(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】購買分析システム、購買分析方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20220118BHJP
G06Q 30/06 20120101ALI20220118BHJP
【FI】
G06Q30/02 300
G06Q30/06 300
(21)【出願番号】P 2021033829
(22)【出願日】2021-03-03
【審査請求日】2021-10-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521092052
【氏名又は名称】しるし株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100088856
【氏名又は名称】石橋 佳之夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【氏名又は名称】狩生 咲
(72)【発明者】
【氏名】下田 陽志郎
(72)【発明者】
【氏名】竹野 寛人
(72)【発明者】
【氏名】長井 秀興
【審査官】田中 秀樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-220235(JP,A)
【文献】特開2017-117068(JP,A)
【文献】特開2020-004050(JP,A)
【文献】特開2013-092851(JP,A)
【文献】特開2013-167914(JP,A)
【文献】特開2018-156335(JP,A)
【文献】国際公開第2017/141837(WO,A1)
【文献】特開2020-86909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06F 16/00-16/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モール型ショッピングサイトに出品される対象商品の購買状況を分析する購買分析システムであって、
前記モール型ショッピングサイトにおける前記対象商品の売買履歴に関する情報を取得する売買履歴取得部と、
前記対象商品の広告に関する指標を取得する広告情報取得部と、
前記対象商品の、インターネット上における注目度を取得する注目度情報取得部と、
前記モール型ショッピングサイトを管理するモール管理サーバが、購入者の端末に表示させる購入画面の情報を取得する購入画面情報取得部と、
少なくとも、前記売買履歴と、前記広告に関する指標
と、に基づいて、前記対象商品の購買状況を分析する分析部と、
前記分析部による分析の結果を出力する出力部と、
を備え
、
前記注目度情報取得部は、前記注目度の指標として、検索サイトにおける前記対象商品に関する情報の被検索回数又は一般消費者による投稿件数を時刻とともに取得し、
前記出力部は、前記注目度と前記売買履歴に含まれる情報とを、同じ時間軸で表示する、
購買分析システム。
【請求項2】
モール型ショッピングサイトに出品される対象商品の購買状況を分析する購買分析システムであって、
前記モール型ショッピングサイトにおける前記対象商品の売買履歴に関する情報を取得する売買履歴取得部と、
前記対象商品の広告に関する指標を取得する広告情報取得部と、
前記対象商品の、インターネット上における注目度を取得する注目度情報取得部と、
前記モール型ショッピングサイトを管理するモール管理サーバが、購入者の端末に表示させる購入画面の情報を取得する購入画面情報取得部と、
少なくとも、前記売買履歴と、前記広告に関する指標と、に基づいて、前記対象商品の購買状況を分析する分析部と、
前記分析部による分析の結果を出力する出力部と、
を備え、
前記購入画面情報取得部は前記購入画面の情報を定期的に取得し、前記購入画面に変化があったことを検知するとその旨をユーザ端末に報知する、
購買分析システム。
【請求項3】
前記分析部は、前記売買履歴と、前記広告に関する指標と、に基づいて、前記対象商品の広告費用対効果を算出する、
請求項1
又は2記載の購買分析システム。
【請求項4】
前記対象商品の広告を記憶する広告情報記憶部をさらに備え、
前記広告情報記憶部は、前記広告を、当該広告が属するキャンペーンと紐づけて記憶し、
前記分析部は、前記キャンペーンごとに、前記広告に関する指標を抽出して、前記対象商品の広告費用対効果を算出する、
請求項1
乃至3のいずれかに記載の購買分析システム。
【請求項5】
コンピュータが、モール型ショッピングサイトに出品される対象商品の購買状況を分析する購買分析方法であって、
前記モール型ショッピングサイトにおける前記対象商品の売買履歴に関する情報を取得する売買履歴取得ステップと、
