(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】マイクロ波によりタンパク質廃水を前処理して嫌気性消化によりメタンを生成する装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/30 20060101AFI20220118BHJP
C02F 3/28 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
C02F1/30
C02F3/28 A
(21)【出願番号】P 2021118458
(22)【出願日】2021-07-19
【審査請求日】2021-07-19
(31)【優先権主張番号】202120828557.X
(32)【優先日】2021-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515190906
【氏名又は名称】南京大学
(74)【代理人】
【識別番号】100088063
【氏名又は名称】坪内 康治
(72)【発明者】
【氏名】花銘
(72)【発明者】
【氏名】李紀彬
(72)【発明者】
【氏名】鹿時雨
(72)【発明者】
【氏名】孫得勝
(72)【発明者】
【氏名】郭瓊
(72)【発明者】
【氏名】潘丙才
(72)【発明者】
【氏名】張▲うぇい▼銘
【審査官】松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-217815(JP,A)
【文献】国際公開第2019/162299(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0218128(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0088803(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0011745(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第101524699(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 3/28- 3/34
C02F 11/00- 11/20
C02F 1/20- 1/26
C02F 1/30- 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
順次直列に接続されたマイクロ波前処理装置(10)と嫌気性消化装置(20)とを含
み、
前記マイクロ波前処理装置(10)は、高タンパク質廃水を前処理し、その内部に、
タンパク質廃水のマイクロ波前処理装置(10)での滞留時間を延長するための廃水滞留
装置(40)が設けられ、前記廃水滞留装置(40)の入口端が入口ポンプ(12)に接
続され、廃水滞留装置(40)の出口端が前記嫌気性消化装置(20)に接続され、
前記嫌気性消化装置(20)は、前処理された廃水を嫌気性消化してメタンを生成し
、その上部の一側に排水管(25)が設けられ、嫌気性消化装置(20)の下部の一側に
排出管(28)が設けられ、嫌気性消化装置(20)の外部の一側に、排水管(25)、
排出管(28)と連通する還流管(26)が設けられ、前記還流管(26)の中央に還流
ポンプ(27)が設けられ、
前処理されたタンパク質廃水を分流して嫌気性消化装置(20)の底部に流入させ、5
方向管(22)および4組の垂直管(23)で構成され、4組の前記垂直管(23)が5
方向管(22)の下向きに開口された4つの管口に対応して挿通され、前記廃水滞留装置
(40)出口端が5方向管(22)の上向きに開口された管口に接続管(13)を介して
接続され、前記接続管(13)に断熱層が設けられその中央にフラグフローポンプ(14
)が設けられる、嫌気性消化装置(20)内の上部に設けられ廃水滞留装置(40)の出
口端に接続された配水器(21)と、
嫌気性消化装置(20)の内部温度を監視するために使用される嫌気性消化装置(20
)内壁に位置する温度センサー(29)と、嫌気性消化装置(20)内に位置し排水管(
25)の位置に対応するオーバーフロー堰(24)と、嫌気性消化装置(20)の頂部に
位置し、メタンを回収するためのガス回収装置(30)と、
温度センサー(29)の検出値に基づいて、嫌気性消化装置(20)の配水器(21)
から流出する廃水の温度が微生物の生命代謝に必要な温度範囲内にあるように、マイクロ
波前処理装置(10)の内部パラメータおよびタンパク質廃水の廃水滞留装置(40)で
の滞留時間を調節するための、マイクロ波前処理装置(10)の外壁に位置するコントロ
ーラー(15)と、を備
え、
前記廃水滞留装置(40)は、複数組のU字形の管(42)および複数組の回転式水誘
導コンポーネント(50)S字形の管構造であり、回転式水誘導コンポーネント(50)
を駆動するための水動力駆動コンポーネント(60)をさらに含み、前記水動力駆動コン
ポーネント(60)は、入口ポンプ(12)側のマイクロ波前処理装置(10)の内底面
に配置され、
前記廃水滞留装置(40)の出口端は、出口延長管(16)を介して接続管(13)に
接続され、廃水滞留装置(40)の入口端は、水動力駆動コンポーネント(60)を介し
て入口ポンプ(12)に接続され、前記U字形の管(42)は固定部品(17)を介して
マイクロ波前処理装置(10)の左側内壁または右側内壁に接続されて固定され、
前記回転式水誘導コンポーネント(50)は、両端がU字形の管(42)に接続された
キャリアディスク(51)、および2組のキャリアディスク(51)間に回転可能に設け
られた複数組の回転管体を含み、前記回転管体の両端は、それぞれキャリアディスク(5
1)シンク溝上に回転可能に封止された扇形キャビティ(52)を介してキャリアディス
ク(51)に接続され、前記扇形キャビティ(52)のキャリアディスク(51)のシン
ク溝に対応する側の側面に開口が開設され、キャリアディスク(51)のシンク溝の下部
