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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】血圧計
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/022 20060101AFI20220119BHJP
【FI】
A61B5/022 300F
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018075591
(22)【出願日】2018-04-10
(65)【公開番号】P2019180849
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100122286
【弁理士】
【氏名又は名称】仲倉 幸典
(72)【発明者】
【氏名】古賀 俊明
(72)【発明者】
【氏名】永田 琢也
(72)【発明者】
【氏名】小椋 敏彦
【審査官】▲瀬▼戸井 綾菜
(56)【参考文献】
【文献】特開平2-17031(JP,A)
【文献】特開2005-28123(JP,A)
【文献】特開2005-237802(JP,A)
【文献】特開2006-204543(JP,A)
【文献】特開2005-334048(JP,A)
【文献】特開2005-245952(JP,A)
【文献】国際公開第2005/074793(WO,A1)
【文献】実開昭62-87610(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2006/0184053(US,A1)
【文献】中国実用新案第208541299(CN,U)
【文献】意匠登録第1386491(JP,S)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/022
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプを収容した本体と、この本体に着脱可能に装着される円筒状のカフユニットとを備えた血圧計であって、
上記本体は、
上方へ開いた円弧状断面を有し、この円弧状断面に垂直な方向に沿って上記カフユニットをスライド可能に受けるスライド受け部を備え、
このスライド受け部は、上記カフユニットがスライドされるスライド方向に関して、水平に、または、スライド終端側へ向かって次第に高さが低くなる態様で傾斜しており、
上記カフユニットは、
棒状の被測定部位が挿入されるように円筒状をなし、内周面に沿って流体袋を有するカフ構造体と、
下方へ開いた円弧状断面を有し、上記カフ構造体と一体になるように着脱可能に装着されて上記カフ構造体の少なくとも上半分を覆うカバーとを備え、
上記スライド受け部に沿って上記カフユニットがスライドされるとき、上記スライド受け部の円弧状断面の両側の上縁が、上記カバーの円弧状断面の両側の下縁に当接して上記カフユニットの重みを支えるようになっていることを特徴とする血圧計。
【請求項2】
請求項1に記載の血圧計において、
上記スライド受け部は、上記スライド終端側に相当する部位に、上記ポンプに連通する第1の流体コネクタを有し、
上記カフユニットは、上記第1の流体コネクタに対向する部位に、上記流体袋に連通する第2の流体コネクタを有し、
上記スライド受け部に沿って上記スライド終端側へ向かって上記カフユニットがスライドして装着されると、上記第1の流体コネクタと上記第2の流体コネクタとが流体流通可能かつ着脱可能に嵌合して接続されるようになっていることを特徴とする血圧計。
【請求項3】
請求項1または2に記載の血圧計において、
上記カフユニットは、
上記カフ構造体に上記カバーが一体になるように着脱可能に装着するために、
上記カフ構造体の外周面の上半分に沿って、血圧測定時に被測定者に面して配される前面側からこの前面側とは反対の後面側へ向かって、上記カバーがスライドされることによって、
上記カフ構造体の軸方向に関して上記カフ構造体と上記カバーとを着脱可能に係合してロックする第1係合部と、
上記カフ構造体の径方向および周方向に関して上記カフ構造体と上記カバーとの間の相対的移動を規制する第2係合部とを備えたことを特徴とする血圧計。
【請求項4】
請求項3に記載の血圧計において、
上記第1係合部は、ロックの完了を表す音を生ずるように構成されていることを特徴とする血圧計。
【請求項5】
請求項3または4に記載の血圧計において、
上記カフ構造体と上記カバーとの一方または両方に、上記カフ構造体に上記カバーが装着される際の相対的なスライドの向きを示すマークが設けられていることを特徴とする血圧計。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一つに記載の血圧計において、
上記スライド受け部に沿って上記スライド終端側へ向かって上記カフユニットがスライドされることによって、上記スライド方向に関して上記本体と上記カフユニットとを着脱可能に係合してロックするロック部を備えたことを特徴とする血圧計。
【請求項7】
請求項6に記載の血圧計において、
上記ロック部は、ロックの完了を表す音を生ずるように構成されていることを特徴とする血圧計。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか一つに記載の血圧計において、
上記カバーの血圧測定時に被測定者に面して配される前面側の端面は、上記カフ構造体の前面側の端面を覆うように、円環状になっていることを特徴とする血圧計。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか一つに記載の血圧計において、
上記本体は、
この本体に上記カフユニットが装着された状態で、
上記ポンプから上記流体袋に流体を供給して、上記カフユニットに挿入された被測定部位を圧迫する制御を行う圧力制御部と、
上記流体の圧力に基づいて血圧を算出する血圧算出部と
を備えたことを特徴とする血圧計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は血圧計に関し、より詳しくは、ポンプを収容した本体と、この本体に着脱可能に装着される円筒状のカフユニットとを備えた血圧計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の血圧計としては、例えば特許文献1(特開2005-334048号公報)に開示されているように、ポンプを収容した本体と、この本体に対して着脱可能に装着される円筒状のカフユニットとを備えたものが知られている。カフユニットの内周面には、布袋やゴム袋からなるカフ部が設けられている。血圧測定時には、被測定者がカフユニットに上腕を挿入した状態で、本体のポンプからカフユニットのカフ部へエアが供給されて、上腕が圧迫される。これにより、血圧測定が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-334048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の血圧計が、長年にわたって使用されると、例えば流体袋(布袋やゴム袋からなるカフ部、空気袋を指す。)が劣化して、漏気などの不具合が生ずることがある。その場合、従来の一般的な対処としては、費用節約の観点から、カフユニットのみが新品に交換される。
【0005】
ここで、長年にわたる使用の結果、通常、本体には退色が生じている。このため、そのような本体に新品のカフユニットが装着されたとき、退色した本体と新品のカフユニットとの間の色味の違いが、ユーザに対して違和感を与えることがある。
【0006】
