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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/08 20060101AFI20220203BHJP
   B66C 23/78 20060101ALI20220203BHJP
   B62D 55/32 20060101ALI20220203BHJP
   B60S 5/00 20060101ALI20220203BHJP
   B60S 9/12 20060101ALN20220203BHJP
【FI】
E02F9/08 Z
B66C23/78 Z
B62D55/32
B60S5/00
B60S9/12
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018049037
(22)【出願日】2018-03-16
(65)【公開番号】P2019157579
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136250
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 博臣
(72)【発明者】
【氏名】小田 博之
(72)【発明者】
【氏名】蔵本 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】藤田 嗣人
【審査官】皆藤 彰吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-240574(JP,A)
【文献】特開2007-230747(JP,A)
【文献】特開2000-072044(JP,A)
【文献】特開2017-036586(JP,A)
【文献】特開2015-030563(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/08
B66C 23/78
B62D 55/32
B60S 5/00
B60S 9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体と、
前記走行体に対して旋回可能に搭載される旋回体フレームとを備え、
前記旋回体フレームの後部に、ジャッキアップ装置を取り付けるためのジャッキアップ装置取付ブラケットが設けられ、
前記ジャッキアップ装置取付ブラケットは、前記旋回体フレームへの取付面と、前記取付面とは反対側の反対面とを有し、
前記取付面には、前記ジャッキアップ装置取付ブラケットを前記旋回体フレームに取り付けるための取付け部材が設けられ、
前記反対面には、前記ジャッキアップ装置を取り付けるためのジャッキアップ装置取付部が設けられていることを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記旋回体フレームの後部は、カウンタウエイト取付部として構成されており、
前記カウンタウエイト取付部の上面には、カウンタウエイトが設けられ、
前記カウンタウエイト取付部の下面には、前記ジャッキアップ装置取付ブラケットが設けられ、
前記カウンタウエイトと前記ジャッキアップ装置取付ブラケットとは、共にカウンタウエイト取付ボルトによって前記カウンタウエイト取付部に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の建設機械。
【請求項3】
前記取付け部材として、前記ジャッキアップ装置取付ブラケットの機械幅方向両側には、前記旋回体フレームの後部に引っ掛けられる一対の引掛け部材が設けられていることを特徴とする請求項2記載の建設機械。
【請求項4】
前記一対の引掛け部材は、機械幅方向の位置が調整できるように、ブラケット本体に設けた穴に対してボルトで取り付けられていることを特徴とする請求項3記載の建設機械。
【請求項5】
前記ジャッキアップ装置取付ブラケットの下面には、ジャッキアップ装置を取り付けるための切欠きガイド部と固定ピン穴とが設けられていることを特徴とする請求項1から4のうち何れか一記載の建設機械。
【請求項6】
前記ジャッキアップ装置取付ブラケットのブラケット本体は、機械幅方向両側に突出する一対の凸形状部を有し、
