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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】乗用草刈り機
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/63 20060101AFI20220119BHJP
   A01D 34/64 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
A01D34/63 Z
A01D34/64 H
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017188026
(22)【出願日】2017-09-28
(65)【公開番号】P2019058158
(43)【公開日】2019-04-18
【審査請求日】2020-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(74)【代理人】
【識別番号】110000899
【氏名又は名称】特許業務法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗田 和幸
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-101121(JP,A)
【文献】特開2016-119916(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03025574(EP,A3)
【文献】特開2000-060260(JP,A)
【文献】特開平04-104721(JP,A)
【文献】特開2006-037652(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0272309(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 34/63
A01D 34/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取られた草を内部へ収容するコレクター本体を有するコレクターと、
前記コレクターのダンプ操作を行うコレクターダンプ機構と、
前記コレクター本体のコレクタードアのロックを行うコレクタードアロック機構と、
前記ダンプ操作にともなって前記コレクタードアの前記ロックを自動的に解除する自動コレクタードアロック解除機構と、
前記コレクター本体の前記内部からの手動操作に基づいて前記コレクタードアの前記ロックを解除する手動コレクタードアロック解除機構と、
を備え、
前記手動コレクタードアロック解除機構は、一端部が前記コレクタードアロック機構へ連結されている棒状部材を利用して設けられており、
前記棒状部材の他端部は、前記コレクター本体の前記内部へ突出しており、
前記棒状部材の前記一端部が前記棒状部材の前記他端部に対する前記手動操作に応じて前記コレクタードアロック機構へ作用することにより、前記コレクタードアの前記ロックは解除されることを特徴とする用草刈り機。
【請求項2】
前記棒状部材の前記他端部の形状は、前記コレクター本体の前記内部へ収容される前記草が引っかかりにくい柱状形状であることを特徴とする請求項に記載の乗用草刈り機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、草刈り作業を行うための乗用草刈り機に関する。
【背景技術】
【0002】
刈取られた草を内部へ収容するコレクター本体を有するコレクターと、コレクターのダンプ操作を行うコレクターダンプ機構と、コレクター本体のコレクタードアのロックを行うコレクタードアロック機構と、ダンプ操作にともなってコレクタードアのロックを自動的に解除する自動コレクタードアロック解除機構と、を備えた乗用草刈り機が、知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-119916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の乗用草刈り機については、コレクター本体の内部へ入った作業者は、コレクタードアが閉まったとき、容易にコレクター本体の外部へ出ることができない。
【0005】
本発明は、上述された従来の課題を考慮し、コレクター本体の内部へ入った作業者は、コレクタードアが閉まったときでも、容易にコレクター本体の外部へ出ることができる乗用草刈り機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の本発明は、刈取られた草を内部へ収容するコレクター本体を有するコレクターと、
