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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】感圧接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 133/02 20060101AFI20220119BHJP
   C08F 220/18 20060101ALI20220119BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20220119BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
C09J133/02
C08F220/18
C09J7/38
C09J11/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019555868
(86)(22)【出願日】2018-04-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-11
(86)【国際出願番号】 IB2018052520
(87)【国際公開番号】W WO2018189686
(87)【国際公開日】2018-10-18
【審査請求日】2021-04-09
(31)【優先権主張番号】17166572.2
(32)【優先日】2017-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ウンファーハウ,ケルスティン
(72)【発明者】
【氏名】トーレ,クラウディア
(72)【発明者】
【氏名】ダーゼ,フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】モーネン,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ボガート,イヴァン
(72)【発明者】
【氏名】キュースターズ,クリストフ
【審査官】宮地 慧
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-190903(JP,A)
【文献】特開2006-133606(JP,A)
【文献】特開平10-36788(JP,A)
【文献】特開2013-221073(JP,A)
【文献】特開2011-111594(JP,A)
【文献】特開2011-236414(JP,A)
【文献】特開平9-286958(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)第1の(メタ)アクリレートコポリマーであって、前記第1の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、0.1~12重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位を含む、第1の(メタ)アクリレートコポリマーと、
b)第2の(メタ)アクリレートコポリマーであって、前記第2の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、15~40重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位を含む、第2の(メタ)アクリレートコポリマーと、を含む、感圧接着剤ポリマー発泡体組成物。
【請求項2】
a)前記第1の(メタ)アクリレートコポリマーが、-70℃~0℃Tgを有し、
b)前記第2の(メタ)アクリレートコポリマーが、2℃~100℃Tgを有する、請求項1記載の感圧接着剤ポリマー発泡体組成物。
【請求項3】
a)65~99重量%前記第1の(メタ)アクリレートコポリマーと、
b)1~35重量%前記第2の(メタ)アクリレートコポリマーと、
c)重量%~30重量%張性微小球及びグラスバブルズの群から選択される、充填材料と、を含み、前記重量パーセントが、前記感圧接着剤ポリマー発泡体組成物の総重量に基づく、請求項1記載の感圧接着剤ポリマー発泡体組成物。
【請求項4】
第1の感圧接着剤ポリマー発泡体層の形態の、求項1記載の感圧接着剤ポリマー発泡体組成物を含み、前記第1の感圧接着剤ポリマー発泡体層に隣接する第2の感圧接着剤層を更に含む、多層感圧接着剤アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2017年4月13日に出願された欧州特許出願第17166572.2号の利益を主張するものであり、その開示内容の全てが参照によって本願に援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、概して接着剤の分野に関し、より具体的には、感圧接着剤(PSA)組成物及びアセンブリの分野に関する。本開示はまた、このような感圧接着剤組成物及びアセンブリの製造方法並びにその使用にも関する。
【背景技術】
【0003】
接着剤は、様々なマーキング、保持、保護、封止及び遮蔽目的のために使用されている。接着テープは、一般に、バッキング、又は基材、及び接着剤を含む。多くの用途に特に好ましい接着剤の1つのタイプとして、感圧接着剤が代表される。感圧接着剤(PSA)は、以下:(1)強力粘着性及び持続的粘着性、(2)指圧以下の圧力による接着、(3)被着体を繋ぎ止める十分な能力、並びに(4)十分な凝集力を含む特性を保有することが、当業者には周知である。感圧接着剤の用途は、近年、実質的に増加しているため、性能要件はますます厳しくなってきている。
【0004】
感圧接着剤として十分に機能を果たすことがわかっている材料は、粘着力、剥離接着力、及び剪断強度の望ましいバランスをもたらすのに必要な粘弾特性を示すように設計かつ配合されたポリマーである。感圧接着剤の調製に最も一般的に使用されるポリマーは、様々な(メタ)アクリレート系コポリマー、天然ゴム、合成ゴム、及びシリコーンである。
【0005】
従来技術から既知の感圧接着剤材料は、いわゆるLSE基材、MSE基材及びHSE基材、すなわち、それぞれ低表面エネルギー、中表面エネルギー、及び高表面エネルギーを有する基材を含む、様々な種類の基材に十分な粘着性を提供することはそれほどない。特に、これらの結合するのが困難な基材、特にLSE基材及びMSE基材に対する剥離力又は剪断抵抗は、特に温度及び湿度を変化させるような環境ストレス下で、必要条件を満たすことはほとんどない。
【0006】
この欠陥は、より多量の粘着付与剤を添加することによって部分的に克服され得る。しかしながら、粘着付与剤の過剰な使用は、多くの場合、例えば剪断抵抗及び凝集力などの感圧接着剤の臨界特性に悪影響を及ぼす場合があり、対応する接着剤のガラス転移温度を上昇させ得る。更に、粘着テープが接着される基材内に粘着付与剤が移動する場合があり、望ましくない色変化又は安定性の低下をもたらし得る。1つの部分的解決策は、欧州特許第A1-2803711号(Heiminkら)に開示されている。
【0007】
当該技術分野において既知の感圧接着剤組成物に関連する技術的利点を検討することなく、特に、特にLSE基材及びMSE基材などの様々な種類の接着が困難な表面に対する剥離力及び剪断抵抗に関する、改善され、かつ多用途の接着特性を有する安定かつ費用効率の高い感圧接着剤組成物が依然として必要とされている。
【0008】
本発明の感圧接着剤(PSA)組成物及びアセンブリの他の利点は、下記の説明から明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0009】
一態様によると、本開示は感圧接着剤組成物に関し、この感圧接着剤組成物は、
a)第1の(メタ)アクリレートコポリマーであって、第1の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、0.1~12重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位を含む、第1の(メタ)アクリレートコポリマーと、
b)第2の(メタ)アクリレートコポリマーであって、第2の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、15~40重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位を含む、第2の(メタ)アクリレートコポリマーと、を含む。
【0010】
別の態様によれば、本開示は、第1の感圧接着剤ポリマー層の形態で上述した感圧接着剤組成物を含み、第1の感圧接着剤ポリマー層に隣接する第2の感圧接着剤層を更に含む多層感圧接着剤アセンブリを目的とする。
【0011】
別の態様では、本開示は、上記のような感圧接着剤組成物の製造方法を目的とし、この方法は、
a)第2の(メタ)アクリレートコポリマーであって、第2の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、15~40重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位を含む、第2の(メタ)アクリレートコポリマーを用意する工程と、
