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特許7009750画像形成装置、同装置による地紋領域判定方法及び地紋領域判定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】画像形成装置、同装置による地紋領域判定方法及び地紋領域判定プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/387 20060101AFI20220119BHJP
   H04N 1/40 20060101ALI20220119BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20220119BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20220119BHJP
   B41J 5/30 20060101ALI20220119BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
H04N1/387
H04N1/40
G06T1/00 310Z
B41J29/00 Z
B41J5/30 Z
B41J29/38
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2017047573
(22)【出願日】2017-03-13
(65)【公開番号】P2018152721
(43)【公開日】2018-09-27
【審査請求日】2019-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】松原 正知
(72)【発明者】
【氏名】内野 智史
(72)【発明者】
【氏名】羽場 健矢
(72)【発明者】
【氏名】川野 卓也
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-168795(JP,A)
【文献】特開2006-121200(JP,A)
【文献】特開2010-109730(JP,A)
【文献】特開2007-288592(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/387
H04N 1/40
G06T 1/00
B41J 29/00
B41J 5/30
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置で作成され、原稿画像と地紋画像が合成された画像データの印刷を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けられた印刷対象の画像データに対し、一定の領域毎に、ドット画像で構成される特定の画像パターンが存在するかどうかを判定する画像パターン判定手段と、
前記画像パターン判定手段により特定の画像パターンが存在すると判定された領域について、特定の画像パターンの周期を判定する周期判定手段と、
前記周期判定手段により判定された特定の画像パターンの周期が第1の周期である第1の領域と、第2の周期である第2の領域が存在するかどうかを判定し、前記第1及び第2の領域が存在する場合に、前記第1及び第2の領域により構成される領域を地紋画像の領域と判定する地紋領域判定手段と、
特定の画像パターンが存在すると判定された領域における特定の画像パターンの面積階調を判定する面積階調判定手段と、を備え、
前記地紋領域判定手段は、前記面積階調判定手段により判定された特定の画像パターンの面積階調が等しい領域を抽出するとともに、抽出された領域の中に第1及び第2の領域が存在するかどうかを判定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
外部装置で作成され、原稿画像と地紋画像が合成された画像データの印刷を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けられた印刷対象の画像データに対し、一定の領域毎に、ドット画像で構成される特定の画像パターンが存在するかどうかを判定する画像パターン判定手段と、
前記画像パターン判定手段により特定の画像パターンが存在すると判定された領域について、特定の画像パターンの周期を判定する周期判定手段と、
前記周期判定手段により判定された特定の画像パターンの周期が第1の周期である第1の領域と、第2の周期である第2の領域が存在するかどうかを判定し、前記第1及び第2の領域が存在する場合に、前記第1及び第2の領域により構成される領域を地紋画像の領域と判定する地紋領域判定手段と、
前記一定の領域毎に画像データの属性を判定する属性判定手段と、を備え、
前記属性判定手段により、画像データの属性が文字又は図形であると判定された領域に対してのみ、前記画像パターン判定手段は特定の画像パターンが存在するかどうかを判定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
外部装置で作成され、原稿画像と地紋画像が合成された画像データの印刷を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けられた印刷対象の画像データに対し、一定の領域毎に、ドット画像で構成される特定の画像パターンが存在するかどうかを判定する画像パターン判定手段と、
前記画像パターン判定手段により特定の画像パターンが存在すると判定された領域について、特定の画像パターンの周期を判定する周期判定手段と、
前記周期判定手段により判定された特定の画像パターンの周期が第1の周期である第1の領域と、第2の周期である第2の領域が存在するかどうかを判定し、前記第1及び第2の領域が存在する場合に、前記第1及び第2の領域により構成される領域を地紋画像の領域と判定する地紋領域判定手段と、を備え、
前記地紋領域判定手段は、第1及び第2の領域が存在すると判定した場合、第1の周期と第2の周期のうち低周波の周期が一定閾値以上であるかどうかをさらに判定し、低周波の周期が一定閾値以上であると判定した場合に、第1及び第2の領域を地紋画像の領域と判定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
外部装置で作成され、原稿画像と地紋画像が合成された画像データの印刷を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けられた印刷対象の画像データに対し、一定の領域毎に、ドット画像で構成される特定の画像パターンが存在するかどうかを判定する画像パターン判定手段と、
前記画像パターン判定手段により特定の画像パターンが存在すると判定された領域について、特定の画像パターンの周期を判定する周期判定手段と、
前記周期判定手段により判定された特定の画像パターンの周期が第1の周期である第1の領域と、第2の周期である第2の領域が存在するかどうかを判定し、前記第1及び第2の領域が存在する場合に、前記第1及び第2の領域により構成される領域を地紋画像の領域と判定する地紋領域判定手段と、を備え、
前記地紋領域判定手段は、第1及び第2の領域が存在すると判定した場合、第1及び第2の領域のうち周期が低周期である領域が周期が高周期である領域の中に取り囲まれているかどうかをさらに判定し、周期が低周期の領域が周期が高周期の領域の中に取り囲まれていると判定された場合、第1及び第2の領域を地紋画像の領域と判定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
外部装置で作成され、原稿画像と地紋画像が合成された画像データの印刷を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けられた印刷対象の画像データに対し、一定の領域毎に、ドット画像で構成される特定の画像パターンが存在するかどうかを判定する画像パターン判定手段と、
前記画像パターン判定手段により特定の画像パターンが存在すると判定された領域について、特定の画像パターンの周期を判定する周期判定手段と、
前記周期判定手段により判定された特定の画像パターンの周期が第1の周期である第1の領域と、第2の周期である第2の領域が存在するかどうかを判定し、前記第1及び第2の領域が存在する場合に、前記第1及び第2の領域により構成される領域を地紋画像の領域と判定する地紋領域判定手段と、を備え、
