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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】電極搬送装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/04 20060101AFI20220203BHJP
   B65G 47/52 20060101ALI20220203BHJP
   H01M 4/139 20100101ALN20220203BHJP
【FI】
H01M4/04 Z
B65G47/52 B
B65G47/52 A
H01M4/139
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017208064
(22)【出願日】2017-10-27
(65)【公開番号】P2019079766
(43)【公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】村田 卓也
(72)【発明者】
【氏名】浅井 真也
(72)【発明者】
【氏名】西原 寛恭
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 隼人
【審査官】結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-083185(JP,A)
【文献】特開2017-111864(JP,A)
【文献】特開2010-067507(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/04
B65G 47/52
H01M 4/139
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属箔の両面に活物質層を有する電極を搬送する電極搬送装置であって、
上面側に前記電極を配置させて搬送する第1のコンベアと、
前記第1のコンベアの搬送方向における下流側に設けられ、下面側で前記電極を吸着して搬送する第2のコンベアと、を備え、
前記第2のコンベアは、前記第1のコンベアと交差する方向へ前記電極を搬送し、
前記第2のコンベアは、上下方向から見て前記第1のコンベアと重なる領域の一部に、前記電極の吸着が抑制又は停止された非吸着部を有し、
前記非吸着部は、前記領域のうち、前記第2のコンベアの幅方向における一方の縁部であって、前記第1のコンベアが設けられる縁部に形成され、
前記非吸着部は前記一方の縁部より前記第1のコンベアの搬送方向に延び、前記非吸着部の下方を通過した電極は、全面が前記第2のコンベアに接する位置で前記第2のコンベアに吸着される、電極搬送装置。
【請求項2】
前記第2のコンベアの搬送方向における下流側に設けられ、前記搬送方向と直交する方向における前記電極の位置決めを行う位置決め部を更に備える、請求項1に記載の電極搬送装置。
【請求項3】
一つの前記第2のコンベアに対して少なくとも一対の前記第1のコンベアが設けられ、
一対の前記第1のコンベアは、前記第2のコンベアの幅方向における両側において、それぞれ前記第2のコンベアと重なる、請求項1又は2に記載の電極搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電極を搬送する電極搬送装置として、特許文献1に記載されたものが知られている。この電極搬送装置は、搬送方向における上流側のコンベアで電極を搬送し、下流側のコンベアに電極を移し替える。下流側のコンベアは、上流側のコンベアと直交する方向へ、電極を搬送する。下流側のコンベアが上流側のコンベアから電極を受け取る箇所には、電極を下流側のコンベアの搬送方向へスムーズに移動させるために、湾曲したガイドレールが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-324285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1の電極搬送装置では、上流側のコンベアから下流側のコンベアへ電極を移し替える時に、電極が互いに直交する方向への力を受ける。このような力が作用することで、電極の姿勢が乱れやすくなる場合がある。従って、問題を生じることなく、上流側のコンベアから、下流側のコンベアへ電極を適切な状態にて移し替えることができる電極搬送装置が求められていた。
【0005】
本発明は、上流側のコンベアから下流側のコンベアへ電極を適切な状態にて移し替えることができる電極搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る電極搬送装置は、金属箔の両面に活物質層を有する電極を搬送する電極搬送装置であって、上面側に電極を配置させて搬送する第1のコンベアと、第1のコンベアの搬送方向における下流側に設けられ、下面側で電極を吸着して搬送する第2のコンベアと、を備え、第2のコンベアは、第1のコンベアと交差する方向へ電極を搬送し、第2のコンベアは、上下方向から見て第1のコンベアと重なる領域の一部に、電極の吸着が抑制又は停止された非吸着部を有する。
【0007】
