(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】収容庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/00 20060101AFI20220118BHJP
【FI】
F25D23/00 302Z
F25D23/00 307
(21)【出願番号】P 2021148492
(22)【出願日】2021-09-13
【審査請求日】2021-10-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002129
【氏名又は名称】住友商事株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000208709
【氏名又は名称】第一施設工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】506070143
【氏名又は名称】住商グローバル・ロジスティクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】目良 聡
(72)【発明者】
【氏名】大野 雄輔
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-267750(JP,A)
【文献】特開2021-088370(JP,A)
【文献】特開2021-066449(JP,A)
【文献】特開2007-075096(JP,A)
【文献】特開2020-159631(JP,A)
【文献】特開2008-273622(JP,A)
【文献】特開2002-206852(JP,A)
【文献】特開2001-204428(JP,A)
【文献】特許第6499366(JP,B1)
【文献】特許第6844058(JP,B1)
【文献】特許第6839261(JP,B1)
【文献】特開2015-116148(JP,A)
【文献】中国実用新案第208850594(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 11/00
F25D 23/00
A23L 3/32
B65D 88/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容室を内部に有する収容庫本体と、
前記収容室の内部に電界を形成する電界形成部材と、を備え、
前記電界形成部材は、
電気的な絶縁性を有する絶縁部材と、
前記絶縁部材の外面に固定され、電圧の印加に基づき電界を形成する電極部材と、を有し、
前記収容庫本体の側壁部には、前記電界形成部材
の前記絶縁部材が載せ置かれる載置部が設けられている
収容庫。
【請求項2】
前記載置部には、複数の前記電界形成部材が載せ置かれている
請求項1に記載の収容庫。
【請求項3】
前記収容庫本体において互いに対向して配置される2つの
前記側壁部を第1側壁部及び第2側壁部とするとき、
前記載置部として、
前記第1側壁部に設けられ、前記電界形成部材の
前記絶縁部材の一端部が載せ置かれる第1載置部と、
前記第2側壁部に設けられ、前記電界形成部材の
前記絶縁部材の他端部が載せ置かれる第2載置部と、を備える
請求項1又は2に記載の収容庫。
【請求項4】
前記第1側壁部及び前記第2側壁部が互いに対向している方向を所定方向とするとき、
前記絶縁部材は、前記所定方向において前記電極部材よりも長い形状を有しており、
前記第1載置部及び前記第2載置部には、前記所定方向における前記絶縁部材の両端部がそれぞれ載せ置かれている
請求項
3に記載の収容庫。
【請求項5】
前記第1載置部は、前記第1側壁部に固定される部位と、前記電界形成部材の一端部が載せ置かれる部位とを有する断面L字状の部材であり、
前記第2載置部は、前記第2側壁部に固定される部位と、前記電界形成部材の他端部が載せ置かれる部位とを有する断面L字状の部材である
請求項3
又は4に記載の収容庫。
【請求項6】
前記絶縁部材は、全体が絶縁材料により形成されている
請求項
1~5のいずれか一項に記載の収容庫。
【請求項7】
前記絶縁部材は、所定の素材の周囲に絶縁材料を塗布することで形成されている
請求項
1~5のいずれか一項に記載の収容庫。
【請求項8】
前記載置部は、電気的な絶縁性を有する絶縁材料により形成されている
請求項1~
7のいずれか一項に記載の収容庫。
【請求項9】
当該収容庫は、新品又は中古品である
請求項1~
