(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】ボイラ装置
(51)【国際特許分類】
F22D 5/00 20060101AFI20220119BHJP
【FI】
F22D5/00 Z
(21)【出願番号】P 2018069842
(22)【出願日】2018-03-30
【審査請求日】2020-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】秋永 草平
(72)【発明者】
【氏名】櫻田 寛
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-146074(JP,A)
【文献】特開2014-055740(JP,A)
【文献】特開2016-188741(JP,A)
【文献】特開平08-285213(JP,A)
【文献】特開2010-091138(JP,A)
【文献】特許第4661993(JP,B1)
【文献】特開2016-102624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22D 5/00
F22D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
N(≧2)台のボイラを備えたボイラ装置であって、制御手段を備え、
前記複数のボイラの各ボイラは、クローズド給水を行うためのクローズド給水ラインと、オープン給水を行うためのオープン給水ラインとを接続可能に構成され、
前記各ボイラは、前記クローズド給水と前記オープン給水とを切り替える切替手段を備えており、
前記制御手段は、前記複数のボイラのうち1台以上N-1台以下のボイラをクローズド給水を行うことのできるクローズド給水対象ボイラに設定し、前記クローズド給水対象ボイラ以外のボイラへのクローズド給水を制限するよう前記各ボイラの切替手段を制御する
とともに、所定のタイミングで前記クローズド給水対象ボイラを変更する、ボイラ装置。
【請求項2】
請求項
1に記載のボイラ装置であって、
前記制御手段は、前記複数のボイラのうち給水を開始するボイラから順に優先順位を割り付け、優先順位の高い1台以上N-1台以下のボイラを前記クローズド給水対象ボイラに設定し、
前記制御手段はさらに、前記クローズド給水対象ボイラのうちの1台のボイラへの給水が停止する場合に、当該給水停止するボイラの優先順位を最低にするとともに、これより優先順位の低かったボイラの優先順位を繰り上げることで、前記クローズド給水対象ボイラを変更する、ボイラ装置。
【請求項3】
請求項1
又は請求項2に記載のボイラ装置であって、タイマーを備え、
前記制御手段は、前記タイマーから時間を取得して、前記クローズド給水対象ボイラを所定時間ごとに予め定めた順番で変更する、ボイラ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷機器から排出されるドレンを回収してボイラに供給するドレン回収システムを適用したボイラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボイラによって生成された蒸気を負荷機器に供給し、負荷機器において熱源として使用された蒸気が凝縮して発生するドレンを再度ボイラに供給するドレン回収システムが提案されている。例えば、特許文献1には、耐圧性を有する密閉型のドレンタンクにドレンを高温高圧の状態で回収して、このドレンをボイラに供給するクローズド方式のドレン回収システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数のボイラを備えるボイラ装置にこのようなクローズド方式のドレン回収システムを導入する場合、ボイラ装置の運転状況やドレンの回収状況によってはドレン回収装置が送水能力不足となり、ボイラに適切に給水できないおそれがあった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、複数のボイラを有するボイラ装置において、ドレン回収装置が送水能力不足となることを防止可能なボイラ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、N(≧2)台のボイラを備えたボイラ装置であって、制御手段を備え、前記複数のボイラの各ボイラは、クローズド給水を行うためのクローズド給水ラインと、オープン給水を行うためのオープン給水ラインとを接続可能に構成され、前記各ボイラは、前記クローズド給水と前記オープン給水とを切り替える切替手段を備えており、前記制御手段は、前記複数のボイラのうち1台以上N-1台以下のボイラをクローズド給水を行うことのできるクローズド給水対象ボイラに設定し、前記クローズド給水対象ボイラ以外のボイラへのクローズド給水を制限するよう前記各ボイラの切替手段を制御する、ボイラ装置が提供される。
【0007】
本発明によれば、制御手段が複数のボイラのうち1台以上N-1台以下のボイラをクローズド給水を行うことのできるクローズド給水対象ボイラに設定するとともにクローズド給水対象ボイラ以外のボイラへのクローズド給水を制限するよう構成される。これにより、一部のボイラには確実にオープン給水を行うことになるため、ドレンポンプが送水能力不足となることを防止することが可能となっている。