b)第2の(メタ)アクリレートコポリマーを、第1の(メタ)アクリレートコポリマーを調製するために使用される主モノマー単位、(メタ)アクリル酸モノマー単位、重合開始剤、任意選択的に架橋剤、及び任意選択的に粒子状充填材料を含む硬化性前駆体組成物に組み込むことにより、感圧性組成物の硬化性前駆体組成物を形成する工程と、
c)工程b)で得られた感圧性組成物の硬化性前駆体組成物を、好ましくは化学線で、硬化させる工程と、を含む。
【0012】
更に別の態様によれば、本開示は、低表面エネルギー基材、中表面エネルギー基材及び/又は高表面エネルギー基材への結合のための、上記のような感圧接着剤組成物又は感圧接着剤アセンブリの使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1の態様によると、本開示は、感圧接着剤組成物に関し、この感圧接着剤組成物は、
a)第1の(メタ)アクリレートコポリマーであって、第1の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、0.1~12重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位を含む、第1の(メタ)アクリレートコポリマーと、
b)第2の(メタ)アクリレートコポリマーであって、第2の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、15~40重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位を含む、第2の(メタ)アクリレートコポリマーと、を含む。
【0014】
驚くべきことに、上記のような第1の(メタ)アクリレートコポリマーと第2の(メタ)アクリレートコポリマーとの組み合わせを含む感圧接着剤組成物は、様々な種類の基材上で高剥離力を高い剪断力抵抗と組み合わせることが見出された。特に、このような有利な特性は、低表面エネルギー、中表面エネルギー、及び/又は高表面エネルギー基材として多様な基材上で得ることができる。これらの様々な基材が、典型的には、全く異なる表面化学及びエネルギーを示すので、これは特に驚くべき発見である。
【0015】
層、特にポリマー発泡体層として形成される場合、本開示の感圧接着剤組成物はまた、結合するのが困難なLSE基材及びMSE基材を含む様々な種類の基材上での傑出した接着性能以外に、機械的特性(特に高い応力緩和、高い内部強度及び良好な適合性)も提供する。
【0016】
理論に束縛されるものではないが、有利な特性のこの非常に独特な組み合わせは、同じ感圧接着剤組成物内で、上記のような第1の(メタ)アクリレートコポリマーと第2の(メタ)アクリレートコポリマーとの特定の組み合わせによるものであると考えられている。0.1~12重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位を含む第1の(メタ)アクリレートコポリマーは、特に、第1の(メタ)アクリレートコポリマー中に存在する(メタ)アクリル酸モノマー単位の比較的低濃度で提供される優れた湿潤特性により、得られる感圧接着剤組成物に優れた柔軟性を提供するために、様々な種類の基材上に優れた接着性能を提供すると考えられる。15~40重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位を含む第2の(メタ)アクリレートコポリマーの場合、後者は、特に第1の(メタ)アクリレートコポリマー中に存在する比較的高い濃度の(メタ)アクリル酸モノマー単位に起因して、優れた機械的特性を提供すると考えられる。換言すれば、本開示の感圧接着剤組成物は、驚くべきことに、比較的低濃度の(メタ)アクリル酸モノマー単位と、同じ(メタ)アクリル系感圧接着剤組成物内の比較的高濃度の(メタ)アクリル酸モノマー単位とによってもたらされる本来相反する特性を組み合わせる。更に理論に束縛されるものではないが、これら2組の相反する特性は両方とも、多相系として第1及び第2の(メタ)アクリレートコポリマーが同じ感圧接着剤組成物に共存するように送達されるため、均質な構造を有する組成物と比較して有利な特性を提供すると考えられる。
【0017】
本開示の感圧接着剤組成物は、多層感圧接着剤アセンブリの一部を有利に形成してもよく、感圧接着剤組成物は、第1の感圧接着剤ポリマー層の形態であり、好ましくは、第1の感圧接着剤ポリマー発泡体層であって、多層アセンブリは、第1の感圧接着剤ポリマー層に隣接する第2の感圧接着剤層を更に含む。驚くべきことに、本開示の感圧接着剤組成物は、比較的高い全体の(メタ)アクリル酸濃度を含むことが、隣接層への(メタ)アクリル酸モノマーの拡散の潜在的な問題をもたらすことはない(又は実質的に低下させない)ことが実際に見出された。この望ましくない拡散現象は、特に、比較的低濃度のアクリル酸モノマー単位を有する層に隣接した、比較的高濃度の(メタ)アクリル酸モノマー単位を有する層を含む多層アセンブリにおいて生じ得るが、これは、多層アセンブリ中の(メタ)アクリル酸モノマー単位の濃度勾配により、高(メタ)アクリル酸濃縮層から低(メタ)アクリル酸濃縮層への(メタ)アクリル酸モノマーの拡散に変換するためである。理論に束縛されるものではないが、この独特の特性は、第1及び第2の(メタ)アクリレートコポリマーが多相系として同じ感圧接着剤組成物に共存するためであると考えられ、これは層間の遊離(メタ)アクリルモノマー単位の拡散を防止又は少なくとも実質的に低減すると考えられる。
【0018】
本開示との関連において、「低表面エネルギー基材」という表現は、1センチメートル当たり34ダイン未満の表面エネルギーを有する基材を指すことを意味する。このような材料に含まれるものは、ポリプロピレン、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレン又はHDPE)、及びポリプロピレンのブレンド(例えば、PP/EPDM、TPO)である。
【0019】
本開示との関連において、「中表面エネルギー基材」という表現は、1センチメートル当たり34~70ダイン、典型的には、1センチメートル当たり34~60ダイン、より典型的には1センチメートル当たり34~50ダインの間に含まれる表面エネルギーを有する基材を指すことを意味する。このような材料には、ポリアミド6(PA6)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、PC/ABSブレンド、PC、PVC、PA、PUR、TPE、POM、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、クリアコート面、特に、自動車のような車両のクリアコート又は工業用途用のコーティング表面、及び繊維強化プラスチックのような複合材料が含まれる。
【0020】
本開示の文脈において、「高表面エネルギー基材」という表現は、1センチメートル当たり350ダイン超、典型的には1センチメートル当たり400ダインより高い表面エネルギーを有する基材、より典型的には1センチメートル当たり400~1100ダインの間に含まれる表面エネルギーを有する基材を指すことを意味する。このような材料には、金属基材(例えば、アルミニウム、ステンレス鋼)、及びガラスが含まれる。
【0021】
表面エネルギーは、典型的には、例えばASTM D7490-08に記載されるような接触角測定から決定される。
【0022】
本明細書全体を通して使用されるように、重ね合わせたという用語は、ポリマーの液体前駆体の2つ以上の層、又は多層感圧接着剤アセンブリのポリマー層が互いに上部に配置されていることを意味する。重ね合わせた液体前駆体層又はポリマー層は、下層の上面が上層の下面に当接するように、互いに直接隣接して配置されてもよい。
【0023】
用語「隣接する」は、本明細書全体を通して使用される場合、前駆体多層感圧接着剤アセンブリ又は硬化多層感圧接着剤アセンブリ内の2つの重ね合わせた層を指し、これらは互いに直接隣接して配置され、すなわち、互いに当接している。
【0024】
用語「ガラス転移温度」及び「Tg」は、互換可能に用いられ、(コ)ポリマー材料又は混合物のガラス転移温度を指す。特に指示がない限り、ガラス転移温度値は、動的機械熱分析(DMTA)により測定される。
【0025】
本明細書で使用するための例示的な「ウェット・イン・ウェット」製造プロセスは、例えば、WO-A1-2011094385号(Hitschmannら)又はEP-A1-0259094号(Zimmermanら)に詳細に記載されており、これらの開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0026】
用語「アルキル」は、飽和炭化水素である、一価の基を指す。アルキルは、直鎖状、分岐状、環状、又はこれらの組み合わせであってもよく、典型的には、1~32個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1~25個、1~20個、1~18個、1~12個、1~10個、1~8個、1~6個、又は1~4個の炭素原子を含有する。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、2-オクチル、及び2-プロピルヘプチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