8のいずれか一項に記載の収容庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記の特許文献1に記載の収容庫がある。特許文献1に記載の収容庫は、その内部に配置される電極と、電極に電圧を印加する電源とを備えている。収容庫は矩形箱状に形成されている。電極は収容庫の底壁部の内面又は上壁部の内面に固定されており、電源から印加される電圧に基づいて収容庫の内部に静電界の雰囲気を形成する。これにより、収容庫内に静電界が形成されていない場合と比較すると、収容庫に収容されている生鮮食品等の鮮度を長く保つことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電極は比較的大きな重量を有するものであるため、収容庫の上壁部の内面に複数の電極を固定しようとする場合、収容庫の上壁部の内面に補強材を設けることが多い。例えば、収容庫の製造の時点で上壁部の内面に補強材を固定する特別な加工を施した上で、この補強材から吊り下げるようにして複数の電極を設置する。このように、収容庫に電極を配置しようとすると収容庫に対して複雑な加工が必要となる。これが、電極が設置された収容庫の普及を阻害する要因となっているため、その改善が望まれている。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、より容易に電界形成部材を配置することが可能な収容庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する収容庫は、収容室を内部に有する収容庫本体と、収容室の内部に電界を形成する電界形成部材と、を備える。収容庫本体の側壁部には、電界形成部材が載せ置かれる載置部が設けられている。
この構成によれば、収容庫本体に設けられる載置部に電界形成部材を置くだけで収容室内への電界形成部材の配置が完了する。よって、収容室内に電界形成部材を配置するために複雑な加工を収容庫本体に施す必要が無いため、より容易に電界形成部材を配置することが可能となる。
【0007】
上記の収容庫において、載置部には、複数の電界形成部材が載せ置かれていることが好ましい。
この構成によれば、複数の電界形成部材を組み合わせることで、より広い電界を形成することが可能となる。また、個々の電界形成部材の小型化も可能であるため、収容庫への電界形成部材の設置が容易となる。
【0008】
上記の収容庫において、収容庫本体において互いに対向して配置される2つの側壁部を第1側壁部及び第2側壁部とするとき、載置部として、第1側壁部に設けられ、電界形成部材の一端部が載せ置かれる第1載置部と、第2側壁部に設けられ、電界形成部材の他端部が載せ置かれる第2載置部と、を備えることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、第1載置部及び第2載置部により電界形成部材の両端部をそれぞれ支持することができるため、より安定した姿勢で電界形成部材を設置することが可能となる。
上記の収容庫において、電界形成部材は、電気的な絶縁性を有する絶縁部材と、絶縁部材の外面に固定され、電圧の印加に基づき電界を形成する電極部材と、を有し、第1載置部及び第2載置部には、電極部材及び絶縁部材のうち、絶縁部材のみが載せ置かれていることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、電極部材を載置部に設置することができる。
上記の収容庫において、第1側壁部及び第2側壁部が互いに対向している方向を所定方向とするとき、絶縁部材は、所定方向において電極部材よりも長い形状を有しており、第1載置部及び第2載置部には、所定方向における絶縁部材の両端部がそれぞれ載せ置かれていることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、電極部材及び絶縁部材のうち、絶縁部材のみが第1載置部及び第2載置部に載せ置かれる構造を容易に実現可能である。
上記の収容庫において、絶縁部材は、全体が絶縁材料により形成されていることが好ましい。あるいは、絶縁部材は、所定の素材の周囲に絶縁材料を塗布することで形成されていることが好ましい。
【0012】
上記の収容庫において、第1載置部は、第1側壁部に固定される部位と、電界形成部材の一端部が載せ置かれる部位とを有する断面L字状の部材であり、第2載置部は、第2側壁部に固定される部位と、電界形成部材の他端部が載せ置かれる部位とを有する断面L字状の部材であることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、電界形成部材を載せ置くことが可能な載置部を容易に実現可能である。
上記の収容庫において、載置部は、電気的な絶縁性を有する絶縁材料により形成されていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、電界形成部材から載置部に向かう電界が形成され難くなる。結果的に、より均一な電界を収容庫の内部に形成することが可能となる。
上記の収容庫は、新品又は中古品であることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の収容庫によれば、より容易に電界形成部材を配置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】
図1のII-II線に沿った断面構造を示す断面図。
【
図3】実施形態の電界形成部材の斜視構造を示す斜視図。
【
図4】(A),(B)は、実施形態の絶縁部材の断面構造を示す断面図。
【
図5】実施形態の電極部材の平面構造を示す平面図。
【
図6】実施形態の電極部材の側面構造を示す側面図。
