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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】画像形成装置及び定着装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20220203BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
G03G15/20 510
G03G21/00 370
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017212992
(22)【出願日】2017-11-02
(65)【公開番号】P2019086586
(43)【公開日】2019-06-06
【審査請求日】2020-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】諏訪間 大
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-255948(JP,A)
【文献】特開2008-050145(JP,A)
【文献】実開平03-022267(JP,U)
【文献】特開2012-226140(JP,A)
【文献】特開2009-029532(JP,A)
【文献】特開2010-023988(JP,A)
【文献】特開平02-008126(JP,A)
【文献】特開平03-156481(JP,A)
【文献】特開2007-084209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 29/54-29/70
G03G 13/20
13/34
15/00
15/20
15/36
21/00-21/02
21/14
21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部により形成された前記画像を前記用紙に定着する定着部と、
前記用紙の前記定着部への進入を支援する進入支援部と、
前記定着部により第一面に前記画像が定着された前記用紙を検知する検知部と、
前記検知部の検知結果に基づいて算出した前記用紙のカール量、及び前記用紙の搬送方向に基づいて前記用紙のカール形状を求め、前記用紙の前記カール量及び前記カール形状に応じて前記進入支援部の位置及び形状を変える制御を行い、第二面に画像が形成された前記用紙を前記定着部に進入させる制御を行う制御部と、を備え
前記進入支援部は、前記用紙の搬送方向の上流端部の全体及び下流端部の中心付近を含む基部と、前記基部に対して下流側の揺動量が上流側の揺動量よりも多く揺動する揺動部とを含み、
前記揺動部は、前記進入支援部の側端部から下流端部に形成される折れ線を支点として前記基部に対して揺動可能である
画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、副走査方向に湾曲した第一カール形状である前記用紙を前記定着部に進入させる前に、前記進入支援部の全体を略平行移動させる動作、主走査方向に平行な軸を支点として前記進入支援部を回動させる動作、又は、副走査方向に平行な軸を支点として前記進入支援部を回動させる動作のいずれか、又は、組み合わせた制御を行う
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
揺動部は、前記進入支援部の基部に対して傾斜可能であり、
前記制御部は、副走査方向に交差する主走査方向に湾曲した第二カール形状である前記用紙を前記定着部に進入させる前に、前記進入支援部の主走査方向の両端に配置される前記揺動部の少なくともいずれか一方を傾ける制御を行う
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記用紙の主走査方向の端部の前記カール量に合わせて、前記揺動部毎に前記揺動部を揺動する制御を行う
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記検知部は、前記定着部により前記第一面に前記画像が定着された前記用紙が、前記第二面に前記画像を定着するために、前記定着部へ進入するまでの経路に配置され、前記用紙の主走査方向の端部を検知する
請求項1~4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記検知結果に基づいて、搬送中の前記用紙の前記カール量を算出し、前記検知部の検知範囲を通過する前記用紙のカール形状、及び、前記カール量の時系列変化に合わせて、前記用紙の搬送中に前記進入支援部を動かす制御を行う
請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
さらに、前記制御部は、前記検知結果に基づいて判断した前記用紙のスキューに応じて、前記進入支援部を副走査方向に並行な軸を支点として前記進入支援部を回動させる動作、又は、主走査方向の両端部の少なくともいずれか一方を傾ける制御を行う
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
用紙に形成された画像を前記用紙に定着する定着部と、
前記用紙の前記定着部への進入を支援する進入支援部と、
前記定着部により第一面に前記画像が定着された前記用紙を検知する検知部の検知結果に基づいて算出した前記用紙のカール量、及び前記用紙の搬送方向に基づいて前記用紙のカール形状を求め、前記用紙の前記カール量及び前記カール形状に応じて前記進入支援部の位置及び形状を変える制御を行い、第二面に画像が形成された前記用紙を前記定着部に進入させる制御を行う制御部と、を備え
前記進入支援部は、前記用紙の搬送方向の上流端部の全体及び下流端部の中心付近を含む基部と、前記基部に対して下流側の揺動量が上流側の揺動量よりも多く揺動する揺動部とを含み、
前記揺動部は、前記進入支援部の側端部から下流端部に形成される折れ線を支点として前記基部に対して揺動可能である
定着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、感光体表面に形成された静電潜像にトナーを付着させて現像し、現像されたトナー画像を用紙などの用紙(被転写材)に転写させた後、定着装置によってトナー画像を用紙に定着させる。
【0003】
一般的に使用される定着装置は、圧接した一対のローラの定着ニップ(ニップ部)に用紙を通過させて加熱及び加圧を行い、トナー画像を用紙に溶融定着する。そして、多くの定着装置では、用紙の画像形成面と接触するローラのみを加熱する構成が用いられている。
【0004】
多くの画像形成装置は、用紙の両面に画像形成を行うことが可能である。用紙の両面に画像を形成する際、用紙の第一面(表面)にトナー画像を定着させた後、用紙に反り(以下、「カール」と記す)が生じる場合がある。
カールは、定着装置が用紙にトナー画像を定着する際、用紙に加わる定着熱によって用紙の水分が吸い取られ、用紙が収縮するという現象により発生する。通常、印字率が低い画像が第一面に定着されると第二面側に用紙がカールし、印字率が高い画像が第一面に定着されると第一面側に用紙がカールする傾向がある。印字率の他に、用紙の種類、坪量、紙の目方向、定着条件及び環境等によっても用紙のカール形状及びカール量は変化する。
このため、第二面にトナー画像が形成された用紙を定着ニップへ進入させる際、用紙のカールが原因となって定着ニップに正しく用紙が進入せず、用紙にシワが発生したり、画像に滲みが発生する問題が生じていた。
