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  • 特許-除電装置及び電子天秤 図1
  • 特許-除電装置及び電子天秤 図2A
  • 特許-除電装置及び電子天秤 図2B
  • 特許-除電装置及び電子天秤 図3
  • 特許-除電装置及び電子天秤 図4
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  • 特許-除電装置及び電子天秤 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】除電装置及び電子天秤
(51)【国際特許分類】
   G01G 21/30 20060101AFI20220119BHJP
   G01G 7/02 20060101ALI20220119BHJP
   G01G 21/28 20060101ALI20220119BHJP
   G01G 23/00 20060101ALI20220119BHJP
   G12B 17/02 20060101ALI20220119BHJP
   H05F 3/04 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
G01G21/30
G01G7/02
G01G21/28
G01G23/00 F
G12B17/02
H05F3/04 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018145948
(22)【出願日】2018-08-02
(65)【公開番号】P2020020713
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100141852
【弁理士】
【氏名又は名称】吉本 力
(74)【代理人】
【識別番号】100152571
【弁理士】
【氏名又は名称】新宅 将人
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 淳史
【審査官】森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特許第6160746(JP,B2)
【文献】特許第6467715(JP,B2)
【文献】米国特許第4630167(US,A)
【文献】特許第5808568(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G
H05F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正イオン及び負イオンを放出する放電部と、
除電時間の設定を受け付ける設定受付部と、
設定された除電時間に対して所定の比率に基づく演算を行うことにより、第1周波数で前記放電部に正電圧及び負電圧を交互に印加する第1除電時間、及び、前記第1周波数よりも高い第2周波数で前記放電部に正電圧及び負電圧を交互に印加する第2除電時間を決定する除電時間決定部と、
前記第1除電時間の間、前記放電部に正電圧及び負電圧を前記第1周波数で交互に印加した後、前記第2除電時間の間、前記放電部に正電圧及び負電圧を前記第2周波数で交互に印加することにより、前記放電部から正イオン及び負イオンを放出させる除電制御部とを備えることを特徴とする除電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の除電装置と、
前記除電装置から正イオン及び負イオンが放出される秤量室が形成された本体と、
前記秤量室に設けられ、測定対象物が載置される秤量皿とを備えることを特徴とする電子天秤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正イオン及び負イオンを放出する放電部を備えた除電装置、及び、これを備えた電子天秤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子天秤には、測定対象物が載置される秤量皿と、秤量皿に載置されている測定対象物の質量を測定する計量部とが備えられている。計量部において測定される測定対象物の質量は、静電気の影響により変動するため、除電装置を用いて測定対象物から静電気を除去することが好ましい(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
