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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】感放射線性組成物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/027 20060101AFI20220119BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20220119BHJP
   G03F 7/033 20060101ALI20220119BHJP
   C08F 212/08 20060101ALI20220119BHJP
   C08F 220/02 20060101ALI20220119BHJP
   C08F 220/32 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
G03F7/027
G03F7/004 501
G03F7/033
C08F212/08
C08F220/02
C08F220/32
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018050669
(22)【出願日】2018-03-19
(65)【公開番号】P2019164194
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2020-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000004178
【氏名又は名称】JSR株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
(72)【発明者】
【氏名】工藤 和生
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 満代
(72)【発明者】
【氏名】大沼 友希
(72)【発明者】
【氏名】成子 朗人
【審査官】高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-176218(JP,A)
【文献】特開2010-128136(JP,A)
【文献】特開平10-217434(JP,A)
【文献】特開2013-114096(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0199805(US,A1)
【文献】特開昭49-033639(JP,A)
【文献】特開2014-131998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004-7/18
G03F 7/033
C08F 212/08
C08F 220/02
C08F 220/32
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ可溶性樹脂と、
感放射線性化合物と、
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートと、
アリルメチルエーテルと、
を含有する感放射線性組成物。
【請求項2】
前記アリルメチルエーテルを10wtppm~50000wtppmの範囲で含有する請求項1に記載の感放射線性組成物。
【請求項3】
前記アルカリ可溶性樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が1,000~100,000であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が1.0~5.0である請求項1または2に記載の感放射線性組成物。
【請求項4】
前記アルカリ可溶性樹脂が、1個以上の酸性官能基を有するエチレン性不飽和単量体と、前記単量体と共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体との共重合体である請求項1~3のいずれか1項に記載の感放射線性組成物。
【請求項5】
少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物をさらに含有する請求項1~4のいずれか1項に記載の感放射線性組成物。
【請求項6】
層間絶縁膜、保護膜またはスペーサーとしての硬化膜形成用である請求項1~5のいずれか1項に記載の感放射線性組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の感放射線性組成物から形成された、層間絶縁膜、保護膜またはスペーサーとしての硬化膜。
【請求項8】
請求項7に記載の硬化膜を有する表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感放射線性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
感放射線性組成物は、従来、表示素子が有する硬化膜であって、層間絶縁膜、保護膜およびスペーサー等のパターニングされた硬化膜を形成するために用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-159601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らの検討によれば、従来の感放射線性組成物は液状組成物として構成した場合に保存安定性が良好ではない場合がある。本発明の課題は、保存安定性が良好である感放射線性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記課題を解決すべく検討した結果、下記組成の感放射線性組成物により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、以下の[1]~[9]に関する。
【0006】
[1]アルカリ可溶性樹脂と、感放射線性化合物と、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートと、アリルメチルエーテルとを含有する感放射線性組成物。
[2]前記アリルメチルエーテルを10wtppm~50000wtppmの範囲で含有する前記[1]に記載の感放射線性組成物。
[3]前記アルカリ可溶性樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が1,000~100,000であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が1.0~5.0である前記[1]または[2]に記載の感放射線性組成物。
[4]前記アルカリ可溶性樹脂が、1個以上の酸性官能基を有するエチレン性不飽和単量体と、前記単量体と共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体との共重合体である前記[1]~[3]のいずれか1項に記載の感放射線性組成物。
[5]少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物をさらに含有する前記[1]~[4]のいずれか1項に記載の感放射線性組成物。
[6]層間絶縁膜、保護膜またはスペーサーとしての硬化膜形成用である前記[1]~[5]のいずれか1項に記載の感放射線性組成物。
[7]前記[6]に記載の感放射線性組成物から形成された、層間絶縁膜、保護膜またはスペーサーとしての硬化膜。
[8]前記[7]に記載の硬化膜を有する表示素子。
