(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】圧縮機ユニット、スクリュ圧縮機及び圧縮機ユニットの運転方法
(51)【国際特許分類】
B63H 21/38 20060101AFI20220118BHJP
B63B 25/16 20060101ALI20220118BHJP
F17C 13/00 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
B63H21/38 C
B63B25/16 D
F17C13/00 302A
(21)【出願番号】P 2021140820
(22)【出願日】2021-08-31
【審査請求日】2021-09-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】植田 達
(72)【発明者】
【氏名】山田 隆
【審査官】伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特許第6756065(JP,B1)
【文献】特開昭49-088904(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63H 21/38
B63B 25/16
F17C 13/00
F04B 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶内に設置され、前記船舶に設けられた貯槽から液化ガスのボイルオフガスである対象ガスを回収してその少なくとも一部を需要先に供給する圧縮機ユニットであって、
前記貯槽から貯槽接続流路を介して対象ガスを吸入する第1圧縮機と、
前記第1圧縮機から前記需要先に繋がる需要先接続流路と、
前記需要先接続流路から分岐し、再液化設備に繋がる再液化設備接続流路と、
前記再液化設備接続流路上に設けられ、前記再液化設備に流入する前の対象ガスをさらに圧縮するレシプロ式の第2圧縮機と、
前記第1圧縮機および前記第2圧縮機を制御する制御部と、
を備え、
前記第1圧縮機が、前記貯槽接続流路に接続されて前記対象ガスを圧縮するスクリュ式の圧縮部と、前記需要先接続流路から前記貯槽接続流路へと対象ガスの少なくとも一部を戻すバイパス手段と、を備え、
前記バイパス手段は、前記需要先接続流路及び前記貯槽接続流路を接続するバイパス流路と、前記バイパス流路に設けられたバイパス弁と、を含み、
前記制御部は、
前記圧縮部の駆動中における前記第2圧縮機の起動の際に、
前記第2圧縮機の作動によって前記第2圧縮機が処理することとなる対象ガスの必要流量に相当する流量分だけ前記圧縮部の処理量を増大させるとともに、増大させた処理量に相当する流量が前記貯槽接続流路に戻るように前記バイパス弁の開度を大きくする起動準備制御を実行し、
前記起動準備制御の実行の後に、前記第2圧縮機を起動するとともに、前記起動準備制御で大きくなった前記バイパス弁の開度を所定開度小さくする起動制御を実行するように構成されている、圧縮機ユニット。
【請求項2】
前記第1圧縮機の前記圧縮部が、互いに並列に配置された2つのスクリュ式圧縮機から構成され、
前記バイパス手段が、前記2つのスクリュ式圧縮機から吐出された対象ガスを前記需要先接続流路から前記貯槽接続流路へと戻す2つのバイパス流路及び前記2つのバイパス流路に
1つずつ設けられた2つのバイパス弁を含み、
前記制御部は、
前記起動準備制御において、
前記必要流量に相当する流量の半分だけ前記2つのスクリュ式圧縮機のそれぞれの処理量を増大させるとともに、増大させた処理量に相当する流量の半分の流量が前記2つのバイパス流路のそれぞれから前記貯槽接続流路へと戻るように前記2つのバイパス弁の開度をそれぞれ大きくする、請求項1に記載の圧縮機ユニット。
【請求項3】
前記第1圧縮機の前記圧縮部が、互いに並列に配置された2つのスクリュ式圧縮機から構成され、
前記バイパス手段が、前記2つのスクリュ式圧縮機のうちの一方のスクリュ式圧縮機から吐出された対象ガスを前記需要先接続流路から前記貯槽接続流路へと戻す第1バイパス流路、及び前記第1バイパス流路に設けられた第1バイパス弁、前記2つのスクリュ式圧縮機のうちの他方のスクリュ式圧縮機から吐出された対象ガスを前記需要先接続流路から前記貯槽接続流路へと戻す第2バイパス流路、及び前記第2バイパス流路に設けられた第2バイパス弁を含み、
前記一方のスクリュ式圧縮機の処理量をA1、前記他方のスクリュ式圧縮機の処理量をA2とし、前記必要流量に相当する流量をBとすると、
前記制御部は、
前記起動準備制御において、
B×A2/(A1+A2)で得られる流量だけ前記一方のスクリュ式圧縮機の処理量を増大させるとともに、B×A2/(A1+A2)で得られる流量が前記第1バイパス流路から前記貯槽接続流路へと戻るように、前記第1バイパス弁の開度を大きくし、
B×A1/(A1+A2)で得られる流量だけ前記他方のスクリュ式圧縮機の処理量を増大させるとともに、B×A1/(A1+A2)で得られる流量が前記第2バイパス流路から前記貯槽接続流路へと戻るように、前記第2バイパス弁の開度を大きくする、請求項1に記載の圧縮機ユニット。
【請求項4】