そこで、この発明の課題は、ポンプを収容した本体と、この本体に着脱可能に装着される円筒状のカフユニットとを備えた血圧計であって、部品交換が簡単に行われ、部品交換が行われたとしてもユーザに対して違和感を与えることがないものを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この開示の血圧計は、
ポンプを収容した本体と、この本体に着脱可能に装着される円筒状のカフユニットとを備えた血圧計であって、
上記本体は、
上方へ開いた円弧状断面を有し、この円弧状断面に垂直な方向に沿って上記カフユニットをスライド可能に受けるスライド受け部を備え、
このスライド受け部は、上記カフユニットがスライドされるスライド方向に関して、水平に、または、スライド終端側へ向かって次第に高さが低くなる態様で傾斜しており、
上記カフユニットは、
棒状の被測定部位が挿入されるように円筒状をなし、内周面に沿って流体袋を有するカフ構造体と、
下方へ開いた円弧状断面を有し、上記カフ構造体と一体になるように着脱可能に装着されて上記カフ構造体の少なくとも上半分を覆うカバーとを備え、
上記スライド受け部に沿って上記カフユニットがスライドされるとき、上記スライド受け部の円弧状断面の両側の上縁が、上記カバーの円弧状断面の両側の下縁に当接して上記カフユニットの重みを支えるようになっていることを特徴とする。
【0008】
ここで、カフユニットに関して「下方」、「上半分」における「下」、「上」とは、上記カフユニットが上記本体に装着された状態で、それぞれ「下」、「上」になる側を指している。
【0009】
この開示の血圧計では、血圧測定可能な状態にセットアップするために、まず、カフ構造体に対してカバーが一体になるように着脱可能に装着されて、カフユニットが構成される。次に、上記スライド受け部(円弧状断面を有する)に沿って上記カフユニットがスライドして装着される。このとき、上記スライド受け部の円弧状断面の両側の上縁が、上記カバーの円弧状断面の両側の下縁に当接して上記カフユニットの重みを支えるようになっている。したがって、例えばこの血圧計をセットアップするサービスマン、機器担当者、ユーザなど(以下「サービスマン等」という。)は、スライド時に上記カフユニットの重みを自身の手で支える必要が無く、上記カフユニットをスライド終端側へ向かって押す(スライドさせる)だけで、上記カフユニットを楽に装着できる。特に、上記スライド受け部は上記スライド終端側へ向かって次第に高さが低くなる態様で傾斜している場合、サービスマン等は、上記カフユニットへの重力を利用できるので、上記カフユニットをさらに楽に装着できる。
【0010】
血圧測定時には、被測定者が上記カフユニットに棒状の被測定部位(上腕、手首、指、下肢など)を挿入した状態で、上記本体のポンプから上記カフユニットの流体袋へ流体が供給されて、上記被測定部位が圧迫される。これにより、血圧測定が行われる。なお、「流体」は、典型的には空気であるが、他の気体、または液体であっても良い。
【0011】
長年にわたる使用の結果、例えば流体袋が劣化して、漏気などの不具合が生じた場合、この開示の血圧計では、部品として、上記カフユニットのうち上記カフ構造体のみが交換される。すなわち、まず、上記スライド受け部から上記カフユニットが装着時の向き(スライド終端側へ向かう向き)とは逆向きにスライドして取り外される。このとき、上記スライド受け部の円弧状断面の両側の上縁が、上記カバーの円弧状断面の両側の下縁に当接して上記カフユニットの重みを支えるようになっている。したがって、サービスマン等は、スライド時に上記カフユニットの重みを自身の手で支える必要が無く、上記カフユニットを楽に取り外すことができる。次に、上記カフユニットの上記カバーが上記カフ構造体から取り外される(取り外し後には、不具合が生じた上記カフ構造体は、例えば廃棄処分される。)。一方、新品のカフ構造体が用意される。この新品のカフ構造体に対して上記カバー(元のカバー)が一体になるように着脱可能に装着されて、新たなカフユニットが構成される。次に、取り外し時とは逆の手順で、上記スライド受け部に沿って上記新たなカフユニットがスライドして装着される。このとき、上記スライド受け部の円弧状断面の両側の上縁が、上記カバーの円弧状断面の両側の下縁に当接して上記カフユニットの重みを支えるようになっている。したがって、例えばこの血圧計をセットアップするサービスマン等は、スライド時に上記カフユニットの重みを自身の手で支える必要が無く、上記カフユニットを上記スライド終端側へ向かって押す(スライドさせる)だけで、上記カフユニットを楽に装着できる。このように、この開示の血圧計では、部品として、上記カフユニットのうち上記カフ構造体のみが簡単に交換される。セットアップされた状態では、上記新品のカフ構造体は、上記カバー(元のカバー)と上記スライド受け部とによって覆われる。
【0012】
ここで、上記カフユニットの上記カバー(元のカバー)は再利用される。長年にわたる使用の結果、上記本体に退色が生じているとすれば、上記カバー(元のカバー)にも同様に退色が生じているはずである。したがって、上記本体と上記カバー(元のカバー)との間の色味の違いは無い。よって、この血圧計によれば、部品(カフ構造体)の交換が行われたとしても、ユーザに対して違和感を与えることがない。
【0013】
一実施形態の血圧計では、
上記スライド受け部は、上記スライド終端側に相当する部位に、上記ポンプに連通する第1の流体コネクタを有し、
上記カフユニットは、上記第1の流体コネクタに対向する部位に、上記流体袋に連通する第2の流体コネクタを有し、
上記スライド受け部に沿って上記スライド終端側へ向かって上記カフユニットがスライドして装着されると、上記第1の流体コネクタと上記第2の流体コネクタとが流体流通可能かつ着脱可能に嵌合して接続されるようになっていることを特徴とする。
【0014】
この一実施形態の血圧計では、上記スライド受け部に沿って上記スライド終端側へ向かって上記カフユニットがスライドして装着されると、上記第1の流体コネクタと上記第2の流体コネクタとが流体流通可能かつ着脱可能に嵌合して接続される。血圧測定時には、被測定者が上記カフユニットに被測定部位を挿入した状態で、上記本体のポンプから上記第1、第2の流体コネクタを通して上記カフユニットの流体袋へ流体が供給されて、被測定部位が圧迫される。これにより、血圧測定が行われる。ここで、上方へ開いた円弧状断面を有する上記スライド受け部に円筒状の上記カフユニットが受けられた装着状態では、上記スライド受け部と上記カフユニットとの間に上記スライド方向に対して垂直な方向の外力が加わり難く、捻れが発生し難い。したがって、上記第1、第2の流体コネクタ間の流体流通可能な接続の信頼性が高まる。逆に、上記スライド受け部から上記カフユニットが装着時の向きとは逆向きにスライドして取り外されると、上記第1、第2の流体コネクタ間の接続は解除される。このように、上記スライド受け部に対する上記カフユニットの着脱によって、上記第1の流体コネクタと上記第2の流体コネクタとが着脱される。したがって、サービスマン等は、この血圧計のセットアップおよび/または分解を簡単に行うことができる。
【0015】
一実施形態の血圧計では、
上記カフユニットは、
上記カフ構造体に上記カバーが一体になるように着脱可能に装着するために、
上記カフ構造体の外周面の上半分に沿って、血圧測定時に被測定者に面して配される前面側からこの前面側とは反対の後面側へ向かって、上記カバーがスライドされることによって、
上記カフ構造体の軸方向に関して上記カフ構造体と上記カバーとを着脱可能に係合してロックする第1係合部と、
上記カフ構造体の径方向および周方向に関して上記カフ構造体と上記カバーとの間の相対的移動を規制する第2係合部とを備えたことを特徴とする。
【0016】
