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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】浴室ユニット
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/20 20060101AFI20220119BHJP
【FI】
E03C1/20 E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017013263
(22)【出願日】2017-01-27
(65)【公開番号】P2018119370
(43)【公開日】2018-08-02
【審査請求日】2019-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】小田切 裕典
(72)【発明者】
【氏名】小川 潤
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 哲隆
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-154567(JP,A)
【文献】特開平11-336148(JP,A)
【文献】特開平11-315571(JP,A)
【文献】特開2001-095712(JP,A)
【文献】特開2000-265513(JP,A)
【文献】特開2000-204626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12-1/298
A47K 3/02,4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽と、
前記浴槽に隣接する洗い場床と、
前記浴槽側に寄せて前記洗い場床に設けられ、前記洗い場床の床面よりも下方に凹み、底面に排水口を有する矩形状の凹部と、
着脱可能に前記凹部に取り付けられ、前記凹部内に嵌って前記排水口の上方を覆いつつ、前記洗い場床から前記排水口への排水を可能にする矩形状のカバーであって、第1辺と、前記第1辺と反対側の第2辺と、前記第1辺の一端側から前記第2辺の一端側に向かって延びる第3辺と、前記第1辺の他端側から前記第2辺の他端側に向かって延びる第4辺と、を有し、前記第1辺を前記浴槽側に向けた第1向き、及び前記第2辺を前記浴槽側に向けた第2向きで、前記凹部に取り付け可能なカバーと、
を備え、
前記浴槽は、前記洗い場床側に突出した側面部を有し、
前記側面部は、前記洗い場床の床面よりも上方に位置する下端を有し、前記下端と前記洗い場床の床面との間に隙間を生じさせ、
前記カバーは、前記凹部に取り付けられた状態において使用者が指を掛けることができる第1切り欠き部及び第2切り欠き部を有し
前記第1切り欠き部は前記第1辺の前記一端側又は前記他端側に設けられ
前記第2切り欠き部は前記第2辺の前記一端側又は前記他端側に設けられ、
前記第1切り欠き部及び前記第2切り欠き部は、前記カバーが前記凹部に取り付けられた状態において、前記カバーと前記凹部との間に隙間を生じさせ、使用者が前記カバーと前記凹部との間の前記隙間に指を差し込むことにより、指を掛けられるようにし、
前記カバーが前記凹部に取り付けられた状態において前記第1向きの場合は、前記洗い場床側に位置する前記第2切り欠き部へ使用者が指を掛けることができるとともに、前記カバーが前記凹部に取り付けられた状態において前記第2向きの場合は、前記洗い場床側に位置する前記第1切り欠き部へ使用者が指を掛けることができることを特徴とする浴室ユニット。
【請求項2】
前記第1切り欠き部は、前記第1辺の前記一端側に設けられ、
前記第2切り欠き部は、前記第2辺の前記他端側に設けられることを特徴とする請求項1記載の浴室ユニット。
【請求項3】
前記凹部及び前記カバーは、前記第1辺及び前記第2辺と平行な方向の長さが、前記第1辺及び前記第2辺と直交する方向の長さよりも長い横長矩形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の浴室ユニット。
【請求項4】
前記側面部の下端は、前記凹部に取り付けられた前記カバーの前記洗い場床側の端部を軸に回転させて前記カバーを前記凹部から取り外す際に、前記カバーの前記浴槽側の端部と接触する位置に配置されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の浴室ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、浴室ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