前記第1圧縮機が、
前記起動準備制御において前記圧縮部の処理量を増大可能な、前記圧縮部の回転数調整手段、または、前記圧縮部の容量調整手段を備える、請求項1ないし3の何れか1項に記載の圧縮機ユニット。
【請求項5】
船舶に設けられた貯槽から液化ガスのボイルオフガスである対象ガスを貯槽接続流路を介して吸入して需要先接続流路に吐出するスクリュ圧縮機であって、
前記貯槽接続流路に接続されて前記対象ガスを圧縮するスクリュ式の圧縮部と、
前記需要先接続流路及び前記貯槽接続流路を接続するバイパス流路と、前記バイパス流路に設けられたバイパス弁と、を含み、前記需要先接続流路から前記貯槽接続流路へと対象ガスの少なくとも一部を戻すバイパス手段と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記圧縮部の駆動中に、前記需要先接続流路から分岐し再液化設備に繋がる再液化設備接続流路に設けられた第2圧縮機を起動するための指令を受けると、前記第2圧縮機の作動によって前記第2圧縮機が処理することとなる対象ガスの必要流量に相当する流量分だけ前記圧縮部の処理量を増大させるとともに、増大させた処理量に相当する流量が前記貯槽接続流路に戻るように前記バイパス弁の開度を大きくする起動準備制御を実行し、
前記起動準備制御の実行の後に、前記第2圧縮機を起動する起動許可信号を出力するとともに、前記起動準備制御で大きくなった前記バイパス弁の開度を所定開度小さくする起動制御を実行するように構成されている、スクリュ圧縮機。
【請求項6】
船舶に設けられた貯槽から液化ガスのボイルオフガスである対象ガスを回収してその少なくとも一部を需要先に供給する圧縮機ユニットの運転方法であって、
前記圧縮機ユニットは、前記貯槽から貯槽接続流路を介して対象ガスを吸入して需要先接続流路に対象ガスを吐出する第1圧縮機と、前記需要先接続流路から分岐して再液化設備に繋がる再液化設備接続流路に設けられたレシプロ式の第2圧縮機と、を備え、
前記第1圧縮機が、前記貯槽接続流路に接続されて前記対象ガスを圧縮するスクリュ式の圧縮部と、前記需要先接続流路と前記貯槽接続流路とを接続するバイパス流路と、前記バイパス流路に設けられたバイパス弁と、を有し、
前記運転方法には、
前記第1圧縮機の前記圧縮部を駆動する駆動ステップと、
前記圧縮部の駆動中における前記第2圧縮機の起動に際し、前記第2圧縮機の作動によって前記第2圧縮機が処理することとなる対象ガスの必要流量に相当する流量分だけ前記圧縮部の処理量を増大させるとともに、増大させた処理量に相当する流量が前記貯槽接続流路に戻るように前記バイパス弁の開度を大きくする起動準備ステップと、
前記起動準備ステップの後に、前記第2圧縮機を起動するとともに、前記起動準備ステップにおいて大きくなった前記バイパス弁の開度を所定開度小さくする起動ステップと、が含まれる、圧縮機ユニットの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機ユニット、スクリュ圧縮機及び圧縮機ユニットの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されているように、液化ガス槽で発生するボイルオフガスを回収して、その少なくとも一部をガスの需要先に供給する圧縮機ユニットが知られている。特許文献1に開示された圧縮機ユニットは、液化ガス槽で発生したボイルオフガスを圧縮する第1の圧縮機を備えており、この第1の圧縮機の吐出側の流路は2つの流路に分岐している。そのうちの一方の流路は、船の推進機関に繋がっており、第1の圧縮機で圧縮されたガスの一部は推進機構で利用される。もう一方の流路は、余剰のガスを液化ガス槽に戻せるように液化ガス槽に繋がっている。このもう一方の流路には、第2の圧縮機及び液化用の熱交換器が設けられていて、当該流路を流れるガスは第2の圧縮機で圧縮された後、熱交換器及びJT(Joule Thompson)バルブを通って液化される。液化した液化ガスは液化ガス槽に環流する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、第1の圧縮機から船の推進機関にボイルオフガスを供給しているときに、第2の圧縮機を起動させる場合がある。この場合、第2の圧縮機が起動すると、第2の圧縮機において処理することとなるボイルオフガスの処理量分だけ第1の圧縮機の吐出側の圧力が低下することとなる。これを防止すべく、第1の圧縮機の容量制御をPID制御などのフィードバック制御で行ったとしても、第2の圧縮機の起動による急な圧力変動に対応することは難しい。