【0005】
以下の説明では、用紙が定着ニップへ円滑に進入することを「進入性が向上する」と呼ぶ。また、用紙が定着ニップの圧接ラインから逸れ定着ニップへ正しく用紙が進入しないことを「進入性が低下する」と呼ぶ。
【0006】
特許文献1には、転写ニップと定着ニップの間に、転写材のカール量を測定するカール検知手段を有し、ガイドを回動支点で回動させて、ガイドの下流側の位置を定着ニップに対して変化させ、定着部材への用紙の衝突をなくす技術が開示されている。
【0007】
特許文献2には、転写ローラとニップ部の間に、カール量を検知する検知部を設け、用紙のカール量及びカール方向を検知し、ニップ部に用紙を案内するガイド部材の長手方向の両端部を揺動可能にして、用紙をニップ部へ円滑に進入させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2012-226140号公報
【文献】特開2012-255948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に開示された技術では、主走査方向の両端部でカール量が異なる用紙が定着ニップに進入する場合、いずれか一方の端部のカール量に合わせて、ガイドの可動量が変更される。しかし、一方の端部のカール量より、他方の端部のカール量が多ければ、ガイドが可動することにより一方の端部の進入性が向上したとしても、他方の端部の進入性は向上されず、定着ニップに進入しづらくなり、用紙全体の進入性が低下するという問題がある。
【0010】
また、特許文献2に開示された技術でも、用紙の副走査方向(搬送方向)にカールしている用紙が定着ニップに正しく進入できない場合がある。このため、特許文献2に開示された技術を用いても、同様に用紙の進入性が低下することがあった。
【0011】
本発明はこのような状況に鑑みて成されたものであり、定着ニップへの用紙の進入性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る画像形成装置は、用紙に画像を形成する画像形成部と、画像形成部により形成された画像を用紙に定着する定着部と、用紙の定着部への進入を支援する進入支援部と、第一面に画像が形成された用紙のカール量を検知する検知部と、検知されたカール量及び用紙の搬送方向に基づいて用紙のカール形状を求め、用紙のカール量及びカール形状に応じて進入支援部の位置及び形態を制御し、第二面に画像が形成された用紙を定着部に進入させる制御を行う制御部とを備え、進入支援部は、用紙の搬送方向の上流端部の全体及び下流端部の中心付近を含む基部と、基部に対して下流側の揺動量が上流側の揺動量よりも多く揺動する揺動部とを含み、揺動部は、進入支援部の側端部から下流端部に形成される折れ線を支点として基部に対して揺動可能である
【発明の効果】
【0013】
本発明の画像形成装置では、例えば、用紙の多様なカールに対応可能な進入支援部を動作させることにより、定着部への用紙の進入性を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施の形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
図2】本発明の一実施の形態に係る定着進入ガイドの配置例を示す拡大図である。
図3】本発明の一実施の形態例に係る画像形成装置の主要部の構成例を示すハードウェア構成図である。
図4】本発明の一実施の形態に係る用紙のカール形状の例を示す説明図である。
図5】本発明の一実施の形態に係る定着進入ガイドの構成例、及び定着進入ガイドの設置位置の周辺の構成例を示す概略図である。
図6】本発明の一実施の形態に係る検知部による出力時の例を示す説明図である。
図7】本発明の一実施の形態に係る定着進入ガイドの動作により変化した用紙の形状の例を示す説明図である。
図8】本発明の一実施の形態に係る支持部の構成例及び動作例を示す構成図である。
図9】本発明の一実施の形態に係るCDカールの種類と定着進入ガイドの動作例を示す説明図である。
図10】本発明の一実施の形態に係るFDカールの種類と定着進入ガイドの動作例を示す説明図である。
図11】本発明の一実施の形態に係る定着進入ガイドの動作によりスキューした用紙の変化を示す説明図である。
図12】本発明の一実施の形態に係る検知部が定着進入ガイドの上流位置に設置された場合の画像形成装置の制御例を示すフローチャートである。
図13】本発明の一実施の形態に係るカール判定処理例を示すフローチャートである。
図14】本発明の一実施の形態に係る定着進入ガイドの変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態例について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0016】
[1.一実施の形態例]
<画像形成装置のハードウェア構成例>
図1は、画像形成装置4を示す概略構成図である。このブロック図では、本発明の説明に必要と考える要素又はその関連要素のみを記載しており、画像形成装置はこの例に限られない。
【0017】
画像形成装置4は、例えば複写機などの電子写真方式の画像形成装置が一例として挙げられる。図1に示す画像形成装置4は、いわゆるタンデム型カラー画像形成装置とも言われ、複数の感光体を一本の中間転写ベルトに対面させて縦方向に配列することによりフルカラーの画像を形成することが可能である。
【0018】
画像形成装置4は、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60及び自動原稿給送装置20(ADF: Auto Document Feeder)を備える。
画像形成部40は、用紙Pに画像を形成する画像形成手段であり、イエロー(Y)の画像を形成する画像形成部40Y、マゼンタ(M)の画像を形成する画像形成部40M、シアン(C)の画像を形成する画像形成部40C及びブラック(K)の画像を形成する画像形成部40Kを備える。
【0019】
画像形成部40Yは、感光体ドラムY及びその周辺に配置された帯電部42Y、レーザダイオード41Yを有した光書込部43Y、現像装置44Y及びドラムクリーナ45Yを備える。同様に、画像形成部40M、41C、41Kは、感光体ドラムM、C、K及びその周辺に配置された帯電部42M、42C、42K、レーザダイオード41M、41C、41Kを有した光書込部43M、43C、43K、現像装置44M、44C、44K及びドラムクリーナ45M、45C、45Kを備える。
【0020】
感光体ドラムYは、帯電部42Yにより表面が一様に帯電させられており、光書込部43Yのレーザダイオード41Yからの走査露光により、感光体ドラムYには潜像が形成される。さらに、現像装置44Yは、トナーで現像することによって感光体ドラムY上の潜像を顕像化する。これにより、感光体ドラムY上には、イエローに対応する所定色の画像(トナー画像)が形成される。
【0021】
同様に、感光体ドラムMは、帯電部42Mにより表面が一様に帯電させられており、光書込部43Mのレーザダイオード41Mからの走査露光により、感光体ドラムMには潜像が形成される。さらに、現像装置44Mは、トナーで現像することによって感光体ドラムM上の潜像を顕像化する。これにより、感光体ドラムM上には、マゼンタに対応する所定色のトナー画像が形成される。
【0022】
感光体ドラムCは、帯電部42Cにより表面が一様に帯電させられており、光書込部43Cのレーザダイオード41Cからの走査露光により、感光体ドラムCには潜像が形成される。さらに、現像装置44Cは、トナーで現像することによって感光体ドラムC上の潜像を顕像化する。これにより、感光体ドラムC上には、シアンに対応する所定色のトナー画像が形成される。
