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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】周辺監視装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20220119BHJP
   B60R 1/00 20220101ALI20220119BHJP
   B60R 21/00 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
H04N7/18 J
H04N7/18 U
B60R1/00
B60R21/00 991
B60R21/00 992
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017110336
(22)【出願日】2017-06-02
(65)【公開番号】P2018207286
(43)【公開日】2018-12-27
【審査請求日】2020-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 一矢
(72)【発明者】
【氏名】丸岡 哲也
【審査官】秦野 孝一郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/158984(WO,A1)
【文献】特開2017-68826(JP,A)
【文献】特開2012-147149(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
B60R 1/00
B60R 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の進行方向の路面、および、前記路面から上方の領域を含む領域を撮像する撮像部から撮像画像データを取得する取得部と、
前記撮像画像データを記憶する記憶部と、
前記車両の進行方向の周辺画像を表示部に表示する場合に、
前記車両の床下または床下付近の路面を含む第1の領域については、前記記憶部に記憶された過去の撮像画像データにおける対応する画像を用いて表示し、
前記路面から上方の領域を含む第2の領域については、前記取得部によって取得された現在の撮像画像データにおける対応する画像を用いて表示する画像処理部と、
前記取得部によって取得された、前記撮像部からの撮像画像データ、および、前記車両に設けられた測距センサからの検出データの少なくともいずれかに基づいて前記車両の進行方向に移動物が存在するか否かを判定する移動物判定部と、を備え、
前記画像処理部は、
前記車両の進行方向の周辺画像を表示部に表示する場合に、
前記移動物判定部によって前記移動物が存在すると判定されていないときには、前記第1の領域および前記第2の領域の両方について、前記記憶部に記憶された過去の撮像画像データにおける対応する画像を用いて表示し、
前記移動物判定部によって前記移動物が存在すると判定されたときには、前記第1の領域については、前記記憶部に記憶された過去の撮像画像データにおける対応する画像を用いて表示するとともに、前記第2の領域については、前記取得部によって取得された現在の撮像画像データにおける対応する画像を用いて表示するように切り替える、周辺監視装置。
【請求項2】
前記画像処理部は、
前記第1の領域については、前記記憶部に記憶された過去の撮像画像データにおける対応する画像を、三次元仮想空間上で前記路面に対応する平面として設定された第1仮想投影面に投影することで表示し、
前記第2の領域については、前記取得部によって取得された現在の撮像画像データにおける対応する画像を、前記三次元仮想空間上で前記第1仮想投影面の端部またはその付近から立ち上がるように設定された第2仮想投影面に投影することで表示し、
前記第1仮想投影面と前記第2仮想投影面との間の境界を識別可能に表示する、請求項1に記載の周辺監視装置。
【請求項3】
車両の進行方向の路面、および、前記路面から上方の領域を含む領域を撮像する撮像部から撮像画像データを取得する取得部と、
前記撮像画像データを記憶する記憶部と、
前記車両の進行方向の周辺画像を表示部に表示する場合に、
前記車両の床下または床下付近の路面を含む第1の領域については、前記記憶部に記憶された過去の撮像画像データにおける対応する画像を用いて表示し、
前記路面から上方の領域を含む第2の領域については、前記取得部によって取得された現在の撮像画像データにおける対応する画像を用いて表示する画像処理部と、
前記取得部によって取得された、前記撮像部からの撮像画像データ、および、前記車両に設けられた測距センサからの検出データの少なくともいずれかに基づいて前記車両の進行方向に移動物が存在するか否かを判定する移動物判定部と、を備え、
前記画像処理部は、
前記車両の進行方向の周辺画像を表示部に表示する場合に、
前記移動物判定部によって前記移動物が存在すると判定されていないときには、前記第1の領域および前記第2の領域の両方について、前記記憶部に記憶された過去の撮像画像データにおける対応する画像を用いて表示し、
前記移動物判定部によって前記移動物が存在すると判定されたときには、前記第1の領域については、前記記憶部に記憶された過去の撮像画像データにおける対応する画像を用いて表示するとともに、前記第2の領域については、前記取得部によって取得された現在の撮像画像データにおける対応する画像を用いて表示するように切り替えることを乗員に促す画面を表示する、周辺監視装置。
【請求項4】
前記画像処理部は、
前記第1の領域については、前記記憶部に記憶された過去の撮像画像データにおける対応する画像を、三次元仮想空間上で前記路面に対応する平面として設定された第1仮想投影面に投影することで表示し、
前記第2の領域については、前記取得部によって取得された現在の撮像画像データにおける対応する画像を、前記三次元仮想空間上で前記第1仮想投影面の端部またはその付近から立ち上がるように設定された第2仮想投影面に投影することで表示し、
前記第1仮想投影面と前記第2仮想投影面との間の境界を識別可能に表示する、請求項に記載の周辺監視装置。
【請求項5】
