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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】画像形成システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20220119BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20220119BHJP
   B41J 3/54 20060101ALI20220119BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20220119BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
G03G21/00 510
G03G21/14
B41J3/54 B
B41J29/38 350
H04N1/00 002A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017113967
(22)【出願日】2017-06-09
(65)【公開番号】P2018205652
(43)【公開日】2018-12-27
【審査請求日】2020-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 拓
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-186376(JP,A)
【文献】特開2013-054147(JP,A)
【文献】特開2007-279327(JP,A)
【文献】特開昭64-024260(JP,A)
【文献】特開2006-227333(JP,A)
【文献】特開2013-202907(JP,A)
【文献】特開平04-234067(JP,A)
【文献】特開平11-296025(JP,A)
【文献】特開2007-072118(JP,A)
【文献】特開2012-068286(JP,A)
【文献】特開2017-102341(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0215240(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 21/14
B41J 3/54
B41J 29/38
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に画像形成を行う画像形成部を有する複数の画像形成装置が直列に配置された画像形成システムにおいて、
前記画像形成部の動作状態を調整する調整動作の実行を制御する制御手段と、
前記調整動作のうち前記複数の画像形成装置において同時に行う必要がない非同期調整動作の実行の要否に関する要否情報及び実行時間に関する実行時間情報及び前記非同期調整動作の実行優先順位に関する優先順位情報を含む調整動作情報を記憶する記憶手段と、
前記画像形成部の動作履歴に基づいて、前記非同期調整動作の要否を判断する判断手段と、
前記判断手段による判断結果に基づいて前記記憶手段の要否情報を更新する更新手段と、を備え、
前記判断手段は、
対象とする非同期調整動作に関連する前記動作履歴の値が、第1の閾値を超えた場合に前記非同期調整動作の実行が推奨されると判断し、更に前記動作履歴の値が変化する方向の第2の閾値を超えた場合に前記非同期調整動作の実行が必要であると判断し、実行が必要な前記非同期調整動作のうち、前記第2の閾値の超過量が多い順に実行優先順位を設定し、
前記制御手段は、一の画像形成装置における空き時間であって、他の画像形成装置が画像形成を実行している第1の空き時間及び前記他の画像形成装置が前記非同期調整動作を実行している第2の空き時間に、前記一の画像形成装置に、前記記憶手段に記憶された調整動作情報に基づいて実行が必要な前記非同期調整動作に要する実行時間が前記空き時間に収まるもののうち、前記実行優先順位の最も高いものから順に選択して実行させ、前記空き時間に収まる、実行が必要な前記非同期調整動作がない場合、実行が推奨される前記非同期調整動作から選択して実行させる
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記第1の空き時間は、
画像形成システムにおけるジョブの開始時に、前記一の画像形成装置よりも上流に配置された前記他の画像形成装置が画像形成を実行している時間であって、前記一の画像形成装置のアイドリング中の時間である
ことを特徴とする請求項に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記第2の空き時間は、
前記他の画像形成装置がジョブの途中に前記非同期調整動作を実行している時間であって、前記一の画像形成装置のアイドリング中の時間である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記調整動作情報には、前記非同期調整動作に要する実行時間が前記空き時間に収まらない場合に、前記非同期調整動作を分割可能か否かに関する分割可否情報が含まれ、
前記制御手段は、実行が必要な前記非同期調整動作に要する実行時間が前記空き時間に収まらず、かつ分割可能である場合に、当該非同期調整動作を分割し、前記空き時間に収まる時間のみ実行し、当該非同期調整動作の実行時間情報を実行した時間分減算する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【請求項5】
用紙に画像形成を行う画像形成部を有する複数の画像形成装置が直列に配置された画像形成システムのコンピューターを、
前記画像形成部の動作状態を調整する調整動作の実行を制御する制御手段、
前記調整動作のうち前記複数の画像形成装置において同時に行う必要がない非同期調整動作の実行の要否に関する要否情報及び実行時間に関する実行時間情報及び前記非同期調整動作の実行優先順位に関する優先順位情報を含む調整動作情報を記憶する記憶手段、
前記画像形成部の動作履歴に基づいて、前記非同期調整動作の要否を判断する判断手段、
前記判断手段による判断結果に基づいて前記記憶手段の要否情報を更新する更新手段、として機能させ、