本開示の感圧接着剤組成物の典型的な態様によれば、第1の(メタ)アクリレートコポリマー及び/又は第2の(メタ)アクリレートコポリマー、好ましくは、第1の(メタ)アクリレートコポリマー及び第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、主モノマー単位として、直鎖又は分岐鎖のC~C32(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位、C~C24(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位、又は更にはC~C18(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位を含む。
【0028】
本開示の感圧接着剤組成物の別の典型的な態様によれば、第1の(メタ)アクリレートコポリマー及び/又は第2の(メタ)アクリレートコポリマー、好ましくは、第1の(メタ)アクリレートコポリマー及び第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、主モノマー単位として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、イソ-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、イソ-ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソ-オクチル(メタ)アクリレート、2-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、2-プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソホリル(メタ)アクリレート、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される直鎖又は分岐鎖アルキル(メタ)アクリレートエステルモノマー単位を含む。
【0029】
例示的な態様では、第1の(メタ)アクリレートコポリマー及び/又は第2の(メタ)アクリレートコポリマー、好ましくは、第1の(メタ)アクリレートコポリマー及び第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、主モノマー単位として、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、イソ-オクチル(メタ)アクリレート、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される直鎖又は分岐鎖アルキル(メタ)アクリレートエステルモノマー単位を含む。
【0030】
更に別の例示的態様では、第1の(メタ)アクリレートコポリマー及び/又は第2の(メタ)アクリレートコポリマー、好ましくは、第1の(メタ)アクリレートコポリマー及び第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、主モノマー単位として、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートモノマーを含む。
【0031】
本開示の感圧接着剤組成物の有利な態様によれば、本明細書で使用するための第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、第1の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、15重量%超、16重量%超、又は更には17重量%超の量の(メタ)アクリル酸モノマー単位を含む。
【0032】
本開示の感圧接着剤組成物の好ましい態様では、本明細書で使用するための第1の(メタ)アクリレートコポリマーは、第1の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、0.1~11重量%、0.1~10重量%、0.2~10重量%、0.2~9重量%、0.2~8重量%、0.3~8重量%、0.5~8重量%、0.5~6重量%、1~6重量%、又は更には1~5重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位を含む。
【0033】
好ましくは、更に、本明細書で使用するための第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、第2の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、16~40重量%、16~35重量%、16~30重量%、16~25重量%、17~25重量%、17~23重量%、又は更には17~20重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位を含む。
【0034】
本開示の感圧接着剤組成物の典型的な態様では、本明細書で使用するための第1の(メタ)アクリレートコポリマーは、0℃以下のTgを有する。典型的には、更に、本明細書で使用するための第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、0℃を超えるTgを有する。
【0035】
本開示の感圧接着剤組成物の好ましい態様によれば、本明細書で使用するための第1の(メタ)アクリレートコポリマーは、-70℃~0℃、-70℃~-10℃、-60℃~-10℃、-60℃~-20℃、-60℃~-30℃、-55℃~-35℃、又は更には-50℃~-40℃に含まれるTgを有する。
【0036】
好ましくは更に、第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、2℃~100℃、2℃~80℃、2℃~60℃、2℃~50℃、2℃~45℃、5℃~45℃、5℃~40℃、5℃~35℃、又は更には10℃~30℃に含まれるTgを有する。
【0037】
本開示による感圧接着剤組成物の有利な態様では、本明細書で使用する第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、100℃以下、80℃以下、60℃以下、50℃以下、45℃以下、又は更には40℃以下のTgを有する。
【0038】
有益な態様によれば、本開示の感圧接着剤組成物は、65~99重量%、70~95重量%、75~95重量%、75~90重量%、又は更には75~85重量%の第1の(メタ)アクリレートコポリマーを含み、重量パーセントは、感圧接着剤組成物の総重量に基づく。
【0039】
更に有利には、本開示の感圧接着剤組成物は、1~35重量%、1~30重量%、2~25重量%、3~25重量%、3~20重量%、4~20重量%、又は更には4~15重量%の第2の(メタ)アクリレートコポリマーを含み、重量パーセントは、感圧接着剤組成物の総重量に基づく。
【0040】
本開示の好ましい態様によれば、本明細書で使用する第1の(メタ)アクリレートコポリマーは、
a)第1の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、0.1~11重量%、0.1~10重量%、0.2~10重量%、0.2~9重量%、0.2~8重量%、0.3~8重量%、0.5~8重量%、0.5~6重量%、1~6重量%、又は更には1~5重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位と、
b)第1の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、89~99.9重量%、90~99.9重量%、90~99.8重量%、91~99.8重量%、92~99.8重量%、92~99.7重量%、92~99.5重量%、94~99.5重量%、94~99重量%、又は更には95~99重量%の、直鎖又は分岐鎖のC~C32(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位、C~C24(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位、又は更にはC~C18(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位と、を含む。
【0041】
本開示の別の好ましい態様によれば、本明細書で使用する第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、
a)第2の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、13~35重量%、13~30重量%、15~30重量%、15~25重量%、又は更には17~23重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位と、