除電装置としては、AC方式及びDC方式の2種類が知られている。AC方式の除電装置では、1本の電極(放電針)に交流電圧が印加されることにより、その電極から正イオン及び負イオンが等量放出される。一方、DC方式の除電装置では、正電極及び負電極にそれぞれ直流電圧が印加されることにより、正電極から正イオンが放出され、負電極から負イオンが放出される。
【0004】
DC方式の除電装置を用いた場合、正電極又は負電極のいずれか一方が劣化した場合などに、各電極から放出されるイオンの量にばらつきが生じ、イオンバランスが悪くなるという問題がある。そのため、より精度の高い測定が求められる電子天秤においては、DC方式ではなく、AC方式の除電装置を用いることが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-170176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
AC方式の除電装置では、1本の電極から正イオン及び負イオンが放出されるため、正イオン及び負イオンが放出された直後に互いに結合しやすい。そのため、正イオン及び負イオンが遠くまで届きにくく、除電範囲が狭いという問題がある。
【0007】
そこで、1本の電極に印加する交流電圧の周波数を下げれば、正イオン及び負イオンを遠くまで届きやすくすることができるため、除電範囲を広げることができる。しかしながら、この場合には、イオンバランスの変動が大きくなるため、計量部で測定される測定対象物の質量にばらつきが生じるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、除電範囲が広く、かつ、イオンバランスの変動が小さい除電装置及び電子天秤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明に係る除電装置は、放電部と、設定受付部と、除電時間決定部と、除電制御部とを備える。前記放電部は、正イオン及び負イオンを放出する。前記設定受付部は、除電時間の設定を受け付ける。前記除電時間決定部は、設定された除電時間に対して所定の比率に基づく演算を行うことにより、第1周波数で前記放電部に正電圧及び負電圧を交互に印加する第1除電時間、及び、前記第1周波数よりも高い第2周波数で前記放電部に正電圧及び負電圧を交互に印加する第2除電時間を決定する。前記除電制御部は、前記第1除電時間の間、前記放電部に正電圧及び負電圧を前記第1周波数で交互に印加した後、前記第2除電時間の間、前記放電部に正電圧及び負電圧を前記第2周波数で交互に印加することにより、前記放電部から正イオン及び負イオンを放出させる。
【0010】
このような構成によれば、比較的低い第1周波数で放電部に正電圧及び負電圧を交互に印加する第1除電時間の間は、正イオン及び負イオンを遠くまで届きやすくすることができるため、除電範囲を広げることができる。また、その後に比較的高い第2周波数で放電部に正電圧及び負電圧を交互に印加する第2除電時間の間は、イオンバランスの変動を小さくすることができる。これにより、第1除電時間の間に短時間で広範囲に除電を行った後、第2除電時間の間はイオンバランスの変動を抑えて除電を行うことができるため、短時間で安定した除電を行うことが可能である。
【0011】
(2)本発明に係る電子天秤は、前記除電装置と、前記除電装置から正イオン及び負イオンが放出される秤量室が形成された本体と、前記秤量室に設けられ、測定対象物が載置される秤量皿とを備える。
【0012】
このような構成によれば、除電範囲が広く、かつ、イオンバランスの変動が小さい除電装置を用いて、秤量皿に載置されている測定対象物の除電を行い、その測定対象物の質量を測定することができる。これにより、測定対象物の質量をより高い精度で測定することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第1除電時間の間は、除電範囲を広げることができ、その後の第2除電時間の間は、イオンバランスの変動を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る電子天秤の構成例を示したブロック図である。
図2A】放電部に印加する電圧と放電部から放出されるイオンとの関係について説明するための図であり、比較的高い周波数で電圧を印加した場合を示している。
図2B】放電部に印加する電圧と放電部から放出されるイオンとの関係について説明するための図であり、比較的低い周波数で電圧を印加した場合を示している。
図3】従来の除電の際の放電部に印加する電圧の制御について説明するための図である。