前記一対の引掛け部材は、前記一対の凸形状部に設けられており、
前記一対の凸形状部には、更に、前記一対の引掛け部材を前記カウンタウエイト取付部に引っ掛ける際に吊るための一対の吊り部が設けられていることを特徴とする請求項3記載の建設機械。
【請求項7】
前記ジャッキアップ装置取付ブラケットにおいて、前記旋回体フレームに取り付けられるフレーム側プレートと、前記ジャッキアップ装置取付部が設けられるジャッキ側プレートとが分割可能に構成されていることを特徴とする請求項1から6のうち何れか一記載の建設機械。
【請求項8】
前記取付け部材として、前記ジャッキアップ装置取付ブラケットの機械幅方向両側には、前記旋回体フレームの後部に引っ掛けられる一対の引掛け部材が設けられていることを特徴とする請求項1記載の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旋回体フレームの後部にカウンタウエイトが取り付けられる建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
大型の建設機械を運搬する場合、重量、幅及び高さ等の制限を受けるため、建設機械からクローラを取り外す必要がある。そこで、メインブームに取り付けられたジャッキアップ装置と上部旋回体の後部に取り付けられたジャッキアップ装置とによって、機械本体をジャッキアップする構成が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-240574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の後部ジャッキアップ装置は旋回体フレームのカウンタウエイト取付ボルト穴を使用しており、ジャッキアップ装置を取り付ける場合にカウンタウエイトを取り外す必要がある。また、ジャッキアップ装置を取り付ける際に、ジャッキアップ装置をクレーンで吊った状態でボルトと取付穴との位置合わせを行うが、吊った状態で位置合わせを行うことが困難であり、ボルトの本数も多く締め付けが煩雑であるという課題があった。
【0005】
そこで本発明は、ジャッキアップ装置を取り付ける際の作業効率を向上させることができる建設機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、走行体と、前記走行体に対して旋回可能に搭載される旋回体フレームとを備え、前記旋回体フレームの後部に、ジャッキアップ装置を取り付けるためのジャッキアップ装置取付ブラケットが設けられ、前記ジャッキアップ装置取付ブラケットは、前記旋回体フレームへの取付面と、前記取付面とは反対側の反対面とを有し、前記取付面には、前記ジャッキアップ装置取付ブラケットを前記旋回体フレームに取り付けるための取付け部材が設けられ、前記反対面には、前記ジャッキアップ装置を取り付けるためのジャッキアップ装置取付部が設けられている建設機械を提供している。
【0007】
ここで、前記旋回体フレームの後部は、カウンタウエイト取付部として構成されており、前記カウンタウエイト取付部の上面には、カウンタウエイトが設けられ、前記カウンタウエイト取付部の下面には、前記ジャッキアップ装置取付ブラケットが設けられ、前記カウンタウエイトと前記ジャッキアップ装置取付ブラケットとは、共にカウンタウエイト取付ボルトによって前記カウンタウエイト取付部に取り付けられているのが好ましい。
【0008】
また、前記取付け部材として、前記ジャッキアップ装置取付ブラケットの機械幅方向両側には、前記旋回体フレームの後部に引っ掛けられる一対の引掛け部材が設けられているのが好ましい。
【0009】
また、前記一対の引掛け部材は、機械幅方向の位置が調整できるように、ブラケット本体に設けた穴に対してボルトで取り付けられているのが好ましい。
【0010】
また、前記ジャッキアップ装置取付ブラケットの下面には、ジャッキアップ装置を取り付けるための切欠きガイド部と固定ピン穴とが設けられているのが好ましい。
【0011】
また、前記ジャッキアップ装置取付ブラケットのブラケット本体は、機械幅方向両側に突出する一対の凸形状部を有し、前記一対の引掛け部材は、前記一対の凸形状部に設けられており、前記一対の凸形状部には、更に、前記一対の引掛け部材を前記カウンタウエイト取付部に引っ掛ける際に吊るための一対の吊り部が設けられているのが好ましい。
