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  • 特許-過給システム 図1
  • 特許-過給システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】過給システム
(51)【国際特許分類】
   B60W 20/19 20160101AFI20220119BHJP
   F02B 37/12 20060101ALI20220119BHJP
   F02M 26/05 20160101ALI20220119BHJP
   B60K 6/485 20071001ALI20220119BHJP
   B60K 6/24 20071001ALI20220119BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20220119BHJP
   B60W 10/30 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
B60W20/19
F02B37/12 302B
F02M26/05
B60K6/485 ZHV
B60K6/24
B60W10/06 900
B60W10/30 900
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017158350
(22)【出願日】2017-08-21
(65)【公開番号】P2019034678
(43)【公開日】2019-03-07
【審査請求日】2020-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100163061
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】相園 斉
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-151021(JP,A)
【文献】特開2017-031844(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-20/50
B60K 6/20- 6/547
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたエンジンの排気のエネルギを受けて前記エンジンの吸気を過給するターボチャージャと、
前記車両の制動時に回生発電を行う発電機と、
前記発電機が回生発電した電力を利用して、前記ターボチャージャに流入する排気を加熱する排気加熱装置と、
前記車両の運転状態が前記ターボチャージャにターボラグが生じる状態の場合に前記排気加熱装置が排気加熱を開始するように前記排気加熱装置を制御する制御装置と、を備えて、
前記エンジンの排気通路のうち前記ターボチャージャのタービンが配置されている箇所よりも上流側の部分にはEGR通路が接続しており、
前記排気加熱装置は、前記排気通路のうち前記EGR通路の接続箇所よりも下流側の部分であり且つ前記タービンよりも上流側の部分に配置されていることを特徴とする過給システム。
【請求項2】
前記排気加熱装置は、前記発電機が回生発電した電力を利用して発熱する電熱ヒータを有し、
前記電熱ヒータは、前記エンジンの排気通路を構成する配管の内部に配置されている請求項に記載の過給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は過給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンの排気のエネルギを利用してエンジンの吸気を過給するターボチャージャを有する過給システムが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-7292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばエンジンを搭載した車両が停止した状態から急加速した場合等において、ターボチャージャにターボラグ(過給遅れ)が生じることがある。これに関して、燃費の悪化を抑制しつつ、このようなターボラグを抑制することができる技術が求められているが、このような技術は開発されていなかった。
【0005】
