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  • 特許-クレーン作業エリア安全確認装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】クレーン作業エリア安全確認装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/00 20060101AFI20220118BHJP
   B66C 15/00 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
B66C13/00 D
B66C15/00 E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018010836
(22)【出願日】2018-01-25
(65)【公開番号】P2019127372
(43)【公開日】2019-08-01
【審査請求日】2020-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】504005781
【氏名又は名称】株式会社日立プラントメカニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】川尻 栄作
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-193473(JP,A)
【文献】特開2007-235416(JP,A)
【文献】特開2005-032141(JP,A)
【文献】特開2010-164509(JP,A)
【文献】特開2017-019647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/00-15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーンの作業エリアを撮像するカメラと、該カメラの近傍位置に設けた赤外線投光器と、作業者のヘルメットに取り付けた再帰性反射材からなるマークと、カメラで撮影した画像を取り込んで処理する演算装置とを備え、該演算装置で得た作業者の座標をクレーンコントローラに送信して、クレーンの作業エリアにおける作業者の安全を確保するようにするとともに、前記クレーンの作業エリアを認識するための測域センサを設け、作業エリアにおける物体の座標、大きさを前記測域センサで計測してクレーンコントローラに送信し、該クレーンコントローラは物体の座標と作業者の座標を比較し、両者の距離が規定の距離以上離れているが否かを確認してクレーンの運転可否を判断するようにしたクレーン作業エリア安全確認装置であって、前記カメラと測域センサの互いの視野を合わせるキャリブレーションを行うようにすることで、カメラと測域センサとが同じエリアを見るように設置されるようにしたことを特徴とするクレーン作業エリア安全確認装置。
【請求項2】
前記画像を取り込んで処理する演算装置が、赤外線投光器のON/OFFの制御を行い、それに同期してカメラの画像を取り込み、ON時とOFF時の差を取り、ヘルメットに付けられた再帰性反射材からなるマークの入射した光の光源方向に戻る特性を利用して、外乱光の影響を除去するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のクレーン作業エリア安全確認装置。
【請求項3】
前記作業者がクレーンの移動方向にいる場合に、クレーンコントローラは、前記距離が規定の距離以上離れている場合であってもクレーンの運転指示を受け付けないようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のクレーン作業エリア安全確認装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーン作業エリアにおける作業者と取扱物や周辺物体との挟まれや衝突を防止する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、クレーン作業エリア安全確認装置として、クレーン上方からカメラでクレーン周辺領域を撮像し、作業者のヘルメットを認識する認識部で危険領域を設定してモニターに表示して安全確認を行うものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-241548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1において開示された技術では、カメラを使用して作業者のヘルメットを認識するようにしているため、クレーンの作業環境によっては、太陽光が外乱光となり認識範囲から目的のヘルメットを切り出すことが、また、背景が明るい場合はその背景の中に対象物も埋もれてしまい、非常に困難になることがあった。さらに、クレーンの周辺領域内には、取り扱う品物や保管物品があり、安全を確保するためには、それらの品物と作業者との間隔が充分取れているか確認する必要があったが、作業者と品物との識別も困難であった。
【0005】