この電極搬送装置は、上面側に電極を配置させて搬送する第1のコンベアと、第1のコンベアの搬送方向における下流側に設けられ、下面側で電極を吸着して搬送する第2のコンベアと、を備える。第2のコンベアは、第1のコンベアと交差する方向へ電極を搬送する。このような構成により、第1のコンベアの上面側で搬送されている電極は、上下方向から見て第1のコンベアと第2のコンベアとが重なる領域にて、第2のコンベアの下面側に吸着される。これにより、電極は第1のコンベアから第2のコンベアへ移し替えられ、第1のコンベアと交差する方向へ搬送される。ここで、第2のコンベアは、上下方向から見て第1のコンベアと重なる領域の一部に、電極の吸着が抑制又は停止された非吸着部を有する。この場合、非吸着部では、電極に対して第2のコンベアからの吸着力が作用しない、又は低い吸着力しか作用しない。従って、第2のコンベアは、十分に電極が第2のコンベア側に搬送されていない状態にて、電極を吸着して搬送することを抑制できる。以上により、上流側の第1のコンベアから下流側の第2のコンベアへ電極を適切な状態にて移し替えることができる。
【0008】
電極搬送装置において、非吸着部は、領域のうち、第2のコンベアの幅方向における一方の縁部であって、第1のコンベアが設けられる縁部に形成されてよい。この場合、電極が第1のコンベアで搬送され、第2のコンベアに吸着されるときに、吸着コンベアの縁部付近では、電極に対して吸着コンベアからの吸着力が作用しない、又は低い吸着力しか作用しない。従って、電極は、第2のコンベアは、十分に電極が第2のコンベア側に搬送されていない状態にて、電極を吸着して搬送することを抑制できる。
【0009】
電極搬送装置において、非吸着部は一方の縁部より第1のコンベアの搬送方向に延び、非吸着部の下方を通過した電極は、全面が第2のコンベアに接する位置で第2のコンベアに吸着されてよい。非吸着部がこのような範囲に設けられることで、第2のコンベアは、適切な位置にて電極を吸着することができる。
【0010】
電極搬送装置において、第2のコンベアの搬送方向における下流側に設けられ、搬送方向と直交する方向における電極の位置決めを行う位置決め部を更に備えてよい。この場合、電極の姿勢を更に整えた状態で、下流側へ電極を搬送することができる。
【0011】
電極搬送装置において、一つの第2のコンベアに対して少なくとも一対の第1のコンベアが設けられ、一対の第1のコンベアは、第2のコンベアの幅方向における両側において、それぞれ第2のコンベアと重なってよい。これにより、少なくとも一対の第1のコンベアから搬送される電極を一つの第2のコンベアでまとめて回収することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、上流側のコンベアから下流側のコンベアへ電極を適切な状態にて移し替えることができる電極搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態に係る電極搬送装置を備えた電極製造装置を適用して製造される蓄電装置の内部を示す断面図である。
図2図1のII-II線断面図である。
図3】電極搬送装置を備えた電極製造装置の構造を示す概略平面図である。
図4】電極搬送装置の一部を示す概略平面図である。
図5】電極搬送装置の一部を示す概略側面図である。
図6図6(a),(b)は比較例に係る電極搬送装置を示す概略平面図である。
図7】変形例に係る電極搬送装置の一部を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る電極搬送装置が採用された電極製造装置を適用して製造される電極を用いた蓄電装置の内部を示す断面図である。図2は、図1のII-II線に沿った断面図である。図1及び図2において、蓄電装置1は、積層型の電極組立体を有するリチウムイオン二次電池である。
【0016】
蓄電装置1は、例えば略直方体形状のケース2と、このケース2内に収容された電極組立体3とを備えている。ケース2は、例えばアルミニウム等の金属により形成されている。ケース2の内部には、図示はしないが、例えば非水系(有機溶媒系)の電解液が注液されている。ケース2上には、正極端子4及び負極端子5が互いに離間して配置されている。正極端子4は、絶縁リング6を介してケース2に固定され、負極端子5は、絶縁リング7を介してケース2に固定されている。また、電極組立体3とケース2の内側の側面及び底面との間には絶縁フィルムが配置されており、絶縁フィルムによってケース2と電極組立体3との間が絶縁されている。図1では便宜上、電極組立体3の下端とケース2の底面との間には僅かな隙間が設けられているが、実際には電極組立体3の下端が絶縁フィルムを介してケース2の内側の底面に接触している。また、電極組立体3の積層方向において、電極組立体3のガタツキを低減するために、電極組立体3とケース2との間の隙間に、数枚のスペーサが配置されている。スペーサの枚数は、電極組立体3の厚みに応じて適宜調整される。
【0017】
電極組立体3は、複数の正極8と複数の負極9とが袋状のセパレータ10を介して交互に積層された構造を有している。正極8は、袋状のセパレータ10に包まれている。袋状のセパレータ10に包まれた状態の正極8は、セパレータ付き正極11として構成されている。従って、電極組立体3は、複数のセパレータ付き正極11と複数の負極9とが交互に積層された構造を有している。なお、電極組立体3の両端に位置する電極は、負極9である。