図4】従来の除電により測定対象物の静電気が除去される際の測定対象物の表面電位の経時的変化を示した図である。
図5】本実施形態における除電の際の放電部に印加する電圧の制御について説明するための図である。
図6】本実施形態における除電により測定対象物の静電気が除去される際の測定対象物の表面電位の経時的変化を示した図である。
図7】測定対象物の質量を測定する際の制御部による制御の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.電子天秤の全体構成
図1は、本発明の一実施形態に係る電子天秤の構成例を示したブロック図である。この電子天秤は、測定対象物Wの質量を測定するためのものであり、秤量皿1、荷重検出部2、放電部3、操作部4、表示部5及び制御部6などを備えている。
【0016】
秤量皿1には、その上面に測定対象物Wが載置される。本実施形態に係る電子天秤においては、粉体からなる試料の他、各種の測定対象物Wを秤量皿1に載置して質量を測定することができる。秤量皿1の周囲は、例えば開閉可能な風防ケース(図示せず)により覆われており、当該風防ケース内に秤量室8が形成されている。
【0017】
荷重検出部2は、秤量室8に設けられた秤量皿1に載置されている測定対象物Wの荷重を検出する。秤量皿1が測定対象物Wから受ける荷重を荷重検出部2で検出することにより、その荷重に基づいて測定対象物Wの質量を測定することができる。この荷重検出部2における荷重の検出方式としては、電磁式又はロードセル式などを例示することができる。
【0018】
荷重検出部2が電磁式である場合には、例えば、マグネット及びコイルなどが荷重検出部2に備えられている。この場合、秤量皿1に載置される測定対象物Wの荷重と釣り合うように、コイルに電流を流して電磁力を作用させることにより、その際の電流量に基づいて測定対象物Wの荷重を検出することができる。
【0019】
荷重検出部2がロードセル式である場合には、例えばアルミなどにより形成された起歪体が荷重検出部2に備えられている。この場合、秤量皿1に測定対象物Wが載置されることにより起歪体が撓み、その撓み量が歪みゲージなどを用いて電気信号として検出されることにより、当該電気信号に基づいて測定対象物Wの荷重を検出することができる。ただし、荷重検出部2は、電磁式又はロードセル式に限らず、音叉式などの他の検出方式で荷重を検出するような構成であってもよい。
【0020】
放電部3は、秤量室8内に正イオン及び負イオンを放出することにより、秤量皿1に載置されている測定対象物Wの静電気を除去する。放電部3は、AC方式の除電器(イオナイザー)により構成されており、1本の電極(放電針)31を備えている。この電極31に交流電圧が印加されることにより、正イオン及び負イオンが電極31から等量放出される。放電部3から放出される正イオン及び負イオンにより、秤量皿1上の測定対象物Wの静電気を非接触で中和して除去することができる。
【0021】
操作部4は、例えば複数のキーにより構成されている。ユーザは、操作部4を操作することにより、各種設定操作を行うことができる。表示部5は、例えば液晶表示器により構成されている。表示部5には、測定対象物Wの質量の測定結果など、各種情報が表示される。
【0022】
制御部6は、例えばCPU(Central Processing Unit)を含む構成である。制御部6には、荷重検出部2、放電部3、操作部4及び表示部5などの各部が電気的に接続されている。制御部6は、CPUがプログラムを実行することにより、設定受付部61、除電時間決定部62、除電制御部63及び表示処理部64などとして機能する。
【0023】
設定受付部61は、操作部4の操作により入力された設定情報を受け付ける。例えば、ユーザが操作部4を操作することにより、放電部3から正イオン及び負イオンを放出して除電を行う時間(除電時間)が設定された場合には、その除電時間の設定が設定受付部61により受け付けられる。
【0024】
除電時間決定部62は、設定受付部61により受け付けられた除電時間の設定に基づいて、第1除電時間及び第2除電時間を決定する。すなわち、設定された除電時間は、除電時間決定部62により2つの除電時間(第1除電時間及び第2除電時間)に分けられる。除電時間決定部62は、設定された除電時間に対して予め定められた所定の比率を乗算することにより、第1除電時間及び第2除電時間を算出する。ただし、除電時間決定部62は、設定された除電時間に対して所定の比率に基づく演算を行うような構成であれば、乗算以外の演算により第1除電時間及び第2除電時間を算出してもよい。また、上記比率は任意に設定変更できてもよい。