【0008】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
【0009】
好ましくは、前記制御手段は、所定のタイミングで前記クローズド給水対象ボイラを変更する。
【0010】
このように、制御手段が所定のタイミングでクローズド給水対象ボイラを変更するようになっていることから、クローズド給水及びオープン給水を行うボイラが偏らないようにすることができる。これにより、部材の耐久性にムラが生じたり、給水を行わない他方のラインに異物が発生したりするなどの不具合を抑制することが可能となっている。
【0011】
また、好ましくは、前記制御手段は、前記複数のボイラのうち給水を開始するボイラから順に優先順位を割り付け、優先順位の高い1台以上N-1台以下のボイラを前記クローズド給水対象ボイラに設定し、前記制御手段はさらに、前記クローズド給水対象ボイラのうちの1台のボイラへの給水が停止する場合に、当該給水停止するボイラの優先順位を最低にするとともに、これより優先順位の低かったボイラの優先順位を繰り上げることで、前記クローズド給水対象ボイラを変更する。
【0012】
なお、この明細書において、「給水を開始する」とは、給水を開始するタイミングを意味するが、このタイミングは、給水を開始するタイミングに対応するタイミング(例えば、ボイラが運転や燃焼を開始する(運転や燃焼を開始するための準備をする)タイミング等)を含むものとする。また、「給水を停止する」とは、ボイラが給水を停止するタイミングを意味するが、このタイミングは、給水を停止するタイミングに対応するタイミング(例えば、ボイラが運転や燃焼を停止する(運転や燃焼を停止するための準備をする)タイミング等)を含むものとする。
【0013】
また、好ましくは、タイマーを備え、前記制御手段は、前記タイマーから時間を取得して、前記クローズド給水対象ボイラを所定時間ごとに予め定めた順番で変更する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るボイラ装置1の構成、及びこれに接続された負荷機器5及びドレン回収装置6の構成を示す図である。
【
図2】
図1のボイラ装置1のボイラ10が備える切替手段11を示す模式図である。
【
図3】
図1のボイラ装置1の制御手段4の構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】
図1のボイラ装置1の給水制御を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の第2実施形態に係るボイラ装置1の制御手段4の構成を示す機能ブロック図である。
【
図6】
図5の制御手段4の記憶部45が記憶する設定テーブルの例を示す図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係るボイラ装置1の給水制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0016】
1.第1実施形態
以下、本発明の第1実施形態に係るボイラ装置1について、
図1~
図4を参照しつつ説明する。本実施形態のボイラ装置1は、
図1に示すように、N(≧2)台のボイラとしてのボイラ10A,10B,10Cと、蒸気ヘッダ2と、接続管3と、蒸気供給ラインL1と、制御手段4とを備える。なお、ボイラ10A,10B,10Cはそれぞれ、単にボイラ10とも称する。
【0017】
また、本実施形態のボイラ装置1には、負荷機器5及びドレン回収装置6が接続される。ドレン回収装置6は、負荷機器5で生じたドレンを回収して再びボイラ10に供給するものである。以下、ボイラ装置1の構成及びこれに接続されるドレン回収装置6の構成を具体的に説明する。
【0018】
1.1 ボイラ装置1の構成
ボイラ装置1の各ボイラ10(10A,10B,10C)は、それぞれ缶体(図示せず)を備えた小型の貫流ボイラとされる。本実施形態において、各ボイラ10は、複数の燃焼モード(例えば、低燃焼と高燃焼)で燃焼が可能なボイラとすることが好ましい。また、各ボイラ10は、切替手段11と、水位センサ12と、エコノマイザ13とを備える。そして、各ボイラ10は、クローズド給水ラインLcとオープン給水ラインLoとが接続可能に構成される。なお、クローズド給水ラインLcとオープン給水ラインLoの下流側は、ボイラ10の本体部と切替手段11との間においては、共通のラインにより構成される。
【0019】
切替手段11は、クローズド給水ラインLcを介して給水が行われるクローズド給水と、オープン給水ラインLoを介して給水が行われるオープン給水とを切り替えるものである。本実施形態において、切替手段11は、
図2に示すように、クローズド給水弁Vcと、補助ポンプPo及び逆止弁Voとを備える。各ボイラ10の切替手段11が備えるクローズド給水弁Vc及び補助ポンプPoは、制御手段4の後述する切替手段制御部40により制御される。
【0020】