b)第2の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、65~87重量%、70~87重量%、70~85重量%、75~85重量%、又は更には77~83重量%の、直鎖又は分岐鎖のC~C32(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位、C~C24(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位、又は更にはC~C18(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位と、を含む。
【0042】
本明細書で使用するための第1の(メタ)アクリレートコポリマーは、任意の従来のフリーラジカル重合法により調製してもよく、これには溶液、放射線照射、バルク、分散、エマルジョン、無溶媒、及び懸濁プロセスが含まれる。得られるコポリマーは、ランダム又はブロックコポリマーであり得る。好ましい態様では、低Tg(メタ)アクリレートコポリマー成分は、一般に、溶液又はシロップコポリマー組成物のいずれかとして調製される。
【0043】
典型的な溶液重合法は、モノマー、好適な溶媒、及び任意の連鎖移動剤を反応槽に加えること、フリーラジカル開始剤を添加すること、窒素でパージすること、並びに反応槽を、バッチサイズ及び温度に応じて、反応が完了するまで、典型的には約1~24時間にわたって高温(典型的には約40~100℃の範囲の高温)に維持すること、によって実施される。溶媒の例は、メタノール、テトラヒドロフラン、エタノール、イソプロパノール、tert-ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアセテート、エチルアセテート、トルエン、キシレン、及びエチレングリコールアルキルエーテルである。これらの溶媒は単独で、又はこれらの混合物として使用することができる。
【0044】
シロップポリマー技術は、モノマーを部分的に重合して、第1の(メタ)アクリレートコポリマー及び未重合モノマーを含むシロップポリマーを製造することを含む。シロップポリマー組成物を、有用なコーティング粘度となるよう重合させ、基材(テープバッキングなど)上にコーティングし、更に重合させることができる。
【0045】
重合は、シロップポリマーの構成成分の官能基と反応しないエチルアセテート、トルエン、及びテトラヒドロフラン等の好適な溶媒の存在下で、又は好ましくは非存在下で行うことができる。
【0046】
コーティング可能なシロップポリマーの好ましい調製方法は、光により開始されるフリーラジカル重合である。光重合法の利点は、1)モノマー溶液を加熱する必要がないこと、及び2)活性化光源のスイッチを切ると光開始が完全に停止することである。コーティング可能な粘度を達成するための重合は、モノマーからポリマーへの変換が約10%までになるように実施され得る。重合は、所望の変換及び粘度が達成されたときに、光源を取り外すこと及び溶液中に空気(酸素)をバブリングしてフリーラジカルの伝播を停止させることによって、終了させることができる。
【0047】
重合は、光開始剤の存在下でシロップポリマー組成物をエネルギーに曝露することによって達成できる。エネルギーにより活性化される開始剤は、例えば、イオン化放射線を使用して重合を開始する場合には必要ないことがある。
【0048】
有用な光開始剤としては、ベンゾインメチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインエーテル、Irgacure(商標)651光開始剤(BASF,Ludwigshafen,Germany)として入手可能な2,2-ジメトキシアセトフェノン、Esacure(商標)KB-1光開始剤(Sartomer Co.,West Chester,PA)として入手可能な2,2ジメトキシ-2-フェニル-1-フェニルエタノン、並びにジメトキシヒドロキシアセトフェノン等の置換アセトフェノン、2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン等の置換α-ケトール、2-ナフタレン-スルホニルクロライド等の芳香族スルホニルクロライド、並びに1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシ-カルボニル)オキシム等の光学活性オキシムが挙げられる。これらのうちで特に好ましいものは、置換アセトフェノンである。
【0049】
好ましい光開始剤は、ノリッシュI開裂を起こして、アクリル二重結合への付加により開始可能なフリーラジカルを生成する、光活性化合物である。更に光開始剤は、コポリマーが形成された後でコーティングされる混合物に添加することができ、すなわち、光開始剤はシロップポリマー混合物に添加することができる。
【0050】
(コポリマーに対するモノマーの)変換の程度は、照射中に重合中の混合物の屈折率を測定することによって監視することができる。
【0051】
本明細書で使用するための第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、任意の従来のフリーラジカル重合法により調製してもよく、これには溶液、放射線照射、バルク、分散、エマルジョン、及び懸濁プロセスが含まれる。得られる接着剤コポリマーは、ランダム又はブロックコポリマーであり得る。
【0052】
本明細書で使用するための第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、溶媒重合、分散重合、及び無溶媒バルク重合の従来の技術を含むがこれらに限定されない技術により、重合することができる。モノマー混合物は、コモノマーを重合させるのに有効な種類及び量の重合開始剤、特に熱開始剤又は光開始剤を含み得る。
【0053】
典型的な溶液重合法は、モノマー、好適な溶媒、及び任意の連鎖移動剤を反応槽に加えること、フリーラジカル開始剤を添加すること、窒素でパージすること、並びに反応槽を、バッチサイズ及び温度に応じて、反応が完了するまで、典型的には約1~20時間にわたって、高温(典型的には約40~100℃の範囲の高温)に維持すること、によって実施される。溶媒の例は、メタノール、テトラヒドロフラン、エタノール、イソプロパノール、tert-ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアセテート、エチルアセテート、トルエン、キシレン、及びエチレングリコールアルキルエーテルである。これらの溶媒は単独で、又はこれらの混合物として使用することができる。
【0054】
典型的な光重合法では、モノマー混合物に、光重合開始剤(すなわち、光開始剤)の存在下において紫外(UV)線を照射してよい。例示的な光反応開始剤としては、BASFからIRGACURE(商標)及びDAROCUR(商標)の商品名で入手可能なものが挙げられ、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE(商標)184)、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(IRGACURE 651)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(IRGACURE(商標)819)、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン(IRGACURE(商標)2959)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタノン(IRGACURE(商標)369)、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン(IRGACURE(商標)907)、及び2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン(DAROCUR(商標)1173)が挙げられる。好ましい光開始剤は、IRGACURE(商標)819、651、184、及び2959である。
【0055】
典型的な熱重合法では、モノマー混合物は、熱重合開始剤(すなわち、熱開始剤)の存在下で熱エネルギーに供され得る。例示的な熱開始剤は、DuPontから商品名VAZO(商標)で入手可能なものである。
【0056】
無溶媒重合法、例えば、米国特許第4,619,979号及び同第4,843,134号(Kotnourら)に記載されている連続フリーラジカル重合法;米国特許第5,637,646号(Ellis)に記載されている、バッチ反応器を使用した本質的に断熱性の重合法;及び米国特許第5,804,610号(Hamerら)に記載されている、パッケージ化された予備接着剤組成物を重合するために記述された方法も、第2の(メタ)アクリレートコポリマーの調製に利用してもよい。
【0057】
