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特許7010054正極活物質、Li5FeO4、結着剤及び溶剤を含む組成物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】正極活物質、Li5FeO4、結着剤及び溶剤を含む組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/62 20060101AFI20220203BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20220203BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
H01M4/62 Z
H01M4/139
H01M4/36 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018029929
(22)【出願日】2018-02-22
(65)【公開番号】P2019145401
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2020-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】特許業務法人 共立
(72)【発明者】
【氏名】福本 武文
(72)【発明者】
【氏名】金田 潤
(72)【発明者】
【氏名】江口 達哉
【審査官】結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-054649(JP,A)
【文献】特開2014-216250(JP,A)
【文献】特開2012-221568(JP,A)
【文献】特開2007-287446(JP,A)
【文献】特開2014-157653(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/62
H01M 4/139
H01M 4/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極活物質、LiFeO、結着剤及び溶剤を含む組成物の製造方法であって、
A)前記結着剤及び前記溶剤を混合して、A液を製造する工程、
B)前記A液及び前記正極活物質を混合して、B液を製造する工程、
C)前記B液及び前記LiFeOを混合して、C液を製造する工程、
を含むことを特徴とする組成物の製造方法。
【請求項2】
前記正極活物質が、第1正極活物質と、前記第1正極活物質よりも配合量の少ない第2正極活物質とを含み、
前記B)工程が、
B-1)前記A液及び前記第2正極活物質を混合して、B-1液を製造する工程、
B-2)前記B-1液及び前記第1正極活物質を混合して、B液を製造する工程、
である請求項1に記載の組成物の製造方法。
【請求項3】
前記組成物が導電助剤を含み、
前記A)工程が、
A-1)前記結着剤、前記導電助剤及び前記溶剤を混合して、A液を製造する工程、
である請求項1又は2に記載の組成物の製造方法。
【請求項4】
前記組成物において、(LiFeOの質量%)<(正極活物質の質量%)、又は、(LiFeOの質量%)<(第2正極活物質の質量%)<(第1正極活物質の質量%)の関係を満足する、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物の製造方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法で組成物を製造する工程、
前記組成物を集電体に塗布する塗布工程、
を含む正極の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の製造方法で正極を製造する工程、
前記正極を用いるリチウムイオン二次電池の製造工程、
を含むリチウムイオン二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正極活物質、LiFeO、結着剤及び溶剤を含む組成物の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的にリチウムイオン二次電池の正極は、集電体と、該集電体上に形成された正極活物質を含む正極活物質層からなる。正極活物質層は正極活物質以外に結着剤を含有するのが一般的であり、さらに導電助剤を含む場合もある。正極活物質層の正極活物質としては種々の材料が用いられることが知られており、さらに、正極活物質層に正極活物質、結着剤及び導電助剤以外の材料を添加することも知られている。
【0003】