前記コレクターのダンプ操作を行うコレクターダンプ機構と、
前記コレクター本体のコレクタードアのロックを行うコレクタードアロック機構と、
前記ダンプ操作にともなって前記コレクタードアの前記ロックを自動的に解除する自動コレクタードアロック解除機構と、
前記コレクター本体の前記内部からの手動操作に基づいて前記コレクタードアの前記ロックを解除する手動コレクタードアロック解除機構と、
を備え、
前記手動コレクタードアロック解除機構は、一端部が前記コレクタードアロック機構へ連結されている棒状部材を利用して設けられており、
前記棒状部材の他端部は、前記コレクター本体の前記内部へ突出しており、
前記棒状部材の前記一端部が前記棒状部材の前記他端部に対する前記手動操作に応じて前記コレクタードアロック機構へ作用することにより、前記コレクタードアの前記ロックは解除されることを特徴とする乗用草刈り機である。
第2の本発明は、前記棒状部材の前記他端部の形状は、前記コレクター本体の前記内部へ収容される前記草が引っかかりにくい柱状形状であることを特徴とする第1の本発明の乗用草刈り機である。
本発明に関連する第1の明は、刈取られた草を内部へ収容するコレクター本体を有するコレクターと、
前記コレクターのダンプ操作を行うコレクターダンプ機構と、
前記コレクター本体のコレクタードアのロックを行うコレクタードアロック機構と、
前記ダンプ操作にともなって前記コレクタードアの前記ロックを自動的に解除する自動コレクタードアロック解除機構と、
前記コレクター本体の前記内部からの手動操作に基づいて前記コレクタードアの前記ロックを解除する手動コレクタードアロック解除機構と、
を備えたことを特徴とする乗用草刈り機である。
【0007】
これにより、コレクター本体の内部からの手動操作に基づいてコレクタードアのロックを解除する手動コレクタードアロック解除機構を備えるので、コレクター本体の内部へ入った作業者は、コレクタードアが閉まったときでも、容易にコレクター本体の外部へ出ることができる。
【0008】
本発明に関連する第2の明は、前記手動コレクタードアロック解除機構は、一端部が前記コレクタードアロック機構へ連結されている棒状部材を利用して設けられており、
前記棒状部材の他端部は、前記コレクター本体の前記内部へ突出しており、
前記棒状部材の前記一端部が前記棒状部材の前記他端部に対する前記手動操作に応じて前記コレクタードアロック機構へ作用することにより、前記コレクタードアの前記ロックは解除されることを特徴とする本発明に関連する第1の明の乗用草刈り機である。
【0009】
これにより、手動コレクタードアロック解除機構は、一端部がコレクタードアロック機構へ連結されている棒状部材を利用して設けられているので、手動コレクタードアロック解除機構の構成を簡素化することができる。
【0010】
本発明に関連する第3の明は、前記棒状部材の前記他端部の形状は、前記コレクター本体の前記内部へ収容される前記草が引っかかりにくい柱状形状であることを特徴とする本発明に関連する第2の明の乗用草刈り機である。
【0011】
これにより、棒状部材の他端部の形状は、コレクター本体の内部へ収容される草が引っかかりにくい柱状形状であるので、草を引っかかりにくくすることができる。
【0012】
本発明に関連する第4の明は、前記手動コレクタードアロック解除機構は、前記コレクター本体の壁に形成された貫通孔を利用して設けられており、
前記貫通孔へ挿入された指が前記手動操作に応じて前記コレクタードアロック機構へ作用することにより、前記コレクタードアの前記ロックは解除されることを特徴とする本発明に関連する第1の明の乗用草刈り機である。
【0013】
これにより、手動コレクタードアロック解除機構は、コレクター本体の壁に形成された貫通孔を利用して設けられているので、手動コレクタードアロック解除機構の構成を簡素化することができる。
【0014】
本発明に関連する第5の明は、前記貫通孔は、柔軟な変形可能部材により閉鎖されていることを特徴とする本発明に関連する第4の明の乗用草刈り機である。
【0015】
これにより、貫通孔は、柔軟な変形可能部材により閉鎖されているので、草を貫通孔からコレクター本体の外部へ出ていかなくすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、コレクター本体の内部へ入った作業者は、コレクタードアが閉まったときでも、容易にコレクター本体の外部へ出ることが可能な乗用草刈り機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明における実施の形態の乗用草刈り機の模式的な左側面図
図2】本発明における実施の形態の乗用草刈り機の斜視図
図3】本発明における実施の形態の乗用草刈り機のコレクター昇降リンク機構およびコレクターダンプリンク機構近傍の部分斜視図