【
図7】実施形態の収容庫の破断断面の斜視構造を示す斜視図。
【
図9】他の実施形態の電極部材の側面構造を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、収容庫の一実施形態について図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
図1に示される収容庫10は、その内部に収容される物品を冷蔵保存する冷蔵庫として用いられる。収容庫10に収容される物品は生鮮食品や乳製品、麺類等である。生鮮食品は、例えば魚や貝等の魚介類、いちごやりんご等の果物、キャベツやトマト等の野菜、牛肉や豚肉等の食肉、エッグ、並びにそれらの加工食品である。乳製品は牛乳やチーズ等である。麺類は、小麦粉やそば粉等の穀物の粉体から作られるものである。なお、収容庫10に収容される物品は、食品に限らず、生花や薬品、臓器等であってもよい。
【0018】
収容庫10は固定型冷蔵庫や移動型冷蔵庫等として用いることができる。固定型冷蔵庫は、食品の加工工場や保管庫等の屋内に設置される冷蔵庫である。移動型冷蔵庫は、船舶や飛行機等の移動体に積み込まれる冷蔵庫である。また、収容庫10は輸送用その他のコンテナや、プレハブ倉庫等の移動不可能な倉庫であってよい。さらに、収容庫10は新品及び中古品のいずれであってもよい。
【0019】
図1に示されるように、収容庫10は、物品を内部に収容可能な収容庫本体20と、収容庫本体20に内蔵される冷却装置30とを備えている。なお、
図1では、鉛直方向上方が矢印Z1で示され、鉛直方向下方が矢印Z2で示されている。
収容庫本体20は、箱体40と、一対の扉部50とを有している。箱体40及び扉部50はアルミニウムやステンレス鋼等の金属材料により形成されるとともに、電気的に接地されている。
【0020】
箱体40は、正面に開口部を有する矩形箱状に形成されている。箱体40の正面の開口部は一対の扉部50により閉塞されている。箱体40の内面及び扉部50の内面により囲まれる空間は、
図2に示される収容庫本体20の内部空間である収容室S10を形成している。以下では、
図2に示される箱体40の外壁を構成する複数の壁部のうち、鉛直方向上方Z1に配置される壁部41を「上壁部41」と称し、扉部50から見たときに右側に配置される壁部42を「右側壁部42」と称し、扉部50から見たときに左側に配置される壁部43を「左側壁部43」と称し、扉部50から見たときに奥側に配置される壁部44を「背壁部44」と称し、鉛直方向下方Z2に配置される壁部45を「底壁部45」と称する。また、右側壁部42と左側壁部43とが互いに対向している方向を「左右方向X」と称し、扉部50と背壁部44とが互いに対向している方向を「奥行き方向Y」と称する。本実施形態では、右側壁部42が第1側壁部に相当し、左側壁部43が第2側壁部に相当し、左右方向Xが所定方向に相当する。
【0021】
収容室S10は、物品が収容される空間である。収容庫10の冷蔵性能を高めるために、箱体40及び扉部50のそれぞれの内部には、収容室S10から収容庫10の外部への熱伝達を抑制するための断熱材が埋め込まれている。
図1に示されるように、一対の扉部50は、箱体40に対して開閉自在に連結されている。収容庫10では、扉部50を開くことにより収容室S10に任意の物品を入れたり、収容室S10に収容されている物品を外部に持ち出したりすることが可能となる。また、扉部50を閉じることにより収容室S10が閉空間となり、収容室S10の内部の物品が冷却環境下で保存される。
【0022】
冷却装置30は、電力の供給に基づいて駆動することにより収容室S10に冷風を供給して、収容室S10内を冷却する。
図2に示されるように、収容庫10は、収容庫本体20の上壁部41の内側付近に配置される電界形成部材60を更に備えている。電界形成部材60の左右方向Xの一端部は、収容庫本体20の右側壁部42の上方に設けられる第1載置部81に載せ置かれている。電界形成部材60の左右方向Xの他端部は、収容庫本体20の左側壁部43の上方に設けられる第2載置部82に載せ置かれている。
【0023】
各載置部81,82は奥行き方向Yに延びるように形成されている。各載置部81,82の材質は特に限定されるものではないが、電気的な絶縁性を有する絶縁材料、例えば樹脂により形成されていてもよい。また、各載置部81,82は鉄やステンレス等により形成されていてもよい。第1載置部81は、ねじ等により右側壁部42に固定される部位810と、電界形成部材60の一端部が載せ置かれる部位811とを有しており、奥行き方向Yに直交する断面形状がL字状になるように形成される、いわゆるL字型アングルである。第2載置部82も、同様に、ねじ等により左側壁部43に固定される部位820と、電界形成部材60の他端部が載せ置かれる部位821とを有しており、奥行き方向Yに直交する断面形状がL字状になるように形成される、いわゆるL字型アングルである。
【0024】
電界形成部材60は収容室S10の内部に電界を形成するために設けられている。電界形成部材60は、絶縁部材61と、電極部材62とを備えている。
