(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】切羽監視システム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20220119BHJP
G06T 7/246 20170101ALI20220119BHJP
G06T 7/254 20170101ALI20220119BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20220119BHJP
G01C 15/00 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
H04N7/18 D
G06T7/246
G06T7/254 A
H04N7/18 K
G01B11/00 H
G01C15/00 103E
(21)【出願番号】P 2017107431
(22)【出願日】2017-05-31
【審査請求日】2020-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【氏名又は名称】前島 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 大輔
【審査官】鈴木 隆夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-331363(JP,A)
【文献】特開平08-285583(JP,A)
【文献】特開2007-003380(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
G06T 7/246
G06T 7/254
G01B 11/00
G01C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切羽を撮影するカメラと、
前記カメラで撮影された撮影画像内の測定対象領域から抽出した複数の特徴点を特徴点モニタデータとして生成する特徴点抽出部と、
抽出タイミングが異なる2つの前記特徴点モニタデータを比較することで、移動量が除去対象移動閾値よりも大きい前記特徴点を除去点として特定し、特定した前記除去点の周辺領域を除外領域として、前記測定対象領域から前記除外領域を除いた領域を計測領域として特定する計測領域特定部と、
抽出タイミングが異なる2つの前記特徴点モニタデータを比較することで、前記計測領域内に位置し、移動量が前記除去対象移動閾値よりも小さい値に設定された変状対象移動閾値よりも大きい前記特徴点を変状点として検出する変状モニタリング部と、
前記変状モニタリング部による前記変状点の検出結果を出力する出力部と、を具備することを特徴とする切羽監視システム。
【請求項2】
切羽を撮影するカメラと、
前記カメラで撮影された撮影画像内の測定対象領域に設定された複数の輝度検出点のそれぞれの輝度を輝度変化モニタデータとして算出する輝度算出部と、
算出タイミングが異なる2つの前記輝度変化モニタデータを比較することで、輝度変化が除去対象輝度閾値よりも大きい前記輝度検出点を除去点として特定し、特定した前記除去点の周辺領域を除外領域として、前記測定対象領域から前記除外領域を除いた領域を計測領域として特定する計測領域特定部と、
算出タイミングが異なる2つの前記輝度変化モニタデータを比較することで、
前記計測領域内に位置し、輝度変化が前記除去対象輝度閾値よりも小さい値に設定された変状対象輝度閾値よりも大きい輝度変化点を変状点として検出する変状モニタリング部と、
前記変状モニタリング部による前記変状点の検出結果を出力する出力部と、を具備することを特徴とする切羽監視システム。
【請求項3】
切羽を撮影するカメラと、
前記カメラで撮影された撮影画像内の測定対象領域から抽出した複数の特徴点を特徴点モニタデータとして生成する特徴点抽出部と、
前記カメラで撮影された撮影画像内の前記測定対象領域に設定された複数の輝度検出点のそれぞれの輝度を輝度変化モニタデータとして算出する輝度算出部と、
抽出タイミングが異なる2つの前記特徴点モニタデータを比較することで、移動量が除去対象移動閾値よりも大きい前記特徴点を除去点として特定すると共に、算出タイミングが異なる2つの前記輝度変化モニタデータを比較することで、輝度変化が除去対象輝度閾値よりも大きい前記輝度検出点を前記除去点として特定し、特定した前記除去点の周辺領域を除外領域として、前記測定対象領域から前記除外領域を除いた領域を計測領域として特定する計測領域特定部と、
抽出タイミングが異なる2つの前記特徴点モニタデータを比較することで、前記計測領域内に位置し、移動量が前記除去対象移動閾値よりも小さい値に設定された変状対象移動閾値よりも大きい前記特徴点を変状点として検出すると共に、算出タイミングが異なる2つの前記輝度変化モニタデータを比較することで、前記計測領域内に位置し、輝度変化が前記除去対象輝度閾値よりも小さい値に設定された変状対象輝度閾値よりも大きい輝度変化点を変状点として検出する変状モニタリング部と、
前記変状モニタリング部による前記変状点の検出結果を出力する出力部と、を具備することを特徴とする切羽監視システム。
【請求項4】
切羽を撮影するカメラと、
前記カメラで撮影された撮影画像内の測定対象領域から抽出した複数の特徴点を特徴点モニタデータとして生成する特徴点抽出部と、
前記カメラで撮影された撮影画像内の前記測定対象領域に設定された複数の輝度検出点のそれぞれの輝度を輝度変化モニタデータとして算出する輝度算出部と、