【0023】
感光体ドラムKは、帯電部42Kにより表面が一様に帯電させられており、光書込部43Kのレーザダイオード41Kからの走査露光により、感光体ドラムKには潜像が形成される。さらに、現像装置44Kは、トナーで現像することによって感光体ドラムK上の潜像を顕像化する。これにより、感光体ドラムK上には、ブラックに対応する所定色のトナー画像が形成される。
【0024】
感光体ドラムY、M、C、K上に形成されたトナー画像は、1次転写ローラ47Y、47M、47C、47Kにより、ベルト状の中間転写体である中間転写ベルト46上の所定位置へと逐次転写される。中間転写ベルト46上に転写された各色よりなるトナー画像は、用紙搬送部50により所定のタイミングで搬送される用紙Pに対して、2次転写部48で転写される。
【0025】
用紙搬送部50は、用紙Pが収納される複数の給紙トレイ51と、給紙トレイ51に収納された用紙Pを繰り出して給紙する給紙部51aを備える。また、用紙搬送部50は、給紙トレイ51から繰り出された用紙Pが搬送される主搬送路53、用紙Pの表裏を反転させる反転搬送路54、及び用紙Pが排紙される排紙トレイ55を備える。
【0026】
用紙搬送部50は、定着部60の下流側で主搬送路53から分岐する反転搬送路54と、主搬送路53との分岐箇所に切換ゲート53aを備える。画像形成装置4では、主搬送路53を搬送され、2次転写部48及び定着部60を通過した用紙Pは、上側を向いた面(第一面)に画像が形成される。 用紙Pの両面に画像を形成する場合、上側を向いた面に画像が形成された用紙Pが主搬送路53から反転搬送路54に搬送される。そして、反転搬送路54に設けられた用紙反転搬送路56にて用紙Pが反転されることで、用紙Pの画像形成面(第一面)が下側を向く。その後、用紙Pが主搬送路53へ搬送される。これにより、用紙Pが表裏反転され、上側を向いた他の面(第二面)に画像を形成することが可能となる。
【0027】
定着部60は、画像形成部40により形成された画像を用紙Pに定着する。このため、定着部60は、圧接した一対の上加圧ローラ61と下加圧ローラ62により、用紙Pを搬送すると共に、画像が転写された用紙Pに対して、画像を定着させる定着処理を行う。加熱ローラ64の内部には、ヒータHが設けられている。ヒータHは、加熱ローラ64を加熱することで、定着ベルト68と、下加圧ローラ62との定着ニップNを通過する用紙Pに熱が伝わるように定着ベルト68を加熱する。加熱された定着ベルト68は、回転することにより上加圧ローラ61に熱を伝えると共に、定着ニップNを通過中の用紙Pに熱を伝える。用紙Pが加熱されることで、用紙P上のトナー画像が融解する。その結果、トナー画像は、用紙Pに定着する。
【0028】
自動原稿給送装置20は、走査露光装置の光学系により原稿の画像を走査露光し、その反射光をラインイメージセンサにより読み取って画像信号を得る。
【0029】
<定着部の主要構成例>
図2は、定着進入ガイド66の配置例を示す拡大図である。
【0030】
上述したように、中間転写ベルト46の下流に配置される定着部60は、上加圧ローラ61、下加圧ローラ62、ヒータHが設けられた加熱ローラ64を備え、定着ベルト68を介して定着ニップNを通過する用紙Pに熱を伝える。上加圧ローラ61と加熱ローラ64は、加熱ローラ64により加熱された定着ベルト68を介して連結され、時計回り(右回転)に駆動されている。一方、下加圧ローラ62は、反時計回り(左回転)に駆動されている。
【0031】
上加圧ローラ61と下加圧ローラ62の上流側には、定着進入ガイド66が設けられる。定着進入ガイド66は、用紙Pの下流端部の定着ニップNへの進入を支援するための進入支援部の一例として設けられる。用紙Pは、定着進入ガイド66の上面に沿って搬送され、用紙Pの下流端部が定着ニップNに進入する。定着進入ガイド66は、後述するように用紙Pの多様なカールに応じて移動し、又は変形することで、用紙Pの定着ニップNへの進入性を向上させることができる。定着進入ガイド66の具体的な構成例及び動作例は後述する。
【0032】
なお、図1及び図2には、定着部60に定着進入ガイド66が含まれる構成例を図示したが、定着部60とは別体として定着進入ガイド66を構成してもよい。
【0033】
<画像形成装置の主要部の構成>
図3は、画像形成装置4の主要部の構成例を示すハードウェア構成図である。
【0034】
画像形成装置4は、上述した自動原稿給送装置20、画像形成部40の他に、制御部11、記憶部12、通信I/F(Interface)13を備える。画像形成装置4内の各部は、バスを介して接続されている。
【0035】
制御部11は、CPU11a、ROM11b、RAM11cによって構成される。制御部11は、画像形成装置4内の各部の動作を制御するコンピューターである。CPU11aは、例えば、ユーザーの印刷指示に基づいて画像形成部40の画像形成処理(印刷動作)を制御したり、定着進入ガイド66の位置及び形状を変える制御を行ったりする。
ROM11bは、不揮発性メモリであり、ROM11bには、CPU11aが動作するために必要なプログラムやデータ等を記憶されている。
RAM11cは、揮発性メモリであり、RAM11cには、CPU11aが行う各処理に必要な情報(データ)が一時的に記憶される。
【0036】
記憶部12は、例えばHDDで構成され、記憶部12には、CPU11aが各部を制御するためのプログラム、OS、コントローラー等のプログラム、データが記憶される。記憶部12に記憶されるプログラム、データの一部は、ROM11bにも記憶されている。記憶部12は、CPU11aによって実行されるプログラムを格納したコンピューター読取可能な非一過性の記録媒体である。なお、記憶部12は、HDDに限定されない。例えば、SSD(Solid State Drive)、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
通信I/F13は、NIC(Network Interface Card)やモデム等で構成され、不図示のPC端末、コントローラーとの間で接続を確立し、各種データの送受信を実行する。
【0037】
<カールした用紙の形状例>
図4は、用紙Pのカール形状の例を示す説明図である。図4において、用紙Pに付加した矢印は、用紙Pの搬送方向を表す。
【0038】
用紙Pのカール形状として、図4の左列に示す主走査方向(用紙Pの搬送方向と交差する方向)に用紙Pが湾曲した第1カール形状、図4の右列に示す副走査方向(用紙Pの搬送方向と平行な方向)に用紙Pが湾曲した第2カール形状がある。以下の説明では、第1カール形状を「CD(Cross Direction)カール」と呼び、第2カール形状を「FD(Feed Direction)カール」と呼ぶ。
【0039】
また、図4の上段に示すように用紙Pの主走査方向のカール量が同じ場合、及び用紙Pの副走査方向のカール量が同じ場合を「左右対称」と呼ぶ。
また、図4の下段に示すように用紙Pの主走査方向のカール量が異なる場合、及び用紙Pの副走査方向のカール量が異なる場合を「左右非対称」と呼ぶ。ここで、用紙Pの同一箇所にCDカールとFDカールが同時に発生することはないものとする。
【0040】
<定着進入ガイド周辺の構成例>
図5は、定着進入ガイド66の構成例、及び定着進入ガイド66の設置位置の例を示す概略図である。以下の説明において、図1に示した定着ベルト68は図示を省略する。そして、以下の説明で、用紙Pに形成されたトナー画像が定着される面を「上側」と呼び、その裏面を「下側」と呼ぶ。