に水出口(53)が設けられ、各扇形キャビティ(52)はシールリング(54)を介し
てキャリアディスク(51)のシンク溝に回転可能に封止されたディスク構造を形成し、
シールリング(54)の円周面はシンク溝の円周面に凹溝と凸溝を介して回転かつ封止可
能に接続され、
前記水動力駆動コンポーネント(60)は、水動力駆動ハウジング(61)、水動力駆
動ハウジング(61)内に設けられたインペラ(62)、および各回転式水誘導コンポー
ネント(50)を対応して駆動するための複数組の駆動プーリー(65)を含み、前記水
動力駆動ハウジング(61)の外側面に、入口ポンプ(12)に接続された水入口管(6
3)、および回転式水誘導コンポーネント(50)に接続された水出口エルボ(64)を
含み、前記水入口管(63)の水動力駆動ハウジング(61)と連通する開口に、インペ
ラ(62)に向かって傾斜する複数組の傾斜口が設けられ、
前記駆動プーリー(65)は、それぞれ水動力駆動コンポーネント(60)と同じ側の
U字形の管(42)または水出口エルボ(63)上に回転可能に嵌設され、駆動プーリー
(65)上に駆動ベルト(66)を搭載するための2組のベルト溝が設けられ、回転式水
誘導コンポーネント(50)の数に対応し、隣接する2組の駆動プーリー(65)間が駆
動ベルト(66)を介して伝達可能に接続され、
水出口エルボ(63)上に位置する駆動プーリー(65)に、インペラ(62)頂部の駆
動ベベルギア(67)と噛み合われて伝達されたベベルギアリング(68)がさらに配置
され、前記駆動ベベルギア(67)は、シャフトロッドを介して水動力駆動ハウジング(
61)の頂面を貫通してインペラ(62)に接続され、前記ベベルギアリング(68)は
水出口エルボ(63)上の駆動プーリー(65)に固定的に接続され、水動力駆動コンポ
ーネント(60)の他側に位置するU字形の管(42)または出口延長管(16)上にガ
イドリング(70)が設けられ、各前記ガイドリング(70)、駆動プーリー(65)は
、U字形の係合爪(69)を介して回転式水誘導コンポーネント(50)に接続される、
ことを特徴とするマイクロ波によりタンパク質廃水を前処理して嫌気性消化によりメタ
ンを生成する装置。
【請求項2】
前記回転式水誘導コンポーネント(50)の各回転管体は、すべて円弧状の管体(55)
である、ことを特徴とする請求項
1に記載の装置。
【請求項3】
前記回転式水誘導コンポーネント(50)の各回転管体は、すべてS字形の管体(56)
である、ことを特徴とする請求項
1に記載の装置。
【請求項4】
前記ガス回収装置(30)は、逆円錐形漏斗の形状であり、前記垂直管(23)は、鉄材
料で形成されその先端にふるい穴が設けられ、前記嫌気性消化装置(20)の本体は円筒
形であり、内底面は円錐形である、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記マイクロ波前処理装置(10)の出力は600~800Wであり、周波数は2~3G
Hzである、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃水処理の技術分野に関し、具体的にマイクロ波によりタンパク質廃水を前処
理して嫌気性消化によりメタンを生成する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生活下水および特定の食品加工産業(大豆ホエータンパク質、畜殺など)の下水では、タ
ンパク質は、汚染物質の重要な部分である。大豆タンパク質産業を例にとると、現在、中
国には60以上の大豆タンパク質分離物生産工場があり、年間約100万トンの大豆タン
パク質が生産され、タンパク質分離物1トンあたり約30~35トンがホエイ廃水され、
廃水中のタンパク質の含有量は約3000~5000mg/Lであり、総CODの20%
を占めている。高タンパク質廃水のランダムな排出は、水域の富栄養化、水生動物の多数
の死亡、および深刻な環境被害を引き起こす。現在、高タンパク質廃水に対する処理は、
主に「凝固凝集+空気浮上分離」混合プロセスを採用しているが、このようなプロセスに
は、(1)占有面積が大きい、(2)廃水中のタンパク質の濃度が高いとき、タンパク質
コロイドが形成され、凝集が難しく、化学薬品の投与量が多いなどの欠点がある。したが
って、高タンパク質廃水を効率的に処理するための適切な方法を開発することが急務であ
る。
【0003】
加熱、超音波、紫外線、マイクロ波および外部磁場と電界などの前処理を含む物理的方法
は、新しい汚染源を導入しないためますます注目されている。マイクロ波前処理プロセス
では、水または酸を含有する物質分子はすべて分極され、これらの極性分子は、マイクロ
波電界の作用下で、マイクロ波周波数の急激な変化に伴って回転し、高速衝撃と摩擦を引
き起こし、さらに熱を発生する。マイクロ波法によれば、タンパク質の二次コンフォメー
ション変化をある程度促進し、さらにタンパク質の加水分解と酸化を促進することができ
る。タンパク質の複雑な構造が単純化されると、後の嫌気性消化代謝などの代謝分解プロ
セスに有益であり、タンパク質廃水の加水分解と酸化手順が大幅に短縮され、高タンパク
質廃水の資源利用効率を向上させる。
【0004】
安価で効率的なプロセス技術として、嫌気性技術は低いエネルギー消費、低いスラッジ残
留量、グリーンエネルギー回収および低い運転んとメンテナンスコストなどの利点により
、広く応用され急速に発展している。しかしながら、pH、温度、有機物負荷、アンモニ
ア態窒素濃度などのいくつかの環境要因は、嫌気性消化プロセスの安定した進行に影響を
与える。それらのうちに、中温嫌気性消化と高温嫌気性消化は、嫌気性消化機能細菌の代
謝に必要な温度を確保するために関連する加熱プロセス手段または加熱装置を必要とし、
それは構造物の占有面積増加、または経済的支出の追加が引き起こされる。
【0005】
検索した結果、従来技術ではいくつかの関連出願が開示されており、中国特許出願番号2