【0018】
正極8は、例えばアルミニウム箔からなる正極集電体である金属箔14と、この金属箔14の両面に形成された正極活物質層15とを有している。金属箔14は、平面視矩形状の箔本体部14aと、この箔本体部14aと一体化されたタブ14bとを有している。タブ14bは、箔本体部14aの長手方向の一端部近傍の縁から突出している。そして、タブ14bは、セパレータ10を突き抜けている。複数の正極8より延びる複数のタブ14bは、集箔された状態で導電部材12に接続(溶接)され、導電部材12を介して正極端子4に接続されている。なお、図2では、便宜上タブ14bを省略している。
【0019】
正極活物質層15は、箔本体部14aの表裏両面に形成されている。正極活物質層15は、正極活物質とバインダとを含んで形成された多孔質の層である。正極活物質としては、例えば複合酸化物、金属リチウムまたは硫黄等が挙げられる。複合酸化物には、例えばマンガン、ニッケル、コバルト及びアルミニウムの少なくとも1つとリチウムとが含まれる。
【0020】
負極9は、例えば銅箔からなる負極集電体である金属箔16と、この金属箔16の両面に形成された負極活物質層17とを有している。金属箔16は、平面視矩形状の箔本体部16aと、この箔本体部16aと一体化されたタブ16bとを有している。タブ16bは、箔本体部16aの長手方向の一端部近傍の縁から突出している。タブ16bは、導電部材13を介して負極端子5に接続されている。なお、図2では、便宜上タブ16bを省略している。
【0021】
負極活物質層17は、箔本体部16aの表裏両面に形成されている。負極活物質層17は、負極活物質とバインダとを含んで形成された多孔質の層である。負極活物質としては、例えば黒鉛、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、金属化合物、SiOx(0.5≦x≦1.5)等の金属酸化物またはホウ素添加炭素等が挙げられる。
【0022】
セパレータ10は、平面視矩形状を呈している。セパレータ10の形成材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、或いはポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布または不織布等が例示される。
【0023】
以上のように構成された蓄電装置1を製造する場合は、まず、帯状の金属箔に活物質層(正しくは活物質層前駆体)が形成されたシート部材を製作する。次に、シート部材を所定の形状に切断し、セパレータ付き正極11及び負極9を製作する。セパレータ付き正極11及び負極9を製作した後、セパレータ付き正極11と負極9とを交互に積層し、積層体を形成する。この積層体を加圧することでセパレータ付き正極11及び負極9を密着させた後、セパレータ付き正極11及び負極9をテープ等で固定することで電極組立体3を得る。そして、セパレータ付き正極11のタブ14bを導電部材12を介して正極端子4に接続すると共に、負極9のタブ16bを導電部材13を介して負極端子5に接続した後、電極組立体3をケース2内に収容する。
【0024】
次に、図3を参照して、本発明の実施形態に係る電極搬送装置50を備えた電極製造装置100について説明する。図3は、電極製造装置100の構成を示す平面図である。電極製造装置100は、金属箔の両面に活物質層を有する電極20を製造する装置である。電極製造装置100は、電極20の材料となる部材を搬送方向へ搬送しながら、電極20を製造する。なお、電極製造装置100が製造する電極20は正極8及び負極9のいずれであってもよい。また、電極20は、後述のプレス部でプレスされることによって完成するものである。ただし、ここでは説明を容易とするために、プレスされる前の部材であっても、切断部で電極20の形状に形成されたものは「電極20」と称するものとする。
【0025】
図3に示すように、電極製造装置100は、搬送方向における上流側から順に、切断部21と、分岐部22と、を備える。また、電極製造装置100は、分岐部22から分岐した一方のラインにおいて、搬送方向における上流側から順に、搬送経路23Aと、プレス部24Aと、搬送経路26Aと、を備える。電極製造装置100は、分岐部22から分岐した他方のラインにおいて、搬送方向における上流側から順に、搬送経路23Bと、プレス部24Bと、搬送経路26Bと、を備える。また、電極製造装置100は、搬送経路26Aと搬送経路26Bとを合流させる合流部27を備える。
【0026】
切断部21は、例えば、一対のローラを備えたロータリーダイカット方式の切断装置として構成されている。帯状のシート部材30は、当該シート部材30の長手方向に、切断部21の一対のローラ間を通過するように搬送される。一対のローラにはシート部材30を所望の形状に切断する刃部が形成されている。従って、一対のローラは、シート部材30を挟み込んで、当該シート部材30を切断する。切断部21は、帯状のシート部材30を切断することで、電極20を形成する。切断部21は、シート部材30を切断し、当該シート部材30の長手方向、すなわちローラの回転軸が延びる方向と直交する送出方向へ送出することで、電極20を形成する。ただし、切断部21は電極20を形成できる限り、ロータリーダイカット方式以外の構造を有していてもよい。