【0041】
図5Aは、図2のA1方向に定着進入ガイド66と下加圧ローラ62を上面視した例を示す。
また、図5Bは、図2のA2方向に定着進入ガイド66と下加圧ローラ62を正面視した例を示す。
定着進入ガイド66は、細長い板状の基部140と、定着進入ガイド66の主走査方向に設けられた揺動可能な揺動部142a、142b(端部の一例)とを有する。基部140の主走査方向両端には、2つの揺動支持部141a,141bが設けられている。基部140の左側に設けられた揺動支持部141aは、揺動部142aを揺動可能に軸支する。同様に、基部140の右側に設けられた揺動支持部141bは、揺動部142bを揺動可能に軸支する。このため、揺動部142a、142bは、それぞれ基部140の動作とは独立して揺動し、基部140に対して傾斜可能である。このため、揺動部142a、142bは、揺動部142a、142bの面方向が基部140の面方向と同一である通常位置と、基部140の面方向とは異なる揺動位置とのいずれかに揺動される。そして、制御部11は、用紙Pの主走査方向の端部のカール量に合わせて、揺動部142a、142b毎に揺動部142a、142bを揺動する制御を行う。
【0042】
図5Cは、用紙Pのカール量を検知する検知器67a、67b(検知部の一例)の配置例と、定着進入ガイド66へ用紙Pが進入する前の状態を示す図である。検知器67a、67bは、定着部60により第一面に画像が定着された用紙Pを検知可能である。そして、検知器67a、67bは、それぞれの設置箇所から用紙Pの上面までの距離を検知する。以下に説明するように、検知器67a、67bがそれぞれ検知した用紙Pの上面までの距離が検知結果となる。また、定着進入ガイド66への搬送方向に対して、検知器67aが検知する箇所が「左側」になり、検知器67bが検知する箇所が「右側」になる。なお、検知器67a、67bを区別しない場合には、総称して「検知器67」と呼ぶ。
【0043】
検知器67は、定着部60により第一面に画像が定着された用紙Pが、第二面に画像を定着するために、定着部60へ進入するまでの経路に配置され、用紙Pの主走査方向の端部を検知する。検知器67は、図2に示した2次転写部48と定着部60との間に設置される場合や用紙反転搬送路56に設置される場合がある。
【0044】
制御部11は、検知器67の検知結果に基づいて算出した用紙Pのカール量、及び用紙Pの搬送方向に基づいて用紙Pのカール形状を求める。そして、制御部11は、用紙Pのカール量及びカール形状に応じて定着進入ガイド66の位置及び形状を変え、第二面に画像が形成された用紙Pを定着部60に進入させる制御を行う。また、制御部11は、検知結果に基づいて、搬送中の用紙Pのカール量を算出し、検知器67の検知範囲を通過する用紙Pのカール量及びカール形状の時系列変化に合わせて、用紙Pの搬送中に定着進入ガイド66を動かす制御を行うこともできる。
【0045】
なお、検知器67の構成に関しては、検知器67a、67bのような非接触で用紙Pまでの距離を検知可能な光学式の検知器に限らず、用紙Pに接触することで用紙Pまでの距離を検知可能な接触式の検知器を用いてもよい。
【0046】
ここで、定着進入ガイド66の下面に設けられ、定着進入ガイド66を支持する支持部15a、15b、15c、15d、15eと、定着進入ガイド66との位置関係の例を説明する。図5Cに示すように、支持部15aは、揺動部142aの中心付近に設置される。支持部15bは、揺動部142bの中心付近に設置される。支持部15cは、搬送方向から見て支持部15dの左側に位置し、搬送方向から見て基部140の上流側に配置される。支持部15dは、基部140の主走査方向の真ん中付近に設置され、搬送方向から見て下流側に配置される。支持部15eは搬送方向から見て支持部15dの右側に位置し、搬送方向から見て基部140の上流側に配置される。そして、制御部11の制御により、支持部15a~15eがそれぞれ独立して動くことで、定着進入ガイド66の多様な動作が実現される。支持部15a~15eに関する詳細な構成例及び動作例の説明は、図8で後述する。
【0047】
<用紙のカール形状の検知例>
図6は、検知器67が用紙Pまでの距離を検知する例、及びカール量の時間推移の例を示す説明図である。
図6Aは、図5Cの検知器67aと、用紙Pの左側を側面視した例である。
【0048】
図5Cに示すように、検知器67aは、検知器67aの設置位置から用紙Pの左側端部までの距離を検知する。そして、制御部11は、検知器67aの検知結果により算出した、用紙Pの下流端部から一定距離(例えば、下流端部から10cm)までのカール量の時系列変化に基づいて、用紙Pのカール形状を求める。
【0049】
図6B及び図6Cは、用紙Pの下流端部から一定距離までの検知器67aの検知結果に基づいて表される用紙Pのカール量の時間推移を示すグラフである。
制御部11により行われるカール量の算出方法は、以下の手順で行われる。制御部11は、例えば、始めに図5Aの破線で表す搬送路面までの距離Lを基準値として求める。次に、制御部11は、検知器67aの検知結果に基づいて、搬送される用紙P毎に検知器67aから用紙Pまでの距離Mを求める。そして、制御部11は、基準となる距離Lから、用紙Pまでの距離Mを差し引いた値を用紙Pのカール量として求める。
【0050】
例えば、図6B及び図6Cに示すように、カール量が正であれば、用紙Pの端部が上側にカールしていることが示される。一方、図示しないもののカール量が負であれば、用紙Pの端部が下側にカールしていることが示される。
そして、図6Bからは、用紙Pの下流端部でカール量が大きくなり、すぐにカール量が下がる傾向が示される。このことから、制御部11は、用紙Pのカール形状が、左側の下流端部だけが上側にカールしていると判断する。同様に、制御部11は、用紙Pの上流端部についても用紙Pのカール形状を判断することができる。
【0051】
また、図6Cからは、用紙Pの下流端部で大きくなった検知結果が一定の状態で続く傾向が示される。このことから、制御部11は、用紙Pの左側の下流端部から一定距離まで上側にカールが続いていることが読み取れる。同様に、制御部11は、用紙Pの上流端部についてもカールが続いていると判断することができる。
【0052】
検知器67bについても、検知器67aと同様に、検知器67bの設置位置から用紙Pの右側端部までの距離を検知する。
制御部11は、検知器67a、67bの検知結果に基づいて算出した左右両側のカール量が一定距離続くようであれば用紙Pのカール形状がCDカールであると判断する。一方、制御部11は、検知器67a、67bの検知結果に基づいて算出した左右両側に発生したカール量がすぐに減少するようであれば用紙Pのカール形状がFDカールであると判断する。また、制御部11は、用紙Pの左右両端におけるカール量に基づいて、CDカール及びFDカールが左右対称であるか、又は、左右非対称であるかを判断することもできる。
【0053】
さらに、図5Cでは、用紙Pの左右両側の2箇所に検知器67a、67bが設けられているが、用紙Pの中央付近に別の検知器を設け、用紙Pの左右両側と中央部付近の三箇所を検知してもよい。例えば、用紙Pの下流端部における三箇所までの距離を検知した検知器67の検知結果に基づいて、制御部11は、用紙Pの中央部がカールしておらず、用紙Pの左右両端がカールしていると判断すると、用紙Pの下流端部のカール形状がCDカールであると分かる。また、制御部11は、用紙Pの左右両端及び中央部付近の3箇所が共に同程度にカールしていると判断すると、用紙Pの下流端部のカール形状がFDカールであると分かる。