前記対象商品の広告に関する指標を取得する広告情報取得ステップと、
前記対象商品の、インターネット上における注目度を取得する注目度情報取得ステップと、
前記モール型ショッピングサイトを管理するモール管理サーバが、購入者の端末に表示させる購入画面の情報を取得する購入画面取得ステップと、
少なくとも、前記売買履歴と、前記広告に関する指標
と、に基づいて、前記対象商品の購買状況を分析する分析ステップと、
前記分析ステップにより得られる分析の結果を出力する出力ステップと、
を
実行し、
前記注目度情報取得ステップでは、前記注目度の指標として、検索サイトにおける前記対象商品に関する情報の被検索回数又は一般消費者による投稿件数を時刻とともに取得し、
前記出力ステップでは、前記注目度と前記売買履歴に含まれる情報とを、同じ時間軸で表示する、
購買分析方法。
【請求項6】
コンピュータが、モール型ショッピングサイトに出品される対象商品の購買状況を分析する購買分析方法であって、
前記モール型ショッピングサイトにおける前記対象商品の売買履歴に関する情報を取得する売買履歴取得ステップと、
前記対象商品の広告に関する指標を取得する広告情報取得ステップと、
前記対象商品の、インターネット上における注目度を取得する注目度情報取得ステップと、
前記モール型ショッピングサイトを管理するモール管理サーバが、購入者の端末に表示させる購入画面の情報を取得する購入画面取得ステップと、
少なくとも、前記売買履歴と、前記広告に関する指標と、に基づいて、前記対象商品の購買状況を分析する分析ステップと、
前記分析ステップにより得られる分析の結果を出力する出力ステップと、
を実行し、
前記購入画面情報取得ステップでは前記購入画面の情報を定期的に取得し、前記購入画面に変化があったことを検知するとその旨をユーザ端末に報知する、
購買分析方法。
【請求項7】
モール型ショッピングサイトに出品される対象商品の購買状況を分析するコンピュータプログラムであって、
前記モール型ショッピングサイトにおける前記対象商品の売買履歴に関する情報を取得する売買履歴取得命令と、
前記対象商品の広告に関する指標を取得する広告情報取得命令と、
前記対象商品の、インターネット上における注目度を取得する注目度情報取得命令と、
前記モール型ショッピングサイトを管理するモール管理サーバが、購入者の端末に表示させる購入画面の情報を取得する購入画面取得命令と、
少なくとも、前記売買履歴と、前記広告に関する指標
と、に基づいて、前記対象商品の購買状況を分析する分析命令と、
前記分析命令により得られる分析の結果を出力する出力命令と、
をコンピュータに実行させ
、
前記注目度情報取得命令では、前記注目度の指標として、検索サイトにおける前記対象商品に関する情報の被検索回数又は一般消費者による投稿件数を時刻とともに取得し、
前記出力命令では、前記注目度と前記売買履歴に含まれる情報とを、同じ時間軸で表示する、
コンピュータプログラム。
【請求項8】
モール型ショッピングサイトに出品される対象商品の購買状況を分析するコンピュータプログラムであって、
前記モール型ショッピングサイトにおける前記対象商品の売買履歴に関する情報を取得する売買履歴取得命令と、
前記対象商品の広告に関する指標を取得する広告情報取得命令と、
前記対象商品の、インターネット上における注目度を取得する注目度情報取得命令と、
前記モール型ショッピングサイトを管理するモール管理サーバが、購入者の端末に表示させる購入画面の情報を取得する購入画面取得命令と、
少なくとも、前記売買履歴と、前記広告に関する指標と、に基づいて、前記対象商品の購買状況を分析する分析命令と、
前記分析命令により得られる分析の結果を出力する出力命令と、
をコンピュータに実行させ、
前記購入画面情報取得命令では前記購入画面の情報を定期的に取得し、前記購入画面に変化があったことを検知するとその旨をユーザ端末に報知する、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、購買分析システム、購買分析方法、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット上において、多数の出品者が、同じドメインの下で様々な商品を販売するモール型のショッピングサイトが知られている。このモール型ショッピングサイトの管理者は例えば、複数の出品者の商品ページや売上等を統括管理している。モール型ショッピングサイトへの出品者は、当該サイトにおける購買傾向等の状況を勘案することで、販売方針や製品開発に活かすことができる。しかしながら、モール型ショッピングサイトの管理者があらかじめ用意したツールにより出品者が得られる情報は限定的であり、多角的な情報から購買状況等を分析することは困難である。