本発明は、上記のことを鑑みてなされたものであり、その目的は、燃費の悪化を抑制しつつターボラグを抑制することができる過給システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る過給システムは、車両に搭載されたエンジンの排気のエネルギを受けて前記エンジンの吸気を過給するターボチャージャと、前記車両の制動時に回生発電を行う発電機と、前記発電機が回生発電した電力を利用して、前記ターボチャージャに流入する排気を加熱する排気加熱装置と、前記車両の運転状態が前記ターボチャージャにターボラグが生じる状態の場合に前記排気加熱装置が排気加熱を開始するように前記排気加熱装置を制御する制御装置と、を備えて、前記エンジンの排気通路のうち前記ターボチャージャのタービンが配置されている箇所よりも上流側の部分にはEGR通路が接続しており、前記排気加熱装置は、前記排気通路のうち前記EGR通路の接続箇所よりも下流側の部分であり且つ前記タービンよりも上流側の部分に配置されていることを特徴とする
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両の運転状態がターボチャージャにターボラグが生じる状態の場合に、排気加熱装置によってターボチャージャに流入する排気を加熱することができる。これにより、排気のエネルギが増大するので、ターボラグを抑制することができる。また、排気加熱装置が車両の制動時に発電機が回生発電した電力を利用して排気を加熱しているので、排気加熱装置の排気加熱に伴う燃費の悪化を抑制することができる。したがって、本発明によれば、燃費の悪化を抑制しつつターボラグを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る車両の構成を模式的に示す構成図である。
図2】制御装置が排気加熱装置を制御する際に実行するフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
まず、本発明の実施形態に係る過給システム10を備える車両1の全体構成について説明し、次いで、本実施形態に係る過給システム10について説明する。図1は車両1の構成を模式的に示す構成図である。車両1の種類は特に限定されるものではないが、本実施形態においては、一例として、トラック等の商用車両を用いている。
【0010】
車両1は、エンジン2と、吸気通路3と、排気通路4と、吸気スロットルバルブ5とを備えている。エンジン2の具体的な種類は特に限定されるものではないが、本実施形態では一例としてディーゼルエンジンを用いている。吸気通路3は、エンジン2に吸入される吸気が通過する通路である。なお、吸気通路3の上流側端部から流入する吸気は空気(新気)である。排気通路4は、エンジン2から排出された排気(Ex)が通過する通路である。吸気スロットルバルブ5はエンジン2に吸入される吸気の流量を制御するバルブである。本実施形態に係る吸気スロットルバルブ5は、一例として、吸気通路3の吸気マニホールドよりも上流側の部分、且つ、後述するインタークーラ40よりも下流側の部分に配置されている。
【0011】
なお、車両1は、後述するタービン21よりも下流側の排気通路4の部分に、排気を処理する排気処理装置(図示せず)を備えている。この排気処理装置は、酸化触媒(すなわちディーゼル酸化触媒)と、この酸化触媒よりも下流側に配置されたPM捕集用のフィルタと、このフィルタよりも下流側に配置された尿素SCR装置とを備えている。
【0012】
また車両1は、EGRシステム(EGR通路6、EGRバルブ7及びEGRクーラ8)を備えている。EGR通路6は、排気通路4の排気の一部を吸気通路3に導入する通路である。具体的には本実施形態に係るEGR通路6は、その一端が後述する排気加熱装置80よりも上流側且つ排気マニホールドよりも下流側の排気通路4の部分に接続し、その他端が吸気通路3の吸気マニホールドの部分に接続している。EGRバルブ7及びEGRクーラ8は、EGR通路6の途中に配置されている。EGRバルブ7は制御装置90の指示を受けて開閉作動するバルブである。EGRクーラ8はEGR通路6を通過する排気(以下、EGRガスと称する)を冷媒との熱交換によって冷却する熱交換器である。EGRバルブ7が開弁状態になった場合、排気通路4の排気の一部は、EGR通路6に流入し、このEGR通路6を流動する際にEGRクーラ8によって冷却され、その後、吸気通路3に導入される。
【0013】
続いて過給システム10について説明する。過給システム10は、ターボチャージャ20と、バイパス通路30と、バイパスバルブ31と、インタークーラ40と、動力伝達機構50と、発電機60と、バッテリ70と、排気加熱装置80と、制御装置90とを備えている。