クローズド給水弁Vcは、クローズド給水ラインLcに設けられ、開度調整の可能なモータバルブにより構成される。クローズド給水弁Vcは、クローズド給水を行う場合には、開放されるとともに開度調整が行われる。一方、クローズド給水弁Vcが閉止されると、クローズド給水は規制される。
【0021】
補助ポンプPo及び逆止弁Voは、オープン給水ラインLoに設けられる。補助ポンプPoは、オープンタンク62からボイラ10へのオープン給水を補助するために設けられ、インバータ制御可能とされる。補助ポンプPoは、オープン給水を行う場合には、駆動するとともにインバータ制御される。一方、補助ポンプPoを停止すると、オープン給水は規制される。
【0022】
逆止弁Voは、ボイラ10と補助ポンプPoとの間の位置に設けられる。逆止弁Voは、補助ポンプPo方向への水の流れを阻止するためのものである。
【0023】
水位センサ12は、各ボイラ10の缶体の水位を検知するものである。本実施形態において、水位センサ12は連続式のレベルセンサ(例えば、静電容量式センサ、圧力式センサ、超音波式センサ等)とされる。本実施形態のボイラ10は、水位センサ12が検知した水位に応じて給水量を調整する。具体的には、燃焼中のボイラ10は、制御手段4(切替手段制御部40)により、水位を略一定に維持する水位一定制御を行う。
【0024】
水位一定制御は、ボイラ10の運転条件(燃焼量、缶体の内部圧力、給水温度、電気伝導度等)に応じて目標水位を設定し、当該目標水位を維持するようボイラ10へクローズド給水又はオープン給水を連続的に行う制御である。より具体的には、水位一定制御において、クローズド給水時には、制御手段4が水位センサ12の検知する水位に応じてクローズド給水弁Vcの開度を調整することで、クローズド給水量が制御され、目標水位に維持される。また、オープン給水時には、制御手段4が水位センサ12の検知する水位に応じて補助ポンプPoをインバータ制御することで、オープン給水量が制御され、目標水位に維持される。なお、本実施形態のボイラ10は、ボイラ10の燃焼中は、燃焼が停止するまで給水を要求する信号である給水要求を連続的に出力する。
【0025】
エコノマイザ13は、クローズド給水ラインLc及びオープン給水ラインLoの、ボイラ10の本体部と切替手段11との間の共通部分に配置される。エコノマイザ13は、缶体に供給される給水を缶体において発生した燃焼ガスにより加熱するものである。より具体的には、エコノマイザ13は、給水ラインの一部を、排気筒を経由させることで構成される。これにより、給水ラインを流通する給水は、排気筒を流通する排ガスとの間で熱交換を行うことで加熱されてから、缶体に供給される。
【0026】
蒸気ヘッダ2は、複数のボイラ10それぞれの圧力の変動を低減するために用いられ、各ボイラ10で生成された蒸気が集合される。接続管3は、各ボイラ10と蒸気ヘッダ2とを接続する。また、蒸気供給ラインL1は、蒸気ヘッダ2と負荷機器5とを接続する。
【0027】
制御手段4は、ボイラ装置1の給水動作を制御する手段である。制御手段4は、
図3に示すように、切替手段制御部40と、台数設定部41と、給水要求取得部42と、優先順位設定部43と、クローズド対象設定部44と、記憶部45とを備える。
【0028】
切替手段制御部40は、各ボイラ10の切替手段11を制御する。具体的には、切替手段制御部40は、クローズド給水弁Vcの開度制御と、補助ポンプPoの駆動制御とを行う。
【0029】
台数設定部41は、入力手段(図示せず)からのユーザの入力により、又は接続されるドレン回収装置6の状況に応じて、全てのボイラ10A,10B,10Cのうち、クローズド給水を行う対象ボイラ台数Xを設定する。設定された対象ボイラ台数Xは、記憶部45に記憶される。
【0030】
給水要求取得部42は、各ボイラ10から出力される給水要求を取得する。給水要求取得部42はまた、ボイラ10から出力される給水要求がなくなった場合には、給水要求がなくなったことも検出する。
【0031】
優先順位設定部43は、各ボイラ10に対して設定されるクローズド給水の優先順位Rの設定及び変更を行う。ここで、クローズド給水の優先順位Rとは、複数のボイラ10に給水を行う場合に、その中からクローズド給水の対象とするボイラ(以下、クローズド給水対象ボイラとする)を選択する場合の優先順位Rを示す。設定された優先順位Rは、記憶部45に記憶される。優先順位設定部43による優先順位Rの決定方法については、後述する。
【0032】
クローズド対象設定部44は、各ボイラ10を、クローズド給水対象ボイラとオープン給水対象ボイラの何れかに設定する。クローズド給水対象ボイラに設定されたボイラ10にはクローズド給水が行われ、オープン給水対象ボイラに設定されたボイラ10にはオープン給水が行われる。なお、クローズド給水対象ボイラであっても、ドレン回収装置6の送水能力不足によりボイラ10の水位が低下した場合等には、オープン給水が行われる。
【0033】
なお、制御手段4は、具体的には例えば、CPU、メモリ(例えばフラッシュメモリ)、入力部及び出力部を備えたPLC(プログラマラブルロジックコントローラ)により構成することができる。そして、PLCにより構成された制御手段4の動作は、ラダープログラムの形式でメモリに記憶され、このプログラムをCPUが読み出して実行することで、上述した各構成要素による処理が行われる。ただし、制御手段4として、パーソナルコンピュータやマイコンを用いることも可能である。