【0003】
特許文献1には、Webマーケティングにおいて、通信販売サイトにおける商品の表示状態によるユーザの購買行動の変化を分析する装置が提案されている。特許文献2には、ユーザの行動データに、画面操作から読み取れる感情データを組み合わせてユーザの動向を、より正確に活用できる行動データ及び感情データに基づくリマーケティング方法及びシステムが記載されている。特許文献3には、ユーザ端末により収集されたWeb閲覧データを受信し、当該Web閲覧データから商品情報を抽出した上えで、統計処理及び可視化処理を行うことで、マーケティングデータを生成する装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-126566号公報
【文献】特開2017-188031号公報
【文献】特開2012-89014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、モール型ショッピングサイトへの出品商品に関し、多角的な情報から購買状況等を分析することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一の観点に係る購買分析システムは、モール型ショッピングサイトに出品される対象商品の購買状況を分析する購買分析システムであって、前記モール型ショッピングサイトにおける前記対象商品の売買履歴に関する情報を取得する売買履歴取得部と、前記対象商品の広告に関する指標を取得する広告情報取得部と、前記対象商品の、インターネット上における注目度を取得する注目度情報取得部と、前記モール型ショッピングサイトを管理するモール管理サーバが、購入者の端末に表示させる購入画面の情報を取得する購入画面情報取得部と、少なくとも、前記売買履歴と、前記広告に関する指標、前記注目度および前記購入画面の情報のいずれかと、に基づいて、前記対象商品の購買状況を分析する分析部と、前記分析部による分析の結果を出力する出力部と、を備える。
【0007】
前記分析部は、前記売買履歴と、前記広告に関する指標と、に基づいて、前記対象商品の広告費用対効果を算出するものとしてもよい。
【0008】
前記対象商品の広告を記憶する広告情報記憶部をさらに備え、前記広告情報記憶部は、広告を、当該広告が属するキャンペーンと紐づけて記憶し、前記分析部は、前記キャンペーンごとに、前記広告に関する指標を抽出して、前記対象商品の広告費用対効果を算出するものとしてもよい。
【0009】
前記注目度情報取得部は、前記注目度の指標として、検索サイトにおける前記対象商品に関する情報の被検索回数又は一般消費者による投稿件数を時刻とともに取得し、前記出力部は、前記注目度と前記売買履歴に含まれる情報とを、同じ時間軸で表示するものとしてもよい。
【0010】
前記購入画面情報取得部は前記購入画面の情報を定期的に取得し、前記購入画面に変化があったことを検知するとその旨を報知するものとしてもよい。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の別の観点に係る購買分析方法は、モール型ショッピングサイトに出品される対象商品の購買状況を分析する購買分析方法であって、前記モール型ショッピングサイトにおける前記対象商品の売買履歴に関する情報を取得する売買履歴取得ステップと、前記対象商品の広告に関する指標を取得する広告情報取得ステップと、前記対象商品の、インターネット上における注目度を取得する注目度情報取得ステップと、前記モール型ショッピングサイトを管理するモール管理サーバが、購入者の端末に表示させる購入画面の情報を取得する購入画面取得ステップと、少なくとも、前記売買履歴と、前記広告に関する指標、前記注目度および前記購入画面の情報のいずれかと、に基づいて、前記対象商品の購買状況を分析する分析ステップと、前記分析ステップにより得られる分析の結果を出力する出力ステップと、を含む。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明のさらに別の観点に係るコンピュータプログラムは、モール型ショッピングサイトに出品される対象商品の購買状況を分析するコンピュータプログラムであって、前記モール型ショッピングサイトにおける前記対象商品の売買履歴に関する情報を取得する売買履歴取得命令と、前記対象商品の広告に関する指標を取得する広告情報取得命令と、前記対象商品の、インターネット上における注目度を取得する注目度情報取得命令と、前記モール型ショッピングサイトを管理するモール管理サーバが、購入者の端末に表示させる購入画面の情報を取得する購入画面取得命令と、少なくとも、前記売買履歴と、前記広告に関する指標、前記注目度および前記購入画面の情報のいずれかと、に基づいて、前記対象商品の購買状況を分析する分析命令と、前記分析命令により得られる分析の結果を出力する出力命令と、をコンピュータに実行させる。