01910335450.9(開示日:2019年4月24日)では高タンパク質廃水の
前処理システムおよび方法が開示され、このシステムは、電気フィルターベッド、凝固沈
殿槽を含み、電気フィルターベッドに入水管が接続され、電気フィルターベッド内に正極
板、負極板、濾材が装備され、正極板および負極板が電源に接続され、濾材は正極板と負
極板間に配置され、電気フィルターベッドは連通管を介して凝固沈殿槽に接続され、凝固
沈殿槽に出水管が接続され、連通管上に凝集剤を追加するための計量ポンプおよびパイプ
ラインミキサーが設けられる。電気フィルターベッドに電極および濾材が配置され、電極
触媒酸化後、長鎖タンパク質分子を短鎖タンパク質分子に分解し、微量鉄イオンと表面の
負に帯電したタンパク質分子との相互作用により、タンパク質分子間の静電反発力を低減
し、タンパク質の沈降を促進し、水中のタンパク質を効率的に除去する。中国特許出願番
号201710649171.0(開示日:2017年7月21日)では米洗い下水およ
びたんぱく質含有下水処理方法が開示され、この方法では、最初に下水のpHを中性また
はアルカリ性に近くなるように調整し、アルカリ性沈殿凝集剤を添加して、下水中のタン
パク質および高分子有機物を凝集および沈殿させ、ただし、化学薬品の投与は水プラント
の運転コストを直接増加させ、かつ二次汚染のリスクももたらす。
【0006】
中国特許出願番号201810320847.6(開示日:2018年10月19日)で
は、嫌気性粒状スラッジ膨張床反応器とその始動および操作方法が開示され、主に膨張床
反応器本体、配水装置、恒温循環水加熱装置、スパイラルチューブ装置、水流制御装置を
含み、膨張床反応器の本体の外側にジャケット層が設けられ、膨張床反応器の本体の上面
にバイオガス収集装置が設けられ、配水装置は、膨張床反応器本体の内底に配置されてお
り、恒温循環水加熱装置は、主に温度制御装置、水循環室、電気加熱装置、加熱装置およ
びコントローラーを含み、スパイラルチューブ装置は、膨張床反応器の本体の中央に配置
され、水流制御装置は水ポンプと水流制御チャンバーを含む。中国特許出願番号2020
20666282.X(開示日:2020年4月27日)では、工業廃水用のUASB処
理装置が開示され、ハウジングを含み、前記ハウジング内に処理溝が設けられ、前記ハウ
ジングの下側壁に入水口が固定され、前記入水口内にフィルタが固定され、前記処理溝の
下側壁に配水装置が配置され、前記処理溝の下側に嫌気性スラッジ床が固定され、前記嫌
気性スラッジ床は配水装置の上側に配置され、前記嫌気性スラッジ床の上側に反応室が設
けられ、前記処理溝の上側に分離装置が配置され、前記反応室の上側にさらに空気チャン
バーが設けられ、前記ハウジングの一側の側壁に排気口が固定され、前記排気口は空気チ
ャンバーと連通して設けられ、また、ハウジングの外壁上に加熱機構が設けられる。この
実用新案は、水を均一に分配できるため、嫌気性汚泥床の微生物が下水と完全に接触して
反応すると同時に、大きな浮遊物質によって水出口が塞がれるのを効果的に防ぐことがで
き、反応効率が大幅に改善され、また、外壁の温度上昇機構により反応チャンバーの温度
を上昇させることで、反応効率をさらに向上させる。上記の嫌気性消化プロセスでは、加
熱装置または装置の温度を制御するための加熱機構の設置が必要である。
【0007】
既存の技術の加熱装置への依存に基づいて、高タンパク質廃水の前処理効率と嫌気性消化
プロセスの温度制御を考慮に入れたプロセスシステムを開発することが急務であり、加熱
システムによって引き起こされるエネルギー消費の問題を回避し、化学薬品の添加によっ
て引き起こされる二次汚染を回避し、運転コストを削減する。
【発明の概要】
【0008】
嫌気性消化の温度制御プロセスにおける加熱装置およびエネルギー消費への依存の問題を
克服するための従来技術の装置の難易度を考慮して、出願者は、マイクロ波前処理を使用
し、タンパク質廃水の流動時間を調整することで、化学薬品を添加せずにタンパク質廃水
を前処理できるだけでなく、廃水の流量とマイクロ波出力によって嫌気性消化装置に入る
タンパク質廃水の温度を制御することもでき、さらに、嫌気性消化装置には追加の加熱装
置は必要せず、設置面積が小さく、運転コストが低い。
【0009】
本発明の目的は、マイクロ波によりタンパク質廃水を前処理して嫌気性消化によりメタン
を生成する装置を提供することであり、上記の装置は具体的に、順次直列に接続されたマ
イクロ波前処理装置、および嫌気性消化装置を含み、
前記マイクロ波前処理装置は、高タンパク質廃水を前処理し、その内部に、タンパク質廃
水のマイクロ波前処理装置での滞留時間を延長するための廃水滞留装置が設けられ、前記
廃水滞留装置の入口端が入口ポンプに接続され、廃水滞留装置の出口端が前記嫌気性消化
装置に接続され、
前記嫌気性消化装置は、前処理された廃水を嫌気性消化してメタンを生成し、その上部の
一側に排水管が設けられ、嫌気性消化装置の下部の一側に排出管が設けられ、嫌気性消化
装置の外部の一側に、排水管、排出管と連通する還流管が設けられ、前記還流管の中央に
還流ポンプが設けられ、
前処理されたタンパク質廃水を分流して嫌気性消化装置の底部に流入させ、5方向管およ
び4組の垂直管で構成され、4組の前記垂直管が5方向管の下向きに開口された4つの管
口に対応して挿通され、前記廃水滞留装置出口端が5方向管の上向きに開口された管口に
接続管を介して接続され、前記接続管に断熱層が設けられその中央にフラグフローポンプ
が設けられる、嫌気性消化装置内の上部に設けられ廃水滞留装置の出口端に接続された配
水器と、
嫌気性消化装置の内部温度を監視するために使用される嫌気性消化装置内壁に位置する温
度センサーと、嫌気性消化装置内に位置し排水管の位置に対応するオーバーフロー堰と、
嫌気性消化装置の頂部に位置し、メタンを回収するためのガス回収装置と、
温度センサーの検出値に基づいて、嫌気性消化装置の配水器から流出する廃水の温度が微