このため、推進機関に供給されるガスの圧力が安定するような運転が妨げられる虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、前記従来技術を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、第1の圧縮機の駆動中に第2の圧縮機を起動する場合においても、第1の圧縮機の吐出側での圧力の変動を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するため、本発明は、船舶内に設置され、前記船舶に設けられた貯槽から液化ガスのボイルオフガスである対象ガスを回収してその少なくとも一部を需要先に供給する圧縮機ユニットであって、前記貯槽から貯槽接続流路を介して対象ガスを吸入する第1圧縮機と、前記第1圧縮機から前記需要先に繋がる需要先接続流路と、前記需要先接続流路から分岐し、再液化設備に繋がる再液化設備接続流路と、前記再液化設備接続流路上に設けられ、前記再液化設備に流入する前の対象ガスをさらに圧縮するレシプロ式の第2圧縮機と、前記第1圧縮機および前記第2圧縮機を制御する制御部と、を備える。前記第1圧縮機は、前記貯槽接続流路に接続されて前記対象ガスを圧縮するスクリュ式の圧縮部と、前記需要先接続流路から前記貯槽接続流路へと対象ガスの少なくとも一部を戻すバイパス手段と、を備える。前記バイパス手段は、前記需要先接続流路及び前記貯槽接続流路を接続するバイパス流路と、前記バイパス流路に設けられたバイパス弁と、を含む。前記制御部は、前記圧縮部の駆動中における前記第2圧縮機の起動の際に、前記第2圧縮機の作動によって前記第2圧縮機が処理することとなる対象ガスの必要流量に相当する流量分だけ前記圧縮部の処理量を増大させるとともに、増大させた処理量に相当する流量が前記貯槽接続流路に戻るように前記バイパス弁の開度を大きくする起動準備制御を実行し、前記起動準備制御の実行の後に、前記第2圧縮機を起動するとともに、前記起動準備制御で大きくなった前記バイパス弁の開度を所定開度小さくする起動制御を実行するように構成されている。
【0007】
本発明に係る圧縮機ユニットでは、第1圧縮機の圧縮部の運転中に第2圧縮機を起動した場合であっても、需要先接続流路における圧力低下を抑制することができる。しかも、第2圧縮機を起動する起動制御の前に、予め圧縮部の処理量を増大しておくため、第2圧縮機の起動時には、バイパス弁の開度を小さくするだけで済む。したがって、第2圧縮機の起動に伴う急な圧力変動に対応できる。
【0008】
前記圧縮機ユニットにおいて、前記第1圧縮機の前記圧縮部が、互いに並列に配置された2つのスクリュ式圧縮機から構成されていてもよい。この場合、前記バイパス手段は、前記2つのスクリュ式圧縮機から吐出された対象ガスを前記需要先接続流路から前記貯槽接続流路へと戻す2つのバイパス流路及び前記2つのバイパス流路に1つずつ設けられた2つのバイパス弁を含んでもよい。前記制御部は、前記起動準備制御において、前記必要流量に相当する流量の半分だけ前記2つのスクリュ式圧縮機のそれぞれの処理量を増大させるとともに、増大させた処理量に相当する流量の半分の流量が前記2つのバイパス流路のそれぞれから前記貯槽接続流路へと戻るように前記2つのバイパス弁の開度をそれぞれ大きくするように構成されていてもよい。
【0009】
この態様では、第1圧縮機の圧縮部が2つのスクリュ式圧縮機から構成される場合であっても、適切な起動準備制御を実現することができる。
【0010】
前記圧縮機ユニットにおいて、前記第1圧縮機の前記圧縮部が、互いに並列に配置された2つのスクリュ式圧縮機から構成されていてもよい。この場合において、前記バイパス手段は、前記2つのスクリュ式圧縮機のうちの一方のスクリュ式圧縮機から吐出された対象ガスを前記需要先接続流路から前記貯槽接続流路へと戻す第1バイパス流路、及び前記第1バイパス流路に設けられた第1バイパス弁、前記2つのスクリュ式圧縮機のうちの他方のスクリュ式圧縮機から吐出された対象ガスを前記需要先接続流路から前記貯槽接続流路へと戻す第2バイパス流路、及び前記第2バイパス流路に設けられた第2バイパス弁を含んでもよい。前記一方のスクリュ式圧縮機の処理量をA1、前記他方のスクリュ式圧縮機の処理量をA2とし、前記必要流量に相当する流量をBとすると、前記制御部は、前記起動準備制御において、B×A2/(A1+A2)で得られる流量だけ前記一方のスクリュ式圧縮機の処理量を増大させるとともに、B×A2/(A1+A2)で得られる流量が前記第1バイパス流路から前記貯槽接続流路へと戻るように、前記第1バイパス弁の開度を大きくし、B×A1/(A1+A2)で得られる流量だけ前記他方のスクリュ式圧縮機の処理量を増大させるとともに、B×A1/(A1+A2)で得られる流量が前記第2バイパス流路から前記貯槽接続流路へと戻るように、前記第2バイパス弁の開度を大きくするように構成されていてもよい。
【0011】
この態様では、第1圧縮機の圧縮部が2つのスクリュ式圧縮機から構成される場合であっても、適切な起動準備制御を実現することができる。
【0012】
前記第1圧縮機は、前記起動準備制御において前記圧縮部の処理量を増大可能な、前記圧縮部の回転数調整手段、または、前記圧縮部の容量調整手段を備えていてもよい。
【0013】
この態様では、処理量を容易に調整できる。
【0014】