カフ構造体の「軸方向」とは、上記カフ構造体の中心軸に沿った方向を指す。カフ構造体の「径方向」とは、上記カフ構造体の中心軸に対して垂直な方向を指す。カフ構造体の「周方向」とは、上記カフ構造体の中心軸の周りの方向を指す。
【0017】
この一実施形態の血圧計では、上記カフ構造体の外周面の上半分に沿って、血圧測定時に被測定者に面して配される前面側からこの前面側とは反対の後面側へ向かって、で上記カバーがスライドされることによって、第1係合部は、上記カフ構造体の軸方向に関して上記カフ構造体と上記カバーとを着脱可能に係合してロックする。これとともに、第2係合部は、上記カフ構造体の径方向および周方向に関して上記カフ構造体と上記カバーとの間の相対的移動を規制する。これにより、サービスマン等は、上記カフ構造体の外周面の上半分に沿って上記カバーをスライドさせるという簡単な操作でもって、上記カフ構造体に上記カバーが一体になるように着脱可能に装着して、上記カフユニットを一体に構成できる。逆に、上記カフ構造体から上記カバーを取り外す際には、上記第1係合部による軸方向のロックが解除され、上記カフ構造体の外周面の上半分で上記中心軸に沿って、上記後面側から上記前面側へ向かって上記カバーがスライドされる。これにより、上記カフ構造体から上記カバーが取り外され得る。
【0018】
一実施形態の血圧計では、上記第1係合部は、ロックの完了を表す音を生ずるように構成されていることを特徴とする。
【0019】
この一実施形態の血圧計では、サービスマン等は、上記第1係合部によるロックの完了を表す音を聞くことによって、上記カフ構造体に上記カバーが正しく装着されたことを知ることができる。この結果、サービスマン等は、この血圧計のセットアップを確実に進めてゆくことができる。
【0020】
一実施形態の血圧計では、上記カフ構造体と上記カバーとの一方または両方に、上記カフ構造体に上記カバーが装着される際の相対的なスライドの向きを示すマークが設けられていることを特徴とする。
【0021】
この一実施形態の血圧計では、サービスマン等は、上記カフ構造体に上記カバーを装着する際に、上記マークを見ることによって、上記カフ構造体の外周面の上半分に沿って上記カバーを正しい向きに相対的にスライドさせることができる。したがって、サービスマン等は、上記カフ構造体に上記カバーを正しく、より簡単に装着できる。
【0022】
一実施形態の血圧計では、上記スライド受け部に沿って上記スライド終端側へ向かって上記カフユニットがスライドされることによって、上記スライド方向に関して上記本体と上記カフユニットとを着脱可能に係合してロックするロック部を備えたことを特徴とする。
【0023】
この一実施形態の血圧計では、上記スライド受け部に沿って上記スライド終端側へ向かって上記カフユニットがスライドされることによって、ロック部は、上記スライド方向に関して上記本体と上記カフユニットとを着脱可能に係合してロックする。これにより、サービスマン等は、上記スライド受け部に沿って上記スライド終端側へ向かって上記カフユニットを押す(スライドさせる)という簡単な操作でもって、上記スライド方向に関して上記本体と上記カフユニットとを着脱可能にロックできる。これにより、この血圧計を一体に構成できる。
【0024】
一実施形態の血圧計では、上記ロック部は、ロックの完了を表す音を生ずるように構成されていることを特徴とする。
【0025】
この一実施形態の血圧計では、サービスマン等は、上記ロック部によるロックの完了を表す音を聞くことによって、上記本体に上記カフユニットが正しく装着されたことを知ることができる。この結果、サービスマン等は、この血圧計のセットアップを確実に進めてゆくことができる。
【0026】
一実施形態の血圧計では、上記カバーの血圧測定時に被測定者に面して配される前面側の端面は、上記カフ構造体の前面側の端面を覆うように、円環状になっていることを特徴とする。
【0027】
この一実施形態の血圧計では、セットアップされた状態で、上記カフ構造体は上記カバーと上記スライド受け部とによって覆われ、特に、上記カフ構造体の前面側の端面は上記カバーの前面側の端面によって覆われる。したがって、例えば不具合によって上記カフ構造体が交換されたとしても、セットアップされた状態の外観からは、その交換されたことをユーザは認識できない。したがって、ユーザに対して違和感を与えることがない。
【0028】
一実施形態の血圧計では、
上記本体は、
この本体に上記カフユニットが装着された状態で、
上記ポンプから上記流体袋に流体を供給して、上記カフユニットに挿入された被測定部位を圧迫する制御を行う圧力制御部と、
上記流体の圧力に基づいて血圧を算出する血圧算出部と
を備えたことを特徴とする。
【0029】
この一実施形態の血圧計では、血圧測定時には、圧力制御部が、上記本体に搭載された上記ポンプから上記流体袋に流体を供給して上記カフユニットに挿入された被測定部位を圧迫する制御を行う。上記カフ構造体(流体袋を含む。)の加圧過程または減圧過程で、血圧算出部が、上記流体の圧力に基づいて血圧を算出する(オシロメトリック法)。したがって、被測定者にとって簡単に血圧測定が行われる。
【発明の効果】
【0030】
以上より明らかなように、この開示の血圧計によれば、部品交換が簡単に行われ、部品交換が行われたとしてもユーザに対して違和感を与えることがない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】この発明の一実施形態の血圧計を前方斜め上方から見たところを示す図である。
図2】上記血圧計を後方斜め上方から見たところを示す図である。
図3】上記血圧計を右側方から見たところを示す図である。
図4】上記血圧計をなす本体とカフユニットとが分離された状態を示す図である。
図5】上記カフユニットをなすカフ構造体とカバーとが分離された状態を示す図である。
図6】上記カフ構造体に上記カバーを着脱する仕方を説明する図である。
図7】上記カバーの内側を示す図である。
図8図8(A)は、上記カフユニットが中心軸に沿って切断されたときの断面を示す図である。図8(B)は、図8(A)における、上記カフ構造体と上記カバーとを係合する第1係合部を拡大して示す図である。
図9図9(A)は、上記血圧計を右側方から見たときの断面を示す図である。図9(B)は、図9(A)における、上記本体と上記カフユニットとを係合するロック部を拡大して示す図である。
図10図10(A)は、上記本体のスライド受け部に上記カフユニットが装着された状態を示す図である。図10(B)は、上記スライド受け部から上記カフユニットを取り外す仕方を説明する図である。
図11】上記本体(の上記スライド受け部)から上記カフユニットを取り外す仕方を説明する図である。
図12】上記本体の、上記スライド受け部のスライド終端側に相当する部位に設けられた第1の流体コネクタを示す図である。
図13】上記カフ構造体の外周面の上部に設けられた、上記カバーを装着するときの向きを表すマークを示す図である。
図14】血圧測定時における上記カフ構造体の動作を示す図である。
図15】上記本体に上記カフユニットが装着された状態の上記血圧計の制御系のブロック構成を示す図である。
図16】上記血圧計における血圧測定の動作フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0033】
(本体の概略構成)
図1は、この発明の一実施形態の血圧計(符号1で示す。)を前方斜め上方から見たところを示している。図2は、血圧計1を後方斜め上方から見たところを示している。また、図3は、血圧計1を右側方から見たところを示している。なお、これらの図1~3(および後述の図4,9,11)中には、理解の容易のために、XYZ直交座標系を併せて示している。X軸は前後方向、Y軸は左右方向、Z軸は上下方向に向けられている。図1~3に示すように、血圧計1は、大別して、本体2と、カフ3と、アームレスト9とを備えている。この血圧計1は、被測定者の被測定部位としての上腕の血圧を測定するように設計されている。