生物の生命代謝に必要な温度範囲内にあるように、マイクロ波前処理装置の内部パラメー
タおよびタンパク質廃水の廃水滞留装置での滞留時間を調節するための、マイクロ波前処
理装置の外壁に位置するコントローラーと、を備える。
【0010】
マイクロ波前処理装置は廃水滞留装置をタンパク質廃水の通路として使用し、入口ポンプ
回転速度を制御することで入水流量を調節して、タンパク質廃水のマイクロ波前処理装置
中での滞留時間を制御し、マイクロ波前処理装置の出力を等価的に調整して嫌気性消化装
置に入ったタンパク質廃水の温度を制御し、嫌気性消化装置に入った廃水の温度は内部か
ら外部へ拡散し、嫌気性消化構造物の占有面積が大きく、構造物の加熱断熱システムによ
るエネルギー消費などの問題を避け、運転コストを削減し、同時に本発明の化学薬品が添
加されず、発生源からの二次汚染を避ける。
【0011】
さらに、前記ガス回収装置は、逆円錐形漏斗の形状であり、メタンの回収効果を向上させ
ることができ、前記垂直管は鉄材料で形成されその先端にふるい穴が設けられ、熱伝達を
加熱装置として使用し、嫌気性消化装置のスラッジ代謝活動に必要な温度を確保し、前記
嫌気性消化装置の本体は円筒形であり内底面は円錐形であるため、嫌気性消化構造物の取
集および還流などに寄与する。
【0012】
さらに、前記マイクロ波前処理装置の出力は600~800Wであり、周波数は2~3G
Hzである。上記マイクロ波パラメータは、タンパク質廃水の前処理効果を満たし、マイ
クロ波処理を使用してタンパク質のコンフォメーションを変更し、タンパク質を変性させ
、特に、タンパク質の二次コンフォメーション変化を促進し、それによってタンパク質の
加水分解を促進し、高タンパク質廃水の生分解性を改善する。
【0013】
本発明の一側面によれば、上記廃水滞留装置は具体的に一体型S字形のループチューブで
ある。ループチューブ構造により、その製造難易度やコストが低く、S字形の流路により
タンパク質廃水の流通経路が拡張し、マイクロ波前処理装置中での通過時間を増加し、廃
水流量の調節によるタンパク質廃水の加熱処理などを有効に活用する。
【0014】
本発明の別の側面によれば、上記廃水滞留装置は具体的に通過複数組のU字形の管および
複数組の回転式水誘導コンポーネントによって組み立てられたS字形の管構造であり、回
転式水誘導コンポーネントを駆動するための水動力駆動コンポーネントをさらに含み、前
記水動力駆動コンポーネントは、入口ポンプ側のマイクロ波前処理装置の内底面に配置さ
れ、
前記廃水滞留装置の出口端は、出口延長管を介して接続管に接続され、廃水滞留装置の入
口端は、水動力駆動コンポーネントを介して入口ポンプに接続され、前記U字形の管は固
定部品を介してマイクロ波前処理装置の左側内壁または右側内壁に接続されて固定され、
前記回転式水誘導コンポーネントは、両端がU字形の管に接続されたキャリアディスク、
および2組のキャリアディスク間に回転可能に設けられた複数組の回転管体を含み、前記
回転管体の両端は、それぞれキャリアディスクシンク溝上に回転可能に封止された扇形キ
ャビティを介してキャリアディスクに接続され、前記扇形キャビティのキャリアディスク
のシンク溝に対応する側の側面に開口が開設され、キャリアディスクのシンク溝の下部に
水出口が設けられ、各扇形キャビティはシールリングを介してキャリアディスクのシンク
溝に回転可能に封止されたディスク構造を形成し、シールリングの円周面はシンク溝の円
周面に凹溝と凸溝を介して回転かつ封止可能に接続され、
前記水動力駆動コンポーネントは、水動力駆動ハウジング、水動力駆動ハウジング内に設
けられたインペラ、および各回転式水誘導コンポーネントを対応して駆動するための複数
組の駆動プーリーを含み、前記水動力駆動ハウジングの外側面に、入口ポンプに接続され
た水入口管、および回転式水誘導コンポーネントに接続された水出口エルボを含み、前記
水入口管の水動力駆動ハウジングと連通する開口に、インペラに向かって傾斜する複数組
の傾斜口が設けられ、
前記駆動プーリーは、それぞれ水動力駆動コンポーネントと同じ側のU字形の管または水
出口エルボ上に回転可能に嵌設され、駆動プーリー上に駆動ベルトを搭載するための2組
のベルト溝が設けられ、回転式水誘導コンポーネントの数に対応し、隣接する2組の駆動
プーリー間が駆動ベルトを介して伝達可能に接続され、
水出口エルボ上に位置する駆動プーリーに、インペラ頂部の駆動ベベルギアと噛み合われ
て伝達されたベベルギアリングがさらに配置され、前記駆動ベベルギアは、シャフトロッ
ドを介して水動力駆動ハウジングの頂面を貫通してインペラに接続され、前記ベベルギア
リングは水出口エルボ上の駆動プーリーに固定的に接続され、水動力駆動コンポーネント
の他側に位置するU字形の管または出口延長管上にガイドリングが設けられ、各前記ガイ
ドリング、駆動プーリーは、U字形の係合爪を介して回転式水誘導コンポーネントに接続
される。
【0015】
上記の構造では、製造難易度と製造コストがリターンチューブよりも高くなるが、上記の
構造では、モーターなどの電気部品を追加せずに、限られたスペースでのタンパク質廃水
の流通経路と滞留時間を効果的に改善し、マイクロ波前処理装置での通過時間を長くし、
タンパク質廃水の温度上昇処理などに廃水の流量制御をより有効に活用する。
【0016】
本発明の一側面によれば、前記回転式水誘導コンポーネントの各回転管体は、すべて円弧
状の管体である。円弧状の管体により、タンパク質廃水のマイクロ波前処理装置中での滞
留時間を効果的に延ばすことができないが、円弧状の細いチューブを使用することで、マ
イクロ波処理の効果を向上させ、タンパク質の二次的なコンフォメーション変化を高める
。
【0017】
本発明の別の側面によれば、前記回転式水誘導コンポーネントの各回転管体は、すべてS
字形の管体である。ループチューブのS字形の構造と回転式水誘導コンポーネントを合わ
せることで、タンパク質廃水のマイクロ波前処理装置中での流通経路を延ばし、タンパク
質廃水の前処理効果を有効に活用する。