前記判断手段は、
対象とする非同期調整動作に関連する前記動作履歴の値が、第1の閾値を超えた場合に前記非同期調整動作の実行が推奨されると判断し、更に前記動作履歴の値が変化する方向の第2の閾値を超えた場合に前記非同期調整動作の実行が必要であると判断し、実行が必要な前記非同期調整動作のうち、前記第2の閾値の超過量が多い順に実行優先順位を設定し、
前記制御手段は、
一の画像形成装置における空き時間であって、他の画像形成装置が画像形成を実行している第1の空き時間及び前記他の画像形成装置が前記非同期調整動作を実行している第2の空き時間に、前記一の画像形成装置に、前記記憶手段に記憶された調整動作情報に基づいて実行が必要な前記非同期調整動作に要する実行時間が前記空き時間に収まるもののうち、前記実行優先順位の最も高いものから順に選択して実行させ、前記空き時間に収まる、実行が必要な前記非同期調整動作がない場合、実行が推奨される前記非同期調整動作から選択して実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2台の画像形成装置を直列に接続して構成される画像形成システムが知られている。この画像形成システムによれば、両面印刷の場合、例えば用紙搬送方向上流側に位置する第1の画像形成装置により用紙の表面(又は裏面)を印刷し、用紙搬送方向下流側に位置する第2の画像形成装置により用紙の裏面(又は表面)を印刷することができる。用紙の表裏の印刷をそれぞれの画像形成装置が分担して行うことにより、1台の画像形成装置で両面印刷する場合と比較して、生産性を向上させることができる。なお、こうした画像形成システムは、一般に、高生産性を追及するPP(Production Print)機に適用される。
【0003】
ここで、電子写真方式の画像形成装置では、画像形成を適正に実施するための調整動作(以降、プリント調整動作と表記)を実施することが一般的である。プリント調整動作には、階調補正やカラーレジスト補正などの画質調整、帯電極清掃等の画像形成部のクリーニング、ジョブ開始前における定着部の予備動作などが挙げられる。
【0004】
2台の画像形成装置を直列に接続して構成される画像形成システムにおいては、プリント調整動作のうち画質調整を各画像形成装置で個別に実施すると、表裏の画質が合わなくなる場合がある。よって、表裏の画質を合わせるため、2台の画像形成装置で同時に画質調整動作を実施することが望ましい。
そこで特許文献1には、このような画像形成システムにおいて、一方の画像形成装置で画質調整を実行する必要が生じた場合に、他方の画像形成装置と同期させて画質調整を実行する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-68286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、プリント調整動作には、上記した画像形成部のクリーニングなどすべての画像形成装置で同時に実行する必要のないものもある。
このような調整を常にすべての画像形成装置に対して同時に実行するものとすると、実行頻度が増え、画像形成システム全体としての生産が低下する。また、一方の画像形成装置では調整が必要であっても他方の画像形成装置では必要のない場合など、それぞれにとって最適ではないタイミングで実行すると、資材を無駄に消費してしまう。
【0007】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、複数の画像形成装置を直列に接続して構成される画像形成システムであって、生産性の低下や資材の無駄な消費を抑えて、画像形成を適正に実施するための調整動作を実行することが可能な画像形成システム及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の画像形成システムは、
用紙に画像形成を行う画像形成部を有する複数の画像形成装置が直列に配置された画像形成システムにおいて、
前記画像形成部の動作状態を調整する調整動作の実行を制御する制御手段と、
前記調整動作のうち前記複数の画像形成装置において同時に行う必要がない非同期調整動作の実行の要否に関する要否情報及び実行時間に関する実行時間情報及び前記非同期調整動作の実行優先順位に関する優先順位情報を含む調整動作情報を記憶する記憶手段と、
前記画像形成部の動作履歴に基づいて、前記非同期調整動作の要否を判断する判断手段と、
前記判断手段による判断結果に基づいて前記記憶手段の要否情報を更新する更新手段と、を備え、
前記判断手段は、
対象とする非同期調整動作に関連する前記動作履歴の値が、第1の閾値を超えた場合に前記非同期調整動作の実行が推奨されると判断し、更に前記動作履歴の値が変化する方向の第2の閾値を超えた場合に前記非同期調整動作の実行が必要であると判断し、実行が必要な前記非同期調整動作のうち、前記第2の閾値の超過量が多い順に実行優先順位を設定し、
前記制御手段は、一の画像形成装置における空き時間であって、他の画像形成装置が画像形成を実行している第1の空き時間及び前記他の画像形成装置が前記非同期調整動作を実行している第2の空き時間に、前記一の画像形成装置に、前記記憶手段に記憶された調整動作情報に基づいて実行が必要な前記非同期調整動作に要する実行時間が前記空き時間に収まるもののうち、前記実行優先順位の最も高いものから順に選択して実行させ、前記空き時間に収まる、実行が必要な前記非同期調整動作がない場合、実行が推奨される前記非同期調整動作から選択して実行させる
ことを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の画像形成システムにおいて、
前記第1の空き時間は、
画像形成システムにおけるジョブの開始時に、前記一の画像形成装置よりも上流に配置された前記他の画像形成装置が画像形成を実行している時間であって、前記一の画像形成装置のアイドリング中の時間である
ことを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成システムにおいて、
前記第2の空き時間は、
前記他の画像形成装置がジョブの途中に前記非同期調整動作を実行している時間であって、前記一の画像形成装置のアイドリング中の時間である