ここで、一般的な正極活物質層は、集電体上に正極活物質、導電助剤、結着剤及び溶剤を含む組成物(スラリー)を塗布し、該組成物から該溶剤を除去することにより製造される。そして、正極活物質、導電助剤、結着剤及び溶剤を含む組成物は、該組成物の構成成分の固形分を混合した後に溶剤を加えて混合することで製造されるか、又は、組成物の成分全てを一度に混合することで製造されるのが通常であった。
【0004】
例えば、特許文献1には、正極活物質としてオリビン構造のLiFePO及びリチウムニッケル複合酸化物のLiNi0.8Co0.15Al0.05を採用したリチウムイオン二次電池が具体的に開示されている。そして、特許文献1の正極活物質及び溶剤を含む組成物は、正極活物質のLiFePO及びLiNi0.8Co0.15Al0.05、結着剤のポリフッ化ビニリデン、導電助剤のカーボンを混合し、ここに溶剤のN-メチル-2-ピロリドンを加え混合する製造方法で製造されている(特許文献1の明細書0084段落を参照。)。
【0005】
また、特許文献2には、正極活物質としてLiCoOを採用し、正極添加剤としてLiFeOを採用した正極及びリチウムイオン二次電池が記載されている。特許文献2におけるLiFeOの配合理由は、正極の空孔率を確保することにある。
特許文献2の正極活物質及び溶剤を含む組成物は、正極活物質のLiCoO及び正極添加剤のLiFeOを混合して混合物とし、当該混合物に導電助剤、結着剤のポリフッ化ビニリデン、溶剤のN-メチル-2-ピロリドンを加えて混合する製造方法で製造されている(特許文献2の明細書0039段落を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-190786号公報
【文献】国際公開第2014/118834号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、正極活物質、結着剤及び溶剤を含む組成物の均一性を鑑みると、組成物の製造においては、結着剤及び溶剤の混合液に対して、配合量の少ない物から順に加えて混合するのが合理的といえる。よって、特許文献1及び特許文献2に記載された組成物の製造方法は合理性に欠ける。
【0008】
さて、本発明者は、負極の負極活物質としてSi含有負極活物質を採用することを指向した。Si含有負極活物質は理論容量に優れることが知られているため、Si含有負極活物質を採用した負極は高容量を発揮することが期待されるからである。しかし、Si含有負極活物質には、不可逆容量が存在することが知られている。
不可逆容量とは、初回充電時に正極から負極へ移動したリチウムのうち、負極活物質にトラップされて、通常の充放電反応への寄与が出来なくなるリチウム量に関する容量を意味する。
【0009】
本発明者は、Si含有負極活物質の不可逆容量に相当するリチウム量をあらかじめ正極内に補填しておくことを指向した。その具体的な手段として、LiFeOを正極活物質層に配合することを指向した。
【0010】
そこで、本発明者は、結着剤及び溶剤の混合液に対して、配合量の少ない物から順に加えるとの手段で、正極活物質、LiFeO、結着剤及び溶剤を含むスラリー状の正極活物質層製造用組成物を製造した。具体的には、結着剤及び溶剤を混合して混合液とし、当該混合液にLiFeOを投入して混合し、さらに正極活物質を投入してスラリー状の正極活物質層製造用組成物を製造した。そうすると、当該組成物の粘度が経時的に増加すること、さらには24時間後には当該組成物がゲル化して、それ以降の工程に使用できないことを本発明者は知見した。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、ゲル化が一定程度抑制され得る、正極活物質、LiFeO、結着剤及び溶剤を含む組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者が鋭意検討した結果、スラリー状の正極活物質層製造用組成物を製造するにあたり、LiFeOを最後に混合することで、組成物の粘度上昇を抑制できることを見出した。
【0013】
すなわち、本発明の組成物の製造方法は、正極活物質、LiFeO、結着剤及び溶剤を含む組成物の製造方法であって、
A)前記結着剤及び前記溶剤を混合して、A液を製造する工程、
B)前記A液及び前記正極活物質を混合して、B液を製造する工程、
C)前記B液及び前記LiFeOを混合して、C液を製造する工程、
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の組成物は、その粘度上昇が一定程度抑制される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を説明する。なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「x~y」は、下限xおよび上限yをその範囲に含む。そして、これらの上限値および下限値、ならびに実施例中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。さらに数値範囲内から任意に選択した数値を上限、下限の数値とすることができる。