【0018】
本発明は、以下の有益な効果を有する。
(1)本発明のマイクロ波前処理装置では、タンパク質廃水の経路として廃水滞留コンポ
ーネントを使用し、水入口ポンプの回転速度を制御することにより、水流量を調整して、
マイクロ波前処理装置、および高タンパク質廃水の連続的な流れが実現され、嫌気性消化
装置に入った廃水の温度を制御することで廃水の流量を制御し、前処理された廃水温度が
嫌気性消化装置の必要値に達することができ、外部加熱層や断熱層を省き、占有面積が小
さく、運転コストが低く、操作が簡単で便利である。
(2)本発明のマイクロ波前処理装置は、物理的にタンパク質のコンフォメーションを変
更し、タンパク質を変性させ、特に、タンパク質の二次コンフォメーション変化を促進し
、それによってタンパク質の加水分解を促進し、高タンパク質廃水の生分解性を改善し、
この装置は大豆製品、乳製品、米粉加工産業などのさまざまなソースからのタンパク質廃
水に普遍的に適用でき、化学薬品が追加されていないため、汚染源からの二次汚染を回避
でき。
(3)本発明の嫌気性消化装置は、5方向パイプにより前処理された高タンパク質廃水を
分流し、垂直パイプを介して嫌気性消化装置の底に導入し、鉄製の垂直管を熱伝達により
加熱装置として使用し、嫌気性消化装置のスラッジ代謝活動に必要な温度を確保し、装置
は占有面積が少なく、簡単で、運転コストが大幅に削減されるなどの利点がある。
(4)本発明の廃水滞留装置は、様々な方法でマイクロ波前処理装置内の廃水滞留を行い
、モータなどの電気部品を追加する必要せずに、限られたスペースでのタンパク質廃水の
流通経路と滞留時間を効果的に改善し、マイクロ波前処理装置での通過時間を長くし、タ
ンパク質廃水の温度上昇処理などに廃水の流量制御をより有効に活用する。
(5)本発明のマイクロ波によりタンパク質廃水を前処理して嫌気性消化によりメタンを
生成する装置は、温度センサーを使用して嫌気性消化装置の内部温度を監視し、コントロ
ーラーから指令を送信して、マイクロ波前処理装置の内部パラメータおよび高タンパク質
廃水の滞留時間を調整し、嫌気性消化装置中の微生物生命代謝に必要な温度条件を確保し
て、この装置はインテリジェント特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】本発明の装置の嫌気性消化装置の内部構造の模式図である。
【
図3】本発明の装置の垂直管の底部構造の模式図である。
【
図4】本発明の実施例1の装置の全体構造の模式図である。
【
図5】本発明の実施例1の装置の廃水滞留コンポーネントの接続構造の模式図である。
【
図6】本発明の実施例2の装置の全体構造の模式図である。
【
図7】本発明の実施例2の装置の廃水滞留コンポーネントの接続構造の模式図である。
【
図8】本発明の実施例2の装置の回転式水誘導コンポーネント構造の模式図である。
【
図9】本発明の実施例2の装置の円弧状の管体の接続関係の模式図である。
【
図10】本発明の実施例3の装置の全体構造の模式図である。
【
図11】本発明の実施例3の装置の廃水滞留コンポーネントの接続構造の模式図である。
【
図12】本発明の実施例3の装置の回転式水誘導コンポーネントの構造の模式図である。
【
図13】本発明の実施例3の装置のS字形の管体接続関係模式図である。
【
図14】本発明の実施例2および3の装置の水動力駆動コンポーネント外観模式図である。
【
図15】本発明の実施例2および3の装置の水動力駆動コンポーネントの内部構造の模式図である。
【
図16】本発明の実施例2および3の装置の水動力駆動ハウジングの内部構造の模式図である。
【
図17】本発明の実施例2および3の装置の回転式水誘導コンポーネントのキャリアディスク構造の模式図である。
【
図18】本発明の実施例2および3の装置の回転式水誘導コンポーネントの扇形キャビティ構造の模式図である。
【
図19】本発明の実施例1のメタン生成量と時間の関係図である。
【0020】
[符号の説明]
10 マイクロ波前処理装置
11 マイクロ波前処理装置本体
12 入口ポンプ
13 接続管
14 フラグフローポンプ
15 コントローラー
16 出口延長管
17 固定部品
20 嫌気性消化装置
21 配水器
22 5方向管
23 垂直管
24 オーバーフロー堰
25 排水管
26 還流管
27 還流ポンプ
28 排出管
29 温度センサー
30 ガス回収装置
40 廃水滞留コンポーネント
41 ループチューブ
42 U字形の管
50 回転式水誘導コンポーネント
51 キャリアディスク
52 扇形キャビティ
53 水出口
54 シールリング
55 円弧状の管体
56 S字形の管体
60 水動力駆動コンポーネント
61 水動力駆動ハウジング
62 インペラ
63 水入口管
64 水出口エルボ
65 駆動プーリー
66 駆動ベルト
67 駆動ベベルギア
68 ベベルギアリング
69 U字形の係合爪
70 ガイドリング
【発明を実施するための形態】
【0021】
ある要素が別の要素に「装備されている」と呼ばれる場合、その要素は他の要素に直接配
置することも、2つの要素を直接統合することもできま、1つの要素が別の要素に「接続
されている」と呼ばれる場合要素、それはすることができますそれは別の要素に直接接続
されているか、2つの要素が直接統合されている可能性がある。同時に、本明細書で使用
される「フロントエンド」、「リアエンド」、「アッパー」、「ロワー」、「レフト」、
「ライト」、「ミドル」などの用語は、わかりやすくするためのものであり、保護範囲を
制限するものではなく、技術的内容を実質的に変更することなく、相対関係の変更または
調整もまた、本発明の保護範囲に含まれると見なされる。
特に別に定義しない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本
発明の技術分野の当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。実施例