好ましい態様では、本明細書で使用するための第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、本質的に無溶媒のフリーラジカル重合法、特に本質的に無溶媒の熱フリーラジカル重合法を使用して調製される。
【0058】
有利な態様によれば、本明細書で使用する第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、本質的に断熱重合法によって調製される。
【0059】
(コポリマーに対するモノマーの)変換の程度は、照射中に重合中の混合物の屈折率を測定することによって監視することができる。
【0060】
有利な態様によれば、工程a)の第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、10%超、15%超、20%超、25%超、30%超、35%超、40%超、又は更には45%超のポリマー変換率を有するプレポリマー組成物として得られる。
【0061】
別の有利な態様によれば、工程a)の第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、10~60%、20~55%、30~50%、又は更に35~50%に含まれるポリマー変換率を有するプレポリマー組成物として得られる。
【0062】
所望であれば、連鎖移動剤を第1又は第2の(メタ)アクリレートコポリマーのいずれかのモノマー混合物に添加して、所望の分子量を有するコポリマーを生成してもよい。
【0063】
有用な連鎖移動剤の例としては、四臭化炭素、アルコール、メルカプタン、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。存在する場合、好ましい連鎖移動剤は、イソオクチルチオグリコレート及び四臭化炭素である。
【0064】
感圧接着剤組成物の凝集力を高めるために、架橋添加剤を、第1及び第2の(メタ)アクリレートコポリマーの組み合わせを含む接着剤組成物に添加してもよい。主に2つのタイプの架橋添加剤が例示される。第1の架橋添加剤は、多官能性アジリジン、イソシアネート、及びエポキシなどの熱架橋添加剤である。アジリジン架橋剤の一例は、1,1’-イソフタロイル-ビス(2-メチルアジリジン(CAS番号7652-64-4)である。このような化学的架橋剤は、重合後にPSAに添加して、コーティングされた接着剤のオーブン乾燥中に、熱によって活性化することができる。多官能性(メタ)アクリレートはコポリマー成分中に含まれてもよく、架橋剤として機能してもよいが、追加の架橋剤を添加してもよい。架橋の更に他の方法では、熱架橋剤を、任意選択的に、好適な促進剤及び遅延剤と組み合わせて使用することができる。本明細書で使用する好適な熱架橋剤としては、イソシアネート、より詳細には、ブロッキング剤を含まない三量体化イソシアネート及び/若しくは立体障害イソシアネート、又はエポキシドアミン架橋剤系等のエポキシド化合物が挙げられるが、これらに限定されない。有利な架橋剤系及び方法は、例えば、DE202009013255U1、EP2305389A、EP2414143A、EP2192148A、EP2186869、EP0752435A、EP1802722A、EP1791921A、EP1791922A、EP1978069A、及びDE102008059050Aの記述に記載されており、これらの関連内容は参照により本明細書に組み込まれる。本明細書で使用する好適な促進剤及び遅延剤系は、例えば、US-A1-2011/0281964号の記述に記載されており、その関連内容は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。本明細書で使用する好適な熱架橋剤としては、エポキシシクロヘキシル誘導体、特にエポキシシクロヘキシルカルボキシレート誘導体が挙げられ、特に(3,4-エポキシシクロヘキサン)メチル3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレートが好ましく、Cytec Industries Inc.から商標名UVACURE1500で市販されている。
【0065】
別の態様では、フリーラジカルによって架橋反応を起こす化学架橋剤を使用することができる。例えば、過酸化物のような試薬は、フリーラジカル供給源として機能する。十分に加熱した場合、これらの前駆体は、ポリマーの架橋反応を生じさせるフリーラジカルを発生する。一般的なフリーラジカル生成試薬は、過酸化ベンゾイルである。フリーラジカル発生剤は少量のみ必要とされるが、一般に、架橋反応を完了するために、ビスアミド及びイソシアネート試薬に要求される温度よりも高い温度を必要とする。
【0066】
第2のタイプの架橋添加剤は、高強度の紫外(UV)光によって活性化される感光性架橋剤である。アクリルPSAに使用される2つの一般的な感光性架橋剤は、米国特許第4,737,559号(Kellenら)に記載のベンゾフェノン及び共重合性芳香族ケトンモノマーである。溶液又はシロップコポリマーに後から添加し、紫外線によって活性化することができる別の光架橋剤はトリアジンであり、例えば2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシフェニル)-s-トリアジンである。いくつかの態様では、多官能性アクリレートを使用して、凝集力を増加させることができる。多官能性アクリレートは、乳化重合に特に有用である。有用な多官能性アクリレート架橋剤の例としては、ジアクリレート、トリアクリレート、及びテトラアクリレート、例えば、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、ポリブタジエンジアクリレート、ポリウレタンジアクリレート、及びプロポキシル化グリセリントリアクリレート、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
架橋剤の量及び同一性は、接着剤組成物の用途に応じて調整される。存在する場合、架橋剤は、任意の好適な量で使用され得る。典型的に、架橋剤は、接着剤組成物の乾燥総重量を基準として5部未満の量で存在する。
【0068】
本開示の文脈において、感圧接着剤組成物は、好ましくは多官能性アジリジン、多官能性イソシアネート、多官能性エポキシド、ベンゾフェノン、トリアジン、多官能性アクリレート、多官能性カルボキシレート、オキセタン、オキサゾリン、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される架橋剤を含んでもよい。より好ましい態様では、架橋剤は、多官能性アクリレートからなる群から選択される。
【0069】
感圧接着剤組成物は、任意成分として、粘着付与樹脂、特に水素化炭化水素粘着付与剤を含んでもよい。例示的な水素化炭化水素粘着付与剤としては、C9及びC5水素化炭化水素粘着付与剤が挙げられる。C9水素化炭化水素粘着付与剤の例としては、Eastman Chemical Co.,Middelburg,Netherlandsによって、商品名「REGALITE S-5100」、「REGALITE R-7100」、「REGALITE R- 9100」、「REGALITE R-1125」、「REGALITE S-7125」、「REGALITE S-1100」、「REGALITE R-1090」、「REGALREZ 6108」、「REGALREZ 1085」、「REGALREZ 1094」、「REGALREZ 1126」、「REGALREZ 1139」、及び「REGALREZ 3103」で販売されているもの;Eastman Chemical Co.によって販売されている「PICCOTAC」及び「EASTOTAC」:Arakawa Chemical Inc.,Chicago,ILによって販売されている「ARKON P-140」、「ARKON P-125」、「ARKON P-115」、「ARKON P-100」、「ARKON P-90」、「ARKON M-135」、「ARKON M-115」、「ARKON M-100」、及び「ARKON M-90」;並びにExxon Mobil Corp.,Irving,TXによって販売されている「ESCOREZ 5000シリーズ」が挙げられる。特に興味深いのは、部分水素化C9水素化粘着付与剤、好ましくは完全水素化C9水素化粘着付与剤である。
【0070】
したがって、有利な一態様では、本開示による感圧接着剤組成物は、粘着付与樹脂を実質的に含まず、特に炭化水素粘着付与樹脂を含まない。
【0071】
第1の感圧接着剤ポリマー層の性能を向上させるために、他の添加剤を添加することができる。例えば、レベリング剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)、酸素阻害剤、湿潤剤、レオロジー調整剤、消泡剤、殺生物剤、難燃剤、染料などを本明細書に含めることができる。これらの添加剤の全て及びその使用は、当該技術分野において周知である。これらの化合物のいずれも、接着特性に悪影響を及ぼさない限り、使用することができることが理解される。
【0072】