本発明は、上記従来のクレーン作業エリア安全確認装置の有する問題点に鑑み、簡易な設備構成で、外乱光対策を実施し、クレーンの作業環境に影響されることなく、作業者を確実に抽出することによって、クレーン作業エリアの安全を確認できる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のクレーン作業エリア安全確認装置は、クレーンの作業エリアを撮像するカメラと、該カメラの近傍位置に設けた赤外線投光器と、作業者のヘルメットに取り付けた再帰性反射材からなるマークと、カメラで撮影した画像を取り込んで処理する演算装置とを備え、該演算装置で得た作業者の座標をクレーンコントローラに送信して、クレーンの作業エリアにおける作業者の安全を確保するようにしたことを特徴とする。
【0007】
この場合において、前記画像を取り込んで処理する演算装置が、赤外線投光器のON/OFFの制御を行い、それに同期してカメラの画像を取り込み、ON時とOFF時の差を取り、ヘルメットに付けられた再帰性反射材からなるマークの入射した光の光源方向に戻る特性を利用して、外乱光の影響を除去するようにすることができる。
【0008】
また、前記クレーンの作業エリアを認識するための測域センサを設け、作業エリアにおける物体の座標、大きさを前記測域センサで計測してクレーンコントローラに送信し、該クレーンコントローラは物体の座標と作業者の座標を比較し、両者の距離が規定の距離以上離れているが否かを確認してクレーンの運転可否を判断するようにすることができる。
ここで、「測域センサ」(Laser Range Scanner 又は 3D Scanner)とは、空間の物理的な形状データを出力することができる走査型の光波距離計をいう。
【0009】
また、前記作業者がクレーンの移動方向にいる場合に、クレーンコントローラは、前記距離が規定の距離以上離れている場合であってもクレーンの運転指示を受け付けないようにすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のクレーン作業エリア安全確認装置によれば、簡易な設備構成で、外乱光対策を実施し、クレーンの作業環境に影響されることなく、作業者を確実に抽出することによって、クレーン作業エリアの安全を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係るクレーン作業エリア安全確認装置を適用した天井クレーンの一実施例を示す側面図(カメラ及び測域センサの取付図)である。
図2】同クレーン作業エリア安全確認装置の制御装置の構成図である。
図3】作業者のヘルメットに付けた再帰性反射材からなるマークの一例を示し、(a-1)は平面図、(a-2)は側面図、(b-1)は他の例の平面図、(b-2)は同側面図である。
図4】赤外線投光器のON/OFFとカメラの撮影タイミングを表したタイムチャートである。
図5】カメラで撮影した画像を示し、(a)は赤外線投光器がOFF時に撮影した画像例、(b)は赤外線投光器がON時に撮影した画像例、(c)は(a)の画像から(b)の画像の差を取った画像例を示す。
図6】無線機子機の押釦スイッチ配置の一例を示す説明図である。
図7】測域センサとステッピングモータの説明図で、(a)は取り付けた状態を示す平面図、(b)は測域センサをステッピングモータで首振りを行った側面図である。
図8】測域センサから対象までの各角度における距離を測定する原理のイメージ図で、(a)は正面図、(b)は平面図である。
図9】ヘルメットの座標と取扱物の切片の頂点を表した説明図である。
図10】測域センサの計測原理の説明図で、(a)は平面図、(b)は平面図、(c)は側面図である。
図11】キャリブレーションの原理の説明図である。
図12】キャリブレーションの原理の説明図で、(a)は形状検出パソコンのキャリブレーション時の映像、(b)は人検出パソコンのキャリブレーション時の映像、(c)はキャリブレーション補正後の映像である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のクレーン作業エリア安全確認装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0013】
図1図2に、本発明に係るクレーン作業エリア安全確認装置を適用した天井クレーンの一実施例を示す。
【0014】
図1は、本発明に係るクレーン作業エリア安全確認装置を天井クレーンに適用した概略構成図で、天井クレーン01下の作業者13は、取扱物09を他の場所に移動させるためフック05に玉掛け作業を行っている。この状態の安全確認を実施するためにクレーン01のクラブ02に設置したカメラ21で監視している。また、取扱物09の形状を計測するためにクラブ02には測域センサ23が取り付けられている。
【0015】
図2は、このクレーン作業エリア安全確認装置の制御構成であるが、カメラ21と赤外線投光器22が、演算装置としての人検知パソコン26に接続されている。クレーンコントローラ30から人検知パソコン26にクレーン作業エリアの作業者13を検出するように指示が来ると、人検知パソコン26は赤外線投光器22のON/OFFを行い、それに同期してカメラ21の撮影を行う。
【0016】
ここで、クレーン作業エリア安全確認装置は、汎用の天井クレーンに適用することができ、天井クレーン01には、汎用の天井クレーンが備える、例えば、天井クレーン01の走行位置を把握するための走行レーザ距離計27、横行位置を把握するための横行レーザ距離計28、巻上インバータ31、巻上モータ32、横行インバータ33、横行モータ34、走行インバータ35、走行モータ36等の機器を備えるようにしている。
【0017】