ことを特徴とする
求項に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の画像形成システムにおいて、
前記調整動作情報には、前記非同期調整動作に要する実行時間が前記空き時間に収まらない場合に、前記非同期調整動作を分割可能か否かに関する分割可否情報が含まれ、
前記制御手段は、実行が必要な前記非同期調整動作に要する実行時間が前記空き時間に収まらず、かつ分割可能である場合に、当該非同期調整動作を分割し、前記空き時間に収まる時間のみ実行し、当該非同期調整動作の実行時間情報を実行した時間分減算する
ことを特徴とする
求項に記載のプログラムは、
用紙に画像形成を行う画像形成部を有する複数の画像形成装置が直列に配置された画像形成システムのコンピューターを、
前記画像形成部の動作状態を調整する調整動作の実行を制御する制御手段、
前記調整動作のうち前記複数の画像形成装置において同時に行う必要がない非同期調整動作の実行の要否に関する要否情報及び実行時間に関する実行時間情報及び前記非同期調整動作の実行優先順位に関する優先順位情報を含む調整動作情報を記憶する記憶手段、
前記画像形成部の動作履歴に基づいて、前記非同期調整動作の要否を判断する判断手段、
前記判断手段による判断結果に基づいて前記記憶手段の要否情報を更新する更新手段、として機能させ、
前記判断手段は、
対象とする非同期調整動作に関連する前記動作履歴の値が、第1の閾値を超えた場合に前記非同期調整動作の実行が推奨されると判断し、更に前記動作履歴の値が変化する方向の第2の閾値を超えた場合に前記非同期調整動作の実行が必要であると判断し、実行が必要な前記非同期調整動作のうち、前記第2の閾値の超過量が多い順に実行優先順位を設定し、
前記制御手段は、
一の画像形成装置における空き時間であって、他の画像形成装置が画像形成を実行している第1の空き時間及び前記他の画像形成装置が前記非同期調整動作を実行している第2の空き時間に、前記一の画像形成装置に、前記記憶手段に記憶された調整動作情報に基づいて実行が必要な前記非同期調整動作に要する実行時間が前記空き時間に収まるもののうち、前記実行優先順位の最も高いものから順に選択して実行させ、前記空き時間に収まる、実行が必要な前記非同期調整動作がない場合、実行が推奨される前記非同期調整動作から選択して実行させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、複数の画像形成装置を直列に接続して構成される画像形成システムであって、生産性の低下や資材の無駄な消費を抑えて、画像形成を適正に実施するための調整動作を実行することが可能な画像形成システム及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】画像形成システムの概略構成を示す図である。
図2】画像形成システムの主要な機能構成を示すブロック図である。
図3】プリント調整動作の実行時間情報及び要否情報を定めたテーブルの一例である。
図4】空き時間を説明する図である。
図5】プリント調整動作の必要レベルを定めたテーブルの一例である。
図6】第1の判断処理に係る調整選択テーブルの一例である。
図7】第1の判断処理に係るフローチャートである。
図8】第2の判断処理に係る調整選択テーブルの一例である。
図9】第2の判断処理に係るフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本実施形態における画像形成システムについて、図面を用いて詳細に説明する。なお、本実施形態に係る画像形成システムは本発明の一例であり、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0020】
[画像形成システムの構成]
図1に、画像形成システム100の全体構成及び内部構成を示す。
画像形成システム100は、第1の画像形成装置1及び第2の画像形成装置2を備え、各装置は直列に接続されて構成される。
また、第1の画像形成装置1は、反転機構R1を備える。また、第2の画像形成装置2は、排紙トレイ3を備える。また、矢印は、用紙の搬送経路又は中間転写ベルトの回転方向を示す。
【0021】
図1に示すように、例えば画像形成システム100は、両面印刷する場合、給紙部11から用紙を給紙し第1の画像形成装置1により用紙の表面を印刷する。その後、画像形成システム100は、反転機構R1により用紙を反転させて、用紙を第2の画像形成装置2に搬送する。そして、画像形成システム100は、第2の画像形成装置2により用紙の裏面を印刷する。画像形成システム100は、用紙の裏面を印刷した後、用紙を排紙トレイ3に排出する。なお、ここでは、第1の画像形成装置1、第2の画像形成装置2、及び反転機構R1は、各々別体で構成されているものとして説明しているがこれに限らず、一体に構成されているものであってもよい。
【0022】
第1の画像形成装置1は、給紙部11、画像形成部12、操作表示部14、スキャナー部15、搬送部16、反転機構R1等を備えて構成される。
【0023】
給紙部11は、複数の用紙を収容する給紙トレイを2段構成(上段、下段)により備える。給紙部11は、各給紙トレイに紙種やサイズ等が異なる用紙を分けて収容することができる。給紙部11は、給紙の指示がなされた場合、2段構成の給紙トレイのうち、何れかの給紙トレイから適切な用紙を給紙して、用紙を所定の搬送経路により画像形成部12に搬送する。
【0024】
画像形成部12は、濃度センサー12a、環境センサー12b、定着部12cを備えて構成される。また、画像形成部12はYMCK各色の感光体ドラムを備え、それぞれの周囲に、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置、分離装置、クリーニング装置等を備えて構成される。また、画像形成部12は、YMCK各色のトナー画像を担持する中間転写ベルトを備える。中間転写ベルトは、矢印A方向に回転し、転写されたYMCK各色の画像を担持し、給紙部11から給紙されて搬送されてきた用紙に画像を転写する。
【0025】