に特定の条件が示されていない場合は、従来の条件またはメーカーが推奨する条件に従っ
て実施するものとする。メーカーの指示なしに使用される試薬または機器はすべて、市場
で購入できる従来の製品である。
本発明の利点をより反映するために、以下、具体的な実施形態を併せて本発明をより詳細
に説明する。
【0022】
実施例1
図1に示すように、マイクロ波によりタンパク質廃水を前処理して嫌気性消化によりメタ
ンを生成する装置は、具体的に、順次直列に接続されたマイクロ波前処理装置10和嫌気
性消化装置20を含み、
図4に示すように、マイクロ波前処理装置10はタンパク質廃水を前処理し、その内部に
タンパク質廃水のマイクロ波前処理装置10中での滞留時間を延長するための廃水滞留装
置40が設けられ、廃水滞留装置40の入口端は入口ポンプ12に接続され、廃水滞留装
置40の出口端は嫌気性消化装置20に接続され、
図5に示すように、廃水滞留装置40は具体的に一体型S字形のループチューブ41であ
る。ループチューブ41構造により、その製造難易度および製造コストが低く、S字形の
流路によりタンパク質廃水の流通経路を増大し、マイクロ波前処理装置10中での通過時
間を増加し、タンパク質廃水の加熱処理などに廃水流量制御を有効に活用する。
図2、3に示すように、嫌気性消化装置20は、前処理された廃水を嫌気性消化によりメ
タンを生成し、嫌気性消化装置20の本体は円筒形であり、内底面は円錐形であるため、
嫌気性消化構造物の収集および還流などに寄与し、嫌気性消化装置20の上部右側に排水
管25が設けられ、嫌気性消化装置20の下部右側に排出管28が設けられ、嫌気性消化
装置20の外部右側に還流管26を介して排水管25、排出管28と連通し、還流管26
の中央に還流ポンプ27がさらに設けられ、嫌気性消化装置20内の上部に位置し廃水滞
留装置40の出口端に接続された配水器21が設けられ、前処理後タンパク質廃水を分流
して嫌気性消化装置20の底部に導入し、配水器21は5方向管22および4組の垂直管
23で構成され、垂直管23は鉄材料で形成されその先端にふるい穴が設けられ、熱伝達
を加熱装置として、嫌気性消化装置スラッジ代謝活動に必要な温度を確保し、4組の垂直
管23は対応して5方向管22の下向きに開口された4つの管口に接続され、廃水滞留装
置40の出口端は5方向管22の上向きに開口された管口と接続管13を介して接続され
、接続管13に断熱層が設けられその中央にフラグフローポンプ14が設けられ、
図1、2に示すように、嫌気性消化装置20の内壁に位置する温度センサー29は、嫌気
性消化装置20の内部温度を監視し、嫌気性消化装置20内に位置し排水管25の位置に
対応するオーバーフロー堰24、および嫌気性消化装置20の頂部に位置しメタンを回収
するためのガス回収装置30を含み、ガス回収装置30は逆円錐形漏斗の形状であり、メ
タンの収集効果を高め、マイクロ波前処理装置10外壁に位置するコントローラー15は
、温度センサー29の検出値に基づいてマイクロ波前処理装置10内部パラメータおよび
タンパク質廃水の廃水滞留装置40中での滞留時間を調節して、嫌気性消化装置20の配
水器21から流出した廃水の温度が微生物生命代謝に必要な温度範囲内にあり、コントロ
ーラー15は、市販品である三菱FX3GA-60MT-CMマイクロプログラマブルコン
トローラを採用し、温度センサー29とコントローラー15はデータラインを介して接続
され、コントローラー15と入口ポンプ12などのポンプはリレーをかいして接続される
。
マイクロ波処理を使用してタンパク質のコンフォメーションを変更し、タンパク質を変性
させ、特に、タンパク質の二次的なコンフォメーション変化を促進し、タンパク質の加水
分解を促進し、高タンパク質廃水の生分解性を改善する。マイクロ波前処理装置10は、
廃水滞留装置40をタンパク質廃水の通路として使用し、入口ポンプ12の回転速度を制
御することで入水流量を調節して、タンパク質廃水のマイクロ波前処理装置10中での滞
留時間を制御し、マイクロ波前処理装置10の出力を等価的に調整して嫌気性消化装置2
0に入ったタンパク質廃水の温度を制御し、嫌気性消化装置20に入った廃水の温度が内
部から外部へ拡散し、嫌気性消化構造物の占有面積が大きく、構造物加熱断熱システムに
よるエネルギー消費などの問題を避け、運転コストを削減する同時に、本発明は化学薬品
が添加されず、発生源からの二次汚染を避ける。
上記装置の動作方法は以下のとおりである。タンパク質廃水が入口ポンプ12を介してマ
イクロ波前処理装置10に導入され、タンパク質廃水がループチューブ41中で継続的に
流動し、前処理されたタンパク質廃水は接続管13上のフラグフローポンプ14によって
嫌気性消化装置20に導入され、配水器21に入って、タンパク質廃水は5方向管22に
よって分流され、下端にふるい穴が設けられた垂直管23を介して嫌気性消化装置20の
底部に導入されて配水され、処理されたタンパク質廃水がオーバーフロー堰24を通過し
、排水管25から装置外部に排出され、メタンがガス回収装置30によって回収され、一
部のタンパク質廃水が還流管26を通過し、還流ポンプ27によって再び嫌気性消化装置
20の底部に導入され、排出管28のバルブが常に閉じ、温度センサー29は嫌気性消化
装置の内部温度を継続的に監視し、コントローラー15によって調整指令をマイクロ波前
処理装置10と入口ポンプ12に送信し、
マイクロ波によりタンパク質廃水を前処理して嫌気性消化によりメタンを生成する装置を
使用してメタンを生成する方法は、以下のステップを含む。
前処理階段:マイクロ波前処理装置10の出力設定範囲が600~800Wであり、周波
数が2~3GHzである。人工ウシ血清タンパク質廃水は、入口ポンプ12によってマイ
クロ波前処理装置10に導入され、タンパク質廃水がループパイプ41内に十分な滞留時
間を有するように、水入口ポンプ12の回転速度を制御し、前処理が終了した後、ウシ血
清タンパク質が変性し、特にタンパク質の二次構造が変化し、タンパク質の加水分解を促