本発明に係るスクリュ圧縮機は、船舶に設けられた貯槽から液化ガスのボイルオフガスである対象ガスを貯槽接続流路を介して吸入して需要先接続流路に吐出するスクリュ圧縮機であって、前記貯槽接続流路に接続されて前記対象ガスを圧縮するスクリュ式の圧縮部と、前記需要先接続流路及び前記貯槽接続流路を接続するバイパス流路と、前記バイパス流路に設けられたバイパス弁と、を含み、前記需要先接続流路から前記貯槽接続流路へと対象ガスの少なくとも一部を戻すバイパス手段と、制御部と、を備える。前記制御部は、前記圧縮部の駆動中に、前記需要先接続流路から分岐し再液化設備に繋がる再液化設備接続流路に設けられた第2圧縮機を起動するための指令を受けると、前記第2圧縮機の作動によって前記第2圧縮機が処理することとなる対象ガスの必要流量に相当する流量分だけ前記圧縮部の処理量を増大させるとともに、増大させた処理量に相当する流量が前記貯槽接続流路に戻るように前記バイパス弁の開度を大きくする起動準備制御を実行し、前記起動準備制御の実行の後に、前記第2圧縮機を起動する起動許可信号を出力するとともに、前記起動準備制御で大きくなった前記バイパス弁の開度を所定開度小さくする起動制御を実行するように構成されている。
【0015】
本発明に係る圧縮機ユニットの運転方法は、船舶に設けられた貯槽から液化ガスのボイルオフガスである対象ガスを回収してその少なくとも一部を需要先に供給する圧縮機ユニットの運転方法であって、前記圧縮機ユニットは、前記貯槽から貯槽接続流路を介して対象ガスを吸入して需要先接続流路に対象ガスを吐出する第1圧縮機と、前記需要先接続流路から分岐して再液化設備に繋がる再液化設備接続流路に設けられたレシプロ式の第2圧縮機と、を備えている。前記第1圧縮機は、前記貯槽接続流路に接続されて前記対象ガスを圧縮するスクリュ式の圧縮部と、前記需要先接続流路と前記貯槽接続流路とを接続するバイパス流路と、前記バイパス流路に設けられたバイパス弁と、を有する。前記運転方法には、前記第1圧縮機の前記圧縮部を駆動する駆動ステップと、前記圧縮部の駆動中における前記第2圧縮機の起動に際し、前記第2圧縮機の作動によって前記第2圧縮機が処理することとなる対象ガスの必要流量に相当する流量分だけ前記圧縮部の処理量を増大させるとともに、増大させた処理量に相当する流量が前記貯槽接続流路に戻るように前記バイパス弁の開度を大きくする起動準備ステップと、前記起動準備ステップの後に、前記第2圧縮機を起動するとともに、前記起動準備ステップにおいて大きくなった前記バイパス弁の開度を所定開度小さくする起動ステップと、が含まれる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、第1の圧縮機の駆動中に第2の圧縮機を起動する場合においても、第1の圧縮機の吐出側での圧力の変動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態に係る圧縮機ユニットの構成を概略的に示す図である。
【
図2】前記圧縮機ユニットにおいて第2圧縮機を起動するときの運転動作を説明するためのフロー図である。
【
図3】起動準備制御を説明するためのフロー図である。
【
図5】第2実施形態に係る圧縮機ユニットの構成を概略的に示す図である。
【
図6】その他の実施形態に係るスクリュ圧縮機の構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
(第1実施形態)
本実施形態に係る圧縮機ユニット10(
図1参照)は、図略の船舶内に設置されて、船舶に設けられた貯槽1から液化ガスのボイルオフガスである対象ガスを回収する圧縮機ユニットである。この圧縮機ユニット10によって回収された対象ガスは、その少なくとも一部が需要先に供給される。需要先としては、例えば、船舶の推進機関(推進用エンジン等)、船舶内に設置された発電装置等が挙げられる。これらは所定の圧力範囲のガスを受け入れるガス利用装置である。液化ガスとしては、液化天然ガス(LNG)、液化水素(LH2)等が挙げられる。
【0020】
図1に示すように、圧縮機ユニット10は、液化ガスが貯留される貯槽1に繋がった貯槽接続流路3に接続された第1圧縮機12と、第1圧縮機12と前記需要先とをつなぐ需要先接続流路14と、需要先接続流路14から分岐するとともに再液化設備5に繋がる再液化設備接続流路16と、再液化設備接続流路16に設けられた第2圧縮機18と、を備えている。再液化設備5は、第1圧縮機12によって圧縮されたガスのうち余剰分を貯槽1に戻すべく、ガスを再液化するための設備である。第2圧縮機18は、再液化設備5に流入する前のガスを圧縮する圧縮機であり、レシプロ式の圧縮機によって構成されている。すなわち、第2圧縮機18は第1圧縮機12とは独立して駆動可能である。再液化設備5によって再液化された液化ガスは貯槽1に戻される。
【0021】
再液化設備接続流路16には、開閉弁20が設けられている。開閉弁20は第2圧縮機18が作動する際に開放される。また、再液化設備接続流路16には、スピルバック弁16bを有するスピルバック流路16aが、第2圧縮機18を迂回するように接続されている。
【0022】
第1圧縮機12は、貯槽1で発生したボイルオフガスである対象ガスを所定の圧力まで圧縮するための圧縮機であり、貯槽接続流路3に接続された圧縮部22と、圧縮部22とは別体のバイパス手段23と、を備えている。圧縮部22は、スクリュ式の圧縮機によって構成されており、雌雄一対のスクリューロータ(図示省略)と、スクリューロータを収容する筐体(図示省略)とを含む。
【0023】