【0034】
本体2は、コーナが丸くされた箱状の外形を有している。本体2の底面2bは略平坦で、図示しない水平面(XY平面に沿った台のような面)上に置かれている。本体2の上面2aは、略平坦で、前方から後方へ(-X方向へ)向かって次第に高さが高く(Z座標が大きく)なる態様で傾斜している。
【0035】
本体2の上面2aのうち、右側前部には、略円筒状のカフ3が配置されている。カフ3の中心軸(すなわち、後述のスライド受け部4の中心軸)Cは、この例では、前方から後方へ(-X方向へ)向かって次第に高さが低く(Z座標が小さく)なる態様で傾斜している。
【0036】
本体2の上面2aのうち、右側後部には、アームレスト9が配置されている。アームレスト9は、上方へ開いた略円弧状の断面を有し、カフ3の後面側の開口から、本体2の上面2aの傾斜よりも急な傾斜で略ストレートに本体2の後方へ延在している。血圧測定時には、被測定者が本体2の前方に座り、カフ3の前面側(被測定者に面する側)から後面側へ腕を通すことによって、被測定者の上腕がカフ3内に位置し、前腕がアームレスト9上に置かれた状態になることが予定されている。
【0037】
本体2の上面2aのうち、左側前部には、ユーザ(主に被測定者。以下同様。)が左手で測定開始または停止を指示するための測定開始/停止スイッチ13Aと、ユーザが血圧測定結果の印刷を指示するためのプリント指示スイッチ14とが配置されている。本体2の上面2aのうち、左側後部には、血圧測定結果を表示するための表示器(この例では、LCD(液晶ディスプレイ)からなる)11が配置されている。なお、表示器11は、表示画面が被測定者に正対するように、本体2の上面2aに立設されていてもよい。また、本体2の上面2aのうち、アームレスト9よりもさらに右側には、ユーザが右手で測定開始または停止を指示するための測定開始/停止スイッチ13Bが配置されている。2つの測定開始/停止スイッチ13A,13Bは、それぞれ、被測定者がカフ3に右上腕、左上腕を通して測定するときの便宜のために設けられている。
【0038】
カフ3は、本体2に設けられたスライド受け部4と、このスライド受け部4に着脱可能に装着される円筒状のカフユニット5とによって構成されている。
【0039】
図4に示すように、スライド受け部4は、上方へ開いた円弧状(この例では、半円状)断面を有する前面側部分4aと、この前面側部分4aの後方に連なり、前面側部分4aの円弧状断面と同心(中心軸C)の円形断面を有する後面側部分4fとを、一体に含んでいる。スライド受け部4は、この例では、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂からなっている。
【0040】
前面側部分4aの前縁4aeは、この例では上方へ開いた半円状になっている。前面側部分4aの両側の上縁4a1,4a2は、概ね直線状になっている。後面側部分4fの前縁4feは、この例では下方へ開いた半円状になっている。前面側部分4aの前縁4aeの左右の上端と、両側の上縁4a1,4a2の前端とは、それぞれアール(曲率が設けられた部分)rを介して連なっている。また、後面側部分4fの前縁4feの左右の下端と、両側の上縁4a1,4a2の後端とは、それぞれアールrを介して連なっている。結果として、スライド受け部4のカフユニット5(後述のカバー6)に対する境界線4xは、1本の連続した環状の線になっている。なお、スライド受け部4には、境界線4xに沿って、カフユニット5に対する重ねしろ4x′が設けられている。
【0041】
このスライド受け部4(の前面側部分4a)は、中心軸C(前面側部分4aの円弧状断面に垂直な方向に延びている)に沿ってカフユニット5をスライド可能に受けるようになっている。この例では、スライド受け部4は、カフユニット5がスライドされるスライド方向A1,A2(図3参照)に関して、スライド終端A1f側へ向かって次第に高さが低く(Z座標が小さく)なる態様で傾斜している。これにより、既述のカフ3の傾斜が実現されている。
【0042】
この例では、本体2に対して、スライド受け部4は、スライド終端A1f側の下部で、図示しないヒンジ(回動軸)によって、予め定められた角度範囲(例えば、水平0°から40°程度までの範囲)内で、回動可能に取り付けられている。これにより、血圧測定を行おうとする被測定者は、自らの体型に合わせて、スライド受け部4、したがってカフ3の傾斜角を調節することができる。
【0043】
このスライド受け部4の後面側部分4fの上部の内側には、ロック部Lの一部をなすh状突起46が設けられている。ロック部Lについては、図9(A),(B)を用いて後述する。
【0044】
また、図12に示すように、スライド受け部4のうちスライド終端A1f側に相当する部位に、第1の流体コネクタとしてのメス形の流体コネクタ51,52,53が並んで設けられている。これらの流体コネクタ51,52,53は、後方で図示しない可撓性エアチューブを介して、本体2内に設けられた後述のポンプに連通している。これらの流体コネクタ51,52,53には、前方からカフユニット5の後述の流体コネクタ81,82,83(図6参照)がそれぞれ対応して連結される。図12に示すように、流体コネクタ52と流体コネクタ53との間に相当する部位には、カフユニット5をスライド受け部4に対して位置決めするための円筒状突起54が前方へ突出して設けられている。
【0045】
(カフユニット)
図5に示すように、カフユニット5は、上腕90が挿入されるように円筒状をなすカフ構造体7と、このカフ構造体7と一体になるように着脱可能に装着されるカバー6とによって構成されている。
【0046】
カフ構造体7は、円筒状のプラスチック材(例えば、ポリ塩化ビニル)からなるベース部材70を備えている。図8(A)(カフユニット5の中心軸C1に沿った断面を示す。)中に示すように、このベース部材70の内周面に沿って、カーラ巻付用空気袋79、カーラ78、測定用空気袋77、内カバー76Bおよび外カバー76Aが順に設けられている。この例では、カーラ巻付用空気袋79と測定用空気袋77とが流体袋に相当する。
【0047】
外カバー76Aは、図示しない襞を有する円筒状の伸縮可能な布からなっている。内カバー76Bは、測定時に上腕90が痛くならないように外カバー76Aよりも厚い円筒状のクッション材(例えば、発砲スポンジ材)からなっている。外カバー76Aおよび内カバー76Bは、ベース部材70に対して着脱可能になっている。例えば、外カバー76Aは、汚れたら取り外されて洗濯され、それから再装着され得る。
【0048】
カーラ巻付用空気袋79は、伸縮可能な樹脂(例えば、ポリウレタン)からなっている。図14(A)(カフ3の中心軸Cに対して垂直な断面、すなわち、本体2に装着されたカフユニット5の中心軸C1に対して垂直な断面を示す。)中に示すように、カーラ巻付用空気袋79は、この例では、ベース部材70の内周面に沿って、6つに区分して設けられている。
【0049】
カーラ78は、適度の可撓性を有する樹脂(例えば、ポリプロピレン)からなり、展開状態では平板状であるが、図14(A)の状態(自然状態)では上腕90を取り巻く略環状の形状をもち、周方向の端部同士がオーバラップするように作製されている。
【0050】
測定用空気袋77は、カーラ巻付用空気袋79と同様に、伸縮可能な樹脂(例えば、ポリウレタン)からなっている。この測定用空気袋77は、カーラ78の内周面に沿って、上腕90の略3分の2周以上を取り巻くことが可能な長さ(周方向寸法)に設定されている(ただし、図14(A)の状態では、測定用空気袋77の周方向の端部同士が比較的大きく離れている。)。
【0051】