【0027】
切断部21は、送出方向と直交する方向に配列された電極20A及び電極20Bを形成する。すなわち、切断部21は、帯状のシート部材30から、短手方向に二枚分の電極20を切り出す、いわゆる「二条取り」の切断を行う。切断部21は、帯状のシート部材30を短手方向において電極20の二枚分の大きさ及び形状に切断する。また、切断部21は、帯状のシート部材30を長手方向において電極20の一枚分のピッチ毎に切断する。
【0028】
なお、水平方向における一の方向に対して「X軸」を設定し、水平方向においてX軸と直交する方向に対して「Y軸」を設定する。シート部材30が送られる方向がX軸方向に対応し、シート部材30の送り方向における上流側がX軸方向の正側に対応する。X軸方向と直交する方向がY軸方向に対応し、当該Y軸方向の一方がY軸方向の正側に対応する。以降の説明においては、「X軸」、「Y軸」を用いて説明を行う場合がある。
【0029】
ここで、図4を参照して、電極20について説明する。図4に示すように、電極20は、短手方向に互いに対向する縁部20a,20bと、長手方向に対向する縁部20c,20dと、を備える矩形状の形状を有する。縁部20a,20bと縁部20c,20dとは互いに直交する。電極20の縁部20a側には金属箔が露出する活物質層20gの未塗工部20eが形成される。未塗工部20eは、縁部20aから突出するタブ20fを有する。なお、電極20の形状については、短手方向と長手方向が逆であってもよい。また、未塗工部20eはタブ20fのみよりなり、縁部20a側の他の箇所は、正極活物質層15又は負極活物質層17が設けられていてもよい。
【0030】
図3に戻り、切断部21から送出された直後の状態では、電極20Bは、タブ20fがY軸方向の正側へ突出する姿勢である。また、電極20Aは、電極20BのY軸方向の負側に配置されており、且つ、タブ20fがY軸方向の負側へ突出する姿勢である。
【0031】
分岐部22は、切断部21から送出された電極20A及び電極20Bを搬送経路23A及び搬送経路23Bへ分岐させる。分岐部22は、下面で電極20A,20Bを吸着した状態で搬送する吸着コンベア31によって構成される。吸着コンベア31は、電極20A,20Bを二列に配列されたままの状態でX軸方向へ搬送するように、X軸方向へ延びる。
【0032】
吸着コンベア31は、搬送方向における一部において、搬送経路23Aと重なっている。すなわち、吸着コンベア31の下方に搬送経路23Aの一部が配置される。搬送経路23Aは、吸着コンベア31の幅方向(Y軸方向)の縁部のうち、電極20Aが配置される側のY軸方向の負側の縁部31bまで延びている。吸着コンベア31は、切断部21から搬送した電極20Aを搬送経路23Aの位置で落下させることで、当該搬送経路23Aに電極20Aを移し替える。吸着コンベア31は、搬送方向における一部であって、搬送経路23Aと搬送方向において異なる位置において、搬送経路23Bと重なっている。すなわち、吸着コンベア31の下方に搬送経路23Bの一部が配置される。搬送経路23Bは、吸着コンベア31の幅方向(Y軸方向)の縁部のうち、電極20Bが配置される側のY軸方向の正側の縁部31aまで延びている。吸着コンベア31は、切断部21から搬送した電極20Bを搬送経路23Bの位置で落下させることで、当該搬送経路23Bに電極20Bを移し替える。
【0033】
搬送経路23Aは、分岐部22からプレス部24Aへ電極20Aを搬送する経路である。搬送経路23Aは、搬送部32Aと、搬送部36Aと、方向転換部39Aと、を備える。搬送部32Aは、分岐部22からY軸方向の正側へ向かって延びる。搬送部36Aは、搬送部32Aの下流側の端部からプレス部24Aへ向かってX軸方向の負側へ向かって延びる。方向転換部39Aは、搬送部32Aと搬送部36Aとの間で電極20Aの方向転換を行う。
【0034】
搬送部32Aは、搬送方向の上流側から順に、位置決め部33Aと、コンベア34Aと、を備える。分岐部22から電極20Aを受け取る部分には、位置決め部33Aが設けられている。なお、搬送部32Aでは、電極20Aは、Y軸方向の負側へタブ20fが突出した状態で搬送される。
【0035】
位置決め部33Aは、搬送方向と直交する方向に対する電極20Aの位置決めを行う。位置決め部33Aは、X軸方向の電極20Aの位置決めを行った後、Y軸方向の正側へ電極20Aを搬送し、コンベア34Aへ送る。本実施形態では、位置決め部33Aは、複数の搬送ローラ33aと、規制部33bと、を備える。
【0036】
複数の搬送ローラ33aは、電極20Aを搬送方向へ搬送するものであり、搬送方向へ並べられている。搬送ローラ33aは、当該搬送ローラ33aを回転させるための駆動部(不図示)が設けられている。複数の搬送ローラ33aの一部は、X軸方向における正側の端部が、搬送方向における上流側へ位置するように、X軸方向に対して傾斜する。上流側に配置された搬送ローラ33aの傾斜が大きく、下流側に配置される搬送ローラ33aほど傾斜が小さくなっている。このような構成により、搬送ローラ33a上の電極20Aは、搬送方向に搬送されながら、X軸方向の正側へ寄せられる。
【0037】