【0025】
除電制御部63は、放電部3の電極31に印加する電圧を制御することにより、放電部3から正イオン及び負イオンを放出させる。除電制御部63は、第1除電時間と第2除電時間とで異なる態様により電極31への印加電圧を制御する。これにより、設定された除電時間中の第1除電時間と第2除電時間とで、放電部3から放出される正イオン及び負イオンを変化させることができる。
【0026】
表示処理部64は、表示部5に対する表示を制御する。具体的には、表示処理部64は、荷重検出部2の検出信号に基づいて、測定対象物Wの質量の測定結果を表示部5に表示させる。また、表示処理部64は、除電制御部63による制御に応じて表示部5に対する表示を行うこともできる。
【0027】
本実施形態における放電部3及び制御部6などは、測定対象物Wの静電気を除去するための除電装置を構成している。当該除電装置は、電子天秤の本体9に備えられており、本体9内に形成された秤量室8内に除電装置から正イオン及び負イオンが放出される。本体9は、上述した風防ケースを含む筐体により構成されている。
【0028】
2.放電部の制御
放電部3の電極31に印加される電圧は、所定の周波数で正電圧及び負電圧に交互に切り替えられる。すなわち、測定対象物Wの静電気を除去する際、除電制御部63は、所定の周波数で放電部3に正電圧及び負電圧を交互に印加するよう制御を行う。除電制御部63は、上記周波数を変化させて電圧を印加することも可能である。
【0029】
図2A及び図2Bは、放電部3に印加する電圧と放電部3から放出されるイオンとの関係について説明するための図である。図2Aは、比較的高い周波数で電圧を印加した場合を示しており、図2Bは、比較的低い周波数で電圧を印加した場合を示している。
【0030】
図2Aに示すように、比較的高い周波数で正電圧及び負電圧を交互に印加した場合には、比較的短い周期Tの間に放電部3から正イオン及び負イオンが放出される。この周期Tは、正イオンが放出される期間T/2と、負イオンが放出される期間T/2とに分けられる。本実施形態のようなAC方式の除電装置では、1本の電極31から正イオン及び負イオンが放出されるため、短い期間T/2で正イオン及び負イオンを切り替えて放出させると、正イオン及び負イオンが放出された直後に互いに結合しやすい。この場合、正イオン及び負イオンが遠くまで届きにくく、除電範囲が狭くなる。
【0031】
図2Bに示すように、比較的低い周波数で正電圧及び負電圧を交互に印加した場合には、比較的長い周期T´の間に放電部3から正イオン及び負イオンが放出される。この周期T´は、正イオンが放出される期間T´/2と、負イオンが放出される期間T´/2とに分けられ、各期間において図2Aの場合よりも多くの正イオン及び負イオンが放出される。このように、正イオン及び負イオンがそれぞれ放出される期間T´/2が長ければ、正イオン及び負イオンが放出された直後に互いに結合しにくくなるため、正イオン及び負イオンを遠くまで届きやすくすることができ、除電範囲を広げることができる。
【0032】
3.従来の除電
図3は、従来の除電の際の放電部3に印加する電圧の制御について説明するための図である。図4は、従来の除電により測定対象物Wの静電気が除去される際の測定対象物Wの表面電位の経時的変化を示した図である。
【0033】
従来の除電の際には、図3に示すように、放電部3に印加する電圧が正電圧及び負電圧に一定周期で交互に切り替えられる。印加される正電圧及び負電圧の絶対値は同一であり、例えば正電圧が8kV、負電圧が-8kVである。
【0034】
この場合、正イオン及び負イオンが放出された直後に互いに結合しやすく、正イオン及び負イオンが遠くまで届きにくい。そのため、図4に示すように、測定対象物Wの表面電位が十分に下がるまで比較的長い時間Aがかかる。そして、測定対象物Wの表面電位が十分に下がった後も継続して正イオン及び負イオンが交互に放出されるため、イオンバランスの変動が生じ、時間Aの経過後は測定対象物Wの表面電位が正電位及び負電位に周期的に変化する。
【0035】
4.本実施形態における除電
図5は、本実施形態における除電の際の放電部3に印加する電圧の制御について説明するための図である。図6は、本実施形態における除電により測定対象物Wの静電気が除去される際の測定対象物Wの表面電位の経時的変化を示した図である。
【0036】