抽出タイミングが異なる2つの前記特徴点モニタデータを比較することで、移動量が除去対象移動閾値よりも大きい前記特徴点を除去点として特定し、特定した前記除去点の周辺領域を除外領域として、前記測定対象領域から前記除外領域を除いた領域を計測領域として特定する計測領域特定部と、
算出タイミングが異なる2つの前記輝度変化モニタデータを比較することで、前記計測領域内に位置し、輝度変化が変状対象輝度閾値よりも大きい輝度変化点を変状点として検出する変状モニタリング部と、
前記変状モニタリング部による前記変状点の検出結果を出力する出力部と、を具備することを特徴とする切羽監視システム。
【請求項5】
切羽を撮影するカメラと、
前記カメラで撮影された撮影画像内の測定対象領域から抽出した複数の特徴点を特徴点モニタデータとして生成する特徴点抽出部と、
前記カメラで撮影された撮影画像内の前記測定対象領域に設定された複数の輝度検出点のそれぞれの輝度を輝度変化モニタデータとして算出する輝度算出部と、
算出タイミングが異なる2つの前記輝度変化モニタデータを比較することで、輝度変化が除去対象輝度閾値よりも大きい前記輝度検出点を除去点として特定し、特定した前記除去点の周辺領域を除外領域として、前記測定対象領域から前記除外領域を除いた領域を計測領域として特定する計測領域特定部と、
抽出タイミングが異なる2つの前記特徴点モニタデータを比較することで、前記計測領域内に位置し、移動量が除去対象移動閾値よりも小さい値に設定された変状対象移動閾値よりも大きい前記特徴点を変状点として検出する変状モニタリング部と、
前記変状モニタリング部による前記変状点の検出結果を出力する出力部と、を具備することを特徴とする切羽監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、山岳トンネルにおける切羽崩落や肌落ちを監視する切羽監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
山岳トンネルにおける切羽崩落や肌落ち災害を防止するため、切羽の監視は常に行う必要がある。切羽の監視は、切羽監視員による目視や、レーザー距離計を用いた変位計測によって行われている(例えば、特許文献1参照)。また、近年では,デジタルカメラを用いた画像計測を切羽の変状計測に用いられることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、切羽監視員による目視では、定量的な判断が難しく,長時間のモニタリングには不適である。また、レーザー距離計を用いた変位計測は、多点計測が中心であり、面的な変状を捉えることができず、導入コストも高いという問題点があった。さらに、画像計測では面的な計測が可能であるが、人や重機の移動や、それらの影、振動や粉塵によって、正しく画像計測が行えないことがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、人や重機の移動や、それらの影、振動や粉塵による影響を抑制し、正しい画像計測を行うことができる切羽監視システムを提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、切羽を撮影するカメラと、前記カメラで撮影された撮影画像内の測定対象領域から抽出した複数の特徴点を特徴点モニタデータとして生成する特徴点抽出部と、抽出タイミングが異なる2つの前記特徴点モニタデータを比較することで、移動量が除去対象移動閾値よりも大きい前記特徴点を除去点として特定し、特定した前記除去点の周辺領域を除外領域として、前記測定対象領域から前記除外領域を除いた領域を計測領域として特定する計測領域特定部と、抽出タイミングが異なる2つの前記特徴点モニタデータを比較することで、前記計測領域内に位置し、移動量が前記除去対象移動閾値よりも小さい値に設定された変状対象移動閾値よりも大きい前記特徴点を変状点として検出する変状モニタリング部と、前記変状モニタリング部による前記変状点の検出結果を出力する出力部と、を具備することを特徴とする。
また、本発明は、切羽を撮影するカメラと、前記カメラで撮影された撮影画像内の測定対象領域に設定された複数の輝度検出点のそれぞれの輝度を輝度変化モニタデータとして算出する輝度算出部と、算出タイミングが異なる2つの前記輝度変化モニタデータを比較することで、輝度変化が除去対象輝度閾値よりも大きい前記輝度検出点を除去点として特定し、特定した前記除去点の周辺領域を除外領域として、前記測定対象領域から前記除外領域を除いた領域を計測領域として特定する計測領域特定部と、算出タイミングが異なる2つの前記輝度変化モニタデータを比較することで、前記計測領域内に位置し、輝度変化が前記除去対象輝度閾値よりも小さい値に設定された変状対象輝度閾値よりも大きい輝度変化点を変状点として検出する変状モニタリング部と、前記変状モニタリング部による前記変状点の検出結果を出力する出力部と、を具備することを特徴とする。
また、本発明は、切羽を撮影するカメラと、前記カメラで撮影された撮影画像内の測定対象領域から抽出した複数の特徴点を特徴点モニタデータとして生成する特徴点抽出部と、前記カメラで撮影された撮影画像内の前記測定対象領域に設定された複数の輝度検出点のそれぞれの輝度を輝度変化モニタデータとして算出する輝度算出部と、抽出タイミングが異なる2つの前記特徴点モニタデータを比較することで、移動量が除去対象移動閾値よりも大きい前記特徴点を除去点として特定すると共に、算出タイミングが異なる2つの前記輝度変化モニタデータを比較することで、輝度変化が除去対象輝度閾値よりも大きい前記輝度検出点を前記除去点として特定し、特定した前記除去点の周辺領域を除外領域として、前記測定対象領域から前記除外領域を除いた領域を計測領域として特定する計測領域特定部と、抽出タイミングが異なる2つの前記特徴点モニタデータを比較することで、前記計測領域内に位置し、移動量が前記除去対象移動閾値よりも小さい値に設定された変状対象移動閾値よりも大きい前記特徴点を変状点として検出すると共に、算出タイミングが異なる2つの前記輝度変化モニタデータを比較することで、前記計測領域内に位置し、輝度変化が前記除去対象輝度閾値よりも小さい値に設定された変状対象輝度閾値よりも大きい輝度変化点を変状点として検出する変状モニタリング部と、前記変状モニタリング部による前記変状点の検出結果を出力する出力部と、を具備することを特徴とする。