図9(a)に表したように、浴室に設置して使用される浴室ユニット100において、洗い場床120との間に隙間ができるよう浴槽110の側面を洗い場床120側に出っ張らせることが知られている(例えば、特許文献1)。このように、浴槽110の側面を出っ張らせることで、例えば、浴槽110が浮いているような印象を使用者に与え、意匠性を向上させることができる。
【0003】
洗い場床120は、排水口が底面に設けられた凹部122を有する。凹部122には、カバー130が嵌め込まれる。カバー130は、排水口などを覆い、排水口などが使用者に視認されてしまうことを抑制しつつ、洗い場床120に流れた水を凹部122内の排水口に排水可能とする。
【0004】
凹部122は、浴槽110側に寄せて配置される。このため、凹部122の一部及びカバー130の一部は、浴槽110の側面の下方に配置される。これにより、凹部122やカバー130を使用者に視認し辛くし、洗い場床120の美観を向上させることができる。
【0005】
また、図9(a)に表したように、このような浴室ユニット100において、矩形状のカバー130の1つのコーナー部に切り欠き部130aを設け、切り欠き部130aが洗い場床120側を向くようにカバー130を凹部122に取り付けることにより、カバー130を着脱し易くすることも提案されている。
【0006】
しかしながら、上記のように切り欠き部130aを設けた場合、切り欠き部130aを浴槽110側に向けて反対向きにカバー130を凹部122に取り付けてしまう可能性がある。カバー130を反対向きに取り付けてしまうと、使用者がカバー130を取り外す際に、図9(b)に表したように、浴槽110の側面の下端と洗い場床120との間の狭い隙間に手を入れてカバー130を取り外さなければならず、カバー130を非常に取り外し辛くなってしまう。また、カバー130を持ち上げようとした際に、図9(b)に表したように、カバー130と浴槽110との間に手を挟んでしまう可能性も生じる。
【0007】
このため、浴室ユニットでは、浴槽の側面を洗い場床側に出っ張らせた場合にも、洗い場床の排水口を覆うカバーを容易に着脱できるようにすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2009-30325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、浴槽の側面を洗い場床側に出っ張らせた場合にも、洗い場床の排水口を覆うカバーを容易に着脱できる浴室ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、浴槽と、前記浴槽に隣接する洗い場床と、前記浴槽側に寄せて前記洗い場床に設けられ、前記洗い場床の床面よりも下方に凹み、底面に排水口を有する矩形状の凹部と、着脱可能に前記凹部に取り付けられ、前記凹部内に嵌って前記排水口の上方を覆いつつ、前記洗い場床から前記排水口への排水を可能にする矩形状のカバーであって、第1辺と、前記第1辺と反対側の第2辺と、を有し、前記第1辺を前記浴槽側に向けた第1向き、及び前記第2辺を前記浴槽側に向けた第2向きで、前記凹部に取り付け可能なカバーと、を備え、前記浴槽は、前記洗い場床との間に隙間を生じるよう前記洗い場床側に突出した側面部を有し、前記カバーは、前記凹部に取り付けられた状態において使用者が指を掛けることができる第1切り欠き部及び第2切り欠き部を有し、前記第1切り欠き部は前記第1辺の一端側に設けられるとともに、前記第2切り欠き部は前記第2辺の一端側に設けられ、前記第1切り欠き部及び前記第2切り欠き部は、前記カバーが前記凹部に取り付けられた状態において、前記カバーと前記凹部との間に隙間を生じさせ、使用者が前記隙間に指を差し込むことにより、指を掛けられるようにし、前記カバーが前記凹部に取り付けられた状態において前記第1向きの場合は、前記洗い場床側に位置する前記第2切り欠き部へ使用者が指を掛けることができるとともに、前記カバーが前記凹部に取り付けられた状態において前記第2向きの場合は、前記洗い場床側に位置する前記第1切り欠き部へ使用者が指を掛けることができることを特徴とする浴室ユニットである。
【0011】