いくつかの有利な態様では、本開示の感圧接着剤組成物は、充填材料、特に粒子状充填材料を含む。好ましくは、本明細書で使用するための任意の充填材料は、膨張性微小球、グラスバブルズ、及びこれらの任意の組み合わせの群から選択される。
【0073】
本開示の特に好ましい態様によれば、感圧接着剤組成物は、
a)65~99重量%、70~95重量%、75~95重量%、75~90重量%、又は更には75~85重量%の第1の(メタ)アクリレートコポリマーと、
b)1~35重量%、1~30重量%、2~25重量%、3~25重量%、3~20重量%、4~20重量%、又は更には4~15重量%の第2の(メタ)アクリレートコポリマーと、
c)任意選択的に、2重量%~30重量%、2重量%~20重量%、又は更には2重量%~15重量%の、好ましくは膨張性微小球及びグラスバブルズの群から選択される、充填材料と、を含み、
重量パーセントは、感圧接着剤組成物の総重量に基づく。
【0074】
本開示の感圧接着剤組成物は、第1及び第2の(メタ)アクリレートコポリマー成分を、任意選択的に、例えば充填材料及び粘着付与樹脂などの任意成分と単純にブレンドすることによって調製することができる。コポリマーは、例えば溶融ブレンド、溶媒ブレンド、又は任意の好適な物理的手段などのいくつかの従来の方法を使用してブレンドすることができる。
【0075】
分散混合、分配混合、又は分散及び分配混合の組み合わせをもたらす物理的ブレンド装置が、均質なブレンドの調製に有用である。物理的ブレンドのうち、バッチ法及び連続法の両方を使用することができる。バッチ法の例としては、BRABENDER(C.W.Brabender Instruments,Inc.(South Hackensack,NJ)より入手可能なBRABENDER PREP CENTERを使用)又はBANBURY内部混合及びロールミリング加工(FARREL COMPANY,Ansonia,CTより入手可能な装置を使用)が挙げられる。連続法の例としては、単軸押出、二軸押出、ディスク押出、プランジャー式(reciprocating)単軸押出及びピンバレル単軸押出が挙げられる。連続法は、空洞移動エレメント(例えば、RAPRA Technology,Ltd.,(Shrewsbury,England)より入手可能なCTM)及びピン混合エレメント、静的混合エレメント等の分配エレメント、並びに分散エレメント(例えば、「Mixing in Single-Screw Extruders」,Mixing in Polymer Processing,edited by Chris Rauwendaal(Marcel Dekker Inc.,New York(1991),pp.129,176~177及び185~186)に記載のMADDOCK混合エレメント又はSAXTON混合エレメント)の両方を利用することを含むことができる。
【0076】
別の態様によれば、本開示の感圧接着剤組成物は、第2の(メタ)アクリレートコポリマーを、第1の(メタ)アクリレートコポリマーを調製するために使用される主モノマー単位、(メタ)アクリル酸モノマー単位、任意選択的に重合開始剤、任意選択的に架橋剤、及び任意選択的に粒子状充填材料を含む第1の(メタ)アクリレートコポリマーの硬化性前駆体組成物に組み込むことにより、感圧性組成物の硬化性前駆体組成物を形成することによって調製することができる。したがって、第1の(メタ)アクリレートコポリマーは、感圧性組成物の硬化性前駆体組成物の好適な硬化後に、第2の工程で、及びin-situで形成される。
【0077】
好ましい態様では、第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、第1の(メタ)アクリレートコポリマーの硬化性前駆体組成物に希釈され、好ましくは振盪により混合される。
【0078】
本開示の別の態様では、上記のような感圧接着剤組成物の製造方法が提供され、この方法は、
a)第2の(メタ)アクリレートコポリマーであって、第2の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、15~40重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位を含む、第2の(メタ)アクリレートコポリマーを用意する工程と、
b)第2の(メタ)アクリレートコポリマーを、第1の(メタ)アクリレートコポリマーを調製するために使用される主モノマー単位、(メタ)アクリル酸モノマー単位、重合開始剤、任意選択的に架橋剤、及び任意選択的に粒子状充填材料を含む硬化性前駆体組成物に組み込むことにより、感圧性組成物の硬化性前駆体組成物を形成する工程と、
c)工程b)で得られた感圧性組成物の硬化性前駆体組成物を、好ましくは化学線で、硬化させる工程と、を含む。
【0079】
感圧接着剤組成物の製造方法の有利な態様によれば、第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、フリーラジカル重合、特に本質的に無溶媒の重合法、とりわけ本質的に断熱の重合反応によって得られる。
【0080】
感圧接着剤組成物の製造方法の更に別の有利な態様によれば、第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、希釈によって第1の(メタ)アクリレートコポリマーの硬化性前駆体組成物に組み込まれ、続いて任意選択的に混合工程が行われる。
【0081】
更に別の有益な態様では、工程a)の第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、10%超、15%超、20%超、25%超、30%超、35%超、40%超、又は更には45%超のポリマー変換率を有するプレポリマー組成物として得られる。
【0082】
更に別の有益な態様では、工程a)の第2の(メタ)アクリレートコポリマーは、10~60%、20~55%、30~50%、又は更に35~50%に含まれるポリマー変換率を有するプレポリマー組成物として得られる。
【0083】
本開示の好ましい態様によれば、本明細書に記載の感圧接着剤組成物は、ポリマー発泡体層の形態をとる。
【0084】
本開示との関連において、「ポリマー発泡体」という用語は、ポリマーをベースとする材料を指すことを意味し、その材料は、空隙を、典型的には、少なくとも5体積%、典型的には10体積%~55体積%、又は10体積%~45体積%の量で含む。
【0085】
本明細書で使用するためのポリマー発泡体層は、例えば、100~6000マイクロメートル、200~4000マイクロメートル、500~2000マイクロメートル、又は更には800~1500マイクロメートルに含まれる厚さを有する。本記述を踏まえて当業者には明白であるように、ポリマー発泡体層の好ましい厚さは、目的とする用途に依存する。
【0086】
ポリマー発泡体層は、典型的には、0.45g/cm~1.5g/cm、0.45g/cm~1.10g/cm、0.50g/cm~0.95g/cm、0.60g/cm~0.95g/cm、又は更には0.70g/cm~0.95g/cmに含まれる密度を有する。この密度は、空隙又は気泡を含めることによって達成される。典型的には、ポリマー発泡体層は、少なくとも5体積%の空隙、例えば15体積%~45体積%、又は20体積%~45体積%の空隙を含むであろう。
【0087】
ポリマー発泡体層内の空隙又は気泡は、当該技術分野において記載されている既知の方法のいずれかで作製することができ、気体若しくは発泡剤の使用、及び/又はポリマー発泡体層用の組成物中への中空粒子を含めることが挙げられる。例えば、米国特許第4,415,615号(Esmayら)に記載されているポリマー発泡体を作製するための1つの方法によれば、アクリル発泡体は、(i)アクリレートモノマー及び任意によるコモノマーを含有する組成物を泡立てる工程と、(ii)泡をバッキング上にコーティングする工程と、(iii)泡立てられた組成物を重合させる工程と、によって得ることができる。アクリレートモノマーと任意によるコモノマーとの未発泡の組成物をバッキングにコーティングし、次いで、その組成物を同時に発泡及び重合させることも可能である。組成物の発泡は、気体を重合性組成物中に泡立たせて含ませることによって達成してもよい。この目的に好ましい気体は、特に重合が光開始される場合、窒素及び二酸化炭素などの不活性気体である。あるいは、空隙が、中空ポリマー粒子、中空ガラス微小球、又は中空セラミック微小球等の中空充填剤の組み込みから生じ得る。
【0088】
本開示の一態様では、ポリマー発泡体層の形態の感圧接着剤組成物は、中空粒子状充填材料、特に膨張性微小球、ガラス微小球、及びグラスバブルズを組み込むことによって得られる。
【0089】
有利な態様では、ポリマー発泡体層の形態の感圧接着剤組成物は、泡立て技法によって、好ましくは、重合性感圧接着剤組成物中に気体を泡立たせることによって得られる。
【0090】
別の有利な態様によれば、ポリマー発泡体層の形態の感圧接着剤組成物は、100~6000マイクロメートル、200~4000マイクロメートル、300~2000マイクロメートル、500~2000マイクロメートル、800~1500マイクロメートル、又は更には600~1300マイクロメートルに含まれる厚さを有する。