[9]アルカリ可溶性樹脂と、感放射線性化合物と、1-メトキシ-1-(2-メトキシエトキシ)エタン、1,3-ジメトキシ-2,2-ジメチルプロパン、4,4,6-トリメチル-1,3-ジオキサン、および1-ペンテン-3-オールから選ばれる少なくとも1種の化合物とを含有する感放射線性組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、保存安定性が良好である感放射線性組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書において各成分の含有割合等で好ましい上限値、下限値をそれぞれ記載しているが、記載された上限値および下限値の任意の組合せから規定される数値範囲も本明細書に記載されているものとする。
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。上記課題は、以下に説明する本発明の第1の感放射線性組成物および第2の感放射線性組成物により解決することができる。
【0010】
[感放射線性組成物]
本発明の第1の感放射線性組成物は、アルカリ可溶性樹脂と、感放射線性化合物と、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートと、アリルメチルエーテルとを含有する。
【0011】
本発明の第2の感放射線性組成物は、アルカリ可溶性樹脂と、感放射線性化合物と、1-メトキシ-1-(2-メトキシエトキシ)エタン、1,3-ジメトキシ-2,2-ジメチルプロパン、4,4,6-トリメチル-1,3-ジオキサン、および1-ペンテン-3-オールから選ばれる少なくとも1種の化合物とを含有する。
【0012】
以下、本発明の第1の感放射線性組成物を「本発明の第1組成物」ともいい、本発明の第2の感放射線性組成物を「本発明の第2組成物」ともいい、これらの第1組成物および第2組成物に共通する場合はまとめて「本発明の組成物」ともいい、アルカリ可溶性樹脂を「アルカリ可溶性樹脂(A)」または「樹脂(A)」ともいい、感放射線性化合物を「感放射線性化合物(B)」ともいう。
【0013】
また、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを「PGMEA」ともいう。1-メトキシ-1-(2-メトキシエトキシ)エタン、1,3-ジメトキシ-2,2-ジメチルプロパン、4,4,6-トリメチル-1,3-ジオキサン、および1-ペンテン-3-オールから選ばれる少なくとも1種の化合物を「特定溶媒」ともいう。
【0014】
【化1】
本発明の組成物は、通常、溶媒を配合して液状組成物として調製される。
【0015】
〔第1組成物〕
本発明の第1組成物は、PGMEAを溶媒として含有する。
前記第1組成物中のアルカリ可溶性樹脂(A)および感放射線性化合物(B)はPGMEAに対する溶解性が高いため、前記第1組成物では溶媒として少なくともPGMEAが用いられる。
本発明の第1組成物は、アリルメチルエーテルを含有する。
【0016】
【化2】
アリルメチルエーテルはラジカルトラップ性を有することから、液状組成物として保存中に、例えば、前記第1組成物がネガ型の場合には後述する重合性化合物(E)の重合を抑制でき、またポジ型の場合にはアルカリ可溶性樹脂(A)の分解等の劣化を抑制でき、よって、前記第1組成物の保存安定性が向上する。また、アリルメチルエーテルの沸点は低いことから、前記第1組成物を塗布した後のプレベークによりアリルメチルエーテルは除去され、放射線感度への影響も小さい。
【0017】
前記第1組成物中のアリルメチルエーテルの含有割合の上限値は、好ましくは50000wtppm、より好ましくは10000wtppm、さらに好ましくは7500wtppm、特に好ましくは5000wtppmである。アリルメチルエーテルの含有割合が前記上限値以下であると、前記第1組成物の塗布性および放射線感度の観点から好ましく、また前記第1組成物から形成される塗膜の表面荒れを抑制でき、よって得られる硬化膜の白化を抑制できることから好ましい。
【0018】
また、前記第1組成物中のアリルメチルエーテルの含有割合の下限値は、好ましくは10wtppm、より好ましくは50wtppmである。アリルメチルエーテルの含有割合が前記下限値以上であると、前記第1組成物の保存安定性の観点から好ましい。なお、アリルメチルエーテルの含有割合は、ガスクロマトグラフィーにより測定することができる。
【0019】
本発明の第1組成物では、溶媒として、PGMEA以外に、前記第1組成物を構成する成分を分散又は溶解し、かつこれらの成分と反応せず、適度の揮発性を有する他の溶媒(1)をさらに含有することができる。
【0020】
他の溶媒(1)としては、例えば、
エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル;プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル等のプロピレングリコールジアルキルエーテル;プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート(ただし、PGMEAを除く);
メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等のアルコール;
乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n-プロピル、乳酸イソプロピル等の乳酸エステル;酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n-アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸n-ブチル、プロピオン酸イソブチル等の脂肪族カルボン酸エステル;3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等の他のエステル;
2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン溶媒;N-ジメチルホルムアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド溶媒;γ-ブチロラクトン等のラクトン溶媒;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;
が挙げられる。
【0021】
他の溶媒(1)は単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の第1組成物中に占めるPGMEAの含有割合の上限値は、好ましくは95質量%、より好ましくは90質量%、さらに好ましくは85質量%であり;下限値は、好ましくは50質量%、より好ましくは60質量%、さらに好ましくは65質量%である。
【0022】
また、本発明の第1組成物中に占める溶媒以外の全成分の含有割合の上限値は、好ましくは50質量%、より好ましくは40質量%、さらに好ましくは35質量%であり;下限値は、好ましくは5質量%、より好ましくは10質量%、さらに好ましくは15質量%である。前記溶媒以外の全成分は、例えば、アルカリ可溶性樹脂(A)、感放射線性化合物(B)、アリルメチルエーテルおよび任意的に添加されるその他の成分である。
このようにして調製された液状組成物は、例えば、孔径0.2μm程度の細孔を有するフィルタなどを用いて濾過した後、使用に供することもできる。
【0023】
〔第2組成物〕
本発明の第2組成物は、前記特定溶媒を含有する。
前記第2組成物中のアルカリ可溶性樹脂(A)および感放射線性化合物(B)は前記特定溶媒に対する溶解性が高いため、前記第2組成物では溶媒として少なくとも前記特定溶媒が用いられる。
【0024】
前記特定溶媒を含有する前記第2組成物は、保存安定性に優れている。また、保存安定性の向上に伴い、露光マージンも向上する。露光マージンの詳細については実施例欄に記載する。
【0025】
