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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】貯湯式電気温水器
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/00 20220101AFI20220119BHJP
   F24H 1/20 20220101ALI20220119BHJP
【FI】
F24H9/00 K
F24H1/20 F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017234802
(22)【出願日】2017-12-07
(65)【公開番号】P2019100670
(43)【公開日】2019-06-24
【審査請求日】2020-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中村 研太
(72)【発明者】
【氏名】大井 正樹
(72)【発明者】
【氏名】平間 征一
(72)【発明者】
【氏名】山口 勝
【審査官】長尾 裕貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-57928(JP,A)
【文献】特開2003-336907(JP,A)
【文献】特開2012-141008(JP,A)
【文献】特開2014-55704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/00
F24H 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯めた湯を吐出する貯湯式電気温水器であって
ヒータが設けられた貯湯タンクと、
前記貯湯タンクへ水を供給する給水管と、
前記貯湯タンクから湯を吐出する出湯管と、
前記出湯管に接続される出湯部材と、
前記出湯部材が挿入される出湯部材用開口を有し、前記出湯部材が前記出湯管から抜けることを防止する固定部材と、を備え、
前記出湯部材が前記出湯管に接続された状態において、通水方向における前記出湯部材の軸は、前記出湯管の通水方向の軸と異なるよう構成され、
前記出湯部材は、前記出湯管に挿入された状態である仮固定状態における位置と前記出湯管に接続された固定状態における位置が異なるよう構成されるとともに、前記固定状態にのみ、前記出湯部材用開口に挿入されるよう構成される
ことを特徴とする貯湯式電気温水器。
【請求項2】
前記出湯部材は、
基部から一方側に延出し前記出湯管に挿入される挿入部と、
前記基部から他方側に延出し湯を吐出する出湯口と、
前記基部から他方側に突出する突起部と、を有し、
前記固定部材は、前記突起部が挿入される突起部用開口を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の貯湯式電気温水器。
【請求項3】
前記出湯部材は、一方側に対して垂直方向に延出する凸部を有し、
前記出湯管は、
最下流側の端部の一部が通水方向に切り欠かれた通水方向切欠き部と、
前記通水方向切欠き部と連続し、通水方向に対して垂直方向に切り欠かれた垂直方向切欠き部と、を有し
前記出湯部材は、前記凸部を前記通水方向切欠き部から挿入され、前記出湯部材を回動させることで前記垂直方向切欠き部を前記凸部が移動することで前記出湯管に固定される
ことを特徴とする請求項2に記載の貯湯式電気温水器。
【請求項4】
前記出湯部材は、前記出湯口に接続されるホースを接続するためのネジ山部を有する
ことを特徴とする請求項2または3に記載の貯湯式電気温水器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯めた湯を吐出する貯湯式電気温水器に関する。
【背景技術】
【0002】
手洗い器などに設置された水栓へ適温水を供給するための貯湯式電気温水器として、下記の特許文献1に記載されたものが提案されている。下記特許文献1に記載された貯湯式電気温水器では、給水源から供給される水が一度貯湯タンクに貯留される。貯湯タンクでは、供給された水が電気ヒータで温められ、温められた湯は、出湯口を通り、湯水混合手段で適温に混合された水を水栓から吐水される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-57928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された貯湯式電気温水器は、出湯部材を上面ケーシングと上面プレートに挟み込み、上面ケーシングに設けられるネジ孔にネジを差し込んで固定するように構成されている。このようにネジを用いて出湯部材を固定しようとする組み立ての作業が煩雑となり組み立て性が低下してしまう。