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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】空気調和システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/79 20180101AFI20220119BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
F24F11/79
F24F7/007 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017223756
(22)【出願日】2017-11-21
(65)【公開番号】P2019095117
(43)【公開日】2019-06-20
【審査請求日】2020-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】平田 匠
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-027354(JP,A)
【文献】特開2012-032047(JP,A)
【文献】特開2002-174441(JP,A)
【文献】特開2009-174734(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/79
F24F 7/003
F24F 7/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の空気調和を行なう空気調和機と、
前方吸気口から吸気し上方から排気する上方排気、及び上方吸気口から吸気し前方から排気する前方排気を有し、何れか一方から清浄化した空気を室内に排気する空気清浄機と、
前記空気調和機に対する前記空気清浄機の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記空気調和機の運転情報を取得する運転情報取得部と、
前記位置情報取得部で取得した前記空気清浄機の位置情報、及び前記運転情報取得部で取得した前記空気調和機の運転情報に応じて、前記空気清浄機の排気を前記上方排気又は前記前方排気のいずれか一方に切り替える切替制御部と、を備えることを特徴とする空気調和システム。
【請求項2】
前記切替制御部は、
前記空気調和機が前方に調和空気を吹き出している場合、前記空気清浄機が前記空気調和機の前方に位置するときには、前記空気清浄機の排気を前記前方排気に切り替え、前記空気清浄機が前記空気調和機の下方に位置するときには、前記空気清浄機の排気を前記上方排気に切り替え、
前記空気調和機が下方に調和空気を吹き出している場合、前記空気清浄機が前記空気調和機の前方に位置するときには、前記空気清浄機の排気を前記上方排気に切り替え、前記空気清浄機が前記空気調和機の下方に位置するときには、前記空気清浄機の排気を前記前方排気に切り替えることを特徴とする請求項1に記載の空気調和システム。
【請求項3】
前記位置情報取得部は、
前記空気清浄機が前記空気調和機の前方及び下方のどちらに位置するかを、ユーザによって入力された位置情報から判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の空気調和システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、空気清浄機の気流が空気調和機の気流を妨げてしまうことを抑制するために、空気調和機と空気清浄機とを連動させ、空気調和機の運転中は空気清浄機の運転を弱めることを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-27354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
空気清浄機の運転を弱めると、室内の快適性が抑制されてしまう可能性がある。
本発明の課題は、空気調和機と空気清浄機との協調を図り、室内の快適性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る空気調和システムは、室内の空気調和を行なう空気調和機と、上方から排気する上方排気系統、及び前方から排気する前方排気系統を有し、何れか一方から清浄化した空気を室内に排気する空気清浄機と、前記空気調和機に対する前記空気清浄機の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記空気調和機の運転情報を取得する運転情報取得部と、前記位置情報取得部で取得した前記空気清浄機の位置情報、及び前記運転情報取得部で取得した前記空気調和機の運転情報に応じて、前記空気清浄機の排気系統を前記上方排気系統又は前記前方排気系統のいずれか一方に切り替える切替制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、空気清浄機の位置情報と空気調和機の運転情報とに応じて、空気清浄機の排気系統が上方排気系統又は前方排気系統のいずれか一方に切り替わるので、空気調和機との協調を図り、室内の快適性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】空気調和システムを示す図である。
図2】空気清浄機の模式図である。
図3】切替制御処理を示すフローチャートである。
図4】空気調和機が調和空気を前方に吹き出している状態を示す図である。
図5】空気調和機が調和空気を下方に吹き出している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図面は模式的なものであって、これらは現実のものと異なる場合がある。また、以下の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであり、構成が下記のものだけに限定されることはない。すなわち、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