図3に示されるように、絶縁部材61は、左右方向Xに長手方向を有し、且つ奥行き方向Yに短手方向を有するように矩形板状に形成されている。絶縁部材61は、電気的な絶縁性を有する材料、例えば樹脂により形成されている。なお、絶縁部材61は、
図4(A)に示されるように全体が絶縁材料600であるといった構造を有するものであってもよいし、
図4(B)に示されるように所定の素材601の周囲に絶縁材料602が塗布されるといった構造を有するものであってもよい。所定の素材601は例えば鉄により形成される。
図3に示されるように、絶縁部材61の外面の一つである底面には、電極部材62が固定されている。
【0025】
図5及び
図6に示されるように、電極部材62は、電極本体620と、絶縁部材621と、配線622とを有している。
電極本体620は、鋼材等の金属材料により薄板矩形状に形成されている。電極本体620は絶縁部材621により囲繞されている。電極本体620の外面は、配線622が接続されている部分を除き、全面に亘って絶縁部材621により覆われている。
【0026】
絶縁部材621は、樹脂等の絶縁材料により板状に形成されている。絶縁部材621には、その厚さ方向に貫通する挿入孔625が外縁部及び中央部に沿って複数形成されている。電極部材62は、挿入孔625に挿入されるねじ等により、
図3に示される絶縁部材61に固定して組み付けられている。
【0027】
図5及び
図6に示されるように、配線622は、電極本体620の一端部から絶縁部材621を貫通して外部に露出するように形成されている。配線622は、電極本体620に電圧を印加するためのものである。
図4に示されるように、配線622は、収容庫本体20の内部又は外部に設けられる電圧印加装置90に接続されている。電圧印加装置90は、変圧器91及び制御盤92等を有して構成されており、所定の高電圧を電極本体620に配線622を介して印加する。変圧器91は、電源から供給される電圧を昇圧して電極本体620に印加する。制御盤92は、変圧器91を制御するための各種回路等を有している。電圧印加装置90から電極本体620に印加される高電圧は、例えば時間の経過に伴って周期的に大きさや向きが変化する交番電圧であってもよいし、時間の経過に伴って大きさや向きが変化しない一定の電圧であってもよい。電極本体620は、電圧印加装置90により印加される高電圧に基づいて収容室S10内に電界を形成する。
【0028】
図3に示されるように、絶縁部材61は、左右方向Xにおいて電極部材62よりも長い形状を有している。これにより、絶縁部材61の底面の両端部には、電極部材62により覆われていない露出部610,611がそれぞれ設けられている。
図7に示されるように、載置部81,82には、複数の電界形成部材60が奥行き方向Yに並べて配置されている。載置部81,82には、各電界形成部材60の絶縁部材61及び電極部材62のうち、絶縁部材61のみが載せ置かれている。具体的には、各電界形成部材60の絶縁部材61の一方の露出部610が第1載置部81に載せ置かれており、他方の露出部611が第2載置部82に載せ置かれている。
【0029】
次に、本実施形態の収容庫10の作用及び効果について説明する。なお、以下では、収容室S10に収容されている物品を収容物とも称する。
収容室S10内に電界が形成されることにより、収容室S10内の収容物に殺菌処理を施すことができるとともに、収容物の熟成を促進させることもできる。そのため、鮮度を保ったまま収容物を長期間に亘って保存することができるとともに、収容物の旨味を増幅させることができる。また、所定の電界の環境下に収容物が存在することにより収容物の凍結点を下げることができるため、より低温の環境下、例えばマイナス温度の環境下であっても凍結することなく収容物を保存することができる。そのため、収容物の鮮度をより長期間に亘って維持することが可能となる。
【0030】
一方、本実施形態の構造を用いれば、上壁部41に補強材が設けられていない例えば
図8に示されるような中古の収容庫100に対して容易に電界形成部材60を後付けで設置可能である。具体的には、
図8に示されるような構造を有する収容庫100に関しては、まず、ねじ等を用いて収容庫本体20の右側壁部42及び左側壁部43に第1載置部81及び第2載置部82をそれぞれ固定する。その後、第1載置部81及び第2載置部82の上部に複数の電界形成部材60を順に挿入することにより、第1載置部81及び第2載置部82に複数の電界形成部材60を載せ置けば、収容庫100に対して複数の電界形成部材60を後付けで設置可能である。
【0031】
また、このように中古の収容庫100を利用することができれば、新規に収容庫を製造する工程を省略できるため、その分だけ
図1及び
図2に示されるような収容庫10を製造する場合における製造時間を短縮することが可能であるとともに、製造コストを低減することも可能である。
【0032】
以上説明した本実施形態の収容庫10によれば、以下の(1)~(7)に示される作用及び効果を得ることができる。