【0016】
本発明の組成物の製造方法は、正極活物質、LiFeO、結着剤及び溶剤を含む組成物の製造方法であって、
A)前記結着剤及び前記溶剤を混合して、A液を製造する工程(以下、単に「A)工程」ということがある。)、
B)前記A液及び前記正極活物質を混合して、B液を製造する工程(以下、単に「B)工程」ということがある。)、
C)前記B液及び前記LiFeOを混合して、C液を製造する工程(以下、単に「C)工程」ということがある。)、
を含むことを特徴とする。
【0017】
本発明の製造方法で製造される組成物(本明細書において、「本発明の組成物」ということがある。)は、溶剤及び溶剤以外の固形分からなる。溶剤以外の固形分とは、溶剤以外の正極活物質、LiFeO及び結着剤、並びに、必要に応じて用いられる導電助剤、分散剤及びその他の添加剤の合計量を意味する。本発明の組成物において、溶剤以外の固形分(以下、単に「固形分」ということがある。)の配合量は、40~90質量%の範囲内が好ましく、50~80質量%の範囲内がより好ましく、55~75質量%の範囲内がさらに好ましく、60~70質量%の範囲内が特に好ましい。
【0018】
正極活物質、LiFeO、結着剤及び溶剤を含む組成物において、その粘度が変化するのは、主に結着剤の変性が原因と考えられる。そして、LiFeOの投入順序を変えることで、組成物の粘度変化に差異が生じたことから、結着剤とLiFeOが何らかの反応を生じることが、組成物の粘度上昇に繋がると考えられる。
【0019】
本発明の組成物の製造方法においては、LiFeOの投入順序を最後にしたことで、既に混合分散状態にある正極活物質の立体的又は静電的反発に因り、結着剤に対するLiFeOの接近が一定程度抑制されると考えられる。
また、本発明の組成物の製造方法においては、先に正極活物質と結着剤を共存させることで、正極活物質粒子の周りに結着剤を優先的に付着させることができるため、LiFeOと直接に接触する結着剤の数を減少させることができたとも考えられる。
【0020】
以上の機序により、LiFeOと結着剤との接近や接触が抑制されるために、組成物の粘度上昇に繋がるLiFeOと結着剤との反応も抑制される。その結果として、本発明の組成物の粘度上昇は抑制されると考えられる。
【0021】
正極活物質はリチウムイオン二次電池の正極活物質として使用できるものであれば限定されない。正極活物質は1種類でもよいが、複数の種類であってもよい。例えば、前記正極活物質が、第1正極活物質と、前記第1正極活物質よりも配合量の少ない第2正極活物質とを含む場合には、本発明の組成物において、(第2正極活物質の質量%)<(第1正極活物質の質量%)の関係を満足することになる。この場合、本発明の組成物の製造方法のB)工程は、以下のB-1)工程及びB-2)工程であるのが好ましい。配合量の少ないものを先に混合する方が、組成物における均一性が向上すると考えられるためである。
【0022】
B-1)前記A液及び前記第2正極活物質を混合して、B-1液を製造する工程
B-2)前記B-1液及び前記第1正極活物質を混合して、B液を製造する工程
【0023】
第1正極活物質としては、二次電池において正極活物質として働く材料であればよく、例えば、層状岩塩構造の一般式:LiNiCo(MはMn及びAlから選択される。DはW、Mo、Re、Pd、Ba、Cr、B、Sb、Sr、Pb、Ga、Nb、Mg、Ta、Ti、La、Zr、Cu、Ca、Ir、Hf、Rh、Zr、Fe、Ge、Zn、Ru、Sc、Sn、In、Y、Bi、S、Si、Na、K、P、Vから選ばれる少なくとも1の元素である。a、b、c、d、e、fは、0.2≦a≦2、b+c+d+e=1、0≦e<1、1.7≦f≦3を満足する。)で表される材料、LiMn及び非化学量論組成LiMn等(a+b=2)のスピネル構造材料、並びに、層状岩塩構造の材料及びスピネル構造材料で構成される固溶体を挙げることができる。
【0024】
一般式:LiNiCo(MはMn及びAlから選択される。DはW、Mo、Re、Pd、Ba、Cr、B、Sb、Sr、Pb、Ga、Nb、Mg、Ta、Ti、La、Zr、Cu、Ca、Ir、Hf、Rh、Zr、Fe、Ge、Zn、Ru、Sc、Sn、In、Y、Bi、S、Si、Na、K、P、Vから選ばれる少なくとも1の元素である。a、b、c、d、e、fは、0.2≦a≦2、b+c+d+e=1、0≦e<1、1.7≦f≦3を満足する。)において、b、c、dの値は、上記条件を満足するものであれば特に制限はないが、0<b<1、0<c<1、0<d<1であるものが良く、また、b、c、dの少なくともいずれか一つが30/100<b<95/100、1/100<c<70/100、1/100<d<50/100の範囲であることが好ましく、50/100<b<90/100、5/100<c<50/100、1/100<d<30/100の範囲であることがより好ましく、80/100<b<90/100、5/100<c<15/100、1/100<d<10/100の範囲であることがさらに好ましい。