記画像処理部は、前記車両の進行方向の周辺画像を表示部に表示する場合に、前記移動物判定部によって前記移動物が存在すると判定されたときには、前記周辺画像における前記移動物の位置に基づいて前記第1仮想投影面と前記第2仮想投影面の境界部分を移動させる、請求項2または請求項4に記載の周辺監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、周辺監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車載カメラで周辺環境を撮像し、その周辺画像を車両内の表示部に表示する技術が知られている。また、車載カメラの死角になる車両の床下や床下付近を表示するために、例えば、車両が前進している場合には、車両のフロントカメラが撮像した過去の画像(以下、「過去画像」ともいう。)を用いて車両の床下や床下付近を含む周辺画像を生成し、表示する技術もある。運転者は、このような周辺画像を見ることで、運転時の各種判断の参考にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2014/156220号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の車両の床下や床下付近を含む周辺画像を表示する技術では、過去画像を用いるので、現在、その周辺画像の領域内に人や車両などの移動物が存在していても表示されないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、車両の床下や床下付近を含む周辺画像を表示するとともに、その周辺画像の領域内における現在の移動物も併せて表示できる周辺監視装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、実施形態の周辺監視装置は、車両の進行方向の路面、および、前記路面から上方の領域を含む領域を撮像する撮像部から撮像画像データを取得する取得部と、前記撮像画像データを記憶する記憶部と、前記車両の進行方向の周辺画像を表示部に表示する場合に、前記車両の床下または床下付近の路面を含む第1の領域については、前記記憶部に記憶された過去の撮像画像データにおける対応する画像を用いて表示し、前記路面から上方の領域を含む第2の領域については、前記取得部によって取得された現在の撮像画像データにおける対応する画像を用いて表示する画像処理部と、前記取得部によって取得された、前記撮像部からの撮像画像データ、および、前記車両に設けられた測距センサからの検出データの少なくともいずれかに基づいて前記車両の進行方向に移動物が存在するか否かを判定する移動物判定部と、を備える。前記画像処理部は、前記車両の進行方向の周辺画像を表示部に表示する場合に、前記移動物判定部によって前記移動物が存在すると判定されていないときには、前記第1の領域および前記第2の領域の両方について、前記記憶部に記憶された過去の撮像画像データにおける対応する画像を用いて表示し、前記移動物判定部によって前記移動物が存在すると判定されたときには、前記第1の領域については、前記記憶部に記憶された過去の撮像画像データにおける対応する画像を用いて表示するとともに、前記第2の領域については、前記取得部によって取得された現在の撮像画像データにおける対応する画像を用いて表示するように切り替える。この構成によれば、例えば、車両の床下または床下付近を含む周辺画像を表示する場合に、車両の床下または床下付近の路面を含む第1の領域については過去画像を用いて表示し、路面から上方の領域を含む第2の領域については現在画像を用いて表示することで、周辺画像の領域内における現在の移動物も併せて表示できる。また、例えば、移動物が存在しないときは、第1の領域および第2の領域の両方について過去画像を用いて表示することで、つなぎ目のない連続した画像とすることができる。また、移動物が存在すると判定されると、第2の領域については、現在画像を用いて表示するように切り替えることで、周辺画像の領域内における現在の移動物も併せて表示できる。
【0007】
また、前記画像処理部は、前記第1の領域については、前記記憶部に記憶された過去の撮像画像データにおける対応する画像を、三次元仮想空間上で前記路面に対応する平面として設定された第1仮想投影面に投影することで表示し、前記第2の領域については、前記取得部によって取得された現在の撮像画像データにおける対応する画像を、前記三次元仮想空間上で前記第1仮想投影面の端部またはその付近から立ち上がるように設定された第2仮想投影面に投影することで表示し、前記第1仮想投影面と前記第2仮想投影面との間の境界を識別可能に表示するようにしてもよい。この構成によれば、例えば、過去画像を用いて表示される第1仮想投影面と、現在画像を用いて表示される第2仮想投影面と、の間の境界を識別可能に表示することで、運転者は、表示における過去画像の部分と現在画像の部分とを明確に識別することができる。
【0008】
また、実施形態の周辺監視装置は、車両の進行方向の路面、および、前記路面から上方の領域を含む領域を撮像する撮像部から撮像画像データを取得する取得部と、前記撮像画像データを記憶する記憶部と、前記車両の進行方向の周辺画像を表示部に表示する場合に、前記車両の床下または床下付近の路面を含む第1の領域については、前記記憶部に記憶された過去の撮像画像データにおける対応する画像を用いて表示し、前記路面から上方の領域を含む第2の領域については、前記取得部によって取得された現在の撮像画像データにおける対応する画像を用いて表示する画像処理部と、前記取得部によって取得された、前記撮像部からの撮像画像データ、および、前記車両に設けられた測距センサからの検出データの少なくともいずれかに基づいて前記車両の進行方向に移動物が存在するか否かを判定する移動物判定部と、を備える。前記画像処理部は、前記車両の進行方向の周辺画像を表示部に表示する場合に、前記移動物判定部によって前記移動物が存在すると判定されていないときには、前記第1の領域および前記第2の領域の両方について、前記記憶部に記憶された過去の撮像画像データにおける対応する画像を用いて表示し、前記移動物判定部によって前記移動物が存在すると判定されたときには、前記第1の領域については、前記記憶部に記憶された過去の撮像画像データにおける対応する画像を用いて表示するとともに、前記第2の領域については、前記取得部によって取得された現在の撮像画像データにおける対応する画像を用いて表示するように切り替えることを乗員に促す画面を表示する。この構成によれば、例えば、車両の床下または床下付近を含む周辺画像を表示する場合に、車両の床下または床下付近の路面を含む第1の領域については過去画像を用いて表示し、路面から上方の領域を含む第2の領域については現在画像を用いて表示することで、周辺画像の領域内における現在の移動物も併せて表示できる。また、例えば、移動物が存在しないときは、第1の領域および第2の領域の両方について過去画像を用いて表示することで、つなぎ目のない連続した画像とすることができる。また、移動物が存在すると判定されると、第2の領域については、現在画像を用いて表示するように切り替えることを乗員に促す画面を表示することで、乗員はその画面切り替えをするか否かを自由に選択することができる。
【0010】