濃度センサー12aは、発光素子及び受光素子を備えて構成され、中間転写ベルトに対向配置される。濃度センサー12aは、中間転写ベルトにより担持された画質調整用のYMCK各色のトナーパターンの濃度を検出する。なお、濃度センサー12aにより検出された検出値と所定のアルゴリズムとに基づいて、濃度補正、階調補正及びカラーレジスト補正の補正量が算出されることになる。
【0026】
環境センサー12bは、感光体ドラム周辺に配置され、感光体ドラム周辺の温度を検出する。なお、環境センサー12bにより検出された検出値に基づいて、画質調整動作の実施の要否が決定されることになる。
【0027】
定着部12cは、加熱ローラー及び加圧ローラー等を備えて構成される。定着部12cは、中間転写ベルトにより搬送されてきた用紙を加熱及び加圧して、用紙に形成された画像を定着させる。
【0028】
なお、両面印刷の場合、反転機構R1は、定着部12cから搬送されてきた用紙の表裏を反転させて、用紙を第2の画像形成装置2に搬送する。一方、片面印刷の場合、反転機構R1は、用紙を反転させずに第2の画像形成装置2に搬送する。この場合、第2の画像形成装置2は、印刷動作を行わず通紙動作のみを行う。又は、片面印刷の場合、第2の画像形成装置2のみが動作し、第1の画像形成装置1は印刷動作を行わない。
【0029】
操作表示部14は、LCD(Liquid Crystal Display)又は有機ELディスプレイ等を備えて構成される。また、ディスプレイ上には、透明電極を格子状に配置した感圧式のタッチパネルを備えて構成される。操作表示部14は、各種の設定画面を表示し、また、ユーザーによるディスプレイ上のタッチ操作を受け付ける。
【0030】
スキャナー部15は、自動原稿搬送部(ADF)、プラテンガラス、光学系等を備えて構成される。スキャナー部15は、ADF又はプラテンガラスに載置された原稿を光学系により読み取る。
【0031】
搬送部16は、用紙を搬送するための搬送ローラー及びこれらを駆動するモーターや高圧電源等を備え、給紙部11により給紙された用紙を画像形成部12に供給し、画像形成及び定着後の用紙を反転機構R1又は第2の画像形成装置2に搬送する。
【0032】
第2の画像形成装置2は、給紙部21、画像形成部22、搬送部26等を備えて構成される。各部の動作については、第1の画像形成装置1と同様であるため、ここでの説明は省略する。
第2の画像形成装置2は、第1の画像形成装置1から搬送されてきた用紙について、画像形成部22によって両面印刷の場合は印刷動作を行い、片面印刷の場合は印刷動作を行わずに、搬送部26によって排紙トレイ3に用紙を排出する。
【0033】
図2に、画像形成システム100の機能ブロック図を示す。
画像形成システム100は、第1の画像形成装置1及び第2の画像形成装置2を備えて構成される。
【0034】
第1の画像形成装置1は、画像処理コントローラー1a、第1の制御部10、画像形成部12、濃度センサー12a、環境センサー12b、操作表示部14、スキャナー部15、搬送部16等を備えて構成される。
【0035】
画像処理コントローラー1aは、CPU、RAM、ROM等を備えて構成され、第1の制御部10及び第2の制御部20の動作を統括的に制御する。
本実施形態では、画像処理コントローラー1aは、第1の制御部10及び第2の制御部20から出力された画質調整動作の実施要求を受け付ける。また、画像処理コントローラー1aは、受け付けたプリント調整動作の実施要求に基づいて、プリント調整動作の実施時期と調整内容を決定する。また、画像処理コントローラー1aは、決定した実施時期と調整内容によりプリント調整動作を実施するよう第1の制御部10及び第2の制御部20に指示する。画像処理コントローラー1aの詳細な制御については、後述する。
【0036】
第1の制御部10は、CPU、RAM、ROM、読み取り処理部、圧縮IC・伸長IC、DRAM制御IC、画像メモリ、書き込み処理部等を備えて構成される。第1の制御部10は、ROMに記憶された各種プログラムとの協働により、第1の画像形成装置1の動作を統括的に制御する。
また、第1の制御部10は、NIC(Network Interface Card)等を備えて構成され、第2の制御部20との間で各種情報の送受信を行う。
また、第1の制御部10は、印字カウンター10a及び記憶部10bを備えて構成される。第1の制御部10は、第1の画像形成装置1において印刷された印刷枚数を印字カウンター10aによりカウントし、カウントした印刷枚数の情報を記憶部10bにより記憶する。
【0037】
画像形成部12は、LD及びプリンター制御部等を備えて構成される。画像形成部12は、第1の制御部10の書き込み処理部から出力されたデジタル画像データを入力し、入力した画像データに基づいて用紙に画像を形成する。
【0038】
濃度センサー12aは、中間転写ベルト上に形成されたYMCK各色の画像の濃度を検出し、濃度値を第1の制御部10に出力する。なお、第1の制御部10は、濃度センサー12aにより取得した濃度値と所定のアルゴリズムとに基づいて、階調補正又はカラーレジスト補正の補正量を決定する。
【0039】
環境センサー12bは、YMCK各色の感光体ドラム周辺の温度を検出し、温度情報を第1の制御部10に出力する。
【0040】
操作表示部14は、LCD(又は有機ELディスプレイ)及び操作表示制御部等を備えて構成される。操作表示部14は、各種設定画面を表示し、ユーザーによる各種の操作を受け付ける。操作表示部14は、ユーザーからの操作を受け付けた場合、操作信号を生成し、生成した操作信号を画像処理コントローラー1aに出力する。
【0041】
スキャナー部15は、CCD(Charge Coupled Devices)及びスキャナー制御部等を備えて構成される。スキャナー部15は、ADF又はプラテンガラスに載置された原稿を読み取り、読み取ったアナログ画像信号を、画像処理コントローラー1aを介して第1の制御部10の読み取り処理部に出力する。
【0042】
搬送部16は、搬送ローラーやモーター、高圧電源等を備えて構成され、第1の画像形成装置1の内部の用紙を搬送する。第1の制御部10は、片面印刷又は両面印刷のいずれかによって駆動する搬送ローラー等を決定し、搬送部16は、第1の制御部10の指示に従って高圧電源を出力し搬送ローラー及びモーターを駆動し、第2の画像形成装置2又は反転機構Rへ用紙を搬送する。
【0043】