【0012】
また、前記ジャッキアップ装置取付ブラケットにおいて、前記旋回体フレームに取り付けられるフレーム側プレートと、前記ジャッキアップ装置取付部が設けられるジャッキ側プレートとが分割可能に構成されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の建設機械によれば、ジャッキアップ装置取付ブラケットが旋回体フレームに前もって取り付けられている。このため、建設機械にジャッキアップ装置を取り付ける場合には、ジャッキアップ装置取付ブラケットにジャッキアップ装置を取り付ければよく、作業効率が良い。
【0014】
請求項2記載の建設機械によれば、ジャッキアップ装置取付ブラケットがカウンタウエイト取付ボルトによって旋回体フレームに取り付けられているため、ジャッキアップ装置取付ブラケットを頑丈に固定することができる。
【0015】
請求項3記載の建設機械によれば、引掛け部材によってジャッキアップ装置取付ブラケットを旋回体フレームの後部に引っ掛けた状態で、カウンタウエイトを旋回体フレームに載せて、ジャッキアップ装置取付ブラケットとカウンタウエイトとをボルトで締結するため、作業が行い易い。
【0016】
請求項4記載の建設機械によれば、構造物の製缶ひずみの影響で寸法公差が重なり、旋回体フレームの張出部やジャッキアップ装置取付ブラケットの幅に個体差がある場合に、引掛け部材の機械幅方向の位置を調整することができる。
【0017】
請求項5記載の建設機械によれば、まずジャッキアップ装置の引掛け用ピンを切欠きガイド部に引っ掛け、その後、ジャッキアップ装置の固定ピン穴とジャッキアップ装置取付ブラケットの固定ピン穴との位置合わせを行って固定ピンを挿入する。このため、位置合わせ作業が容易にできる。また、一方のピン(引掛け用ピン)を切欠きガイド部に引っ掛けた状態で他方のピン(固定ピン)を固定ピン穴に挿入することができるため、安全に作業を行うことができる。更に、切欠きガイド部の代わりに通常のピン穴を設ける場合と比べて、ジャッキアップ装置を着脱するために抜き差しする固定ピンの本数を減らすことができる。
【0018】
請求項6記載の建設機械によれば、ジャッキアップ装置取付ブラケットのブラケット本体は、機械幅方向両側に突出する一対の凸形状部を有する。ジャッキアップ装置取付ブラケットを旋回体フレーム(カウンタウエイト取付部)に取り付ける際にクレーンで吊る必要があるが、最低限必要な部分のみ突出しているため、吊り作業での支障が少ない。
【0019】
請求項7記載の建設機械によれば、旋回体フレームに取り付けられるフレーム側プレートと、ジャッキアップ装置取付部が設けられるジャッキ側プレートとが分割可能に構成されているため、ジャッキアップ装置取付部が破損した場合でも、ジャッキ側プレートのみを修理又は交換することができ、メンテナンス性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態による建設機械を示す概略側面図。
図2】旋回体フレームを斜め後方から見た斜視図。
図3】ジャッキアップ装置取付ブラケットの上面を示す斜視図。
図4】ジャッキアップ装置取付ブラケットの下面を示す斜視図。
図5】引掛け部材及び吊り環を取り除いたジャッキアップ装置取付ブラケットを示す斜視図。
図6】ジャッキアップ装置を装着する前の建設機械の後面図(要部のみ示す)。
図7】ジャッキアップ装置を示す斜視図。
図8】ジャッキアップ装置の装着工程を示す図(その1)。
図9】ジャッキアップ装置の装着工程を示す図(その2)。
図10】ジャッキアップ装置の装着工程を示す図(その3)。
図11】ジャッキアップ装置を装着した状態の建設機械の後面図(要部のみ示す)。
図12】第一変形例による分割型ジャッキアップ装置取付ブラケットを後面から見た概略図。
図13図12のジャッキアップ装置取付ブラケットのフレーム側プレートの上面図。
図14図12のジャッキアップ装置取付ブラケットのジャッキ側プレートの下面図、後面図及び側面図。
図15】第二変形例による分割型ジャッキアップ装置取付ブラケットを後面から見た概略図。
図16図15のジャッキ側プレートの下面図。
図17】第三変形例による分割型ジャッキアップ装置取付ブラケットを後面から見た概略図。