また、本発明は、切羽を撮影するカメラと、前記カメラで撮影された撮影画像内の測定対象領域から抽出した複数の特徴点を特徴点モニタデータとして生成する特徴点抽出部と、前記カメラで撮影された撮影画像内の前記測定対象領域に設定された複数の輝度検出点のそれぞれの輝度を輝度変化モニタデータとして算出する輝度算出部と、抽出タイミングが異なる2つの前記特徴点モニタデータを比較することで、移動量が除去対象移動閾値よりも大きい前記特徴点を除去点として特定し、特定した前記除去点の周辺領域を除外領域として、前記測定対象領域から前記除外領域を除いた領域を計測領域として特定する計測領域特定部と、算出タイミングが異なる2つの前記輝度変化モニタデータを比較することで、前記計測領域内に位置し、輝度変化が変状対象輝度閾値よりも大きい輝度変化点を変状点として検出する変状モニタリング部と、前記変状モニタリング部による前記変状点の検出結果を出力する出力部と、を具備することを特徴とする。
また、本発明は、切羽を撮影するカメラと、前記カメラで撮影された撮影画像内の測定対象領域から抽出した複数の特徴点を特徴点モニタデータとして生成する特徴点抽出部と、前記カメラで撮影された撮影画像内の前記測定対象領域に設定された複数の輝度検出点のそれぞれの輝度を輝度変化モニタデータとして算出する輝度算出部と、算出タイミングが異なる2つの前記輝度変化モニタデータを比較することで、輝度変化が除去対象輝度閾値よりも大きい前記輝度検出点を除去点として特定し、特定した前記除去点の周辺領域を除外領域として、前記測定対象領域から前記除外領域を除いた領域を計測領域として特定する計測領域特定部と、抽出タイミングが異なる2つの前記特徴点モニタデータを比較することで、前記計測領域内に位置し、移動量が除去対象移動閾値よりも小さい値に設定された変状対象移動閾値よりも大きい前記特徴点を変状点として検出する変状モニタリング部と、前記変状モニタリング部による前記変状点の検出結果を出力する出力部と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、人や重機の移動や、それらの影、振動や粉塵による影響がある領域を除外領域として特定し、除外領域を除いた計測領域に対して変状モニタリングを実行することができるため、人や重機の移動や、それらの影、振動や粉塵による影響を抑制し、正しい画像計測を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る切羽監視システムの第1実施形態の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1に示す特徴点抽出部による特徴点の抽出例を示す図である。
【
図4】
図1に示す切羽監視装置における各部の動作タイミングを示す図である。
【
図5】
図1に示す計測領域特定部による計測領域の特定例を示す図である。
【
図6】
図1に示すモニタ画面生成部によって生成される変状モニタリング画面例を示す図である。
【
図7】本発明に係る切羽監視システムの第2実施形態の構成を示すブロック図である。
【
図8】
図7に示す輝度算出部によって輝度を算出する輝度検出点の設定例を示す図である。
【
図9】
図7に示す切羽監視装置における各部の動作タイミングを示す図である。
【
図10】
図7に示す計測領域特定部による計測領域の特定例を示す図である。
【
図11】
図7に示すモニタ画面生成部によって生成される変状モニタリング画面例を示す図である。
【
図12】本発明に係る切羽監視システムの第3実施形態の構成を示すブロック図である。測定対象
【
図13】
図12に示す計測領域特定部による計測領域の特定例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る切羽監視システムの実施形態について、添付図面を参照して説明する。なお、以下の実施の形態において、同様の機能を示す構成には、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
第1実施形態の切羽監視システムは、
図1を参照すると、切羽を撮影するカメラ1と、カメラ1によって撮影された画像に基づいて、切羽の変状をモニタリングする切羽監視装置2とを備えている。
【0011】
カメラ1は、切羽全体が所定の画角内(例えば、60°)に収まる撮影位置(例えば、切羽から10~20m離れた位置)に設置され、切羽を撮影した画像を切羽画像として切羽監視装置2に出力する。なお、カメラ1としては、例えば、CMOSイメージセンサを用いたCMOSカメラ等のデジタルカメラを用いることができる。
【0012】
第1実施形態では、
図2に示すように、切羽の掘削作業に用いる作業機械であるトンネルジャンボ100にカメラ1を設置させた。トンネルジャンボ100は、切羽と共に移動され、切羽に対する姿勢も容易に制御可能である。従って、切羽とカメラ1との相対位置をほぼ同一に保つことができる。なお、カメラ1は、トンネルの天端や支保工に設置し、切羽の移動と共に付け替えるようにしても良い。
【0013】