バイパス手段23は、圧縮部22を迂回しつつ需要先接続流路14及び貯槽接続流路3を接続するバイパス流路23aと、バイパス流路23aに設けられたバイパス弁23bと、を含む。バイパス弁23bによってバイパス流路23aが開かれると、圧縮部22から吐出されたガスの一部は、バイパス流路23aを通して需要先接続流路14から貯槽接続流路3(すなわち、第1圧縮機12の吸込側)に戻される。
【0024】
第1圧縮機12は、圧縮部22によるガスの処理量を増大可能な調整手段12aを有している。調整手段12aは、圧縮部22の圧縮容量を調整可能に構成された容量調整手段である。より具体的には、スクリュ式の圧縮部22の容量調整手段は、ガスの吐出容量を調整可能なスライド弁(図示省略)を含む。また、第1圧縮機12がインバータを有している場合、調整手段12aに代えて、または、調整手段12aと共に、圧縮部22の回転数を調整可能に構成された回転数調整手段(すなわち、インバータ制御手段)である他の調整手段を有してもよい。
【0025】
需要先接続流路14には、需要先接続流路14を流れるガスの圧力を検出する圧力検出器25が設けられている。圧力検出器25は、需要先接続流路14において、バイパス流路23aの接続部よりも下流側に配置されている。圧力検出器25は、検出圧力を示す信号を出力する。
【0026】
圧力検出器25から出力された信号は制御部27に入力される。制御部27は、CPU及びメモリデバイス等を含むコンピュータによって構成され、記憶されたプログラムを実行することにより、所定の機能を発揮する。制御部27には、第1圧縮機12、第2圧縮機18、バイパス弁23b及び開閉弁20が電気的に接続されており、制御部27はこれらを制御するように構成されている。すなわち、制御部27の機能には、第1駆動制御部27a、第2駆動制御部27b及びバイパス制御部27cが含まれる。第1駆動制御部27aは、第1圧縮機12の調整手段12aを制御するように構成されている。第2駆動制御部27bは、第2圧縮機18を制御するとともに開閉弁20の開閉を行うように構成されている。バイパス制御部27cは、バイパス弁23bの開度制御を行うように構成されている。
【0027】
制御部27が前記プログラムを実行することにより、起動準備制御及び起動制御が実行される。
【0028】
起動準備制御及び起動制御は、第1圧縮機12の駆動中において第2圧縮機18を起動する際に行う制御であり、起動準備制御は、起動制御を実行する前に実行される。すなわち、起動準備制御は、第2圧縮機18を駆動する前に行っておく制御であり、第2圧縮機18を起動するための指令を制御部27が受信することにより実行される。この指令は、例えば、船舶のオペレータによる所定の操作によって船舶側から出力されてもよく、あるいは、貯槽1内のガス圧力が所定値を超えたときに船舶側から出力されてもよい。
【0029】
起動制御は、起動準備制御が終了した後に実行される。すなわち、起動制御では第2圧縮機18の駆動を開始するが、この起動制御の開始は、起動準備制御が終了するまで許可されない。このため、船舶側から第2圧縮機18を起動するための指令が制御部27に入力されただけでは第2圧縮機18は起動されず、制御部27が第2圧縮機18の起動を許可するための制御を実行した後で初めて第2圧縮機18が起動する。
【0030】
ここで、圧縮機ユニット10の運転方法について、
図2~
図4を参照しつつ説明する。なお、この運転方法は、第1圧縮機12の駆動中に第2圧縮機18を起動するときの運転方法である。
【0031】
図2に示すように、第1圧縮機12の駆動中、すなわち、圧縮部22の駆動中(ステップST11(駆動ステップ))には、バイパス弁23bの開度及びスライド弁の位置(又は圧縮機回転数)が調整されている。つまり、需要先に所定の圧力のガスが所定流量で供給されるように、バイパス制御部27cによるバイパス弁23bの制御及び第1駆動制御部27aによるスライド弁の制御(又は圧縮機回転数の制御)が行われている。したがって、圧縮機ユニット10から需要先に供給されるガスの圧力及び流量がコントロールされる。そして、第1圧縮機12の駆動中に制御部27が第2圧縮機18を起動するための指令を受信すると(ステップST12)、制御部27は起動準備制御を実行する(ステップST13(起動準備ステップ))。起動準備制御では、後述するように、第1圧縮機12における圧縮部22の処理量を増大させるとともにバイパス弁23bの開度を増大させる制御が行われる。このため、一時的に需要先接続流路14におけるガス圧力が変動することがある。したがって、バイパス弁23bの開度が所定範囲内に収まるまでの間、待機する(ステップST14)。その後、起動制御の実行が可能となる(ステップST15(起動ステップ))。
【0032】
起動準備制御は、第2圧縮機18を起動するための指令を受信すると実行されるが、この指令を受信しただけでは、第2圧縮機18は起動しない。制御部27がこの指令を受けると、
図3に示すように、制御部27(第1駆動制御部27a)は、第1圧縮機12の圧縮部22によるガス処理量の増大制御を開始する(ステップST131)。すなわち、後の起動制御において第2圧縮機18を起動するため、この起動に伴って需要先接続流路14のガス圧力が下がらないようにすべく、第2圧縮機18が処理することとなるガス処理量に相当する流量分だけ第1圧縮機12の圧縮部22によるガス処理量を増大させる。