図18図17のジャッキアップ装置取付ブラケットのジャッキ側プレートの下面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態による建設機械1について図1から図11に基づき説明する。
【0022】
図1に示すように、建設機械1は、クローラ式の下部走行体2と上部旋回体3とを備えて構成される。図1に示すように、下部走行体2(走行体の一例)は、上部旋回体3の下方に配置されており、カーボディ(図示せず)やクローラ21等を備えて構成される。
【0023】
上部旋回体3は、下部走行体2上に搭載されており、鉛直軸まわりに旋回することが可能である。上部旋回体3は、フレーム4(旋回体フレーム4の一例)上に、運転室31、機械室32等が搭載されている。
【0024】
上部旋回体3の前部(フレーム4の前部)には、上下に起伏可能なブーム33が装着されている。上部旋回体3の後部(フレーム4の後部)には、ブーム33を含む作業アタッチメントと重量バランスを取るためのカウンタウエイト34が設けられる。
【0025】
図2は、フレーム4の後部を示す。図2に示すように、フレーム4は、底板42と、底板42上に立設されフレーム4の骨格をなす左右の縦板43と、縦板43上に設けられる上板44とを備える。底板42のうち、左右の縦板43から機械幅方向外側へ張り出す部分は、後述の張出部45として構成されている。なお、図2には示されていないが、フレーム4中ほどの底板42には旋回ベアリングが取り付けられている。また、フレーム4前部の左右の縦板43の間にはブーム33が装着されている。
【0026】
フレーム4の後部はカウンタウエイト取付部41として構成されており、カウンタウエイト取付部41の上面にカウンタウエイト34が設けられている(図1)。カウンタウエイト取付部41には、カウンタウエイト34を取り付けるための複数の取付用穴41h(図2)が上下方向に貫通して形成されている。
【0027】
一方、カウンタウエイト取付部41の下面には、ジャッキアップ装置取付ブラケット5が設けられている(図1)。
【0028】
カウンタウエイト34とジャッキアップ装置取付ブラケット5とは、共にカウンタウエイト取付ボルト35(図6)によってカウンタウエイト取付部41に取り付けられている。詳しくは後述する。
【0029】
以下、ジャッキアップ装置取付ブラケット5(以下、単に「取付ブラケット5」と呼ぶ)について詳しく説明する。
【0030】
図3図4に示すように、取付ブラケット5は板状のブラケット本体51を有する。ブラケット本体51は、機械幅方向両側に突出する一対の三角状端部51E(凸形状部の一例)を有する。ブラケット本体51には、カウンタウエイト取付ボルト35が挿通される複数(本実施形態では4つ)の取付用穴51hが上下方向に貫通して形成されている。
【0031】
ブラケット本体51の上面51U(より詳しくは三角状端部51Eの上面)には、カウンタウエイト取付部41の張出部45に引っ掛けられる一対の引掛け部材52(取付け部材の一例)が設けられている。引掛け部材52とブラケット本体51の上面51Uとの間に隙間52aが形成されている。なお、上面51Uは、旋回体フレームへの取付面の一例である。
【0032】
図5に示すように、ブラケット本体51には、引掛け部材52を取り付けるための複数の引掛け部材用穴51aが形成されている。引掛け部材用穴51aは、機械幅方向に長い長穴として形成されている。引掛け部材52は、引掛け部材用穴51aに対してボルトで取り付けられ、機械幅方向の位置を調整した状態で固定される。
【0033】
また、ブラケット本体51の上面51U(より詳しくは三角状端部51Eの上面)には、更に、一対の吊り環53(吊り部の一例)が設けられている。吊り環53は、引掛け部材52をカウンタウエイト取付部41に引っ掛ける際にクレーンで取付ブラケット5を吊るための部材である。吊り環53は、引掛け部材52よりも機械幅方向外側であって三角状端部51Eの先端付近に設けられている。
【0034】
一方、ブラケット本体51の下面51Lであって取付用穴51hよりも機械幅方向内側には、一対のジャッキアップ装置取付部55が設けられている。各ジャッキアップ装置取付部55は、前後方向に延び、上端がブラケット本体51の下面51Lに固定された縦板状の部材である。なお、下面51Lは、取付面とは反対側の反対面の一例である。