本発明の第2組成物では、溶媒として、前記特定溶媒以外に、感放射線性組成物を構成する成分を分散又は溶解し、かつこれらの成分と反応せず、適度の揮発性を有する他の溶媒(2)をさらに含有することができる。他の溶媒(2)としては、前述した他の溶媒(1)(ただし、前記特定溶媒を除く)や、PGMEAが挙げられる。
【0026】
他の溶媒(2)は単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の第2組成物中に占める前記特定溶媒の含有割合の上限値は、好ましくは95質量%、より好ましくは90質量%、さらに好ましくは85質量%であり;下限値は、好ましくは50質量%、より好ましくは60質量%、さらに好ましくは65質量%である。
【0027】
また、本発明の第2組成物中に占める溶媒以外の全成分の含有割合の上限値は、好ましくは50質量%、より好ましくは40質量%、さらに好ましくは35質量%であり;下限値は、好ましくは5質量%、より好ましくは10質量%、さらに好ましくは15質量%である。前記溶媒以外の全成分は、例えば、アルカリ可溶性樹脂(A)、感放射線性化合物(B)、および任意的に添加されるその他の成分である。
【0028】
このようにして調製された液状組成物は、例えば、孔径0.2μm程度の細孔を有するフィルタなどを用いて濾過した後、使用に供することもできる。
以下、前記溶媒以外の各成分について説明する。
【0029】
<アルカリ可溶性樹脂(A)>
アルカリ可溶性樹脂(A)としては、例えば、カルボキシ基、フェノール性水酸基およびフッ素化ヒドロキシアルキル基等の酸性官能基を有する重合体が好ましい。アルカリ可溶性樹脂とは、2.38質量%濃度のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液等のアルカリ現像液に、当該樹脂が溶解または膨潤可能であることを意味する。
【0030】
フッ素化ヒドロキシアルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基、例えば-C(Ra1)(Ra2)OHで表される基である。前記式中、Ra1は、フッ素原子または炭素数1~4のフッ素化アルキル基であり、Ra2は、水素原子、フッ素原子、炭素数1~4のアルキル基または炭素数1~4のフッ素化アルキル基である。
【0031】
酸性官能基を有する重合体としては、例えば、ノボラック樹脂、フェノール-キシリレングリコール縮合樹脂、クレゾール-キシリレングリコール縮合樹脂、フェノール-ジシクロペンタジエン縮合樹脂、ポリベンゾオキサゾール前駆体、ポリヒドロキシスチレン、ヒドロキシスチレンとスチレンとの共重合体等の、フェノール性水酸基を有する重合体;主鎖にノボラック型骨格を含むカルボキシ基含有エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、ポリアミド酸等の、カルボキシ基を有する重合体が挙げられる。
【0032】
酸性官能基を有する重合体としては、また、1個以上の酸性官能基を有するエチレン性不飽和単量体(以下「不飽和単量体(a1)」ともいう)と、前記(a1)と共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体(以下「不飽和単量体(a2)」ともいう)との共重合体が挙げられる。特に、酸性官能基を有する(メタ)アクリル重合体が好ましい。
【0033】
不飽和単量体(a1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、コハク酸モノ[2-(メタ)アクリロイロキシエチル]、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、p-ビニル安息香酸等のカルボキシ基含有不飽和単量体;ヒドロキシスチレン、p-イソプロペニルフェノール、ヒドロキシフェニルアクリレート、ヒドロキシフェニルアクリルアミド等のフェノール性水酸基含有不飽和単量体;4-(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)スチレン等のフッ素化ヒドロキシアルキル基含有不飽和単量体が挙げられる。これらの中でも、重合性の観点から、少なくとも(メタ)アクリル酸を用いることが好ましい。
【0034】
不飽和単量体(a1)は単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
不飽和単量体(a2)としては、例えば、N-アリールマレイミド、N-アルキルマレイミド、N-シクロアルキルマレイミド等のN-位置換マレイミド;スチレンおよびその誘導体等の芳香族ビニル化合物;(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸脂環含有エステル、(メタ)アクリル酸芳香環含有エステル、オキシラン環、オキセタン環、オキソラン環等の環状エーテル環を有する(メタ)アクリル酸エステル等の(メタ)アクリル酸エステル;スチリル基含有シラン化合物等の芳香環含有シラン化合物;脂環含有ビニルエーテル等のビニルエーテル;芳香族ビニル化合物の重合体鎖、(メタ)アクリル酸エステルの重合体鎖、ポリシロキサン分子鎖等の重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマーが挙げられる。これらの中でも、アルカリ可溶性樹脂に架橋性官能基を付与する観点から、オキシラン環を有する(メタ)アクリル酸エステル、およびオキセタン環を有する(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0035】
より具体的には、特開2015-004968号公報の[0060]~[0062]、特開2008-233346号公報の[0036]~[0045]、特開2009-229567号公報の[0013]~[0021]に記載されている単量体が挙げられる。
【0036】
不飽和単量体(a2)は単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
不飽和単量体(a1)と不飽和単量体(a2)の共重合体の具体例としては、例えば、特開平7-140654号公報、特開平8-259876号公報、特開平10-31308号公報、特開平10-300922号公報、特開平11-174224号公報、特開平11-258415号公報、特開2000-56118号公報、特開2004-101728号公報、特開2006-201549号公報、特開2007-128062号公報、特開2008-233563号公報、特開2017-181928号公報、特開2017-173376号公報等に開示されている共重合体が挙げられる。
【0037】
また、例えば、特開平5-19467号公報、特開平6-230212号公報、特開平7-207211号公報、特開平9-325494号公報、特開平11-140144号公報、特開2008-181095号公報等に開示されているように、側鎖に(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和結合を有するカルボキシ基含有(メタ)アクリル重合体を使用することもできる。
【0038】
前記(a1)と(a2)との共重合体において、不飽和単量体(a1)由来の構造単位の含有割合の上限値は、好ましくは50質量%、より好ましくは40質量%であり;下限値は、好ましくは5質量%、より好ましくは10質量%である。
【0039】
前記(a1)と(a2)との共重合体は、一実施態様において、不飽和単量体(a1)と、オキシラン環を有する(メタ)アクリル酸エステルおよびオキセタン環を有する(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種との共重合体が好ましい。この共重合体において、これら以外の不飽和単量体(a2)が共重合されていてもよい。例えば、芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸芳香環含有エステル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、N-位置換マレイミドおよびスチリル基含有シラン化合物から選ばれる少なくとも1種がさらに共重合されていてもよい。