【0033】
ガス処理量を増大させるには、第1駆動制御部27aは第1圧縮機12の調整手段12aを制御する。例えば第1駆動制御部27aは、スライド弁をロード側に移動させる制御を行う。なお、これに代え/これとともに、第1駆動制御部27aはスクリュ式の圧縮部22の回転数を増大させる制御を行ってもよい。
【0034】
スライド弁を移動させる場合には、第1駆動制御部27aは、制御部27に予め記憶されているバイパス弁23bの開度設定値になるまでの間、スライド弁をロード側に移動させる。または、圧縮部22の回転数を上げる場合には、第1駆動制御部27aは、制御部27に予め記憶されているバイパス弁23bの開度設定値になるまでの間、圧縮部22の回転数を増大させる。
【0035】
ここで、予め記憶されているバイパス弁23bの開度設定値とは、第2圧縮機18が処理することとなるガス処理量に相当する流量分だけ貯槽接続流路3(第1圧縮機12の吸込側)に戻すために必要な開度設定値である。
【0036】
スライド弁がロード側に移動を開始(又は、回転数の増大が開始)すると、圧力検出器25で取得される需要先接続流路14の吐出圧が増大しようとする。制御部27(バイパス制御部27c)は、吐出圧を一定に維持するためバイパス弁23bの開度を大きくし始める(ステップST132)。したがって、圧縮部22のガス処理量が増大したとしても、需要先に供給されるガスの吐出圧(あるいは流量)は増大しない。
【0037】
そして、バイパス弁23bの開度が上述した開度設定値となると、スライド弁の移動が停止する(又は、回転数の増大が停止する)。
【0038】
本実施形態では、第2圧縮機18の起動によって新たに必要となる対象ガスの必要流量に関し、これに相当する流量分に対応するバイパス弁23bの開度が制御部27に予め記憶されている。ただし、これに限られるものではなく、第2圧縮機18を起動させるための指令を受け取ってから、新たに必要となる流量を計算し、計算で得られた流量が出るようにバイパス弁23bの開度を制御するようにしてもよい。
【0039】
バイパス弁23bの開度が所定範囲内に収まるまで、起動制御に移行せずに待機する(
図2におけるステップST14)。そして、バイパス弁23bの開度がこの所定範囲に収まると、起動許可信号が第2駆動制御部27bに送られて、起動制御に移る(
図2におけるステップST15)。なお、本実施形態において、バイパス弁の開度設定値に代えて、当該開度設定値から換算されるガス流量が所定範囲内に収まっているか否かに基づいて、起動制御に移行するか判断してもよい。ステップST14では、圧力検出器25の検出圧力が所定範囲内に収まっているか否かについても併せて確認されてもよい。
【0040】
起動制御では、
図4に示すように、制御部27(第2駆動制御部27b)が起動許可信号を受けて第2圧縮機18を起動する(ステップST151)。そして、第2圧縮機18が起動して、所定回転数で第2圧縮機18が駆動していることが確認されると、制御部27(バイパス制御部27c)は、バイパス弁23bの開度を所定開度だけ小さくする(ステップST152)。すなわち、第2圧縮機18が起動することに伴って、需要先接続流路14におけるガス圧力が低下するため、バイパス弁23bの開度を小さくすることにより、需要先接続流路14におけるガス圧力の低下を抑制する。このとき、バイパス制御部27cは、ステップST132において増大させた分だけバイパス弁23bの開度を小さくしてもよい。すなわち、ステップST132において大きくなったバイパス弁23bの開度が元の開度に戻されてもよい。これにより、第2圧縮機18が起動した後の需要先接続流路14におけるガス圧力は、起動準備制御が開始される前の需要先接続流路14におけるガス圧力と略同じになる。なお、このとき、バイパス制御部27cは、ステップST132におけるバイパス弁23bの開度設定をリセットする。
【0041】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1圧縮機12の圧縮部22の運転中に第2圧縮機18を起動した場合であっても、需要先接続流路14における圧力低下を抑制することができる。しかも、第2圧縮機18を起動する起動制御の前に、予め圧縮部22の処理量を増大しておくため、第2圧縮機18の起動時には、バイパス弁23bの開度を小さくするだけで済む。したがって、第2圧縮機18の起動に伴う急な圧力変動に対応できる。
【0042】
なお、本実施形態では、第2圧縮機18の回転数が所定回転数に到達した後にバイパス弁23bの開度を下げるようにしているが、これに限られない。例えば、起動許可信号によって第2圧縮機18を起動すると同時にバイパス弁23bの開度を下げる動作を開始してもよく、あるいは、第2圧縮機18の回転数が上がりつつある状態でバイパス弁23bの開度を下げる動作を開始してもよい。
【0043】
(第2実施形態)