進し、高タンパク質廃水の生分解性を改善する同時に、温度が30~50℃という温度区
間標準に達する。
配水階段:前処理された廃水はフラグフローポンプ14から嫌気性消化装置20に導入さ
れ、5方向管22、垂直管23を介して嫌気性消化装置20の底部に導入され、底部でタ
ンパク質廃水が微生物と十分に接触し、垂直管23は鉄材料で形成され、タンパク質廃水
の輸送過程中放熱される可能性があり、熱伝達を加熱装置として使用し、反応器が適切な
温度を持ち、微生物代謝に必要な温度を確保する。
嫌気性消化階段:嫌気性消化装置20の底部に嫌気性粒子スラッジが設けられ、生分解性
が改善された高タンパク廃水は、嫌気性粒状スラッジ中の嫌気性消化機能細菌によって完
全に利用され、加水分解、酸性化、酸性化、メタン生成などのプロセスを通じてエネルギ
ー変換を実現する。廃水がオーバーフロー堰24および排水管25を介して装置外部へ排
出され、メタンがガス回収装置30によって回収される。
温度制御プロセス:温度センサー29により嫌気性消化装置20の内部温度を監視し、マ
イクロ波前処理装置10の出力、および入口ポンプ12の回転速度をリアルタイムでフィ
ードバックして、前処理された廃水が嫌気性消化装置20に入る直前に30~50℃の温
度区間標準を持つ。
【0023】
実施例2
本実施例は、以下のことを除いて、実施例1と基本的に同じであり、
図6に示すように、
廃水滞留装置40は具体的に4組のU字形の管42および5組の回転式水誘導コンポーネ
ント50によって組み立てられたS字形の管構造であり、回転式水誘導コンポーネント5
0を駆動するための水動力駆動コンポーネント60をさらに含み、水動力駆動コンポーネ
ント60は入口ポンプ12側のマイクロ波前処理装置10の内底面に設けられ、廃水滞留
装置40の出口端は出口延長管16を介して接続管13に接続され、廃水滞留装置40の
入口端は水動力駆動コンポーネント60を介して入口ポンプ12に接続され、U字形の管
42は固定部品17を介してマイクロ波前処理装置10の左側内壁または右側内壁に接続
され固定される。
図8、9、17、18に示すように、回転式水誘導コンポーネント50は、両端がU字形
の管42に接続されたキャリアディスク51および2組のキャリアディスク51間に回転
可能に設けられた3組の回転管体を含み、各回転管体はすべて円弧状の管体55であり、
円弧状の管体55により、タンパク質廃水のマイクロ波前処理装置10中での滞留時間を
効果的に延長することができないが、円弧状の細い管体55によりマイクロ波処理の効果
を高め、タンパク質の二次コンフォメーション変化を促進し、回転管体の両端がそれぞれ
キャリアディスク51のシンク溝上に回転可能に封止された扇形キャビティ52を介して
キャリアディスク51に接続され、扇形キャビティ52はキャリアディスク51のシンク
溝に対応する側の側面に開口が開設され、キャリアディスク51のシンク溝下部に水出口
53が設けられ、各扇形キャビティ52はシールリング54を介してキャリアディスク5
1シンク溝に回転可能に封止されたディスク構造を形成し、シールリング54の円周面は
シンク溝円周面に凹溝、凸溝を介して回転かつ封止可能に接続される。
図14~16に示すように、水動力駆動コンポーネント60は、水動力駆動ハウジング6
1、水動力駆動ハウジング61内に設けられたインペラ62および各回転式水誘導コンポ
ーネント50を対応して駆動するための複数組の駆動プーリー65を含み、水動力駆動ハ
ウジング61の外側面に入口ポンプ12に接続された水入口管63および回転式水誘導コ
ンポーネント50に接続された水出口エルボ64が設けられ、水入口管63と水動力駆動
ハウジング61の連通した開口にインペラ62に向かって傾斜する7組の傾斜口が設けら
れる。
図7に示すように、駆動プーリー65はすべて水動力駆動コンポーネント60と同じ側の
U字形の管42または水出口エルボ63上に回転可能に嵌設され、駆動プーリー65に駆
動ベルト66を搭載するための2組のベルト溝が設けられ、回転式水誘導コンポーネント
50の数に対応し、隣接する2組の駆動プーリー65間が駆動ベルト66によって接続さ
れて伝達され、水出口エルボ63上に位置する駆動プーリー65に、インペラ62頂部に
設けられた駆動ベベルギア67と噛み合われて伝達されたベベルギアリング68が配置さ
れ、駆動ベベルギア67はシャフトロッドを介して水動力駆動ハウジング61の頂面を貫
通してインペラ62に接続され、ベベルギアリング68は水出口エルボ63上の駆動プー
リー65に固定されて接続され、水動力駆動コンポーネント60の右側のU字形の管42
または出口延長管16上にガイドリング70が設けられ、各ガイドリング70、駆動プー
リー65はU字形の係合爪69を介して回転式水誘導コンポーネント50に接続される。
上記の構造は、その製造難易度および製造コストがループチューブ41と比較して高いも
のの、上記の構造により、モータなどの電気部品を追加せずに、限られたスペースでのタ
ンパク質廃水の流通経路と滞留時間を効果的に改善し、マイクロ波前処理装置10での通
過時間を長くし、タンパク質廃水の温度上昇処理などに廃水の流量制御をより有効に活用
する。
上記廃水滞留装置40の動作原理は以下のとおりである。タンパク質廃水が入口ポンプ1
2から水動力駆動コンポーネント60の水入口管63に投入され、水入口管63と水動力
駆動ハウジング61の連通箇所の各傾斜穴を介してタンパク質廃水がインペラ62に導入
され回転し、水動力駆動コンポーネント60が動作し、同時にタンパク質廃水が水出口エ
ルボ64を介して回転式水誘導コンポーネント50中に入り、
水動力駆動コンポーネント60が継続的に運転すると、そのインペラ62の回転作用下で
、駆動ベベルギア67が継続的に回転し、駆動ベベルギア67を介してベベルギアリング
68に噛み合われて伝達され、水出口エルボ64上の駆動プーリー65がベベルギアリン
グ68の回転作用下で同期して回転し、隣接する2組の駆動プーリー65により、駆動ベ
ルト66の作用下で、各組の駆動プーリー65が回転する。