前記地紋領域判定手段は、第1及び第2の領域が存在すると判定した場合、第1及び第2の領域のうち周期が高周期である領域が周期が低周期である領域の中に取り囲まれているかどうかをさらに判定し、周期が高周期の領域が周期が低周期の領域の中に取り囲まれていると判定された場合、第1及び第2の領域を地紋画像の領域と判定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
外部装置で作成され、原稿画像と地紋画像が合成された画像データの印刷を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けられた印刷対象の画像データに対し、一定の領域毎に、ドット画像で構成される特定の画像パターンが存在するかどうかを判定する画像パターン判定手段と、
前記画像パターン判定手段により特定の画像パターンが存在すると判定された領域について、特定の画像パターンの周期を判定する周期判定手段と、
前記周期判定手段により判定された特定の画像パターンの周期が第1の周期である第1の領域と、第2の周期である第2の領域が存在するかどうかを判定し、前記第1及び第2の領域が存在する場合に、前記第1及び第2の領域により構成される領域を地紋画像の領域と判定する地紋領域判定手段と、
前記地紋領域判定手段により第1及び第2の領域が存在すると判定された場合、第1及び第2の領域のうち周期が低周期である領域の画像を単色ベタパターンとし、周期が高周期である領域の画像を消去した画像データを作成する画像データ作成手段と、
前記画像データ作成手段により作成された画像データを文字認識処理して、周期が低周期である領域に文字が形成されているかどうかを判定する文字認識手段と、を備え、
前記文字認識手段により周期が低周期である領域に文字が形成されていると判定された場合に、前記地紋領域判定手段は第1及び第2の領域を地紋画像の領域と判定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
特定の画像パターンが存在すると判定された領域における特定の画像パターンの濃度が均一かどうかを判定する濃度判定手段をさらに備え、
前記地紋領域判定手段は、前記濃度判定手段により特定の画像パターンの濃度が均一であると判定されかつ濃度が等しい領域を抽出するとともに、抽出された領域の中に第1及び第2の領域が存在するかどうかを判定する請求項1~6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
特定の画像パターンが存在すると判定された領域における特定の画像パターンの構成色を判定する構成色判定手段をさらに備え、
前記地紋領域判定手段は、前記構成色判定手段により判定された特定の画像パターンの構成色が等しい領域を抽出するとともに、抽出された領域の中に第1及び第2の領域が存在するかどうかを判定する請求項1~7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記地紋領域判定手段により地紋画像の領域と判定された第1及び第2の領域とそれ以外の領域に対して、それぞれ異なる画像処理を実施する画像処理手段と、
前記画像処理手段により画像処理が実施された画像データを印刷する印刷手段と、
をさらに備えている請求項1~8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
外部装置で作成され、原稿画像と地紋画像が合成された画像データの印刷を受け付ける受付ステップと、
前記受付ステップにより受け付けられた印刷対象の画像データに対し、一定の領域毎に、ドット画像で構成される特定の画像パターンが存在するかどうかを判定する画像パターン判定ステップと、
前記画像パターン判定ステップにより特定の画像パターンが存在すると判定された領域について、特定の画像パターンの周期を判定する周期判定ステップと、
前記周期判定ステップにより判定された特定の画像パターンの周期が第1の周期である第1の領域と、第2の周期である第2の領域が存在するかどうかを判定し、前記第1及び第2の領域が存在する場合に、前記第1及び第2の領域により構成される領域を地紋画像の領域と判定する地紋領域判定ステップと、
特定の画像パターンが存在すると判定された領域における特定の画像パターンの面積階調を判定する面積階調判定ステップと、を備え、
前記地紋領域判定ステップでは、前記面積階調判定ステップにより判定された特定の画像パターンの面積階調が等しい領域を抽出するとともに、抽出された領域の中に第1及び第2の領域が存在するかどうかを判定することを特徴とする画像形成装置による地紋領域判定方法。
【請求項11】
外部装置で作成され、原稿画像と地紋画像が合成された画像データの印刷を受け付ける受付ステップと、
前記受付ステップにより受け付けられた印刷対象の画像データに対し、一定の領域毎に、ドット画像で構成される特定の画像パターンが存在するかどうかを判定する画像パターン判定ステップと、
前記画像パターン判定ステップにより特定の画像パターンが存在すると判定された領域について、特定の画像パターンの周期を判定する周期判定ステップと、
前記周期判定ステップにより判定された特定の画像パターンの周期が第1の周期である第1の領域と、第2の周期である第2の領域が存在するかどうかを判定し、前記第1及び第2の領域が存在する場合に、前記第1及び第2の領域により構成される領域を地紋画像の領域と判定する地紋領域判定ステップと、
前記一定の領域毎に画像データの属性を判定する属性判定ステップと、を備え、
前記属性判定ステップにより、画像データの属性が文字又は図形であると判定された領域に対してのみ、前記画像パターン判定ステップでは特定の画像パターンが存在するかどうかを判定することを特徴とする画像形成装置による地紋領域判定方法。
【請求項12】
外部装置で作成され、原稿画像と地紋画像が合成された画像データの印刷を受け付ける受付ステップと、
前記受付ステップにより受け付けられた印刷対象の画像データに対し、一定の領域毎に、ドット画像で構成される特定の画像パターンが存在するかどうかを判定する画像パターン判定ステップと、
前記画像パターン判定ステップにより特定の画像パターンが存在すると判定された領域について、特定の画像パターンの周期を判定する周期判定ステップと、
前記周期判定ステップにより判定された特定の画像パターンの周期が第1の周期である第1の領域と、第2の周期である第2の領域が存在するかどうかを判定し、前記第1及び第2の領域が存在する場合に、前記第1及び第2の領域により構成される領域を地紋画像の領域と判定する地紋領域判定ステップと、を備え
前記地紋領域判定ステップでは、第1及び第2の領域が存在すると判定した場合、第1の周期と第2の周期のうち低周波の周期が一定閾値以上であるかどうかをさらに判定し、低周波の周期が一定閾値以上であると判定した場合に、第1及び第2の領域を地紋画像の領域と判定することを特徴とする画像形成装置による地紋領域判定方法。
【請求項13】
外部装置で作成され、原稿画像と地紋画像が合成された画像データの印刷を受け付ける受付ステップと、
前記受付ステップにより受け付けられた印刷対象の画像データに対し、一定の領域毎に、ドット画像で構成される特定の画像パターンが存在するかどうかを判定する画像パターン判定ステップと、
前記画像パターン判定ステップにより特定の画像パターンが存在すると判定された領域について、特定の画像パターンの周期を判定する周期判定ステップと、
前記周期判定ステップにより判定された特定の画像パターンの周期が第1の周期である第1の領域と、第2の周期である第2の領域が存在するかどうかを判定し、前記第1及び第2の領域が存在する場合に、前記第1及び第2の領域により構成される領域を地紋画像の領域と判定する地紋領域判定ステップと、を備え
前記地紋領域判定ステップでは、第1及び第2の領域が存在すると判定した場合、第1及び第2の領域のうち周期が低周期である領域が周期が高周期である領域の中に取り囲まれているかどうかをさらに判定し、周期が低周期の領域が周期が高周期の領域の中に取り囲まれていると判定された場合、第1及び第2の領域を地紋画像の領域と判定することを特徴とする画像形成装置による地紋領域判定方法。