図5は本発明の第2実施形態を示す。尚、ここでは第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0044】
第1実施形態では、第1圧縮機12の圧縮部22が1つのスクリュ式圧縮機によって構成されているのに対し、第2実施形態では、第1圧縮機12の圧縮部22が2つのスクリュ式圧縮機によって構成されている。すなわち、圧縮部22は第1圧縮部22aと第2圧縮部22bとを含む。
【0045】
具体的に、貯槽接続流路3は、貯槽1に接続された本流路3aと、本流路3aの下流端から分岐する2つの分岐流路3b,3cと、を含む。一方の分岐流路3bには、スクリュ式圧縮機からなる第1圧縮部22aが設けられ、他方の分岐流路3cには、スクリュ式圧縮機からなる第2圧縮部22bが設けられている。すなわち、第1圧縮部22a及び第2圧縮部22bは貯槽接続流路3に対して、互いに並列に接続されている。本実施形態では、第1圧縮部22aを構成するスクリュ式圧縮機と、第2圧縮部22bを構成するスクリュ式圧縮機とは、同じ圧縮容量の圧縮機である。ただし、必ずしも第1圧縮部22aおよび第2圧縮部22bは同じ圧縮容量の圧縮機である必要はない。
【0046】
需要先接続流路14は、2つの分岐路14b,14cと、両分岐路14b,14cが合流し需要先に繋がる合流路14aと、を含む。第1圧縮部22aの吐出部には、一方の分岐路14bが接続され、第2圧縮部22bの吐出部には、他方の分岐路14cが接続されている。第1圧縮部22a及び第2圧縮部22bから吐出されたガスは対応する分岐路14b,14cを通して合流路14aに流入する。
【0047】
バイパス手段23は、2つのバイパス流路23a(第1バイパス流路23a1及び第2バイパス流路23a2)と、2つのバイパス流路23aに設けられた2つのバイパス弁23b(第1バイパス弁23b1及び第2バイパス弁23b2)と、を含む。
【0048】
第1バイパス流路23a1は、貯槽接続流路3における一方の分岐流路3bと、需要先接続流路14における一方の分岐路14bとを接続している。すなわち、第1バイパス流路23a1は、第1圧縮部22aから吐出されたガスの一部を貯槽接続流路3に戻す。第2バイパス流路23a2は、貯槽接続流路3における他方の分岐流路3cと、需要先接続流路14における他方の分岐路14cとを接続している。すなわち、第2バイパス流路23a2は、第2圧縮部22bから吐出されたガスの一部を貯槽接続流路3に戻す。
【0049】
需要先接続流路14の各分岐路14b,14cに圧力検出器25がそれぞれ設けられているが、需要先接続流路14の合流路14aに1つの圧力検出器25が設けられていてもよい。なお、各分岐路14b,14cにはそれぞれ開閉弁31,32が設けられている。なお、開閉弁31,32に代えて、または、開閉弁31,32と共に逆止弁が設けられてもよい。
【0050】
第2実施形態では、第1駆動制御部27aは、第1圧縮部22a及び第2圧縮部22bのそれぞれにおいて、起動準備制御(ステップST13)において、第2圧縮機18の起動によって新たに必要となる対象ガスの必要流量に相当する流量の半分のガス処理量を増大させる(ステップST131)。つまり、第1圧縮部22a及び第2圧縮部22bの両方によって必要流量が賄われるが、第2圧縮機18の起動時において、第1圧縮部22a及び第2圧縮部22bのガス処理量の増大分を同じにして、第1圧縮部22a及び第2圧縮部22bの負荷を同じにする。
【0051】
バイパス制御部27cは、起動準備制御(ステップST13)において、新たに必要となる必要流量の半分の流量がそれぞれ第1バイパス流路23a1及び第2バイパス流路23a2から貯槽接続流路3へと戻るように、第1バイパス弁23b1の開度及び第2バイパス弁23b2の開度をそれぞれ大きくする(ステップST132)。本実施形態では、第1バイパス弁23b1の開度及び第2バイパス弁23b2の開度をそれぞれ同じ開度だけ大きくしている。
【0052】
そして、起動制御(ステップST15)では、バイパス制御部27cは、ステップST132において増大させた分だけバイパス弁23bの開度を小さくする(ステップST152)。つまり、第1バイパス弁23b1の開度及び第2バイパス弁23b2の開度をそれぞれ同じ開度だけ小さくする。
【0053】
第2実施形態によれば、第1圧縮機12の圧縮部22が2つのスクリュ式圧縮機から構成される場合であっても、適切な起動準備制御を実現することができる。
【0054】
なお、第2実施形態では、起動準備制御において、新たに必要となる必要流量の半分の流量を第1圧縮部22aと第2圧縮部22bとにおいて増大させるようにしているが、この構成に限られるものではない。例えば、第1圧縮部22aを第2圧縮部22bよりもより増大させるようにしてもよい。
【0055】