【0054】
ここで、定着進入ガイド66全体の移動量、及び揺動部142a、142bの移動量は、用紙Pのカール量及びカール形状によって異なる。具体的には、制御部11は、検知器67の検知結果に基づいて求めた用紙Pのカール量及びカール形状に基づいて後述する図8に示す接触式の支持部15a~15eを個別に制御して、定着進入ガイド66及び揺動部142a、142bを可動させる。
【0055】
カールは経時変化をするため、制御部11がより正確なカール量及びカール形状を算出するためには、用紙Pの一面目に画像を定着させた直後よりは、用紙Pの二面目を定着ニップNに進入させるタイミングに近い位置で検知器67a、67bがカール量を検知することが望ましい。例えば、転写ニップから定着ニップN間で検知することが望ましい。このため、図2に示したように検知器67a、67bは、転写ニップから定着ニップN間に設けられることが多い。
【0056】
ただし、制御部11は、用紙Pの搬送を一時的に停止させ、この状態で検知器67が検知した用紙Pの検知結果に基づいてカール量を算出してもよい。例えば、両面印刷時に使用する用紙反転搬送路56に検知器67を設けておき、用紙反転搬送路56にて用紙Pを一時停止させた状態で、検知器67により用紙Pまでの距離を検知してもよい。また、主搬送路53上にあるレジスト位置57に検知器67を設け、レジスト位置57にて用紙Pを一時停止させた状態で、検知器67により用紙Pまでの距離を検知してもよい。
【0057】
また、検知器67を1個の検知器で構成し、用紙Pの同一面が二度通過する用紙反転搬送路56にこの検知器を設けるようにしてもよい。この場合、用紙反転搬送路56にて1回目に通過した用紙Pを1個の検知器が検知する箇所と、2回目に通過した用紙Pを1個の検知器が検知する箇所とが異なってもかまわない。このため、例えば、1個の検知器が、用紙Pの主走査方向にセンシングビームを走査することで、検知器の設置位置から用紙Pまでの距離を求めるようにする。これにより、制御部11は、第一面の定着後、用紙Pが用紙反転搬送路56を通過する時(1回目)に、用紙Pの左側端部のカール量を算出し、次に用紙反転搬送路56を通過する時(2回目)には、用紙Pの右側端部のカール量を算出することが可能となる。
【0058】
<定着進入ガイドの駆動による用紙の変化例>
図7は、定着進入ガイド66の動作により変化した用紙Pの形状の例を示す説明図である。図7では、上加圧ローラ61の図示を省略している。
図7Aには、定着進入ガイド66が備える揺動部142a、142bの面方向が基部140の面方向と同一である通常位置の例が示される。定着進入ガイド66の上にある用紙Pの主走査方向の両端部Peは上側にカールしており、揺動部142a、142bに接していない。なお、用紙Pの中央部Pcはカールしておらず、基部140に接している。
【0059】
図7Bには、揺動部142a、142bを通常位置よりも下に傾けた例が示される。揺動部142a、142bを下に傾けると、揺動部142a、142bに追従して両端部Peが下がり、両端部Peの高さが中央部Pcと同じ程度の高さになる。これにより、用紙Pの下流端部が定着進入ガイド66を通過した後、用紙Pの両端部Peと中央部Pcとは定着ニップNにほぼ同時に進入するため、用紙Pの進入性が向上し、用紙Pにおけるシワや滲みの発生を防止することができる。
図7A図7Bには、左右対称にカールした用紙Pが定着進入ガイド66を通過する際に、両端部Peの同じカール量に合わせて揺動部142a、142bの揺動量を等しくする例を示した。ここで、左右非対称にカールした用紙Pが定着進入ガイド66を通過する際には、両端部Peの異なるカール量に合わせて揺動部142a、142bの左右の揺動量を異ならせてもよい。この場合であっても、左右非対称にカールした用紙Pの進入性を向上することができる。
【0060】
<揺動部の可動例>
図8は、支持部15a~15eの構成例及び動作例を示す説明図である。図8に示す支持部15a~15eは制御部11の制御により、それぞれ独立して駆動されるものであり、支持部15a~15eの位置関係は図5Cに示した通りである。
【0061】
図8Aには、支持部15aが、揺動部142aを下に傾けた状態が示される。また、図8Aには、支持部15c、15d、15eが、基部140を通常位置とした状態が示され、支持部15bが、揺動部142bを下に傾けた状態が示される。
【0062】
支持部15a~15eは同じ構造であるので、以下、支持部15dについて内部構造を説明する。支持部15dは、当接ピン151と、当接ピン151を軸方向に移動自在に保持するホルダー152と、モーターMとを備える。モーターMの駆動軸153の先端部には雄ネジ部材154が取り付けられ、当接ピン151に形成された穴155の内周面に螺刻された雌ねじに雄ネジ部材154が螺合している。そして、モーターMの駆動によって駆動軸153と共に雄ネジ部材154が回動し、当接ピン151を軸方向に移動させる。
【0063】
基部140の移動量は、連続的であってもよいし、非連続的(間欠移動)であってもよい。また、基部140の上流側には、引っ張りバネ159c、159eによる斜め下向きの弾性力が加わる。しかし、基部140の下面に接する支持部15c、15eの当接ピン151の押上力が、基部140に加わる弾性力とつり合うことで、基部140の上流側の位置が固定される。このため、支持部15c、15eに設けられた当接ピン151の上下方向の移動により、基部140の上流側が移動する。
【0064】
同様に、基部140の下流側にも、引っ張りバネ159dによる斜め下向きの弾性力が加わる。しかし、基部140の下面に接する支持部15dの当接ピン151の押上力が、基部140に加わる弾性力とつり合うことで、基部140の下流側の位置が固定される。このため、支持部15dに設けられた当接ピン151の上下方向の移動により、基部140の下流側が移動する。
【0065】
揺動部142a、142bの移動量についても、連続的であってもよいし、非連続的(間欠移動)であってもよい。揺動部142a、142bには、引っ張りバネ159a、159bによる斜め下向きの弾性力が加わる。しかし、揺動部142a、142bの下面に接する支持部15a、15bにそれぞれ設けられた当接ピン151の押上力が、揺動部142a,142bに加わる弾性力とつり合うことで、揺動部142a、142bの位置が固定される。このため、当接ピン151の上下方向の移動により、揺動部142a、142bが揺動する。
なお、揺動部142a、142bを傾けさせる手段としては上記構成の他、ソレノイドなど従来公知の支持部を用いることができる。
【0066】
図8Bには、支持部15aが、揺動部142aを上に傾けた状態が示される。また、図8Bには、支持部15c、15d、15eが、基部140を通常位置とした状態が示され、支持部15bが、揺動部142bを通常位置とした状態が示されている。
【0067】
図8Cには、支持部15aが、揺動部142aを上に傾けた状態が示される。また、図8Cには、支持部15c、15d、15eが、揺動部142aの傾きに合わせて基部140を傾けた状態が示され、支持部15bが、揺動部142bを下に傾けた状態が示されている。この結果、定着進入ガイド66は全体として、右側に傾いた状態となる。
【0068】
また、支持部15c、15d、15eを同じ方向に同じ量だけ移動させれば、基部140は支持部15c、15d、15eの移動量に応じて定着進入ガイド66全体が上下に平行に動く。また、支持部15c、15eを固定したまま、支持部15dを移動させると、定着進入ガイド66の上流端部を軸として、下流端部が回動する。