【0013】
なお、コンピュータプログラムは、各種のデータ読取可能な記録媒体に格納して提供したり、インターネット等のネットワークを介してダウンロード可能に提供したりすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、モール型ショッピングサイトへの出品商品に関し、多角的な情報から購買状況等を分析できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る購買分析システムの構成及び機能を示した機能ブロック図である。
【
図2】上記購買分析システムによる分析の流れの1例を示す処理フローである。
【
図3】上記購買分析システムにより表示される結果画面の1例である。
【
図4】上記購買分析システムにより表示される結果画面の1例である。
【
図5】上記購買分析システムにより表示される結果画面の(a)1例、(b)別の例である。
【
図6】上記購買分析システムにより表示される結果画面の1例である。
【
図7】上記購買分析システムにより表示される結果画面の1例である。
【
図8】上記購買分析システムにより表示される結果画面の1例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
●概要
以下、本発明の実施形態に係る購買分析システムについて、図を参照して説明する。
本実施形態に係る購買分析システムは、モール型ショッピングサイトに出品されている商品(以下、「対象商品」ともいう。)に関する情報を複数のツールから取得して分析処理を行い、結果を出力するものである。購買分析システムは、モール型ショッピングサイトに商品を出品する小売販売業者の他、当該販売業者に商品を卸売りする製造業者および卸売業者が利用しうるシステムである。以降の説明では、このようなユーザを、本システムのユーザと総称する場合がある。
【0017】
図1に示されるように、購買分析システム1は、ネットワークNWを介してモール管理サーバ2、外部サーバ3およびユーザ端末4と通信可能に接続されている。モール管理サーバ2は、モール型ショッピングサイトを管理するサーバである。モール管理サーバ2は、例えば複数の出品者から複数の商品の出品を受け付ける。また、モール管理サーバ2は、出品された商品の購入画面を管理し、購入者の端末からの操作に応じて、当該端末に購入画面を表示させる。モール管理サーバ2は、モール型ショッピングサイトを介して購入された商品の情報、および購入した購入者の情報を管理している。
【0018】
外部サーバ3は、インターネット上において当該商品に関する情報を取得可能なサーバであり、例えば検索サイトを管理するサーバである。外部サーバ3は、管理下の検索サイトにおける当該商品に関する情報の時間毎の被検索回数を取得し、記憶している。また、外部サーバ3は、特定のSNS上で投稿された日時および回数等を記憶してもよい。外部サーバ3は、同図においては1個のみ示されているが、購買分析システム1は、複数の外部サーバ3とネットワークNWを介して通信可能であってよい。
【0019】
商品に関する情報は、商品名に限られず、商品名の略称、愛称、メーカー名や商品のキャッチフレーズ等、当該商品を指し示す種々のフレーズを含む。
【0020】
ユーザ端末4は、モール型ショッピングサイトに商品を出品する小売販売業者、又は、当該販売業者に商品を卸売りする製造業者もしくは卸売業者が使用する端末であり、購買分析システム1による分析結果を受信し、表示する。
【0021】
購買分析システム1は、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット端末又はスマートホン等において所定のコンピュータプログラムを実行することで実現される他、機能の一部又は全部がクラウドコンピュータにより実現されていてもよい。また、購買分析システムは、複数のハードウェア構成により成っていてもよい。
【0022】
購買分析システム1は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置、CPUによって実行されるコンピュータプログラム、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の内部メモリ等を備えたサーバ等によって実現される。購買分析システム1はこれにより、主として、売買履歴取得部11、広告情報取得部12、注目度情報取得部13、購入画面情報取得部14、分析部15、結果出力部16、通信処理部17、商品情報記憶部1A、卸先情報記憶部1B、広告情報記憶部1C、および取得情報記憶部1Dからなる機能ブロックを構成する。