【0014】
ターボチャージャ20は、エンジン2の排気のエネルギを利用してエンジン2の吸気を過給する装置である。具体的にはターボチャージャ20は、排気通路4に配置されたタービン21と、吸気通路3に配置されたコンプレッサ22と、タービン21及びコンプレッサ22を連結する連結軸23とを備えている。タービン21が排気のエネルギを受けて回転することで、タービン21に連結軸23を介して接続されたコンプレッサ22も回転する。このコンプレッサ22の回転によって、吸気通路3の吸気は過給される。
【0015】
バイパス通路30は、吸気通路3におけるコンプレッサ22よりも上流側の部分と下流側の部分とを連通している。バイパスバルブ31は、このバイパス通路30に配置されており、制御装置90の指示を受けて開閉することで、バイパス通路30の吸気流量を制御する。バイパスバルブ31の開度が大きくなるほど、バイパス通路30を通過する吸気流量は多くなる。この結果、コンプレッサ22を通過する吸気流量が少なくなり、これにより、コンプレッサ22の出力が低下して過給圧が低下する。制御装置90は、過給圧が所定の上限値以上にならないようにバイパスバルブ31の開度を制御する。
【0016】
インタークーラ40は、吸気通路3のコンプレッサ22よりも下流側の部分(具体的には、コンプレッサ22よりも下流側且つ吸気スロットルバルブ5よりも上流側の部分)に
配置されており、コンプレッサ22によって過給された吸気を、冷媒との熱交換によって冷却する熱交換器である。このインタークーラ40によって、エンジン2に吸入される吸気の温度が高温になり過ぎることが抑制されている。
【0017】
動力伝達機構50は、エンジン2と発電機60との間で動力の伝達を行う機構であり、本実施形態では一例として、巻き掛け伝導機構を用いている。具体的には、動力伝達機構50は、エンジン2のクランクシャフト(回転軸)に接続された回転体51aと、発電機60の回転軸に接続された回転体51bと、回転体51a及び回転体51bに巻き掛けられたベルト状部材52とを備えている。なお、回転体51a,51bとしては、例えばプーリやスプロケット等を用いることができる。
【0018】
発電機60は、少なくとも車両1の制動時において回生発電を行うことができるものであればよい。本実施形態では、この発電機60の一例として、モータージェネレータ(MG)を用いている。制御装置90は、車両1の制動時において、発電機60を制御して発電機60に回生発電を行わせる。なお、このような車両1の制動時に回生発電を行う発電機60の機構自体は、公知の技術(例えば公知のハイブリッド車両等に用いられている回生発電技術)を適用できるものであるため、これ以上詳細な説明は省略する。
【0019】
なお、車両1の制動時の一例として、本実施形態では、車両1の走行時に車両1のブレーキペダルが踏まれた時を用いている。
【0020】
バッテリ70は、発電機60と電気的に接続されており、発電機60が車両1の制動時に回生発電した電力を蓄積する蓄電池である。なお、具体的には、バッテリ70は、インバータ(図示せず)を介して発電機60と電気的に接続されている。
【0021】
排気加熱装置80は、発電機60が車両1の制動時に回生発電した電力を利用して、ターボチャージャ20のタービン21に流入する排気を加熱する装置である。このような機能を有するものであれば、排気加熱装置80の具体的な構成は特に限定されるものではないが、本実施形態では一例として以下の構成を有している。
【0022】
まず、排気加熱装置80は、排気通路4のうちEGR通路6の接続箇所よりも下流側の部分であり且つタービン21よりも上流側の部分に配置されている。また、排気加熱装置80は、バッテリ70(前述したように、これは、発電機60が車両1の制動時に回生発電した電力を蓄積している)と電気的に接続された電熱ヒータを備えている。この電熱ヒータは、バッテリ70からの電力が供給された場合に発熱することで、排気を加熱する。また、本実施形態に係る電熱ヒータは、排気通路4を構成する配管の内部に配置されている。これにより、電熱ヒータは、発熱することで、排気通路4内の排気を直接的に加熱する。但し、電熱ヒータの配置態様はこれに限定されるものではなく、例えば、電熱ヒータは、排気通路4の配管の外側(管壁部の外側)に配置されて、この配管を加熱することで、排気通路4の排気を間接的に加熱してもよい。
【0023】