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、貯湯式電気温水器の出湯部材の組み立てを容易にし、組み立て性を向上した貯湯式電気温水器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る貯湯式電気温水器は、貯めた湯を吐出する貯湯式電気温水器であってヒータが設けられた貯湯タンクと、前記貯湯タンクへ水を供給する給水管と、前記貯湯タンクから湯を吐出する出湯管と、前記出湯管に接続される出湯部材と、前記出湯部材が挿入される出湯部材用開口を有し、前記出湯部材が前記出湯管から抜けることを防止する固定部材と、を備え、前記出湯部材が前記出湯管に接続された状態において、通水方向における前記出湯部材の軸は、前記出湯管の通水方向の軸と異なるよう構成され、前記出湯部材は、前記出湯管に挿入された状態である仮固定状態における位置と前記出湯管に接続された固定状態における位置が異なるよう構成されるとともに、前記固定状態にのみ、前記出湯部材用開口に挿入されるよう構成されることを特徴とする。
【0007】
第一の発明の貯湯式電気温水器は、出湯管の軸と出湯部材の軸をずらし、さらに出湯部材を仮固定状態と固定状態とで位置が異なるように構成するとともに、固定状態にのみ固定部材の出湯部材用開口に挿入されるように構成することで、ネジによって出湯部材を出湯管に接続する必要がなく、組み立て性を向上させることができる。さらに、上記構造とすることで、組み立て時に仮固定状態において固定部材の出湯部材用開口に出湯部材を挿入することができないため、不完全な組み立て状態で組み立て作業が終了されることを抑制できる。
【0008】
第二の発明の貯湯式電気温水器は、前記出湯部材は、基部から一方側に延出し前記出湯管に挿入される挿入部と、前記基部から他方側に延出し湯を吐出する出湯口と、前記基部から他方側に突出する突起部と、を有し、前記固定部材は、前記突起部が挿入される突起部用開口を有することを特徴とする。
【0009】
第二の発明の貯湯式電気温水器は、さらに突起部を有することで、不完全な状態で組み立て作業が終了されることをさらに抑制することができる。
【0010】
第三の発明の貯湯式電気温水器は、前記出湯部材は、一方側に対して垂直方向に延出する凸部を有し、前記出湯管は、最下流側の端部の一部が通水方向に切り欠かれた通水方向切欠き部と、前記通水方向切欠き部と連続し、通水方向に対して垂直方向に切り欠かれた垂直方向切欠き部と、を有し、前記出湯部材は、前記凸部を前記通水方向切欠き部から挿入され、前記出湯部材を回動させることで前記垂直方向切欠き部を前記凸部が移動することで前記出湯管に固定されることを特徴とする。
【0011】
第三の発明の貯湯式電気温水器は、出湯部材を出湯管に対して回動させるのみで固定することができるため、組み立て時に煩雑な作業がなくなり、組み立て性を向上させることができる。
【0012】
第四の発明の貯湯式電気温水器は、前記出湯部材は、前記出湯口に接続されるホースを接続するためのネジ山部を有することを特徴とする。
【0013】
第四の発明の貯湯式電気温水器は、貯湯式電気温水器と水栓を連通させる必要があり、ホースで接続する。貯湯式電気温水器と水栓を連通させる施工時に、出湯口に力が加わるため、ホースの抜け防止を考慮してネジで固定することが好ましい。ホースを回動させてネジ山部と螺合させる際に回転力が発生し、出湯管に対して出湯部材が回転してしまうおそれがあるが、出湯管と出湯部材との軸をずらしているため、出湯部材が回動せずに、固定状態が低下することなく、ホースも強固に出湯口に接続することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、貯湯式電気温水器の出湯部材の組み立てを容易にし、組み立て性を向上した貯湯式電気温水器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態にかかる貯湯式電気温水器の概略斜視図である。
図2】本発明の実施形態にかかる貯湯式電気温水器の概略構成図である。
図3】本発明の実施形態にかかる貯湯式電気温水器の内部構成図である。
図4】本発明の実施形態にかかる貯湯式電気温水器の分解斜視図である。
図5】本発明の実施形態にかかる貯湯式電気温水器の分解正面図である。
図6】本発明の実施形態にかかる貯湯式電気温水器の出湯部材の斜視図である。
図7】本発明の実施形態にかかる貯湯式電気温水器の出湯管の斜視図である。
図8】本発明の実施形態にかかる貯湯式電気温水器の出湯管から出湯部材を取り外した状態の斜視図である。
図9】本発明の実施形態にかかる貯湯式電気温水器の出湯部材が出湯管に挿入された状態の斜視図と上面図である。
図10】本発明の実施形態にかかる貯湯式電気温水器の出湯部材が出湯管に接続完了された状態の斜視図と上面図である。