【0034】
1.2 ドレン回収装置6の構成
本実施形態のボイラ装置1に接続されるドレン回収装置6は、ドレンタンク61と、オープンタンク62とを備える。また、ドレン回収装置6は、ボイラ装置1及びこれらのタンクを接続し、蒸気又は水(ドレン)を流通させる複数のラインを備える。具体的には、ドレン回収装置6は、ラインとして、ドレン回収ラインL2と、加圧蒸気ラインL3と、フラッシュ蒸気ラインL4と、クローズド給水ラインLcと、オープン給水ラインLoとを備える。
【0035】
ドレンタンク61は、負荷機器5において熱交換に用いられた蒸気の一部が凝縮して生じるドレンを高温高圧状態で回収して収容する。ドレンタンク61は、耐圧性を有し密閉可能な密閉型の圧力容器により構成される。なお、本実施形態のドレンタンク61は、容量が10L~40L程度の比較的小容量の圧力容器(例えば、労働安全衛生法にて小型圧力容器(圧力MPa×内容積m3≦0.02)に分類される圧力容器)により構成される。
【0036】
オープンタンク62は、大気開放されたタンクであり、ドレンタンク61及びボイラ10に供給するための補給水を貯留する。オープンタンク62には、ドレンタンク61においてドレンから発生したフラッシュ蒸気が導入される。また、オープンタンク62には、新水導入ライン63(
図1参照)から新水が供給される。本実施形態の補給水は、この新水とフラッシュ蒸気が凝縮したドレンとが混合された水である。
【0037】
ドレン回収ラインL2は、負荷機器5とドレンタンク61とを接続するラインであり、負荷機器5で発生したドレンを回収してドレンタンク61に供給する。ドレン回収ラインL2には、負荷機器5において発生したドレンを排出し、かつ、蒸気の排出を防ぐスチームトラップ21が配置される。
【0038】
加圧蒸気ラインL3は、蒸気ヘッダ2とドレンタンク61とを接続し、ボイラ10で発生した蒸気をドレンタンク61に供給する。加圧蒸気ラインL3の下流側の端部は、ドレンタンク61の上部(気相部)に接続される。加圧蒸気ラインL3には、ドレンタンク61に所定の圧力で蒸気を供給するための圧力調整弁31が配置されている。
【0039】
フラッシュ蒸気ラインL4は、ドレンタンク61とオープンタンク62とを接続するラインである。フラッシュ蒸気ラインL4は、ドレンタンク61で発生したフラッシュ蒸気をオープンタンク62に排出する。フラッシュ蒸気ラインL4には、圧力調整弁32が配置される。圧力調整弁32は、ドレンタンク61の内部の圧力が所定の圧力を超えた場合に、フラッシュ蒸気をオープンタンク62側に逃がして、ドレンタンク61の内部の圧力を低下させる。なお、オープンタンク62は、このフラッシュ蒸気を凝縮させて回収する手段(図示せず)を備えている。
【0040】
クローズド給水ラインLcは、ドレンタンク61とボイラ10A,10B,10Cとを接続するラインである。クローズド給水ラインLcは、ドレンタンク61に収容されたドレンをボイラ10A,10B,10Cそれぞれに供給する。クローズド給水ラインLcの上流側の端部は、ドレンタンク61の底部(液相部)に接続される。クローズド給水ラインLcの下流側は、ボイラ10A,10B,10Cのそれぞれに接続されるように分岐している。分岐したクローズド給水ラインLcにはそれぞれ、上述したクローズド給水弁Vcが配置される。また、クローズド給水ラインLcの、上述した分岐位置よりも上流側には、ドレン供給ポンプPcが配置される。
【0041】
ドレン供給ポンプPcは、クローズド給水ラインLcにおける分岐部分よりも上流側に配置され、ドレンタンク61から供給されたドレンを昇圧してボイラ10側に送り出す。
【0042】
オープン給水ラインLoは、オープンタンク62とボイラ10A,10B,10Cとを接続するラインである。オープン給水ラインLoは、オープンタンク62に収容された補給水をボイラ10A,10B,10Cそれぞれに供給する。オープン給水ラインLoの上流側の端部は、オープンタンク62の底部(液相部)に接続される。オープン給水ラインLoの下流側は、ボイラ10A,10B,10Cのそれぞれに接続されるように分岐している。分岐したオープン給水ラインLoにはそれぞれ、上述した補助ポンプPoが設置される。
【0043】
以上のような構成のドレン回収装置6は、負荷機器5で生じたドレンをドレンタンク61又はオープンタンク62に収容し、収容したドレンを再びボイラ10に供給する。具体的には、ドレンタンク61に収容されたドレンは、クローズド給水ラインLcを介してボイラ10A,10B,10Cに供給され(クローズド給水され)、オープンタンク62に収容されたドレンはオープン給水ラインLoを介してボイラ10に供給される(オープン給水される)。ここで、クローズド給水の際には、ドレンタンク61に設置された温度センサや圧力センサ、水位センサ等(図示せず)により計測される圧力や温度、水位等に基づいて、加圧蒸気ラインL3の圧力調整弁31、フラッシュ蒸気ラインL4の圧力調整弁32等の制御が行われる。これらの制御については、従来既知の方法を用いることにして、詳細な説明を省略する。
【0044】