この浴室ユニットによれば、第1向きでカバーを凹部に取り付けた場合には、第2切り欠き部に指を掛けて洗い場床側からカバーを取り外すことができる。反対に、第2向きでカバーを凹部に取り付けた場合には、第1切り欠き部に指を掛けて洗い場床側からカバーを取り外すことができる。従って、浴槽の側面部を洗い場床側に出っ張らせた場合にも、洗い場床の排水口を覆うカバーを容易に着脱することができる。第1向き及び第2向きのいずれの向きでカバーを凹部に取り付けた場合でも、第1切り欠き部及び第2切り欠き部のいずれかが洗い場床側(浴槽とは反対側)に配置されるため、浴槽の側面部の下端と洗い場床との間の狭い隙間に手を入れる必要がなく、カバーと浴槽との間に手を挟んでしまうこともない。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、前記第2切り欠き部は、前記第1切り欠き部の対角に設けられることを特徴とする浴室ユニットである。
【0013】
この浴室ユニットによれば、第1向きでカバーを凹部に取り付けた場合でも、第2向きでカバーを凹部に取り付けた場合でも、洗い場床側の同じ位置に第1切り欠き部又は第2切り欠き部が配置されるため、カバーの着脱をより容易にすることができる。
【0014】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記凹部及び前記カバーは、前記第1辺及び前記第2辺と平行な方向の長さが、前記第1辺及び前記第2辺と直交する方向の長さよりも長い横長矩形状であることを特徴とする浴室ユニットである。
【0015】
この浴室ユニットによれば、凹部及びカバーを横長矩形状とすることにより、カバーの洗い場床側への露出を抑えることができ、意匠性をより高めることができる。また、使用者などに利用される頻度の高い洗い場床の中央付近に水が溜まることを抑制し、浴室ユニットの快適性を向上させることもできる。
【0016】
第4の発明は、第1~第3のいずれか1つの発明において、前記側面部の下端は、前記凹部に取り付けられた前記カバーの前記洗い場床側の端部を軸に回転させて前記カバーを前記凹部から取り外す際に、前記カバーの前記浴槽側の端部、又は前記カバーを把持する手と接触する位置に配置されていることを特徴とする浴室ユニットである。
【0017】
この浴室ユニットによれば、側面部の下端が、凹部に取り付けられたカバーの近傍に配置されている場合においても、第1切り欠き部及び第2切り欠き部により、手などを挟むことなくカバーを容易に着脱することができる。また、凹部に取り付けられたカバーの近傍に側面部の下端を配置することにより、浴槽が浮いているような印象を強くし、浴室ユニットの意匠性をより向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の態様によれば、浴槽の側面を洗い場床側に出っ張らせた場合にも、洗い場床の排水口を覆うカバーを容易に着脱できる浴室ユニットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係る浴室ユニットを表す斜視図である。
図2】実施形態に係る浴室ユニットを表す断面図である。
図3図3(a)及び図3(b)は、実施形態に係る凹部及びカバーを表す斜視図である。
図4図4(a)及び図4(b)は、実施形態に係るカバーを表す斜視図である。
図5図5(a)及び図5(b)は、実施形態に係る凹部及びカバーを表す断面図である。
図6図6(a)及び図6(b)は、実施形態に係る凹部及びカバーを表す断面図である。
図7】実施形態に係るカバーの変形例を表す平面図である。
図8】実施形態に係るカバーの変形例を表す平面図である。
図9】参考の浴室ユニットを表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係る浴室ユニットを表す斜視図である。
図2は、実施形態に係る浴室ユニットを表す断面図である。
図1及び図2に表したように、浴室ユニット10は、浴槽12と、洗い場床14と、凹部16と、カバー18と、を備える。洗い場床14は、浴槽12に隣接して設けられる。浴室ユニット10は、例えば、浴槽12、洗い場床14、及び周囲の壁面パネルなどをユニット化した、いわゆるユニットバスやシステムバスである。
【0021】
以下、本願明細書では、上下方向をZ軸方向、浴槽12と洗い場床14とが並ぶ方向をX軸方向(第1方向)、Z軸方向及びX軸方向と直交する方向をY軸方向(第2方向)と、それぞれ呼ぶ場合がある。Y軸方向は、換言すれば、洗い場床14の床面14aと平行でX軸方向と直交する方向である。
【0022】
凹部16は、浴槽12側に寄せて洗い場床14に設けられる。凹部16は、洗い場床14の床面14aよりも下方に凹む。凹部16は、底面16aを有する。また、凹部16は、底面16aに設けられた排水口16bを有する。