【請求項14】
外部装置で作成され、原稿画像と地紋画像が合成された画像データの印刷を受け付ける受付ステップと、
前記受付ステップにより受け付けられた印刷対象の画像データに対し、一定の領域毎に、ドット画像で構成される特定の画像パターンが存在するかどうかを判定する画像パターン判定ステップと、
前記画像パターン判定ステップにより特定の画像パターンが存在すると判定された領域について、特定の画像パターンの周期を判定する周期判定ステップと、
前記周期判定ステップにより判定された特定の画像パターンの周期が第1の周期である第1の領域と、第2の周期である第2の領域が存在するかどうかを判定し、前記第1及び第2の領域が存在する場合に、前記第1及び第2の領域により構成される領域を地紋画像の領域と判定する地紋領域判定ステップと、を備え
前記地紋領域判定ステップでは、第1及び第2の領域が存在すると判定した場合、第1及び第2の領域のうち周期が高周期である領域が周期が低周期である領域の中に取り囲まれているかどうかをさらに判定し、周期が高周期の領域が周期が低周期の領域の中に取り囲まれていると判定された場合、第1及び第2の領域を地紋画像の領域と判定することを特徴とする画像形成装置による地紋領域判定方法。
【請求項15】
外部装置で作成され、原稿画像と地紋画像が合成された画像データの印刷を受け付ける受付ステップと、
前記受付ステップにより受け付けられた印刷対象の画像データに対し、一定の領域毎に、ドット画像で構成される特定の画像パターンが存在するかどうかを判定する画像パターン判定ステップと、
前記画像パターン判定ステップにより特定の画像パターンが存在すると判定された領域について、特定の画像パターンの周期を判定する周期判定ステップと、
前記周期判定ステップにより判定された特定の画像パターンの周期が第1の周期である第1の領域と、第2の周期である第2の領域が存在するかどうかを判定し、前記第1及び第2の領域が存在する場合に、前記第1及び第2の領域により構成される領域を地紋画像の領域と判定する地紋領域判定ステップと、
前記地紋領域判定ステップにより第1及び第2の領域が存在すると判定された場合、第1及び第2の領域のうち周期が低周期である領域の画像を単色ベタパターンとし、周期が高周期である領域の画像を消去した画像データを作成する画像データ作成ステップと、
前記画像データ作成ステップにより作成された画像データを文字認識処理して、周期が低周期である領域に文字が形成されているかどうかを判定する文字認識ステップと、を備え、
前記文字認識ステップにより周期が低周期である領域に文字が形成されていると判定された場合に、前記地紋領域判定ステップでは第1及び第2の領域を地紋画像の領域と判定することを特徴とする画像形成装置による地紋領域判定方法。
【請求項16】
特定の画像パターンが存在すると判定された領域における特定の画像パターンの濃度が均一かどうかを判定する濃度判定ステップをさらに備え、
前記地紋領域判定ステップでは、前記濃度判定ステップにより特定の画像パターンの濃度が均一であると判定されかつ濃度が等しい領域を抽出するとともに、抽出された領域の中に第1及び第2の領域が存在するかどうかを判定する請求項10~15のいずれかに記載の地紋領域判定方法。
【請求項17】
特定の画像パターンが存在すると判定された領域における特定の画像パターンの構成色を判定する構成色判定ステップをさらに備え、
前記地紋領域判定ステップでは、前記構成色判定ステップにより判定された特定の画像パターンの構成色が等しい領域を抽出するとともに、抽出された領域の中に第1及び第2の領域が存在するかどうかを判定する請求項10~16のいずれかに記載の地紋領域判定方法。
【請求項18】
前記地紋領域判定ステップにより地紋画像の領域と判定された第1及び第2の領域とそれ以外の領域に対して、それぞれ異なる画像処理を実施する画像処理ステップと、
前記画像処理ステップにより画像処理が実施された画像データを印刷する印刷ステップと、
をさらに備えている請求項10~17のいずれかに記載の地紋領域判定方法。
【請求項19】
請求項10~18のいずれかに記載の画像形成装置による地紋領域判定方法を、画像形成装置のコンピュータに実行させるための地紋領域判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、多機能デジタル複合機であるMFP(Multi Function Peripherals)等の画像形成装置、同装置における地紋領域判定方法及び地紋領域判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータ(以下PCという)のアプリケーションとして、原稿画像と地紋画像を合成して地紋付きの画像データを作成できる地紋合成アプリケーションが提供されている。
【0003】
このようなPC等の外部装置で合成した地紋付きの画像データの印刷を、MFP等の画像形成装置が受け付けた場合、ユーザーの意図した地紋画像が印刷されないという課題がある。この理由は次の通りである。
【0004】
即ち、一般に、画像形成装置によって原稿画像に地紋画像を合成する場合には、このような課題は発生しない。これは画像形成装置によって地紋画像を合成する場合は、例えば
(a)「原稿画像」に対しては、線幅補正処理を実行する、
(b)「地紋画像」に対しては、線幅補正処理を実行することなく処理工程を通過させる、
というように、「原稿画像」と「地紋画像」を画像形成装置が識別することが可能であるため、それぞれの処理((a)(b))を実行後、原稿画像と地紋画像を合成し印刷することで、ユーザーの意図した出力画像を得ることができる。
【0005】
しかし、PC上で地紋合成アプリケーションを使用し、PCから画像形成装置 に「原稿画像」と「地紋画像」の合成画像を送信した場合は、画像形成装置は「地紋画像」を含めて「原稿画像」と認識してしまうため、上記(a)(b)のように処理を分割することができず、一律に出力画像処理用のASIC(application specific integrated circuit)で処理をかけることになる。
【0006】
この際、地紋合成アプリケーションで生成した地紋画像の背景部のドットパターンの濃度差が一定以上の場合、ドット周辺がエッジと判断され「線」として認識される。「線」と認識されたドットパターンは線幅補正処理の対象となり、細らせ処理されることによってドットが小さくなり印刷されなくなる。つまり背景部が印刷されないため、潜像部が顕在化し地紋画像が識別可能な印刷となってしまう。また、ドットパターンの濃度が中間調の場合、スクリーン処理との干渉により背景部にモアレが発生し、潜像部が顕在化し地紋画像が識別可能な印刷となってしまう。このため、ユーザーの意図した地紋画像を印刷することができなかった。
【0007】
なお、特許文献1~4には印刷実行時に原稿画像と地紋画像を分離する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2015-135666号公報
【文献】特開2011-114736号公報
【文献】特開2008-219418号公報
【文献】特開2007-288592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1~4に記載された技術はプリントデータに既に地紋領域を判断する情報が付加されている。しかし、このような情報が付加されていない地紋付きの画像データをPCから画像形成装置に送信して印刷させたときに、ユーザーが意図した地紋画像を印刷することができないという課題に対して、上記特許文献1~4に記載された技術では解決策を提供できなかった。
【0010】
この発明はこのような技術的背景に鑑みてなされたものであって、PC等の外部装置で作成され、原稿画像と地紋画像が合成された画像データの印刷を受け付けて、地紋画像が付加された印刷物を出力することができる画像形成装置、同装置による地紋領域判定方法及び地紋領域判定プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題は、以下の手段によって解決される。