図4】本発明における実施の形態の乗用草刈り機のコレクター底フレーム近傍の部分斜視図
図5】本発明における実施の形態の乗用草刈り機の支持台近傍の部分斜視図
図6】本発明における実施の形態の乗用草刈り機のコレクタードアロック機構および自動コレクタードアロック解除機構近傍の部分左側面図
図7】本発明における実施の形態の乗用草刈り機のコレクタードアロック機構、自動コレクタードアロック解除機構および手動コレクタードアロック解除機構近傍の部分左側面図(その一)
図8】本発明における実施の形態の乗用草刈り機のコレクタードアロック機構、自動コレクタードアロック解除機構および手動コレクタードアロック解除機構近傍の部分左側面図(その二)
図9】本発明における実施の形態の乗用草刈り機の取付けプレートの模式的な斜視図
図10】本発明における実施の形態の乗用草刈り機のコレクター本体近傍の模式的な部分斜視図
図11】本発明における変形例の実施の形態(その一)の乗用草刈り機の棒状部材近傍の部分左側面図
図12】本発明における変形例の実施の形態(その二)の乗用草刈り機の棒状部材近傍の部分左側面図
図13】本発明における変形例の実施の形態(その三)の乗用草刈り機のベース部材近傍の模式的な部分斜視図
図14】本発明における変形例の実施の形態(その四)の乗用草刈り機の貫通孔近傍の部分左側面図
図15】本発明における変形例の実施の形態(その四)の乗用草刈り機の貫通孔近傍の模式的な部分上面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
はじめに、図1および2を参照しながら、本実施の形態の乗用草刈り機の構成および動作について具体的に説明する。
【0020】
ここに、図1は本発明における実施の形態の乗用草刈り機の模式的な左側面図であり、図2は本発明における実施の形態の乗用草刈り機の斜視図である。
【0021】
図1においては、コレクター700が昇降操作およびダンプ操作における最上位置にある状態が二点鎖線で示されている。
【0022】
以下同様であるが、いくつかの構成要素は図面において示されていないこともあるし省略的に示されていることもある。たとえば、図2においては、車体100などの構成がより理解しやすくなるように、モアー60およびコレクター昇降機構300は示されていない。
【0023】
本実施の形態の乗用草刈り機は、モアー60と、ブロワー50と、コレクター700と、を備える。モアー60は、モアーデッキ61を有する、草を刈取るためのユニットである。ブロワー50は、刈取られた草を吸引するためのユニットである。コレクター700は、吸引された草を収容するためのユニットである。
【0024】
左側前輪31Lおよび右側前輪31R、ならびに左側後輪32Lおよび右側後輪32Rにより支持された車体100の前部には、作業者が運転を行うための操縦部40が設けられている。操縦部40には、作業者が操縦を行うためのステアリングハンドル41が設けられている。操縦部40には、作業者が操縦を行うときに座るシート42、およびシートベルト43なども設けられている。
【0025】
モアー60は、刈取られた草を搬送するための刈り草搬送シュート51によりブロワー50と連通されている。ブロワー50により搬送されてくる草は、シューター52を通ってコレクター700へ排出される。
【0026】
エンジン20により発生された動力は、左側後輪32Lおよび右側後輪32Rのアクスルケースの上側に配置されたHST(Hydro Static Transmission)を介して左側後輪32Lおよび右側後輪32Rへ伝達され、ボンネット13内のエンジン20とブロワー50との間に配置されたPTO(Power Take Off)クラッチ21を介してブロワー50へも伝達される。
【0027】
コレクター昇降機構300は、車体100へ取付けられたモアー60により刈取られた草を収容するコレクター700の昇降操作を行う機構である。
【0028】
コレクターダンプ機構500は、コレクター700のダンプ操作を行う、コレクター昇降リンク機構400へ取付けられた機構である。
【0029】
仕切部材11は操縦部40の後方に配置されたメッシュ状の部材であり、左側支柱部材200Lおよび右側支柱部材200Rは仕切部材11の後方に配置されている。安全フレーム12は、右側支柱部材200Rの上端部と右側支柱部材200Rの上端部とを連結する、U字形状のROPS(Roll Over Protection Structure)フレームである。
【0030】
コレクター本体710は、開閉されるコレクタードア711を有する、刈取られた草を収容するための樹脂部材である。
【0031】
草は、雑草であってもよいし、芝草であってもよいし、牧草であってもよい。
【0032】
つぎに、図3~5を主として参照しながら、本実施の形態の乗用草刈り機の構成および動作についてより具体的に説明する。