図5(a)は、赤外線投光器22がOFF時の画像例で、図5(b)は、赤外線投光器22がON時の画像例である。人検知パソコン26はヘルメット11に付けられた再回帰性反射材からなるマーク12の映像をON/OFF時に分けてカメラ21から画像を取り込んで、ON時の画像からOFF時の画像の差を取ることにより図5(c)に示すようなマークを抽出した画像例を得ることができる。
ここで、再回帰性反射材には、従来公知のガラスビーズ等を用いたあらゆる方向から入射した光に対して常に入射した方向に光を反射させる、具体的には、入射した光が光源に向けて反射する特性を備えた素材を用いることができる。
【0018】
以下、本発明に係るクレーン作業エリア安全確認装置を、この天井クレーン01の動作に基づいて説明する。
天井クレーン01は、クラブ02が図面の矢印方向に動作し、横行と直角方向に走行車輪06を備えた天井クレーン01が走行レール07上を走行して目的位置に移動する。
【0019】
目的位置に移動が完了すると巻上装置03を動作させてワイヤロープ04を繰り出してフック05を巻き下げる。作業者13は取扱物09の玉掛け作業を行い、フック05に玉掛けワイヤ14を取り付ける。
【0020】
人検知パソコン26は、クレーン01が目的位置への移動が完了したことを、横行及び走行の操作信号が所定時間ないことから判断し、その時点、好ましくは、フック05の巻下操作が行われる前に、フック05の周囲の作業者13の検知を行う。赤外線投光器22のON/OFFを行い、それに同期してカメラ21の撮影を行って画像を記録する。
図4はその動作のタイムチャートを表している。
ここで、赤外線投光器22は、可視光でない光を使用することによって、光のON/OFFで作業者13にストレスを与えないようにしている。
【0021】
人検知パソコン26が取り込んだヘルメット11の再帰性反射材からなるマーク12の画像は、赤外線投光器22がOFF時の画像は図5(a)に示すようになり、ON時の画像は図5(b)に示すようになる。これは再帰性反射材からなるマーク12に、入射した光が光源に向けて反射する特性を備えた素材を使用し、カメラ21の近くに設置された赤外線投光器22側に戻ることを利用したものである。
【0022】
人検知パソコン26は、取り込んだ画像の図5(a)と図5(b)の差を取り、図5(c)に示すような画像を得る。
得られた画像の認識方法は予め十字のパターンを登録しておいてパターンマッチングで行う方式や機械学習で求める方式などが使用できる。
ここで、ヘルメットに付けた再帰性反射材からなるマーク12の形状は、図3に示すような形状(十字や楕円のパターン)がヘルメットに取り付けやすく、形状認識もやりやすい。
【0023】
人検知パソコン26は再帰性反射材からなるマーク12を検出した場合は、その位置の座標をクレーンコントローラ30に送る。
【0024】
演算装置としての形状認識パソコン29は、クレーンが目的位置へ移動完了後、すなわち、クレーン01が目的位置への移動が完了したことを、横行及び走行の操作信号が所定時間ないことから判断し、その時点、好ましくは、フック05の巻下操作が行われる前に、フック05の周囲の物体の検知を行う。取扱物09の形状を測域センサ23を使用して求める。
ここで、測域センサ23は、Laser Range Scanner 又は 3D Scannerとも呼ばれ、空間の物理的な形状データを出力することができる走査型の光波距離計をいい、「光検出と測距」又は「レーザ画像検出と測距」とも呼ばれる「LIDAR」(Light Detection and Ranging 又は Laser Imaging Detection and Rangingの略語。光を用いたリモートセンシング技術の一つで、パルス状に発光するレーザ照射に対する散乱光を測定し、遠距離にある対象までの距離やその対象の形状や性質を分析する装置。)、例えば、北陽電機社製の「UTM-30LX-EW」を好適に使用することができる。
この測域センサ23は、半円状に光を出して反射光が戻ってくるまでの時間を測定し、測域センサから対象までの各角度における距離を測定する。
そして、測域センサ23は、図7に示すように、モータコントローラ25によって制御されるステッピングモータ24を用いてスキャニングの角度が変えられるようになっている。
図8(a)はそのイメージ図で半円方向に光をスキャンし、取扱物09からの距離を測定する。しかし、これだけでは取扱物09の一部分を捉えただけであるので半円方向と直角方向に測域センサ23を回転させて距離を測定する。図8(b)はその動作を行った場合の取扱物09の上方から見た図である。このようにして取扱物09のように床面より高い物体について計測を行いその座標を求める。
測域センサ23の視野内にあるすべての高さを持つ物体について計測を行い、その座標を算出する。
【0025】
形状認識パソコン29は算出した物体の座標、物体の切片の頂点の位置をクレーンコントローラ30に送り、クレーン作業エリアの三次元マップを作成する。
【0026】
ここで、測域センサ23による計測原理を説明すると、図10に示すように、測域センサ23から直下に投光された光80は距離Hを測定結果として出力する。同様に測域センサ23の直下からX軸方向にXmm、Y軸方向にYmmずれておかれた取扱物09のP点の高さをZmmとする。
測域センサ23が半円状のスキャンを行うのと同時に測域センサ23をステッピングモータ24を用いて半円方向と直角方向に回転させて取扱物09との距離Lを測定する。この時、測域センサ23から投光された光81を半円方向でスキャンしたときの取扱物09との角度をθとし、半円方向と直角方向に回転させたときの角度をφとすると、各位置の長さは下記の式で表すことができる。