なお、ドレン回収装置6の構成は、クローズド給水ラインLcを介してクローズド給水を行い、且つオープン給水ラインLoを介してオープン給水を行うことができる構成であれば、上記の構成に限られない。
【0045】
1.3 ボイラ装置1の動作
次に、
図4のフローチャートを用いて、上記構成のボイラ装置1の動作を説明する。なお、以下の説明では、台数設定部41は、クローズド給水を行う対象ボイラ台数Xを2台に設定しているものとする。
【0046】
まず、ステップS1においてボイラ装置1が起動されると、各ボイラ10A,10B,10Cは水位等の状態に応じて給水要求を出力する。すると、制御手段4の給水要求取得部42は、ステップS2において、各ボイラ10A,10B,10Cの給水要求を取得する。
【0047】
次に、ステップS3において、優先順位設定部43は、給水要求取得部42が各ボイラ10A,10B,10Cの給水要求を取得した順(したがって、給水を開始する順)に、各ボイラ10A,10B,10Cに対し優先順位Rを割り付ける(例えば、ボイラ10A,10B,10Cの優先順位Rを1,2,3とする)。割り付けられた各ボイラ10A,10B,10Cの優先順位Rは、記憶部45に記憶される。なお、複数のボイラからの給水要求を同時に取得した場合には、例えば、右側に設置されたボイラなど、予め定められた方のボイラの優先順位を上にする。
【0048】
次に、ステップS4において、クローズド対象設定部44は、台数設定部41が設定した対象ボイラ台数X(=2台)と上述した優先順位設定部43が割り付けた優先順位R(ボイラ10A=1、ボイラ10B=2、ボイラ10C=3)とを記憶部45から読み出す。そして、クローズド対象設定部44は、優先順位Rの高い2台のボイラ10(ボイラ10A及びボイラ10B)をクローズド給水対象ボイラとし、優先順位Rの低いその他のボイラ(ボイラ10C)をオープン給水対象ボイラに設定する。
【0049】
次に、ステップS5において、切替手段制御部40は、クローズド対象設定部44が設定したクローズド給水対象ボイラのクローズド給水弁Vcを開放し、クローズド給水により上述した水位一定制御を行う一方、同ボイラの補助ポンプPoの駆動を停止(又は停止を維持)する。また、切替手段制御部40は、オープン給水対象ボイラのクローズド給水弁Vcを閉止する一方、同ボイラの補助ポンプPoを駆動して、オープン給水により水位一定制御を行う。これにより、クローズド給水対象ボイラに対してクローズド給水が開始され、オープン給水対象ボイラに対してはオープン給水が開始される。
【0050】
上記ステップS5において給水が開始された後は、ステップS6において、給水要求取得部42が、各ボイラ10から給水要求が出力されているかどうかを判定する。このステップS6は、ボイラ装置1の燃焼動作中、常に実行され続ける。そして、ステップS6において給水要求取得部42がいずれかのボイラ10(ここではボイラ10A)からの給水要求が出力されなくなったことを検知した場合、次のステップS7において、優先順位設定部43は優先順位Rを変更する。具体的には、優先順位設定部43は、ボイラ10Aの優先順位Rを最低にし、その他のボイラ10B,10Cの優先順位Rを繰り上げる(ボイラ10A=3、ボイラ10B=1、ボイラ10C=2とする)。変更した各ボイラ10の優先順位Rは、記憶部45に記憶される。
【0051】
そして、ステップS8において、クローズド対象設定部44は、対象ボイラ台数X(=2台)と上述した優先順位設定部43が変更した優先順位Rとを記憶部45から読み出し、優先順位Rの高い2台のボイラ10(ボイラ10B及びボイラ10C)をクローズド給水対象ボイラとし、優先順位Rの低いその他のボイラ(ボイラ10A)をオープン給水対象ボイラに設定する。これにより、クローズド給水ボイラ及びオープン給水対象ボイラが変更される。
【0052】
次に、ステップS9において、切替手段制御部40は、クローズド対象設定部44が新たにオープン給水対象ボイラに設定したボイラ10、すなわちボイラ10Aのクローズド給水弁Vcを閉止し、当該ボイラ10Aの補助ポンプPoの駆動又は駆動の準備を開始する。また、同時に、切替手段制御部40は、クローズド対象設定部44が新たにクローズド給水対象ボイラとして設定したボイラ10(ボイラ10C)のクローズド給水弁Vcを開放し、水位一定制御を行う一方、当該ボイラ10Cの補助ポンプPoの駆動を停止する。これにより、クローズド給水対象ボイラからオープン給水対象ボイラに切り替わったボイラ10A及び、オープン給水対象ボイラからクローズド給水対象ボイラに切り替わったボイラ10Cの、給水のラインが変更される。
【0053】
なお、ステップS9の後は、再度ステップS6に戻り、再度給水要求取得部42がいずれかのボイラからの給水要求が出力されなくなったことを検知した場合には、ステップS7~ステップS9により、再びクローズド給水対象ボイラは切り替えられる。つまり、上記ステップS6~ステップS9は、ボイラ装置1の燃焼動作中繰り返される。
【0054】
また、一度給水要求の出力を停止して優先順位Rが最低となったボイラ10は、再度給水要求の出力を開始すれば、オープン給水を受けることができる。そして、再度クローズド給水対象ボイラが切り替わった場合には、一度優先順位Rが最低となったボイラ10であっても、再びクローズド給水を受けることが可能である。