【0033】
ここに、図3は本発明における実施の形態の乗用草刈り機のコレクター昇降リンク機構400およびコレクターダンプリンク機構600近傍の部分斜視図であり、図4は本発明における実施の形態の乗用草刈り機のコレクター底フレーム720近傍の部分斜視図であり、図5は本発明における実施の形態の乗用草刈り機の支持台110近傍の部分斜視図である。
【0034】
左側リンク支点部材210Lは左側支柱部材200Lの上部へ取付けられており、左側昇降シリンダー支点部材220Lは左側支柱部材200Lの下部へ取付けられている。左側ロウワーリンクアーム接続部材421Lは、左側ロウワーリンクアーム部材420Lへ取付けられている。
【0035】
左側アッパーリンクアーム部材410Lの前端部は左側リンク支点部材210Lの上部へ回動可能に取付けられており、左側ロウワーリンクアーム部材420Lの前端部は左側リンク支点部材210Lの下部へ回動可能に取付けられている。
【0036】
左側昇降シリンダー部材310Lの前端部は左側昇降シリンダー支点部材220Lへ回動可能に取付けられており、左側昇降シリンダー部材310Lの後端部は左側ロウワーリンクアーム接続部材421Lへ回動可能に取付けられている。
【0037】
右側リンク支点部材210Rは右側支柱部材200Rの上部へ取付けられており、右側昇降シリンダー支点部材220Rは右側支柱部材200Rの下部へ取付けられている。右側ロウワーリンクアーム接続部材421Rは、右側ロウワーリンクアーム部材420Rへ取付けられている。
【0038】
右側アッパーリンクアーム部材410Rの前端部は右側リンク支点部材210Rの上部へ回動可能に取付けられており、右側ロウワーリンクアーム部材420Rの前端部は右側リンク支点部材210Rの下部へ回動可能に取付けられている。
【0039】
右側昇降シリンダー部材310Rの前端部は右側昇降シリンダー支点部材220Rへ回動可能に取付けられており、右側昇降シリンダー部材310Rの後端部は右側ロウワーリンクアーム接続部材421Rへ回動可能に取付けられている。
【0040】
左側リンクフレーム支点部材432Lは左側リンクフレーム接続部材433Lを介してリンクフレーム本体431の左前端部へ取付けられており、右側リンクフレーム支点部材432Rは右側リンクフレーム接続部材433Rを介してリンクフレーム本体431の右前端部へ取付けられている。
【0041】
左側アッパーリンクアーム部材410Lの後端部は左側リンクフレーム支点部材432Lの上部へ回動可能に取付けられており、左側ロウワーリンクアーム部材420Lの後端部は左側リンクフレーム支点部材432Lの下部へ回動可能に取付けられている。
【0042】
右側アッパーリンクアーム部材410Rの後端部は右側リンクフレーム支点部材432Rの上部へ回動可能に取付けられており、右側ロウワーリンクアーム部材420Rの後端部は右側リンクフレーム支点部材432Rの下部へ回動可能に取付けられている。
【0043】
左側ダンプリンク支点部材434Lはリンクフレーム本体431の左後部へ取付けられており、右側ダンプリンク支点部材434Rはリンクフレーム本体431の右後部へ取付けられている。
【0044】
左側コレクター底フレーム接続部材721Lはコレクター底フレーム720の左後部へ取付けられており、右側コレクター底フレーム接続部材721Rはコレクター底フレーム720の右後部へ取付けられている。
【0045】
左側ダンプリンクアーム部材610Lの前部は左側コレクター底フレーム接続部材721Lの左側部へ取付けられており、左側ダンプリンクアーム部材610Lの後端部は左側ダンプリンク支点部材434Lへ回動可能に取付けられている。
【0046】
右側ダンプリンクアーム部材610Rの前部は右側コレクター底フレーム接続部材721Rの右側部へ取付けられており、右側ダンプリンクアーム部材610Rの後端部は右側ダンプリンク支点部材434Rへ回動可能に取付けられている。
【0047】
左側ダンプリンクアーム部材接続部材611Lは左側ダンプリンクアーム部材610Lの左側部へ取付けられており、右側ダンプリンクアーム部材接続部材611Rは右側ダンプリンクアーム部材610Rの右側部へ取付けられている。
【0048】
左側ダンプシリンダー部材510Lの前端部は左側リンクフレーム支点部材432Lの右側部へ回動可能に取付けられており、左側ダンプシリンダー部材510Lの後端部は左側ダンプリンクアーム部材接続部材611Lへ回動可能に取付けられている。
【0049】
右側ダンプシリンダー部材510Rの前端部は右側リンクフレーム支点部材432Rの左側部へ回動可能に取付けられており、右側ダンプシリンダー部材510Rの後端部は右側ダンプリンクアーム部材接続部材611Rへ回動可能に取付けられている。
【0050】