また、前記取得部によって取得された、前記撮像部からの撮像画像データ、および、前記車両に設けられた測距センサからの検出データの少なくともいずれかに基づいて前記車両の進行方向に移動物が存在するか否かを判定する移動物判定部を、さらに備え、前記画像処理部は、前記車両の進行方向の周辺画像を表示部に表示する場合に、前記移動物判定部によって前記移動物が存在すると判定されたときには、前記周辺画像における前記移動物の位置に基づいて前記第1仮想投影面と前記第2仮想投影面の境界部分を移動させるようにしてもよい。この構成によれば、例えば、移動物が存在すると判定されたときに、周辺画像における移動物の位置に基づいて第1仮想投影面と第2仮想投影面の境界部分を移動させることで、移動物の存在を乗員により気づかせやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第1実施形態の車両の車室の一部が透視された状態を示す斜視図である。
図2図2は、第1実施形態の車両の平面図(俯瞰図)である。
図3図3は、第1実施形態の車両のダッシュボードの構成を示す図である。
図4図4は、第1実施形態の周辺監視装置の構成を示すブロック図である。
図5図5は、第1実施形態の周辺監視装置のECUの構成等を示すブロック図である。
図6図6は、第1実施形態の周辺監視装置における撮像画像の仮想投影面への投影を説明するための模式図である。
図7図7は、第1実施形態の周辺監視装置における撮像画像の仮想投影面への投影を説明するための模式図である。
図8図8は、第1実施形態の画像処理部による周辺画像の生成を説明するための模式図である。
図9図9は、第1実施形態において車両の側面から見た場合の第1仮想投影面と第2仮想投影面とを示す模式図である。
図10図10は、第1実施形態における車両前方の三次元仮想空間を示す模式図である。
図11図11は、第1実施形態における表示例を示す模式図である。
図12図12は、第1実施形態の周辺監視装置による周辺画像の生成処理を示すフローチャートである。
図13図13は、第2実施形態の周辺監視装置のECUの構成等を示すブロック図である。
図14図14は、第2実施形態の周辺監視装置による周辺画像の生成処理を示すフローチャートである。
図15図15は、第3実施形態の周辺監視装置のECUの構成等を示すブロック図である。
図16図16は、第3実施形態の周辺監視装置による周辺画像の生成処理を示すフローチャートである。
図17図17は、第4実施形態の周辺監視装置による周辺画像の生成処理を示すフローチャートである。
図18図18は、第4実施形態における第1仮想投影面と第2仮想投影面との境界部分の移動を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の例示的な実施形態(第1実施形態~第4実施形態)が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用、結果、および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や、派生的な効果のうちの少なくとも一つを得ることが可能である。
【0013】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について説明する。第1実施形態の車両1(図1)は、例えば、不図示の内燃機関を駆動源とする自動車、すなわち内燃機関自動車であってもよいし、不図示の電動機を駆動源とする自動車、すなわち電気自動車や燃料電池自動車等であってもよいし、それらの双方を駆動源とするハイブリッド自動車であってもよいし、他の駆動源を備えた自動車であってもよい。また、車両1は、種々の変速装置を搭載することができるし、内燃機関や電動機を駆動するのに必要な種々の装置、例えばシステムや部品等を搭載することができる。また、車両1における車輪3の駆動に関わる装置の方式や、数、レイアウト等は、種々に設定することができる。
【0014】
図1は、第1実施形態の車両1の車室2aの一部が透視された状態を示す斜視図である。図2は、第1実施形態の車両1の平面図(俯瞰図)である。以下、両図を参照して説明する。車体2は、不図示の乗員が乗車する車室2a(図1)を構成している。車室2a内には、乗員としての運転者の座席2bに臨む状態で、操舵部4、加速操作部5、制動操作部6、変速操作部7等が設けられている。
【0015】
操舵部4は、例えば、ダッシュボード24から突出したステアリングホイール(ハンドル)である。加速操作部5は、例えば、運転者の足下に配置されたアクセルペダルである。制動操作部6は、例えば、運転者の足下に配置されたブレーキペダルである。変速操作部7は、例えば、センターコンソールから突出したシフトレバーである。なお、操舵部4、加速操作部5、制動操作部6、変速操作部7等は、これらに限定されない。
【0016】
また、車室2a内には、表示出力部としての表示装置8や、音声出力部としての音声出力装置9が設けられている。ここで、図3は、第1実施形態の車両1のダッシュボード24の構成を示す図である。図3に例示されるように、表示装置8は、ダッシュボード24の中央に配置されている。
【0017】
図1図3に示す表示装置8は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や、OELD(Organic Electro-Luminescence Display)等である。音声出力装置9は、例えば、スピーカである。また、表示装置8は、例えば、タッチパネル等、透明な操作入力部10で覆われている。乗員は、操作入力部10を介して表示装置8の表示画面に表示される画像を視認することができる。また、乗員は、表示装置8の表示画面に表示される画像に対応した位置において手指等で操作入力部10を触れたり押したり動かしたりして操作することで、操作入力を実行することができる。これらの表示装置8、音声出力装置9、操作入力部10等は、例えば、ダッシュボード24の車幅方向すなわち左右方向の中央部に配置されたモニタ装置11に設けられている。モニタ装置11は、スイッチ、ダイヤル、ジョイスティック、押しボタン等の不図示の操作入力部を有していてもよい。また、モニタ装置11とは異なる車室2a内の他の位置に不図示の音声出力装置を設けてもよいし、また、モニタ装置11の音声出力装置9と他の音声出力装置から、音声を出力するようにしてもよい。なお、モニタ装置11は、例えば、ナビゲーションシステムやオーディオシステムと兼用されてもよい。
【0018】
また、図1および図2に例示されるように、車両1は、例えば、四輪自動車であり、左右二つの前輪3Fと、左右二つの後輪3Rとを有する。これら四つの車輪3は、いずれも転舵可能に構成される。
【0019】
ここで、図4は、第1実施形態の周辺監視装置100の構成を示すブロック図である。図4に例示されるように、車両1は、少なくとも二つの車輪3を操舵する操舵システム13を有している。操舵システム13は、アクチュエータ13aと、トルクセンサ13bとを有する。操舵システム13は、ECU14(Electronic Control Unit)等によって電気的に制御されて、アクチュエータ13aを動作させる。操舵システム13は、例えば、電動パワーステアリングシステムや、SBW(Steer By Wire)システム等である。操舵システム13は、アクチュエータ13aによって操舵部4にトルク、すなわちアシストトルクを付加して操舵力を補ったり、アクチュエータ13aによって車輪3を転舵したりする。この場合、アクチュエータ13aは、一つの車輪3を転舵してもよいし、複数の車輪3を転舵してもよい。また、トルクセンサ13bは、例えば、運転者が操舵部4に与えるトルクを検出する。