【0055】
上述したステップにより、本実施形態の制御手段4は、ボイラ装置1の燃焼運転中、任意のボイラ10が給水要求を出力しなくなるタイミング(特許請求の範囲における所定のタイミング)で、クローズド給水対象ボイラのローテーションを行う。
【0056】
なお、本実施形態のボイラ10においては、給水要求がなくなるタイミング(ボイラ10が給水を停止するタイミング)は、ボイラ10が運転や燃焼を停止するタイミングでもある。したがって、優先順位設定部43が優先順位Rを変更するタイミングは、任意のボイラ10からの給水要求がなくなったタイミングではなく、任意のボイラ10が運転や燃焼を停止するタイミングであっても良い。ここで、「ボイラ10が運転や燃焼を停止するタイミング」には、ボイラ10の燃焼停止のタイミングに加え、ボイラ10の燃焼停止に関連して生成される任意の信号(例えば、ボイラ停止信号)を受信するタイミングや、ボイラ10の燃焼停止に関連した任意の構成要素の動作を検知するタイミングが含まれるものとする。
【0057】
一方、変形例として、ボイラ10の給水要求がなくなるタイミングが、ボイラ10が運転や燃焼を停止したタイミングと一致しない場合も考えられる。すなわち、ボイラ10が運転や燃焼を停止しても給水要求が出力され続ける(給水が継続する)場合や、給水要求がなくなってもボイラ10が運転や燃焼を継続する場合もある。このような場合には、給水要求がなくなる場合(給水が停止する場合)に優先順位Rを変更するよう構成することも、運転や燃焼が停止する場合に優先順位Rを変更するよう構成することも可能である。さらに、給水要求がなくなる場合と運転や燃焼が停止する場合の何れの場合にも優先順位Rを変更する構成とすることも可能である。
【0058】
なお、全てのボイラ10からの給水要求の出力がなくなったことを給水要求取得部42が検知すると、切替手段制御部40は全てのボイラ10のクローズド給水弁Vcを閉止し、補助ポンプPoの駆動も停止させて、制御手段4による給水制御を終了する。
【0059】
1.4 効果
以上のようなボイラ装置1によれば、制御手段4のクローズド対象設定部44が、複数のボイラ10のうち1台以上N-1台以下(上記実施形態では2台)のボイラ10をクローズド給水を行うことのできるクローズド給水対象ボイラに設定する。また、オープン給水対象ボイラ(上記実施形態では1台)へのクローズド給水を制限するよう構成される。したがって、少なくとも1台のボイラにはオープン給水を行うことになるため、ドレン回収装置6が送水能力不足となることを防止することが可能である。具体的には、ドレンタンク61が小容量の圧力容器により構成される場合やドレンの回収量が少ない場合等にも、ドレンタンク61のドレンが不足することを抑制することができる。また、ボイラ10全台を高負荷で運転する場合にも、ドレン供給ポンプPcが送水能力不足になることを防止することができる。
【0060】
加えて、本実施形態のボイラ装置1では、任意のボイラ10が給水を停止するタイミングで制御手段4がクローズド給水対象ボイラを変更するようになっている。これにより、一部のボイラに対してはクローズド給水を行わずオープン給水を行う場合において、同じボイラに常にクローズド給水又はオープン給水の何れか一方の給水を行うことが防止される。したがって、部材の耐久性にムラが生じたり、給水を行わない他方のラインに異物が発生したりするなどの不具合を抑制することが可能となっている。
【0061】
さらに、制御手段4による上述した制御であれば、ドレン回収装置6の情報(例えば、ドレンタンクの圧力、水位やポンプの駆動状況)をボイラ装置1側で取得できない場合であっても、各ボイラ10の状況に応じた給水の切り替えを行うことが可能となっている。
【0062】
ところで、本実施形態におけるボイラ装置1は、全てのボイラ10のうちどのボイラを優先的に燃焼させるかを決める燃焼優先順位RRが内部で定められている。具体的には、燃焼優先順位RRの高いボイラ10は常に高負荷で燃焼を行い、燃焼優先順位RRの低いボイラ10は休止状態又は燃焼と休止を繰り返す状態となるよう、各ボイラ10の燃焼が制御される(低燃焼と高燃焼を切り替え可能なボイラの場合は、燃焼優先順位RRの高いボイラほど高燃焼を行う割合が高く、燃焼優先順位RRの低いボイラほど低燃焼又は休止状態となる割合が高くなるよう制御される)。したがって、上述した本実施形態に係る制御手段4の制御を行うことで、休止状態になることのない高負荷のボイラ10に対して優先的にクローズド給水を行い、熱効率を向上させることが可能となっている。この際、低負荷のボイラ10、すなわち休止状態になり得るボイラ10に対しては、優先的にオープン給水を行うことで、ドレンタンクの圧力変動を抑制することが可能となっている。
【0063】
2.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態に係るボイラ装置1について、
図1及び
図5~
図7を参照しつつ説明する。本実施形態のボイラ装置1にも、