【0069】
<定着進入ガイドの可動種類例>
次に、第一面のトナー画像の定着後に用紙Pに発生したカール量に応じて、第二面を定着ニップNに進入させる場合における定着進入ガイド66の動かし方の例を説明する。
図9は、CDカールの種類と定着進入ガイド66の動作例を示す説明図である。図9の左列には、上加圧ローラ61、下加圧ローラ62、及び定着進入ガイド66を斜視した例が示され、図9の右列には、上加圧ローラ61、下加圧ローラ62、及び定着進入ガイド66を搬送方向から視認した例が示される。
【0070】
制御部11は、CDカールした用紙Pを定着部60に進入させる前に、定着進入ガイド66の主走査方向の両端部の少なくともいずれか一方をカール量に合わせて傾ける制御を行う。
図9の上段には、CDカールがない通常の用紙Pが搬送される場合の定着進入ガイド66の動作例が示される。この場合、定着進入ガイド66の下流端部の面方向は、上加圧ローラ61及び下加圧ローラ62の定着ニップNの形成面の面方向と平行である。また、定着進入ガイド66の基部140、揺動部142a、142bは通常位置である。
【0071】
図9の中段には、左右対称のCDカールが発生した用紙Pが搬送される場合の定着進入ガイド66の動作例が示される。この場合、用紙Pの左側及び右側のカール量が同じであり、用紙Pの左右両端が上側にカールするため、基部140に対して、揺動部142a、142bを同じ角度で下に傾ける必要がある。これにより、用紙Pの左右の下流端部の高さを定着ニップNの形成面の高さに合わせることができる。
【0072】
図9の下段には、左右非対称のCDカールが発生した用紙Pが搬送される場合の定着進入ガイド66の動作例が示される。この場合、用紙Pの左側のカール量が、右側のカール量よりも大きい。このため、カール量が大きい用紙Pの左側に対応する揺動部142aの傾きを、右側に対応する揺動部142bの傾きよりも大きくする。これにより、用紙Pの左側の下流端部の高さを定着ニップNの形成面の高さに合わせることができる。
【0073】
なお、用紙Pの右側のカール量が、左側のカール量より大きければ、揺動部142bの傾きを、揺動部142aの傾きよりも大きくすることで用紙Pの下流端部の高さを定着ニップNの形成面の高さに合わせることができる。
このように左右のカール量が異なる左右非対称のCDカールの場合、カールが大きい方の揺動部142a、142bのいずれか一方をより多く下に傾ける。
【0074】
また、用紙Pの下流側の左右両端が下側にカールしていれば、基部140に対して、揺動部142a、142bを上に傾ける。このとき、用紙Pの下流側が下側にカールした左右対称のCDカールであれば、揺動部142a、142bを同じ角度で上に傾ける。また、用紙Pの下流側が下側にカールした左右非対称のCDカールであれば、カールが大きい方の揺動部142a、142bのいずれか一方をより多く上に傾ける。
【0075】
図10は、FDカールの種類と定着進入ガイド66の動作例を示す説明図である。図10の左列には、上加圧ローラ61、下加圧ローラ62、及び定着進入ガイド66を斜視した例が示され、図10の右列には、上加圧ローラ61、下加圧ローラ62、及び定着進入ガイド66を搬送方向から視認した例が示される。
【0076】
制御部11は、FDカールした用紙Pを定着部60に進入させる前に、定着進入ガイド66の全体を略平行移動させる動作、定着進入ガイド66を主走査方向に平行な軸を支点として定着進入ガイド66を回動させる動作、又は、定着進入ガイド66を副走査方向に平行な軸を支点として定着進入ガイド66を回動させる動作のいずれか、又は、組み合わせた制御を行う。
【0077】
図10の上段には、FDカールがない通常の用紙Pが搬送される場合の定着進入ガイド66の動作例が示される。この例は、図9の上段に示したように、定着進入ガイド66の基部140、揺動部142a、142bは通常位置である。
図10の中段には、左右対称のFDカールが発生した用紙Pが搬送される場合の定着進入ガイド66の2種類の動作例が示される。この場合、用紙Pの左側及び右側のカール量が同じであり、用紙Pの上流端部及び下流端部がカールするため、定着進入ガイド66の全体を傾ける必要がある。
【0078】
このため、図10の中段(1)に示すように、左右のカール量がほぼ同じ左右対称のFDカールの場合、定着進入ガイド66全体が用紙Pのカール量に合わせて下側に平行移動される。
また、図10の中段(2)に示すように、定着進入ガイド66の下流端部が、上流端部を軸として下側に回動される場合もある。
【0079】
図10の下段には、左右非対称のFDカールが発生した用紙Pが搬送される場合の定着進入ガイド66の動作例が示される。この場合、用紙Pの左側のカール量が、右側のカール量よりも大きい。このため、定着進入ガイド66全体をカール量が大きい側(例えば、左側)に傾かせる。これにより、用紙Pが定着進入ガイド66の傾きに追従して搬送され、用紙Pの下流端部の高さを定着ニップNの形成面の高さに合わせることができる。
【0080】
このように左右のカール量が異なる左右非対称のFDカールの場合、定着進入ガイド66全体を搬送方向に対して左右いずれかに傾かせる。また、必要に応じて、定着進入ガイド66全体を左右いずれかに傾かせた状態のまま、定着進入ガイド66の下流端部を、上下に平行移動させてもよい。また、定着進入ガイド66全体を左右いずれかに傾かせた状態のまま、用紙Pのカール量に合わせて、揺動部142a、142b毎に揺動部142a、142bを揺動する動作を組み合わせてもよい。
【0081】
また、一枚の用紙PにCDカールとFDカールが混在している場合、制御部11は定着進入ガイド66に対して、CDカール時の動作と、FDカール時の動作の両方を行わせる。例えば、用紙Pの左側端部にCDカールが存在し、用紙Pの右側端部にFDカールが存在する場合がある。この場合、制御部11は、支持部15a~15eを制御することで、始めに、用紙Pの左側端部にCDカールがある際の動作を定着進入ガイド66に行わせる。その後、制御部11は、用紙Pの右側端部にFDカールがある際の動作を定着進入ガイド66に行わせる。
【0082】
このように制御部11は、定着進入ガイド66が用紙のカールを打ち消す方向に動くように支持部15a~15eの動作を制御する。例えば、用紙Pの定着ニップNへの進入時に、用紙Pが上側にカールしている場合、制御部11は、用紙Pのカールとは逆に下側に定着進入ガイド66を動かすことで、カールを打ち消すことができる。このため、第一面の画像側に用紙Pがカールしていれば、制御部11は、逆に第二面目の画像側に定着進入ガイド66を動かすことで、カールを打ち消すことができる。
【0083】
図9及び図10では、制御部11が定着進入ガイド66を下げる動作のみを記載してあるが、図4に示したように、用紙Pの左右端部が下向きにCDカールしていたり、用紙Pの上流端部及び下流端部が下向きにFDカールしていたりすれば、カール量に応じて定着進入ガイド66を上げる動作をしてもよい。
また、左右非対称のカールにおいては、制御部11は、定着進入ガイド66、揺動部142a、142bの片方を下げ、他方を上げる動作をしてもよい。
【0084】
<スキューした用紙の補正例>
図11は、定着進入ガイド66の動作によりスキューした用紙Pの変化を示す説明図である。図11の左列には用紙Pの搬送方向から上加圧ローラ61、下加圧ローラ62、及び定着進入ガイド66を視認した例が示され、図11の右列には、図11(1)の左列に示したB方向から上加圧ローラ61、下加圧ローラ62、及び定着進入ガイド66を視認した例が示される。