【0020】
また、図2に例示されるように、車体2には、複数の撮像部15として、例えば四つの撮像部15a~15dが設けられている。撮像部15は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCIS(CMOS Image Sensor)等の撮像素子を内蔵するデジタルカメラである。撮像部15は、所定のフレームレートで動画データを出力することができる。撮像部15は、それぞれ、広角レンズまたは魚眼レンズを有し、水平方向には例えば140°~190°の範囲を撮像することができる。また、撮像部15の光軸は斜め下方に向けて設定されている。よって、撮像部15は、車両1が移動可能な路面や車両1が駐車可能な領域を含む車体2の周辺の外部の環境を逐次撮像し、撮像画像データとして出力する。
【0021】
撮像部15aは、例えば、車体2の後側の端部2eに配置され、リヤトランクのドア2hの下方の壁部に設けられている。撮像部15bは、例えば、車体2の右側の端部2fに配置され、右側のドアミラー2gに設けられている。撮像部15cは、例えば、車体2の前側、すなわち車両前後方向の前方側の端部2cに配置され、フロントバンパー等に設けられている。撮像部15dは、例えば、車体2の左側、すなわち車幅方向の左側の端部2dに配置され、左側の突出部としてのドアミラー2gに設けられている。ECU14は、複数の撮像部15で得られた撮像画像データに基づいて演算処理や画像処理を実行し、より広い視野角の画像を生成したり、車両1を上方から見た仮想的な俯瞰画像を生成したりすることができる。
【0022】
また、図2に例示されるように、車体2には、複数の測距部16、17(測距センサ)として、例えば四つの測距部16a~16dと、八つの測距部17a~17hとが設けられている。測距部16、17は、例えば、超音波を発射してその反射波を捉えるソナー(ソナーセンサ、超音波探知器)である。ECU14は、測距部16、17の検出結果(検出データ)により、車両1の周囲に配置された障害物等の物体の有無や当該物体までの距離を測定することができる。なお、測距部17は、例えば、比較的近距離の物体の検出に用いられる。また、測距部16は、例えば、測距部17よりも遠い比較的長距離の物体の検出に用いられる。また、測距部17は、例えば、車両1の前方および後方の物体の検出に用いられる。また、測距部16は、車両1の側方の物体の検出に用いられる。
【0023】
また、図4に例示されるように、周辺監視装置100では、ECU14、モニタ装置11、操舵システム13、測距部16、17等の他、ブレーキシステム18、舵角センサ19、アクセルセンサ20、シフトセンサ21、車輪速センサ22等が、電気通信回線としての車内ネットワーク23を介して電気的に接続されている。
【0024】
車内ネットワーク23は、例えば、CAN(Controller Area Network)として構成されている。ECU14は、車内ネットワーク23を通じて制御信号を送ることで、操舵システム13、ブレーキシステム18等を制御することができる。また、ECU14は、車内ネットワーク23を介して、トルクセンサ13b、ブレーキセンサ18b、舵角センサ19、測距部16、測距部17、アクセルセンサ20、シフトセンサ21、車輪速センサ22等の検出結果や、操作入力部10等の操作信号等を、受け取ることができる。
【0025】
ECU14は、例えば、CPU14a(Central Processing Unit)、ROM14b(Read Only Memory)、RAM14c(Random Access Memory)、表示制御部14d、音声制御部14e、SSD14f(Solid State Drive、フラッシュメモリ)等を有している。CPU14aは、例えば、表示装置8で表示される画像に関連した画像処理や、車両1の制御等の、各種の演算処理および制御を実行することができる。CPU14aは、ROM14b等の不揮発性の記憶装置にインストールされ記憶されたプログラムを読み出し、当該プログラムにしたがって演算処理を実行することができる。RAM14cは、CPU14aでの演算で用いられる各種のデータを一時的に記憶する。また、表示制御部14dは、ECU14での演算処理のうち、主として、撮像部15で得られた撮像画像データを用いた画像処理や、表示装置8で表示される撮像画像データの合成等を実行する。また、音声制御部14eは、ECU14での演算処理のうち、主として、音声出力装置9で出力される音声データの処理を実行する。また、SSD14fは、書き換え可能な不揮発性の記憶部であって、ECU14の電源がオフされた場合にあってもデータを記憶することができる。なお、CPU14a、ROM14b、RAM14c等は、同一パッケージ内に集積されてもよい。また、ECU14は、CPU14aに替えて、DSP(Digital Signal Processor)等の他の論理演算プロセッサや論理回路等が用いられる構成であってもよい。また、SSD14fに替えてHDD(Hard Disk Drive)が設けられてもよいし、SSD14fやHDDは、ECU14とは別に設けられてもよい。
【0026】
ブレーキシステム18は、例えば、ブレーキのロックを抑制するABS(Anti-lock Brake System)、コーナリング時の車両1の横滑りを抑制する横滑り防止装置(ESC:Electronic Stability Control)、ブレーキ力を増強させる(ブレーキアシストを実行する)電動ブレーキシステム、BBW(Brake By Wire)等を備える。ブレーキシステム18は、アクチュエータ18aを介して、車輪3ひいては車両1に制動力を与える。また、ブレーキシステム18は、左右の車輪3の回転差などからブレーキのロックや、車輪3の空回り、横滑りの兆候等を検出して、各種制御を実行することができる。ブレーキセンサ18bは、例えば、制動操作部6の可動部の位置を検出するセンサである。ブレーキセンサ18bは、制動操作部6の可動部としてのブレーキペダルの位置を検出することができる。ブレーキセンサ18bは、変位センサを含む。
【0027】
舵角センサ19は、例えば、ステアリングホイール等の操舵部4の操舵量を検出するセンサである。舵角センサ19は、例えば、ホール素子などを用いて構成される。ECU14は、運転者による操舵部4の操舵量や、自動操舵時の各車輪3の操舵量等を、舵角センサ19から取得して各種制御を実行する。なお、舵角センサ19は、操舵部4に含まれる回転部分の回転角度を検出する。舵角センサ19は、角度センサの一例である。