図1に示すように、負荷機器5及びドレン回収装置6が接続される。負荷機器5及びドレン回収装置6の構成は、第1実施形態のものと同一であるため、その説明を省略する。本実施形態のボイラ装置1も、N(≧2)台のボイラとしてのボイラ10A,10B,10Cと、蒸気ヘッダ2と、接続管3と、蒸気供給ラインL1と、制御手段4とを備える。本実施形態のボイラ装置1は、制御手段4の構成のみが、第1実施形態のものと異なっている。本実施形態のボイラ装置1は、制御手段4がクローズド給水対象ボイラを所定時間毎に予め定めた順番で変更することを特徴とするものである。以下、第1実施形態のものと同様な構成要素には同様の符号を付して説明を省略し、相違点のみを説明する。
【0064】
2.1 制御手段4の構成
本実施形態の制御手段4は、
図5に示すように、切替手段制御部40と、記憶部45と、切替時間設定部47と、タイマー48とを備える。
【0065】
切替手段制御部40は、各ボイラ10の切替手段11を制御する。具体的には、切替手段制御部40は、クローズド給水弁Vcの開度制御と、補助ポンプPoの駆動制御とを行う。なお、本実施形態においても、切替手段制御部40は、給水時に水位一定制御を行うものとする。
【0066】
記憶部45は、
図6に示すような、クローズド給水対象となるボイラ(クローズド対象ボイラ)とオープン給水対象となるボイラの組み合わせの期間ごとの遷移を示す設定テーブルを記憶する。この設定テーブルは、入力手段(図示せず)からのユーザの入力により設定されるか、又はボイラ装置1の導入時やドレン回収装置6の接続時等に予め設定されるものとする。
【0067】
切替時間設定部47は、入力手段(図示せず)からのユーザの入力により、又は記憶部45から読み出すことにより、切替時間を設定する。切替時間とは、クローズド給水を行うボイラ10をクローズド対象設定部44により切り替えるまでの期間である。切替時間は、予め設定する場合には、例えば8時間とすることや、1日とすることができる。ただし、切替時間は、これらの時間に限られるものではない。
【0068】
タイマー48は、ボイラ装置1が運転を開始し、給水が開始された時からの経過時間を計測する。また、タイマー48は、経過時間を切替手段制御部40に出力する。
【0069】
2.2 ボイラ装置1の動作
次に、
図7のフローチャートを用いて、上記構成のボイラ装置1の動作を説明する。なお、以下の説明では、クローズド給水対象ボイラの数を3台のボイラ10A,10B,10Cのうち2台に設定しているものとする。また、切替時間設定部47により、切替時間は既に設定されているものとする。
【0070】
まず、ステップSS1においてボイラ装置1が起動されると、ステップSS2において、切替手段制御部40は、記憶部45に記憶された設定テーブルの、最初の期間T1における給水対象の組み合わせを取得する。
図6の例では、クローズド給水対象ボイラがボイラ10A及びボイラ10Bであり、オープン給水対象となるボイラがボイラ10Cである。
【0071】
続いて、ステップSS3において、切替手段制御部40は、取得した給水対象の組み合わせに基づいて、クローズド給水対象ボイラ(ボイラ10A及びボイラ10B)のクローズド給水弁Vcを開放し、同ボイラの補助ポンプPoの駆動を停止(又は停止を維持)する。また、切替手段制御部40は、オープン給水対象ボイラ(ボイラ10C)のクローズド給水弁Vcを閉止し、同ボイラの補助ポンプPoを駆動する。これにより、クローズド給水対象ボイラに対してクローズド給水が開始され、オープン給水対象ボイラに対してはオープン給水が開始される。なお、この際、タイマー48は、経過時間の計測を開始する。
【0072】
上記ステップSS3において給水が開始された後は、ステップSS4において、切替手段制御部40は、タイマー48により計測される経過時間が切替時間設定部47により設定された切替時間に達したかどうかを判定する。このステップSS4は、ボイラ装置1の燃焼動作中、常に実行され続ける。そして、ステップSS4において、タイマー48により計測される経過時間が切替時間設定部47により設定された切替時間に達すると、切替手段制御部40は、記憶部45に記憶された設定テーブルの、次の期間T2における給水対象の組み合わせを取得する。
図6の例では、クローズド給水対象ボイラがボイラ10B及びボイラ10Cであり、オープン給水対象となるボイラがボイラ10Aである。
【0073】
そして、次のステップSS5において、切替手段制御部40は、取得した給水対象の組み合わせに基づいて、クローズド給水対象ボイラ(ボイラ10B及びボイラ10C)のクローズド給水弁Vcを開放し、同ボイラの補助ポンプPoの駆動を停止(又は停止を維持)する。また、切替手段制御部40は、オープン給水対象ボイラ(ボイラ10A)のクローズド給水弁Vcを閉止し、同ボイラの補助ポンプPoを駆動する。これにより、クローズド給水対象ボイラに対してクローズド給水が開始され、オープン給水対象ボイラに対してはオープン給水が開始される。
【0074】
なお、ステップSS5の後は、再度ステップSS4に戻り、上記ステップSS5においてクローズド給水対象ボイラが切り替えられてからの時間(切替後の経過時間)が切替時間に達したかどうかの判定を行う。そして、切替時間に達すると、切替手段制御部40は、記憶部45に記憶された設定テーブルの、次の期間T3における給水対象の組み合わせを取得する。そして、ステップSS5において、切替手段制御部40が取得した給水対象の組み合わせに基づいて、切替手段11を制御し、給水ラインを切り替える。このようにして、ボイラ装置1の燃焼動作中には、上記ステップSS4及びステップSS5が繰り返される。