切羽監視装置2は、パーソナルコンピュータ等のプログラム制御で動作する情報処理装置であり、
図1を参照すると、制御部3と、キーボードやマウス等で構成されたモニタ条件入力部4と、ハードディスクや半導体メモリ等の記憶手段で構成された記憶部5と、スピーカー等の音声出力手段で構成された警告出力部6と、液晶ディスプレイ等の表示手段で構成されたモニタ画面出力部7とを備えている。
【0014】
制御部3は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピューター等の情報処理部である。ROMには切羽監視装置2の動作制御を行うための制御プログラムが記憶されている。制御部3は、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出し、制御プログラムをRAMに展開させることで、特徴点抽出部31、計測領域特定部32、変状モニタリング部33、モニタ画面生成部34として機能する。
【0015】
特徴点抽出部31は、
図3に示すように、カメラ1によって撮像された切羽画像内の測定対象範囲から複数の「特徴点」を抽出し、抽出した「特徴点」それぞれの画像座標(x、y)を特徴点モニタデータとして記憶部5に記憶させる。
図3において、白抜き+印が「特徴点」を示している。
【0016】
特徴点抽出部31は、岩の角や亀裂、岩質の変化点等を「特徴点」として抽出する。従って、岩盤が露出している切羽は、角や亀裂といったテクスチャーが多いため、「特徴点」の抽出を容易に行うことができる。なお、特徴点抽出部31によって抽出される「特徴点」は、作業員Pや重機等の障害物によるものも含まれる。また、特徴点抽出部31が「特徴点」を抽出する測定対象範囲や、抽出する「特徴点」の数は、モニタ条件入力部4からの入力によって設定される。
【0017】
特徴点抽出部31は、「特徴点」の抽出を設定間隔毎(所定フレーム毎や所定時間毎)に実行し、抽出した「特徴点」を追尾する。すなわち、特徴点抽出部31は、
図4に示すように、カメラ1によって設定間隔毎に撮影された切羽画像♯1~♯4のそれぞれから順次「特徴点」を抽出し、それぞれの抽出結果である特徴点モニタデータ♯1~♯4を記憶部5に記憶させる。そして、特徴点抽出部31は、抽出した「特徴点」を追尾するための情報(例えば、抽出した「特徴点」毎に付与した固有iD等)を特徴点モニタデータ♯1~♯4にそれぞれ加え、特徴点モニタデータ♯1~♯4の比較によって、「特徴点」の移動を検出可能にしている。
【0018】
計測領域特定部32は、抽出タイミングが異なる2つの特徴点モニタデータを比較することで、各「特徴点」の移動量をそれぞれ検出し、検出した移動量が予め設定された除去対象移動閾値よりも大きい「特徴点」を「除去点」として特定する。例えば、計測領域特定部32は、1秒毎に特徴点モニタデータを抽出する場合、除去対象移動閾値を10pixelとし、毎秒10pixel以上動いた「特徴点」を「除去点」として特定する。また、計測領域特定部32は、1フレーム毎に特徴点モニタデータを抽出する場合、除去対象移動閾値を5pixelとし、毎フレーム5pixel以上動いた「特徴点」を「除去点」として特定しても良い。すなわち、人や重機の移動や、それらの影、振動や粉塵による周辺環境の影響を受けると、「特徴点」は大きく動く。そこで、移動量が予め設定された除去対象移動閾値よりも大きい「特徴点」を変状モニタリング部33による変状モニタリングから除去する。
【0019】
そして、計測領域特定部32は、
図5に示すように、特定した「除去点」の周辺領域を除外領域とし、設定されている測定対象領域から除外領域を除いた領域を計測領域として特定する。「除去点」の周辺領域は、例えば、「除去点」を中心とする予め設定された大きさの図形(円、矩形等)で設定する。なお、
図5には、作業員Pの周辺で5個の「除去点」が特定され、「除去点」の周辺領域を「除去点」を中心とする予め設定された大きさの円で設定した例が示されている。
【0020】
本実施形態において、計測領域特定部32は、
図4に示すように、特徴点抽出部31によって「特徴点」の抽出動作が実行されたタイミングで、最新の特徴点モニタデータと直前の特徴点モニタデータと比較することで、それぞれ「除去点」を特定する。従って、「除去点」の動きに伴い、計測領域特定部32によって特定される計測領域も変化する。
図4には、特徴点モニタデータ♯1と♯2との比較によって計測領域♯1が、特徴点モニタデータ♯2と♯3との比較によって計測領域♯2が、特徴点モニタデータ♯3と♯4との比較によって計測領域♯3がそれぞれ特定された例が示されている。これにより、計測領域内に入っていた「特徴点」が計測領域から外れることもあり、計測領域から外れていた「特徴点」が計測領域内に入ることもある。
【0021】
変状モニタリング部33は、抽出タイミングが異なる2つの特徴点モニタデータを比較することで、計測領域特定部32によって特定された計測領域内に位置する「特徴点」の移動量を検出し、切羽の変状をモニタリングする。変状モニタリング部33は、
図4に示すように、特徴点抽出部31によって「特徴点」の抽出動作が実行されたタイミングで、最新の特徴点モニタデータと直前の特徴点モニタデータとを比較する。そして、変状モニタリング部33は、計測領域特定部32によって特定された計測領域内に位置する各「特徴点」の移動量をそれぞれ検出し、検出した移動量が予め設定された変状対象移動閾値よりも大きい「特徴点」を「変状点」として検出する。なお、変状対象移動閾値は、除去対象移動閾値よりも小さい値に設定され、例えば、毎秒5pixel以上動いた「特徴点」や、毎フレーム3pixel以上動いた「特徴点」を「変状点」として検出する。