【0023】
排水口16bは、例えば、排水トラップなどを介して建築の排水管などに接続され、洗い場床14側から流入した水を外部の排水管などに排水する。また、凹部16は、例えば、浴槽12内の水が排水された際に、浴槽12から排水された水が洗い場床14側に溢れ出てしまうことを抑制する。
【0024】
排水口16bには、例えば、ヘアキャッチャー20が設けられる。ヘアキャッチャー20は、排水口16bに着脱可能に取り付けられる。ヘアキャッチャー20は、複数の開口を有する格子状又は網状に形成され、毛髪やゴミなどが排水管に流れてしまうことを抑制する。ヘアキャッチャー20は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0025】
凹部16を上方から見た形状は、矩形状である。換言すれば、凹部16の開口形状は、矩形状である。凹部16は、例えば、略直方体状に凹んだ凹所である。凹部16の一つの辺は、X軸方向に延びる。凹部16の別の一つの辺は、Y軸方向に延びる。底面16aを上方から見た形状は、必ずしも矩形状でなくてもよい。凹部16は、少なくとも開口部の形状が矩形状であればよい。凹部16の開口部の各辺は、僅かに湾曲していてもよい。
【0026】
カバー18は、着脱可能に凹部16に取り付けられる。カバー18を上方から見た形状は、矩形状である。カバー18の外形形状は、凹部16の開口形状に対応して形成されている。カバー18は、凹部16に取り付けられた状態において、凹部16内に嵌って排水口16bの上方を覆いつつ、洗い場床14から排水口16bへの排水を可能にする。
【0027】
このように、カバー18は、排水を可能にしつつ、排水口16bやヘアキャッチャー20などを覆い隠す。これにより、浴室ユニット10の美観を向上させることができる。また、カバー18の上面18aは、凹部16に取り付けられた状態において、洗い場床14の床面14aと略面一になる。略面一とは、例えば、一方の面と他方の面との位置の差が2mm以下の状態である。これにより、例えば、使用者などが凹部16に足を引っ掛けてしまうことなどを抑制することができる。
【0028】
浴槽12は、洗い場床14のとの間に隙間を生じるように洗い場床14側に突出した第1側面部31(側面部)を有する。第1側面部31は、洗い場床14側を向く。第1側面部31は、換言すれば、浴槽12の外側面である。第1側面部31の下端31aの一部は、例えば、凹部16に取り付けられたカバー18の上方に位置する。第1側面部31の下端31aは、必ずしも凹部16に取り付けられたカバー18の上方に位置していなくてもよい。
【0029】
浴槽12は、例えば、第2側面部32と、下面部33と、をさらに有する。第2側面部32は、洗い場床14側を向き、第1側面部31よりも浴槽12側に設けられている。下面部33は、X軸方向に延び、第1側面部31の下端31aと、第2側面部32の上端と、を接続する。下面部33は、換言すれば、第1側面部31の下端31aから浴槽12側に向かって延びる。下面部33は、下方を向く面である。
【0030】
第2側面部32は、例えば、洗い場床14の床面14aの浴槽12側の端部から上方に向かって延びる。凹部16は、例えば、第2側面部32に近接して配置される。凹部16の浴槽12側の内側面は、例えば、第2側面部32と略面一に形成される。第1側面部31は、第2側面部32よりも洗い場床14側に突出する。第1側面部31の突出量は、凹部16のX軸方向の長さ未満である。これにより、第1側面部31の下端31aの一部が、凹部16に取り付けられたカバー18の上方に位置する。
【0031】
第1側面部31、第2側面部32、及び下面部33は、例えば、浴槽12の浴槽本体に着脱可能に取り付けられる浴槽エプロン(側面パネル)によって形成される。第1側面部31、第2側面部32、及び下面部33は、例えば、浴槽12の内側面と連続的に形成してもよい。すなわち、第1側面部31、第2側面部32、及び下面部33は、浴槽12の浴槽本体の外側面でもよい。
【0032】
例えば、第2側面部32は、洗い場床14に一体に設けてもよい。第2側面部32は、例えば、洗い場床14の床面14aの端部から上方に立ち上がる立ち上がり部(土手部)でもよい。このように、第1側面部31は、浴槽12に設け、第2側面部32は、洗い場床14に設けてもよい。浴槽12は、少なくとも第1側面部31を有していればよい。
【0033】
図3(a)及び図3(b)は、実施形態に係る凹部及びカバーを表す斜視図である。