なお、上記構成の他、第1の画像形成装置1は、例えばプリンターコントローラーを備えて構成される。プリンターコントローラーは、コントローラー制御部、DRAM制御IC、画像メモリ、LANIF等を備える。プリンターコントローラーは、LANIFを介して、外部端末から送信された印刷ジョブを受信する。また、プリンターコントローラーは、受信した印刷ジョブを画像メモリにより記憶し、記憶した印刷ジョブを第1の制御部10に出力する。
【0044】
第2の画像形成装置2は、第2の制御部20、画像形成部22、搬送部26等を備えて構成される。また、第2の制御部20は、印字カウンター20a及び記憶部20bを備える。
第2の画像形成装置2の各部の処理については、第1の画像形成装置1について説明した各部の処理と同様であるため、ここでの説明は省略する。
なお、本実施形態では、画像処理コントローラー1a、操作表示部14、スキャナー部15は、第1の画像形成装置1に接続され、第2の画像形成装置2には接続されていないものとしたが、これに限らず、第2の画像形成装置2が画像処理コントローラー1aを備えるとしてもよい。また、第2の画像形成装置2もスキャナー部15及び操作表示部14を備えるとしてもよい。
【0045】
[プリント調整動作]
以下、本実施形態に係る画像形成システム100におけるプリント調整動作について説明する。
画像形成システム100は、プリント動作の間の空き時間に、画像形成部12又は画像形成部22におけるプリント調整動作を行う。
図3に、各種プリント調整動作の調整時間(実行時間情報)及び同期の要否(要否情報)を定めたテーブルT1を示す。実行時間情報とは、各プリント調整動作に要する実行時間に関する情報を表す。要否情報とは、第1の画像形成装置1と第2の画像形成装置2において同時に実行する必要があるか否かに関する情報を表す。
テーブルT1は、調整動作情報として、記憶部10b及び記憶部20bのそれぞれに記憶されており、画像処理コントローラー1aがプリント調整動作の実行の是非を判断する際に参照される。なお、記憶部10b及び記憶部20bは記憶手段として機能する。
【0046】
テーブルT1に示すように、各種プリント調整動作は、その機能から「1.画質調整」、「2.クリーニング」、「3.定着ウォームアップ」、「4.その他」の4種類に分けられる。なお、各プリント調整動作は、具体的には以下の動作である。
【0047】
1.画質調整
1-1.濃度補正
濃度補正は、画像濃度の補正であって、第1の制御部10及び第2の制御部20は、それぞれ中間転写ベルト上に濃度の基準となるトナーパッチを形成し、このトナーパッチの濃度を濃度センサー12a又は濃度センサー22aにより検出し、検出された濃度に基づいて、画像形成部12又は画像形成部22の各部に対しフィードバックする。また、画像処理コントローラー1aは、前回濃度補正を実行した時点からカウントした印刷枚数に基づいて実行要否を判断し、判断結果に基づいて要否情報を更新する。
1-2.階調補正
階調補正は、コントラスト補正であって、第1の制御部10及び第2の制御部20は、それぞれ中間転写ベルト上に濃度の基準となる高濃度から低濃度までを表現した階調パッチを形成し、このトナーパッチの濃度を濃度センサー12a又は濃度センサー22aにより検出し、検出された濃度に基づいて、画像形成部12又は画像形成部22の各部に対しフィードバックする。また、画像処理コントローラー1aは、前回濃度補正を実行した時点からカウントした印刷枚数に基づいて実行要否を判断し、判断結果に基づいて要否情報を更新する。
1-3.カラーレジスト補正
カラーレジスト補正は、色ずれ補正であって、第1の制御部10及び第2の制御部20は、それぞれ中間転写ベルト上に濃度の基準となるYMCK各色のカラーレジストパッチを形成し、LEDと反射型フォトダイオードからなる図示しないカラーレジストセンサー、或は、濃度センサー12a又は濃度センサー22aにより各色間の色ずれを検出し、検出された濃度に基づいて、画像形成部12又は画像形成部22の各部に対しフィードバックする。また、画像処理コントローラー1aは、前回濃度補正を実行した時点からカウントした印刷枚数に基づいて実行要否を判断し、判断結果に基づいて要否情報を更新する。
【0048】
2.クリーニング
2-1.感光体リフレッシュ
感光体リフレッシュは、感光体ドラム表面のクリーニングであって、第1の制御部10及び第2の制御部20は、それぞれ感光体ドラム上の紙粉や放電生成物等をクリーニング装置によって除去する。また、画像処理コントローラー1aは、前回感光体リフレッシュを実行した時点からカウントした印刷枚数及び機内温度から実行要否を判断し、判断結果に基づいて要否情報を更新する。
2-2.帯電極清掃
帯電極清掃は、帯電装置における帯電極の放電ワイヤーのクリーニングであって、第1の制御部10及び第2の制御部20は、接触式の清掃部材を放電ワイヤーに沿って移動させることで、放電ワイヤーに付着した放電生成物等の除去を行う。また、画像処理コントローラー1aは、前回帯電極清掃を実行した時点からカウントした印刷枚数から実行要否を判断し、判断結果に基づいて要否情報を更新する。
2-3.ブレードクリーニング
ブレードクリーニングは、クリーニング装置におけるクリーニングブレードのクリーニングであって、第1の制御部10及び第2の制御部20は、クリーニングブレードの腹面に堆積したトナーを除去する。また、画像処理コントローラー1aは、累積印字面積などから算出したトナー付着から実行要否を判断し、判断結果に基づいて要否情報を更新する。なお、調整時間は180秒を基本とし、トナー付着量に応じて増減するものとする。
2-4.プリント前感光体予備回転
プリント前感光体予備回転は、クリーニング装置におけるクリーニングブレードのクリーニングであって、第1の制御部10及び第2の制御部20は、感光体を回転させてクリーニングブレードの腹面に堆積したトナーを除去する。ブレードクリーニングよりも簡易的なプリント調整動作である。また、画像処理コントローラー1aは、累積印字面積などから算出したトナー付着から実行要否を判断し、判断結果に基づいて要否情報を更新する。なお、調整時間は3秒を基本とし、トナー付着量に応じて増減するものとする。
【0049】
3.ウォームアップ
3-1.プリント前定着予備回転
