大エネルギー消費量また最高温度など、正確に維持する必要のある境界条件を特定することもできる。
【0050】
少なくとも1つの部品を少なくとも1つのスイッチギアキャビネットから取り外して取り除くとき、同一の部品として設計される少なくとも2つの部品を取り外して取り除き、これを機械加工の後に少なくとも1つの特徴が異なるようにさせることができる。
【0051】
同一の部品として設計される少なくとも2つの部品の部品識別子には、さらにスイッチキャビネットにおける各部品組の組立位置を含む一意的で異なる位置の特徴を、割り当てることができ、機械加工された部品の再割り当てにはさらに、機械加工された部品を、スイッチキャビネット上の対応する組立位置に割り当てることが含まれる。
【0052】
対応して関連付けされたキャビネットから部品を取り外して取り除くとき、異なるキャビネットに関する少なくとも2つの同一または略同一の部品を取り外して取り除くことができる。
【0053】
この同一または略同一の部品を機械加工するとき、各部品を別々に加工し、機械加工した後で、部品に少なくとも1つの異なる特徴が生じるようにすることができる。
【0054】
少なくとも1つの特徴の読み取りには、特にバーコードや多次元コード(QRコードなど(登録商標))など、光学的に読み取り可能な識別子を読み取ること、および/または、特にRFIDトランスポンダーなどの電磁気的、誘導的、または電気容量的に読み取り可能な識別子を読み取ることが伴う場合がある。
【0055】
少なくとも1つのスイッチギアキャビネットの提供には、スイッチギアキャビネットの製造が含まれ、各部品のうち少なくとも1つの部品が鋼板シートブランクから形成される、成形シートメタル部材であって、これは成形および、必要に応じて、機械加工および/または追加のシートメタル加工手段、および必要に応じて、追加の塗装をすることによって、形成されるものである。塗装の前に、シートメタル成形部材に機械可読識別子を設けることができ、この機械可読識別子はシートメタル成形部材の塗装時に重ね塗りされ、シートメタル成形部材の表面と部品識別子が継ぎ目のない塗装層でカバーされるようになっている。
【0056】
少なくとも1つのスイッチギアキャビネットの提供には、スイッチギアキャビネットの製造が含まれ、各部品のうち少なくとも1つの部品が、鋼板シートブランクから形成される成形シートメタル部材であって、これは成形および、必要に応じて、機械加工手段により形成され、光学的な波長領域において可視または不可視な色彩を有する機械可読識別子が、成形シートメタル部材にプリントされている。
【0057】
少なくとも1つのスイッチギアキャビネットの提供には、スイッチギアキャビネットの製造が含まれ、各部品のうち少なくとも1つの部品が、鋼板シートブランクから形成される成形シートメタル部材であって、これは成形および、任意選択的に、機械加工手段、および、任意選択的にラッカリングにより形成され、相変化材料または相変化材料に関する各々のマトリクスが、シートメタル成形部材または任意選択的にラッカーに塗布され、任意選択的にシートメタル成形部材のラッカー部分にラッカリングされ、相変化材料またはマトリクスが熱的および/または電気的な動作によって特徴付けられることで、少なくとも1つの特徴を有する識別子が形成される。
【0058】
さらに少なくとも1つのスイッチキャビネットの内部または表面に、付属部品を取り付けることができ、これにスイッチキャビネット識別子に割り当てられている一意的な付属品識別子が設けられており、付属品識別子は、付属部品がスイッチキャビネットの内部または表面に取付けられているときまたはその後で、スイッチキャビネット識別子に割り当てられる。付属品識別子には、スイッチキャビネット内における付属品識別子の設置位置など、付属部品の設置情報が含まれたデータセットを割り当てることができる。
【0059】
本方法はまた、スイッチキャビネットの表面または内部に取付けられる少なくとも2つの同一の部品に、それぞれ部品識別子を提供することを含むことが可能であって、これら同一の部品の部品識別子には、スイッチキャビネットの表面または内部に各々の部品が取付けられたときに互いを区別するための、個別的な位置特定機能が割り当てられている。
【0060】
本方法には、スイッチキャビネット識別子を介してスイッチキャビネットに割り当てられた第4データセットを生成することが含まれる場合があり、このデータセットには、スイッチキャビネットの使用、スイッチキャビネットに収容されるスイッチギアのメンテナンス、および/または、スイッチギアキャビネットの計画された廃棄に関する情報が含まれており、これは生産時にデータベースに保存され、また識別子に保存されている計画データから取り出され、および/またはスイッチキャビネットのライフサイクルにわたって必要とされたときに識別子に追加されるか、または更新させることができる。