図4(a)及び図4(b)は、実施形態に係るカバーを表す斜視図である。
図3(a)は、凹部16にカバー18を取り付けた状態を表す。
図3(b)は、凹部16からカバー18を取り外した状態を表す。
図4(a)は、カバー18を上方(表側)から見た状態を表す斜視図である。
図4(b)は、カバー18を下方(裏側)から見た状態を表す斜視図である。
【0034】
凹部16は、例えば、カバー18を載置するための一対の載置面16c、16dを有する。載置面16c、16dは、略水平面状である。略水平面とは、例えば、面内の最も高い位置と最も低い位置との差が2mm以下の平面である。また、載置面16dは、載置面16cと略面一である。載置面16c、16dは、排水口16bを挟んでY軸方向の両側に配置されている。
【0035】
凹部16は、例えば、端面16e、16fを有する。端面16eは、載置面16cの浴槽12側の一端と連続して設けられ、洗い場床14側を向く。端面16fは、載置面16dの浴槽12側の一端と連続して設けられ、洗い場床14側を向く。
【0036】
カバー18は、第1辺41と、第2辺42と、を有する。第2辺42は、第1辺41と反対側の辺である。より詳しくは、カバー18の矩形状の上面18aは、第1辺41と、第1辺41と反対側の第2辺42と、を有する。カバー18の上面18aは、例えば、第1辺41の一端側から第2辺42の一端側に向かって延びる第3辺43と、第1辺41の他端側から第2辺42の他端側に向かって延びる第4辺44と、をさらに有する。
【0037】
第2辺42は、第1辺41と略平行である。第4辺44は、第3辺43と略平行である。また、第3辺43及び第4辺44は、第1辺41及び第2辺42と略直交する。略平行とは、例えば、2つの辺の成す角度が、2°以下の状態である。略直交とは、例えば、2つの辺の成す角度が、89°以上91°以下の状態である。カバー18の外形形状は、例えば、矩形の平板状(直方体状)である。
【0038】
第1辺41及び第2辺42の長さは、例えば、凹部16のY軸方向の長さよりも僅かに短い程度(例えば1mm~4mm程度)に設定される。第3辺43及び第4辺44の長さは、例えば、凹部16のX軸方向の長さよりも僅かに短い程度に設定される。これにより、カバー18を凹部16内に嵌め易くすることができるとともに、凹部16の内側面とカバー18の外側面との間に空く隙間から洗い場床14に流れた水を排水口16bに排水することができる。
【0039】
カバー18の裏面側には、四隅のそれぞれに配置された4つの脚部18bが設けられている。各脚部18bのそれぞれにおいて、脚部18bの下端から上面18aまでの長さ(高さ)は、寸法誤差の範囲内(例えば±0.5mm)において実質的に一定である。各脚部18bは、水平面上に載置された状態において、上面18aを実質的に水平にする。
【0040】
各脚部18bは、凹部16内に嵌った取付状態において、各載置面16c、16dの上に載置される。これにより、凹部16にカバー18を取り付けた状態において、カバー18の上面18aが、略水平になる。また、脚部18bの下端から上面18aまでの長さは、載置面16c、16dから床面14aまでの長さと実質的に同じである。従って、凹部16にカバー18を取り付けた状態において、カバー18の上面18aが、洗い場床14の床面14aと略面一になる。
【0041】
カバー18の上面18aの形状は、凹部16の形状に対応する矩形状である。従って、カバー18は、第1辺41を浴槽12側に向けた第1向きでも、第2辺42を浴槽12側に向けた第2向きでも、凹部16内に嵌め込むことができる。そして、各脚部18bは、第1辺41を浴槽12側に向けた状態でも、第2辺42を浴槽12側に向けた状態でも、各載置面16c、16dの上に載置される。このように、カバー18は、第1向き及び第2向きで、凹部16に取り付け可能である。
【0042】
カバー18は、第1辺41に沿う側面18cと、第2辺42に沿う側面18dと、を有する。カバー18は、第1向きで凹部16に取り付けられた場合、側面18cの両端部S1、S2を凹部16の端面16e、16fと対向させる。カバー18は、第2向きで凹部16に取り付けられた場合、側面18dの両端部S3、S4を凹部16の端面16e、16fと対向させる。
【0043】
載置面16c、16dの数は、2つに限ることなく、1つでもよいし、3つ以上でもよい。また、脚部18bの数は、4つに限ることなく、第1向き及び第2向きのそれぞれで凹部16の載置面の上に載置可能な任意の数でよい。凹部16及びカバー18の形状は、上記に限ることなく、第1向き及び第2向きで取り付けが可能な任意の形状でよい。