《実施形態》
《構成》
図1は、本発明による空気調和システムを示す図である。
空気調和システム11は、室内の空気調和を行なう空気調和機12と、室内の空気清浄を行なう空気清浄機13と、を備える。
空気調和機12は、コントローラ21と、通信部22と、吹出口23と、風向板24と、を備える。
コントローラ21は、マイクロコンピュータで構成される。コントローラ21は、通信部22を介して空気清浄機13から運転情報要求を受信したときに、通信部22を介して空気調和機12の運転情報を空気清浄機13へ送信する。また吹出口23から調和空気を吹き出させ、風向板24の角度位置を制御し調和空気の吹出し方向を変更する。
【0010】
空気清浄機13は、コントローラ31と、通信部32と、操作入力部33と、上方排気系統34と、前方排気系統35と、を備える。
コントローラ31は、マイクロコンピュータで構成される。コントローラ31は、位置情報取得部36と、運転情報取得部37と、切替制御部38と、を備える。
位置情報取得部36は、操作入力部33を介してユーザから空気清浄機13の位置情報が入力されたときに、空気清浄機13が空気調和機12の前方及び下方のどちらにあるかを判定する。
【0011】
運転情報取得部37は、操作入力部33を介してユーザから空気調和機12との連動制御要求があるときに、通信部32を介して運転情報要求を空気調和機12へ送信し、空気調和機12の運転情報を受信する。
切替制御部38は、位置情報取得部36で取得した位置情報、及び運転情報取得部37で取得した運転情報に応じて、空気清浄機13の排気を上方排気系統34又は前方排気系統35のいずれか一方に切り替える。
操作入力部33は、ユーザが操作可能なスイッチやタッチパネルで構成され、空気清浄機13の位置情報、及び空気調和機12との連動要求を入力できる構成となっている。操作入力部33は、空気清浄機13を遠隔操作可能なリモコンに搭載されてもよい。
尚、空気清浄機13の位置情報については、例えば空気清浄機13が空気調和機12の前方にあるのか下方にあるのかをユーザが判断し、操作入力部33から選択的に入力させることで取得すればよい。
【0012】
図2は、空気清浄機の模式図である。
上方排気系統34は、前方吸気口41と、上方排気口42と、前方フィルタ43と、前方ファン44と、を備える。前方ファン44が駆動されると、前方吸気口41から室内空気が吸気され、前方フィルタ43によって粉塵、花粉、ハウスダスト等が除去され、上方排気口42から排気される。
前方排気系統35は、上方吸気口51と、前方排気口52と、上方フィルタ53と、上方ファン54と、を備える。上方ファン54が駆動されると、上方吸気口51から室内空気が吸気され、上方フィルタ53によって粉塵、花粉、ハウスダスト等が除去され、前方排気口52から排気される。
【0013】
次に、コントローラ31で実行される切替制御処理について説明する。
図3は、切替制御処理を示すフローチャートである。
ステップS101では、ユーザから空気調和機12との連動要求があるか否かを判定する。ここで、連動要求があるときには(S101-Yes)、コントローラ31の処理はステップS102に移行する。一方、連動要求がないときには(S101-No)、コントローラ31の処理は所定のメインプログラムの処理に復帰する。
ステップS102では、空気調和機12に運転情報を要求する。運転情報とは、風向板24の上下位置である。
ステップS103では、空気調和機12の運転情報を受信したか否かを判定する。ここで、運転情報を受信しているときには(S103-Yes)、コントローラ31の処理はステップS104に移行する。一方、運転情報を受信していないときには(S103-No)、運転情報を受信するまでコントローラ31は待機する。
【0014】
ステップS104では、空気調和機12に対する空気清浄機13の位置情報を取得しているか否かを判定する。ここで、位置情報を取得しているときには(S104-Yes)、コントローラ31の処理はステップS106に移行する。一方、位置情報を取得していないときには(S104-No)、コントローラ31の処理はステップS105に移行する。
ステップS105では、例えば表示や音声案内によってユーザに位置情報を入力するよう空気清浄機13が要求し、位置情報を取得するまでコントローラ31は待機する。
ステップS106では、空気調和機12が調和空気を前方へ吹き出しているか否かを判定する。これは風向板24の角度位置によって判断し、可動範囲の中央よりも上方側にあれば前方へ調和空気を吹き出しているものと判断し、可動範囲の中央よりも下方側にあれば下方へ調和空気を吹き出しているものと判断する。ここで、空気調和機12が前方へ調和空気を吹き出しているときには(S106-Yes)、コントローラ31の処理はステップS107に移行する。一方、空気調和機12が下方へ調和空気を吹き出しているときには(S106-No)、コントローラ31の処理はステップS110に移行する。
【0015】
ステップS107では、ユーザが操作入力部33から入力した空気清浄機13の位置情報に基づき、空気清浄機13が空気調和機12の前方に位置するか否かを判定する。ここで、空気清浄機13が空気調和機12の前方に位置するときには(S107-Yes)、コントローラ31の処理はステップS108に移行する。一方、空気清浄機13が空気調和機12の下方に位置するときには(S107-No)、コントローラ31の処理はステップS109に移行する。
ステップS108では、空気清浄機13の排気を前方排気系統35に切り替えてから、コントローラ31の処理は所定のメインプログラムに復帰する。
ステップS109では、空気清浄機13の排気を上方排気系統34に切り替えてから、コントローラ31の処理は所定のメインプログラムに復帰する。
【0016】