【0025】
bの割合が高い一般式の材料は高活性であり、組成物のゲル化を進行させる要因となる可能性がある。そのようなbの割合が高い一般式の材料を含む本発明の組成物においては、本発明の組成物の奏する粘度抑制効果の重要性が高いといえる。
【0026】
a、e、fについては一般式で規定する範囲内の数値であればよく、好ましくは0.5≦a≦1.5、0≦e<0.2、1.8≦f≦2.5、より好ましくは0.8≦a≦1.3、0≦e<0.1、1.9≦f≦2.1を例示することができる。
【0027】
第1正極活物質はその形状が特に制限されるものではないが、平均粒子径でいうと、100μm以下が好ましく、0.1μm以上50μm以下がより好ましく、1μm以上20μm以下がさらに好ましく、3μm以上15μm以下が特に好ましい。0.1μm未満では、電極を製造した際に集電体との密着性が損なわれやすいなどの不具合を生じることがある。100μmを超えると電極の大きさに影響を与えたり、二次電池を構成するセパレータを損傷するなどの不具合を生じることがある。なお、本明細書における平均粒子径とは、特に規定が無い限り、一般的なレーザー回折式粒度分布測定装置で計測した場合のD50の値を意味する。
【0028】
第2正極活物質は、第1正極活物質以外の材料であって、二次電池において正極活物質として働く材料である。
【0029】
第2正極活物質としては、LiMn、LiMn等のスピネル構造化合物、一般式:LiMPO(MはMn,Fe,Co,Ni,Cu,Mg,Zn,V,Ca,Sr,Ba,Ti,Al,Si,B、Te及びMoから選ばれる少なくとも1の元素、0<h<2)で表される化合物、LiMVO又はLiMSiO(式中のMはCo、Ni、Mn、Feのうちの少なくとも一種から選択される)で表されるポリアニオン系化合物、LiMPOF(Mは遷移金属)で表されるタボライト系化合物、LiMBO(Mは遷移金属)で表されるボレート系化合物、LiMnOなどを挙げることができる。第2正極活物質としては、二次電池における充放電電位が第1正極活物質よりも低いLi(Mn,Fe1-x)PO(xは0≦x<1である。)が特に好ましい。二次電池の正極活物質層にLi(Mn,Fe1-x)POが存在すると、電池の正極と負極の短絡時であっても、電池の発熱をある程度抑制することができる。なお、第2正極活物質としては、その表面をカーボンコートしたものを採用するのが好ましい。
【0030】
第2正極活物質は形状が特に制限されるものではないが、第1正極活物質よりも平均粒子径が小さいものが好ましい。平均粒子径でいうと、50μm以下が好ましく、0.01μm以上30μm以下がより好ましく、0.5μm以上15μm以下がさらに好ましく、1μm以上10μm以下が特に好ましい。
【0031】
本発明の組成物の固形分に対する、第1正極活物質と第2正極活物質の合計配合量は、60~99質量%の範囲内が好ましく、70~95質量%の範囲内がより好ましく、80~93質量%の範囲内がさらに好ましく、85~90質量%の範囲内が特に好ましい。また、本発明の組成物における第1正極活物質と第2正極活物質の配合質量比は、95:5~60:40の範囲内が好ましく、90:10~65:35の範囲内がより好ましく、85:15~70:30の範囲内がさらに好ましく、82:18~75:25の範囲内が特に好ましい。
【0032】
LiFeOは、負極の不可逆容量に関するリチウム量を補填するために添加されるものであり、リチウムドープ剤としての役割を担う。
【0033】
本発明の組成物におけるLiFeOの配合量は、想定される負極の不可逆容量に応じて適宜決定すればよい。本発明の組成物の固形分に対するLiFeOの配合量としては、1~15質量%の範囲内が好ましく、3~10質量%の範囲内がより好ましく、5~8質量%の範囲内がさらに好ましい。
【0034】
また、本発明の組成物において、(LiFeOの質量%)<(正極活物質の質量%)、又は、(LiFeOの質量%)<(第2正極活物質の質量%)<(第1正極活物質の質量%)の関係を満足するのが好ましいといえる。
【0035】
LiFeOの形状は特に制限されない。LiFeOの平均粒子径としては、100μm以下が好ましく、1μm以上50μm以下がより好ましく、5μm以上30μm以下がさらに好ましい。
【0036】
LiFeOとしては、その表面をカーボンコートしたものを採用するのが好ましい。カーボンコートに因り、LiFeOと結着剤との直接接触をさらに効果的に抑制することができる。また、カーボンコートしたLiFeOは導電性に優れるため、リチウムドープ剤としての役割を好適に果たすことができる。
【0037】