【0023】
売買履歴取得部11は、通信処理部17を介して、モール管理サーバ2から、商品の売買履歴を取得する機能部である。売買履歴は、例えば、販売された商品の識別情報、購入回数、商品の個数、売価、送料、配送業者、配送方法、販売日時および購入者に関する情報を含む。また、売買履歴は、当該モール型ショッピングサイトにおいて同時に購入された商品に関する情報を有していてもよい。
【0024】
売買履歴に含まれる、購入者に関する情報は、例えば購入者の居住地域又は配送先地域、性別、年齢等を含む購入者の属性であってもよい。また、購入者に関する情報は、当該モール型サイトにおける購入履歴を含み、当該購入者が新規購入であるかリピート購入であるかを判断可能な情報を有していてもよい。
【0025】
また、売買履歴は、商品の購入の形態が、単発の購入申込であるか、定期購入の申込であるかの情報を含んでいてもよい。また、売買履歴は、クーポンの使用有無、および使用されたクーポンの種類を合わせて含んでいてもよい。さらに、売買履歴は、当該商品がギフトとして購入されたか否かの情報を含んでいてもよい。
【0026】
売買履歴取得部11は、所定の時間帯において売価を一時的に減額する、所謂タイムセールの時間帯を取得してもよい。タイムセールの時間帯においては、売価の変化に加えて、購入画面上に、タイムセール中である旨の表示が目立つ態様で表示される場合があり、当該表示は単なる減額とは異なる販売促進効果があるためである。
【0027】
また、売買履歴取得部11は、売買履歴として、販売された商品の出品者情報を取得してもよい。モール型ショッピングサイトの場合、同じ識別情報を有する商品を、複数の出品者が出品している場合がある。各出品者は、同じ商品に対して互いに異なる売価および送料を設定可能であってよい。購入者は、購入する出品者を指定して商品を購入可能である。このような状況において、売買履歴取得部11が、購入された商品の出品者情報を合わせて取得することで、製造業者又は卸売業者にとって、商品の流通の分析が容易になる。
【0028】
売買履歴取得部11は、モール管理サーバ2の管理者が提供するAPI(Application Programming Interface)の他、第三者が提供するAPIを用いてモール管理サーバ2からの売買履歴を取得してもよい。売買履歴取得部11は、売買履歴を定期的に取得してもよいし、売買が行われたことを契機に取得してもよい。
【0029】
広告情報取得部12は、通信処理部17を介して、対象商品に関する広告に関する指標(以下、「広告指標」ともいう。)を取得する機能部である。広告情報取得部12は、例えばIMP(広告露出回数、インプレッション数)、およびCT(広告のクリック数)等を広告ごとに取得する。広告情報取得部12は、当該指標をモール管理サーバ2から取得する。
広告情報取得部12は、モール型ショッピングサイト以外に掲示した広告の広告指標を、合わせて取得してもよい。この情報は、例えば、ブログ等別の広告媒体におけるIMPおよびCTを含んでいてよい。
【0030】
広告情報取得部12は、広告指標を定期的に取得する。広告情報取得部12による取得のタイミングは、売買履歴取得部11による取得のタイミングと同時点であってもよい。売買履歴取得部11および広告情報取得部12は、情報の取得時点を各情報と紐づけて取得することで、売買履歴と広告指標とを、時間軸を揃えて分析できるようになっている。
【0031】
注目度情報取得部13は、通信処理部17を介して、インターネット上における対象商品の注目度に関する情報を取得する機能部である。注目度情報取得部13は、例えば外部サーバ3から、検索サイトにおける当該商品に関する情報の時間毎の被検索回数、又は特定のSNS(ソーシャルネットワークサービス)上で一般消費者により投稿された日時および件数等といった、出品者、製造業者又は卸売業者が意図的に露出した情報とは別に発出される、ウェブサイトにおける対象商品の注目度を取得する。注目度情報取得部13は、売買履歴取得部11および広告情報取得部12と同様、情報の取得時点を各情報と紐づけて取得し、売買履歴および広告指標と、外部サーバ3からの情報とを、時間軸を揃えて分析できるようになっている。また、注目度情報取得部13は、商品名以外の、商品名の略称、愛称、メーカー名や商品のキャッチフレーズ等、当該商品を指し示す種々のフレーズ等、商品に対応する種々のワードの注目度を取得して、当該商品の注目度としてもよい。さらに、注目度を取得するワードごとに、注目度を算出してもよい。
【0032】