【0061】
提供ステップには、スイッチキャビネットに、フレームおよび少なくとも1つのフラットパネルを設けることが含まれ、フレームおよび/またはフラットパネルには電気コンタクトが含まれる。電気コンタクトは、不揮発性メモリが設けられた保護カバーを備えることができ、不揮発性メモリには、電気コンタクトを有するフレームまたはフラットパネルに関する少なくとも1つのデータセットが保存されており、好ましくは、電気コンタクトを有するフレームまたはフラットパネルを一意的に認識する部品識別子である。保護カバーには、電気コンタクトに固く接続された部分と、電気コンタクトから取り外し可能な部分とが備えられ、電気コンタクトに固く接続された部分に、不揮発性メモリを設けることができる。電気コンタクトに固く接続された部分は、分離予定点を介して、電気コンタクトから取り外し可能な部分に接続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
以下の図面を使用して本発明の詳細を説明する。
【
図1】
図1は電気キャビネットメーカーが行うスイッチキャビネットの製造を概略的に表している。
【
図2】
図2はスイッチギアメーカー側でスイッチキャビネットに取付けられた取り外し可能な部品の機械加工を概略的に表している。
【
図3】
図3はユーザー側の電子スイッチギアのメンテナンスを表している。
【
図5】
図5は、
図4に図示の実施形態に係る組立と使用を表している。
【発明を実施するための形態】
【0063】
図1~3は少なくとも1つのスイッチギアキャビネット200を機械加工する本発明の方法に係る実施形態を示している。
図1はスイッチギアキャビネットビルダーを用いたスイッチギアキャビネットの製造を表している。これには、例えばスイッチキャビネット側壁、スイッチキャビネットドア、または取付板などの、フラットパネル100の粗生産が含まれる。フラットパネル100には部品識別子101が含まれ、これを用いてフラットパネル100を明確に識別することができる。
【0064】
部品識別子101をフラットパネル100上に出来るだけ早い段階で配置させることで、フラットパネル100がまだ未加工の状態で生産されているときに、スイッチキャビネットメーカーは、部品識別子101にリンクしたデータセットを介して、フラットパネルに関する製造情報を個々に保存することができる。したがって、例えば、部品識別子101を介してデータセットを一意的に割り当てることが可能であって、これには取付板などのフラットパネル100の製造プロセスの際の加工情報が含まれる。これに、取付板の粗生成の際における取付板の切り欠きの挿入などを含むことができる。フラットパネル100がスイッチキャビネット筐体200の側パネルになる場合は、曲シートメタルブランクを生成した後で、部品識別子101を曲シートメタルブランクに付することも可能である。部品識別子101を介してリンクさせるデータセットは、シートメタルブランクの追仕上げ加工に関する情報を含むことができる。これには、例えば、塗装仕上げ加工、発砲ガスケット加工、またはフラットパネルをスイッチキャビネットに取り付けるための固定孔の導入が含まれる場合がある。これらの機械加工ステップは
図1に符号300で符号化されているが、一般的に特定の機械加工ステップに限定されるわけではない。
【0065】
フラットパネルブランク100が仕上げ加工される機械加工ステップ300の範囲の性質に応じて、部品識別子101を適切に設計する必要がある。例えば、フラットパネル100の浸漬塗装の前に部品識別子101が付される場合には、部品識別子101が再コーティング可能で、再コーティングされた状態で部品識別子101が読み取り可能となることが必要である。しかし本発明の実施形態において、部品識別子101は、フラットパネル100の浸漬塗装の後で初めて付すことのできるプリントQRコードの形態で提供することができる。本発明のこの実施形態において、塗装ステップは部品識別子101が付された後に実行可能な機械加工ステップの1つではないため、部品識別子101に関連するデータセットに保存される機械加工ステップ300ではない。
【0066】
図4および
図5を参照すると、部品識別子は、フラットパネルが塗装される前に付することのできるものとして提示されているため、上塗りされている状態でもまだ十分に機能するものである。
【0067】