カーボンコートの量としては、カーボンコートしたLiFeOの全体に対して、0.5~8質量%が好ましく、1~6質量%がより好ましく、2~5質量%がさらに好ましい。
【0038】
結着剤は、正極活物質やLiFeOを集電体の表面に繋ぎ止め、電極中の導電ネットワークを維持する役割を果たすものである。結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂を例示することができる。また、結着剤として、親水基を有するポリマーを採用してもよい。親水基を有するポリマーの親水基としては、カルボキシル基、スルホ基、シラノール基、アミノ基、水酸基、リン酸基が例示される。親水基を有するポリマーの具体例として、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリメタクリル酸、ポリ(p-スチレンスルホン酸)を挙げることができる。
【0039】
本発明の組成物に含まれる固形分における結着剤の配合量は、本発明の組成物の固形分に対し、0.5~15質量%の範囲内が好ましく、1~10質量%の範囲内がより好ましく、2~5質量%の範囲内が特に好ましい。結着剤の配合量が少なすぎると組成物を正極活物質層とした場合に当該層の成形性や、集電体との密着性が低下するおそれがある。また、結着剤の配合量が多すぎると、正極活物質層における正極活物質の割合が減少するため、容量の点からは好ましいとはいえない。
【0040】
溶剤としては、具体的にN-メチル-2-ピロリドン(以下、「NMP」と略す場合がある。)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、及びテトラヒドロフランを例示できる。これらの溶剤は、1種類を単独で本発明の組成物に用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0041】
本発明の組成物において、その全質量に対する上記溶剤の配合量は、10~60質量%の範囲内が好ましく、20~50質量%の範囲内がより好ましく、25~45質量%の範囲内がさらに好ましく、30~40質量%の範囲内が特に好ましい。
【0042】
本発明の組成物には、導電助剤が配合されるのが好ましい。
【0043】
導電助剤は、電極の導電性を高めるために添加される。導電助剤としては化学的に不活性な電子伝導体であれば良く、炭素質微粒子であるカーボンブラック、黒鉛、気相法炭素繊維(Vapor Grown Carbon Fiber)、および各種金属粒子などが例示される。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、ファーネスブラック、チャンネルブラックなどが例示される。これらの導電助剤を単独または二種以上組み合わせて用いることができる。
【0044】
導電助剤はその形状が特に制限されるものではないが、その役割からみて、その平均粒子径は小さいほうが好ましい。第1正極活物質よりも平均粒子径が小さいものが好ましく、第1正極活物質及び第2正極活物質の両者よりも平均粒子径が小さいものがより好ましい。導電助剤の平均粒子径を挙げると、10μm以下が好ましく、0.01~5μmの範囲内がより好ましく、0.02~3μmの範囲内がさらに好ましく、0.03~1μmの範囲内が特に好ましい。
【0045】
本発明の組成物における導電助剤の配合量は、本発明の組成物の固形分に対して、0.5~8質量%の範囲内が好ましく、1~5質量%の範囲内がより好ましく、2~4質量%の範囲内が特に好ましい。
【0046】
本発明の組成物が導電助剤を含む場合には、導電助剤の好適な配合量が少量である点からみて、本発明の組成物の製造方法において、正極活物質が添加されるよりも前の工程で、導電助剤が添加されるのが好ましい。
具体的には、A)工程を、以下のA-1)工程とするのが好ましい。
【0047】
A-1)結着剤、導電助剤及び溶剤を混合して、A液を製造する工程
【0048】
また、本発明の組成物には、分散剤が配合されるのが好ましい。分散剤の存在に因り、本発明の組成物中で正極活物質や導電助剤が好適に分散状態を維持でき、その結果、本発明の組成物の物性がより好適に維持される。分散剤としては、本発明の組成物中で正極活物質及び導電助剤を分散し得るものであればよい。
【0049】
本発明の組成物に含まれる分散剤の配合量は、本発明の組成物の固形分に対し、0.01~1質量%の範囲内が好ましく、0.05~0.7質量%の範囲内がより好ましく、0.1~0.5質量%の範囲内が特に好ましい。
【0050】