購入画面情報取得部14は、モール管理サーバ2が購入者の端末に表示させる購入画面の情報を取得する機能部である。購入画面情報取得部14は、購入画面のソースコードを取得する文字情報抽出部14aと、購入画面に含まれる画像抽出部14bと、とを有する。特に、購入画面情報取得部14は、少なくともソースコードのうち購入画面上に文字情報として表示される情報を取得する。また、購入画面情報取得部14は、ソースコードから表示画像を示す部分を取得してもよいし、当該表示画像が指し示す画像データを取得してもよい。
【0033】
購入画面には、商品の名称、商品の説明画像、当該商品に関連する別の商品の広告、当該商品のレビュー、規定値として設定される出品者の情報、等が表示されている。ただし、購入画面の表示はモール管理サーバ2により作成、編集されている上、新たな出品者による出品や、購入者によるレビューの投稿により随時変更される。また、別の商品の広告に関しても、新たな広告主の参入や、既存の広告主の広告費投入、広告主による提示する画像の変更等により、随時変更される。しかも、購入画面は、購入者が購入の意思決定をする際に必ず閲覧する画面であり、マーケティングの面で重要度が高い。したがって、購入画面情報取得部14により購入画面の情報を取得する構成によれば、購入者が購入時に閲覧した画面を遡って確認することができ、購入者が購入の意思決定を行った際の状況を適切に把握できる。
【0034】
購入画面情報取得部14は、購入画面の情報を定期的に取得し、購入画面に変化があったことを検知すると、ネットワークを介して接続されたユーザ端末4に、その旨を報知してもよい。購入画面の変化とは、例えば購入画面に表示される商品画像の枚数や表示順の変化を含む。購入画面を定期的に取得し、購入者に視認されている情報を整理して提示する構成によれば、購入画面の情報が変化している場合にもすぐに気づくことができる。また、本システムのユーザは、提示された購入画面の情報の変化と、訪問数、平均単価、売上推移、コンバージョン率等を比較することで、当該購入画面の情報の変化が購買状況に与えた影響を検討することができる。なお、購買分析システム1は、購入画面が変化した場合、すなわち、画像の削除や表示順序の入れ替えが起こった場合に、ユーザ端末4に報知してもよい。
【0035】
売買履歴取得部11、広告情報取得部12、注目度情報取得部13、および購入画面情報取得部14により取得される情報は、取得情報記憶部1Dに格納される。
【0036】
分析部15は、売買履歴取得部11、広告情報取得部12、注目度情報取得部13および購入画面情報取得部14により取得された情報に基づいて、分析を行う機能部である。分析部15は、少なくとも、売買履歴と、広告に関する指標、インターネット上の情報および購入画面の情報のいずれかと、に基づいて、対象商品の購買状況を分析する。分析部15は、例えば、分析部15は、売買履歴と、広告に関する指標と、に基づいて、対象商品の広告費用対効果を算出する。
【0037】
結果出力部16は、分析結果を含む結果画面を出力する機能部である。結果画面は、少なくとも2個以上の取得元から取得される情報に基づいて分析された結果を含む。
分析部15および結果出力部16による詳細な分析結果および結果画面については、
図3乃至
図8を用いて後述する。
【0038】
商品情報記憶部1Aは、商品に関する情報を記憶する機能部である。商品に関する情報は、例えば商品の名称、商品の識別情報、商品カテゴリ、売価、原価を含む。また、商品に関する情報は、その商品が属するブランドの情報を含んでいてもよい。
【0039】
卸先情報記憶部1Bは、商品の卸先に関する情報を記憶する機能部である。卸先に関する情報は、例えば卸先の卸売業者の名称、識別番号、卸売業者の連絡先等を含む。卸先情報記憶部1Bには、卸先に関する情報と、当該卸売業者に卸している商品の識別情報等が互いに紐づけられて記憶されている。卸先情報記憶部1Bは、本システムのユーザが卸先に関する情報を登録しておく態様に加えて、モール型サイトにより提示される購入画面又はこの購入画面から遷移して表示される、購入者から視認可能なウェブサイトの画面から、対象商品を販売している出品者の情報を取得してもよい。なお、この場合、出品者には、本システムのユーザが卸した卸売業者の他、許可されていない業者、例えば転売者が含まれていてもよい。
【0040】
広告情報記憶部1Cは、本システムのユーザが投資した広告に関する情報を記憶する機能部である。広告情報記憶部1Cは、広告ごとに、投資費用と、宣伝される商品の種類と、が紐付けられている。広告は、例えば画像又は動画、音声等を指し、画像又は動画、音声等の種類ごとに異なる識別情報で管理されている。
【0041】