【0091】
別の態様によれば、本開示は、第1の感圧接着剤ポリマー層の形態の、好ましくは第1の感圧接着剤ポリマー発泡体層の形態の、上述した感圧接着剤組成物を含み、第1の感圧接着剤ポリマー層に隣接する第2の感圧接着剤層を更に含む、多層感圧接着剤アセンブリを目的とする。
【0092】
このタイプの多層感圧接着剤アセンブリ、及び特に二重層ポリマー発泡体テープアセンブリは、単層感圧接着剤と比較すると、接着(瞬間接着)を第2の感圧接着剤層(通常スキン層とも呼ばれる)の配合によって調整することができ、一方で、適用の問題、変形の問題、及びエネルギー分布などの総合的なアセンブリのその他の特性/要件が、ポリマー発泡体層(通常コア層とも呼ばれる)の適切な配合によって対処され得るという点で、特に有利である。
【0093】
有利な態様によれば、本明細書に記載の多層感圧接着剤アセンブリは、スキン/コア多層感圧接着剤アセンブリの形態であり、第1の感圧接着剤ポリマー発泡体層が、多層感圧接着剤アセンブリのコア層であり、第2の感圧接着剤層が、多層感圧接着剤アセンブリのスキン層である。
【0094】
更なる有利な態様によれば、本明細書に記載の多層感圧接着剤アセンブリは、第3の感圧接着剤層を更に含む多層感圧接着剤アセンブリの形態であり、これにより、例えば三層多層感圧接着剤アセンブリを形成する。好ましくは、第3の感圧接着剤層は、第2の感圧接着剤層に隣接する第1の感圧接着剤ポリマー発泡体層の側方に対向する、第1の感圧接着剤ポリマー発泡体層の側方において第1の感圧接着剤ポリマー発泡体層に隣接する。好ましくは、第1の感圧接着剤ポリマー発泡体層、第2の感圧接着剤層、及び第3の感圧接着剤層を重ね合わせられる。
【0095】
有益な態様では、多層感圧接着剤アセンブリは、スキン/コア/スキン多層感圧接着剤アセンブリの形態であり、第1の感圧接着剤ポリマー発泡体層が、多層感圧接着剤アセンブリのコア層であり、第2の感圧接着剤層が、多層感圧接着剤アセンブリの第1のスキン層であり、第3の感圧接着剤層が、多層感圧接着剤アセンブリの第2のスキン層である。
【0096】
第2の感圧接着剤層及び/又は第3の感圧接着剤層は、当該技術分野において一般的に既知の任意の組成を有してもよい。したがって、本開示の多層感圧接着剤アセンブリに使用するためのこれらの様々な層の組成は、特に限定されない。
【0097】
特定の態様では、第2の感圧接着剤層及び/又は第3の感圧接着剤層は、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリアミン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリイソブチレン、ポリスチレン、ポリビニル、ポリビニルピロリドン、天然ゴム、合成ゴム、並びにこれらの任意の組み合わせ、コポリマー又は混合物からなる群から選択されるポリマー基材を含む。
【0098】
典型的な態様では、第2の感圧接着剤層及び/又は第3の感圧接着剤層は、ポリアクリレート、ポリウレタン、及びこれらの任意の組み合わせ、コポリマー、又は混合物からなる群から選択されるポリマー基材を含む。別の典型的な態様によれば、第2の感圧接着剤層及び/又は第3の感圧接着剤層は、ポリアクリレート、及び任意の組み合わせ、コポリマー、又はこれらの混合物からなる群から選択されるポリマー基材を含む。
【0099】
本開示の感圧接着剤アセンブリの好ましい態様によれば、第2の感圧接着剤層及び/又は第3の感圧接着剤層は、主なモノマー成分が、好ましくは、直鎖又は分岐鎖アルキル(メタ)アクリレートエステル、好ましくは、1~32個、1~20個、又は更には1~15個の炭素原子を含むことが好ましい直鎖又は分岐鎖アルキル基を有する非極性の直鎖又は分岐鎖アルキル(メタ)アクリレートエステルを含むポリアクリレートからなる群から選択されるポリマー基材を含む。
【0100】
本開示の感圧接着剤アセンブリの好ましい態様によれば、第2の感圧接着剤層及び/又は第3の感圧接着剤層は、その主モノマー成分が直鎖又は分岐鎖アルキル(メタ)アクリレートエステルを含むポリアクリレートからなる群から選択されるポリマー基材を含み、直鎖又は分岐鎖アルキル(メタ)アクリレートエステルが、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、イソ-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、イソ-ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソ-オクチル(メタ)アクリレート、2-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、2-プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソホリル(メタ)アクリレート、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される。
【0101】
より好ましい態様では、直鎖状又は分岐鎖アルキル(メタ)アクリル酸エステルは、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート、2-オクチル(メタ)アクリレート及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から、好ましくはイソオクチルアクリレート、2-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート及び2-プロピルへプチル(メタ)アクリレート、並びにこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から、より好ましくは2-エチルヘキシルアクリレート、2-オクチル(メタ)アクリレート及び2-プロピルヘプチルアクリレート、並びにこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される。
【0102】
本開示の多層感圧接着剤アセンブリの別の態様によれば、第2の感圧接着剤層及び/又は第3の感圧接着剤層は、第1の感圧接着剤ポリマー発泡体層について上述した組成と同一又は類似の(コ)ポリマー組成を有する。
【0103】
本開示の感圧接着剤アセンブリの特定の態様によれば、第2の感圧接着剤層及び/又は第3の感圧接着剤層は、極性コモノマー、好ましくは極性アクリレートコモノマーを更に含むポリマー基材を含む。好ましくは、極性コモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、ヒドロキシアルキルアクリレート、窒素含有アクリレートモノマー、特にアクリルアミド及び置換アクリルアミド、アクリルアミン及び置換アクリルアミン、並びにこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される。
【0104】
本開示の感圧接着剤アセンブリの有利な態様では、第2の感圧接着剤層及び/又は第3の感圧接着剤層は、エチレン性不飽和基を有する第2のモノマー、好ましくは、エチレン性不飽和基を有する第2の非極性モノマーを更に含むポリマー基材を含む。有利には、本明細書で使用するためのエチレン性不飽和基を有する第2のモノマーは、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソホルミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択され、より好ましくは、第2のモノマーは、イソボルニル(メタ)アクリレートであるように選択される。
【0105】
本開示の感圧接着剤アセンブリのいくつかの態様によれば、第2の感圧接着剤層及び/又は第3の感圧接着剤層は、粘着付与樹脂、特に炭化水素粘着付与樹脂を更に含むポリマー基材を含む。有利には、粘着付与樹脂は、C5系炭化水素樹脂、C9系炭化水素樹脂、C5/C9系炭化水素樹脂、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物若しくは水素化型からなる群から選択される。
【0106】
本開示の感圧アセンブリの有利な態様によれば、第2の感圧接着剤層及び/又は第3の感圧接着剤層を製造するために使用される重合性材料は、
a)50~99.5重量%、又は60~95重量%の、第1/主モノマーとしての直鎖又は分岐鎖のアルキル(メタ)アクリレートエステルであって、主モノマーが、好ましくは、イソ-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレートからなる群から選択される直鎖又は分岐鎖のアルキル(メタ)アクリレートエステルと、任意選択的に、
b)1.0~50重量%、3.0~40重量%、5.0~35重量%、又は更には10~30重量%の、エチレン性不飽和基を有する第2のモノマー、好ましくは、エチレン性不飽和基を有する第2の非極性モノマーと、任意選択的に、