(1)外部装置で作成され、原稿画像と地紋画像が合成された画像データの印刷を受け付ける受付手段と、前記受付手段により受け付けられた印刷対象の画像データに対し、一定の領域毎に、ドット画像で構成される特定の画像パターンが存在するかどうかを判定する画像パターン判定手段と、前記画像パターン判定手段により特定の画像パターンが存在すると判定された領域について、特定の画像パターンの周期を判定する周期判定手段と、前記周期判定手段により判定された特定の画像パターンの周期が第1の周期である第1の領域と、第2の周期である第2の領域が存在するかどうかを判定し、前記第1及び第2の領域が存在する場合に、前記第1及び第2の領域により構成される領域を地紋画像の領域と判定する地紋領域判定手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
(2)特定の画像パターンが存在すると判定された領域における特定の画像パターンの濃度が均一かどうかを判定する濃度判定手段をさらに備え、前記地紋領域判定手段は、前記濃度判定手段により特定の画像パターンの濃度が均一であると判定されかつ濃度が等しい領域を抽出するとともに、抽出された領域の中に第1及び第2の領域が存在するかどうかを判定する前項1に記載の画像形成装置。
(3)特定の画像パターンが存在すると判定された領域における特定の画像パターンの構成色を判定する構成色判定手段をさらに備え、前記地紋領域判定手段は、前記構成色判定手段により判定された特定の画像パターンの構成色が等しい領域を抽出するとともに、抽出された領域の中に第1及び第2の領域が存在するかどうかを判定する前項1または2に記載の画像形成装置。
(4)特定の画像パターンが存在すると判定された領域における特定の画像パターンの面積階調を判定する面積階調判定手段をさらに備え、前記地紋領域判定手段は、前記面積階調判定手段により判定された特定の画像パターンの面積階調が等しい領域を抽出するとともに、抽出された領域の中に第1及び第2の領域が存在するかどうかを判定する前項1~3のいずれかに記載の画像形成装置。
(5)前記一定の領域毎に画像データの属性を判定する属性判定手段をさらに備え、前記属性判定手段により、画像データの属性が文字又は図形であると判定された領域に対してのみ、前記画像パターン判定手段は特定の画像パターンが存在するかどうかを判定する前項1~4のいずれかに記載の画像形成装置。
(6)前記地紋領域判定手段は、第1及び第2の領域が存在すると判定した場合、第1の周期と第2の周期のうち低周波の周期が一定閾値以上であるかどうかをさらに判定し、低周波の周期が一定閾値以上であると判定した場合に、第1及び第2の領域を地紋画像の領域と判定する前項1~5のいずれかに記載の画像形成装置。
(7)前記地紋領域判定手段は、第1及び第2の領域が存在すると判定した場合、第1及び第2の領域のうち周期が低周期である領域が周期が高周期である領域の中に取り囲まれているかどうかをさらに判定し、周期が低周期の領域が周期が高周期の領域の中に取り囲まれていると判定された場合、第1及び第2の領域を地紋画像の領域と判定する前項1~6のいずれかに記載の画像形成装置。
(8)前記地紋領域判定手段は、第1及び第2の領域が存在すると判定した場合、第1及び第2の領域のうち周期が高周期である領域が周期が低周期である領域の中に取り囲まれているかどうかをさらに判定し、周期が高周期の領域が周期が低周期の領域の中に取り囲まれていると判定された場合、第1及び第2の領域を地紋画像の領域と判定する前項1~6のいずれかに記載の画像形成装置。
(9)前記地紋領域判定手段により第1及び第2の領域が存在すると判定された場合、第1及び第2の領域のうち周期が低周期である領域の画像を単色ベタパターンとし、周期が高周期である領域の画像を消去した画像データを作成する画像データ作成手段と、前記画像データ作成手段により作成された画像データを文字認識処理して、周期が低周期である領域に文字が形成されているかどうかを判定する文字認識手段と、をさらに備え、前記文字認識手段により周期が低周期である領域に文字が形成されていると判定された場合に、前記地紋領域判定手段は第1及び第2の領域を地紋画像の領域と判定する前項1~8のいずれかに記載の画像形成装置。
(10)前記地紋領域判定手段により地紋画像の領域と判定された第1及び第2の領域とそれ以外の領域に対して、それぞれ異なる画像処理を実施する画像処理手段と、前記画像処理手段により画像処理が実施された画像データを印刷する印刷手段と、をさらに備えている前項1~9のいずれかに記載の画像形成装置。
(11)外部装置で作成され、原稿画像と地紋画像が合成された画像データの印刷を受け付ける受付ステップと、前記受付ステップにより受け付けられた印刷対象の画像データに対し、一定の領域毎に、ドット画像で構成される特定の画像パターンが存在するかどうかを判定する画像パターン判定ステップと、前記画像パターン判定ステップにより特定の画像パターンが存在すると判定された領域について、特定の画像パターンの周期を判定する周期判定ステップと、前記周期判定ステップにより判定された特定の画像パターンの周期が第1の周期である第1の領域と、第2の周期である第2の領域が存在するかどうかを判定し、前記第1及び第2の領域が存在する場合に、前記第1及び第2の領域により構成される領域を地紋画像の領域と判定する地紋領域判定ステップと、を備えたことを特徴とする画像形成装置による地紋領域判定方法。
(12)特定の画像パターンが存在すると判定された領域における特定の画像パターンの濃度が均一かどうかを判定する濃度判定ステップをさらに備え、前記地紋領域判定ステップでは、前記濃度判定ステップにより特定の画像パターンの濃度が均一であると判定されかつ濃度が等しい領域を抽出するとともに、抽出された領域の中に第1及び第2の領域が存在するかどうかを判定する前項11に記載の地紋領域判定方法。
(13)特定の画像パターンが存在すると判定された領域における特定の画像パターンの構成色を判定する構成色判定ステップをさらに備え、前記地紋領域判定ステップでは、前記構成色判定ステップにより判定された特定の画像パターンの構成色が等しい領域を抽出するとともに、抽出された領域の中に第1及び第2の領域が存在するかどうかを判定する前項11または12に記載の地紋領域判定方法。
(14)特定の画像パターンが存在すると判定された領域における特定の画像パターンの面積階調を判定する面積階調判定ステップをさらに備え、前記地紋領域判定ステップでは、前記面積階調判定ステップにより判定された特定の画像パターンの面積階調が等しい領域を抽出するとともに、抽出された領域の中に第1及び第2の領域が存在するかどうかを判定する前項11~13のいずれかに記載の地紋領域判定方法。
(15)前記一定の領域毎に画像データの属性を判定する属性判定ステップをさらに備え、前記属性判定ステップにより、画像データの属性が文字又は図形であると判定された領域に対してのみ、前記画像パターン判定ステップでは特定の画像パターンが存在するかどうかを判定する前項11~14のいずれかに記載の地紋領域判定方法。
(16)前記地紋領域判定ステップでは、第1及び第2の領域が存在すると判定した場合、第1の周期と第2の周期のうち低周波の周期が一定閾値以上であるかどうかをさらに判定し、低周波の周期が一定閾値以上であると判定した場合に、第1及び第2の領域を地紋画像の領域と判定する前項11~15のいずれかに記載の地紋領域判定方法。
(17)前記地紋領域判定ステップでは、第1及び第2の領域が存在すると判定した場合、第1及び第2の領域のうち周期が低周期である領域が周期が高周期である領域の中に取り囲まれているかどうかをさらに判定し、周期が低周期の領域が周期が高周期の領域の中に取り囲まれていると判定された場合、第1及び第2の領域を地紋画像の領域と判定する前項11~16のいずれかに記載の地紋領域判定方法。
(18)前記地紋領域判定ステップでは、第1及び第2の領域が存在すると判定した場合、第1及び第2の領域のうち周期が高周期である領域が周期が低周期である領域の中に取り囲まれているかどうかをさらに判定し、周期が高周期の領域が周期が低周期の領域の中に取り囲まれていると判定された場合、第1及び第2の領域を地紋画像の領域と判定する前項11~16のいずれかに記載の地紋領域判定方法。