【0035】
ジャッキアップ装置取付部55には、後述のジャッキアップ装置9(図7)を取り付けるための切欠きガイド部56と固定ピン穴57とが形成されている。本実施形態では、切欠きガイド部56が後側にあり、固定ピン穴57が前側にある。切欠きガイド部56は、後方に開放した切欠きとして形成されている。固定ピン穴57は、貫通穴として形成されている。
【0036】
なお、ブラケット本体51の下面51Lであって各取付用穴51hの周囲には、カウンタウエイト取付ボルト35を保護するための保護カバー59(図4)が設けられている。
【0037】
建設機械1の組立時に、カウンタウエイト34及び取付ブラケット5をフレーム4に組み付ける手順について説明する。
【0038】
まず、取付ブラケット5をクレーンで吊り、左右の引掛け部材52がフレーム4の張出部45に引っ掛かった(載った)状態で、取付ブラケット5を前方へスライドさせ、取付ブラケット5の取付用穴51hがフレーム4(カウンタウエイト取付部41)の取付用穴41hと合う位置まで取付ブラケット5を移動させる。このとき、引掛け部材52とブラケット本体51の上面51Uとの隙間52aに張出部45が入った状態である。
【0039】
次に、カウンタウエイト34をクレーンで吊って、カウンタウエイト取付部41上に載せる。
【0040】
最後に、カウンタウエイト取付ボルト35(図6)を、下から取付ブラケット5の取付用穴51h、フレーム4(カウンタウエイト取付部41)の取付用穴41h、カウンタウエイト34の取付穴(図示せず)の順に挿入して、締結する。これにより、取付ブラケット5とカウンタウエイト34とが、フレーム4に対して共締めされる。
【0041】
図6に、カウンタウエイト34及び取付ブラケット5がフレーム4に組み付けられた状態(後面図)を示す。なお、図6では、カウンタウエイト34及び取付ブラケット5のみを示しており、クローラ21等は省略している。
【0042】
次に、図7を参照して、ジャッキアップ装置9について簡単に説明する。ジャッキアップ装置9はトランスリフタとも呼ばれる。ジャッキアップ装置9は、ジャッキ本体90と、一対のジャッキシリンダ91と、一対のブラケット装着部92とを備える。
【0043】
ジャッキシリンダ91は、いわゆる油圧ジャッキとして構成されている。ジャッキシリンダ91は、ジャッキ本体90に対して回動可能に構成された回動部98に取り付けられている。なお、回動部98には、クレーンで吊るための吊り穴99が設けられている。
【0044】
各ブラケット装着部92は2枚の縦板から構成されており、この2枚の縦板に形成されたピン穴に引掛け用ピン93と固定ピン94とが挿通されている。引掛け用ピン93及び固定ピン94は、それぞれ止め具95,96で抜け止めされている。
【0045】
次に、図8から図10を参照して、ジャッキアップ装置9の装着工程を説明する。
【0046】
まず、吊りプレート80を使用してジャッキアップ装置9をクレーンに接続し、建設機械1の後側に置く(図8)。
【0047】
次に、ジャッキアップ装置9を吊り上げて取付ブラケット5の下に位置させ、少し前に傾けた状態で、引掛け用ピン93(後側のピン)を取付ブラケット5の切欠きガイド部56に挿入して引っ掛ける(図9)。
【0048】
そして、ジャッキアップ装置9の固定ピン94(前側のピン)の穴と取付ブラケット5の固定ピン穴57との位置を合わせ、固定ピン94で固定する(図10)。
【0049】
以上のような手順で、ジャッキアップ装置9が建設機械1(より詳しくは取付ブラケット5)に対して装着される。図11に、ジャッキアップ装置9が建設機械1に装着された状態(後面図)を示す。
【0050】
上述した実施形態による建設機械1によれば、カウンタウエイト34と取付ブラケット5とがフレーム4に前もって取り付けられている。このため、建設機械1にジャッキアップ装置9を取り付ける場合に、カウンタウエイト34を取り外す必要がなく、取付ブラケット5にジャッキアップ装置9を取り付ければよいため、作業効率が良い。
【0051】
また、取付ブラケット5は、カウンタウエイト取付ボルト35によってフレーム4に取り付けられているため、取付ブラケット5を頑丈に固定することができる。