プリント前定着予備回転は、定着昇温のための定着ベルトの予備回転である。第1の制御部10及び第2の制御部20は、それぞれジョブ開始前にプリント前定着予備回転を実行する。
3-2.プリント前定着予備加熱
プリント前定着予備加熱は、定着昇温のための定着ベルトの予備加熱である。第1の制御部10及び第2の制御部20は、それぞれジョブ開始前にプリント前定着予備加熱を実行し、所定の温度に達するまで実施する。
3-3.アラーム定着ウォームアップ
アラーム定着ウォームアップは、定着ベルトの冷却又は加熱動作である。第1の制御部10及び第2の制御部20は、それぞれ定着ベルトの温度がプリント可能な上限又は下限温度(例えば、150~200℃)を超えた場合に、プリント動作を中断して、所定の温度に達するまでアラーム定着ウォームアップを実施する。
【0050】
4.その他
4-1.ブレード交換
各画像形成装置のクリーニング装置は2枚ブレード方式であり、第1の制御部10及び第2の制御部20は、1枚目のクリーニングブレードの耐久を超えると2枚目のクリーニングブレードに自動交換する。画像処理コントローラー1aは、前回ブレード交換を実行した時点からカウントした印刷枚数から実行要否を判断し、判断結果に基づいて要否情報を更新する。
4-2.トナーリフレッシュ
トナーリフレッシュは、現像装置内のトナーの入れ替え動作であって、第1の制御部10及び第2の制御部20は、それぞれ現像装置内の劣化したトナーを、新しいトナーに入れ替える。画像処理コントローラー1aは、現像装置内のトナー濃度と直近のプリント時における画像面積率などから実行要否を判断し、判断結果に基づいて要否情報を更新する
【0051】
ここでテーブルT1に示すように、プリント調整動作には、同期が必要なプリント調整動作(同期調整動作)と、同期不要なプリント調整動作(非同期調整動作)とが含まれる。非同期調整動作の場合、一方の画像形成装置がプリント中であっても、他方がプリント中でなければ実施することができる。なお、非同期調整動作は、調整動作を同期して行うことを排除する意味ではなく、必ずしも同期して調整動作を行う必要がないことを意味する。
したがって本実施形態においては、画像処理コントローラー1aは、非同期調整動作を実行する場合に、プリント調整動作を実施すべき画像形成装置の空き時間とプリント調整動作の調整時間を比較し、空き時間よりも調整時間が短いと判断した場合に、プリント調整動作を実行する。
【0052】
[第1の判断処理]
次に、画像形成システム100が実施する第1の判断処理について説明する。
第1の判断処理においては、上記した空き時間として、図4に示す時間を利用する。
図4(A)に示すように、第1の画像形成装置1のジョブ開始時に、第2の画像形成装置2がアイドリング中の時間、即ち第2の画像形成装置2にとっての空き時間a(第1の空き時間)を利用して、第2の画像形成装置2において非同期調整動作を実行する。
また、図4(B)に示すように、第1の画像形成装置1がプリントの途中に非同期調整動作を実行している場合に、第2の画像形成装置2がアイドリング中の時間、即ち第2の画像形成装置2にとっての空き時間b(第2の空き時間)を利用して、第2の画像形成装置2において非同期調整動作を実行する。反対に、図4(C)に示すように、第2の画像形成装置2が非同期調整動作を実行している場合に、第1の画像形成装置1にとっての空き時間c(第2の空き時間)を利用して、第1の画像形成装置1を実行することも可能である。
【0053】
また、第1の画像形成装置1及び第2の画像形成装置2のそれぞれにおいて、実行する必要のある非同期調整動作が複数ある場合、優先順位の高いものを選択して実行するものとする。ここで、各プリント調整動作は上記したように印刷枚数等の判断要素に基づいて実行要否が判断されるが、これらの判断要素に閾値を設け、以下のようにプリント調整動作の必要レベルを定める。
【0054】
図5は、帯電極清掃における必要レベルを示したテーブルT2を表す。帯電極清掃の要否は、「必要レベル2」、「必要レベル1」、「必要レベル0」の3区分に基づいて決定される。
「必要レベル2」は、画質を保証するために即実行すべき段階、「必要レベル1」は、多少実行を遅延しても画質が保障されるが、必要レベル2に達する前に実行することが推奨される段階である。「必要レベル0」は、実行不要な段階である。即ち、「必要レベル2」、「必要レベル1」が「実行要」、「必要レベル0」が「実行不要」である。
【0055】
例えば、帯電極清掃においては印刷枚数に応じて実行要否が判断されるため、印刷枚数に所定の閾値を設けて必要レベルを分類する。テーブルT2に示すように、必要レベル1に分類するための第1の閾値が500枚、必要レベル2に分類するための第2の閾値が1000枚であるとすると、画像処理コントローラー1aは判断手段として機能し、印刷枚数が1000枚以上で必要レベル2、1000枚未満かつ500枚以上で必要レベル1、500枚未満で必要レベル0に分類する。なお画像処理コントローラー1aは、判断結果に基づいて、その都度要否情報を更新する更新手段としても機能する。
このように、各プリント調整動作について必要レベルと所定の閾値とを定めたテーブルが予め設定され、記憶部10b及び記憶部20bによって保存されているものとする。
【0056】
図6に、第2の画像形成装置2におけるプリント調整動作の調整選択テーブルの一例を示す。なお、説明の簡略化のため、ここではジョブは継続して行われているものとし、「3.定着ウォームアップ」に関するプリント調整動作を省略する。また、ここでは第1の画像形成装置1においてはプリント調整動作を行わないものとするため、空き時間としては図4の空き時間aを利用する。
ここでは、画像処理コントローラー1aによって、「ブレードクリーニング」、「プリント前感光体予備回転」、「ブレード交換」の実施が必要であると判断され、要否情報として記録されている。なお、実施の要否とは、必要レベル2に分類されたものを「必要」とし、必要レベル1及び必要レベル0に分類されたものを「不要」としている。
【0057】
続いて画像処理コントローラー1aは、上記の3つのプリント調整動作について、優先順位の高い順にソートし、調整選択テーブルに優先順位情報として記録する。優先順位は、例えば、必要レベル2のプリント調整動作の中でも、第2の閾値を大きく上回るものほど優先順位を高くするなどして決定する。