規制部33bは、搬送ローラ33aに対して、X軸方向における正側に配置され、電極20AのX軸方向における正側への移動を規制する。これにより、搬送ローラ33aによってX軸方向の正側へ寄せられた電極20Aは、規制部33bによってX軸方向への移動を規制される。規制部33bは、搬送ローラ33aから上方へ立ち上がるように設けられる。これにより、電極20Aの縁部が規制部33bに当接し、当該縁部がY軸方向に平行に位置決めされる。なお、規制部33bは、少なくとも搬送ローラ33aがX軸方向に対して傾斜している領域に設けられていればよい。
【0038】
搬送部36Aは、搬送方向の上流側から順に、コンベア37Aと、位置決め部38Aと、を備える。位置決め部38Aは、X軸方向の負側へ電極20Aを搬送し、Y軸方向の正側で電極20Aを規制する点を除き、位置決め部33Aと同趣旨の構成を有する。なお、搬送部36Aでは、電極20Aは、X軸方向の正側へタブ20fが突出した状態で搬送される。
【0039】
方向転換部39Aは、搬送方向の方向転換を行うことで、プレス部24Aに対する電極20Aの向きを変更する。方向転換部39Aは、Y軸方向に搬送される電極20Aの搬送方向を、X軸方向へ転換する。方向転換部39Aは、90°の円弧を描くように湾曲する搬送経路を形成する。方向転換部39Aは、湾曲する搬送経路に対する電極20Aの角度を略一定に保ちながら、電極20Aを搬送する。従って、電極20Aのプレス部24Aの回転軸方向に対する角度は、方向転換部39Aに搬送されるに従って徐々に変化し、方向転換部39Aの前後で約90°変化する。これにより、方向転換部39Aは、当該方向転換部39Aの通過前後において、プレス部24Aに対する電極20Aの向きを変更することができる。方向転換部39Aの構成は特に限定されない。例えば、方向転換部39Aは、90°の円弧を描く軌道を有するカーブコンベアによって構成されてよい。
【0040】
方向転換部39Aは、コンベア34AによりY軸方向の正側へ搬送される電極20Aの搬送方向を、X軸方向の負側へ転換し、コンベア37Aへ受け渡す。電極20Aは、方向転換部39Aの上流側では、タブ20fがY軸方向の負側へ突出する姿勢である。電極20Aは、方向転換部39Aの下流側では、タブ20fがX軸方向の正側へ突出する姿勢である。
【0041】
プレス部24Aは、電極20Aをプレスする。プレス部24Aは、一対のプレスローラを備える。プレス部24Aは、電極20Aを一対のプレスローラでプレスする。一対のプレスローラは、互いに平行な状態で上下方向に配置されている。また、一対のプレスローラの回転軸は、Y軸方向に平行に延びている。電極20Aは、一対のプレスローラ間を通過することにより、プレスされる。
【0042】
搬送経路26Aは、プレス部24Aから合流部27へ電極20Aを搬送する経路である。搬送経路26Aは、搬送部41Aと、搬送部42Aと、方向転換部43Aと、を備える。搬送部41Aは、プレス部24AからX軸方向の負側へ向かって延びる。搬送部41Aは、コンベア47Aによって構成される。搬送部42Aは、搬送部41Aの下流側の端部から合流部27へ向かってY軸方向の負側へ向かって延びる。搬送部42Aは、コンベア48Aによって構成される。方向転換部43Aは、搬送部41Aと搬送部42Aとの間で電極20Aの方向転換を行う。方向転換部43Aは、搬送方向以外は、前述の方向転換部39Aと同趣旨の構成を有する。なお、搬送部41Aでは、電極20Aは、X軸方向の正側へタブ20fが突出した状態で搬送される。搬送部42Aでは、電極20Aは、Y軸方向の正側へタブ20fが突出した状態で搬送される。
【0043】
搬送経路23Bは、分岐部22からプレス部24Bへ電極20Bを搬送する経路である。搬送経路23Bは、搬送部32Bと、搬送部36Bと、方向転換部39Bと、を備える。搬送部32Bは、分岐部22からY軸方向の負側へ向かって延びる。搬送部36Bは、搬送部32Bの下流側の端部からプレス部24Bへ向かってX軸方向の負側へ向かって延びる。方向転換部39Bは、搬送部32Bと搬送部36Bとの間で電極20Bの方向転換を行う。
【0044】
搬送部32Bは、搬送方向の上流側から順に、位置決め部33Bと、コンベア34Bと、を備える。分岐部22から電極20Bを受け取る部分には、位置決め部33Bが設けられている。位置決め部33Bは、Y軸方向の負側へ電極20Bを搬送し、X軸方向の正側で電極20Bを規制する点を除き、位置決め部33Aと同趣旨の構成を有する。なお、搬送部32Bでは、電極20Bは、Y軸方向の正側へタブ20fが突出した状態で搬送される。
【0045】
搬送部36Bは、搬送方向の上流側から順に、コンベア37Bと、位置決め部38Bと、を備える。位置決め部38Bは、X軸方向の負側へ電極20Bを搬送し、Y軸方向の負側で電極20Bを規制する点を除き、位置決め部33Aと同趣旨の構成を有する。なお、搬送部36Bでは、電極20Bは、X軸方向の正側へタブ20fが突出した状態で搬送される。
【0046】
プレス部24Bは、電極20Bをプレスする。プレス部24Bは、一対のプレスローラを備える。プレス部24Bは、プレス部24Aと同趣旨の構成を有する。
【0047】