【0052】
また、建設機械1によれば、引掛け部材52によって取付ブラケット5をカウンタウエイト取付部41に引っ掛けた状態で、カウンタウエイト34をカウンタウエイト取付部41に載せて、取付ブラケット5とカウンタウエイト34とをボルト35で締結するため、作業が行い易い。仮に引掛け部材52がないと、取付ブラケット5とカウンタウエイト34とをボルト35で締結する際に、何らかの方法でカウンタウエイト取付部41の下面に取付ブラケット5を保持しておく必要があり、作業が困難となる。
【0053】
また、建設機械1によれば、構造物の製缶ひずみの影響で寸法公差が重なり、フレーム4の張出部45や取付ブラケット5の幅に個体差がある場合に、引掛け部材52の機械幅方向の位置を調整することができる。
【0054】
また、建設機械1に対してジャッキアップ装置9を装着する際には、まずジャッキアップ装置9の引掛け用ピン93を切欠きガイド部56に引っ掛け、その後、ジャッキアップ装置9の固定ピン94の穴と取付ブラケット5の固定ピン穴57との位置合わせを行って固定ピン94を挿入する。このため、位置合わせ作業が容易にできる。また、一方のピン(引掛け用ピン93)を切欠きガイド部56に引っ掛けた状態で他方のピン(固定ピン94)を固定ピン穴57に挿入することができるため、安全に作業を行うことができる。
【0055】
また、切欠きガイド部56の代わりに通常のピン穴を設ける場合と比べて、ジャッキアップ装置9を着脱するために抜き差しする固定ピンの本数が減るため作業の手間を減らすことができる。即ち、仮に図4の切欠きガイド部56の位置にも固定ピン穴57と同様のピン穴を設けた場合、抜き差しする固定ピンの本数が4本になるが、本実施形態では抜き差しする固定ピンの本数は2本(固定ピン94)となる。
【0056】
また、取付ブラケット5のブラケット本体51は、機械幅方向両側に突出する一対の三角状端部51E(凸形状部の一例)を有する。取付ブラケット5をカウンタウエイト取付部41に取り付ける際にクレーンで吊る必要があるが、最低限必要な部分のみ突出しているため、吊り作業での支障が少ない。
【0057】
本発明による建設機械は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
【0058】
例えば、上述した実施形態では、取付け部材の一例として、ブラケット本体51の上面51Uに一対の引掛け部材52が設けられていたが、これに限定されない。例えば、カウンタウエイト取付ボルト35を取付け部材として用いてもよいし、カウンタウエイト取付ボルト35以外の別のボルトを取付け部材として設定してもよい。
【0059】
また、上述した実施形態では、切欠きガイド部56と固定ピン穴57とが取付ブラケット5に設けられていたが、切欠きガイド部56の位置にも固定ピン穴57と同様のピン穴を設けてもよい。
【0060】
また、上述した実施形態では、切欠きガイド部56が後側にあり固定ピン穴57が前側にあったがこれに限られない。例えば、切欠きガイド部が前側にあって前方に開放していてもよい。
【0061】
また、上述した実施形態では、ブラケット本体51の引掛け部材用穴51aが機械幅方向に長い長穴として形成されていたが、引掛け部材52の方に長穴が形成されていてもよい。
【0062】
次に、第一変形例による分割型ジャッキアップ装置取付ブラケット105について図12から図14に基づき説明する。
【0063】
上述した実施形態では、旋回体フレーム4(カウンタウエイト取付部41)に取り付けられるブラケット本体51に対して、ジャッキアップ装置取付部55が一体的に設けられていた。本変形例では、旋回体フレーム4に取り付けられるフレーム側プレート150と、ジャッキアップ装置取付部55が設けられるジャッキ側プレート160とが分割可能に設けられる。
【0064】
具体的には、図13に示すように、フレーム側プレート150には、カウンタウエイト取付ボルト35が挿通される取付用穴151hと取付用切り欠き151cとが上下方向に貫通して形成されている。また、フレーム側プレート150の上面150Uには、上述の引掛け部材52と同様の引掛け部材152が設けられている。
【0065】