(19)前記地紋領域判定ステップにより第1及び第2の領域が存在すると判定された場合、第1及び第2の領域のうち周期が低周期である領域の画像を単色ベタパターンとし、周期が高周期である領域の画像を消去した画像データを作成する画像データ作成ステップと、前記画像データ作成ステップにより作成された画像データを文字認識処理して、周期が低周期である領域に文字が形成されているかどうかを判定する文字認識ステップと、をさらに備え、前記文字認識ステップにより周期が低周期である領域に文字が形成されていると判定された場合に、前記地紋領域判定ステップでは第1及び第2の領域を地紋画像の領域と判定する前項11~18のいずれかに記載の地紋領域判定方法。
(20)前記地紋領域判定ステップにより地紋画像の領域と判定された第1及び第2の領域とそれ以外の領域に対して、それぞれ異なる画像処理を実施する画像処理ステップと、前記画像処理ステップにより画像処理が実施された画像データを印刷する印刷ステップと、をさらに備えている請求項11~19のいずれかに記載の地紋領域判定方法。
(21)前項1~20のいずれかに記載の画像形成装置による地紋領域判定方法を、画像形成装置のコンピュータに実行させるための地紋領域判定プログラム。
【発明の効果】
【0012】
前項(1)及び(11)に記載の発明によれば、画像形成装置は、外部装置で作成され、原稿画像と地紋画像が合成された画像データを受け付けると、受け付けられた印刷対象の画像データに対し、一定の領域毎に、ドット画像で構成される特定の画像パターンが存在するかどうかを判定し、特定の画像パターンが存在すると判定された領域について、特定の画像パターンの周期を判定する。さらに、特定の画像パターンの周期が第1の周期である第1の領域と、第2の周期である第2の領域が存在するかどうかを判定し、第1及び第2の領域が存在する場合に、それらの領域を地紋画像の領域つまり地紋領域と判定する。
【0013】
つまり、外部装置で作成された地紋画像付きの画像データから、地紋画像の領域を抽出することができるから、画像データ中の原稿画像と地紋画像を画像形成装置が識別することが可能となる。このため、原稿画像と地紋画像とで印刷のための画像処理を別々に実施したのち印刷することが可能となるから、ユーザーの意図した地紋画像が印刷された印刷物を出力可能な画像形成装置となる。
【0014】
前項(2)及び(12)に記載の発明によれば、画像形成装置は、特定の画像パターンが存在すると判定された領域における特定の画像パターンの濃度が均一でかつ濃度が等しい領域を抽出するとともに、抽出された領域の中に第1及び第2の領域が存在するかどうかを判定して地紋画像の領域かどうかを判定するから、原稿画像と地紋画像の識別をより高い精度で行うことができ、ひいてはユーザーの意図した地紋画像をより確実に印刷することができる。
【0015】
前項(3)及び(13)に記載の発明によれば、画像形成装置は、特定の画像パターンが存在すると判定された領域における特定の画像パターンの構成色を判定して構成色が等しい領域を抽出するとともに、抽出された領域の中に第1及び第2の領域が存在するかどうかを判定して地紋画像の領域かどうかを判定するから、原稿画像と地紋画像の識別をより高い精度で行うことができ、ひいてはユーザーの意図した地紋画像をより確実に印刷することができる。
【0016】
前項(4)及び(14)に記載の発明によれば、画像形成装置は、特定の画像パターンが存在すると判定された領域における特定の画像パターンの面積階調を判定して面積階調が等しい領域を抽出するとともに、抽出された領域の中に第1及び第2の領域が存在するかどうかを判定して地紋画像の領域かどうかを判定するから、原稿画像と地紋画像の識別をより高い精度で行うことができ、ひいてはユーザーの意図した地紋画像をより確実に印刷することができる。
【0017】
前項(5)及び(15)に記載の発明によれば、画像形成装置は、一定の領域毎に画像データの属性を判定し、属性が文字又は図形であると判定された領域に対してのみ、特定の画像パターンが存在するかどうかを判定するから、地紋画像の領域の判定を効率良く行うことができる。
【0018】
前項(6)及び(16)に記載の発明によれば、画像形成装置は、第1及び第2の領域が存在すると判定した場合、第1の周期と第2の周期のうち低周波の周期が一定閾値以上であるかどうかをさらに判定し、低周波の周期が一定閾値以上であると判定した場合に、第1及び第2の領域を地紋画像の領域と判定するから、原稿画像と地紋画像の識別をより高い精度で行うことができ、ひいてはユーザーの意図した地紋画像をより確実に印刷することができる。
【0019】
前項(7)及び(17)に記載の発明によれば、画像形成装置は、第1及び第2の領域が存在すると判定した場合、第1及び第2の領域のうち周期が低周期である領域が周期が高周期である領域の中に取り囲まれているかどうかをさらに判定し、周期が低周期の領域が周期が高周期の領域の中に取り囲まれていると判定された場合、第1及び第2の領域を地紋画像の領域と判定するから、高周波の地紋背景画像中に低周波の地紋潜像画像が形成されている場合に、原稿画像と地紋画像の識別をより高い精度で行うことができ、ひいてはユーザーの意図した地紋画像をより確実に印刷することができる。
【0020】
前項(8)及び(18)に記載の発明によれば、画像形成装置は、第1及び第2の領域が存在すると判定した場合、第1及び第2の領域のうち周期が高周期である領域が周期が低周期である領域の中に取り囲まれているかどうかをさらに判定し、周期が高周期の領域が周期が低周期の領域の中に取り囲まれていると判定された場合、第1及び第2の領域を地紋画像の領域と判定するから、低周波の地紋背景画像中に高周波の地紋潜像画像が形成されている場合に、原稿画像と地紋画像の識別をより高い精度で行うことができ、ひいてはユーザーの意図した地紋画像をより確実に印刷することができる。
【0021】
前項(9)及び(19)に記載の発明によれば、画像形成装置は、第1及び第2の領域が存在すると判定された場合、第1及び第2の領域のうち周期が低周期である領域の画像を単色ベタパターンとし、周期が高周期である領域の画像を消去した画像データを作成し、この作成された画像データを文字認識処理して、周期が低周期である領域に文字が形成されているかどうかを判定した結果、周期が低周期である領域に文字が形成されていると判定された場合に、第1及び第2の領域を地紋画像の領域と判定するから、原稿画像と地紋画像の識別をより高い精度で行うことができ、ひいてはユーザーの意図した地紋画像をより確実に印刷することができる。
【0022】
前項(10)及び(20)に記載の発明によれば、地紋画像の領域と判定された第1及び第2の領域とそれ以外の領域に対してそれぞれ異なる画像処理が実施された画像データが印刷されるから、ユーザーの意図した地紋画像が印刷された印刷物を出力できる画像形成装置となる。
【0023】
前項(21)に記載の発明によれば、前項(11)~(19)のいずれかに記載された地紋領域判別方法を、画像形成装置のコンピュータに実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】この発明の一実施形態に係る画像形成装置の斜視図である。
図2図1の画像形成装置が用いられたネットワークシステムの構成図である。
図3】画像形成装置の内部構成を示すブロック図である。
図4図3に示した画像形成装置におけるプリンタ用画像処理モジュールの構成例を示すブロック図である。
図5】外部装置から画像形成装置1に送付される地紋付きの画像データの一例を示す図である。
図6図5に示した地紋付きの画像データについて、地紋領域も含め原稿画像に実施するのと同じ画像処理を実施して印刷した状態を示す図である。
図7】外部装置で作成された地紋付き画像データに対する地紋画像領域の検出処理方法を説明するためのフローチャートである。
図8】特定パターン解析テーブルの一例を示す図である。
図9】外部装置で作成された地紋付き画像データに対する地紋画像領域の検出処理方法の他の例を示すフローチャートである。
図10】画像データに対する地紋領域の検出処理方法のさらに他の例を示すフローチャートである。
図11】地紋領域の検出処理方法により検出した地紋領域と地紋領域以外の他の領域とで、異なる画像処理を実施する場合の画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1は、この発明の一実施形態に係る画像形成装置1の斜視図である。この実施形態では、画像形成装置1として、コピー機能、プリンタ機能、スキャン機能、ファクシミリ機能等を有する多機能デジタル複合機である前述のMFPが用いられており、ネットワークを介したデータの送受信が可能である。