図11】本発明の実施形態にかかる貯湯式電気温水器の出湯管と出湯部材とが接続完了した状態の側面図である。
図12】本発明の実施形態にかかる貯湯式電気温水器の出湯部材が固定状態時の固定部材を示す上面図である。
図13】本発明の実施形態にかかる貯湯式電気温水器の出湯部材が仮固定状態時の固定部材を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符合を付して、重複する説明は省略する。なお、以下に示す実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0017】
この貯湯式電気温水器について図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態にかかる貯湯式電気温水器1の概略斜視図である。図1に示すように、貯湯式電気温水器1は、電気温水器本体2と、この電気温水器本体を操作するスイッチ部3と、貯湯式電気温水器1の外郭を形成するケース4とを有する。
【0018】
スイッチ3は、貯湯式電気温水器1の電源の入り切りを行う電源ボタン3a等が設けられる。図示しないが、電源ボタン3aの他に、電気温水器本体2への給水を開始する開始ボタンを設けてもよい。
【0019】
次に、図2を参照しながら、貯湯式電気温水器1の構成を説明する。図2は、本発明の実施形態にかかる貯湯式電気温水器1の概略構成図である。
【0020】
図2に示すように、電気温水器本体2の内部には、給水管5、逆止弁部6、減圧弁7、貯湯タンク8、電気式ヒータ9、湯水混合手段10、出湯管11、出湯部材12、空気路13、吸気操作部14、排出口15を有する排出管16、排出管16を開閉する開閉弁17、開閉弁17を開閉操作する操作部18および制御部19がそれぞれ備えている。
【0021】
図2に示すように、給水管5は、その上流側が水道等の給水源(図示せず)に接続されており、この給水源(図示せず)から給水された水が通水するようになっている。また、図2に示すように、給水管5は、電気温水器本体2内の水が逆流することを防止する逆止弁部6と、逆止弁部6の下流側に給水源から給水された水圧を減圧させる減圧弁7と、減圧弁7とに接続され、減圧弁7の下流側で、湯側通水路20及び水側通水路21に分岐するよう構成されている。
湯側通水路20は、貯湯タンク8に接続されている。また、湯側通水路20は、貯湯タンク8の上流側で、一方が貯湯タンク8へ、他方が排出管16へ分岐されている。
水側通水路21は、湯側通水路20と分岐した後、水側通水路21の下流側で貯湯タンク8からの湯と水側通水路21からの水とを混合する湯水混合手段10に接続されている。
【0022】
次に、図2に示すように、貯湯タンク8は、湯側通水路20から給水された水を貯えるタンクである。
また、図2に示すように、電気式ヒータ9は、貯湯タンク8内に設けられている。この電気式ヒータ9は、貯湯タンク8内の水を電気的に加熱する電気式加熱部として機能するようになっている。
さらに、湯水混合手段10は、貯湯タンク8の下流側に設けられ、貯湯タンク8からの湯と水側通水路21からの水とが流入される。水栓(図示せず)が開弁することにより、貯湯タンク8からの湯と水側通水路21からの水が流入し、流入した湯水を混合したのちに出湯管11側へ通水するよう構成されている。
また、出湯管11は、電気温水器本体2の下流側に設けられる水栓(図示せず)とホースで接続するための出湯部材12が接続される。
【0023】
次に、図2に示すように、空気路13は、例えば、電気温水器本体2のメンテナンス時等において貯湯タンク8内の水を抜く際に、吸気操作部14を操作することで貯湯タンク8への吸気を可能とする。
また、開閉弁17は、排出管16の途中に設けられ、開閉弁17を操作するための操作部18を操作することにより、排出管16を介して、排出口15から貯湯タンク8等の水を排出することができる。
【0024】
制御部19は、ケース4内に設けられており、スイッチ部3の操作や、電気温水器本体2の下流側に設けられる水栓(図示せず)からの信号を基に、電気式ヒータ9への通電を制御するよう構成されている。
【0025】
図3を参照して、貯湯式電気温水器1の内部構造について説明する。図3は、本発明の実施形態にかかる貯湯式電気温水器1の内部構成図である。
【0026】
図3に示すように、貯湯式電気温水器1は、貯湯タンク8の下方側に排出管16、排出口15、操作部18が配置され、貯湯タンク8の上方側に逆止弁部6、減圧弁7、湯水混合手段10、出湯管11、出湯部材12が配置されている。
【0027】
電気温水器本体2は、逆止弁部6および、出湯部材12が出湯管11から抜けることを防止するための固定部材30を有する。
固定部材30は、逆止弁部6とネジによって締結することで固定され、出湯部材12は、出湯管11の上方から挿入されたのちに、固定部材30によって上方から押えられることで固定している。