図6に示すように、カフ構造体7の後面7f側の下部には、第2の流体コネクタとしてのオス形の流体コネクタ81,82,83が並んで設けられている。流体コネクタ81は、ベース部材70の外周面7aに沿って配置されたエアチューブ85を介して測定用空気袋77に連通している。流体コネクタ82,83は、ベース部材70の外周面7aに沿って配置されたエアチューブ86,87(図5参照)を介してカーラ巻付用空気袋79に連通している。図6に示すように、流体コネクタ82と流体コネクタ83との間に相当する部位には、カフユニット5を本体2に対して位置決めするための十字形突起84が後方へ突出して設けられている。
【0052】
図5および図6に示すように、カフ構造体7(ベース部材70)の外周面7aには、その上部に、カフ構造体7の軸方向(中心軸C1が延びる方向)に関してカフ構造体7とカバー6とをロックするための第1係合部E1の一部をなすL状突起71が設けられている。図8(A)中に示すように、このL状突起71は、ベース部材70の外周面7aに径方向外向きに立設された略矩形の突起板部71aと、この突起板部71aの先端から概ね軸方向に沿って後面7f側へ延在する略矩形の平行板部71bとを含んでいる。この平行板部71bの外面(カバー6に対向する側の面)71uには、径方向外向き突起した係合凸部71pが設けられている。この係合凸部71pは、図8(B)中に拡大して示すように、前面7e側から後面7f側へ向かって、外面71uのレベルから次第に高さが高くなる態様で傾斜した傾斜面71p1と、この傾斜面71p1の頂と外面71uのレベルとを径方向につなぐ垂直面71p2とを有している。なお、平行板部71bの内面(ベース部材70に対向する側の面)71vには、径方向内向きに突起した規制突起71sが設けられている。この規制突起71sは、平行板部71bの径方向内向きへの撓みを、カフ構造体7とカバー6とをロックし又は解除するのに必要十分な程度までに規制するために設けられている。
【0053】
また、図5および図6に示すように、カフ構造体7の外周面7aには、その上部に、カフ構造体7の径方向Rおよび周方向θに関してカフ構造体7とカバー6との間の相対的移動を規制するための第2係合部E2(図6参照)の一部をなすリブ72が設けられている。このリブ72は、径方向外向きに突起した板状をなしている。また、カフ構造体7の外周面7aのうち、前面7e側から見て左側の側部(図5参照)には、第2係合部E2の一部をなす上下一対のガイドリブ73A,73Bが径方向外向きに突起して設けられている。ガイドリブ73A,73B同士の上下の隙間は、前面7e側から後面7f側へ向かって前半部では次第に狭くなり、後半部では一定になっている。同様に、カフ構造体7の外周面7aのうち、前面7e側から見て右側の側部(図6参照)には、第2係合部E2の一部をなす上下一対のガイドリブ74A,74Bが径方向外向きに突起して設けられている。ガイドリブ74A,74B同士の上下の隙間は、前面7e側から後面7f側へ向かって前半部では次第に狭くなり、後半部では一定になっている。
【0054】
図5および図6に示すように、カバー6は、下方へ開いた円弧状(この例では、半円状)断面を有する後面側部分6aと、この後面側部分6aの前方に連なり、後面側部分6aの円弧状断面と同心(図5中に示す中心軸C2)の円形断面を有する前面側部分(被測定者に面する側の部分)6eとを、一体に含んでいる。カバー6は、スライド受け部4と同様に、この例ではABS樹脂からなっている。
【0055】
後面側部分6aの後縁6afは、この例では下方へ開いた半円状になっている。後面側部分6aの両側の下縁6a1,6a2は、概ね直線状になっている。前面側部分6eの後縁6efは、この例では上方へ開いた半円状になっている。後面側部分6aの後縁6afの左右の上端と、両側の下縁6a1,6a2の後端とは、それぞれアールrを介して連なっている。また、前面側部分6eの後縁6efの左右の上端と、両側の下縁6a1,6a2の前端とは、それぞれアールrを介して連なっている。結果として、カバー6のスライド受け部4に対する境界線6xは、スライド受け部4の境界線4xと一致する1本の連続した環状の線になっている。したがって、図1図3に示すように血圧計1がセットアップされた状態では、カバー6とスライド受け部4との間に隙間が生じない。
【0056】
この例では、カバー6の前面側部分6e、特に、血圧測定時に被測定者に面して配される前面側の端面6eeは、カフ構造体7の前面側の端面7eeを覆うように、円環状になっている。したがって、例えば図1に示すように血圧計1がセットアップされた状態で、カフ構造体7はカバー6とスライド受け部4とによって覆われ、特に、カフ構造体7の前面側の端面7eeはカバー6の前面側の端面6eeによって覆われる。したがって、例えば不具合によってカフ構造体7が交換されたとしても、セットアップされた状態の外観からは、その交換されたことをユーザは認識できない。したがって、ユーザに対して違和感を与えることがない。
【0057】
図7に示すように、カバー6の内周面には、軸方向(中心軸C2が延びる方向)に沿って、複数のリブ61,61,63,64,…が設けられている。これらのリブ61,61,63,64,…は、径方向内向きに突起した板状をなしている。
【0058】
カバー6の内周面のうち上部に設けられた互いに平行な一対のリブ61,61は、カフ構造体7とカバー6とをロックするための第1係合部E1の一部をなすとともに、カフ構造体7の径方向Rおよび周方向θに関してカフ構造体7とカバー6との間の相対的移動を規制するための第2係合部E2の一部をなすように設計されている。また、カバー6の内周面のうち左右の側部に設けられたリブ64,63も、カフ構造体7の径方向Rおよび周方向θに関してカフ構造体7とカバー6との間の相対的移動を規制するための第2係合部E2の一部をなすように設計されている。
【0059】
詳しくは、図8(B)中に拡大して示すように、各リブ61の尾根面61bには、上述のカフ構造体7のL状突起71の係合凸部71pと対応すべき位置(カフ構造体7にカバー6が装着された状態で対応する位置)に、径方向外向きに窪んだ係合凹部61qが設けられている。係合凹部61qは、前面7e側から後面7f側へ向かって、尾根面61bのレベルから次第に窪む態様で傾斜した傾斜面61q3と、この傾斜面61q3に連なり尾根面61bと略平行な底面61q2と、この底面61q2のレベルと尾根面61bのレベルとを径方向につなぐ垂直面61q1とを有している。係合凹部61qの寸法は、L状突起71の係合凸部71pを収容可能な寸法に設定されている。
【0060】
図6および図8(A)中に矢印A5で示す向きに、カフ構造体7の外周面7aの上半分に沿って、前面7e側から後面7f側へ向かって、カバー6がスライドされると、図8(B)中に拡大して示すように、リブ61がL状突起71に対してスライドする。その際、まずリブ61の後端61fに対して係合凸部71pの傾斜面71p1が当接して、L状突起71の平行板部71bが径方向内向きに撓む。さらに、リブ61の尾根面61bが係合凸部71pの頂を擦りながら、リブ61がL状突起71に対して矢印A5で示す向きにスライドされると、リブ61の係合凹部61qの垂直面61q1をL状突起71の係合凸部71pの垂直面71p2が越える。これにより、係合凹部61qに係合凸部71pが収容されて、第1係合部E1として働き、カフ構造体7の軸方向に関してカバー6が着脱可能に係合してロックされる。この時、垂直面61q1と垂直面71p2の形状がスライド方向に対して垂直になっているおかげで、L状突起71の平行板部71bの撓みが急に解消される。この結果、リブ61の尾根面61bに対して、自然状態に復帰しようとするL状突起71の平行板部71bの外面71uが衝突して、ロックの完了を表す「カチッ」という音を生ずる。したがって、サービスマン等は、第1係合部E1によるその「カチッ」という音を聞くことによって、カフ構造体7にカバー6が正しく装着されたことを知ることができる。この結果、サービスマン等は、この血圧計1のセットアップを確実に進めてゆくことができる。