また、図14に示すように、ジャッキ側プレート160の下面160Lには、ジャッキアップ装置取付部55が設けられている。ジャッキ側プレート160は、フレーム側プレート150に対して、ボルト162によって取り付け又は取り外しすることができる。
【0066】
フレーム側プレート150は、カウンタウエイト取付ボルト35によって旋回体フレーム4に取り付けられるため、取り外すのに比較的手間がかかる。一方、ジャッキ側プレート160は、フレーム側プレート150から容易に取り外すことができる。このため、下方に突出する部材であるジャッキアップ装置取付部55が破損した場合でも、ジャッキ側プレート160のみを修理又は交換することができ、メンテナンス性が高い。
【0067】
なお、分割型ジャッキアップ装置取付ブラケット105を旋回体フレーム4に取り付ける際には、フレーム側プレート150とジャッキ側プレート160とを組み立ててから旋回体フレーム4に取り付けてもよいし、先にフレーム側プレート150のみを旋回体フレーム4に取り付けてからジャッキ側プレート160をフレーム側プレート150に取り付けてもよい。取付の順番は適宜変更できる。
【0068】
次に、第二変形例による分割型ジャッキアップ装置取付ブラケット105Aについて図15図16に基づき説明する。
【0069】
第二変形例の分割型ジャッキアップ装置取付ブラケット105Aでは、第一変形例の分割型ジャッキアップ装置取付ブラケット105に対して、吊り用アタッチメント170が追加されている。図15図16に示すように、吊り用アタッチメント170は、ジャッキ側プレート160の下面160Lの左右両側にボルトで取り付けられる。なお、図16では、ジャッキアップ装置取付部55の図示を省略している。
【0070】
各吊り用アタッチメント170には、クレーンで吊るための吊り部175が設けられている。これにより、分割型ジャッキアップ装置取付ブラケット105Aを旋回体フレーム4に対して脱着する際にクレーンでの吊り作業が可能となる。
【0071】
次に、第三変形例による分割型ジャッキアップ装置取付ブラケット205について図17図18に基づき説明する。第三変形例の分割型ジャッキアップ装置取付ブラケット205は、第二変形例の吊り用アタッチメント170がジャッキ側プレートに対して一体的に設けられたものである。
【0072】
図17図18に示すように、ジャッキ側プレート260は、ジャッキアップ装置取付部55が設けられるジャッキ側プレート本体261と、ジャッキ側プレート本体261の左右両側から突出して延びる吊り用突出部265とを有する。吊り用突出部265には、第二変形例と同様の吊り部175が設けられている。第三変形例によれば、吊り用突出部265がジャッキ側プレート本体261に一体的に設けられているため、構成が簡素化される。
【符号の説明】
【0073】
1 建設機械、 2 下部走行体、 3 上部旋回体、 4 旋回体フレーム、
5 ジャッキアップ装置取付ブラケット、 9 ジャッキアップ装置、
21 クローラ、 31 運転室、 32 機械室、 33 ブーム、
34 カウンタウエイト、 35 カウンタウエイト取付ボルト、
41 カウンタウエイト取付部、 41h 取付用穴、
42 底板、 43 縦板、 44 上板、 45 張出部、
51 ブラケット本体、 51E 三角状端部、
51U 上面、 51L 下面、
51a 引掛け部材用穴、 51h 取付用穴、
52 引掛け部材、 52a 隙間、 53 吊り環、
55 ジャッキアップ装置取付部、 56 ガイド部、
57 固定ピン穴、 59 保護カバー、 80 吊りプレート、
90 ジャッキ本体、 91 ジャッキシリンダ、
92 ブラケット装着部、 93 引掛け用ピン、 94 固定ピン、
95,96 止め具、 98 回動部、 99 吊り穴、
105,105A,205 分割型ジャッキアップ装置取付ブラケット、
150 フレーム側プレート、 150U 上面、
151c 取付用切り欠き、 151h 取付用穴、 152 引掛け部材、
160 ジャッキ側プレート、 160L 下面、 162 ボルト、
170 吊り用アタッチメント、 175 吊り部、
260 ジャッキ側プレート、 261 ジャッキ側プレート本体、
265 吊り用突出部。
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