また、排気加熱装置80の排気加熱、及び、排気加熱の停止は、制御装置90によって制御されている。具体的には、制御装置90は、排気加熱装置80の電熱ヒータへの電力供給の開始及び停止を行うスイッチ(図示せず)を制御することで、電熱ヒータによる排気加熱及び排気加熱停止を制御する。排気加熱装置80は以上のような構成になっている。
【0024】
制御装置90は、各種の制御処理を実行する制御部としての機能を有するCPU91と、このCPU91の動作に用いられる各種情報やプログラム等を記憶する記憶部92とを有するマイクロコンピュータを備えている。なお、記憶部92としては、例えばROM、RAM等を用いることができる。制御装置90は、バイパスバルブ31、発電機60、及び排気加熱装置80を制御することで、過給システム10を統合的に制御する。また、本実施形態に係る制御装置90は、エンジン2の燃料噴射時期、燃料噴射量等や、EGRバルブ7も制御している。すなわち、本実施形態においては、車両1の被制御部を統合的に制御する制御装置90が、過給システム10の制御装置としての機能を兼務している。但し、過給システム10の構成はこれに限定されるものではなく、例えば、過給システム10は、車両1の被制御部を統合的に制御する制御装置90とは別に、過給システム10専用の制御装置を備えていてもよい。
【0025】
続いて、制御装置90による排気加熱装置80の制御について説明する。図2は、制御装置90が排気加熱装置80を制御する際に実行するフローチャートの一例である。なお、図2の各ステップは、制御装置90の具体的にはCPU91が実行する。また、制御装置90は、エンジン2の始動開始と同時(スタートスイッチがオンにされた時)に図2のフローチャートを最初にスタートする。
【0026】
ステップS10において、制御装置90は、車両1の運転状態がターボチャージャ20にターボラグが生じる状態であるか否かを判定する。この一例として、本実施形態に係る制御装置90は、車両1が停止した状態(すなわち、エンジン2がアイドル運転している状態)から急発進した状態(単位時間当たりのアクセルペダルの踏み込み量が所定値以上の状態)になった場合に、車両運転状態がターボラグの生じる状態であると判定する(YES)。なお、ターボラグが生じる車両運転状態の具体例は、これに限定されるものではなく、例えば予め、実験、シミュレーション等を行うことで適切な状態を求めておき、記憶部92に記憶させておけばよい。
【0027】
ステップS10でNOと判定された場合、制御装置90はフローチャートをスタートから再度実行する(リターン)。一方、ステップS10でYESと判定された場合、制御装置90は、排気加熱装置80を制御して、排気加熱装置80に排気加熱を開始させる(ステップS20)。具体的には制御装置90は、排気加熱装置80の電熱ヒータへの電力供給の開始及び停止を行うスイッチをONに制御することで、バッテリ70に蓄積された電力を排気加熱装置80の電熱ヒータへ供給させて、排気加熱を開始させる。
【0028】
このステップS20において、排気加熱装置80がターボチャージャ20に流入する排気を加熱することで、この排気のエネルギが増大する。これにより、ターボラグが抑制される。
【0029】
次いで制御装置90は、排気加熱装置80の排気加熱を停止させる条件(加熱停止条件)が満たされたか否かを判定する(ステップS30)。このステップS30の具体的な実行内容は特に限定されるものではないが、本実施形態に係る制御装置90は一例として、ステップS20に係る排気加熱開始からの経過時間が予め設定された所定時間以上になったか否かを判定し、この判定の結果、経過時間が所定時間以上になったと判定された場合に、加熱停止条件が満たされたと判定する。なお、この所定時間は、実験、シミュレーション等によって予め適切な時間を求めておき、記憶部92に記憶しておけばよい(すなわち予め設定しておけばよい)。
【0030】
なお、ステップS30の他の一例を挙げると、例えば制御装置90は、ターボラグが生じる車両運転状態でなくなったときに加熱停止条件が満たされたと判定することもできる。具体的には、この場合、制御装置90は、例えば単位時間当たりのアクセルペダルの踏み込み量が所定値未満になった場合に、ターボラグが生じる車両運転状態でなくなったと判定して、加熱停止条件が満たされたと判定する。
【0031】