【0044】
凹部16及びカバー18は、例えば、第1辺41及び第2辺42と平行な方向の長さが、第1辺41及び第2辺42と直交する方向の長さよりも長い横長矩形状である。換言すれば、凹部16及びカバー18のY軸方向の長さは、凹部16及びカバー18のX軸方向の長さよりも長い。
【0045】
凹部16及びカバー18のY軸方向の長さは、例えば、凹部16及びカバー18のX軸方向の長さと実質的に同じでもよい。すなわち、凹部16及びカバー18を上方から見た形状は、正方形状でもよい。あるいは、上記とは反対に、凹部16及びカバー18のY軸方向の長さを、凹部16及びカバー18のX軸方向の長さより短くしてもよい。
【0046】
カバー18は、第1辺41の一端側に設けられた第1切り欠き部51と、第2辺42の一端側に設けられた第2切り欠き部52と、を有する。この例において、第1切り欠き部51は、第1辺41の一端に設けられ、第2切り欠き部52は、第2辺42の一端に設けられる。換言すれば、第1切り欠き部51は、矩形状のカバー18の1つの角部に設けられ、第2切り欠き部52は、矩形状のカバー18の別の角部に設けられる。第2切り欠き部52は、例えば、第1切り欠き部51の対角に設けられる。この例において、カバー18を上方から見た形状は、実質的に回転対称形である。
【0047】
図5(a)及び図5(b)は、実施形態に係る凹部及びカバーを表す断面図である。
図5(a)及び図5(b)に表したように、第1切り欠き部51及び第2切り欠き部52は、カバー18を凹部16に取り付けた状態において、使用者が指を掛けることが可能な形状に形成されている。このように、カバー18は、凹部16に取り付けられた状態において、第1切り欠き部51及び第2切り欠き部52のそれぞれに指を掛けることが可能である。第1切り欠き部51及び第2切り欠き部52は、凹部16に取り付けられた状態のカバー18に指を掛けられるようにするものである。例えば、指が掛からない程度の切り欠きは、第1切り欠き部51及び第2切り欠き部52に含まれるものではない。
【0048】
これにより、カバー18は、第2辺42を浴槽12側に向けた第2向きで凹部16に取り付けた場合には、図5(b)に表したように、洗い場床14側に配置される第1切り欠き部51に指を掛け、側面18dの両端部S3、S4を凹部16の端面16e、16fに当接させ、カバー18の浴槽12側の端部を軸に回転させることで、凹部16から取り外すことができる。そして、カバー18は、上記と反対に、第1辺41を浴槽12側に向けた第1向きで凹部16に取り付けた場合には、洗い場床14側に配置される第2切り欠き部52に指を掛け、側面18cの両端部S1、S2を凹部16の端面16e、16fに当接させ、カバー18の浴槽12側の端部を軸に回転させることで、凹部16から取り外すことができる。
【0049】
第1切り欠き部51及び第2切り欠き部52の形状は、カバー18が凹部16に取り付けられた状態において指を掛けることが可能な任意の形状でよい。この例では、第2切り欠き部52の形状が、第1切り欠き部51の形状と実質的に同じである。第2切り欠き部52の形状は、第1切り欠き部51の形状と異なってもよい。
【0050】
図6(a)及び図6(b)は、実施形態に係る凹部及びカバーを表す断面図である。
図6(a)及び図6(b)に表したように、第1側面部31の下端31aは、凹部16に取り付けられたカバー18の洗い場床14側の端部を軸に回転させて、カバー18を凹部16から取り外す際に、カバー18の浴槽12側の端部、又はカバー18を把持する手(指)と接触する位置に配置されている。
【0051】
このように、第1側面部31の下端31aは、凹部16に取り付けられたカバー18の上方において、カバー18の近傍に配置される。浴槽12の上端(リム面)は、洗い場床14の床面14aよりも上方に位置する。第1側面部31の下端31aは、例えば、浴槽12の上端と洗い場床14の床面14aとの高さ方向(Z軸方向)の中央よりも下方に配置される。第1側面部31の下端31aと洗い場床14の床面14aとの間の高さ方向の距離D1は、例えば、1cm以上10cm以下である。これにより、例えば、洗い場床14に立った使用者が斜め上方から浴槽12を見た際に、第2側面部32が第1側面部31によって覆い隠され、浴槽12が床面14aから浮いているような印象を強くすることができる。
【0052】