【0028】
次に、図4および図5を参照して、貯湯式電気温水器1の逆止弁部6および出湯部材12固定について説明する。図4は、本発明の実施形態にかかる貯湯式電気温水器1の分解斜視図である。図5は、本発明の実施形態にかかる貯湯式電気温水器1の分解正面図である。
【0029】
図4および図5に示すように、出湯部材12は、基部120から一方側(出湯管11側)に延び、出湯管11に挿入される挿入部123と、基部120から他方側に延び通水路を形成する出湯口121と、出湯口121とは異なり、基部120から他方側に突出する突起部122とを有する。
固定部材30は、出湯口121が挿入される出湯口用開口50と、突起部122が挿入される突起部用開口51と、逆止弁部6が挿入される逆止弁部用開口52と、逆止弁部6を固定するための台座53に設けられる台座ネジ55が挿入される台座用開口54とを有する。
【0030】
出湯部材12は、出湯管11に挿入された後に、出湯口121は出湯部材用開口50に挿入され、突起部122は突起部用開口51に挿入される。
逆止弁部6は、台座53および逆性弁用開口52に挿入されたのちに給水管5に挿入される。また、逆止弁部6は、逆止弁部6を固定する台座53と固定部材30の台座用開口54とを台座用ネジ55によって螺合されることで固定される。
【0031】
次に、図6を参照して、出湯部材12の構造について説明する。図6は、本発明の実施形態にかかる貯湯式電気温水器1の出湯部材12の斜視図である。
【0032】
図6に示すように、出湯部材12は、基部120、出湯口121、突起部122、挿入部123、凸部124、ネジ山部125を備えている。挿入部123は、出湯管11に挿入される部分であり、基部120から一方側(出湯管11側)に向かって延びるよう構成されている。
【0033】
出湯口121は、基部120から他方側に向かって延びるように構成され、ホース(図示せず)と接続するためのネジ山部125を有している。
突起部122は、基部120から他方側に向かって延びるように構成されている。
【0034】
凸部124は、挿入部123に設けられ、挿入部123が基部120から延びる一方側に対して垂直方向に延出するように構成されている。
【0035】
次に、図7を参照して、出湯管11の構造について説明する。図7は、本発明の実施形態にかかる貯湯式電気温水器1の出湯管11の斜視図である。
【0036】
図7に示すように出湯管11は、出湯管11の最下流端に出湯管11の通水方向に沿うように切り欠かれた通水方向切欠き部110と、通水方向切欠き部110と連続して、通水方向に対して垂直方向に切り欠かれた垂直方向切欠き部111とを有している。
【0037】
次に、図8から図11を参照して出湯管11と出湯部材12との接続について説明する。図8は、本発明の実施形態にかかる貯湯式電気温水器1の出湯管11から出湯部材12を取り外した状態の斜視図である。図9は、本発明の実施形態にかかる貯湯式電気温水器1の出湯部材12が出湯管11に挿入された状態の斜視図と上面図である。図10は、本発明の実施形態にかかる貯湯式電気温水器1の出湯部材12が出湯管11に接続完了された状態の斜視図と上面図である。図11は、本発明の実施形態にかかる貯湯式電気温水器1の出湯管11と出湯部材12とが接続完了した状態の側面図である。
【0038】
図8図9に示すように、出湯管11に出湯部材12を挿入する際は、出湯管11の通水方向切欠き部110と出湯部材12の凸部124との位置が合う状態で出湯部材12を出湯管11に挿入する。出湯部材12を出湯管11に挿入した状態であれば、上方側に出湯部材12移動可能であり、この状態が仮固定状態である。
【0039】
仮固定状態から固定状態とするために図10に示すように、出湯管11に対して出湯部材12を回動させる。より具体的には、通水方向切欠き部110と連続して通水方向に対して垂直方向に切り欠かれた垂直方向切欠き部111に沿って出湯部材12の凸部124を回転移動させる。垂直方向切欠き部111の上方側、下方側は出湯管11の外郭を形成する部材が存在するため、垂直方向切欠き部111に凸部124が位置する場合は、出湯部材11の上下方向の移動を規制できる。このように、出湯管11に対して出湯部材12の上下方向の移動を規制できる状態が固定状態である。
【0040】
出湯部材12を仮固定状態から固定状態に回転移動させると、図9(b)と図10(b)に示すように、出湯口121および突起部122の位置が移動することになる。
仮固定状態と固定状態とで出湯口121と突起部122とが位置が変わることについて図11を参照して説明する。
【0041】
図11は、出湯管11と出湯部材12とが接続された状態の側面図であり、図11に示すように、出湯管11の最下流端に対する出湯管11の軸を出湯管軸L1とし、出湯部材12の出湯口121の軸を出湯口軸L2とする。
【0042】