ここでは、優先順位は「ブレードクリーニング」、「プリント前感光体予備回転」、「ブレード交換」の順に高いものと判断されている。
【0058】
次に画像処理コントローラー1aは、実行時間情報を参照して、上記の3つのプリント調整動作のうち空き時間に収まるプリント調整動作を選択する。空き時間aは3秒であることから、空き時間に収まるのは「プリント前感光体予備回転」、「ブレード交換の実施」である。
このうち、画像処理コントローラー1aは、優先順位が高い「プリント前感光体予備回転」の実行を決定し、第2の制御部20に実行を指示する。画像処理コントローラー1aの指示を受けた第2の制御部20は画像形成部22を制御し、「プリント前感光体予備回転」を実行する。
【0059】
以上のようにして、画像処理コントローラー1aは、実行するプリント調整動作を決定する。なお、第1の画像形成装置1についても同様の処理を行い、各画像形成装置において選択されたプリント調整動作を実行する。
【0060】
図7に、第1の判断処理におけるフローチャートを示す。
なお、第1の判断処理は、画像処理コントローラー1aにより行われる。また、処理の前提として、第1の画像形成装置1及び第2の画像形成装置2はそれぞれ、印刷枚数や機内温度等の情報を画像処理コントローラー1aに出力しているものとする。
【0061】
プリントが開始されると、画像処理コントローラー1aは、第1の画像形成装置1及び第2の画像形成装置2においてプリント調整動作が必要であるか否かを判断する(ステップS701)。
なお、第1の判断処理では非同期調整動作のみを扱うものとし、同期調整動作は対象としない。即ち、画像処理コントローラー1aは、テーブルT1に示した非同期調整動作についてのみステップS701の判断を行う。
【0062】
画像処理コントローラー1aは、どちらの画像形成装置においてもプリント調整動作が必要ではないと判断すると(ステップS701:No)、制御を終了するが、第1の画像形成装置1又は第2の画像形成装置2の少なくともいずれか一方において、プリント調整動作が必要であると判断すると(ステップS701:Yes)、ステップS702へと移行する。
【0063】
ステップS702においては、画像処理コントローラー1aは、ステップS701において必要であると判断されたプリント調整動作について優先順位の高い順にソートする。
【0064】
ステップS703においては、画像処理コントローラー1aは、ステップS701において実施が必要であると判断されたプリント調整動作について、調整時間が空き時間以下となるか否かを判断し、空き時間に収まるもののうち優先順位の最も高いプリント調整動作を選択する。なお空き時間とは、上記した空き時間a、空き時間b、空き時間c等が挙げられる。
【0065】
ステップS704では、画像処理コントローラー1aは、第1の制御部10又は第2の制御部20に対して、プリント調整動作の実行を指示し、制御を終了する。
【0066】
以上説明したように、第1の判断処理においては、一方の画像形成装置の空時間であって、他方の画像形成装置が画像形成を実行している第1の空き時間又は他方の画像形成装置が非同期調整動作を実行している第2の空き時間に、非同期調整動作を実行する。
即ち、同期が不要なプリント調整動作を、全ての画像形成装置を同期させることなく各画像形成装置にとって最適なタイミングで実行することができるため、生産性の低下や資材の無駄な消費を抑えることが可能である。
【0067】
また、第1の空き時間は、ジョブの開始時における第1の画像形成装置1の画像形成中であって、第2の画像形成装置2のアイドリング中の時間である。
したがって、第2の画像形成装置2の起動後の空き時間を利用するため、第2の画像形成装置2をすぐに稼働させることができ、当該空き時間が短時間であっても確実に実施することができる。
【0068】
また、第2の空き時間は、一方の画像形成装置が非同期調整動作を実行中の、他方の画像形成装置のアイドリング中の時間である。
したがって、第2の画像形成装置2の起動中の空き時間を利用するため、第2の画像形成装置2をすぐに稼働させることができ、当該空き時間が短時間であっても確実に実施することができる。
【0069】
また、第1の判断処理においては、複数種類のプリント調整動作であって、実行が必須であると判断されたもののうち、空き時間に収まるものを選択して実行する。
したがって、実行の必要性が高く、かつ空き時間に収まるものを優先的に実行することが可能となり、効率的である。
【0070】
[第2の判断処理]
第2の判断処理においては、空き時間中に複数の非同期調整動作を実行する点で、第1の判断処理と異なる。
即ち、第1の判断処理においては最も優先順位の高い非同期調整動作のみを実行するものとしたが、第2の判断処理においては実行が必要な非同期調整動作を優先順位の高い順にソートし、順番に実行する。また、空き時間内に収まらない非同期調整動作であっても分割して実行することが可能である。
【0071】
図8に、第2の画像形成装置2におけるプリント調整動作の調整選択テーブルの一例を示す。なお、ここではジョブは継続して行われているものとするため、「3.定着ウォームアップ」に関するプリント調整動作を省略する。
画像処理コントローラー1aによって、「感光体リフレッシュ」、「帯電極清掃」、「ブレード交換」の実施が必要であると判断され、要否情報として記録されている。なお、ここでは空き時間は図4の空き時間bとして、180秒であるとする。
【0072】
続いて画像処理コントローラー1aは、上記の3つのプリント調整動作について、優先順位を決定し、優先順位の高い順にソートし、優先順位情報として記録する。ここでは、優先順位は「ブレード交換」、「帯電極清掃」、「感光体リフレッシュ」の順に高いものと判断されている。
【0073】
次に、画像処理コントローラー1aは、実行時間情報を参照し、最も優先順位の高いプリント調整動作から順に、空き時間に収まるか否かを判断する。
空き時間bが180秒であるのに対し、「ブレード交換」の調整時間は2秒であることから、「ブレード交換」は実行可能である。
次に、「帯電極清掃」の調整時間は30秒であることから、残りの空き時間の178秒内に実行可能である。
次に、「感光体リフレッシュ」の調整時間は180秒であることから、残りの148秒内に実行することはできない。