部品識別子101を有するフラットパネル100が機械加工ステップ300を通過すると、制御キャビネット200上の制御キャビネット識別子201を介して、特定の制御キャビネット200を割り当てることができる。部品100が標準シリーズの部品である場合、フラットパネル100が完成してから、つまりフラットパネル100が全ての機械加工ステップ300を通過した後に、割り当てを行うことができる。部品100が個別の機械加工を経ている部品の場合には、とりわけカスタマイズする前の製造の段階で、部品識別子101を介して、部品100に特定の制御キャビネット200または特定の制御キャビネット識別子201を割り当てることにより、フラットパネルが製造された段階で、フラットパネル100と後の制御キャビネット200との間で、明確な割り当てが既に行われるようにすることが有益な場合がある。
【0068】
したがって、例えば制御キャビネットラベル201にデータセットを割り当てることが可能であって、このデータセットにはスイッチギアが内部に組み込まれた仕上げ済の制御キャビネットのプロジェクトデータ、例えばMCADデータなどが含まれ、これは特に、少なくとも1つの取り外し可能に取り付けられた部品100の後加工に関するものである。この場合、部品100に関するMCADデータをある特定の部品100に割り当てることが有益であって、この割り当ては部品100の製造プロセスの際に前もって、部品識別子101を介して行われる。
【0069】
MCAD部品番号201そのものは、キャビネット200の取り外し可能に取り付けられた部品、例えばドア203などに配置させることができるが、この対応する部品203(この場合はドア)は、MCAD部品番号201の他に部品番号201を有している。
【0070】
制御キャビネット識別子201は、部品100に係る少なくとも1つの部品識別子101にスイッチキャビネット識別子201を割り当てることによって、制御キャビネット識別子を有する部品(この場合はドア203)をマスター部品に変えることができ、このマスター部品は、部品識別子101を有するスイッチキャビネット200の少なくとも全ての取り外し可能な部品に割り当てられている。取り外し可能に取り付けられた部品の全て、特に全てのフラットパネルは、部品識別子101を有することが可能であるが、これは取り外し可能に取り付けられたそれぞれの部品100に個々に後加工がなされるか否か、またはスイッチギアが取り付けられたスイッチキャビネット完成後の標準シリーズの部品であるか否かに関係ない。
【0071】
スイッチギアキャビネット200のフレーム202は通常、いかなる再加工も行われないものであって、少なくともその形状に関しては標準化された部品であり、異なる外径を有するスイッチギアキャビネットと、これに対応して異なるサイズのスイッチギアキャビネットフレームが存在するという事実に依存している。
【0072】
原理的に、フレーム202に部品識別子101を設けることも可能であって、この部品識別子101はスイッチキャビネット識別子201に割り与えられ、これはフレーム202の明確な追跡可能性を実現するための、オーダピッキングなどでも必要とされる場合がある。また、例えば、制御キャビネット識別子201をフレーム202上に形成することも考えることができる。制御キャビネット200の完成後、制御キャビネットラベル201を介してデータセットを保存することができ、これには完成した制御キャビネット200の製品仕様が反映されており、必要に応じて、メーカーによるキャビネットの個別の機械加工が含まれている。
【0073】
図2は、
図1を参照して記載される制御キャビネット200を受け取るスイッチギアメーカーの状況を表している。
図1を参照してすでに説明したように、スイッチギアキャビネットメーカーによりスイッチギアメーカーに供給される筐体はシリーズ製品、またはスイッチギアメーカーによりスイッチギアキャビネットメーカーに供給されたプロジェクトデータに応じて、既にある程度カスタマイズされたパネル200筐体、例えばエアコンユニット等を取り付けるために側パネルに開けられた切り欠きなどを有するパネル200筐体とすることができる。
【0074】
スイッチギアメーカーはしたがって、スイッチキャビネット筐体1から少なくとも取付板100を取り外すことによりスイッチキャビネット104を構成する。したがって、
図2において、部品識別子101を有する取り外し可能に取り付けられた部品100は取付板を表している。取付板100の機械加工ステップは、パネル製造者により取付板100がスイッチギア筐体200から取り外されて取り除かれた後で、取付板100に開口部103を形成することであって、これは配線や冷却空気の空気経路など、取付板100にスイッチギアを形成するために必要とされるものである。しかしながら、
図1を参照して既に説明した通り、開口部103は、原理的にスイッチギアキャビネットメーカー側で形成することも可能であって、これは取引間のデータ連続性により正確に実現され、これは本発明により特定されるタイプの、一意的な部品およびスイッチギアキャビネットの識別により、可能となるものである。
【0075】