図4には、計測領域♯1に基づく特徴点モニタデータ♯2と♯3との比較によって変状点♯1が、計測領域♯2に基づく特徴点モニタデータ♯3と♯4との比較によって変状点♯2がそれぞれ検出された例が示されている。
【0022】
変状モニタリング部33は、「変状点」を検出すると、警告出力部6によって警告を「変状点」の検出結果として出力させると共に、モニタ画面生成部34に特定した「変状点」を通知する。
【0023】
モニタ画面生成部34は、
図6に示すように、カメラ1によって撮影された切羽画像に「変状点」を重畳させた変状モニタリング画面80を「変状点」の検出結果としてモニタ画面出力部7に出力する。警告の出力により、切羽付近の作業員は即座に退避可能である共に、変状モニタリング画面80により、切羽における変状箇所を把握することができる。なお、変状モニタリング画面80は、現場管理者が所持している図示しないタブレット等の端末装置に送信し、端末装置で表示させるようにしても良い。また、変状モニタリング画面80には、
図6に示すように、除外領域も重畳させると良い。この場合、オペレーターは、除外領域が特定された理由を切羽画像によって確認することができる。
【0024】
第1実施形態によれば、切羽の定量的な計測が可能になる。すなわち、「特徴点」の追尾による変状モニタリングによって、画像座標(x、y)が取得でき、定量的な計測が可能で、特徴点の移動量から実際の移動量が推定可能となる。特に、岩盤が露出している切羽は、角や亀裂といったテクスチャーが多く、特徴点が取得しやすいため、「特徴点」の追尾による変状をモニタリングに適している。
【0025】
(第2実施形態)
第2実施形態の切羽監視システムは、
図7を参照すると、切羽を撮影するカメラ1と、カメラ1によって撮影された画像に基づいて、切羽の変状をモニタリングする切羽監視装置2aとを備えている。
【0026】
切羽監視装置2aは、パーソナルコンピュータ等のプログラム制御で動作する情報処理装置であり、
図7を参照すると、制御部3aと、キーボードやマウス等で構成されたモニタ条件入力部4と、ハードディスクや半導体メモリ等の記憶手段で構成された記憶部5と、スピーカー等の音声出力手段で構成された警告出力部6と、液晶ディスプレイ等の表示手段で構成されたモニタ画面出力部7とを備えている。
【0027】
制御部3aは、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピューター等の情報処理部である。ROMには切羽監視装置2aの動作制御を行うための制御プログラムが記憶されている。制御部3aは、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出し、制御プログラムをRAMに展開させることで、輝度算出部35、計測領域特定部32a、変状モニタリング部33a、モニタ画面生成部34として機能する。
【0028】
輝度算出部35は、
図8に示すように、カメラ1によって撮像された切羽画像内の測定対象範囲に設定された複数の「輝度検出点」の輝度をそれぞれ算出し、算出したそれぞれの輝度を輝度変化モニタデータとして記憶部5に記憶させる。
図8において、点線〇印が「輝度検出点」を示している。なお、「輝度検出点」の形状は、任意である。また、「輝度検出点」は、測定対象範囲に隙間なく配置しても良く、間隔をおいて配置するようにしても良い。
【0029】
輝度算出部35は、カメラ1によって撮像された切羽画像を、RGB値から輝度(グレースケール、0~255の256階調)に変換することで、複数の「輝度検出点」の輝度をそれぞれ算出する。RGB値から輝度への変換式は、例えば、Y=0.299・R+0.587・G+0.114・Bを用いることができる。なお、「輝度検出点」の大きさは、1pixelであっても良く、複数pixelであっても良いが、「輝度検出点」の大きさが複数pixelである場合、輝度算出部35は、「輝度検出点」の平均輝度を算出する。
【0030】
輝度算出部35によって算出される輝度は、作業員Pや重機等の障害物によるものも含まれる。また、輝度算出部35が輝度を算出する輝度検出対象範囲や、「輝度検出点」の大きさ、数、レイアウトは、モニタ条件入力部4からの入力によって設定される。
【0031】
輝度算出部35は、輝度の算出を設定間隔毎(所定フレーム毎や所定時間毎)に実行し、各「輝度検出点」における輝度変化を追尾する。すなわち、輝度算出部35は、
図9に示すように、カメラ1によって設定間隔毎に撮影された切羽画像♯1~♯4のそれぞれから「輝度検出点」の輝度を順次算出し、それぞれの算出結果である輝度変化モニタデータ♯1~♯4を記憶部5に記憶させる。
【0032】
計測領域特定部32aは、算出タイミングが異なる2つの輝度変化モニタデータ比較することで、各「輝度検出点」の輝度変化をそれぞれ検出し、検出した輝度変化が予め設定された除去対象輝度閾値よりも大きい「輝度検出点」を「除去点」として特定する。例えば、計測領域特定部32aは、除去対象輝度閾値を100とし、輝度変化が100を超える「輝度検出点」を「除去点」として特定する。また、計測領域特定部32aは、除去対象輝度閾値を50とし、輝度変化量が50を超える「輝度検出点」が複数個隣接している場合に、「輝度検出点」を「除去点」として特定しても良い。すなわち、人や重機の移動や、それらの影、振動や粉塵による周辺環境の影響を受けると、「輝度検出点」の輝度は大きく動く。そこで、輝度変化が予め設定された除去対象輝度閾値よりも大きい「輝度検出点」を変状モニタリング部33aによる変状モニタリングから除去する。
【0033】
そして、計測領域特定部32aは、