ステップS110では、空気清浄機13が空気調和機12の前方に位置するか否かを判定する。ここで、空気清浄機13が空気調和機12の前方に位置するときには(S110-Yes)、コントローラ31の処理はステップS111に移行する。一方、空気清浄機13が空気調和機12の下方に位置するときには(S110-No)、コントローラ31の処理はステップS112に移行する。
ステップS111では、空気清浄機13の排気を上方排気系統34に切り替えてから、コントローラ31の処理は所定のメインプログラムに復帰する。
ステップS112では、空気清浄機13の排気を前方排気系統35に切り替えてから、コントローラ31の処理は所定のメインプログラムに復帰する。
上記が切替制御処理である。
【0017】
《作用》
次に、実施形態の主要な作用について説明する。
空気清浄機13の気流が空気調和機12の気流を妨げてしまうことを抑制するために、空気調和機12と空気清浄機13とを連動させ、空気調和機12の運転中は空気清浄機13の運転を弱めることが考えられる。しかしながら、空気清浄機13の運転を弱めると、室内の快適性が抑制されてしまう可能性がある。
そこで、空気清浄機13に、上方から排気する上方排気系統34と、前方から排気する前方排気系統35と、を設ける。そして、空気調和機12の運転情報を取得し(S103-Yes)、空気調和機12に対する空気清浄機13の位置情報を取得する(S104-Yes)。また、空気調和機12の運転情報、及び空気清浄機13の位置情報に応じて、空気清浄機13の排気を上方排気系統34又は前方排気系統35のいずれか一方に切り替える。
【0018】
図4は、空気調和機が調和空気を前方に吹き出している状態を示す図である。
図中の(a)は空気清浄機13が空気調和機12の前方に位置する状態を示し、(b)は空気清浄機13が空気調和機12の下方に位置する状態を示しており、何れも室内を側方から見た図である。空気調和機12が前方に吹き出している場合(S106-Yes)、空気清浄機13が空気調和機12の前方に位置するときには(S107-Yes)、空気清浄機13の排気を前方排気系統35に切り替える(S108)。一方、空気清浄機13が空気調和機12の下方に位置するときには(S107-No)、空気清浄機13の排気を上方排気系統34に切り替える(S109)。
【0019】
図5は、空気調和機が調和空気を下方に吹き出している状態を示す図である。
図中の(a)は空気清浄機13が空気調和機12の前方に位置する状態を示し、(b)は空気清浄機13が空気調和機12の下方に位置する状態を示しており、何れも室内を側方から見た図である。空気調和機12が調和空気を下方に吹き出している場合(S106-No)、空気清浄機13が空気調和機12の前方に位置するときには(S110-Yes)、空気清浄機13の排気を上方排気系統34に切り替える(S111)。一方、空気清浄機13が空気調和機12の下方に位置するときには(S110-No)、空気清浄機13の排気を前方排気系統35に切り替える(S112)。
【0020】
上記のように、空気調和機12と空気清浄機13の位置情報と空気調和機12の運転情報とに応じて、空気清浄機13の排気が上方排気系統34又は前方排気系統35に切り替える。これにより空気清浄機13の気流が空気調和機12の気流を阻害することがなくなり、室内の快適性を向上させることができる。すなわち、快適な温度と清浄な環境を提供することができる。また、室内の空気を循環させることで、空気清浄機13の運転を弱める場合と比較して、室内の温度が均一となり、空気調和機12の運転効率を向上させることができる。
また、空気清浄機13が空気調和機12の前方及び下方のどちらにあるかを、ユーザによって入力された位置情報に基づいて位置情報取得部36が判定するので、空気清浄機13の位置情報を容易に且つ正確に取得することができる。
【0021】
《変形例》
上記の実施形態では、空気調和機12の運転情報として、風向板の上下位置を取得しているが、本発明はこれに限定されるものではない。冷房のときには風向板が上向きになり、暖房のときには風向板が下向きになるため、空気調和機12の運転情報として、冷房運転であるか暖房運転であるかを取得し、そこから空気調和機12の調和空気の吹出方向を判断してもよい。
上記の実施形態では、上方排気系統34は前方から吸気する前方吸気口41を備え、前方排気系統35は上方から吸気する上方吸気口51を備えているが、本発明はこれに限定されるものではない。吸気の向きは任意でよいため、側方から吸気する構成としてもよい。
【0022】
上記の実施形態では、位置情報取得部36、運転情報取得部37、及び切替制御部38が空気清浄機13に搭載されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、空気調和機12で、位置情報と運転情報とを取得し、これらに応じて排気系統をどちらに切り替えるかを判断し、切替指令を空気清浄機13に出力するようにしてもよい。さらには、スマートフォンで情報を取得し、判断を行ない、指令を出力してもよい。
上記の実施形態では、空気清浄機13の位置情報をユーザが入力しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ビーコン発信機を空気清浄機13に取付け、空気調和機12が空気清浄機13の位置を検出するようにしてもよい。
【0023】
以上、限られた数の実施形態を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されるものではなく、上記の開示に基づく実施形態の改変は、当業者にとって自明のことである。
【符号の説明】
【0024】
11 空気調和システム
12 空気調和機
13 空気清浄機
21 コントローラ
22 通信部
31 コントローラ
32 通信部
33 操作入力部
34 上方排気系統
35 前方排気系統
36 位置情報取得部
37 運転情報取得部
38 切替制御部
41 前方吸気口
42 上方排気口
43 前方フィルタ
44 前方ファン
51 上方吸気口
52 前方排気口
53 上方フィルタ
54 上方ファン
図1
図2
図3
図4
図5