(1)収容庫本体20の右側壁部42及び左側壁部43には、電界形成部材60が載せ置かれる載置部81,82が設けられている。この構成によれば、載置部81,82に電界形成部材60を置くだけで収容室S10内への電界形成部材60の配置が完了する。よって、収容室S10内に電界形成部材60を配置するための複雑な加工を収容庫本体20に施す必要が無いため、より容易に電界形成部材60を配置することが可能となる。
【0033】
(2)載置部81,82には複数の電界形成部材60が載せ置かれている。この構成によれば、複数の電界形成部材60を組み合わせることで、より広い電界を形成することが可能となる。また、個々の電界形成部材60の小型化も可能であるため、収容庫10への電界形成部材60の設置が容易となる。
【0034】
(3)収容庫10は、右側壁部42に設けられる第1載置部81と、左側壁部43に設けられる第2載置部82とを備える。第1載置部81には、電界形成部材60の一端部が載せ置かれている。第2載置部82には、電界形成部材60の他端部が載せ置かれている。この構成によれば、第1載置部81及び第2載置部82により電界形成部材60の両端部をそれぞれ支持することができるため、より安定した姿勢で電界形成部材60を設置することが可能となる。
【0035】
(4)第1載置部81及び第2載置部82には、電界形成部材60の絶縁部材61及び電極部材62のうち、絶縁部材61のみが載せ置かれている。この構成によれば、電極部材62を載置部81,82に設置することができる。
(5)絶縁部材61は、左右方向Xにおいて電極部材62よりも長い形状を有している。第1載置部81及び第2載置部82には、左右方向Xにおける絶縁部材61の両端部がそれぞれ載せ置かれている。この構成によれば、絶縁部材61及び電極部材62のうち、絶縁部材61のみが第1載置部81及び第2載置部82に載せ置かれる構造を容易に実現可能である。
【0036】
(6)第1載置部81は、右側壁部42に固定される部位810と、電界形成部材60の一端部が載せ置かれる部位811とを有する断面L字状の部材である。第2載置部82は、左側壁部43に固定される部位820と、電界形成部材60の他端部が載せ置かれる部位821とを有する断面L字状の部材である。この構成によれば、電界形成部材60を載せ置くことが可能な載置部81,82を容易に実現可能である。
【0037】
(7)載置部81,82の材質は限定されるものではないが、特に絶縁材料により形成されていることが好ましい。載置部81,82が絶縁材料により形成されていれば、電界形成部材60から載置部81,82に向かうような電界が形成され難くなる。結果的に、電界形成部材60から収容庫本体20の底壁部45に向かう電界が形成され易くなるため、より均一な電界を収容庫10の内部に形成することが可能となる。
【0038】
なお、上記実施形態は、以下の形態にて実施することもできる。
・電極部材62の構造は適宜変更可能である。例えば、電極部材62は、
図9に示されるような構造を有していてもよい。
図9に示されるように、この電極部材62は、電極本体620と、第1絶縁部材623と、第2絶縁部材624とを有している。第1絶縁部材623及び第2絶縁部材624は、樹脂等の絶縁材料により平板状に形成されている。電極本体620は第1絶縁部材623及び第2絶縁部材624により挟み込まれている。電極本体620の板厚方向の一方の外面620aは全面に亘って第1絶縁部材623により覆われている。電極本体620の板厚方向の他方の外面620bは全面に亘って第2絶縁部材624により覆われている。各絶縁部材623,624は電極本体620に接着等により固定されている。
【0039】
・収容庫本体20の構造は適宜変更可能である。例えば収容庫本体20の内部には複数の収容室が形成されていてもよい。また、収容庫本体20は、前面に扉部50を有する構造に限らず、上面に扉部50を有する構造であってもよい。さらに、収容庫本体20は、一対の扉部50を有する構造に限らず、一つの扉部のみを有する構造や、3つ以上の扉部を有する構造であってもよい。
【0040】
・収容庫10は、冷蔵庫に限らず、常温庫や加温庫、冷凍庫、凍結庫等であってもよい。また、輸送用その他のコンテナであってもよい。
・本開示は上記の具体例に限定されるものではない。上記の具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素、及びその配置、条件、形状等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0041】
10…収容庫、20…収容庫本体、42…右側壁部(第1側壁部)、43…左側壁部(第2側壁部)、60…電界形成部材、61…絶縁部材、62…電極部材、81…第1載置部、82…第2載置部。
【要約】
【課題】より容易に電界形成部材を配置することが可能な収容庫を提供する。
【解決手段】収容庫10は、収容室を内部に有する収容庫本体20と、収容室の内部に電界を形成する電界形成部材60と、を備える。収容庫本体の側壁部42,43には、電界形成部材60が載せ置かれる載置部81,82がそれぞれ設けられている。
【選択図】
図2