コレクター昇降リンク機構400のリンクフレーム430には、左側リンクフレーム当接部材450L、および右側リンクフレーム当接部材450Rが車体100の左右方向に関して一対で設けられている。車体100の支持台110には、左側支持台受け部材150L、および右側支持台受け部材150Rが左右方向に関して一対で設けられている。
【0051】
左側支持台受け部材150Lの受け面151L、および右側支持台受け部材150Rの受け面151Rは、傾斜している。
【0052】
コレクター700が昇降操作における最下位置にあるとき、左側リンクフレーム当接部材450Lの当接面451Lが左側支持台受け部材150Lの受け面151Lへ当接するように、左側リンクフレーム当接部材450L、および左側支持台受け部材150Lは配置されている。コレクター700が昇降操作における最下位置にあるとき、右側リンクフレーム当接部材450Rの当接面451Rが右側支持台受け部材150Rの受け面151Rへ当接するように、右側リンクフレーム当接部材450R、および右側支持台受け部材150Rは配置されている。
【0053】
コレクター700のコレクター底フレーム720には、左側コレクター底フレーム当接部材750L、および右側コレクター底フレーム当接部材750Rが左右方向に関して一対で設けられている。コレクター昇降リンク機構400のリンクフレーム430には、左側リンクフレーム受け部材460L、および右側リンクフレーム受け部材460Rが左右方向に関して一対で設けられている。
【0054】
左側リンクフレーム受け部材460Lの受け面461L、および右側リンクフレーム受け部材460Rの受け面461Rは、傾斜している。
【0055】
コレクター700がダンプ操作における最下位置にあるとき、左側コレクター底フレーム当接部材750Lの当接面751Lが左側リンクフレーム受け部材460Lの受け面461Lへ当接するように、左側コレクター底フレーム当接部材750L、および左側リンクフレーム受け部材460Lは配置されている。コレクター700がダンプ操作における最下位置にあるとき、右側コレクター底フレーム当接部材750Rの当接面751Rが右側リンクフレーム受け部材460Rの受け面461Rへ当接するように、右側コレクター底フレーム当接部材750R、および右側リンクフレーム受け部材460Rは配置されている。
【0056】
左側リンクフレーム支点部材432Lおよび右側リンクフレーム支点部材432Rの断面形状はU字形状であり、左側ダンプシリンダー部材510Lおよび右側ダンプシリンダー部材510RはU字形状を左右方向に関して貫通する左側ダンプシリンダー支点ピン511Lおよび右側ダンプシリンダー支点ピン511Rをそれぞれ利用してしっかりと取付けられている。
【0057】
つぎに、図6~8を主として参照しながら、本実施の形態の乗用草刈り機の構成および動作についてもっとより具体的に説明する。
【0058】
ここに、図6は本発明における実施の形態の乗用草刈り機のコレクタードアロック機構1000および自動コレクタードアロック解除機構2000近傍の部分左側面図であり、図7および8は本発明における実施の形態の乗用草刈り機のコレクタードアロック機構1000、自動コレクタードアロック解除機構2000および手動コレクタードアロック解除機構3000近傍の部分左側面図(その一および二)である。
【0059】
図6においては、ダンプ操作が行われている状態が示されているが、コレクタードアロック機構1000および自動コレクタードアロック解除機構2000の構成がより理解しやすくなるように、手動コレクタードアロック解除機構3000は示されていない。
【0060】
図7においては、ダンプ操作が行われておらず、コレクタードア711のロックが解除されていない状態が示されている。
【0061】
図8においては、ダンプ操作が行われておらず、コレクタードア711のロックがコレクター本体710の内部からの手動操作に基づいて解除されている状態が示されている。
【0062】
コレクターダンプ機構500は、刈取られた草を内部へ収容するコレクター本体710を有するコレクター700のダンプ操作を行う機構である。コレクタードアロック機構1000は、コレクター本体710のコレクタードア711のロックを行う機構である。自動コレクタードアロック解除機構2000は、ダンプ操作にともなってコレクタードア711のロックを自動的に解除する機構である。手動コレクタードアロック解除機構3000は、コレクター本体710の内部からの手動操作に基づいてコレクタードア711のロックを解除する機構である。
【0063】
手動コレクタードアロック解除機構3000が設けられているので、ダンプ操作の後に残っている草を清掃するためにコレクター本体710の内部へ入った作業者は、コレクタードア711が閉まったときでも、容易にコレクター本体710の外部へ出ることができる。