搬送経路26Bは、プレス部24Bから合流部27へ電極20Bを搬送する経路である。搬送経路26Bは、搬送部41Bと、搬送部42Bと、方向転換部43Bと、を備える。搬送部41Bは、プレス部24BからX軸方向の負側へ向かって延びる。搬送部41Bは、コンベア47Bによって構成される。搬送部42Bは、搬送部41Bの下流側の端部から合流部27へ向かってY軸方向の正側へ向かって延びる。搬送部42Bは、コンベア48Bによって構成される。方向転換部43Bは、搬送部41Bと搬送部42Bとの間で電極20Bの方向転換を行う。方向転換部43Bは、搬送方向以外は、前述の方向転換部39Aと同趣旨の構成を有する。なお、搬送部41Bでは、電極20Bは、X軸方向の正側へタブ20fが突出した状態で搬送される。搬送部42Bでは、電極20Bは、Y軸方向の負側へタブ20fが突出した状態で搬送される。
【0048】
合流部27は、搬送経路26Aと搬送経路26Bとが合流する部分である。合流部27は、搬送経路26Aで搬送された電極20A及び搬送経路26Bで搬送された電極20Bを合流させる。合流部27は、下面で電極20A,20Bを吸着した状態で搬送する吸着コンベア46によって構成される。吸着コンベア46は、電極20A,20Bを二列に配列した状態でX軸方向の負側へ搬送するように、X軸方向へ延びる。
【0049】
吸着コンベア46は、X軸方向の正側の端部付近であって、Y軸方向の正側の縁部46aにおいて、搬送経路26Aと重なっている。すなわち、吸着コンベア46の下方に搬送経路26Aの一部が配置される。吸着コンベア46は、搬送経路26A上の電極20Aを下面で吸着することで、吸着コンベア46へ電極20Aを移し替える。吸着コンベア46は、X軸方向の正側の端部付近であって、Y軸方向の負側の縁部46bにおいて、搬送経路26Bと重なっている。すなわち、吸着コンベア46の下方に搬送経路26Bの一部が配置される。吸着コンベア46は、搬送経路26B上の電極20Bを下面で吸着することで、吸着コンベア46へ電極20Bを移し替える。
【0050】
吸着コンベア46は、吸着した電極20A,20BをX軸方向の負側へ搬送する。電極20Aは、吸着コンベア46のY軸方向の正側の領域にて搬送される。このとき、電極20Aは、タブ20fがY軸方向の正側へ突出する姿勢である。電極20Bは、吸着コンベア46のY軸方向の負側の領域にて搬送される。このとき、電極20Bは、タブ20fがY軸方向の負側へ突出する姿勢である。吸着コンベア46に搬送された電極20A,20Bは、吸着コンベア46の下流側に配置された位置決め部49A,49Bに移し替えられる。位置決め部49Aは、X軸方向の負側へ電極20Aを搬送し、Y軸方向の負側で電極20Aを規制する点を除き、位置決め部33Aと同趣旨の構成を有する。位置決め部49Bは、X軸方向の負側へ電極20Bを搬送し、Y軸方向の正側で電極20Bを規制する点を除き、位置決め部33Aと同趣旨の構成を有する。
【0051】
次に、図4及び図5を参照して、本実施形態に係る電極搬送装置50について詳細に説明する。図4は、電極搬送装置50を示す概略平面図である。図5は、電極搬送装置50を示す概略側面図である。図5は、図4に示す電極搬送装置50の一部をY軸方向の負側から正側へ向かって見た様子を示す。電極搬送装置50は、前述の搬送経路26A,26Bの搬送部42A,42Bと、合流部27と、位置決め部49A,49Bと、を備えている。なお、説明を容易とするため、図4及び図5では、合流部27のうち、電極20Aを搬送する部分のみを示し、コンベア48A及び位置決め部49Aのみを示している。
【0052】
搬送部42Aのコンベア48Aは、上面48Aa側に電極20Aを配置させて搬送する。コンベア48Aは、搬送方向(Y軸方向)における両端側に配置される少なくとも一対のローラと、当該ローラに架け渡される無端のベルトと、を備えている。コンベア48Aは、一対のローラの上端部間に架け渡される部分のベルトの上面48Aaに、電極20Aを配置させる。吸着コンベア46は、幅方向の縁部のうち、電極20Aが配置される側に縁部46aを有する。コンベア48Aは、吸着コンベア46の縁部46aから、当該吸着コンベア46の下面側に潜り込んでいる。
【0053】
これにより、上下方向から見て、吸着コンベア46には、コンベア48Aと重なる領域E1が形成される。縁部46aとコンベア48Aの搬送方向の下流側(Y軸方向の負側)の端部48Abとの間の大きさ、すなわち領域E1のY軸方向における大きさは、電極20Aの縁部20bとタブ20f先端との間の寸法よりも大きくてよい。領域E1のX軸方向における大きさは、コンベア48Aの幅方向の大きさと等しい。
【0054】
図5に示すように、吸着コンベア46は、搬送方向(X軸方向)における両端側に配置される少なくとも一対のローラ51と、当該ローラ51に架け渡される無端のベルト52と、を備えている。ベルト52は、一対のローラ51の上端部側に架け渡される部分52aと、一対のローラ51の下端部側に架け渡される部分52bと、を有する。吸着コンベア46は、ベルト52の下端側の部分52bの下面46dに、電極20Aを吸着させる。ベルト52は、ローラ51の回転駆動に伴って循環する。ローラ51は、ベルト52の下端側の部分52bが搬送方向へ移動するように駆動する。これにより、ベルト52の下面46dに吸着された電極20Aは、ベルトの下端側の部分52bの移動に伴って、搬送方向へ搬送される。
【0055】
なお、一つの吸着コンベア46に対して一対のコンベア48A,48Bが設けられる。一対のコンベア48A,48Bは、吸着コンベア46の幅方向における両側において、それぞれコンベア48A,48Bと重なる(図3参照)。