【0074】
ここで、図3のテーブルT1には、各プリント調整動作が分割可能であるか否かについての分割可否情報が記録されている。
例えば、「2.クリーニング」については、「感光体リフレッシュ」及び「ブレードクリーニング」を分割して実行することが可能である。即ち、このようなプリント調整動作については、今回の空き時間に調整時間が収まらない場合に空き時間に収まるように調整時間を分割して実行することが可能である。
したがって、図8の場合、「ブレード交換」、「帯電極清掃」の順に実行し、「感光体リフレッシュ」の調整時間の180秒のうち、最初の148秒のみを実行して終了する。「感光体リフレッシュ」については、180秒から上記の時間を減算した残りの32秒については、次回のプリント調整動作の実行時に実施の是非を判断するものとする。
【0075】
以上のようにして、画像処理コントローラー1aは、実行するプリント調整動作を決定する。なお、第1の画像形成装置1についても同様の処理を行い、各画像形成装置において選択されたプリント調整動作を実行する。
【0076】
図9に、第2の判断処理におけるフローチャートを示す。
なお、第1の判断処理は、画像処理コントローラー1aにより行われる。また、処理の前提として、第1の画像形成装置1及び第2の画像形成装置2はそれぞれ、印刷枚数や機内温度等の情報を画像処理コントローラー1aに出力しているものとする。
【0077】
プリントが開始されると、画像処理コントローラー1aは、第1の画像形成装置1及び第2の画像形成装置2においてプリント調整動作が必要であるか否かを判断する(ステップS901)。なお、第2の判断処理においても、第1の判断処理と同様に非同期調整動作のみを判断の対象とする。
画像処理コントローラー1aは、プリント調整動作が必要ではないと判断すると(ステップS901:No)、制御を終了するが、プリント調整動作が必要であると判断すると(ステップS901:Yes)、実行が必要なプリント調整動作を優先順位の高い順にソートする(ステップS902)。なお優先順位は、上記した必要レベルに基づいて設定される。
【0078】
続いて、ステップS903では、画像処理コントローラー1aは、優先順位の最も高いプリント調整動作について、調整時間が空き時間以下となるか否かを判断する。画像処理コントローラー1aは、空き時間以下となると判断すると(ステップS903:Yes)、ステップS906へと移行するが、空き時間以下ではないと判断すると(ステップS903:No)、ステップS904へと移行する。
【0079】
ステップS904では、画像処理コントローラー1aは、当該プリント調整動作が分割可能であるか否かを判断する。画像処理コントローラー1aは、分割可能ではないと判断すると(ステップS904)、ステップS907へと移行するが、分割可能であると判断すると(ステップS904:Yes)、調整時間を空き時間に収まる時間と、それ以外の時間に分割し、実行時間情報から実行する時間分を減算する(ステップS905)。
【0080】
続いてステップS906では、画像処理コントローラー1aは、第1の制御部10又は第2の制御部20に対してプリント調整動作の実行を指示する。
【0081】
ステップS907では、画像処理コントローラー1aは、次のプリント調整動作があるか否かを判断する。次のプリント調整動作とは、今回実施したものの次に優先順位が高いプリント調整動作を指す。画像処理コントローラー1aは、次のプリント調整動作があると判断すると(ステップS907:Yes)、ステップS903へと戻るが、次のプリント調整動作がないと判断すると(ステップS907:No)、制御を終了する。
【0082】
以上説明したように、第2の判断処理においては、空き時間中に、複数種類の非同期調整動作を優先度の高いものから順に実行する。
したがって、空き時間を最大限に利用し、複数の非同期調整動作を実行することができる。
【0083】
また、第2の判断処理においては、非同期調整動作のうち、分割可能なものについては空き時間に収まる範囲で分割して実行する。
したがって、優先度の高いものを部分的にでも実行することができるため、画像不良の発生をより効果的に抑えることができる。
【0084】
[他の実施形態]
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、上記の実施形態は本発明の好適な例であり、これに限定されない。
【0085】
例えば、上記実施形態においては、実行が必須である必要レベル2に分類されたもののみを実施するものとしたが、これに限定されず、プリント調整動作が推奨されるもの、即ち必要レベル1に分類されたものを実行することも可能である。これにより、今後必要になる調整を前倒しで実行することで、画像形成システム全体としての生産性を向上させることができる。
但し、プリント調整動作の実行頻度が増すことになるため、優先順位の高いものから実行することが望ましい。なお、優先順位の決定において、第1の閾値を超えているもののうち、第2の閾値に近いものほど優先順位を高くするなどが可能である。
【0086】
また、上記実施形態においては、2台の画像形成装置が直列に配置された画像形成システムについて説明したが、これに限定されない。複数台の画像形成装置を有するものであれば、本発明を適用することが可能である。
【0087】
その他、画像形成装置を構成する各装置の細部構成及び各装置の細部動作に関しても、本発明の主旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0088】
100 画像形成システム
1 第1の画像形成装置
1a 画像処理コントローラー(制御手段、判断手段、更新手段)
10 第1の制御部
10a 印字カウンター
10b 記憶部(記憶手段)
12 画像形成部
12a 濃度センサー
12b 環境センサー
16 搬送部
2 第2の画像形成装置
20 第2の制御部
20a 印字カウンター
20b 記憶部(記憶手段)
22 画像形成部
22a 濃度センサー
22b 環境センサー
26 搬送部
a 空き時間(第1の空き時間)
b,c 空き時間(第2の空き時間)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9