【0061】
また、図6中に矢印A5で示す向きに、カフ構造体7の外周面7aの上半分に沿って、前面7e側から後面7f側へ向かって、カバー6がスライドされると、カフ構造体7の外周面7aの上部に設けられたリブ72が、カバー6の内周面の上部に設けられた一対のリブ61,61の間の隙間に入る。これとともに、カフ構造体7の外周面7aの(前面7e側から見て)左側の側部に設けられた上下一対のガイドリブ74A,74Bの間の隙間、右側の側部に設けられた上下一対のガイドリブ73A,73B(図5参照)の間の隙間に、それぞれ、カバー6の内周面のうち左右の側部に設けられたリブ64,63(図6参照)が入る。これにより、第2係合部E2が機能して、カフ構造体7の径方向Rおよび周方向θに関してカフ構造体7とカバー6との間の相対的移動が規制される。ここで、既述のように、一対のガイドリブ74A,74B同士の上下の隙間は、前面7e側から後面7f側へ向かって前半部では次第に狭くなり、後半部では一定になっている。同様に、一対のガイドリブ73A,73B同士の上下の隙間は、前面7e側から後面7f側へ向かって前半部では次第に狭くなり、後半部では一定になっている。したがって、一対のガイドリブ74A,74B、一対のガイドリブ73A,73Bは、それぞれ、リブ64,63を円滑に案内して、各隙間に収容することができる。
【0062】
これにより、サービスマン等は、カフ構造体7の外周面7aの上半分に沿ってカバー6をスライドさせるという簡単な操作でもって、カフ構造体7にカバー6が一体になるように着脱可能に装着して、カフユニット5を一体に構成できる。
【0063】
逆に、カフ構造体7からカバー6を取り外す際には、図6中に矢印A3で示す向き(径方向内向き)に、L状突起71の平行板部71bの後部(図8(B)中に示すリブ61の後端61fよりも後方へ突出している部分を指す。以下、これを「L状突起71の後部」と呼ぶ。)が押される。これにより、図8(B)中に示す係合凹部61qから係合凸部71pが出て、第1係合部E1による軸方向のロックが解除される。続いて、そのロックが解除された状態で、図6および図8(A)中に矢印A4で示す向きに、カフ構造体7の外周面7aの上半分に沿って、後面7f側から前面7e側へ向かって、カバー6がスライドされる。すると、リブ72がリブ61,61の間の隙間から出るとともに、ガイドリブ74A,74Bの間の隙間、ガイドリブ73A,73Bの間の隙間から、それぞれリブ64,63が出て、第2係合部E2による径方向Rおよび周方向θの相対的移動規制が解除される。これにより、図5に示すようにカフ構造体7からカバー6が取り外される。
【0064】
(本体に対するカフユニットの着脱)
図6および図8(A)中に示すように、カフ構造体7(ベース部材70)の後面7f側の上部には、後述するロック部Lの一部をなす断面略矩形状の横バー部75が設けられている。この横バー部75は、カフ構造体7の後面7f側に設けられた円環状のフランジ部7ff(図6参照)によって支持されている。横バー部75とL状突起71(の平行板部71b)との間には、軸方向の隙間7w1が設けられている。また、横バー部75とベース部材70の外周面7aとの間には、次に述べるh状突起46(の可動板部46b)を通すための径方向の隙間7w2が設けられている。
【0065】
図9(A)に示すように、スライド受け部4の後面側部分4fの上部の内側には、ロック部Lの一部をなすh状突起46が設けられている。h状突起46は、概ね、カフユニット5がスライドされるスライド方向A1,A2に沿って傾斜して設けられている。図9(B)に拡大して示すように、h状突起46は、スライド受け部4の中心軸C(スライド方向A1,A2)に沿って設けられた可動板部46bと、この可動板部46bの上面46uの略中央(図9(B)において)46cから径方向外向きに延在する垂直板部46dと、この垂直板部46dの上端を支持する支持板部46aとを含んでいる。支持板部46aは、スライド受け部4の後面側部分4fの一部からなり、後面側部分4fの他の部分(h状突起46以外の部分)に対して位置および姿勢が維持されている。可動板部46bは垂直板部46dのみによって支持され、垂直板部46dは支持板部46aのみによって支持されている。また、可動板部46bの前端には、径方向外向き突起した係合凸部46pが設けられている。この係合凸部46pは、前方から後方へ向かって、次第に高さが高くなる態様で傾斜した傾斜面46p1と、この傾斜面46p1の頂と上面46uのレベルとを径方向につなぐ垂直面46p2とを有している。なお、係合凸部46pと垂直板部46dとの間の軸方向の間隔は、横バー部75を収容できるように、横バー部75の軸方向寸法よりも若干大きく設定されている。
【0066】
本体2(スライド受け部4)にカフユニット5を装着する際には、まず、図11中に矢印A7で示すように、カフユニット5が本体2のスライド受け部4上に置かれる。続いて、スライド受け部4の中心軸Cに沿って図9(A)中に矢印A1で示す向きに(つまり、スライド終端A1f側へ向かって)カフユニット5がスライドされると、図9(B)中に示す横バー部75の内面75bと後端面75fとが作るコーナがh状突起46の係合凸部46pの傾斜面46p1に当接して、h状突起46の可動板部46bと垂直板部46dが撓んで係合凸部46pが径方向内向きに変位する。さらに、横バー部75の内面75bが係合凸部46pの頂を擦りながら、横バー部75がh状突起46に対して矢印A1で示す向きにスライドされると、横バー部75の前端面75eがh状突起46の係合凸部46pの垂直面46p2を越える。これにより、軸方向の隙間7w1に係合凸部46pが収容されるとともに、係合凸部46pと垂直板部46dとの間に横バー部75が収容されて、ロック部Lとして働き、カフユニット5が軸方向に関して本体2(スライド受け部4)に着脱可能に係合してロックされる。この時、前端面75eと垂直面46p2の形状がスライド方向に対して垂直になっているおかげで、h状突起46の可動板部46bと垂直板部46dの撓みが急に解消される。この結果、横バー部75の内面75bに対して、自然状態に復帰しようとするh状突起46の可動板部46bの上面46u(略中央46cよりも前方の部分)が衝突して、ロックの完了を表す「カチッ」という音を生ずる。したがって、サービスマン等は、ロック部Lによるその「カチッ」という音を聞くことによって、本体2にカフユニット5が正しく装着されたことを知ることができる。この結果、サービスマン等は、この血圧計1のセットアップを確実に進めてゆくことができる。
【0067】
このとき、例えば図10(A)、図10(B)中に示したスライド受け部4の前面側部分(上方へ開いた円弧状断面を有する)4aの両側の上縁4a1,4a2が、カバー6の後面側部分(下方へ開いた円弧状断面を有する)6aの両側の下縁6a1,6a2に当接してカフユニット5の重み(この例では、約1kg)を支える。したがって、例えばこの血圧計1をセットアップするサービスマン等は、スライド時にカフユニット5の重みを自身の手で支える必要が無く、カフユニット5をスライド終端A1f側へ向かって押す(スライドさせる)だけで、カフユニット5を楽に装着できる。特に、この例では、スライド受け部4はスライド終端A1f側へ向かって次第に高さが低くなる態様で傾斜している。したがって、サービスマン等は、カフユニット5への重力を利用できるので、カフユニット5をさらに楽に装着できる。
【0068】