定着進入ガイド66が多様な動きをすることで、用紙Pのカールによる定着ニップNへの進入性の課題だけでなく、用紙Pがスキューしたことによる定着ニップNへの進入性の課題も同時に解決することができる。
【0085】
用紙Pのスキューは、定着ニップNへ用紙Pが搬入方向に対して斜めに曲がって搬送されてくる状態のことをいう。
図11(1)に示すように、例えば、用紙Pの左側が右側よりも先行して搬送されると、用紙Pの左側が右側よりも先に定着ニップNに進入する。この時、用紙Pの主走査方向の両端部で定着ニップNへの進入タイミングがずれて進入性が低下する。このため、用紙Pにシワが発生し、画像に滲みが発生してしまう。
【0086】
ここで、制御部11は、検知器67は、用紙Pの搬送方向に対して左側と右側のカール量を検知する時に、用紙Pの左側と右側の検知結果を得るタイミングにより、用紙Pのスキューが発生しているか否かを判断する。つまり、カール量は図6に示す検知値の大きさによって求められ、スキューは検知の開始タイミングにより求められる。そして、制御部11は、検知結果に基づいて判断した用紙Pのスキューに応じて、定着進入ガイド66を副走査方向に並行な軸を支点として定着進入ガイド66を回動させる動作、又は、主走査方向の両端部の少なくともいずれか一方を傾ける制御を行う。
【0087】
例えば、スキューした用紙Pが搬送された場合、用紙Pの主走査方向の両端部が検知されるタイミングが異なる。例えば、用紙Pの左側と右側の検知結果を同時に得た場合、制御部11は、用紙Pのスキューが発生していないと判断する。一方、用紙Pの左側と右側の検知結果を異なるタイミングで得た場合、制御部11は、用紙Pのスキューが発生していると判断する。このように、制御部11は、検知器67の検知結果に基づいて、用紙Pの高さ方向の変形(カール)と、用紙Pの斜行(スキュー)の両方を同時に測定することが可能である。
【0088】
制御部11は、検知器67が検知した検知タイミングに基づいて用紙Pにスキューが発生したと判断した場合、定着進入ガイド66を適切に動かすことにより、用紙Pに発生したスキューを補正する。
この補正に際して、制御部11は、先行して搬送された側の用紙端部の定着ニップNまでの道のりを増やすように、定着進入ガイド66を動かす制御を行う。なお、制御部11は、用紙Pが遅れて搬送された他方の用紙端部の定着ニップNまでの道のりを減らすように定着進入ガイド66を動かす制御を行ってもよい。
【0089】
例えば、図11(2)に示すように、用紙端部が先行して搬送されている側の定着進入ガイド66を下げることで、先行している用紙端部は、左側が下がった定着進入ガイド66に沿って搬送路面よりも下に潜り込む形となる。このため、定着進入ガイド66の上流端部から定着ニップNまでの道のりを増やすことができる。そして、用紙端部の搬送速度は一定である。また、定着進入ガイド66の右側は元の位置にあるため、遅れて搬送された他方の用紙端部が搬送される定着進入ガイド66の上流端部から定着ニップNまでの道のりは、先行している用紙端部が搬送される道のりよりも短い。
このため、図11(3)に示すように、先行している用紙端部が搬送される間に、遅れて搬送された他方の用紙端部が追いつく。
【0090】
この結果、図11(4)に示すように、先行して搬送された側の用紙端部と、遅れて搬送された側の用紙端部との定着ニップNへの進入タイミングを揃えることができる。
そして、図11(5)に示すように、定着ニップNに進入させた用紙Pを安定して通紙させることができる。
【0091】
スキューを補正する定着進入ガイド66の動き方は、例えば、揺動部を傾ける動作で対応してもよいし、定着進入ガイド66全体を傾ける動作で対応してもよい。図11の説明では、定着進入ガイド66全体を傾ける動作で対応した。
また、スキューによる定着ニップNへの進入性の制御は、第二面の進入時に限らず、第一面の進入時や、片面印刷の場合においても行ってよい。
もちろん、制御部11は、用紙Pに発生したカールとスキューの両方を同時に補正することが可能である。
【0092】
<画像形成装置の制御例>
図12は、検知器67が定着進入ガイド66の上流側に設置された場合の画像形成装置4の制御例を示すフローチャートである。この処理では、検知器67が定着進入ガイド66の上流位置に設置されているため、制御部11は、用紙Pを定着ニップNに進入させている途中で、用紙Pのカール量及びカール形状に合わせて定着進入ガイド66を随時変形することが可能である。図中では、定着進入ガイド66を「ガイド」と略記する。
【0093】
始めに、制御部11は、用紙Pへの画像形成が両面印字であるか否かを判断し(S1)、両面印字でなければ(S1のNO)、定着進入ガイド66を通常位置に制御する(S7)。その後、制御部11は、ジョブが終了したか否かを判断する(S6)。ジョブには、例えば、印刷枚数等が設定されている。このため、ジョブが終了していなければ(S6のNO)、ステップS1に戻って処理が繰り返される。ジョブが終了すれば(S6のYES)、本処理を終了する。
【0094】
画像形成が両面印字であれば(S1のYES)、制御部11は、第二面のトナー画像を用紙Pの第二面に定着する第二面印字であるか否かを判断する(S2)。制御部11は、第二面印字でない(S2のNO)、すなわち、第一面のトナー画像を用紙Pの第一面に定着する第一面印字であると判断した場合、定着進入ガイド66を通常位置に制御する(S7)。そして、第一面のトナー画像が用紙Pの第一面に定着される。その後、上述したステップS6の処理が行われる。両面印字が設定されたジョブであれば、制御部11は、ジョブを終了せず(S6のNO)、ステップS1に戻って処理を繰り返す。
【0095】
画像形成が両面印字であり(S1のYES)、既に第一面のトナー画像が用紙Pの第一面に定着された場合、制御部11は、第二面印字であると判断し(S2のYES)、検知器67を起動する(S3)。そして、制御部11が、用紙Pの下流端部(先端)から上流端部(後端)までの用紙Pのカール量を検知するために、検知器67による用紙Pのカール量の検知処理が開始される。
【0096】
制御部11が用紙Pのカール量からカール形状を判定するためのカール判定処理を行う(S4)。ステップS4のカール判定処理は、図13で後述する。
【0097】
次に、ステップS4にて制御部11が指示した、定着進入ガイド66を移動させるための指示データに基づいて支持部15a~15eを移動し、定着進入ガイド66を移動する(S5)。そして、第二面のトナー画像が用紙Pの第二面に定着される。
以降、上述したステップS6の処理が行われる。
【0098】
<カール判定処理例>
図13は、図12のステップS4のカール判定処理の例を示したフローチャートである。
【0099】
まず、制御部11は、用紙PにFDカールがあるか否かを判定する(S11)。FDカールがある場合(S11のYES)、制御部11は、FDカールのカール形状は左右対称であるか否かを判定する(S12)。
【0100】
FDカールが左右対称である場合(S12のYES)、制御部11は、カール量に合わせて定着進入ガイド66の下流端部を平行移動又は回動させる指示を行う(S14)。FDカールが左右対称ではない場合には(S12のNO)、制御部11は、カール量に合わせて定着進入ガイド66の全体を傾斜させる指示を行う(S13)。
【0101】
次に、ステップS13、S14のいずれかの処理、又はステップS11にてFDカールがないと判定した場合(S11のNO)、制御部11は、用紙PにCDカールがあるか否かを判定する。CDカールがない場合(S15のNO)、処理を終了する。CDカールがある場合(S15のYES)、制御部11は、揺動部142a、142bに動作指示を行い(S16)、処理を終了する。