図10に示すように、特定した「除去点」の周辺領域を除外領域とし、設定されている測定対象領域から除外領域を除いた領域を計測領域として特定する。「除去点」の周辺領域は、例えば、「除去点」を中心とする予め設定された大きさの図形(円、矩形等)で設定する。
【0034】
本実施形態において、計測領域特定部32aは、
図9に示すように、輝度算出部35によって「輝度検出点」の輝度算出動作が実行されたタイミングで、最新の輝度変化モニタデータと直前の輝度変化モニタデータと比較することで、それぞれ「除去点」を特定する。従って、「除去点」の動きに伴い、計測領域特定部32aによって特定される計測領域も変化する。
図9には、輝度変化モニタデータ♯1と♯2との比較によって計測領域♯1が、輝度変化モニタデータ♯2と♯3との比較によって計測領域♯2が、輝度変化モニタデータ♯3と♯4との比較によって計測領域♯3がそれぞれ特定された例が示されている。
【0035】
変状モニタリング部33aは、抽出タイミングが異なる2つの特徴点モニタデータを比較することで、計測領域特定部32aによって特定された計測領域内に位置する「輝度検出点」の輝度変化を検出し、切羽の変状をモニタリングする。変状モニタリング部33aは、
図9に示すように、輝度算出部35によって「輝度検出点」の輝度算出動作が実行されたタイミングで、最新の輝度変化モニタデータと直前の輝度変化モニタデータとを比較する。そして、変状モニタリング部33aは、計測領域特定部32aによって特定された計測領域内に位置する各「輝度検出点」の輝度変化をそれぞれ検出し、検出した輝度変化が予め設定された変状対象輝度閾値よりも大きい「輝度検出点」を「変状点」として検出する。なお、変状対象輝度閾値は、除去対象輝度閾値よりも小さい値に設定されている。例えば、変状モニタリング部33aは、変状対象輝度閾値を50とし、輝度変化が50を超える「輝度検出点」を「変状点」として検出する。また、変状モニタリング部33aは、変状対象輝度閾値を20とし、輝度変化量が20を超える「輝度検出点」が複数個隣接している場合に、「輝度検出点」を「変状点」として検出しても良い。
図9には、計測領域♯1に基づく輝度変化モニタデータ♯2と♯3との比較によって変状点♯1が、計測領域♯2に基づく輝度変化モニタデータ♯3と♯4との比較によって変状点♯2がそれぞれ検出された例が示されている。
【0036】
変状モニタリング部33aは、「変状点」を検出すると、警告出力部6によって警告を「変状点」の検出結果として出力させると共に、モニタ画面生成部34に検出した「変状点」を通知する。肌落ちであれば表層が剥がれて湿った表層が出現すると共に、ひび割れが発生すると黒い線が発生する。従って、変状モニタリング部33aは、肌落ちやひび割れなどが発生した場合の輝度変化を捉えて「変状点」を検出する。
【0037】
モニタ画面生成部34は、
図11に示すように、カメラ1によって撮影された切羽画像に「変状点」を重畳させた変状モニタリング画面80aを「変状点」の検出結果としてモニタ画面出力部7に出力する。警告の出力により、切羽付近の作業員は即座に退避可能である共に、変状モニタリング画面80aにより、切羽における変状箇所を把握することができる。なお、変状モニタリング画面80aは、現場管理者が所持している図示しないタブレット等の端末装置に送信し、端末装置で表示させるようにしても良い。また、変状モニタリング画面80aには、
図11に示すように、除外領域も重畳させると良い。この場合、オペレーターは、除外領域が特定された理由を切羽画像によって確認することができる。
【0038】
第2実施形態によれば、切羽の定性的な変化を取得できる。すなわち、「輝度検出点」の輝度変化による変状モニタリングによって、定性的な変化を取得でき、湧水の発生等の変状も検出可能となる。そして、切羽に補助工法として吹付けコンクリートを施工した場合には、特徴点が取得しにくいため、「特徴点」の追尾による変状モニタリングは適していないが、「輝度検出点」の輝度変化による変状モニタリングは、変状箇所を輝度変化として検出することができる。
【0039】
(第3実施形態)
第3実施形態の切羽監視システムは、
図12を参照すると、切羽を撮影するカメラ1と、カメラ1によって撮影された画像に基づいて、切羽の変状をモニタリングする切羽監視装置2bとを備えている。
【0040】
切羽監視装置2bは、パーソナルコンピュータ等のプログラム制御で動作する情報処理装置であり、
図12を参照すると、制御部3bと、キーボードやマウス等で構成されたモニタ条件入力部4と、ハードディスクや半導体メモリ等の記憶手段で構成された記憶部5と、スピーカー等の音声出力手段で構成された警告出力部6と、液晶ディスプレイ等の表示手段で構成されたモニタ画面出力部7とを備えている。
【0041】
制御部3bは、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピューター等の情報処理部である。ROMには切羽監視装置2の動作制御を行うための制御プログラムが記憶されている。制御部3bは、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出し、制御プログラムをRAMに展開させることで、特徴点抽出部31、輝度算出部35、計測領域特定部32b、変状モニタリング部33b、モニタ画面生成部34として機能する。
【0042】
すなわち、第3実施形態では、特徴点抽出部31による特徴点モニタデータと、輝度算出部35による輝度変化モニタデータとが設定間隔毎に生成され、記憶部5に記憶される。
【0043】