また、スライド受け部4に沿ってスライド終端A1f側へ向かってカフユニット5がスライドして装着されると、カフユニット5(カフ構造体7)の後面7f側の下部に設けられた十字形突起84(図6参照)が、本体2のスライド受け部4のスライド終端A1f側に相当する部位に設けられた円筒状突起54(図12参照)に嵌合する。これにより、カフユニット5がスライド受け部4の径方向に関して位置決めされる。これとともに、カフユニット5(カフ構造体7)の後面7f側の下部に設けられた流体コネクタ81,82,83(図6参照)が、本体2のスライド受け部4のスライド終端A1f側に相当する部位に設けられた流体コネクタ51,52,53(図12参照)に、流体流通可能かつ着脱可能に嵌合して接続される。
【0069】
したがって、サービスマン等は、この血圧計1のセットアップを簡単に行うことができる。すなわち、サービスマン等は、簡単な操作でもって、本体2(スライド受け部4)にカフユニット5を着脱可能に装着して、この血圧計1を一体に構成できる。
【0070】
このようにしてセットアップされた血圧計1では、上方へ開いた円弧状断面を有するスライド受け部4に円筒状のカフユニット5が受けられた装着状態になっている。したがって、スライド受け部4とカフユニット5との間にスライド方向A1,A2に対して垂直な方向の外力が加わり難く、捻れが発生し難い。したがって、流体コネクタ51,52,53と流体コネクタ81,82,83との間の流体流通可能な接続の信頼性が高まる。
【0071】
逆に、本体2(スライド受け部4)からカフユニット5を取り外す際には、図10(A)中に矢印A0で示す向き(径方向外向き)に、h状突起46の後部(図9(B)中に示す可動板部46bの略中央46cよりも後方の部分を指す。以下同様。)が押される。これにより、図9(B)中に示すh状突起46の可動板部46bと垂直板部46d(主に後者)が撓んで係合凸部46pが径方向内向きに変位する。この結果、隙間7w1から係合凸部46pが出て、ロック部Lによる軸方向のロックが解除される。続いて、そのロックが解除された状態で、図9(A)および図10(B)中に矢印A2で示す向き(装着時の向きとは逆向き)に、スライド受け部4に対してカフユニット5がスライドされる。このとき、装着時と同様に、スライド受け部4の前面側部分4aの両側の上縁4a1,4a2が、カバー6の後面側部分6aの両側の下縁6a1,6a2に当接してカフユニット5の重みを支える。したがって、サービスマン等は、スライド時にカフユニット5の重みを自身の手で支える必要が無く、カフユニット5を楽にスライドさせることができる。
【0072】
また、装着時の向きとは逆向きに、スライド受け部4に対してカフユニット5がスライドされると、カフユニット5(カフ構造体7)の後面7f側の下部に設けられた十字形突起84(図6参照)が、本体2のスライド受け部4のスライド終端A1f側に相当する部位に設けられた円筒状突起54(図12参照)から離脱する。これとともに、カフユニット5(カフ構造体7)の後面7f側の下部に設けられた流体コネクタ81,82,83(図6参照)が、本体2のスライド受け部4のスライド終端A1f側に相当する部位に設けられた流体コネクタ51,52,53(図12参照)から離脱する。
【0073】
この後、図11中に矢印A6で示すように、カフユニット5は持ち上げられて、本体2(スライド受け部4)から取り外される。
【0074】
このように、サービスマン等は、この血圧計1の分解を簡単に行うことができる。すなわち、サービスマン等は、簡単な操作でもって、本体2(スライド受け部4)からカフユニット5を取り外すことができる。
【0075】
(制御系のブロック構成)
図15は、本体2にカフユニット5が装着された状態の血圧計1の制御系のブロック構成を示している。図15中に示すように、カフユニット5内の測定用空気袋77は、流体コネクタ81,51を介して、本体2内の測定用エア系20に接続されている。カフユニット5内のカーラ巻付用空気袋79は、流体コネクタ82,83,52,53を介して、本体2内のカーラ巻付用エア系30に接続されている。また、測定用エア系20およびカーラ巻付用エア系30の動作は、それぞれCPU(Central Processing Unit;中央処理装置)40によって制御される。
【0076】
測定用エア系20は、エアポンプ21と、エアバルブ22と、圧力センサ23とを含んでいる。エアポンプ21は、測定用空気袋77内を加圧するための手段であり、CPU40からの指令を受けたエアポンプ駆動回路26によって駆動され、測定時において測定用空気袋77内の圧力が所定の圧力となるように、流体としての空気を送り込む。
【0077】
エアバルブ22は、測定用空気袋77内の圧力を維持したり、あるいは減圧したりするための手段であり、CPU40からの指令を受けたエアバルブ駆動回路27によってその開閉状態が制御され、測定時においてエアポンプ21によって高圧状態となった測定用空気袋77内の圧力の維持および減圧を行うとともに、測定終了後において測定用空気袋77内を大気圧に復帰させる。
【0078】
圧力センサ23は、測定用空気袋77内の圧力を検出するための手段であり、測定時において時々刻々と変化する測定用空気袋77内の圧力を検出し、その検出値に応じた信号を増幅器28に対して出力する。増幅器28は、圧力センサ23から出力される信号を増幅し、A/Dコンバータ29に出力する。A/Dコンバータ29は、増幅器28から出力されたアナログ信号をデジタル化し、CPU40に出力する。
【0079】
カーラ巻付用エア系30は、エアポンプ31と、エアバルブ32と、圧力センサ33とを含んでいる。エアポンプ31は、カーラ巻付用空気袋79内を加圧するための手段であり、CPU40からの指令を受けたエアポンプ駆動回路36によって駆動され、測定開始時においてカーラ巻付用空気袋79内の圧力が所定の圧力となるように、流体としての空気を送り込む。
【0080】
エアバルブ32は、カーラ巻付用空気袋79内の圧力の維持および減圧を行うための手段であり、CPU40からの指令を受けたエアバルブ駆動回路37によってその開閉状態が制御され、測定時においてエアポンプ31によって高圧状態となったカーラ巻付用空気袋79内の圧力の維持を行うとともに、測定終了後においてカーラ巻付用空気袋79内を大気圧に復帰させる。
【0081】
圧力センサ33は、カーラ巻付用空気袋79内の圧力を検出するための手段であり、測定開始時においてカーラ巻付用空気袋79内の圧力を検出し、その検出値に応じた信号を増幅器38に対して出力する。
【0082】
増幅器38は、圧力センサ33から出力される信号を増幅し、A/Dコンバータ39に出力する。A/Dコンバータ39は、増幅器38から出力されたアナログ信号をデジタル化し、CPU40に出力する。
【0083】
出力部42は、この例では、既述の表示器11と、プリンタ12とを含んでいる。
【0084】
操作部43は、この例では、既述の測定開始/停止スイッチ13A,13Bと、プリント指示スイッチ14とを含んでいる。
【0085】
CPU40は、操作部43に入力された指令に基づいて測定用エア系20およびカーラ巻付用エア系30の制御を行うとともに、測定結果を出力部42およびメモリ部41に出力する。なお、メモリ部41は、測定結果を記憶するための手段である。また、CPU40は、プリント指示スイッチ14が押されたとき、測定結果をプリンタ12によって紙(この例では、ロール紙)にプリントアウトさせる。
【0086】
(血圧測定動作)
図16は、上述の構成の血圧計1におけるCPU40による血圧測定の動作フローを示している。この例では、被測定者がカフユニット5に上腕90を通した状態で、本体2の操作部43に設けられた測定開始/停止スイッチ13Aまたは13Bを押下することにより、測定動作に移行する。
【0087】
まず、ステップS1において、血圧計1の初期化が行われる。このとき、カフユニット5(カフ構造体7)では、図14(A)中に示したように、測定用空気袋77とカーラ巻付用空気袋79内の圧力はいずれもゼロ(大気圧)になっている。この状態(自然状態)では、カーラ78の周方向の端部同士がオーバラップし、測定用空気袋77の周方向の端部同士が比較的大きく離れている。