【0102】
以上説明した一実施の形態に係る画像形成装置4では、用紙PにCDカール、FDカールが発生した場合であっても、定着進入ガイド66を移動させることで、用紙Pの下流端部を定着ニップNに進入させる際の進入性を向上させることができる。このため、定着ニップNを通過した用紙Pにシワ、滲み等の発生を防止することができる。
【0103】
また、定着進入ガイド66は、全体が平行移動、回動するだけでなく、揺動部142a、142bが上下に揺動することができる。このため、用紙Pに左右非対称なCDカール又はFDカールが発生したとしても、カール形状に合わせて定着進入ガイド66を変形することで、用紙Pの定着ニップNへの進入性を向上することができる。
また、用紙Pにスキューが生じた場合であっても、定着進入ガイド66を傾けることで、スキューを解消し、用紙Pの定着ニップNへの進入性を向上することができる。
【0104】
[変形例]
上述した実施の形態では、用紙Pの第二面が定着ニップNに進入する前に定着進入ガイド66を動作させておくことで、第二面の定着ニップNへの進入性を向上させることができる。これに加えて、用紙Pの第二面が定着ニップNに進入後、通紙中に更に定着進入ガイド66を動作させてもよい。この場合、検知器67により、用紙Pの搬送方向を複数箇所に関してカール量を検知することで、用紙Pの搬送方向のカール量の時系列変化を検知する。
【0105】
例えば、検知器67は、用紙Pの先端、中央、後端の三箇所を検知する。長尺紙などの用紙Pの長さが長い場合は、検知箇所を増やしてよい。そして、制御部11は、検知された搬送方向のカール量の時系列の変化に合わせて、通紙中に定着進入ガイド66を動かすように制御する。通紙中に定着進入ガイド66を動かすことにより、用紙先端の定着ニップNへの進入性の向上だけでなく、用紙全体の定着ニップNの進入性が向上し、より紙シワや画像不良を抑えることができる。
【0106】
また、定着進入ガイド66を上下に平行に動かす場合、定着進入ガイド66の上流端部の位置を変えてしまうと、定着進入ガイド66の上流側にある部材(例えば、前ガイド又は転写ローラ等)と定着進入ガイド66の上流端部との間の通紙挙動が安定しない場合がある。このような場合、支持部15c、15eを通常位置とし、支持部15dを上下に駆動させれば、定着進入ガイド66の下流端部位置を、用紙面に略垂直な方向に略平行移動させる動作が可能となる。そのため、前ガイドの下流端部と定着進入ガイド66の上流端部の高さ関係が適正値に保たれ、通紙が安定する。
【0107】
また、上述した実施の形態では、画像形成装置4の内部に定着部60が組み込まれた構成を説明したが、定着部60だけを画像形成装置4から着脱可能な構成としてもよい。この場合、定着部60は、単独の定着装置として用いられる。そして、この定着装置の中に、図3に示したような制御部11、記憶部12、通信I/F13、定着進入ガイド66を備えるようにすれば、定着装置が単独で上述した実施の形態における処理を実行可能となる。
【0108】
また、定着進入ガイド66は、基部140、揺動部142a、142bの全体で矩形状に形成されているが、定着進入ガイド66の全体が楕円形又は多角形で形成されたり、揺動部142a、142bの下流側端部及び側面部が斜めにカットされた形状で形成されてもよい。また、定着進入ガイド66は、用紙Pの搬送方向に沿って複数に分割されていてもよい。分割された定着進入ガイド66がそれぞれ独自に動くことで、用紙Pの進入性を向上することが可能となる。
【0109】
<定着進入ガイドの変形例>
また、定着進入ガイド66は、下流端部だけを移動可能としてもよい。
図14は、用紙Pのカール形状に応じて揺動される揺動部142c、142dの動作例を示す説明図である。
図14Aには、矩形状に形成された定着進入ガイド66の例が示される。定着進入ガイド66は、用紙の搬送方向の上流端部の全体及び下流端部の中心付近を含む基部140と、基部140の下流側に設けられ、基部140に対して傾斜するように揺動する揺動部142c、142dとを含む。揺動部142c、142dは、それぞれ定着進入ガイド66の下流端部の辺にある一点と、定着進入ガイド66の上流端部より下流側の側端部の辺の一点とを結ぶ折れ線を支点として揺動する。揺動部142c、142dは、それぞれ揺動支持部141c、141dを支点として揺動するため、以下の説明では、定着進入ガイド66に揺動支持部141c、141dが設置される位置を「折れ線」と呼ぶ。図14Aには、定着進入ガイド66に一対の折れ線1a、1bが形成された例が示される。揺動部142a、142bは、それぞれ下流側の揺動量が上流側の揺動量よりも多く揺動する。ここで、揺動量とは、揺動部142a、142bの側端部の上流側及び下流側が基部140の通常位置に対して傾く大きさを表す。
【0110】
図14Bには、下流端部に左右対称のCDカールが発生した用紙Pが搬送される場合の定着進入ガイド66の動作例が示される。図14Bに示される用紙Pは、左側及び右側のカール量が同じであり、左右両端が上側にカールしている。
図14Cには、上加圧ローラ61、下加圧ローラ62、及び定着進入ガイド66を搬送方向から視認した例が示される。
図14Bに示すようにカールした用紙Pの進入性を向上させるためには、図14Cに示すように基部140に対して、揺動部142c、142dを同じ角度で下に傾ける必要がある。そこで、折れ線1a、1bを支点として揺動部142c、142dを下に傾ける。これにより、用紙Pの左右の下流端部の高さを定着ニップNの形成面の高さに合わせ、用紙Pの進入性を向上することができる。このとき、定着進入ガイド66の上流端部を固定して、下流端部を回動可能としてもよいし、定着進入ガイド66全体を移動可能としてもよい。
図14Dには、定着進入ガイド66に複数対の折れ線が形成された例が示される。折れ線1a、1bを支点として揺動部142c、142dを揺動させる場合、折れ線1a、1bを支点として揺動される揺動部142c、142dの面積は非常に大きいため、FDカールした用紙Pの定着ニップNへの進入性を向上させることができる。また、折れ線2a、2bを支点として揺動部142c、142dを揺動させる場合、定着進入ガイド66の両側に近い位置が揺動されるため、CDカールした用紙Pの定着ニップNへの進入性を向上させることができる。
【0111】
また、本発明は上述した実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
上述した実施の形態は、本発明を分かりやすく説明するために装置及びシステムの構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、ここで説明した実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることは可能であり、さらにはある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0112】
4…画像形成装置、11…制御部、60…定着部、61…上加圧ローラ、62…下加圧ローラ、64…加熱ローラ、66…定着進入ガイド、68…定着ベルト、H…ヒータ、N…定着ニップ、P…用紙
図1
図2
図3
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図5
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