【0040】
前記(a1)と(a2)との共重合体において、オキシラン環を有する(メタ)アクリル酸エステルおよびオキセタン環を有する(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位の含有割合の上限値は、好ましくは50質量%、より好ましくは40質量%であり;下限値は、好ましくは5質量%、より好ましくは10質量%、さらに好ましくは15質量%である。
【0041】
前記(a1)と(a2)との共重合体は、公知の方法により製造することができるが、例えば、特開2003-222717号公報、特開2006-259680号公報、国際公開第2007/029871号等に開示されている方法により、その構造や重量平均分子量、分子量分布を制御することもできる。
【0042】
また、アルカリ可溶性樹脂(A)としては、アルカリ可溶性の、ポリシロキサン、ポリイミドまたはポリベンゾオキサゾールも挙げられる。
ポリシロキサンの具体例としては、例えば、国際公開第2017/188047号、国際公開第2017/169763号、国際公開第2017/159876号、特開2013-114238号公報、特開2012-53381号公報、特開2010-32977号公報等に開示されている共重合体が挙げられる。
【0043】
ポリイミドまたはポリベンゾオキサゾールの具体例としては、例えば、国際公開第2017/169763号、国際公開第2017/159876号、国際公開第2017/057281号、国際公開第2017/159476号、国際公開第2017/073481号、国際公開第2017/038828号、国際公開第2016/148176号、特開2015-114355号公報、特開2013-164432号公報、特開2010-72143号公報等に開示されている共重合体が挙げられる。
【0044】
アルカリ可溶性樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)の上限値は、通常は100,000、好ましくは50,000であり;下限値は、通常は1,000、好ましくは5,000である。アルカリ可溶性樹脂(A)の数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との比(分子量分布:Mw/Mn)の上限値は、通常は5.0、好ましくは3.0であり;下限値は、通常は1.0、好ましくは1.1である。MwおよびMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下「GPC」ともいう)で測定した、ポリスチレン換算の値である。
【0045】
前記樹脂(A)は単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の組成物において、当該組成物の溶媒以外の全成分100質量%中、アルカリ可溶性樹脂(A)の含有割合の上限値は、好ましくは99質量%、より好ましくは95質量%、さらに好ましくは90質量%、特に好ましくは85質量%であり;下限値は、好ましくは40質量%、より好ましくは50質量%、さらに好ましくは60質量%である。
【0046】
<感放射線性化合物(B)>
感放射線性化合物(B)としては、例えば、感放射線性ラジカル重合開始剤(B1)および感放射線性酸発生剤(B2)が挙げられる。
【0047】
《感放射線性ラジカル重合開始剤(B1)》
感放射線性ラジカル重合開始剤(B1)(以下「成分(B1)」ともいう)は、放射線の照射によりラジカルを発生する化合物である。本発明の組成物は、成分(B1)を含有すると、放射線硬化性樹脂組成物として機能することができ、発生するラジカルによりアルカリ可溶性樹脂(A)、後述する重合性化合物(E)等が重合することによって、ネガ型の感放射線性特性を発揮する。本発明の組成物は、成分(B1)を含有することで、放射線感度をより高めることができる。
【0048】
成分(B1)としては、例えば、O-アシルオキシム化合物、アセトフェノン化合物、ビイミダゾール化合物、チオキサントン化合物が挙げられる。
O-アシルオキシム化合物としては、例えば、1-〔4-(フェニルチオ)-2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、1,2-オクタンジオン1-[4-(フェニルチオ)-2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン-1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(O-アセチルオキシム)、1-〔9-エチル-6-ベンゾイル-9.H.-カルバゾール-3-イル〕-オクタン-1-オンオキシム-O-アセテート、1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9.H.-カルバゾール-3-イル〕-エタン-1-オンオキシム-O-ベンゾエート、1-〔9-n-ブチル-6-(2-エチルベンゾイル)-9.H.-カルバゾール-3-イル〕-エタン-1-オンオキシム-O-ベンゾエートが挙げられる。
【0049】
アセトフェノン化合物としては、例えば、α-アミノケトン化合物、α-ヒドロキシケトン化合物が挙げられる。α-アミノケトン化合物としては、例えば2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オンが挙げられる。α-ヒドロキシケトン化合物としては、例えば、1-フェニル-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-i-プロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが挙げられる。
【0050】
ビイミダゾール化合物としては、例えば、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4,6-トリクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾールが挙げられ、2,2’-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾールが好ましい。
【0051】
チオキサントン化合物としては、例えば、チオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントンが挙げられる。
【0052】
これらの中でも、O-アシルオキシム化合物、アセトフェノン化合物、チオキサントン化合物が好ましく、O-アシルオキシム化合物、α-アミノケトン化合物、チオキサントン化合物がより好ましく、1,2-オクタンジオン1-[4-(フェニルチオ)-2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン-1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(O-アセチルオキシム)、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2,4-ジエチルチオキサントンがさらに好ましい。
【0053】