例えば、1つの切り欠き部しか有していないカバーにおいて、切り欠き部を浴槽12側に向けて凹部16に取り付けてしまった場合、使用者がカバーを取り外す際に、浴槽12の第1側面部31の下端31aと洗い場床14との間の狭い隙間に手を入れてカバーを取り外さなければならず、カバーを非常に取り外し辛くなってしまう。また、カバーを持ち上げようとした際に、図6(b)に表したように、カバーと第1側面部31の下端31aとの間、もしくはカバーと下面部33との間に手や指を挟んでしまう可能性も生じる。
【0053】
これに対して、本実施形態に係る浴室ユニット10では、カバー18が、第1切り欠き部51と第2切り欠き部52とを有する。これにより、第1向きでカバー18を凹部16に取り付けた場合には、第2切り欠き部52に指を掛けて洗い場床14側からカバー18を取り外すことができる。反対に、第2向きでカバー18を凹部16に取り付けた場合には、第1切り欠き部51に指を掛けて洗い場床14側からカバー18を取り外すことができる(図5(a)及び図5(b)参照)。従って、浴槽12の第1側面部31を洗い場床14側に出っ張らせた場合にも、洗い場床14の排水口16bを覆うカバー18を容易に着脱することができる。第1向き及び第2向きのいずれの向きでカバー18を凹部16に取り付けた場合でも、第1切り欠き部51及び第2切り欠き部52のいずれかが洗い場床14側(浴槽12とは反対側)に配置されるため、浴槽12の第1側面部31の下端31aと洗い場床14との間の狭い隙間に手を入れる必要がなく、カバー18と浴槽12との間に手を挟んでしまうこともない。
【0054】
また、浴室ユニット10では、第2切り欠き部52が、第1切り欠き部51の対角に設けられている。これにより、第1向きでカバー18を凹部16に取り付けた場合でも、第2向きでカバー18を凹部16に取り付けた場合でも、同じ位置に第1切り欠き部51又は第2切り欠き部52が配置されるため、カバー18の着脱をより容易にすることができる。
【0055】
また、浴室ユニット10では、凹部16及びカバー18が、第1辺41及び第2辺42と平行な方向の長さが、第1辺41及び第2辺42と直交する方向の長さよりも長い横長矩形状である。これにより、カバー18の洗い場床14側への露出を抑えることができ、意匠性をより高めることができる。また、使用者などに利用される頻度の高い洗い場床14のX軸方向の中央付近に水が溜まることを抑制することができる。例えば、凹部16に集中するように洗い場床14の床面14aの排水勾配を形成する場合に、X軸方向に延びた縦長状の凹部及びカバーと比べて、床面14aに流れる水を、より浴槽12側に寄せることができる。従って、浴室ユニット10の快適性をより向上させることができる。
【0056】
図7は、実施形態に係るカバーの変形例を表す平面図である。
図7に表したように、第2切り欠き部52は、第1切り欠き部51と同じ側に設けてもよい。この場合には、第1向きでカバー18を凹部16に取り付けた場合と、第2向きでカバー18を凹部16に取り付けた場合とで、第1切り欠き部51及び第2切り欠き部52の位置が変化してしまうものの、上記実施形態と同様に、第1向き及び第2向きのそれぞれにおいて洗い場床14側からカバー18を取り外すことができ、カバー18を容易に着脱することができる。
【0057】
図8は、実施形態に係るカバーの変形例を表す平面図である。
図8に表したように、第1切り欠き部51の位置は、必ずしも第1辺41の一端でなくてもよい。第2切り欠き部52の位置は、必ずしも第2辺42の一端でなくてもよい。換言すれば、第1切り欠き部51及び第2切り欠き部52は、必ずしも矩形状のカバー18の角部に設けられていなくてもよい。
【0058】
第1切り欠き部51は、第1辺41の一端側に寄せて設けられていればよい。第2切り欠き部52は、第2辺42の一端側に寄せて設けられていればよい。
【0059】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、浴室ユニット10などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0060】
10 浴室ユニット、 12 浴槽、 14 洗い場床、 16 凹部、 18 カバー、 20 ヘアキャッチャー、 31 第1側面部、 31a 下端、 32 第2側面部、 33 下面部、 41 第1辺、 42 第2辺、 43 第3辺、 44 第4辺、 51 第1切り欠き部、 52 第2切り欠き部、 100 浴室ユニット、 110 浴槽、 120 洗い場床、 122 凹部、 130 カバー、 130a 切り欠き部
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