【0028】
アクセルセンサ20は、例えば、加速操作部5の可動部の位置を検出するセンサである。アクセルセンサ20は、可動部としてのアクセルペダルの位置を検出することができる。アクセルセンサ20は、変位センサを含む。
【0029】
シフトセンサ21は、例えば、変速操作部7の可動部の位置を検出するセンサである。シフトセンサ21は、変速操作部7の可動部としての、レバーや、アーム、ボタン等の位置を検出することができる。シフトセンサ21は、変位センサを含んでもよいし、スイッチとして構成されてもよい。
【0030】
車輪速センサ22は、車輪3の回転量や単位時間当たりの回転数を検出するセンサである。車輪速センサ22は、検出した回転数を示す車輪速パルス数をセンサ値として出力する。車輪速センサ22は、例えば、ホール素子などを用いて構成されてもよい。ECU14は、車輪速センサ22から取得したセンサ値に基づいて車両1の移動量などを演算し、各種制御を実行する。なお、車輪速センサ22は、ブレーキシステム18に設けられている場合もある。その場合、ECU14は、車輪速センサ22の検出結果を、ブレーキシステム18を介して取得する。
【0031】
なお、上述した各種センサやアクチュエータの構成や、配置、電気的な接続形態等は、一例であって、種々に設定(変更)することができる。
【0032】
本実施形態では、ECU14は、ハードウェアとソフトウェア(制御プログラム)が協働することにより、周辺監視装置100としての機能の少なくとも一部を実現する。図5は、第1実施形態の周辺監視装置100のECU14の構成等を示すブロック図である。ECU14は、図5に示すように、制御部141、記憶部142として機能する。記憶部142は、制御部141が実行するプログラムやプログラムの実行に必要なデータ等を格納する。制御部141は、取得部1411、表示判定部1412、画像処理部1413、および、更新判定部1414を備える。
【0033】
取得部1411は、車両1の進行方向の路面、および、路面から上方の領域を含む領域を撮像する撮像部15から撮像画像データを継続的に取得し、取得した撮像画像データを記憶部142に随時格納する。また、取得部1411は、測距部16、測距部17、車輪速センサ22等から各種データを取得する。
【0034】
表示判定部1412は、周辺画像を表示装置8に表示するか否かを判定する。表示判定部1412は、例えば、車輪速センサ22から取得したセンサ値に基づいて算出した車速が予め定められた閾値車速未満か否かによって、周辺画像を表示するか否かを判定する。閾値車速の一例は、10km/hである。表示判定部1412は、例えば、車速が閾値車速未満の場合、周辺画像を表示すると判定する。なお、表示判定部1412は、操作入力部10を介して受け付けた乗員の操作指示に基づいて、当該周辺画像を表示するか否かを判定してもよい。
【0035】
画像処理部1413は、車両1の進行方向の周辺画像を表示装置8に表示する場合に、車両1の床下または床下付近の路面を含む第1の領域(撮像対象領域)については、記憶部142に記憶された過去の撮像画像データにおける対応する画像を用いて表示し、路面から上方の領域を含む第2の領域(撮像対象領域)については、取得部1411によって取得された現在の撮像画像データにおける対応する画像を用いて表示する。
【0036】
より具体的には、画像処理部1413は、第1の領域については、記憶部142に記憶された過去の撮像画像データにおける対応する画像を、三次元仮想空間上で路面に対応する平面として設定された第1仮想投影面に投影することで表示する。また、画像処理部1413は、第2の領域については、取得部1411によって取得された現在の撮像画像データにおける対応する画像を、三次元仮想空間上で第1仮想投影面の端部またはその付近から立ち上がるように設定された第2仮想投影面に投影することで表示する。また、画像処理部1413は、第1仮想投影面と第2仮想投影面との間の境界を識別可能に表示する。詳細は後述する。
【0037】
更新判定部1414は、第1仮想投影面に投影した過去画像を更新するか否かを、例えば、車両1が所定距離(例えば数メートル)移動したか否かにより判定する。また、更新判定部1414は、第2仮想投影面に投影した現在画像を更新するか否かを、例えば、所定時間(例えば数十ミリ秒)経過したか否かにより判定する。
【0038】
図6は、第1実施形態の周辺監視装置100における撮像画像の仮想投影面への投影を説明するための模式図である。画像処理部1413は、撮像部15によって得られた撮像画像データに基づいて視点画像を生成する。視点画像とは、撮像画像が投影された仮想投影面を仮想視点から見た画像であって、例えば、仮想投影変換や視点変換された画像である。画像処理部1413は、撮像部15による撮像画像データに対して座標変換や投影変換等の画像処理を行うことにより、視点画像のデータを得る。
【0039】
図6の例では、仮想投影面Spは、地面Gr(路面)に沿った底面Spg(第1仮想投影面)と、底面Spgすなわち地面Grから立ち上がった側面Sps(第2仮想投影面)と、を有している。地面Grは、車両1の上下方向Zと直交する水平面であり、タイヤの接地面でもある。底面Spgは、略円形の平坦面であり、車両1を基準とする水平面である。側面Spsは、底面Spgと接した曲面である。図6に示されるように、側面Spsの、車両1の中心Gcを通り車両1の垂直な仮想断面の形状は、例えば、楕円状あるいは放物線状である。側面Spsは、例えば、車両1の中心Gcを通り車両1の上下方向Zに沿う中心線CL周りの回転面として構成され、車両1の周囲を取り囲んでいる。
【0040】
画像処理部1413は、撮像画像を仮想投影面Spに投影した場合の仮想投影画像を算出する。撮像画像Icを地面Grに投影すると、撮像部15から遠ざかるにつれて像が長くなり、出力画像中で実際の長さよりも長く映る場合がある。図6からわかるように、地面Gr(底面Spg)から立ち上がった側面Spsへ投影された仮想投影画像Ipは、地面Grに投影された場合に比べて、像が短くなり、出力画像中で実際の長さよりも長く映るのが抑制される。
【0041】
なお、図6では、撮像画像を車両1の側方の仮想投影面Spに投影する場合について説明したが、撮像画像を車両1の前方(または後方)の仮想投影面Spに投影する場合についても同様である。
【0042】
図7は、第1実施形態の周辺監視装置100における撮像画像の仮想投影面への投影を説明するための模式図である。図7に示されるように、画像処理部1413は、仮想投影面Spに投影された仮想投影画像Ip(図7には不図示。図6参照)を、所定の視点Epから斜め下方を見た視点画像に変換する。視点Epは、例えば、車両1の床下や床下付近の路面を臨む位置に設定される。
【0043】