感放射線性化合物(B)として成分(B1)を用いる場合、本発明の組成物中、アルカリ可溶性樹脂(A)100質量部に対して、成分(B1)の含有量の上限値は、好ましくは30質量部、より好ましくは25質量部、さらに好ましくは20質量部であり;下限値は、好ましくは1質量部、より好ましくは3質量部、さらに好ましくは6質量部である。このような態様であると、本発明の組成物から形成される硬化膜の密着性をより高めることができ、また、本発明の組成物の放射線感度をさらに高めることができる。
【0054】
《感放射線性酸発生剤(B2)》
感放射線性酸発生剤(B2)(以下「酸発生剤(B2)」ともいう)は、放射線の照射により酸を発生する化合物である。本発明の組成物は、酸発生剤(B2)を含有することで、放射線感度をより高めることができる。
【0055】
酸発生剤(B2)としては、例えば、キノンジアジド化合物、オキシムスルホネート化合物、オニウム塩、スルホンイミド化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾメタン化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、カルボン酸エステル化合物が挙げられる。
【0056】
キノンジアジド化合物は、放射線の照射によりカルボン酸を発生する化合物である。本発明の組成物は、酸発生剤(B2)としてキノンジアジド化合物を含有することで、発生したカルボン酸が放射線の照射部分のアルカリ現像液への溶解性を高めることにより、ポジ型の感放射線特性を発揮することができる。
【0057】
キノンジアジド化合物としては、例えば、フェノール性化合物又はアルコール性化合物(以下「母核」ともいう)と、1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとの縮合物を用いることができる。
【0058】
母核としては、例えば、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ペンタヒドロキシベンゾフェノン、ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、(ポリヒドロキシフェニル)アルカン、その他の母核が挙げられる。
【0059】
トリヒドロキシベンゾフェノンとしては、例えば、2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6-トリヒドロキシベンゾフェノンが挙げられる。
テトラヒドロキシベンゾフェノンとしては、例えば、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,3’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,2’-テトラヒドロキシ-4’-メチルベンゾフェノン、2,3,4,4’-テトラヒドロキシ-3’-メトキシベンゾフェノンが挙げられる。
【0060】
ペンタヒドロキシベンゾフェノンとしては、例えば、2,3,4,2’,6’-ペンタヒドロキシベンゾフェノンが挙げられる。
ヘキサヒドロキシベンゾフェノンとしては、例えば2,4,6,3’,4’,5’-ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、3,4,5,3’,4’,5’-ヘキサヒドロキシベンゾフェノン等が挙げられる。
【0061】
(ポリヒドロキシフェニル)アルカンとしては、例えば、ビス(2,4-ジヒドロキシフェニル)メタン、ビス(p-ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(p-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1-トリ(p-ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)メタン、2,2-ビス(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3-トリス(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-3-フェニルプロパンが挙げられる。
【0062】
その他の母核としては、例えば、4,4’-[1-[4-[1-[4-ヒドロキシフェニル]-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、2-メチル-2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシフェニル)-7-ヒドロキシクロマン、1-[1-{3-(1-[4-ヒドロキシフェニル]-1-メチルエチル)-4,6-ジヒドロキシフェニル}-1-メチルエチル]-3-〔1-{3-(1-[4-ヒドロキシフェニル]-1-メチルエチル)-4,6-ジヒドロキシフェニル}-1-メチルエチル〕ベンゼンが挙げられる。
【0063】
1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとしては、1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸クロリドが好ましい。1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸クロリドとしては、例えば、1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸クロリド、1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸クロリドが挙げられる。これらのうち、1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸クロリドが好ましい。
【0064】
キノンジアジド化合物の合成は、公知の縮合反応により行うことができる。この縮合反応では、フェノール性化合物又はアルコール性化合物中のOH基数に対して、好ましくは30~85モル%、より好ましくは50~70モル%に相当する1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドを用いることができる。
【0065】
酸発生剤としてのオキシムスルホネート化合物、オニウム塩、スルホンイミド化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾメタン化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、カルボン酸エステル化合物としては公知の化合物を用いることができる。スルホンイミド化合物について具体例を挙げれば、N-スルホニルオキシイミド化合物が挙げられ、具体的には、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボキシイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルイミドが挙げられる。
【0066】
感放射線性化合物(B)としてキノンジアジド化合物を用いる場合、本発明の組成物中、アルカリ可溶性樹脂(A)100質量部に対して、キノンジアジド化合物の含有量の上限値は、好ましくは40質量部、より好ましくは35質量部、さらに好ましくは30質量部であり、下限値は、好ましくは5質量部、より好ましくは10質量部、さらに好ましくは15質量部である。このような態様であると、本発明の組成物から形成される硬化膜の密着性をより高めることができ、また、本発明の組成物の放射線感度をさらに高めることができる。
【0067】
感放射線性化合物(B)としてキノンジアジド化合物以外の酸発生剤(B2)を用いる場合、本発明の組成物中、アルカリ可溶性樹脂(A)100質量部に対して、当該酸発生剤(B2)の含有量の上限値は、好ましくは20質量部、より好ましくは15質量部、さらに好ましくは10質量部であり;下限値は、好ましくは1質量部、より好ましくは2質量部、さらに好ましくは3質量部である。