出湯管11に出湯部材12が接続された状態において、出湯管軸L1と出湯口軸L2とがずれた位置となるように出湯部材12を構成する。出湯管軸L1と出湯口軸L2とをずれた位置に配置することで、出湯部材12は仮固定状態から固定状態に移動する際に出湯管軸L1を中心軸として回転することになるため、仮固定状態と固定状態とで出湯口121位置を変えることができる。
同様に突起部122を突起部122の軸である突起部軸L3と出湯管軸L1とずらして配置することで、仮固定状態と固定状態とで突起部122の位置を変えることができる。
【0043】
次に、図12図13を参照して、固定部材30に対する出湯部材12の固定状態と仮固定状態について説明する。図12は本発明の実施形態にかかる貯湯式電気温水器1の出湯部材12が固定状態時の固定部材30を示す上面図である。図13は、本発明の実施形態にかかる貯湯式電気温水器1の出湯部材12が仮固定状態時の固定部材30を示す上面図である。
【0044】
図12に示すように、出湯部材12が出湯管11に対して固定状態にある時は、固定部材30の出湯部材用開口50と突起部用開口51と、出湯部材12の出湯口121と突起部122との位置がそれぞれ対応し、出湯口121は出湯部材用開口50に挿入され、突起部122は突起部用開口51に挿入される。
【0045】
図13に示すように、出湯部材12が出湯管11に対して仮固定状態にある時は、出湯口121と出湯部材用開口50との位置が対応せず、また、突起部122と突起部用開口51との位置も対応せず、出湯口121を出湯部材用開口50に挿入することができない。また突起部122も同様に突起部用開口51に挿入することができない。このように出湯部材12が出湯管11に正しく接続されている固定状態にのみ固定部材30と出湯部材12の出湯口121と突起部122を挿入できるようにすることで、出湯部材12と出湯管11との接続が不完全な状態で貯湯式電気温水器1が組み立てられることを防止できる。
【0046】
上述したように、貯湯式電気温水器1は、出湯管11の出湯管軸L1と出湯部材12の出湯口軸L2をずらし、さらに出湯部材12を仮固定状態と固定状態とで位置が異なるように構成するとともに、固定状態にのみ固定部材30の出湯部材用開口50に挿入されるように構成することで、ネジによって出湯部材12を出湯管11に接続する必要がなく、組み立て性を向上させることができる。さらに、上記構造とすることで、組み立て時に仮固定状態において固定部材の出湯部材用開口50に出湯口121を挿入することができないため、不完全な組み立て状態で組み立て作業が終了されることを抑制できる。
【0047】
また、貯湯式電気温水器1は、さらに突起部122を有することで、不完全な状態で組み立て作業が終了されることをさらに抑制することができる。
【0048】
また、貯湯式電気温水器1は、出湯部材12を出湯管11に対して回動させるのみで固定することができるため、組み立て時に煩雑な作業がなくなり、組み立て性を向上させることができる。
【0049】
貯湯式電気温水器1は、貯湯式電気温水器1と水栓(図示せず)を連通させる必要があり、ホース(図示せず)で接続する。貯湯式電気温水器1と水栓を連通させる施工時に、出湯口121に力が加わるため、ホースの抜け防止を考慮してネジで固定することが好ましい。ホースを回動させてネジ山部125と螺合させる際に回転力が発生し、出湯管11に対して出湯部材12が回転してしまうおそれがあるが、出湯管12と出湯口121との軸をずらしているため、出湯部材12が回動せずに、固定状態が低下することなく、ホースも強固に出湯口に接続することができる。
【0050】
なお、本発明の実施の形態として、先止め式の貯湯式電気温水器1の例を挙げて説明したが、貯湯タンク8の上流側に電磁弁等を設ける貯湯式電気温水器1すなわち、元止め式の貯湯式電気温水器1であってもよい。
【0051】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 貯湯式電気温水器
2 電気温水器本体
3 スイッチ部
3a 電源ボタン
4 ケース
5 給水管
6 逆止弁部
7 減圧弁
8 貯湯タンク
9 電気式ヒータ
10 湯水混合手段
11 出湯管
12 出湯部材
13 空気路
14 吸気操作部
15 排出口
16 排出管
17 開閉弁
18 操作部
19 制御部
20 湯側通水路
21 水側通水路
30 固定部材
50 出湯部材用開口
51 突起部用開口
52 逆止弁部用開口
53 台座
54 台座用開口
55 台座用ネジ
110 通水方向切欠き部
111 垂直方向切欠き部
120 基部
121 出湯口
122 突起部
123 挿入部
124 凸部
125 ネジ山部
L1 出湯管軸
L2 出湯口軸
L3 突起部軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13