【0064】
このような構成は、新しい欧州の認証規定であるホモロゲーションを考慮した構成である。
【0065】
図7~9を主として参照しながら、コレクタードアロック機構1000、自動コレクタードアロック解除機構2000および手動コレクタードアロック解除機構3000についてより具体的に説明する。
【0066】
ここに、図9は、本発明における実施の形態の乗用草刈り機の取付けプレート1200の模式的な斜視図である。
【0067】
ロック部材1100は取付けプレート1200へ固定されており、ロック部材1100の後端部は、コレクタードア711のロックが行われるように、コレクタードア711の下端部と係合可能である。
【0068】
頭部の付いたピン1111は、丸孔1201およびロック部材1100の長孔1101へ挿通されており、ピン1111の尾部は丸孔1201と螺合している。頭部の付いたピン1112は、丸孔1202およびロック部材1100の長孔1102へ挿通されており、ピン1112の尾部は丸孔1202と螺合している。
【0069】
長孔1101および長孔1102の長手方向はロック部材1100の長手方向と一致しており、ロック部材1100が取付けプレート1200へ固定される位置は、コレクター本体710がコレクター底フレーム720へ取付けられる位置のズレ、およびコレクタードア711のロックの解除タイミングなどを考慮して、調整可能である。
【0070】
取付けプレート1200は、コレクター底フレーム720へ回動可能に取付けられている。
【0071】
回動ピン1300は、取付けプレート1200の回動ピン挿入孔1203へ挿通されている。
【0072】
トーションスプリング1400は、回動ピン1300へ取付けられている。
【0073】
コレクター700のダンプ操作が行われておらず、コレクタードア711のロックが行われている状態においては、トーションスプリング1400の後端部は取付けプレート1200へ当接するが、トーションスプリング1400の前端部はコレクター本体710へ当接しない。他方、コレクター700のダンプ操作が行われておらず、コレクタードア711のロックが解除されている状態においては、トーションスプリング1400の後端部が取付けプレート1200へ当接するのみならず、トーションスプリング1400の前端部もコレクター本体710へ当接し、トーションスプリング1400はコレクタードア711のロックが行われる向きに付勢力を印加する。
【0074】
ベース部材2200は、リンクフレーム本体431へ固定されている。
【0075】
ロック解除リンクプレート2100は、取付けプレート1200をベース部材2200と連結している。ベース部材2200の凸部2201はロック解除リンクプレート2100のスリット2101へ摺動可能に挿入されており、取付けプレート1200の左右凸部1204はロック解除リンクプレート2100の丸孔2102へ回動可能に挿入されている。
【0076】
コレクター700のダンプ操作が行われていると、ロック解除リンクプレート2100は前方へ取付けプレート1200を引くので、ロック部材1100の後端部はコレクタードア711の下端部から外れる。このように、コレクタードア711のロックは、ダンプ操作にともなって自動的に解除される。
【0077】
コレクター700のダンプ操作が行われていなくても、コレクター本体710の外部の作業者がロック部材1100を矢印Xの向きに沿って直接的に押下げると、ロック解除リンクプレート2100は前方へ摺動するので、ロック部材1100の後端部はコレクタードア711の下端部から外れる。このように、コレクタードア711のロックは、コレクター本体710の外部からの手動操作に基づいて解除される。
【0078】
手動コレクタードアロック解除機構3000は、一端部3101がコレクタードアロック機構1000へ連結されている棒状部材3100を利用して設けられている。棒状部材3100の他端部3102は、コレクター本体710の内部へ突出している。棒状部材3100の一端部3101が棒状部材3100の他端部3102に対する手動操作に応じてコレクタードアロック機構1000へ作用することにより、コレクタードア711のロックは解除される。
【0079】
延長プレート1500は、取付けプレート1200と一体的に形成されている。
【0080】
棒状部材3100は、延長プレート1500の棒状部材挿入孔1501へ挿通されている。
【0081】
延長プレート1500は、コレクター本体710の内部からの手動操作に基づいてコレクタードア711のロックを解除するための棒状部材3100の取付けステーとして機能する。
【0082】
棒状部材3100は、ボルト部材である。一端部3101は、上側ナットおよび下側ナットなどのような取付け部材3110のナット螺合溝を有するボルト尾部である。他端部3102は、一端部3101をコレクタードアロック機構1000へ作用させるための手動操作が容易であるボルト頭部である。