図8は、第1実施形態の画像処理部1413による周辺画像の生成を説明するための模式図である。図8は、仮想空間203において、撮像位置PT0から太線矢印AR1に沿って仮想位置PT1まで移動した状態における車両1および車両1の周辺の概略の平面図である。なお、図8では、撮像位置PT0の車両1を点線で示す。
【0044】
画像処理部1413は、図8に示すように、実空間(例えば、ワールド座標)における車両1の現在位置に応じた車両1の仮想位置PT1を仮想空間203内に設定する。画像処理部1413は、第1仮想投影面201(図6図7の底面Spgに対応)と第2仮想投影面202(図6図7の側面Spsに対応)からなる仮想投影面200に投影した撮像画像を、車両1の仮想位置PT1に基づいて設定された仮想視点VV1(図7の視点Epに対応)から見た画像を周辺画像として生成する。例えば、画像処理部1413は、仮想視点VV1を起点とし、当該起点から進行方向(例えば、前方)に沿った方向として定められる仮想視線の両側の領域から予め定められた設定角度の領域(例えば、図8のドット領域)で見える画像を周辺画像として生成する。なお、画像処理部1413は、仮想視点VV1の位置を車両1の現在位置または仮想位置PT1に応じて任意で設定してよい。
【0045】
なお、図8では、図示の都合上、第1仮想投影面201と第2仮想投影面202が図8の横方向に延びた形状としたが、図6図7と同様、それらが車両1の中心Gc(図6)を通り車両1の上下方向に沿う中心線CL(図6)周りの回転面として構成され、車両1の周囲を取り囲んでいてもよい。
【0046】
画像処理部1413は、生成した周辺画像に、例えば、車両1の画像である車両画像を重畳させてもよい。この車両画像は、例えば、撮像部15によって撮像された画像ではなく、予め記憶部142に記憶されている画像である。
【0047】
図9は、第1実施形態において車両1の側面から見た場合の第1仮想投影面201と第2仮想投影面202とを示す模式図である。図10は、第1実施形態における車両前方の三次元仮想空間を示す模式図である。図11は、第1実施形態における表示例を示す模式図である。
【0048】
上述の図6図7を参照して説明した内容や、図9図11からわかるように、周辺画像全体として立体感を増すためには、第2仮想投影面202を車両1からなるべく近い位置から立ち上げることが好ましい。また、第1仮想投影面201は、移動物が存在する可能性が低いエリアである。一方、第2仮想投影面202は、移動物が存在する可能性が高いエリアである。そのような第2仮想投影面202に現在画像を投影することで、周辺画像に移動物をリアルタイムに表示することができる。なお、第1仮想投影面201を平坦にすることで、車両1の車輪3と路面との位置関係を正しく表示することができる。
【0049】
また、図10図11に示すように、画像処理部1413は、周辺画像における第1仮想投影面201と第2仮想投影面202との間の境界を識別可能に表示する一例として、第1仮想投影面201と第2仮想投影面202との間に境界線204を表示する。これにより、乗員は、表示における過去画像の部分と現在画像の部分とを明確に識別することができる。また、画像処理部1413は、第1仮想投影面201と第2仮想投影面202との間の境界を識別可能に表示する他の例として、第1仮想投影面201と第2仮想投影面202とを分離して表示したり、第1仮想投影面201と第2仮想投影面202との輝度や色などの表示態様を異ならせて表示したりしてもよい。なお、このような第1仮想投影面201と第2仮想投影面202との間の境界を識別可能に表示する処理は、第1仮想投影面201に過去画像を表示するとともに第2仮想投影面202に現在画像を表示する場合にのみ行う。つまり、第1仮想投影面201と第2仮想投影面202の両方について、所定時刻に撮影した一枚の過去画像を用いて表示する場合は、つなぎ目のない連続した画像となり、より見やすい画像表示とすることができる。
【0050】
また、画像処理部1413は、第2仮想投影面202をカラー表示とし、第1仮想投影面201をモノクロ表示やセピア表示としてもよい。そうすることで、第1仮想投影面201が過去画像であることを乗員に対して強調することができる。また、第1仮想投影面201を単一色にすることで、乗員が当該部分の画像を鮮明に感じるという効果もある。
【0051】
次に、図12を参照して、第1実施形態の周辺監視装置100による周辺画像の生成処理について説明する。図12は、第1実施形態の周辺監視装置100による周辺画像の生成処理を示すフローチャートである。
【0052】
まず、表示判定部1412は、表示装置8に対する周辺画像の表示を開始するか否かを判定し(ステップS1)、Yesの場合はステップS2に進み、Noの場合はステップS1に戻る。このステップS1では、表示判定部1412は、例えば、車輪速センサ22から取得したセンサ値に基づいて算出した車速が予め定められた閾値車速未満の場合、周辺画像の表示を開始すると判定する。
【0053】
ステップS2において、画像処理部1413は、第1仮想投影面201に、記憶部142に記憶された過去の撮像画像データ(例えば数メートル前に撮像された画像データ)における対応する画像(過去画像)を投影する。
【0054】
次に、ステップS3において、取得部1411は、撮像部15から現在の撮像画像データを取得する。
【0055】
次に、ステップS4において、画像処理部1413は、第2仮想投影面202に、ステップS3で取得した現在の撮像画像データにおける対応する画像(現在画像)を投影する。
【0056】
次に、ステップS5において、画像処理部1413は、第1仮想投影面201と第2仮想投影面202による周辺画像を表示装置8に表示する(図11参照)。このステップS5において、画像処理部1413は、第1仮想投影面201と第2仮想投影面202の間に境界線204を表示する処理も併せて行う。
【0057】
次に、ステップS6において、更新判定部1414は、ステップS2の後に車両1が所定距離(例えば数メートル)移動したか否かを判定し、Yesの場合はステップS2に戻り、Noの場合はステップS7に進む。ステップS6でYesの場合、ステップS2で第1仮想投影面201の過去画像が更新されることになる。
【0058】
ステップS7において、更新判定部1414は、ステップS4の後に所定時間(例えば数十ミリ秒)経過したか否かを判定し、Yesの場合はステップS3に戻り、Noの場合はステップS8に進む。ステップS7でYesの場合、ステップS3以降で第2仮想投影面202の現在画像が更新されることになる。
【0059】
ステップS8において、表示判定部1412は、表示装置8に対する周辺画像の表示を終了するか否かを判定し、Yesの場合は処理を終了し、Noの場合はステップS6に戻る。このステップS8では、表示判定部1412は、例えば、車輪速センサ22から取得したセンサ値に基づいて算出した車速が予め定められた閾値車速以上の場合、周辺画像の表示を終了すると判定する。
【0060】