【0056】
ここで、吸着コンベア46は、ベルト52の上端側の部分52aと下端側の部分52bとの間に、吸引ボックス53を備える。吸引ボックス53は、下面側に開口53aを備える。吸引ボックス53は、別途外部に配置された真空ポンプ又はブロワと管路で接続されることで、開口53aよりエアを吸引する。一方、ベルト52には、略全面にわたって複数の貫通孔が形成されている。従って、吸着コンベア46の下面46dは、吸引ボックス53によるエアの吸引により、複数の貫通孔を介して吸着力を発生する。吸着コンベア46は、少なくとも電極20A,20Bが通過し得る箇所に対して設けられる。
【0057】
図4及び図5に示すように、吸着コンベア46は、上下方向から見てコンベア48Aと重なる領域E1の一部に、電極20Aの吸着が抑制又は停止された非吸着部56を有する。非吸着部56は、吸着面である下面46dの吸着力が他の部分に比して低い、又は吸着力が発生していない領域である。非吸着部56は、例えば、当該非吸着部56に対応する位置において、吸引ボックス53の開口53aを遮断部材57で塞ぐ事によって構成されてよい。吸引ボックス53の開口53aが遮断部材57で塞がれることで、当該塞がれた部分では、吸引ボックス53によるエアの吸引が行われない。従って、当該部分における下面46dでは、吸引ボックス53の吸引に伴う吸着力が発生しない。
【0058】
なお、非吸着部56を構成するための方法は特に限定されない。例えば、吸着コンベア46に対して複数個に分割された吸引ボックス53が設けられている場合、対応部分における吸引ボックス53を省略することによって、非吸着部56を構成してもよい。これにより、非吸着部56では、吸引ボックス53による吸引が行われないため、下面46dでの吸着力が発生しない。なお、遮断部材57に貫通孔が形成されることで、非吸着部56での吸引ボックス53の吸引力を低減してもよい。この場合、非吸着部56の下面46dでの吸着力が、遮断部材57が設けられていない箇所での吸着力に比して低い。なお、非吸着部56吸着が抑制された状態とは、コンベア48A上の電極20Aの全面積に対して非吸着部56の下面が発生する吸引力を作用させたとしても、電極20Aが非吸着部の下面に吸着されない程度に吸着力が抑制された状態である。
【0059】
吸着コンベア46に対する非吸着部56の範囲は特に限定されない。本実施形態では、非吸着部56は、領域E1のうち、吸着コンベア46の幅方向(Y軸方向)における一方の縁部46aであって、コンベア48Aの搬送方向に対する下流側の縁部46aに形成される。すなわち、非吸着部56は、吸着コンベア46の縁部46aとY軸方向の隙間無く、形成される。非吸着部56のY軸方向における負側の端部は、縁部46aからY軸方向において離間した位置に配置される。ただし、非吸着部56の負側の端部は、コンベア48AのY軸方向の負側の端部48Abよりも、Y軸方向の正側に存在する。非吸着部56のX軸方向における広さは、領域E1よりも大きい。非吸着部56は一方の縁部46aよりコンベア48Aの搬送方向に延び、非吸着部56の下方を通過した電極20Aは、全面が吸着コンベア46に接する位置でコンベア48Aに吸着されてよい。例えば、図4に示す電極20Aのうち、コンベア48Aの負側の端部付近に配置されている電極20Aは、タブ20fを含め、全面が吸着コンベア46Aと重なっている。電極20Aが当該位置にて吸着コンベア46Aに吸着される結果、電極20Aの全面が吸着コンベア46に接する。
【0060】
なお、吸着コンベア46のY軸方向の負側の縁部46b側にも、コンベア48Bに対して、上述の非吸着部56と同趣旨の非吸着部が設けられる。
【0061】
次に本実施形態に係る電極搬送装置50の作用・効果について説明する。
【0062】
まず、図6を参照して、比較例に係る電極搬送装置について説明する。図6(a)に示す比較例に係る電極搬送装置250は、コンベア48Aの下流側に、当該コンベア48Aと直交する方向へ延びるコンベア227を有している。コンベア227は、コンベア48Aと同様に、上面側に電極20Aを配置して搬送する。この電極搬送装置250においては、電極20Aがコンベア48Aからコンベア227へ移し替えられるときに、各コンベア48A,227から互いに異なる方向へ向かう力を付与される。これによって、電極20Aが平面内で回転することで、電極20Aの姿勢が乱れるという問題が生じ得る。
【0063】
図6(b)に示す比較例に係る電極搬送装置350は、実施形態に係る電極搬送装置50のような非吸着部が吸着コンベア327に形成されていない。この場合、電極20Aがコンベア48Aから吸着コンベア327へ移し替えられるときに、電極20Aが吸着コンベア327の縁部にて吸着される場合がある。すなわち、電極20Aが十分に吸着コンベア327の下側に潜り込んでおらず、電極20Aの一部が吸着コンベア327の縁部からはみ出した状態にて、電極20Aが吸着コンベア327の下面に吸着される。この場合、電極20Aの一部が吸着コンベア327の縁部からはみ出したままの状態で、吸着コンベア327で搬送される。
【0064】