広告は、当該広告が属するキャンペーンを紐づけて記憶されていてもよい。例えば、1個のキャンペーンに、複数の広告が含まれている。このような構成によれば、分析部15により、広告に関する指標をキャンペーンごとに抽出し、対象商品の広告費用対効果を分析することができる。また、1個の広告に複数の商品が紐づけられていてもよい。1個の広告に複数の商品が表示される場合や、特定の商品ではなくブランドイメージや企業イメージに寄与する広告の場合には、複数の商品に売上に寄与する可能性があるためである。また、商品に対する広告の寄与率が、商品ごとに記憶されていてもよい。また、キャンペーンとは別に、広告が属する広告グループが紐づけて記憶されていてもよい。
【0042】
●処理の流れ
図2は、購買分析システム1が実行する処理の流れの1例を示すフローチャートである。
まず、売買履歴取得部11により、モール管理サーバ2から売買履歴を取得する(ステップS101)。広告情報取得部12により、定期的に、広告指標を取得する(ステップS102)。注目度情報取得部13により定期的に外部サーバ3からの情報を取得する(ステップS103)。購入画面情報取得部14により、定期的に購入画面の情報を取得する(ステップS104)。ステップS101乃至S104は、順不同であり、同時に行われてもよい。また、各ステップS101乃至S104の実行周期は異なっていてもよいし、同期していても非同期であってもよい。ステップS101における売買履歴の取得は、売買が行われたことを契機に行われてもよいし、定期的に行われてもよい。
【0043】
次いで、分析部15により、ステップS101乃至S104において取得された情報を分析する(ステップS105)。次いで、出力部16により、分析の結果画面を出力する(ステップS106)。
【0044】
●画面例
図3は、ユーザ端末4に表示される分析結果画面G10の1例である。この画面G10では、グラフ領域G11、分析する商品又はブランドを選択する商品選択領域G12、分析する期間を選択する期間選択領域G13、および分析結果を表示する分析領域G14等が表示されている。
【0045】
同図の例においては、グラフ領域G11には、領域G12で選択した商品又はブランドごとの、訪問数(セッション数)、コンバージョン率(CVR)、平均売価、ページビュー数(PV)、コンバージョン数(CV)、売上、カート取得率、平均購入数および販売数が、それぞれ折れ線グラフで表示されている。また、それぞれの折れ線グラフは、同じ時間軸で表示されている。分析領域G14では、セッション数、平均売価を掛け合わせた値および総売上額に基づいて、CVRを計算した結果が表示されている。
【0046】
なお、同図の例の一部に代えて、又は加えて、注目度情報取得部13により取得される注目度の指標、すなわち検索サイトにおける被検索回数又はSNS上への投稿件数が、他の指標と同じ時間軸で表示されていてもよい。この構成によれば、本システムのユーザにとって、モール型サイト外における注目度が購買に与える影響の考察が容易になる。また、購買に影響を与えやすいSNSを特定することで、当該SNSへの広告に注力する等といった、効果的な広告戦略の立案が可能になる。
【0047】
図4は、ユーザ端末4に表示される分析結果画面G20の1例である。この画面G20では、グラフ領域G21、分析する商品又はブランドを選択する商品選択領域G22、分析する期間を選択する期間選択領域G23等が表示されている。なお、画面G10と同様の構成については、同じ符号を付した。グラフ領域G21には、領域G12で選択した商品又はブランドごとの、時間別販売数、時間別売上、日別販売数、日別売上、曜日別販売数、曜日別売上等が、それぞれ縦棒グラフで表示されている。なお、同図においては販売数および売上が累計で表示されているが、累計表示に代えて、又は加えて、平均値のグラフを表示してもよい。
【0048】
図5(a)は、ユーザ端末4に表示される分析結果画面G30の1例である。この画面G30では、販売履歴に含まれる購入者の居住地域の情報に基づいて、売上額を地図上にレーダーチャートで示している。また、売上額の多い都道府県のランキングの表を、合わせて表示している。
図5(b)は、ユーザ端末4に表示される分析結果画面G40の1例であって、都道府県ごとの売上額を各都道府県の人口で割った単位人口当たりの売上額を地図上に色分け表示するとともに、単位人口当たりの売上額の多い都道府県のランキングの表を、合わせて表示している。
【0049】
図6は、ユーザ端末4に表示される分析結果画面G50の1例である。この画面G50では、売上額の縦棒グラフ上に、定期購入による販売額、保留額、都度購入による販売額を累計表示した領域G51、分析時点における定期販売率、保留率および都度販売率を数値で表示した領域G52、および高さ方向の長さを100%として、定期販売率、保留率および都度販売率を表示した帯グラフを表示した領域G53等が表示されている。
【0050】