追加加工ステップ302としては、取付板100に電気部品、および/または、電子部品105を取り付けることと、部品を互いに配線することが含まれる。対応する部品のリスト、回路図、配線図および追加の補助組立情報は、部品識別子101を介して、順次割り当てることができる。例えば、パネル製造者は、「拡張現実」などの助けを借りて、識別子101を読み取り、部品識別子101にリンクしたデータセットを取り込むことにより、取付板の組立と各部品の配線について支援を受けることができる。取付板100上の部品105の機械認識を改善するため、部品105は機械可読な部品識別子106を備えることができる。例えば、部品識別子101を読み込むことにより、部品識別子101にリンクした回路図を表示するヒューマン・マシン・インターフェースにデータセットを移動させることができる。部品識別子106の読み取りは、取付板上における各部品106の正しい配線や配置を、機械組立工に説明するために使用される。
【0076】
図3は電子スイッチギアのエンドユーザー側の状況を表している。ここで、スイッチギア104を含むスイッチギアキャビネット200は、数個のスイッチギアキャビネット200を列状に連ねることができる。
図2に図示されているスイッチギアメーカーにおける取付板100上のスイッチギア104は、
図3に表されている真ん中のスイッチギアキャビネット200に配置されている。電子スイッチギア104のエンドユーザーは、できるだけ簡単な技術手段を用いて、スイッチギアの操作とスイッチギアのメンテナンスを確実にすることに特に関心を持っている。ここにおいても、本発明に係る部品識別子が役に立つ場合がある。
【0077】
例えば、電子スイッチギアのエンドユーザーは、電子スイッチギアの操作中に部品識別子101を読み込むことができる。電子スイッチギア104の操作パラメータは、部品識別子101に割り当てられたデータセットに保存されている。これには誤ったメッセージの検索、またはスイッチギア操作の監視、例えば少なくとも1つのエネルギー消費値の出力値の監視などが含まれる場合がある。
【0078】
電子スイッチギア104に電子スイッチギア104の操作を監視する監視ユニットが備えられ、対応する操作パラメータが、部品識別子101を介して読み出し可能なデータセットの中に保存される場合、電子スイッチギアのユーザーは、例えばマン・マシン・インターフェース400の光学カメラモジュールの助けを借りて、識別子101を読み取ることによって、監視ユニットにより記録された操作パラメータを、マン・マシン・インターフェース400を介して読み込むことができる。対応するデータセットはヒューマン・マシン・インターフェースがアクセスするクラウド内に保存することができる。
図3に示されている図において、電子スイッチギア104の回路
図402が、マン・マシン・インターフェース400のディスプレイ401に表示されている。スイッチギア監視デバイスのデータセットは、回路図に表示させることができ、例えば電子スイッチギア104の個別の部品に関する操作関連パラメータを、対応する部品記号が割り当てられたディスプレイ401上の回路
図402に表示させることができるようになっており、これにより電子スイッチギア104のメンテナンスがかなり容易となる。
【0079】
スイッチギアキャビネットドア109の内面に、追加識別子107が設けられた回路図ポケット108を配置させることができる。この識別子107を介してデータセットを部品識別子101と同様にして蓄積させることができ、これは電子スイッチギア104の重要な操作パラメータを表している。さらに、これらデータセットは、回路図、部品リスト、個別の部品の物理的操作パラメータ、電子スイッチギアのメンテナンス履歴、通常は標準的な紙面回路図フォルダに保存されるような追加情報、ならびに電子スイッチギアのコミッショニング情報などの付加的情報を含むことができる。
【0080】
図4は電気コンタクトとして設計された再塗装可能な部品識別子の実施形態を表している。雄ねじ8とベース10を備える溶接スタッド1が表されている。ベース10を介して、溶接スタッド1を
図1に図示のフラットパネル100に溶接し、またこれにより電気的に接続することができる。溶接は、スイッチキャビネット筐体またはフラットパネルを塗装する前に、行うことができる。ベース10はその外周にアンダーカット輪郭部11を有しており、これは溶接スタッド1と保護カバー2の連結接続を形成するために使用することができる。
【0081】