このように、第1実施形態の周辺監視装置100によれば、車両1の床下や床下付近を含む周辺画像を表示する場合に、車両1の床下または床下付近の路面を含む第1の領域については過去画像を用いて表示し、路面から上方の領域を含む第2の領域については現在画像を用いて表示することで、周辺画像の領域内における現在の移動物も併せて表示できる。したがって、乗員は、このような現在の移動物も併せて表示できる周辺画像を見ることで、現在の移動物も含めて運転時の各種判断の参考にすることができる。
【0061】
また、過去画像を用いて表示される第1仮想投影面201と、現在画像を用いて表示される第2仮想投影面202との間の境界を識別可能に表示することで、乗員は、表示における過去画像の部分と現在画像の部分とを明確に識別することができ、使いやすい。
【0062】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第1実施形態と同様の事項については、説明を適宜省略する。図13は、第2実施形態の周辺監視装置100のECU14の構成等を示すブロック図である。図13のECU14は、図5のECU14と比較して、制御部141に移動物判定部1415が追加されている点で相違する。
【0063】
移動物判定部1415は、取得部1411によって取得された、撮像部15からの撮像画像データ、および、測距部16や測距部17からの検出データの少なくともいずれかに基づいて、車両1の進行方向に移動物が存在するか否かを判定する。
【0064】
そして、画像処理部1413は、車両1の進行方向の周辺画像を表示装置8に表示する場合に、移動物判定部1415によって移動物が存在すると判定されていないときには、第1の領域および第2の領域の両方について、記憶部142に記憶された過去の撮像画像データにおける対応する画像を用いて表示する。
【0065】
また、画像処理部1413は、移動物判定部1415によって移動物が存在すると判定されたときには、第1の領域(第1仮想投影面201)については、記憶部142に記憶された過去の撮像画像データにおける対応する画像を用いて表示するとともに、第2の領域(第2仮想投影面202)については、取得部1411によって取得された現在の撮像画像データにおける対応する画像を用いて表示するように切り替える。
【0066】
図14は、第2実施形態の周辺監視装置100による周辺画像の生成処理を示すフローチャートである。まず、表示判定部1412は、表示装置8に対する周辺画像の表示を開始するか否かを判定し(ステップS101)、Yesの場合はステップS102に進み、Noの場合はステップS101に戻る。
【0067】
ステップS102において、画像処理部1413は、第1仮想投影面201と第2仮想投影面202に、記憶部142に記憶された過去の撮像画像データにおける対応する画像(過去画像)を投影する。
【0068】
次に、ステップS103において、画像処理部1413は、第1仮想投影面201と第2仮想投影面202による周辺画像を表示装置8に表示する。このステップS103において、画像処理部1413は、第1仮想投影面201と第2仮想投影面202の間に境界線を表示する処理は行わない。
【0069】
次に、ステップS104において、移動物判定部1415は、取得部1411によって取得された、撮像部15からの撮像画像データ、および、測距部16や測距部17からの検出データの少なくともいずれかに基づいて、車両1の進行方向に移動物が存在するか否かを判定し、Yesの場合はステップS107に進み、Noの場合はステップS105に進む。
【0070】
ステップS105において、更新判定部1414は、ステップS102の後に車両1が所定距離(例えば数メートル)移動したか否かを判定し、Yesの場合はステップS102に戻り、Noの場合はステップS106に進む。ステップS105でYesの場合、ステップS102で第1仮想投影面201と第2仮想投影面202の過去画像が更新されることになる。
【0071】
ステップS106において、表示判定部1412は、表示装置8に対する周辺画像の表示を終了するか否かを判定し、Yesの場合は処理を終了し、Noの場合はステップS104に戻る。
【0072】
ステップS107において、画像処理部1413は、第1仮想投影面201に、記憶部142に記憶された過去の撮像画像データにおける対応する画像(過去画像)を投影する。
【0073】
次に、ステップS108において、取得部1411は、撮像部15から現在の撮像画像データを取得する。
【0074】
次に、ステップS109において、画像処理部1413は、第2仮想投影面202に、ステップS108で取得した現在の撮像画像データにおける対応する画像(現在画像)を投影する。
【0075】
次に、ステップS110において、画像処理部1413は、第1仮想投影面201と第2仮想投影面202による周辺画像を表示装置8に表示する(図11参照)。このステップS110において、画像処理部1413は、第1仮想投影面201と第2仮想投影面202の間に境界線204(図11)を表示する処理も併せて行う。
【0076】
次に、ステップS111において、移動物判定部1415は、移動物が存在しなくなってから第2所定時間(例えば1分)経過したか否かを判定し、Yesの場合はステップS102に戻り、Noの場合はステップS112に進む。ステップS111でYesの場合、ステップS102以降で第1仮想投影面201と第2仮想投影面202の両方に過去画像が表示される状態に戻ることになる。
【0077】
ステップS112において、更新判定部1414は、ステップS107の後に車両1が所定距離(例えば数メートル)移動したか否かを判定し、Yesの場合はステップS107に戻り、Noの場合はステップS113に進む。ステップS112でYesの場合、ステップS107で第1仮想投影面201の過去画像が更新されることになる。
【0078】
ステップS113において、更新判定部1414は、ステップS109の後に所定時間(例えば数十ミリ秒)経過したか否かを判定し、Yesの場合はステップS108に戻り、Noの場合はステップS114に進む。ステップS113でYesの場合、ステップS108以降で第2仮想投影面202の現在画像が更新されることになる。
【0079】
ステップS114において、表示判定部1412は、表示装置8に対する周辺画像の表示を終了するか否かを判定し、Yesの場合は処理を終了し、Noの場合はステップS111に戻る。
【0080】
このように、第2実施形態の周辺監視装置100によれば、移動物が存在しないときは、第1の領域(第1仮想投影面201)および第2の領域(第2仮想投影面202)の両方について、所定時刻に撮影した一枚の過去画像を用いて表示することで、つなぎ目のない連続した画像とすることができる。また、移動物が存在すると判定されると、第2の領域(第2仮想投影面202)については、現在画像を用いて表示するように切り替えることで、周辺画像の領域内における現在の移動物も併せて表示できる。