図7は、ユーザ端末4に表示される分析結果画面G60の1例である。この画面G60では、売上に対する広告の費用対効果等の分析結果を閲覧することができる。画面G60は、例えば、表示する情報を選択する選択領域G61、売上高広告比率および算出に用いられる指標を、各指標同士の関連を明示して示した指標表示領域G62、商品ごとの指標を一覧にして示した指標一覧領域G63が表示されている。また、画面G60は、対象商品とは別の商品の指標表示領域G64、および別の商品ごとの指標を一覧にして示した別商品指標一覧領域G65が示されている。別の商品とは、例えば競合他社による競合商品である。
【0051】
選択領域G61には、表示するポートフォリオ名、キャンペーン名、広告グループ名および期間等が選択可能に表示されている。選択領域G61によりキャンペーン名または広告グループ名を選択することで、選択されるキャンペーン又は広告グループに属する商品に関する指標が、指標表示領域G62および指標一覧領域G63に表示される。また、選択領域G61において、1個の広告を選択することが可能であってもよい。
【0052】
指標表示領域G62および指標一覧領域G63には、商品ごとに、平均単価(AUP)、クリック単価(CPC)、インプレッション数(IMP)、クリック率(CTR)、クリック数(CT)、コンバージョン率(CVR)、コンバージョン(CV)等が表示されている。また、CVRとCTとを掛け合わせた値がCVとなることが明示されている。IMPとCTRを掛け合わせた値がCTとなることが明示されている。指標表示領域G62では、AUP、CVRおよびCTを掛け合わせた売上額が表示されている。さらに、指標表示領域G62では、CPCとCTを掛け合わせた広告費が表示されている。さらにまた、広告費を売上で割った売上高広告比率(ACoS。なお、ROASと呼ばれる指標であってもよい。)が、「ACoS」として表示されている。さらに、各指標が分析時点よりも過去の所定時点に比べて変化した割合が、合わせて表示されている。
【0053】
指標表示領域G62で表示される広告費、CPC、IMP、CTR、CT、CVRは、選択されるキャンペーン名又は広告グループ名に応じて値が異なる指標である。このような構成によれば、広告効果を広告の種類、キャンペーン、又は広告グループごとに分析することができる。また、指標の変化割合が一見して明らかであるので、当該広告による購買状況の変化等を把握できる。
【0054】
図8は、ユーザ端末4に表示される分析結果画面G70の1例である。この画面G70では、購入画面から取得される画像が取得時点ごとに表示されている。同図の例においては、情報ID:3の時点から情報ID:2の時点までの間に、サブ画像「1」の画像がモール型サイトの管理者により削除されていることがわかる。また、情報ID:2から情報ID:1の時点までの間に、サブ画像「1」とサブ画像「2」の表示順序が入れ替えられていることがわかる。
【0055】
このように、購入画面を定期的に取得し、購入者に視認されている情報を整理して提示する構成によれば、購入画面の情報が変化している場合にもすぐに気づくことができる。
【0056】
以上の本発明の実施形態に係る購買分析システムによれば、モール型ショッピングサイトへの出品商品に関し、多角的な情報から購買状況等を分析できる。
【0057】
なお、以上の本実施形態に係る購買分析システムにおいて、各端末又は装置の機能構成は一例であり、本例で示した機能部が、本例とは異なる端末又は装置に備えさせることもできる。
【符号の説明】
【0058】
1 購買分析システム
11 売買履歴取得部
12 広告情報取得部
13 注目度情報取得部
14 購入画面情報取得部
15 分析部
16 結果出力部
17 通信処理部
1A 商品情報記憶部
1B 卸先情報記憶部
1C 広告情報記憶部
1D 取得情報記憶部
2 モール管理サーバ
3 外部サーバ
4 ユーザ端末
【要約】
【課題】モール型ショッピングサイトへの出品商品に関し、多角的な情報から購買状況等を分析する。
【解決手段】 モール型ショッピングサイトに出品される対象商品の購買状況を分析する購買分析システム1であって、モール型ショッピングサイトにおける対象商品の売買履歴に関する情報を取得する売買履歴取得部11と、対象商品の広告に関する指標を取得する広告情報取得部12と、対象商品の、インターネット上における注目度を取得する注目度情報取得部13と、モール型ショッピングサイトを管理するモール管理サーバ2が、購入者の端末に表示させる購入画面の情報を取得する購入画面情報取得部14と、少なくとも、売買履歴と、広告に関する指標、注目度および購入画面の情報のいずれかと、に基づいて、対象商品の購買状況を分析する分析部15と、分析部による分析の結果を出力する出力部16と、を備える、購買分析システム1。
【選択図】
図1