本実施形態における除電の時間は、図5に示すように、比較的低い周波数(第1周波数)で放電部3に正電圧及び負電圧を交互に印加する時間(第1除電時間T1)と、比較的高い周波数(第2周波数)で放電部3に正電圧及び負電圧を交互に印加する時間(第2除電時間T2)とに分けられる。第1周波数は、図3に示す従来の除電の際の周波数よりも低く(例えば周期が2倍)、第2周波数は、図3に示す従来の除電の際の周波数よりも高い(例えば周期が1/3)。第1除電時間T1及び第2除電時間T2において、印加される正電圧及び負電圧の絶対値は同一であり、例えば正電圧が8kV、負電圧が-8kVである。
【0037】
第1周波数は、例えば50~500Hzである。第2周波数は、例えば100~1000Hzである。ただし、第1周波数及び第2周波数は、上記値に限られるものではない。
【0038】
第1除電時間T1及び第2除電時間T2は、除電時間決定部62により決定される。例えば、設定受付部61により設定を受け付けた除電時間が5secであった場合、この除電時間に対して所定の比率に基づく演算が行われることにより、第1除電時間T1が4sec、第2除電時間T2が1secと決定される。この例では、第1除電時間T1の方が第2除電時間T2よりも長いが、これに限らず、第2除電時間T2の方が第1除電時間T1よりも長くてもよい。
【0039】
本実施形態では、第1除電時間T1の間、放電部3に正電圧及び負電圧が第1周波数で交互に印加された後、第2除電時間T2の間、放電部3に正電圧及び負電圧が第1周波数よりも高い第2周波数で交互に印加される。これにより、設定された除電時間(T1+T2)の間、放電部3から正イオン及び負イオンが放出される。
【0040】
この場合、比較的低い第1周波数で放電部3に正電圧及び負電圧を交互に印加する第1除電時間T1の間は、正イオン及び負イオンが放出された直後に互いに結合しにくく、正イオン及び負イオンが遠くまで届きやすい。そのため、図6に示すように、比較的短い時間Bで測定対象物Wの表面電位を十分に下げることができる。
【0041】
また、その後に比較的高い第2周波数で放電部3に正電圧及び負電圧を交互に印加する第2除電時間T2の間は、イオンバランスの変動を従来の除電(図4参照)よりも小さくすることができる。これにより、第1除電時間T1の間に短時間で広範囲に除電を行った後、第2除電時間T2の間はイオンバランスの変動を抑えて除電を行うことができるため、短時間で安定した除電を行うことが可能である。その結果、測定対象物Wの質量をより高い精度で測定することができる。
【0042】
5.測定時の制御
図7は、測定対象物Wの質量を測定する際の制御部6による制御の一例を示したフローチャートである。ユーザは、測定対象物Wを秤量皿1に載置した後、操作部4を操作することにより除電時間の設定を行う。そして、除電時間が設定された場合には(ステップS101でYes)、その除電時間に対して所定の比率に基づく演算が行われることにより、第1除電時間T1及び第2除電時間T2が決定される(ステップS102)。
【0043】
第1除電時間T1及び第2除電時間T2が決定された後、ユーザが操作部4を操作することにより除電が開始されると(ステップS103でYes)、除電中である旨が表示部5に表示されるとともに(ステップS104)、放電部3に対する制御が行われることにより除電が開始される(ステップS105)。除電中も測定対象物Wの質量の測定は行われているが、除電中は測定結果が表示部5に表示されないようになっている。
【0044】
その後、設定された除電時間(第1除電時間T1及び第2除電時間T2)が経過すると(ステップS106でYes)、放電部3に対する制御が終了し、測定対象物Wの質量の測定結果が表示部5に表示される(ステップS107)。このとき、除電中である旨の表示は表示部5から消去される。
【0045】
6.変形例
上記実施形態では、本発明に係る除電装置が電子天秤に適用される場合について説明した。しかし、このような構成に限らず、本発明に係る除電装置は電子天秤以外の機器にも適用可能である。また、本発明に係る除電装置は、機器に組み込まれた構成に限らず、単品の除電装置として構成されてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 秤量皿
2 荷重検出部
3 放電部
4 操作部
5 表示部
6 制御部
8 秤量室
9 本体
31 電極
61 設定受付部
62 除電時間決定部
63 除電制御部
64 表示処理部
T1 第1除電時間
T2 第2除電時間
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7