【0083】
コレクター700のダンプ操作が行われていなくても、コレクター本体710の内部の作業者が、棒状部材3100の他端部3102を矢印Yの向きに沿って後方へ押すことにより、ロック部材1100を矢印Xの向きに沿って間接的に押下げると、ロック解除リンクプレート2100は前方へ摺動するので、ロック部材1100の後端部はコレクタードア711の下端部から外れる。このように、コレクタードア711のロックは、コレクター本体710の内部からの手動操作に基づいても解除される。
【0084】
本発明における実施の形態の乗用草刈り機のコレクター本体710近傍の模式的な部分斜視図である図10に示されているように、コレクター本体710の底壁には、棒状部材3100が挿通されるべき棒状部材貫通孔710aが形成されている。
【0085】
図10においては、コレクター本体710の底壁の後縁部を上方から見ている。
【0086】
棒状部材貫通孔710aは、棒状部材3100が前後方向において容易に動くことができるような長孔であるが、大き目の丸孔であってもよい。
【0087】
(A)なお、本発明における変形例の実施の形態(その一)の乗用草刈り機の棒状部材3100近傍の部分左側面図である図11に示されているように、棒状部材3100の他端部3102の形状は、コレクター本体710の内部へ収容される草が引っかかりにくい柱状形状であってもよい。
【0088】
棒状部材3100は他端部3102が面取り加工などで丸くなっている丸棒であるので、草が引っかかりにくい。
【0089】
(B)また、本発明における変形例の実施の形態(その二)の乗用草刈り機の棒状部材3100近傍の部分左側面図である図12に示されているように、棒状部材3100の他端部3102の形状は、コレクター本体710の内部へ収容される草が引っかかりにくく、一端部3101をコレクタードアロック機構1000へ作用させるための手動操作が容易であるL字形状であってもよい。
【0090】
棒状部材3100は他端部3102が後方へ曲げられている丸棒であるので、手動操作が容易であるのみならず、草も引っかかりにくい。
【0091】
(C)また、本発明における変形例の実施の形態(その三)の乗用草刈り機のベース部材2200近傍の模式的な部分斜視図である図13に示されているように、ベース部材2200には、長孔2202が形成されていてもよい。
【0092】
図13においては、リンクフレーム本体431の角パイプ後部を上方から見ている。
【0093】
凸部2201はベース部材2200の鉛直面部に形成されており、長孔2202はベース部材2200の水平面部に形成されている。ボルト2210は長孔2202の後端部へ挿通されており、ピン2220は長孔2202の前端部へ挿通されている。
【0094】
ボルト2210の下端部はボルト螺合溝を有するリンクフレーム本体431の孔と螺合しており、ボルト2210はベース部材2200を固定する単一の固定部材として機能する。上端部が長孔2202から突出する、ピン2220の下端部は溶接などでリンクフレーム本体431へ固定されており、ピン2220はボルト2210の周りのベース部材回動を防止するバー形状の回動防止部材として機能する。
【0095】
長孔2202の長手方向は前後方向と一致しており、ベース部材2200がリンクフレーム本体431へ固定される位置は、コレクター本体710がコレクター底フレーム720へ取付けられる位置のズレ、およびコレクタードア711のロックの解除タイミングなどを考慮して、調整可能である。
【0096】
(D)また、本発明における変形例の実施の形態(その四)の乗用草刈り機の貫通孔3200近傍の部分左側面図である図14に示されているように、手動コレクタードアロック解除機構3000は、コレクター本体710の壁に形成された貫通孔3200を利用して設けられていてもよい。
【0097】
貫通孔3200へ挿入された指が手動操作に応じてコレクタードアロック機構1000へ作用することにより、コレクタードア711のロックは解除される。
【0098】
取付けプレート1200は手動操作が容易である形状を有することが、望ましい。
【0099】
コレクター本体710の内部の作業者が、取付けプレート1200の前端部を矢印Zの向きに沿って上方へ引くことにより、ロック部材1100を矢印Xの向きに沿って間接的に押下げると、ロック解除リンクプレート2100は前方へ摺動するので、ロック部材1100の後端部はコレクタードア711の下端部から外れる。このように、コレクタードア711のロックは、コレクター本体710の内部からの手動操作に基づいても解除される。
【0100】
貫通孔3200は、柔軟な変形可能部材3210により閉鎖されている。
【0101】