【0027】
画像形成装置1は、図1に示されるように複数のUSB(Universal Serial Bus)差込口20、21、22を有しており、USBインターフェースを有する外部機器と接続することにより、双方のデータ送受信が可能である。着脱可能外部記憶装置のインターフェースはUSB に限られないが、図示されている例ではUSBインターフェースが採用されている。着脱可能外部記憶装置は、USBメモリ、USB HDD、CFカード、などいろいろなメディアが想定される。
【0028】
画像形成装置1は、図1に示されるように複数のキー11aを備え、当該キーに対するユーザの操作による各種の指示や、文字・数字などのデータの入力を受付ける操作部11、ユーザに対する指示メニューや取得した画像に関する情報などの表示を行なうディスプレイ12、原稿を光学的に読取って画像データを得るスキャナ部13、および画像データに基づいて記録シート上に画像を印刷するプリンタ部14を備える。
【0029】
また、画像形成装置1の本体上面には、原稿をスキャナ部13に送るフィーダ部17が、下部にはプリンタ部14に記録シートを供給する給紙部18が、中央部にはプリンタ部14によって画像を印刷された記録シートが排出されるトレイ19および記録シートの有無を検出する検出センサ19aが、内部にはネットワークを介して外部機器と画像データなどの送受信を行なう通信部16、および画像データなどを記憶する記憶部23が備えられている。なお、図示は省略しているが、画像形成装置はネットワーク・インターフェースを有し、通信部16は外部機器との間で各種データの送受信が可能なようにネットワーク・インターフェースを介してネットワークに接続されている。
【0030】
通信部16は、公衆電話回線を介してファクシミリデータの送受信を行なう他、LAN、インターネットなどのネットワークを介して、該ネットワークに接続される外部機器との間で電子メールなどを用いてデータの送受信を行なう。これにより、画像形成装置は、通常のファクシミリ通信を行なうファクシミリ装置としての機能のみならず、電子メールの送受信端末としての機能も有する。したがって、電子メールの添付ファイルとして、各種画像データを送受信することもできる。なお、画像形成装置が行なうネットワーク通信は有線でもよく無線でもよい。
【0031】
ディスプレイ12は、データ送信の宛先の一覧表示を含む種々の表示に使用される。操作部11は、ユーザによる送信先の選択を含む種々の入力に用いられるものである。これらがユーザインターフェイスの要部として機能する。
【0032】
また、画像形成装置1の本体前面には、ユーザを検知するための人体検知装置30が備えられている。人体検知装置30は、赤外線センサやカメラによる撮像からの画像による検出など、いろいろな装置が想定される。
【0033】
スキャナ部13は、写真、文字、絵などの画像情報を原稿から光電的に読取って画像データを取得する。取得された画像データ(濃度データ)は、図示しない画像処理部においてデジタルデータに変換され、周知の各種画像処理を施された後、プリンタ部14や通信部16に送られ、画像の印刷やデータの送信に供されるか、または、後の利用のために記憶部23に格納される。
【0034】
プリンタ部14は、スキャナ部13により取得された画像データ、通信部16により外部機器から受信した画像データ、または記憶部23に格納されている画像データに基づいて記録シート上に画像を印刷する。
【0035】
図2は、図1の画像形成装置1が用いられたネットワークシステムの構成図である。画像形成装置1は、1台または複数台のPC2、3と有線によりまたはアクセスポイント4を介して無線によりネットワーク5に接続されている。ユーザーはPC2、3のアプリケーションで作成した画像データの印刷指示を画像形成装置1にネットワーク5を介して行い、印刷指示を受けた画像形成装置1は指定された画像データを印刷できるようになっている。
【0036】
図3は画像形成装置1の内部構成を示すブロック図である。図3に示すように、画像形成装置1は、画像形成装置1の全体を統括的に制御するCPU101と、CPU101が動作する際の作業領域となるRAM102と、増設用のRAM119と、CPU101を動作させるためのプログラム等のデータを記憶するROM118と、ハードディスク装置(HDD)等からなる記憶装置103と、画像形成装置1を操作する操作パネル104と、ネットワーク通信を行うネットワークモジュール105と、原稿の表面と裏面をそれぞれ読み取るための第1スキャナ107、第2スキャナ113と、第1スキャナ107、第2スキャナ113によりそれぞれ読み取った原稿の画像データの処理を行う第1、第2のスキャナ用画像処理モジュール108、114と、各スキャナ用画像処理モジュール108、114、外部コントローラインターフェースモジュール116でそれぞれ処理された画像の画像の圧縮と伸張を行う第1~第3の画像制御モジュール109、115、117と、プリントする画像データの処理を行うプリンタ用画像処理モジュール110と、プリンタ用画像処理モジュール110で処理された画像データを印刷するプリンタ111と、ファクシミリ(FAX)通信を行うFAXコントローラ112と、USBデバイスと接続するためのUSBインターフェースモジュール106と、PC等の外部端末と無線で通信するための無線通信モジュール120等を備えている。無線通信モジュール120で採用する無線技術は、無線LAN、ブルートゥース(登録商標)(BlueTooth(登録商標))などを用いうるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
図4は、図3に示した画像形成装置1におけるプリンタ用画像処理モジュール110の構成例を示すブロック図である。この実施形態では、プリンタ用画像処理モジュール110は、印刷対象の画像データの地紋画像領域(地紋領域)を検出する地紋領域検出部201を備えている。この地紋領域検出部201はCPU101の機能の一部として構成されても良い。地紋領域検出部201により検出された地紋領域と、地紋領域以外の領域にそれぞれ異なる画像処理が実行される。
【0038】
具体的には、地紋領域以外の領域に対しては、第1の画像補正処理部202により第1のシャープネス処理、スムージング処理、第1の色補正処理を実施した後、スクリーン処理部204でスクリーン処理を実施し、スクリーン処理の後に第1の線幅補正処理部205により第1の線幅補正処理を実施する。
【0039】
一方、地紋領域検出部201で地紋領域が検出された場合は、この地紋領域に対して、第2の画像補正処理部203により第2のシャープネス処理、第2の色補正処理を実施した後、スクリーン処理を実施することなく、第2の線幅補正処理部206により第2の線幅補正処理を実施する。
【0040】
このように、地紋領域と非地紋領域とで異なる画像処理が実施された地紋付きの画像データは、その後プリンタ111により印刷される。
【0041】
地紋領域検出部201により地紋領域が検出される地紋付きの画像データは、画像形成装置1以外の外部装置、例えばPC2、3で作成されたものであり、ネットワーク5を介して画像形成装置1が画像データを受け付けても良いし、USBメモリ、USB HDD、CFカード等に記憶された画像データをUSBインターフェース105等を介して受け付けても良い。
【0042】
図5に、PC2、3から画像形成装置1に送付される地紋付きの画像データ300の一例を示す。画像データ300は「SAMPLE」の文字からなる原稿画像部301と、「COPY」の文字からなる地紋潜像領域302aと、地紋潜像領域302aを取り囲んで配置された地紋背景領域302bを有している。地紋潜像領域302aと地紋背景領域302bにより地紋領域302が構成される。
【0043】
図5において、画像データの一部P1を拡大してP2に示すように、地紋潜像領域302a及び地紋背景領域302bは、いずれも多数のドットが配置された特定のドットパターン(網点)から構成されている。この実施形態では、地紋潜像領域302aにおけるドットは地紋背景領域302bにおけるドットよりも、大きさが大きく、かつドット間の間隔も広く設定されている。つまり、ドットパターンのドット周期が地紋潜像領域302aでは低く(低周期)、地紋背景領域302bでは高く(高周期)設定されている。なお、地紋潜像領域302aと地紋背景領域302bとでドットの大きさやドットパターンの周期を、図5の例とは逆にしても良い。