保護カバー2は、プラスチックキャップなどの形態で設計することができる。先行技術で知られている塗装保護キャップからとは異なり、図示の保護カバー2には、保護カバー2の底縁で、電気コンタクト1に固く接続することのできる部品4と、電気コンタクト1から取り外し可能な部品5とが備えられる。先行技術で知られている塗装保護キャップは一体型のものである。電気コンタクト1から取り外し可能な部品5には、例えば、雄ねじ8に対応した雌ねじを設けることが可能であって、この部品5を介してコンタクト1にねじ込むことができる。しかし、電気コンタクト1から取り外し可能な部材5は、雌ねじのないキャップのように設計することも可能であって、これは予定分離点および固く接続される部品4のみを介して、溶接スタッド1に保持される。溶接スタッド1に固く接続される部品4は、例えばコンタクト1のベースにおけるアンダーカット11を介してコンタクト1に接続することができる。
【0082】
この固く接続される部品4には、部品識別子を収容する不揮発性メモリ3が備えられている。溶接スタッド1に固く接続される部品4は、溶接スタッド1から取り外し可能な部品5に対して、予定分離点6を介して、接続されている。不揮発性メモリ3はRFIDトランスポンダーなどの無線可読メモリ3である。無線可読メモリ3のアンテナ7は、固定された部品4をベース10に連結することなどにより保護カバー2がコンタクトに設置されたときに、電気コンタクト1の外周に沿って設けられるようになっている。アンテナ7はベース10の外周に沿って延在するため、金属部である溶接スタッド1によって電磁気的に遮蔽されない。アンテナ7は固く接続される部品4の中に埋め込むことができる。したがって、固く接続される部品4の素材は大きな電磁遮蔽効果を有するものではなく、プラスチック素材のようなものである。
【0083】
保護カバー2にはカバー部12があり、カバー部12はその先端9で、予定分離点6を介して、接地ボルトのベース10に固く接続可能な保護カバーの部品4に、接続される。
【0084】
少なくとも1つのデータセットを含む非揮発性メモリ3(例えば、部品識別子)は、電気コンタクトに固く接続可能な保護カバー2の部品4の中に配置されているため、カバー部12が固定部品4から予定分離点6を介して切り離され、カバー部12が取り除かれると、メモリ3がスイッチキャビネット筐体に残ったままになる。これは例えば保護カバー2のカバー部12が電気コンタクトの螺子8からねじって解放され、スイッチキャビネット筐体から取り外されることにより、等電位ボンディングのアース接触が確立されたとしても、メモリー3に保存された情報が保持されることを意味する。
【0085】
図5には、溶接スタッド1の例示的な製造/使用プロセスが図示されている。第1ステップでは、溶接スタッド1は、恒久的に接続可能な部品4と取り外し可能な部品5からなる保護カバー2を、1つの連結ステップで溶接スタッド1に接続することにより製造することができる。
【0086】
続いて、保護カバー2が設けられた溶接スタッド1は、スイッチキャビネット筐体のフラットパネル22に、溶接プロセスを経て接続することができる。その後保護カバー2を電気コンタクトから取り外し、これにより溶接スタッド1を少なくとも部分的に露出させて、非揮発性メモリ3が電気コンタクト1に残された場合、電気コンタクト1を保護導体23に接触させることにより、スイッチキャビネット筐体またはフラットパネル22への電気接続を確立することができる。保護導体23には、溶接スタッド1のネジ部8に設置され、ナット24を用いてロックされるワイヤアイレットを設けることができる。説明を分かりやすくするため、
図5には最右の部分図に、固定部品4の外ケースを省略して図示されており、取り外し可能な部品5が取り除かれた後に非揮発性メモリ3が電気コンタクト1に残ったまま、固定部品4の中に見えるようにして図示されているが、実際に使用される際には、右から2番目の図に表されているように、固定部品4のプラスチックケースの中に保護されるようにして収容される。
【0087】
上記の明細書、図面、および特許請求の範囲に開示された本発明の特徴は、個別にまたは任意の組み合わせで、本発明を実現するために不可欠であり得る。
【符号の説明】
【0088】
1 溶接スタッド
2 保護カバー
3 不揮発性メモリ
4 固く接続される部品
5 取り外し可能な部品
6 予定分離点
7 アンテナ
8 雄ねじ
9 先端
10 ベース
11 アンダーカット輪郭部
12 カバー部
20 スイッチキャビネット筐体
21 フレーム
22 フラットパネル
23 保護導体
24 ナット
100 取り外し可能に取り付けられた部品
101 部品識別子
103 開口部
104 スイッチギア
105 電気部品および/または電子部品
106 部品識別子
107 回路図
108 回路図ホルダー
109 制御キャビネットドア
200 スイッチキャビネット
201 制御キャビネット標識
202 フレーム
203 制御キャビネットドア
300 機械加工ステップ
301 開口部の導入
302 電子スイッチギアの構築
400 ヒューマン・マシン・インターフェース
401 ディスプレイ
402 デジタル回路図