【0088】
次に、図16のステップS2において、CPU40が圧力制御部として働いて、エアポンプ31から流体コネクタ52,53,82,83を介して、カーラ巻付用空気袋79に空気を供給する。これにより、カーラ巻付用空気袋79の加圧が行われる。このとき、カフユニット5(カフ構造体7)では、図14(B)中に矢印A11で示すように、カーラ巻付用空気袋79が径方向内向きに膨張してカーラ78を径方向内向きに圧迫する。これにより、矢印A12で示すようにカーラ78の周方向の端部同士のオーバラップ寸法が増えて、測定用空気袋77の周方向の端部同士が接近する。そして、カーラ巻付用空気袋79内の圧力が所定の圧力に達した時点で、カーラ巻付用空気袋79の加圧が終了する(ステップS3)。この結果、図14(C)中に示すように、上腕90が測定用空気袋77によって取り巻かれた状態になる。
【0089】
次に、図16のステップS4において、CPU40が圧力制御部として働いて、エアポンプ21から流体コネクタ51,81を介して、測定用空気袋77に空気を供給する。これにより、測定用空気袋77の加圧が行われる。そして、測定用空気袋77内の圧力が所定の圧力に達した時点で測定用空気袋77の加圧を終了し、ステップS5において、測定用空気袋77の減圧を開始する。
【0090】
その後、ステップS6において、CPU40は血圧算出部として働いて、圧力センサ23の出力に基づいて動脈圧脈波(圧力の変動成分)の検出を行い、上記動脈圧脈波の検出データに基づいて血圧値の算出を行う(オシロメトリック法)。血圧値の算出が完了したら、ステップS7において、本体2の出力部42に設けられた表示器11において血圧値の表示が行われるとともに、ステップS8において、カーラ巻付用空気袋79内および測定用空気袋77内の大気への開放が行われる。
【0091】
このように、この血圧計1によれば、被測定者にとって簡単に血圧測定が行われる。なお、血圧の算出は、減圧過程ではなく、加圧過程で行われてもよい。
【0092】
(部品交換)
長年にわたる使用の結果、例えば流体袋(測定用空気袋77またはカーラ巻付用空気袋79)が劣化して、漏気などの不具合が生じた場合、この血圧計1では、部品として、カフユニット5のうちカフ構造体7のみが交換される。
【0093】
具体的には、まず、図10(A)に示したように、h状突起46の後部が矢印A0で示す向き(径方向外向き)に押されて、ロック部Lによる軸方向のロックが解除された状態で、図10(B)に示したように、矢印A2で示す向き(装着時の向きとは逆向き)にスライド受け部4に対してカフユニット5がスライドされる。このとき、スライド受け部4の前面側部分4aの両側の上縁4a1,4a2が、カバー6の後面側部分6aの両側の下縁6a1,6a2に当接してカフユニット5の重みを支える。したがって、サービスマン等は、スライド時にカフユニット5の重みを自身の手で支える必要が無く、カフユニット5を楽にスライドさせることができる。この後、図11中に矢印A6で示したように、カフユニット5は持ち上げられて、本体2(スライド受け部4)から取り外される。
【0094】
次に、図6中に示したように、L状突起71の後部が矢印A3で示す向き(径方向内向き)に押されて、第1係合部E1による軸方向のロックが解除された状態で、カバー6が矢印A4で示す向きにスライドされる。これに伴って、第2係合部E2による径方向Rおよび周方向θの相対的移動規制も解除される。これにより、カフ構造体7からカバー6が取り外される。取り外し後には、不具合が生じたカフ構造体7は、例えば廃棄処分される。
【0095】
一方、新品のカフ構造体7が用意される。この新品のカフ構造体7に対して図6中に矢印A5で示した向きにカバー6(元のカバー6)が一体になるように着脱可能に装着されて、新たなカフユニット5が構成される。
【0096】
次に、取り外し時とは逆の手順で、スライド受け部4の中心軸Cに沿って新たなカフユニット5がスライドして装着される。具体的には、新たなカフユニット5が図11中の矢印A7で示した向きにスライド受け部4上に置かれる。次に、図10(B)中に矢印A1で示した向きに、スライド受け部4に対してその新たなカフユニット5がスライドされる。このとき、スライド受け部4の前面側部分4aの両側の上縁4a1,4a2が、カバー6の後面側部分6aの両側の下縁6a1,6a2に当接してカフユニット5の重みを支える。したがって、この血圧計1をセットアップするサービスマン等は、スライド時にカフユニット5の重みを自身の手で支える必要が無く、カフユニット5をスライド終端A1f側へ向かって押す(スライドさせる)だけで、カフユニット5を楽に装着できる。
【0097】
このように、この血圧計1では、部品として、カフユニット5のうちカフ構造体7のみが簡単に交換される。セットアップされた状態では、新品のカフ構造体7は、カバー6(元のカバー6)とスライド受け部4とによって覆われる。
【0098】
ここで、カフユニット5のカバー6(元のカバー6)は再利用される。長年にわたる使用の結果、本体2に退色が生じているとすれば、カバー6(元のカバー6)にも同様に退色が生じているはずである。したがって、本体2とカバー6(元のカバー6)との間の色味の違いは無い。よって、この血圧計1によれば、部品(カフ構造体7)の交換が行われたとしても、ユーザに対して違和感を与えることがない。
【0099】
(変形例)
なお、図13に示すように、カフユニット5をなすカフ構造体7の外周面7aの上部に、カフ構造体7にカバー6が装着される際の相対的なスライドの向きを示すマーク80を設けてもよい。この例では、マーク80は、カフ構造体7の後面7f側から前面7e側へ向かう太い矢印の形態になっている。サービスマン等は、カフ構造体7にカバー6を装着する際に、マーク80を見ることによって、カフ構造体7の外周面7aの上半分に沿ってカバー6を正しい向きに相対的にスライドさせることができる。すなわち、この例では、サービスマン等は、カバー6に対してカフ構造体7の外周面7aを、カフ構造体7の前面7e側から潜り込ませてスライドさせるように促される。したがって、サービスマン等は、カフ構造体7にカバー6を正しく、より簡単に装着できる。なお、相対的なスライドの向きを示すマーク80は、カフ構造体7に設けられるだけでなく、カフ構造体7とカバー6との一方または両方に設けられていてもよい。
【0100】
この実施形態では、カフユニット5に挿入される被測定部位は、上腕90であるものとしたが、これに限られるものではない。被測定部位は、手首、指、下肢などであってもよい。
【0101】
また、この実施形態では、カフユニット5は、ベース部材70内に、カーラ巻付用空気袋79、カーラ78、測定用空気袋77を備えたが、これに限られるものではない。カーラ巻付用空気袋79とカーラ78を省略して、測定用空気袋77のみによって被測定部位を圧迫するようになっていてもよい。
【0102】
以上の実施形態は例示であり、この発明の範囲から離れることなく様々な変形が可能である。上述した複数の実施の形態は、それぞれ単独で成立し得るものであるが、実施の形態同士の組みあわせも可能である。また、異なる実施の形態の中の種々の特徴も、それぞれ単独で成立し得るものであるが、異なる実施の形態の中の特徴同士の組みあわせも可能である。
【符号の説明】
【0103】
1 血圧計
2 本体
3 カフ
4 スライド受け部
5 カフユニット
6 カバー
7 カフ構造体
70 ベース部材
77 測定用空気袋
78 カーラ
79 カーラ巻付用空気袋
80 マーク
L ロック部
E1 第1係合部
E2 第2係合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16