具体的な分散剤としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ビニルピロリドン、ビニルアルコール若しくはアルキレンオキサイドから選択される少なくとも1種のモノマーを用いた重合体又はその誘導体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース若しくはヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース系ポリマー又はその塩、リン酸エステル若しくはその塩、ポリウレタン、脂肪酸アミド、アルキルアルコールアミン、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、アミン価及び酸価を示す櫛型構造のポリマー、又は、アミン価を示す櫛型構造のアクリル系ブロックコポリマーを挙げることができる。分散剤が高分子の場合、その数平均又は重量平均分子量は1000~1000000の範囲内が好ましく、2000~500000の範囲内がより好ましく、3000~200000の範囲内が特に好ましい。
【0051】
これらの分散剤は、1種類を単独で本発明の組成物に用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0052】
本発明の組成物が分散剤を含む場合には、分散剤の好適な配合量が少量である点と分散剤の役割からみて、本発明の組成物の製造方法のなるべく前の工程で、分散剤が添加されるのが好ましい。
具体的には、A)工程を、以下のA-2)工程又はA-3)工程とするのが好ましい。
【0053】
A-2)結着剤、分散剤及び溶剤を混合して、A液を製造する工程
A-3)結着剤、分散剤、導電助剤及び溶剤を混合して、A液を製造する工程
【0054】
A)工程、B)工程及びC)工程に用いる混合装置としては、混合攪拌機、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、分散機、超音波分散機、ホモジナイザー、ホモミキサー、プラネタリーミキサー、遊星式攪拌脱泡装置を例示できる。具体的な混合装置としては、商品名ディスパーミキサー(プライミクス株式会社)、商品名クレアミックス(エム・テクニック株式会社)、商品名フィルミックス(プライミクス株式会社)、商品名ペイントコンディショナー(レッドデビル社)、商品名DYNO-MILL(株式会社シンマルエンタープライゼス)、商品名アイリッヒ インテンシブ ミキサー(日本アイリッヒ株式会社)、商品名脱泡機DP-200(エム・テクニック株式会社)、商品名あわとり練太郎(株式会社シンキー)、商品名スターミル(アシザワファインテック株式会社)、商品名ホモディスパー(プライミクス株式会社)を挙げることができる。
【0055】
A)工程、B)工程及びC)工程における混合速度及び混合時間は、各成分が好適に分散若しくは溶解できる速度及び時間を適宜設定すればよい。具体的な混合速度としては、例えば、回転数500~50000rpmや、周速5~70m/sなどの範囲内で適宜適切に設定すればよい。
【0056】
基本的にC液が本発明の組成物となる。本発明の組成物には、正極活物質層に配合され得る公知の添加剤が配合されても良く、その場合には、添加剤の配合量に応じて、投入順序を決定すれば良い。
【0057】
本発明の組成物を用いて正極活物質層を製造でき、さらに、該正極活物質層を具備する正極、及び、該正極を具備するリチウムイオン二次電池を製造できる。
【0058】
正極は、集電体と、集電体の表面に結着させた正極活物質層で構成される。
【0059】
集電体は、リチウムイオン二次電池の放電又は充電の間、電極に電流を流し続けるための化学的に不活性な電子伝導体をいう。集電体としては、銀、銅、金、アルミニウム、マグネシウム、タングステン、コバルト、亜鉛、ニッケル、鉄、白金、錫、インジウム、チタン、ルテニウム、タンタル、クロム、モリブデンから選ばれる少なくとも一種、並びにステンレス鋼などの金属材料を例示することができる。集電体は公知の保護層で被覆されていても良い。
【0060】
集電体は箔、シート、フィルム、線状、棒状などの形態をとることができる。そのため、集電体として、例えば銅箔、ニッケル箔、アルミニウム箔、ステンレス箔などの金属箔を好適に用いることができる。集電体が箔、シート、フィルム形態の場合は、その厚みが10μm~100μmの範囲内であることが好ましい。
【0061】
集電体の表面に正極活物質層を形成させる方法としては、ロールコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法などの従来から公知の方法を用いて、集電体の表面に本発明の組成物を塗布すればよい。具体的には、本発明の組成物を集電体の表面に塗布する塗布工程後、乾燥により溶剤を除去して正極活物質層を形成させ、正極とする。必要に応じて電極密度を高めるべく、乾燥後の正極を圧縮しても良い。なお、本発明の組成物は、比較的経時安定性に優れているので、必ずしもその調製直後に塗布工程に用いる必要はない。
【0062】
リチウムイオン二次電池は、電池構成要素として、正極、負極、固体電解質、又は、セパレータ及び電解液を含む。