ステップS30はYESと判定されるまで繰り返し実行される。ステップS30でYESと判定された場合(すなわち、加熱停止条件が満たされたと判定された場合)、制御装置90は、排気加熱装置80を制御して、排気加熱装置80による排気加熱を停止させる(ステップS40)。具体的には制御装置90は、排気加熱装置80の電熱ヒータへの電力供給の開始及び停止を行うスイッチをOFFに制御することで、電熱ヒータへの電力供給を停止させて、排気加熱を停止させる。ステップS40の後に制御装置90は、フローチャートをスタートから再度実行する(リターン)。
【0032】
続いて本実施形態に係る過給システム10の作用効果について説明する。本実施形態によれば、車両運転状態がターボチャージャ20にターボラグが生じる状態の場合(ステップS10でYESの場合)に、ステップS20において排気加熱装置80の排気加熱を開始させて、ターボチャージャ20に流入する排気を加熱することができる。これにより、排気のエネルギを増大させて、ターボラグを抑制することができる。
【0033】
また、この排気加熱装置80は発電機60が車両1の制動時に回生発電した電力を利用して排気を加熱しているので、このような構成になっていない過給システムに比較して、排気加熱装置80の排気加熱に伴う燃費の悪化を抑制することができる。
【0034】
具体的には、例えば、いわゆるミスファイアリング(アクセルオフ時にエンジン2を故意に失火状態にすることで、排気マニホールド内で未燃焼ガスを燃焼させて排気を加熱すること)等の実行によっても、排気のエネルギを増大させることは可能であり、この結果、ターボラグを抑制することは可能である。しかしながら、この場合、ミスファイアリングの実行のために燃料を余分に消費することになるため、燃費が悪化してしまう。これに対して、本実施形態によれば、このようなターボラグ抑制のための燃料の余分な消費がない分、燃費の悪化が抑制されている。
【0035】
あるいは、排気加熱装置が車両1の制動時に回生発電された電力を利用するのではなく、オルタネータ(これはエンジン2によって常時駆動されて発電する発電機である)が発電した電力のみを利用して排気加熱することによっても、ターボラグを抑制することは可能である。しかしながら、この場合、オルタネータは排気加熱用の電力を余分に発電する必要があり、このオルタネータを駆動するためにエンジン2は通常運転時において余分に燃料を消費して回転する必要が生じる。このため、燃費が悪化してしまう。これに対して、本実施形態によれば、排気加熱装置が車両1の制動時に回生発電された電力を利用しているので、このような例の場合に比較して、燃費の悪化が抑制されている。
【0036】
また、前述したようなミスファイアリングを行った場合、エンジン部品にダメージが生じたり、大きな爆発音が生じたりする可能性もあるが、本実施形態によれば、このようなミスファイアリングを行うことなくターボラグを抑制できるので、このような問題が生じることも抑制されている。すなわち、本実施形態によれば、ミスファイアリングを行う場合に比較して、前述したように燃費の悪化を抑制できるのみならず、エンジン部品のダメージを抑制してエンジン部品の寿命を延ばすことができるとともに、大きな爆発音によって車両1の乗員が不快に感じることも抑制することができる。
【0037】
また、本実施形態によれば、排気加熱装置80が、排気通路4のうちEGR通路6の接続箇所よりも下流側の部分であり且つタービン21よりも上流側の部分に配置されているので、排気加熱装置80によって加熱された排気の一部がEGR通路6を通過してエンジン2に吸入されることが抑制されている。これにより、排気加熱装置80によってタービン21に流入する排気を効率的に加熱することができるので、ターボラグを効率的に抑制することができる。
【0038】
また、本実施形態によれば、排気加熱装置80の電熱ヒータが排気通路4の配管の内部に配置されているので、電熱ヒータが排気通路4の配管の外側に配置されている場合に比較して、排気加熱装置80による排気の加熱効率を高めることができるとともに、電熱ヒータに排気中の煤を付着させることもできる。このように電熱ヒータに煤が付着した場合、電熱ヒータが発熱したときにこの煤を燃焼させ、この煤の燃焼によって排気を効果的に加熱することができる。これにより、ターボラグを効果的に抑制することができる。
【0039】
以上本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 車両
2 エンジン
3 吸気通路
4 排気通路
6 EGR通路
10 過給システム
20 ターボチャージャ
21 タービン
22 コンプレッサ
50 動力伝達機構
60 発電機
70 バッテリ
80 排気加熱装置
90 制御装置
図1
図2