一方、本実施形態に係る電極搬送装置50は、上面側に電極20Aを配置させて搬送するコンベア(第1のコンベア)48Aと、コンベア48Aの搬送方向における下流側に設けられ、下面側で電極を吸着して搬送する吸着コンベア(第2のコンベア)46と、を備える。吸着コンベア46は、コンベア48Aと交差する方向へ電極20Aを搬送する。このような構成により、コンベア48Aの上面側で搬送されている電極20Aは、上下方向から見てコンベア48Aと吸着コンベア46とが重なる領域E1にて、吸着コンベア46の下面側に吸着される。これにより、電極20Aはコンベア48Aから吸着コンベア46へ移し替えられ、コンベア48Aと交差する方向へ搬送される。ここで、吸着コンベア46は、上下方向から見てコンベア48Aと重なる領域E1の一部に、電極20Aの吸着が抑制又は停止された非吸着部56を有する。この場合、非吸着部56では、電極20Aに対して吸着コンベア46からの吸着力が作用しない、又は低い吸着力しか作用しない。従って、吸着コンベア46は、十分に電極20Aが吸着コンベア46側に搬送されていない状態にて、電極20Aを吸着して搬送することを抑制できる。以上により、上流側のコンベア48Aから下流側の吸着コンベア46へ電極20Aを適切な状態にて移し替えることができる。
【0065】
電極搬送装置50において、非吸着部56は、領域E1のうち、吸着コンベア46の幅方向における一方の縁部46aであって、コンベア48Aが設けられる縁部46aに形成されてよい。この場合、電極20Aがコンベア48で搬送され、吸着コンベア46に吸着されるときに、吸着コンベア46の縁部46a付近では、電極20Aに対して吸着コンベア46からの吸着力が作用しない、又は低い吸着力しか作用しない。従って、電極20Aは、吸着コンベア46は、十分に電極20Aが吸着コンベア46側に搬送されていない状態にて、電極20Aを吸着して搬送することを抑制できる。
【0066】
非吸着部56は一方の縁部46aよりコンベア48Aの搬送方向に延び、非吸着部56の下方を通過した電極20は、全面が吸着コンベア46に接する位置でコンベア48Aに吸着されてよい。非吸着部56がこのような範囲に設けられることで、吸着コンベア46は、適切な位置にて電極20を吸着することができる。
【0067】
電極搬送装置50において、吸着コンベア46の搬送方向における下流側に設けられ、搬送方向と直交する方向における電極20A,20Bの位置決めを行う位置決め部49A,49Bを更に備えてよい。この場合、電極20A,20Bの姿勢を更に整えた状態で、下流側へ電極20A、20Bを搬送することができる。
【0068】
電極搬送装置50において、一つの吸着コンベア46に対して少なくとも一対のコンベア48A、48Bが設けられ、一対のコンベア48A、48Bは、吸着コンベア46の幅方向における両側において、それぞれ吸着コンベア46と重なってよい。これにより、少なくとも一対のコンベア48A,48Bから搬送される電極20A,20Bを一つの吸着コンベア46でまとめて回収することができる。
【0069】
以上、本発明の実施形態及びその変形例について説明したが、本発明は上記実施形態又は上記変形例に限定されない。
【0070】
例えば、図7に示すような電極搬送装置450を採用してもよい。電極搬送装置450では、上面に電極20Aを配置して搬送するコンベア424は、上面に電極20Aを吸着する構成を有している。これにより、電極20Aがコンベア424から吸着コンベア46へ移し替えられるときに、電極20Aが吸着コンベア46の下側へ十分に潜り込んでいない箇所にて、当該吸着コンベア46に吸着されることを抑制できる。なお、電極20Aが適切な位置で吸着コンベア46に吸着されるように、コンベア424と吸着コンベア46の吸引力のバランスが調整される。
【0071】
また、非吸着部の形状や位置は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設定してもよい。非吸着部の形状や位置は、吸引ボックスの吸引力などに合わせて、適宜変更される。例えば、非吸着部は、縁部46aから幅方向の内側へ離間した位置に形成されていてよい。また、非吸着部は、領域E1の中で複数の箇所に分割されて設けられてもよい。例えば、領域E1内において、櫛歯状に形成された複数の非吸着部が設けられてもよい。
【0072】
電極製造装置の各構成要素のレイアウトは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更してもよい。
【0073】
例えば、上述の実施形態では、合流部27の吸着コンベア46に対して、コンベア48A,48Bが直交していた。これに代えて、吸着コンベア46に対してコンベア48A,48Bが傾斜して重なり合う構成を採用してもよい。
【0074】
なお、上述の実施形態及び変形例では、シート部材から短手方向に二枚分の電極を形成する「二条取り」の装置を例示した。これに代えて、電極製造装置が、シート部材から短手方向に三枚以上の電極を形成する構成であってもよい。また、図6に示す形状の切断片を形成する場合は、電極製造装置がシート部材から短手方向に一枚分の電極を形成してもよい。
【符号の説明】
【0075】
20,20A,20B…電極、46…吸着コンベア(第2のコンベア)、46a,46b…縁部、48A,48B…コンベア(第1のコンベア)、49A,49B…位置決め部、50,450…電極搬送装置、56…非吸着部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7