【0068】
<その他の成分>
本発明の組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A)および感放射線性化合物(B)を必須成分として含有するが、必要に応じて、その他の成分として、密着助剤(C)、界面活性剤(D)、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物(E)、アルカリ可溶性樹脂(A)以外のエポキシ樹脂(F)、および感熱性酸生成化合物(G)から選ばれる少なくとも1種を含有することができる。
【0069】
本発明の組成物は、基板と塗膜との密着性を向上させるため、密着助剤(C)を含有することができる。密着助剤(C)としては、例えば、カルボキシ基、メタクリロイル基、ビニル基、イソシアネート基、エポキシ基、アミノ基等の反応性官能基を有するシランカップリング剤等の官能性シランカップリング剤が挙げられる。具体的には、トリメトキシシリル安息香酸、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3-イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。密着助剤(C)としては、例えば、特開2006-126397号公報および特開2009-204865号公報に記載している化合物を用いることもできる。密着助剤(C)は単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0070】
本発明の組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A)100質量部に対して、密着助剤(C)を、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下の範囲で含有することができる。
【0071】
本発明の組成物は、その塗布性を向上させるため、界面活性剤(D)を含有することができる。界面活性剤(D)としては、例えば、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤およびノニオン系界面活性剤が挙げられる。界面活性剤(D)は単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0072】
本発明の組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A)100質量部に対して、界面活性剤(D)を、好ましくは5質量部以下、より好ましくは2質量部以下の範囲で含有することができる。
【0073】
本発明の組成物は、当該組成物をネガ型とするため、あるいは硬化膜の耐熱性および硬度を向上させるため、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物(E)を含有することができる。重合性化合物(E)としては、例えば、単官能(メタ)アクリレート、2官能(メタ)アクリレート、3官能以上の(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートが挙げられる。前記(メタ)アクリレートにおける(メタ)アクリロイル基数は、好ましくは2~6である。これらの中でも、3官能以上の(メタ)アクリレートが好ましく、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。重合性化合物(E)は単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0074】
本発明の組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A)100質量部に対して、重合性化合物(E)を、好ましくは100質量部以下、より好ましくは75質量部以下の範囲で含有することができる。
【0075】
本発明の組成物は、硬化膜の耐熱性および硬度を向上させるため、アルカリ可溶性樹脂(A)以外のエポキシ樹脂(F)を含有することができる。なお、アルカリ可溶性樹脂(A)にも「エポキシ樹脂」といい得るものが含まれるが、アルカリ可溶性を有する点でエポキシ樹脂(F)とは異なる。ここでのエポキシ樹脂(F)はアルカリ不溶性である。
【0076】
エポキシ樹脂(F)としては、相溶性に影響がないかぎり限定されるものではなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、グリシジルメタアクリレートを(共)重合した樹脂が挙げられる。これらの中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂(F)は単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0077】
本発明の組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A)100質量部に対して、エポキシ樹脂(F)を、好ましくは50質量部以下の範囲で含有することができる。
本発明の組成物は、硬化膜の耐熱性および硬度を向上させるため、感熱性酸生成化合物(G)を含有することができる。感熱性酸生成化合物(G)としては、例えば、スルホニウム塩、ベンゾチアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩等のオニウム塩が挙げられる。感熱性酸生成化合物(G)は単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0078】
本発明の組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A)100質量部に対して、感熱性酸生成化合物(G)を、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下の範囲で含有することができる。
以上に説明した本発明の組成物は、層間絶縁膜、保護膜およびスペーサー等の硬化膜など、表示素子が有する硬化膜の形成材料などとして好適に用いることができる。
【0079】
[硬化膜およびその製造方法]
本発明の感放射線性組成物を用いて、本発明の硬化膜を製造する方法について記載する。本発明の硬化膜としては、例えば、層間絶縁膜、保護膜、スペーサーが挙げられる。硬化膜の膜厚は、通常は0.5~6μmである。本発明の硬化膜は、硬度が高く、耐熱性および耐溶媒性に優れる。
【0080】
本発明の硬化膜は、例えば、本発明の感放射線性組成物の塗膜を基板上に形成する工程(1)、前記塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程(2)、放射線照射後の塗膜を現像する工程(3)、および、現像後の塗膜を加熱して硬化膜を得る工程(4)を有する製造方法により形成することができる。
【0081】
<工程(1)>
工程(1)では、本発明の組成物を基板上に塗布し、好ましくはプレベークを行うことにより溶媒を除去して、感放射線性組成物の塗膜を形成する。
基板としては、例えば、ガラス基板、シリコン基板、およびこれらの表面に各種金属部材が形成された基板が挙げられる。
【0082】
前記組成物の塗布方法としては、例えば、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法、インクジェット法が挙げられ、スピンコート法、スリットダイ塗布法が好ましい。
プレベークの条件としては、本発明の組成物中の各成分の種類、含有割合等によっても異なる。例えば、60~110℃で30秒間~15分間程度とすることができる。
感放射線性組成物の塗膜のプレベーク後の膜厚は、通常は0.5~6μmである。