同時に、各組の駆動プーリー65は対応する回転式水誘導コンポーネント50と協力して
駆動され、駆動プーリー65はU字形の係合爪69と円弧状の管体55の接続により、扇
形キャビティ52とキャリアディスク51の協力作用下で回転し、水出口53の扇形キャ
ビティ52の円弧状の管体55を通過すれば後端に連通し、他の2組の扇形キャビティ5
2に接続された円弧状の管体55は封止可能に回転することで、これら2組の円弧状の管
体55内のタンパク質廃水が滞留し、タンパク質廃水の滞留時間を増加する。
【0024】
実施例3
本実施例は、以下のことを除いて実施例2と基本的に同じであり、回転式水誘導コンポー
ネント50の各回転管体はすべてS字形の管体56である。ループチューブ41のS字形
の構造と回転式水誘導コンポーネント50の組み合わせにより、タンパク質廃水のマイク
ロ波前処理装置10中での流通経路を大幅に延長し、タンパク質廃水の前処理効果をより
向上させる。
上記廃水滞留コンポーネント40の動作原理は、以下のことを除いて実施例2と基本的に
同じであり、
図10~13に示すように、各組の駆動プーリー65はその対応する回転式
水誘導コンポーネント50と協力して駆動され、駆動プーリー65はU字形の係合爪69
とS字形の管体56の接続によって、扇形キャビティ52とキャリアディスク51の協力
作用下で回転し、水出口53の扇形キャビティ52のS字形の管体56を通過すれば後端
に連通し、他の2組の扇形キャビティ52に接続されたS字形の管体56は封止可能に回
転し、これら2組のS字形の管体56内のタンパク質廃水が滞留し、タンパク質廃水の滞
留時間を増加する。
【0025】
タンパク質廃水の処理実験
実施例1を例にして、入口ポンプ12からマイクロ波前処理装置10に導入された高タン
パク質廃水は、ウシ血清タンパク質から人工的に合成されたものであり、ウシ血清タンパ
ク質の人工合成廃水は、初期タンパク質濃度が5000mg/Lであり、CODの初期濃
度が7500mg/Lであり、初期温度が20℃である。
上記の装置を使用して処理し、入水流量が入口ポンプ12の回転速度から制御され、入口
ポンプ12の回転速度が60r/minであり、マイクロ波前処理装置10の出力が60
0Wである場合、高タンパク質廃水がマイクロ波前処理装置10を通過した後の温度が3
0℃に達し、入口ポンプ12の回転速度が40r/minであり、マイクロ波前処理装置
10の出力が600Wである場合、高タンパク質廃水がマイクロ波前処理装置10を通過
した後の温度が50℃に達し、ただし、入口ポンプ12の回転速度およびマイクロ波前処
理装置10の出力は温度制御プロセスによって制御され、その数の大きさについて、コン
トローラー15が嫌気性消化装置20の内部温度と前処理後(本実施例では具体的に前処
理後温度の30℃と50℃)の温度差に基づいて、入口ポンプ12の回転速度とマイクロ
波前処理装置10の出力比率を調節することでリアルタイムで調整され、温度差が2℃を
超えるとコントローラー15から指令を送信する。
【0026】
図19に示すように、前処理された高タンパク質廃水はフラグフローポンプ14から配水
器21を介して嫌気性消化装置20に導入されて12時間の適応期が経過した後、嫌気性
消化装置中にメタンの蓄積が見つかり、反応器が96時間運転すると、メタン生成率が前
処理温度の50℃と30℃でそれぞれ221.97ml/gタンパク質と207.62m
l/gタンパク質であり、対照組(141.02ml/gタンパク質)のメタン生成率より
もそれぞれ57.4%と47.2%増加し、対照組では、前処理せずに嫌気性消化装置2
0に直接導入され、生成されたメタンはガス回収装置30によって回収され、還流管26
での還流ポンプ27の回転速度は4r/minであり、常に運転状態を維持し、高タンパ
ク質廃水ができるだけ反応しメタン変換率を向上させる。マイクロ波前処理後の廃水温度
が40℃に達する場合、運転状況が上記と一致し、メタンの生成率を向上させることもで
きるため、本発明は、幅広い実用性と普遍的な適用性を有する。
【0027】
同時に、本発明の各解決策の技術的効果をさらに説明するために、上記と同様な方法を使
用して、それぞれ実施例2、実施例3の装置でおなじタンパク質廃水処理を行ったところ
、前処理された高タンパク質廃水はフラグフローポンプ14から配水器21を介して嫌気
性消化装置20に導入されて12時間の適応期が経過した後、装置中でメタンの蓄積が見
つかり、反応器が96時間運転すると、以下の結果が得られる。
実施例2中のメタン生成率は、前処理温度の50℃と30℃でそれぞれ230.43ml
/gタンパク質と216.75ml/gタンパク質であり、対照組(141.02ml/g
タンパク質)のメタン生成率よりもそれぞれ63.4%と53.7%増加した。
実施例3中のメタン生成率は、前処理温度の50℃と30℃でそれぞれ234.37ml
/gタンパク質と221.17ml/gタンパク質であり、対照組(141.02ml/g
タンパク質)のメタン生成率よりもそれぞれ66.2%と56.8%増加した。
したがって、回転式水誘導コンポーネント50などの関連部品で構成された廃水滞留コン
ポーネント40は、より良好な前処理効果を有し、タンパク質廃水のメタン生成率をある
程度向上させ、実施例3の向上率が比較的良好であることが分かった。
【要約】 (修正有)
【課題】運転コストを削減し、処理プロセスでは化学薬品が添加されず、発生源からの二次汚染を避けることができる、高タンパク質廃水を処理してメタンを生成する装置を提供する。
【解決手段】順次直列に接続されたマイクロ波前処理装置10と嫌気性消化装置20を含むマイクロ波によりタンパク質廃水を前処理して嫌気性消化によりメタンを生成する装置を提供するものであり、入水口の流量を制御することでタンパク質廃水のマイクロ波前処理装置での滞留時間を制御し、マイクロ波前処理装置の出力を等価的に調整することで嫌気性消化装置に入ったタンパク質廃水の温度を制御する、装置を提供する。
【選択図】
図4