計測領域特定部32bは、抽出タイミングが異なる2つの特徴点モニタデータを比較することで、各「特徴点」の移動量をそれぞれ検出し、検出した移動量が予め設定された除去対象移動閾値よりも大きい「特徴点」を「除去点」として特定すると共に、抽出タイミングが異なる2つの輝度変化モニタデータ比較することで、各「輝度検出点」の輝度変化をそれぞれ検出し、検出した輝度変化が予め設定された除去対象輝度閾値よりも大きい「輝度検出点」を「除去点」として特定する。
【0044】
そして、計測領域特定部32bは、
図13に示すように、「特徴点」に基づく「除去点」の周辺領域を除外領域Aとすると共に、「輝度検出点」に基づく「除去点」の周辺領域を除外領域Bとし、測定対象領域から除外領域A及び除外領域B(A∪B)を除いた領域を計測領域として特定する。
【0045】
変状モニタリング部33bは、計測領域特定部32bによって特定された計測領域内に位置する「特徴点」の移動を検出することで、切羽の変状をモニタリングすると共に、計測領域特定部32bによって特定された計測領域内に位置する「輝度検出点」の輝度変化を検出することで、切羽の変状をモニタリングする。
【0046】
第3実施形態によれば、「特徴点」の追尾による変状モニタリングと、「輝度検出点」の輝度変化による変状モニタリングとを併用しているため、切羽の定量的な計測が可能になると共に、切羽の定性的な変化を取得できる。すなわち、「特徴点」の追尾による変状モニタリングによって、画像座標(x、y)が取得でき、定量的な計測が可能で、特徴点の移動量から実際の移動量が推定可能となり、「輝度検出点」の輝度変化による変状モニタリングによって、定性的な変化を取得できる。例えば、湧水の発生は「特徴点」の追尾では検出することができないが、輝度変化では検出することができる。
【0047】
なお、第3の実施の形態において、計測領域特定部32bの代わりに、第1実施形態の計測領域特定部32、もしくは第2実施形態の計測領域特定部32aを用いるようにしても良い。この場合、「特徴点」の追尾もしくは「輝度検出点」の輝度変化に基づいて特定された計測領域に対して、「特徴点」の追尾による変状モニタリングと、「輝度検出点」の輝度変化による変状モニタリングとが実行されることになる。
【0048】
さらに、第3の実施の形態において、変状モニタリング部33bの代わりに、第1実施形態の計変状モニタリング部33、もしくは第2実施形態の変状モニタリング部33aを用いるようにしても良い。この場合、「特徴点」の追尾と「輝度検出点」の輝度変化とに基づいて特定された計測領域に対して、「特徴点」の追尾による変状モニタリング、もしくは「輝度検出点」の輝度変化による変状モニタリングが実行されることになる。
【0049】
また、第3の実施の形態において、計測領域特定部32bの代わりに、第1実施形態の計測領域特定部32を用い、変状モニタリング部33bの代わりに、第2実施形態の変状モニタリング部33aを用いるようにしても良い。この場合、「特徴点」の追尾に基づいて特定された計測領域に対して、「輝度検出点」の輝度変化による変状モニタリングが実行されることになる。
【0050】
また、第3の実施の形態において、計測領域特定部32bの代わりに、第2実施形態の計測領域特定部32aを用い、変状モニタリング部33bの代わりに、第1実施形態の計変状モニタリング部33を用いるようにしても良い。この場合、「輝度検出点」の輝度変化に基づいて特定された計測領域に対して、「特徴点」の追尾による変状モニタリングが実行されることになる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態は、切羽を撮影するカメラ1と、カメラ1で撮影された撮影画像内の測定対象領域から抽出した複数の特徴点を特徴点モニタデータとして生成する特徴点抽出部31と、抽出タイミングが異なる2つの特徴点モニタデータを比較することで、移動量が除去対象移動閾値よりも大きい特徴点を除去点として特定し、特定した除去点の周辺領域を除外領域として、測定対象領域から除外領域を除いた領域を計測領域として特定する計測領域特定部32と、抽出タイミングが異なる2つの特徴点モニタデータを比較することで、計測領域内に位置し、移動量が除去対象移動閾値よりも小さい値に設定された変状対象移動閾値よりも大きい特徴点を変状点として検出する変状モニタリング部33と、変状モニタリング部による変状点の検出結果を出力する出力部(警告出力部6、モニタ画面出力部7)と、を備えている。
この構成により、「特徴点」の追尾に基づいて、人や重機の移動や、それらの影、振動や粉塵による影響がある領域を除外領域として特定し、除外領域を除いた計測領域に対して、「特徴点」の追尾による変状モニタリングを実行することができるため、人や重機の移動や、それらの影、振動や粉塵による影響を抑制し、正しい画像計測を行うことができる。
【0052】
また、本実施形態は、切羽を撮影するカメラ1と、カメラ1で撮影された撮影画像内の測定対象領域に設定された複数の輝度検出点のそれぞれの輝度を輝度変化モニタデータとして算出する輝度算出部35と、算出タイミングが異なる2つの輝度変化モニタデータを比較することで、輝度変化が除去対象輝度閾値よりも大きい輝度検出点を除去点として特定し、特定した除去点の周辺領域を除外領域として、測定対象領域から除外領域を除いた領域を計測領域として特定する計測領域特定部32aと、算出タイミングが異なる2つの輝度変化モニタデータを比較することで、計測領域内に位置し、輝度変化が除去対象輝度閾値よりも小さい値に設定された変状対象輝度閾値よりも大きい輝度変化点を変状点として検出する変状モニタリング部33aと、変状モニタリング部による変状点の検出結果を出力する出力部(警告出力部6、モニタ画面出力部7)と、を備えている。