変形可能部材3210は、本発明における変形例の実施の形態(その四)の乗用草刈り機の貫通孔3200近傍の模式的な部分上面図である図15に示されているように、「EXIT」などのような文字列が上面に印刷されている樹脂シートであり、コレクター本体710の内部へ収容された草は貫通孔3200からコレクター本体710の外部へ出ていかない。
【0102】
コレクター本体710の底壁に形成された貫通孔3200へ挿入された指は、変形可能部材3210が指とコレクタードアロック機構1000との間に介在するとはいえ、直接的にコレクタードアロック機構1000へ作用するので、棒状部材3100は不要である。
【0103】
なお、貫通孔3200は、変形可能部材3210によってではなく、堅硬な取外し可能部材により閉鎖されていてもよい。コレクター本体710の内部の作業者は、取外し可能部材を取外した後に取付けプレート1200の前端部を容易に引くことができる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明における乗用草刈り機は、コレクター本体の内部へ入った作業者は、コレクタードアが閉まったときでも、容易にコレクター本体の外部へ出ることができ、たとえば、草刈り作業を行うための乗用草刈り機に利用する目的に有用である。
【符号の説明】
【0105】
11 仕切部材
12 安全フレーム
13 ボンネット
20 エンジン
21 PTOクラッチ
31L 左側前輪
31R 右側前輪
32L 左側後輪
32R 右側後輪
40 操縦部
41 ステアリングハンドル
42 シート
43 シートベルト
50 ブロワー
51 刈り草搬送シュート
52 シューター
60 モアー
61 モアーデッキ
100 車体
110 支持台
150L 左側支持台受け部材
150R 右側支持台受け部材
151L 受け面
151R 受け面
200L 左側支柱部材
200R 右側支柱部材
210L 左側リンク支点部材
210R 右側リンク支点部材
220L 左側昇降シリンダー支点部材
220R 右側昇降シリンダー支点部材
300 コレクター昇降機構
310L 左側昇降シリンダー部材
310R 右側昇降シリンダー部材
400 コレクター昇降リンク機構
410L 左側アッパーリンクアーム部材
410R 右側アッパーリンクアーム部材
420L 左側ロウワーリンクアーム部材
420R 右側ロウワーリンクアーム部材
421L 左側ロウワーリンクアーム接続部材
421R 右側ロウワーリンクアーム接続部材
430 リンクフレーム
431 リンクフレーム本体
432L 左側リンクフレーム支点部材
432R 右側リンクフレーム支点部材
433L 左側リンクフレーム接続部材
433R 右側リンクフレーム接続部材
434L 左側ダンプリンク支点部材
434R 右側ダンプリンク支点部材
450L 左側リンクフレーム当接部材
450R 右側リンクフレーム当接部材
451L 当接面
451R 当接面
460L 左側リンクフレーム受け部材
460R 右側リンクフレーム受け部材
461L 受け面
461R 受け面
500 コレクターダンプ機構
510L 左側ダンプシリンダー部材
510R 右側ダンプシリンダー部材
511L 左側ダンプシリンダー支点ピン
511R 右側ダンプシリンダー支点ピン
600 コレクターダンプリンク機構
610L 左側ダンプリンクアーム部材
610R 右側ダンプリンクアーム部材
611L 左側ダンプリンクアーム部材接続部材
611R 右側ダンプリンクアーム部材接続部材
700 コレクター
710 コレクター本体
710a 棒状部材貫通孔
711 コレクタードア
720 コレクター底フレーム
721L 左側コレクター底フレーム接続部材
721R 右側コレクター底フレーム接続部材
750L 左側コレクター底フレーム当接部材
750R 右側コレクター底フレーム当接部材
751L 当接面
751R 当接面
1000 コレクタードアロック機構
1100 ロック部材
1101 長孔
1102 長孔
1111 ピン
1112 ピン
1200 取付けプレート
1201 丸孔
1202 丸孔
1203 回動ピン挿入孔
1204 左右凸部
1300 回動ピン
1400 トーションスプリング
1500 延長プレート
1501 棒状部材挿入孔
2000 自動コレクタードアロック解除機構
2100 ロック解除リンクプレート
2101 スリット
2102 丸孔
2200 ベース部材
2201 凸部
2202 長孔
2210 ボルト
2220 ピン
3000 手動コレクタードアロック解除機構
3100 棒状部材
3101 一端部
3102 他端部
3110 取付け部材
3200 貫通孔
3210 変形可能部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15