【0044】
図5に示した地紋付きの画像データについて、地紋領域も含め原稿画像に実施するのと同じ画像処理を実施して印刷すると、図6のように地紋背景領域302bが消失し、地紋潜像領域302aが顕在化した印刷物となってしまい、ユーザーの意図した印刷物を得ることができない。
【0045】
外部装置で作成された地紋付き画像データに対する地紋領域検出部201による地紋画像領域の検出処理方法を、図7のフローチャートを参照して説明する。このフローチャート及び図9以降のフローチャートに示される処理は、具体的には画像形成装置1のCPU101がROM118等に格納された動作プログラムに従って動作することにより実行される。また、この検出処理は1ページ単位で行われ、また1ページを一定画素範囲の領域に分割して行われる。
【0046】
ステップS101で、特定パターン解析テーブルの全てのパラメータにゼロをセットして初期化する。図8に特定パターン解析テーブルの一例を示す。特定パターン解析テーブルは、領域番号が付与された一定画素範囲の領域ごとに、濃度、周期、構成色、面積階調、1次判定、2次判定の各パラメータを有している。
【0047】
そして一定領域ごとに以下の判定を行う。まずステップS102で、一定領域に特定の画像パターン(特定のドットパターン)(以下、特定パターンともいう)が存在するか判定し、存在しない場合(ステップS102でNO)、ステップS103で、特定パターン解析テーブルの1次判定と2次判定のパラメータに共に「非網点」をセットする。この結果は図8のテーブルでは領域No.1に該当する。No.1の領域については以後のステップの処理は行われない。
【0048】
ステップS102で特定パターンが存在すると判定された場合(ステップS102でYES)、ステップS104で、特定パターン解析テーブルの1次判定のパラメータに網点をセットする。この結果は図8のテーブルにおける領域No.2~9に該当する。
【0049】
次いでステップS105で特定パターンの濃度が均一か否か判定し、均一でない場合は(ステップS105でNO)、ステップS106で、特定パターン解析テーブルの2次判定のパラメータに「網点」をセットする。この結果は図8では領域No.2に該当する。No.2の領域については以後のステップの処理は行われない。
【0050】
ステップS105で濃度が均一の場合(ステップS105でYES)、ステップS107で、特定パターン解析テーブルの濃度のパラメータに濃度の値をセットする。次いでステップS108で特定パターンの周期を判定し、特定パターン解析テーブルの周期のパラメータに判定結果をセットする。なお、地紋潜像領域302aと地紋背景領域302bの境界部分の領域では2つの周期が存在することになるが、一方を採用すれば良い。
【0051】
さらにステップS109で、特定パターンの色を判定して特定パターン解析テーブルの構成色のパラメータに判定結果をセットしたのち、ステップS110で特定パターンの面積階調を判定し、特定パターン解析テーブルの面積階調のパラメータに判定結果をセットする。
【0052】
次に、ステップS111で、1ページ分の処理を終了したかどうかを調べ、終了していなければ(ステップS111でNO)、ステップS102に戻り、次の領域についてステップS102~S110を繰り返す。
【0053】
1ページ分の処理を完了すると(ステップS111でYES)、ステップS112で、特定パターン解析テーブルの2次判定のパラメータが0で、かつ濃度と構成色と面積階調のパラメータのそれぞれが等しい領域を抽出する。この処理を実施する段階で特定パターン解析テーブルの2次判定のパラメータが0となっているのは、図8のテーブルでは領域No.3~9に該当する。
【0054】
なお、濃度と構成色と面積階調のパラメータのそれぞれが等しい領域とは、各パラメータの値が完全に一致する領域だけでなく、測定誤差を考慮して、値が近似していてほぼ等しい領域も含まれる。各パラメータについての各領域の差が、予め設定された一定範囲内であればパラメータが等しいと判断しても良い。
【0055】
ステップS113では、ステップS112における抽出の結果、特定パターン解析テーブルの2次判定のパラメータが0で、かつ濃度と構成色と面積階調のパラメータのそれぞれが等しい領域が存在するかどうかを調べる。存在しない場合は(ステップS113でNO)、ステップS114で、特定パターン解析テーブルの2次判定のパラメータが0のもの全てに「網点」をセットする。この処理がなされた領域は、図8のテーブルでは領域No.5~No.7である。
【0056】
濃度と構成色と面積階調のパラメータのそれぞれが等しい領域が存在する場合(ステップS113でYES)、抽出された領域は2つ以上存在することになり、ステップS115でそれらの領域の周期が2種類かどうかを判断する。周期が2種類であった場合(ステップS115でYES)、その領域が地紋領域であることになる。この2種類の周期を比較する。
【0057】
この実施形態では、地紋潜像領域302aの特定パターンの周期は地紋背景領域302bの特定パターンの周期よりも低周期であるから、ステップS117で、低周期の領域について特定パターン解析テーブルの2次判定のパラメータに「地紋潜像」をセットする。一方、ステップS118で、高周期の領域について特定パターン解析テーブルの2次判定に「地紋背景」をセットする。これらの判定に該当するのは、図8のテーブルではNo.3及びNo.4の領域と、No.8及びNo.9の領域である。No.3及びNo.4の領域と、No.8及びNo.9の領域は、それぞれ異なる地紋画像の領域である。
【0058】
ステップS115において、周期が1種類もしくは3種類以上の場合は、ステップS116で、特定パターン解析テーブルにおける2次判定のパラメータに「網点」をセットする。
【0059】
次に、ステップS119で、特定パターン解析テーブルにおける2次判定のパラメータが0の領域が存在するかどうかを調べ、存在していれば(ステップS119でYES)、ステップS112に戻り、存在しなくなるまでステップS112~S119を繰り返す。図8のデーブルでは、No.3及びNo.4の領域がまず抽出されて地紋画像の領域かどうかが判定され、次のステップS112~S119でNo.8及びNo.9の領域が抽出されて、地紋画像の領域かどうかが判定される。2次判定のパラメータが0の領域が存在しなくなると(ステップS119でNO)、処理を終了する。
【0060】
このように、図7のフローチャートで説明した地紋領域の検出方法により、1ページ内における複数の一定領域の全てに対して、「非網点」、「網点」、「地紋潜像」、「地紋背景」の4つの領域に分類することができる。そして、「地紋潜像」と「地紋背景」の領域が地紋領域302となる。
【0061】
なお、ステップS115でそれらの領域の周期が2種類かどうかを判断した結果、周期が2種類であった場合(ステップS115でYES)、さらに低周期の領域の周期が予め設定された一定閾値以上であるかどうかをさらに判定し、一定閾値以上であると判定された場合に、これらの領域を地紋領域と判定しても良い。一定閾値よりも小さい周期の場合は、地紋の機能を発揮させるためにはドットの間隔が大きすぎることから、地紋ではないと判断できるからである。
【0062】
図9は、外部装置で作成された地紋付き画像データに対する地紋領域の検出処理方法の他の例を示すフローチャートである。この例では、図7に示したステップS101とステップS102の間に、ステップS201が実施される構成となっている。なお、図7のフローチャートと同じ処理については図7と同一のステップ番号を付し、説明は省略する。
【0063】
つまり、ステップS101で、特定パターン解析テーブルの全ての値にゼロをセットして初期化したのち、ステップS201で、一定領域の画像属性が文字若しくは画像(図形)であるかどうかを判定する。一定領域の画像属性が文字若しくは画像(図形)である場合には(ステップS201でYES)、ステップS102に進み、一定領域に特定パターンが存在するか否かを判定する。一定領域の画像属性が文字若しくは画像(図形)でない場合(ステップS201でNO)、換言すれば写真等である場合は、写真領域に地紋は一般的には付与しないから、ステップS103で、特定パターン解析テーブルの1次判定と2次判定のパラメータに共に「非網点」をセットする。