この構成により、「輝度検出点」の輝度変化に基づいて、人や重機の移動や、それらの影、振動や粉塵による影響がある領域を除外領域として特定し、除外領域を除いた計測領域に対して、「輝度検出点」の輝度変化による変状モニタリングを実行することができるため、人や重機の移動や、それらの影、振動や粉塵による影響を抑制し、正しい画像計測を行うことができる。
【0053】
また、本実施形態は、切羽を撮影するカメラ1と、カメラ1で撮影された撮影画像内の測定対象領域から抽出した複数の特徴点を特徴点モニタデータとして生成する特徴点抽出部31と、カメラ1で撮影された撮影画像内の測定対象領域に設定された複数の輝度検出点のそれぞれの輝度を輝度変化モニタデータとして算出する輝度算出部35と、抽出タイミングが異なる2つの特徴点モニタデータを比較することで、移動量が除去対象移動閾値よりも大きい特徴点を除去点として特定すると共に、算出タイミングが異なる2つの輝度変化モニタデータを比較することで、輝度変化が除去対象輝度閾値よりも大きい輝度検出点を除去点として特定し、特定した除去点の周辺領域を除外領域として、測定対象領域から除外領域を除いた領域を計測領域として特定する計測領域特定部32bと、抽出タイミングが異なる2つの特徴点モニタデータを比較することで、計測領域内に位置し、移動量が除去対象移動閾値よりも小さい値に設定された変状対象移動閾値よりも大きい特徴点を変状点として検出すると共に、算出タイミングが異なる2つの輝度変化モニタデータを比較することで、計測領域内に位置し、輝度変化が除去対象輝度閾値よりも小さい値に設定された変状対象輝度閾値よりも大きい輝度変化点を変状点として検出する変状モニタリング部33bと、変状モニタリング部による変状点の検出結果を出力する出力部(警告出力部6、モニタ画面出力部7)と、を備えている。
この構成により、「特徴点」の追尾と「輝度検出点」の輝度変化とに基づいて、人や重機の移動や、それらの影、振動や粉塵による影響がある領域を除外領域として特定し、除外領域を除いた計測領域に対して、「特徴点」の追尾による変状モニタリングと「輝度検出点」の輝度変化による変状モニタリングとを実行することができるため、人や重機の移動や、それらの影、振動や粉塵による影響を抑制し、正しい画像計測を行うことができる。
【0054】
また、本実施形態は、切羽を撮影するカメラ1と、カメラ1で撮影された撮影画像内の測定対象領域から抽出した複数の特徴点を特徴点モニタデータとして生成する特徴点抽出部31と、カメラ1で撮影された撮影画像内の測定対象領域に設定された複数の輝度検出点のそれぞれの輝度を輝度変化モニタデータとして算出する輝度算出部35と、抽出タイミングが異なる2つの特徴点モニタデータを比較することで、移動量が除去対象移動閾値よりも大きい特徴点を除去点として特定し、特定した除去点の周辺領域を除外領域として、測定対象領域から除外領域を除いた領域を計測領域として特定する計測領域特定部32と、算出タイミングが異なる2つの輝度変化モニタデータを比較することで、計測領域内に位置し、輝度変化が変状対象輝度閾値よりも大きい輝度変化点を変状点として検出する変状モニタリング部33aと、変状モニタリング部による変状点の検出結果を出力する出力部(警告出力部6、モニタ画面出力部7)と、を備えている。
この構成により、「特徴点」の追尾に基づいて、人や重機の移動や、それらの影、振動や粉塵による影響がある領域を除外領域として特定し、除外領域を除いた計測領域に対して、「輝度検出点」の輝度変化による変状モニタリングを実行することができるため、人や重機の移動や、それらの影、振動や粉塵による影響を抑制し、正しい画像計測を行うことができる。
【0055】
また、本実施形態は、カメラ1で撮影された撮影画像内の測定対象領域から抽出した複数の特徴点を特徴点モニタデータとして生成する特徴点抽出部31と、カメラ1で撮影された撮影画像内の測定対象領域に設定された複数の輝度検出点のそれぞれの輝度を輝度変化モニタデータとして算出する輝度算出部35と、算出タイミングが異なる2つの輝度変化モニタデータを比較することで、輝度変化が除去対象輝度閾値よりも大きい輝度検出点を除去点として特定し、特定した除去点の周辺領域を除外領域として、測定対象領域から除外領域を除いた領域を計測領域として特定する計測領域特定部32aと、抽出タイミングが異なる2つの特徴点モニタデータを比較することで、計測領域内に位置し、移動量が除去対象移動閾値よりも小さい値に設定された変状対象移動閾値よりも大きい特徴点を変状点として検出する変状モニタリング部33と、変状モニタリング部による変状点の検出結果を出力する出力部(警告出力部6、モニタ画面出力部7)と、を備えている。
この構成により、「輝度検出点」の輝度変化に基づいて、人や重機の移動や、それらの影、振動や粉塵による影響がある領域を除外領域として特定し、除外領域を除いた計測領域に対して、「特徴点」の追尾による変状モニタリングを実行することができるため、人や重機の移動や、それらの影、振動や粉塵による影響を抑制し、正しい画像計測を行うことができる。
【0056】
以上、本発明を、実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせ等にいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0057】
1 カメラ
2、2a、2b 切羽監視装置
3、3a、3b 制御部
4 モニタ条件入力部
5 記憶部
6 警告出力部
7 モニタ画面出力部
31 特徴点抽出部
32、32a、32b 計測領域特定部
33、33a、33b 変状モニタリング部
34 モニタ画面生成部
35 輝度算出部
80、80a 変状モニタリング画面
100 トンネルジャンボ