【0063】
負極は、集電体と、集電体の表面に結着させた負極活物質層を有する。
負極活物質層は負極活物質、並びに必要に応じて結着剤及び/又は導電助剤を含む。
【0064】
集電体、結着剤及び導電助剤は、正極又は本発明の組成物で説明したものを採用すればよい。また、負極活物質層用の結着剤としてスチレン-ブタジエンゴムを採用しても良い。
【0065】
負極活物質としては、リチウムイオン二次電池の負極活物質として採用可能な材料であれば限定されない。本発明の趣旨からみて、不可逆容量の大きな負極活物質を採用するのが好ましい。特に、負極活物質としては、Si含有負極活物質を採用するのが好ましい。
【0066】
Si含有負極活物質としては、Siを含有し、負極活物質として機能するものであればよい。具体的なSi含有負極活物質としては、ケイ素単体、SiOx(0.3≦x≦1.6)、Siと他の金属との合金、国際公開第2015/114692号に記載のシリコン材料(以下、単に「シリコン材料」ということがある。)を例示できる。
【0067】
シリコン材料は、例えば、CaSiと酸とを反応させてCaを除去したポリシランを主成分とする層状シリコン化合物を合成し、当該層状シリコン化合物を300℃以上で加熱して水素を離脱させる方法で製造される。当該シリコン材料は、複数枚の板状シリコン体が厚さ方向に積層されてなる構造を有する。この構造は、走査型電子顕微鏡などによる観察で確認できる。当該シリコン材料を、リチウムイオン二次電池の活物質として使用することを考慮すると、リチウムイオンの効率的な挿入及び脱離反応のためには、板状シリコン体は厚さが10nm~100nmの範囲内のものが好ましく、20nm~50nmの範囲内のものがより好ましい。また、板状シリコン体の長軸方向の長さは、0.1μm~50μmの範囲内のものが好ましい。また、板状シリコン体は、(長軸方向の長さ)/(厚さ)が2~1000の範囲内であるのが好ましい。
【0068】
当該シリコン材料には、アモルファスシリコン及び/又はシリコン結晶子が含まれるのが好ましい。シリコン結晶子のサイズは、0.5nm~300nmの範囲内が好ましく、1nm~100nmの範囲内がより好ましく、1nm~50nmの範囲内がさらに好ましく、1nm~10nmの範囲内が特に好ましい。なお、シリコン結晶子のサイズは、シリコン材料に対してX線回折測定(XRD測定)を行い、得られたXRDチャートのSi(111)面の回折ピークの半値幅を用いたシェラーの式から算出される。
【0069】
シリコン材料には、製造方法に由来するCa、Clなどの元素や、O、AlやFeなどの機能向上元素が含有されているのが好ましい。シリコン材料の好適な組成式として、SiO0.2~0.75Al0~0.006(Cl,Ca,Fe)0~0.03を挙げることができる。
【0070】
必要に応じ、負極活物質はカーボンコートを施されてもよい。また、負極活物質の平均粒子径としては、1~30μmの範囲内が好ましく、1~10μmの範囲内がより好ましい。
【0071】
固体電解質としては、リチウムイオン二次電池の固体電解質として使用可能なものを適宜採用すればよい。
【0072】
セパレータは、正極と負極とを隔離し、両極の接触による短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。セパレータとしては、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン若しくはポリエチレンなどの合成樹脂を1種又は複数用いた多孔質膜、またはセラミックス製の多孔質膜が例示できる。
【0073】
電解液は、非水溶媒と、非水溶媒に溶解された電解質とを含んでいる。
【0074】
非水溶媒としては、環状カーボネート、環状エステル、鎖状カーボネート、鎖状エステル、エーテル類等が使用できる。環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートを例示でき、環状エステルとしては、ガンマブチロラクトン、2-メチル-ガンマブチロラクトン、アセチル-ガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトンを例示できる。鎖状カーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネートを例示でき、鎖状エステルとしては、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル等を例示できる。エーテル類としては、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、1,2-ジブトキシエタンを例示できる。非水溶媒としては、上記具体的な溶媒の化学構造のうち一部又は全部の水素がフッ素に置換した化合物を採用しても良い。電解液には、非水溶媒を単独で用いてもよいし、又は、複数を併用してもよい。