X=L×tanθ/(1+(tanθ)+(tanφ)1/2
Y=L×tanφ/(1+(tanθ)+(tanφ)1/2
Z=H-(L-(X+Y))
上記の角度θ及びφを連続的に変化させることにより測域センサ23の下方にある物体、例えば、取扱物09を三次元として捉えることができ、これにより、クレーンの作業エリアに存在する物体の位置と大きさを知ることができる。
【0027】
図9に、ヘルメットの座標と取扱物09の切片の頂点とを表した図を示す。
クレーンコントローラ30は、人検知パソコン26及び形状認識パソコン29から送られてきたヘルメット11の座標及び取扱物09の切片の頂点の位置から、ヘルメットの座標(Xh,Yh)と取扱物09の切片の頂点座標(X1,Y1)~(X4,Y4)の差を求め、作業者13の取扱物09との間隔が規定値以上、例えば、1.5m以上離れていることを確認して巻上動作許可を出す判断をする。
【0028】
作業者13は、取扱物09から規定値以上離れた状態で、無線機親機37に操作信号を送信する、図6に示すような無線機子機38を使用して『上』押釦を押して取扱物09を巻き上げる。この場合、規定値以上離れていないとクレーンコントローラ30が判断した場合は巻上指示の押釦の指示を受け付けない。
【0029】
作業者13は、巻上後、目的の移動方向の押釦『東』『西』『南』『北』のいずれかを押して移動を指示する。クレーンコントローラ30は移動を指示された方向、すなわち、移動方向の延長線上に作業者13が存在する場合は移動指示を受け付けない。
【0030】
このクレーン作業エリア安全確認装置によれば、簡易な設備構成で、外乱光対策を実施し、天井クレーン01の作業環境に影響されることなく、作業者13を確実に抽出することによって、クレーン作業エリアの安全を確認することができる。
【0031】
ところで、カメラ21と測域センサ23とは、同じエリアを見るように設置されているが、例えば、取扱物09までの距離が10m程度になると角度のずれによって見ている範囲が大幅に変わることになる。このため、必要に応じて、カメラ21と測域センサ23装置を設置した段階で互いの視野を合わせる動作のキャリブレーションを行うようにすることで、クレーン作業エリア安全確認装置の精度を高めることができる。
【0032】
図11はキャリブレーションを行う場合の配置図であるが、カメラ21及び測域センサ23の概略視野中心に標準認識対象物08を設置して行う。標準認識対象物08には平面形状が正四角形の直方体を用いる。
【0033】
図12(a)は、測域センサ23で標準認識対象物08を捉えた映像を示す。図12(b)は、カメラ21で標準認識対象物08を捉えた映像を示す。
【0034】
図12(a)に示す測域センサ23で標準認識対象物08を認識した映像08aは、中心座標が(x1,y1)ずれており、角度がθ1,θ2ずれている。このため、形状認識パソコン29は、図12(c)に示すように、映像08aが画面中央に来るように座標及び角度のオフセット値を与える。また、標準認識対象物08の大きさが既知であるので大きさを測定した結果が対象物の大きさと合致するように距離計数値の補正乗率を決定する。
【0035】
図12(b)に示すカメラ21で標準認識対象物08を認識した映像08bは、一般的にカメラで撮影した場合と同様に、像が歪んでいる。このため、人検知パソコン26は、取り込んだカメラ21の映像08bを、例えば、アフィン変換を用いて正方形に変換し、形状認識パソコン29と同様に、座標及び角度のオフセット値を与え、距離計数値の補正乗率を決定する。
ここで、「アフィン変換」とは、平行移動と線形変換(拡大や縮小、回転など)を組み合わせた変換方式をいう。
【0036】
このキャリブレーション作業により形状認識パソコン29及び人検知パソコン26が見ている座標及びスケールが一致して両者の認識結果を共有することができる。
【0037】
以上、本発明のクレーン作業エリア安全確認装置について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明のクレーン作業エリア安全確認装置は、簡易な設備構成で、外乱光対策を実施し、クレーンの作業環境に影響されることなく、作業者を確実に抽出することによって、クレーン作業エリアの安全を確認できることから、天井クレーンの用途に好適に用いることができるほか、例えば、クレーンを用いる建設機械等の用途にも用いることができる。
【符号の説明】
【0039】
01 クレーン(天井クレーン)
02 クラブ
03 巻上装置
04 ワイヤロープ
05 フック
06 走行車輪
07 走行レール
08 標準認識対象物
09 取扱物
11 ヘルメット
12 再帰性反射材からなるマーク
13 作業者
14 玉掛けワイヤ
21 カメラ
22 赤外線投光器
23 測域センサ
24 ステッピングモータ
25 モータコントローラ
26 演算装置(人検知パソコン)
27 走行レーザ距離計
28 横行レーザ距離計
29 演算装置(形状認識パソコン)
30 クレーンコントローラ
31 巻上インバータ
32 巻上モータ
33 横行インバータ
34 横行モータ
35 走行インバータ
36 走行モータ
37 無線機親機
38 無線機子機
80 測域センサから投光された光
81 測域センサから投光された光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12