【0083】
<工程(2)>
工程(2)では、工程(1)で形成された塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する。例えば、所定のパターンを有するマスクを介して、前記塗膜に放射線を照射する。
放射線としては、例えば、可視光線、紫外線、X線、荷電粒子線が挙げられる。可視光線および紫外線としては、例えば、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)、i線(波長365nm)、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)、ArFエキシマレーザー光(波長193nm)が挙げられる。X線としては、例えば、シンクロトロン放射線が挙げられる。荷電粒子線としては、例えば、電子線が挙げられる。これらの中でも、可視光線および紫外線が好ましく、g線、h線、i線およびKrFエキシマレーザー光から選ばれる少なくとも1種を含む放射線が特に好ましい。
露光量は、通常は5~1000mJ/cm2である。
【0084】
<工程(3)>
工程(3)では、放射線照射後の塗膜に対して現像液を用いて現像処理を行い、放射線の照射部分を除去する。これにより、パターニングされた塗膜を得ることができる。
現像処理には、通常はアルカリ現像液が用いられ、例えば、アルカリ性化合物(塩基性化合物)の水溶液が挙げられる。アルカリ性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n-プロピルアミン、ジエチルアミン、ジエチルアミノエタノール、ジ-n-プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノナンが挙げられる。アルカリ現像液におけるアルカリ性化合物の濃度は、通常は0.1~10質量%である。また、前記水溶液に、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液、または本発明の組成物を溶解する各種有機溶媒を現像液として使用することができる。
【0085】
現像方法としては、例えば、液盛り法、ディッピング法、揺動浸漬法、シャワー法が挙げられる。現像時間は、組成物の組成によって異なるが、例えば30~120秒間とすることができる。なお、パターニングされた塗膜に対して、例えば流水洗浄によるリンス処理を行うことができる。
【0086】
また、パターニングされた塗膜に対して、放射線を全面に照射(後露光)することにより、当該塗膜中に残存する化合物(B)の分解処理を行うこともできる。後露光における露光量は、通常は200~500mJ/cm2である。
【0087】
<工程(4)>
工程(4)では、工程(3)で得られた塗膜、具体的にはパターニングされた塗膜を加熱(ポストベーク処理)して、硬化膜を得る。
前記塗膜の硬化処理における加熱には、例えば、ホットプレート、オーブン等の加熱装置を用いることができる。硬化処理における加熱温度は、通常は120~250℃である。硬化処理における加熱時間は、加熱機器の種類により異なるが、例えばホットプレート上で加熱処理を行う場合には5~30分間、オーブン中で加熱処理を行う場合には30~100分間である。この際に、2回以上の加熱工程を行うステップベーク法を用いることもできる。
以上のようにして、硬化膜を得ることができる。一実施態様では、例えば、目的とする層間絶縁膜、保護膜およびスペーサーである硬化膜を基板上に形成することができる。
【0088】
[表示素子]
本発明の表示素子は、上述した本発明の硬化膜を有する。前記硬化膜は、例えば、表示素子における薄膜トランジスタ(TFT)用保護膜または層間絶縁膜である。本発明の表示素子は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL表示素子である。
【実施例
【0089】
以下、本発明を実施例に基づいて更に具体的に説明する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。以下の説明において、「質量部」は特に言及のない限り「部」と記載する。
【0090】
<重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)>
アルカリ可溶性樹脂(A)について、下記条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりMwおよびMnを測定した。また、分子量分布(Mw/Mn)は、得られたMwおよびMnより算出した。
装置:「GPC-101」(昭和電工社製)
GPCカラム:GPC-KF-801、GPC-KF-802、GPC-KF-803およびGPC-KF-804を結合(島津ジーエルシー社製)
移動相:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
流速:1.0mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:100μL
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
【0091】
[アルカリ可溶性樹脂の合成]
[合成例1](重合体(A-1)の合成)
冷却管および撹拌機を備えたフラスコに、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)10部およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)200部を仕込んだ。引き続き、メタクリル酸20部、グリシジルメタクリレート20部、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート20部、スチレン40部を仕込み、窒素置換した後、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を70℃に上昇させ、この温度を5時間保持して重合することにより、アルカリ可溶性樹脂である重合体(A-1)を含有する重合体溶液を得た。得られた重合体溶液をヘキサン中で再沈殿させ、濾過、真空乾燥により精製を行い、重合体(A-1)をPGMEAに溶解させ重合体濃度30質量%溶液とした。この重合体(A-1)の重量平均分子量(Mw)は10,000、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は2.3であった。
【0092】
[合成例2~12](重合体(A-2)~(A-12)の合成)
下記表1に示す種類および配合量(質量部)の各成分を用いたこと以外は合成例1と同様の手法にて、それぞれ重合体(A-2)~(A-12)を含む重合体溶液を得た。表1において、「-」は該当する成分を使用しなかったことを示す。
【0093】
【表1】
【0094】
表1中の各記号の意味は以下のとおりである。
MA:メタクリル酸
AA:アクリル酸
HS:ヒドロキシスチレン
FHST:4-(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)スチレン
GMA:グリシジルメタクリレート
OXMA:(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルメタクリレート
EPMA:3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート
ST:スチレン
BzMA:ベンジルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
PM:フェニルマレイミド
STMS:スチリルトリメトキシシラン