【0081】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第1実施形態、第2実施形態の少なくともいずれかと同様の事項については、説明を適宜省略する。図15は、第3実施形態の周辺監視装置100のECU14の構成等を示すブロック図である。図15のECU14は、図13のECU14と比較して、制御部141に画像切替判定部1416が追加されている点で相違する。
【0082】
この第3実施形態では、画像処理部1413は、移動物判定部1415によって移動物が存在すると判定されたときには、第1の領域(第1仮想投影面201)については、記憶部142に記憶された過去の撮像画像データにおける対応する画像を用いて表示するとともに、第2の領域(第2仮想投影面202)については、取得部1411によって取得された現在の撮像画像データにおける対応する画像を用いて表示するように切り替えることを乗員に促す画面を表示する。この乗員に促す画面は、例えば、第2の領域(第2仮想投影面202)について、輝度を下げる等により暗くする、あるいは、赤く表示、点滅させる等により実現できる。
【0083】
画像切替判定部1416は、この乗員に促す画面において乗員が画面切替操作を行ったか否かを判定する。画像切替判定部1416は、例えば、表示装置8の表示画面に表示される画像に対応した位置において乗員が手指等によって操作入力部10を触れたり押したり動かしたりする操作を行ったか否かにより当該判定を行う。
【0084】
図16は、第3実施形態の周辺監視装置100による周辺画像の生成処理を示すフローチャートである。図16のフローチャートは、図14のフローチャートと比較して、ステップS121とステップS122が追加している点でのみ相違するので、同様の点については説明を省略する。
【0085】
ステップS104でYesの場合、ステップS121において、画像処理部1413は、第2の領域(第2仮想投影面202)について、取得部1411によって取得された現在の撮像画像データにおける対応する画像を用いて表示するように切り替えることを乗員に促す画面を表示する。
【0086】
次に、ステップS122において、画像切替判定部1416は、当該画面において乗員が画面切替操作を行ったか否かを判定し、Yesの場合はステップS107に進み、Noの場合はステップS105に進む。
【0087】
このように、第3実施形態の周辺監視装置100によれば、移動物が存在しないときは、第1の領域(第1仮想投影面201)および第2の領域(第2仮想投影面202)の両方について、所定時刻に撮影した一枚の過去画像を用いて表示することで、つなぎ目のない連続した画像とすることができる。また、移動物が存在すると判定されると、第2の領域(第2仮想投影面202)については、現在画像を用いて表示するように切り替えることを乗員に促す画面を表示することで、乗員はその画面切り替えをするか否かを自由に選択することができる。
【0088】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。第1実施形態~第3実施形態の少なくともいずれかと同様の事項については、説明を適宜省略する。ECU14の構成としては、図13に示したものとなる。
【0089】
この第4実施形態では、画像処理部1413は、車両1の進行方向の周辺画像を表示装置8に表示する場合に、移動物判定部1415によって移動物が存在すると判定されたときには、周辺画像における移動物の位置に基づいて第1仮想投影面201と第2仮想投影面202の境界部分(境界線204、分離部分等)を移動させる。
【0090】
図17は、第4実施形態の周辺監視装置100による周辺画像の生成処理を示すフローチャートである。図12のフローチャートと同様の処理(ステップ)については説明を適宜省略する。
【0091】
ステップS5の後、ステップS31において、移動物判定部1415は、取得部1411によって取得された、撮像部15からの撮像画像データ、および、測距部16や測距部17からの検出データの少なくともいずれかに基づいて、車両1の進行方向に移動物が存在するか否かを判定し、Yesの場合はステップS32に進み、Noの場合はステップS34に進む。
【0092】
ステップS32において、画像処理部1413は、2つの仮想投影面(第1仮想投影面201、第2仮想投影面202)の境界部分を移動させる必要があるか否かを判定し、Yesの場合はステップS33に進み、Noの場合はステップS6に進む。このステップS32では、画像処理部1413は、例えば、周辺画像における移動物の面積の所定割合以上が第1仮想投影面201に入っていれば、当該境界部分を移動させる必要があると判定するが、これに限定されない。
【0093】
ステップS33において、画像処理部1413は、2つの仮想投影面の境界部分を移動させる。このステップS33では、画像処理部1413は、例えば、周辺画像における移動物の第1仮想投影面201に入っている面積の割合が所定未満になるように、当該境界部分を移動させる。ここで、図18は、第4実施形態における第1仮想投影面201と第2仮想投影面202との境界部分の移動を説明するための模式図である。図18に示すように、画像処理部1413は、当該境界部分を、車両1に近付くように、または、車両1から遠ざかるように移動させる。
【0094】
図17に戻って、ステップS34において、移動物判定部1415は、移動物が存在しなくなってから第2所定時間(例えば1分)経過したか否かを判定し、Yesの場合はステップS35に進み、Noの場合はステップS6に進む。
【0095】
ステップS35において、画像処理部1413は、当該境界部分を再設定する(例えば初期設定に戻す)。ステップS35の後、ステップS6に進む。
【0096】
このように、第4実施形態の周辺監視装置100によれば、移動物が存在すると判定されたときに、周辺画像における移動物の位置に基づいて第1仮想投影面201と第2仮想投影面202の境界部分を移動させることで、移動物の存在を乗員により気づかせやすくすることができる。なお、画像処理部1413は、周辺画像を生成する場合の仮想視点を、移動物を見やすい位置に変えてもよい。
【0097】
本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0098】
1…車両、8…表示装置、14…ECU、100…周辺監視装置、141…制御部、142…記憶部、1411…取得部、1412…表示判定部、1413…画像処理部、1414…更新判定部、1415…移動物判定部、1416…画像切替判定部、15…撮像部、16…測距部、17…測距部、22…車輪速センサ、201…第1仮想投影面、202…第2仮想投影面、203…仮想空間、204…境界線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18