【0064】
ステップS201の実施後は、図7の検出方法と同様に、ステップS102~S111を実施し、ステップS111で、1ページ分の処理を終了したかどうかを調べ、終了していなければ(ステップS111でNO)、ステップS201に戻り、次の領域についてステップS301~S110を繰り返す。
【0065】
1ページ分の処理を完了すると(ステップS111でYES)、図5の検出方法と同様に、ステップS112~S119を実施する。
【0066】
このように、一定の領域毎に画像データの属性を判定し、属性が文字又は画像(図形)であると判定された領域に対してのみ、特定パターンが存在するかどうかを判定し、属性が文字又は画像(図形)でなく明らかに地紋領域でない領域については、非網点と判定され、特定パターンが存在するかどうかの判定は行われないから、地紋領域の検出処理を効率良く行うことができる。
【0067】
図7及び図9の実施形態では、ステップS105で特定パターンの濃度が均一かどうかを判定し、ステップS107で濃度が均一であればその濃度を特定パターン解析テーブルにセットし、ステップS109で特定パターンの構成色を判定して特定パターン解析テーブルにセットし、ステップS110で特定パターンの面積階調を判定して特定パターン解析テーブルにセットしたうえで、ステップS112で、濃度と構成色と面積階調が等しい領域を抽出して地紋領域かどうかを判定した。
【0068】
しかし、濃度、構成色、面積階調についての解析は必ずしも行わなくても良く、少なくとも特定パターンの周期を判定すれば良い。また、周期の判定と共に、濃度、構成色及び面積階調のうちの少なくとも何れかを判定する構成であっても良い。濃度、構成色及び面積階調のうちの少なくとも何れかを判定することで、地紋領域の判定精度を向上でき、濃度、構成色及び面積階調のうちの2つを組み合わせて判定することにより地紋領域の判定精度をさらに向上でき、図7及び図9の実施形態のように、濃度、構成色及び面積階調の全てを判定することにより更に精度を向上できる。
【0069】
図10は、印刷対象の画像データに対する地紋領域の検出処理方法のさらに他の例を示すフローチャートである。
【0070】
ステップS301では、1次検出処理を実行する。この1次検出処理は、図7または図9のフローチャートに示した検出処理と同じである。
【0071】
この実施形態では、ステップS301の検出処理の結果、地紋潜像もしくは地紋背景と判断された領域について、特定パターンの周期が低周期である地紋潜像領域302aが周期が高周期である地紋背景領域302bの中に取り囲まれているかどうかをさらに判定する。図5に示すように、周期が低周期である地紋潜像領域302aが周期が高周期である地紋背景領域302bの中に取り囲まれていれば、それらの領域は地紋領域302と判断できるからである。
【0072】
つまり、ステップS302では、地紋潜像領域のX座標最小値が地紋背景領域のX座標最小値より大きいかどうかを判断し、大きい場合(ステップS302でYES)、ステップS303で、地紋潜像領域のX座標最大値が地紋背景領域のX座標最大値より小さいかどうかを判断する。地紋潜像領域のX座標最大値が地紋背景領域のX座標最大値より小さい場合(ステップS303でYES)、ステップS304で、地紋潜像領域のY座標最小値が地紋背景領域のY座標最小値より大きいかどうかを判断する。地紋潜像領域のY座標最小値が地紋背景領域のY座標最小値より大きい場合(ステップS304でYES)、ステップS305で、地紋潜像領域のY座標最大値が地紋背景領域のY座標最大値より小さいかどうかを判断する。地紋潜像領域のY座標最大値が地紋背景領域のY座標最大値より小さい場合(ステップS305でYES)、地紋潜像領域が地紋背景領域の中に取り囲まれていると判断し、地紋潜像と地紋背景を合わせて地紋領域と判断し、特定パターン解析テーブルの2次判定のパラメータにセットされている「地紋潜像」と「地紋背景」をそのまま維持する。
【0073】
前記以外の場合、つまり地紋潜像領域のX座標最小値が地紋背景領域のX座標最小値より大きくない場合(ステップS302でNO)、地紋潜像領域のX座標最大値が地紋背景領域のX座標最大値より小さくない場合(ステップS303でNO)、地紋潜像領域のY座標最小値が地紋背景領域のY座標最小値より大きくない場合(ステップS304でNO)、地紋潜像領域のY座標最大値が地紋背景領域のY座標最大値より小さくない場合(ステップS305でNO)は地紋領域でないため、ステップS306で、特定パターン解析テーブルの2次判定のパラメータにセットされている「地紋潜像」と「地紋背景」を全て「網点」に変更する。
【0074】
このように、図10で説明した実施形態では、地紋潜像もしくは地紋背景と判断された領域について、特定パターンの周期が低周期である地紋潜像領域が周期が高周期である地紋背景領域の中に取り囲まれているかどうかをさらに判定するから、原稿画像と地紋画像の識別をより高い精度で行うことができ、ひいてはユーザーの意図した地紋画像をより確実に印刷することができる。
【0075】
なお、地紋潜像領域302aの特定パターンの周期が地紋背景領域302bの周期よりも高い場合は、図10に示した処理とは逆に、周期が高周期である地紋潜像領域が周期が低周期である地紋背景領域の中に取り囲まれているかどうかを判定し、取り囲まれている場合にこれらの領域を地紋領域と判定しても良い。
【0076】
次に、印刷時に、図7図9及び図10のフローチャートで説明した地紋領域の検出処理方法により検出した地紋領域と地紋領域以外の他の領域とで、異なる画像処理を実施する場合の画像形成装置1の動作を、図11のフローチャートを参照して説明する。
【0077】
プリントを開始すると、ステップS401で、図7図9または図10で説明した地紋領域の検出処理を行う。その結果、ステップS402で、特定パターン解析テーブルにおける2次判定のパラメータを調べ、パラメータが「非網点」であった領域と(ステップS403)と「網点」であった領域(ステップS404)に対しては、ステップS407で、第1の画像補正処理として第1のシャープネス処理、第1のスムージング処理、第1の色補正処理を行い、その後ステップS408でスクリーン処理を実施し、さらにステップS409で第1の線幅補正処理を実施する。特定パターン解析テーブルにおける2次判定のパラメータが「地紋潜像」であった領域(ステップS405)と「地紋背景」であった領域(ステップS406)に対しては、ステップS410で、第2の画像補正処理として第2のシャープネス処理、第2の色補正処理を実施し、次いでステップS411で第2の線幅補正処理を行う。その後、画像処理された画像データを印刷する。
【0078】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることはない。例えば、図10におけるステップS301の検出処理の結果、地紋潜像もしくは地紋背景と判断された領域について、特定パターンの周期が低周期である地紋潜像領域の画像を単色ベタパターンとし、高周期である地紋背景領域の画像を消去した画像データを作成し、この作成された画像データを文字認識処理して、周期が低周期である領域に文字が形成されているかどうかを判定しても良い。その結果、地紋潜像領域に文字が形成されていると判定された場合には、地紋としての機能を発揮していると考えられることから、地紋潜像もしくは地紋背景と判断された領域を地紋領域と判定しても良い。このような構成によって、原稿画像と地紋画像の識別をさらに高い精度で行うことができる。
【符号の説明】
【0079】
1 画像形成装置
2、3 パーソナルコンピュータ
5 ネットワーク
101 CPU
110 プリンタ用画像処理モジュール
111 プリンタ
201 地紋検出部
300 地紋付き画像データ
301 原稿画像
302 地紋画像
302a 地紋潜像領域
302b 地紋背景領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11