ADVN:2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)
S-1~S-5:後述する
【0095】
[感放射線性組成物の含有成分]
実施例および比較例の感放射線性組成物の調製に用いたアルカリ可溶性樹脂(A)、感放射線性化合物(B)、密着助剤(C)、界面活性剤(D)、重合性化合物(E)および溶媒(S)を以下に示す。
【0096】
《アルカリ可溶性樹脂(A)》
A-1~A-12:合成例1~12で合成した重合体(A-1)~(A-12)
《感放射線性化合物(B)》
B-1:4,4’-[1-[4-[1-[4-ヒドロキシフェニル]-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール(1.0モル)と1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸クロリド(2.0モル)との縮合物
B-2:トリフルオロメタンスルホン酸-1,8-ナフタルイミド
B-3:Irgacure OXE-01(BASF社製)
《密着助剤(C)》
C-1:3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン
C-2:3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン
《界面活性剤(D)》
D-1:SH8700(東レ・ダウコーニング社製)
《重合性化合物(E)》
E-1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)
《溶媒(S)》
S-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
S-2:1-メトキシ-1-(2-メトキシエトキシ)エタン
S-3:1,3-ジメトキシ-2,2-ジメチルプロパン
S-4:4,4,6-トリメチル-1,3-ジオキサン
S-5:1-ペンテン-3-オール
【0097】
[感放射線性組成物の評価]
実施例および比較例の感放射線性組成物について、下記項目を評価した。
<塗布性>
スピンナーを用い、シリコン基板上に感放射線性組成物を塗布した後、90℃にて2分間ホットプレート上でプレベークして平均膜厚3.0μmの塗膜を形成した。次いで、この塗膜の表面を光学顕微鏡を用いてハジキの発生を観察した。このとき、ハジキが発生していないものは塗布性が良く、ハジキが発生したものは塗布性が悪いと評価できる。
【0098】
塗膜のハジキは、基板上に組成物を塗布しプレベークした後に、塗膜表面に円形状の凹みが形成されたり、顕著な場合は基板の素地が見えるほどの穴を生じたりする現象である。該ハジキは、様々な要因から発生するが、塗装後のウエット塗膜からの局所的な揮発性成分の蒸発、微小異物のコンタミネーション、基板の汚れ等によって起こると考えられている。
基板1枚あたりのハジキの個数が0個の場合AA、1個以上10個未満の場合をBB、10個以上100個未満の場合をCC、100個以上の場合をDDと評価した。
【0099】
<放射線感度>
スピンナーを用い、60℃で60秒間ヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理したシリコン基板上に感放射線性組成物を塗布した後、90℃にて2分間ホットプレート上でプレベークして平均膜厚3.0μmの塗膜を形成した。この塗膜に幅10μmのライン・アンド・スペースパターンを有するパターンマスクを介して、水銀ランプによって所定量の紫外線を照射した。次いで、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38質量%水溶液よりなる現像液を用い、25℃で60秒現像処理を行った後、超純水で1分間流水洗浄を行った。このとき、幅10μmのライン・アンド・スペースパターンを形成可能な最小露光量を測定した。この値が100mJ/cm2未満の場合をAA、100mJ/cm2以上150mJ/cm2未満の場合をBB、150mJ/cm2以上の場合をCCと判定した。露光量は照度計(波長365nm)において測定した。
【0100】
<保存安定性>
調製した感放射線性組成物を遮光・密閉性の容器に封入した。25℃で7日間経過後容器を開封し、前記[放射線感度]の測定を行い、7日間保管前後での放射線感度(最小露光量)の増加率を計算した。この値が10%未満の場合をAA、10%以上20%未満の場合をBB、20%以上の場合をCCと判定した。AAまたはBBの場合に保存安定性が良好であり、CCの場合に保存安定性が不良であると評価できる。
【0101】
<露光マージン>
スピンナーを用い、60℃で60秒間HMDS処理したシリコン基板上に感放射線性組成物を塗布した後、90℃にて2分間ホットプレート上でプレベークして平均膜厚3.0μmの塗膜を形成した。この塗膜に幅10μmのライン・アンド・スペースパターンを有するパターンマスクを介して、水銀ランプによって所定量の紫外線を照射した。次いで、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38質量%水溶液よりなる現像液を用い、25℃で60秒現像処理を行った後、超純水で1分間流水洗浄を行った。このとき、幅10μmのライン・アンド・スペースパターンを形成可能な露光量を測定した。前記露光量の最大値をD1、最小値をD2とすると、100(%)×(D1-D2)/D1の値が20%以上30%未満の場合をAA、10%以上20%未満の場合をBB、10%未満の場合をCCと判定した。「-」は未評価である。
【0102】
<感放射線性組成物の調製1>
以下、前述した本発明の第1組成物の実施例を記載する。
[実施例1]
重合体(A-1)を含有する重合体濃度30質量%の前記重合体溶液に、重合体(A-1)100部を基準として、感放射線性化合物(B-1)30部、密着助剤(C-1)1部および界面活性剤(D-1)0.05部を混合し、さらにアリルメチルエーテル(AME)のPGMEA溶液を添加した(最終的なAME量は表2に記載した)。さらに、得られた混合物を溶媒以外の全成分濃度が30質量%となるように溶媒(S-1)(PGMEA)に溶解させた後、孔径0.2μmのメンブランフィルタで濾過して、感放射線性組成物を調製した。
【0103】
[実施例2~15および比較例1~4]
下記表2に示す種類の各成分を用いたこと以外は実施例1と同様に操作し、実施例2~15および比較例1~4の感放射線性組成物を調製した。
上記評価結果を表2に示す。
【0104】
【表2】
【0105】
表2に示されるように、実施例の各感放射線性組成物は良好な塗布性と保存安定性とを有することがわかる。一方、比較例の感放射線組成物においては、塗布性と保存安定性とを両立するものはなかった。
【0106】
<感放射線性組成物の調製2>
以下、前述した本発明の第2組成物の実施例を記載する。
[実施例21]
重合体(A-5)を含有する重合体濃度30質量%の前記重合体溶液に、重合体(A-5)100部を基準として、感放射線性化合物(B-1)30部、密着助剤(C-1)1部および界面活性剤(D-1)0.05部を混合し、さらに、得られた混合物を溶媒以外の全成分濃度が30質量%となるように溶媒(S-2)に溶解させた後、孔径0.2μmのメンブランフィルタで濾過して、感放射線性組成物を調製した。
【0107】
[実施例22~28および比較例21~22]
下記表3に示す種類の各成分を用いたこと以外は実施例21と同様に操作し、実施例22~28および比較例21~22の感放射線性組成物を調製した。
上記評価結果を表3に示す。
【0108】
【表3】
【0109】
表3に示されるように、実施例の各感放射線性組成物は良好な塗布性と保存安定性と露光マージンとを有することがわかる。一方、比較例の感放射線組成物においては、良好な塗布性と保存安定性と露光マージンとを全て有するものはなかった。