【0075】
上述したステップにより、本実施形態の制御手段4は、ボイラ10の燃焼運転中、経過時間(又は切替後の経過時間)が切替時間に達するタイミング(特許請求の範囲における所定のタイミング)で、クローズド給水対象ボイラのローテーションを行う。
【0076】
そして、全てのボイラが運転や燃焼を停止すると、切替手段制御部40が全てのボイラ10のクローズド給水弁Vcを閉止し、補助ポンプPoの駆動も停止させて、制御手段4による給水制御を終了する。
【0077】
なお、本実施形態のボイラ装置1の各ボイラ10A,10B,10Cは、全台均一負荷で燃焼する構成であることが好ましい。すなわち、ボイラ装置1を高負荷にする場合には、全台の負荷を均一に高くし、ボイラ装置1を低負荷にする場合には、全台の負荷を均一に低くすることで負荷を調整する構成である。また、ボイラ装置1は、負荷を変更できない形態であっても良い。
【0078】
2.3 効果
以上のような本実施形態のボイラ装置1によっても、第1実施形態に準じた効果を得ることが可能である。特にボイラ装置1の各ボイラ10が全台均一負荷で燃焼する構成であれば、単に一定の時間ごとにクローズド給水対象ボイラをローテーションするという簡単な制御であっても、ボイラ10ごとの給水方法のばらつきを抑え、高負荷のボイラ10に対してオープン給水を行い低負荷のボイラ10にクローズド給水を行うというような効率の悪い給水をすることが避けられる。
【0079】
3.第1及び第2実施形態の変形例
・上記実施形態においては、ボイラ装置1はN(≧2)台のボイラとして3台のボイラ10A,10B,10Cを備えていたが、ボイラ装置1の備えるボイラ10の台数は3台に限られない。すなわち、ボイラ装置1の備えるボイラ10の台数は、2台以上の任意の台数とすることができる。また、クローズド給水を行うクローズド対象ボイラの台数も、上述した実施形態の2台に限られない。すなわち、ボイラ10の総数をN台とすると、1台以上N-1台以下のボイラをクローズド対象ボイラとすることができる。
・上記第1実施形態及び第2実施形態において、各ボイラ10に設けられる切替手段11は、クローズド給水ラインLcに設けられるクローズド給水弁Vcと、オープン給水ラインLoに設けられる補助ポンプPo及び逆止弁Voとを備えて構成されていたが、切替手段11の構成は、このような構成に限られない。すなわち、クローズド給水ラインLc及びオープン給水ラインLoに設けられる部材を、共にモータバルブにより構成される給水弁とすることが可能である。また、クローズド給水ラインLc及びオープン給水ラインLoに設けられる部材を、共に補助ポンプ及び逆止弁により構成しても良い。さらに、クローズド給水ラインLcに設けられる部材として補助ポンプ及び逆止弁を用い、オープン給水ラインLoに設けられる部材として給水弁を用いることも可能である。切替手段11としては、ドレンの流通の許容と規制とを切り替えることの可能な任意の構成を適用することができる。
・上記実施形態において、燃焼中のボイラ10は、水位を略一定に維持する水位一定制御を行うよう構成されていたが、水位の制御はこのような制御に限定されない。すなわち、ボイラ10の水位の制御として、水位が第1水位を下回った場合にクローズド給水弁Vcを開放するか又は補助ポンプPoを駆動し、水位が第2水位(>第1水位)を上回った場合にクローズド給水弁Vcを閉止するか又は補助ポンプPoの駆動を停止する、水位変動制御を行うことも可能である。この場合、クローズド給水弁Vcは開閉弁としてもよく、補助ポンプPoはインバータ制御ができないものであっても良い。ただし、エコノマイザ13内でのドレンの沸騰を防止するためには、水位が第2水位を上回った場合にも、クローズド給水弁Vcを完全には閉止せず、補助ポンプPoを完全には止めずに、少量の給水を行うことが好ましい。
【符号の説明】
【0080】
1 :ボイラ装置
2 :蒸気ヘッダ
3 :接続管
4 :制御手段
5 :負荷機器
6 :ドレン回収装置
10 :ボイラ
10A :ボイラ
10B :ボイラ
10C :ボイラ
11 :切替手段
12 :水位センサ
13 :エコノマイザ
21 :スチームトラップ
31 :圧力調整弁
32 :圧力調整弁
33 :補給水供給ポンプ
40 :切替手段制御部
41 :台数設定部
42 :給水要求取得部
43 :優先順位設定部
44 :クローズド対象設定部
45 :記憶部
47 :切替時間設定部
48 :タイマー
61 :ドレンタンク
62 :オープンタンク
63 :新水導入ライン
L1 :蒸気供給ライン
L2 :ドレン回収ライン
L3 :加圧蒸気ライン
L4 :フラッシュ蒸気ライン
L5 :補給水ライン
Lc :クローズド給水ライン
Lo :オープン給水ライン
Pc :ドレン供給ポンプ
Po :補助ポンプ
R :優先順位
RR :燃焼優先順位
S1~S9 :ステップ
SS1~SS5 :ステップ
T1~T3 :期間
Vc :クローズド給水弁
Vo :逆止弁
X :対象ボイラ台数