【0075】
電解質としては、LiClO、LiAsF、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(FSO、LiN(CFSO等のリチウム塩を例示できる。
【0076】
電解液としては、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどの溶媒に、リチウム塩を0.5mol/Lから2.5mol/L程度の濃度で溶解させた溶液を例示できる。
【0077】
リチウムイオン二次電池の製造方法としては、本発明の組成物を用いて製造された正極を配置する工程を有していればよい。以下、リチウムイオン二次電池の具体的な製造方法を例示する。正極および負極にセパレータを挟装させ電極体とする。電極体は、正極、セパレータ及び負極を重ねた積層型、又は、正極、セパレータ及び負極を捲いた捲回型のいずれの型にしても良い。正極の集電体および負極の集電体から、外部に通ずる正極端子および負極端子までの間を、集電用リード等を用いて接続した後に、電極体に電解液を加えてリチウムイオン二次電池とするとよい。
【0078】
リチウムイオン二次電池は車両に搭載することができる。リチウムイオン二次電池は、大きな充放電容量を維持し、かつ優れたサイクル性能を有するため、これを搭載した車両は、高性能の車両となる。
【0079】
車両としては、電池による電気エネルギーを動力源の全部または一部に使用する車両であればよく、例えば、電気自動車、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド鉄道車両、電動フォークリフト、電気車椅子、電動アシスト自転車、電動二輪車が挙げられる。
【0080】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
【実施例
【0081】
以下に、実施例、比較例などを示し、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
【0082】
(実施例1)
A)工程
結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(ポリフッ化ビニリデン8質量%含有のNMP溶液(株式会社クレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパン製のL#7208)を使用)、導電助剤としてのアセチレンブラック(電気化学工業株式会社製のデンカブラック粒状品:一次粒径35nm)、若干量の分散剤、及び、溶剤としてのNMPを混合装置で混合して、A液とした。
【0083】
B)工程
A液に、第2正極活物質として、表面をカーボンコートしたLi(Mn2/3Fe1/3)POを添加して、混合装置で混合し、B-1液を製造した。使用した第2正極活物質のD50は8μmであった。
次いで、B-1液に、第1正極活物質として層状岩塩構造のLiNi87/100Co10/100Al3/10を添加して、混合装置で混合し、B液を製造した。使用した第1正極活物質のD50は10μmであった。
【0084】
C)工程
B液に、表面をカーボンコートしたLiFeOを添加して、混合装置で混合し、C液を製造した。表面をカーボンコートしたLiFeOのD50は20μmであった。また、表面をカーボンコートしたLiFeOにおける炭素含有量は2質量%であった。なお、LiFeOのカーボンコートは、熱CVD法で行った。
C液を実施例1の組成物とした。
【0085】
実施例1の組成物において、溶剤以外の固形分の量は64質量%であった。また、実施例1の組成物における、第1正極活物質と第2正極活物質とLiFeOと導電助剤と結着剤との質量比は、第1正極活物質:第2正極活物質:LiFeO:導電助剤:結着剤=69:19.3:6.7:2:3であった。
【0086】
(比較例1)
LiFeOの添加を、A)工程とB)工程の間に行ったこと以外は実施例1と同様の方法で、比較例1の組成物を製造した。
【0087】
(評価例1)
実施例1及び比較例1の組成物につき、製造直後の粘度を測定した。さらに、それぞれの組成物を、弱い撹拌条件下の室温密閉状態で、製造から24時間経過させて、粘度を測定した。粘度は、ブルックフィールドB型粘度計DV-II +Proにて、スピンドル64を用い、スピンドル回転速度20rpm、25℃の条件で測定した。以下の計算式で、実施例1及び比較例1の組成物の粘度増加率を算出した。
粘度増加率(%)=100×(24時間後粘度-製造直後粘度)/製造直後粘度
【0088】
比較例1の組成物は、24時間経過後にゲル化しており、粘度測定が出来なかった。他方、実施例1の組成物の粘度増加率は-19%であった。すなわち、実施例1の組成物の粘度は24時間後に低下していた。本発明の組成物の製造方法の顕著な効果が裏付けられたといえる。