この場合において、需要先に供給されるガスの流量の内の80%を第1圧縮部22aで賄い、20%を第2圧縮部22bで賄う構成を仮定する。つまり、第1圧縮部22aの処理量A1=80%、第2圧縮部22bの処理量A2=20%である場合を仮定する。この場合において、第2圧縮機18の起動によって新たに必要となる必要流量Bが第1圧縮機12の容量の70%だったとすると、起動準備制御では、第1圧縮部22aの容量増大分を、B×A2/(A1+A2)=0.7×0.2×(0.8+0.2)=0.14とし、第2圧縮部22bの容量増大分を、B×A1/(A1+A2)=0.7×0.8×(0.8+0.2)=0.56としてもよい。すなわち、第1圧縮部22aについては、ガス処理量を1.14倍に増大させ、第2圧縮部22bについては、ガス処理量を1.56倍に増大させてもよい。つまり、ガス処理量の大きな第1圧縮部22aにおいてはガス処理量の増大分を抑える一方で、ガス処理量が比較的小さい第2圧縮部22bについてはガス処理量の増大分をより大きくする。またこのとき、第1バイパス弁23b1の開度の増大分を、0.7×0.2×(0.8+0.2)=0.14とし、現行の開度の1.14倍とする。また、第2バイパス弁23b2の開度の増大分を、0.7×0.8×(0.8+0.2)=0.56とし、現行の開度の1.56倍とする。なお、第1バイパス弁23b1及び第2バイパス弁23b2の開度は、スケール開度に応じて設定される。これにより、第1圧縮部22a及び第2圧縮部22bのガス処理量に差がある状態で運転している場合において、増大後の第1圧縮部22a及び第2圧縮部22bの負荷の差を減らすことができる。
【0056】
なお、その他の構成、作用及び効果はその説明を省略するが、前記第1実施形態の説明を第2実施形態に援用することができる。
【0057】
(その他の実施形態)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。例えば、
図6に示すように、スクリュ式の圧縮部22とバイパス手段23と制御部27とを備えたスクリュ圧縮機50が構成されてもよい。なお、制御部27には、第2圧縮機18の駆動制御を行うための第2駆動制御部27bは含まれていないが、制御部27は、第2圧縮機18を起動するための指令を受信可能となっている。
【0058】
スクリュ圧縮機50の圧縮部22は需要先接続流路14にガスを吐出する。需要先接続流路14には、図示省略するが、
図1と同様に再液化設備接続流路16が接続されている。このスクリュ圧縮機50の圧縮部22の駆動中に、制御部27が、再液化設備接続流路16に設けられた図外の第2圧縮機18を起動するための指令を受けると、制御部27は起動準備制御を実行する。起動準備制御では、制御部27(第1駆動制御部27a)は、第2圧縮機18が処理することとなる対象ガスの必要流量に相当する流量分だけ圧縮部22の処理量を増大させ、また、制御部27(バイパス制御部27c)は、増大させた処理量に相当する流量が貯槽接続流路3に戻るようにバイパス弁23bの開度を大きくする。そして、バイパス弁23bの開度が所定範囲に収まると、制御部27は、起動制御を実行する。起動制御では、制御部27は、第2圧縮機18を起動する起動許可信号を出力し、またバイパス制御部27cは、バイパス弁23bの開度を所定開度だけ小さくする。
【0059】
前記実施形態では、起動準備制御において、スライド弁のロード側への移動(又は回転数の増大)に連動してバイパス弁23bの開度が増大されるような制御方法であったがこれに限られず、様々な制御方法が採用されてよい。例えば、スライド弁の制御(又は回転数の制御)とバイパス弁23bの制御は、第2圧縮機16の処理量に基づき設定されるそれぞれの制御量に基づいて独立して行われてもよい。
【0060】
前記実施形態において、温度検出器(図示省略)が需要先接続流路14に設けられて、この温度検出器による検出温度に基づいてバイパス弁23bの制御、及び、スライド弁による容量調整又は回転数調整が行われてもよい。この検出温度に基づく制御は、第1圧縮機12の圧縮部22への注油、注水、対象ガスが液化した液の注入等により行われる。
【符号の説明】
【0061】
1 :貯槽
3 :貯槽接続流路
5 :再液化設備
10 :圧縮機ユニット
12 :第1圧縮機
12a :調整手段
14 :需要先接続流路
16 :再液化設備接続流路
18 :第2圧縮機
22 :圧縮部
22a :第1圧縮部
22b :第2圧縮部
23 :バイパス手段
23a :バイパス流路
23a1 :第1バイパス流路
23a2 :第2バイパス流路
23b :バイパス弁
23b1 :第1バイパス弁
23b2 :第2バイパス弁
27 :制御部
50 :スクリュ圧縮機
ST11 :駆動ステップ
ST13 :起動準備ステップ
ST15 :起動ステップ
【要約】
【課題】第1の圧縮機の駆動中に第2の圧縮機を起動する場合に、第1の圧縮機の吐出側での圧力の変動を抑制する。
【解決手段】圧縮機ユニット10は、第1圧縮機12と、第1圧縮機12に繋がる需要先接続流路14から分岐する再液化設備接続流路16上に設けられたレシプロ式の第2圧縮機18と、制御部27とを備える。第1圧縮機は、スクリュ式の圧縮部22と、需要先接続流路14及び貯槽接続流路3を接続するバイパス流路23aと、バイパス弁23bとを含む。制御部27は、第2圧縮機18の起動の際に、圧縮部22の処理量を増大させるとともに、増大させた処理量に相当する流量が貯槽接続流路3に戻るようにバイパス弁23bの開度を大きくし、その後に、第2圧縮機18を起動するとともにバイパス弁23bの開度を小さくする。
【選択図】
図1