c)0.1~15重量%、0.5~15重量%、1.0~10重量%、2.0~8.0重量%、2.5~6.0重量%、又は更には3.0~6.0重量%の極性モノマー、好ましくは極性アクリレートと、任意選択的に、
d)粘着付与樹脂と、を含み、
重量パーセントは、第2の感圧接着剤層及び/又は第3の感圧接着剤層を製造するために使用される重合性材料の総重量に基づく。
【0107】
本開示の感圧接着剤アセンブリの有利な態様によれば、第2の感圧接着剤層及び/又は第3の感圧接着剤層は、塩素化ポリオレフィン(コ)ポリマーを更に含むポリマー基材を含む。第2の感圧接着剤層及び/又は第3の感圧接着剤層の硬化性前駆体に塩素化ポリオレフィン(コ)ポリマーを組み込むことにより、得られる感圧接着剤ポリマー層、特に低表面エネルギー(LSE)基材の熱結合老化及び熱/湿気結合老化時の安定性を著しく改善する。
【0108】
本明細書で使用するのに好適な塩素化ポリオレフィン(コ)ポリマーの例としては、下記の商品名で販売されているもの:Eastman Chemical Co.により販売されている「CPO 343-1」、Toyo Kasei Kogyo Co.Ltdにより販売されている「13-LP」、「15-LP」、「16-LP」及び「17-LP」、DuPont Co.により販売されている「Hypalon(商標)CP 827B」、「Hypalon(商標)CP 163」及び「Hypalon(商標)CP 183」、並びにDow Chemical Co.により販売されている「Tyrin(商標)CPE 4211P」、「Tyrin(商標)CPE 6323A」及び「Tyrin(商標)CPE 3615P」が挙げられる。好ましい態様では、「CPO 343-1」は、塩素化ポリオレフィン(コ)ポリマーとして使用される。
【0109】
本開示の好ましい態様によれば、第2の感圧接着剤層及び/又は第3の感圧接着剤層の硬化性前駆体は、塩素化ポリオレフィン(コ)ポリマーを含み、これは、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、塩素化エチレン/酢酸ビニルコポリマー、及びこれらの任意の組み合わせ、混合物又はコポリマーからなる群から選択される。より好ましくは、塩素化ポリオレフィン(コ)ポリマーは、塩素化ポリプロピレンの群から選択される。
【0110】
有利な態様によれば、上述の特定の感圧接着剤アセンブリは、ウェット・オン・ウェット・コーティングプロセス工程によって得られる。本明細書で使用するための例示的な「ウェット・イン・ウェット」製造プロセスは、例えば、WO-A1-2011094385号(Hitschmannら)又はEP-A1-0259094号(Zimmermanら)に記載されており、これらの開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0111】
本発明の文脈において、本開示の感圧接着剤組成物は、比較的高い全体の(メタ)アクリル酸濃度を含むことが、隣接層への(メタ)アクリル酸モノマーの拡散の潜在的な問題をもたらすことはない(又は実質的に低下させない)ことが見出された。この望ましくない拡散現象は、特に、比較的低濃度のアクリル酸モノマー単位を有する層に隣接する(メタ)アクリル酸モノマー単位を比較的高濃度で有する層を含む多層アセンブリにおいて生じ得るものであり、典型的には、ウェット・オン・ウェット・コーティングプロセス工程によって得られる多層アセンブリに特に影響を与える傾向がある。
【0112】
別の態様によれば、本開示は、上記のような感圧接着剤組成物の製造方法に関し、この方法は、
a)第1の感圧接着剤ポリマー層の(液体)前駆体を用意する工程と、
b)第2の感圧接着剤層の(液体)前駆体を用意する工程と、
c)任意選択的に、第3の感圧接着剤層の(液体)前駆体を用意する工程と、
d)第1の感圧接着剤ポリマー層の(液体)前駆体、第2の感圧接着剤層の(液体)前駆体と、任意選択的に第3の感圧接着剤層の(液体)前駆体を重ね合わせることにより、感圧接着剤アセンブリの硬化性前駆体を形成する工程と、
e)工程d)で得られた感圧接着剤アセンブリの硬化性前駆体を、好ましくは化学線で、硬化させる工程と、を含む。
【0113】
多層感圧接着剤アセンブリを製造するためのいくつかの有利な態様では、第2の感圧接着剤層の硬化性(液体)前駆体の(下部)層が、第1の感圧接着剤ポリマー層の硬化性液体前駆体の隣接(上部)層によって、それぞれ、本質的に、第2の感圧接着剤層の硬化性(液体)前駆体の(下側)層を露出させないで、被覆されている。
【0114】
有利な態様によれば、多層感圧接着剤アセンブリの製造方法は、ウェット・オン・ウェット・コーティングプロセス工程を含む。
【0115】
1つの例示的態様では、本開示による方法は、多層感圧接着剤アセンブリを製造するための連続的かつ自己計量式の方法である。この態様によれば、多層感圧接着剤アセンブリを製造する方法は、任意選択的に、
基材から互いに独立してオフセットされて基材の表面に垂直な間隙を形成する2つ以上のコーティングナイフを用意する工程と、
基材をコーティングナイフに対して下流方向に移動させる工程と、
第1の感圧接着剤ポリマー層の硬化性(液体)前駆体、第2の感圧接着剤層の硬化性(液体)前駆体、任意選択的に、第3の感圧接着剤層の硬化性(液体)前駆体を、コーティングナイフの上流側に提供し、それによって、2つ以上の硬化性液体前駆体を、基材上に重ね合わせた層としてそれぞれの間隙を通してコーティングする工程と、を含むことができる。
【0116】
上記のような多層感圧接着剤アセンブリを製造するための連続的かつ自己計量式の方法を実施することは、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第A1-2011094385号(Hitschmannら)の開示と共に本開示に照らして、当業者の能力の範囲内である。特に、多層感圧接着剤アセンブリを製造する方法のこの特定の態様で使用するためのコーティング装置、コーティングナイフ及びコーティングステーションの好適な設定及び構成は、国際公開第A1-2011094385号(Hitschmannら)の開示と共に本開示に照らして、当業者によって、容易に識別されるであろう。
【0117】
本開示の代替の態様によれば、多層感圧接着剤アセンブリの製造方法は、(共)押出加工工程を含む。
【0118】
多層感圧接着剤アセンブリの製造方法の別の代替の態様によれば、第1の感圧接着剤ポリマー層、第2の感圧接着剤層、及び任意選択的に第3の感圧接着剤層が、別々に調製され、続いて互いに積層される。
【0119】
いくつかの有利な態様によれば、上記のような多層感圧接着剤アセンブリは、実験セクションに記載された静的剪断試験法によって、70℃で測定した場合、2000分超、4000分超、6000分超、8000分超、又は更には10000分超の静的剪断強度値を有する。
【0120】
いくつかの他の有利な実施によれば、上記のような多層感圧接着剤アセンブリは、実験セクションに記載された静的剪断試験法によって、90℃で測定した場合、2000分超、4000分超、6000分超、8000分超、又は更には10000分超の静的剪断強度値を有する。
【0121】
本開示の感圧接着剤組成物及びアセンブリは、接着剤コーティングした物品を製造するために、様々な基材上でコーティング/適用することができる。基材は、可撓性又は非可撓性であることができ、ポリマー材料、ガラス若しくはセラミック材料、金属、又はこれらの組み合わせから形成することができる。好適なポリマー基材としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリビニルクロライド、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレート)、ポリカーボネート、ポリメチル(メタ)アクリレート(PMMA)、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、及びエチルセルロースから調製されたものなどのポリマーフィルムが挙げられるが、これらに限定されない。発泡体バッキングを使用してもよい。他の基材の例としては、ステンレス鋼、金属又は金属酸化物をコーティングしたポリマー材料、金属又は金属酸化物をコーティングしたガラス等の金属が挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
本開示の感圧接着剤組成物及びアセンブリは、ラベル、テープ、標識、カバー、マーキングの印、表示構成要素、及びタッチパネルなどの、このようなアセンブリを使用することが従来から知られている任意の物品に使用されてもよい。
【0123】
感圧接着剤組成物及びアセンブリは、特定の基材に対して適宜改変した任意の従来のコーティング技術を用い、基材上にコーティング/適用してもよい。例えば、感圧接着剤アセンブリは、ローラーコーティング、フローコーティング、ディップコーティング、スピンコーティング、スプレーコーティング、ナイフコーティング、及びダイコーティングなどの方法により、多様な固体基材に適用/コーティングしてもよい。これらの様々なコーティング法により、感圧接着剤組成物及びアセンブリを基材上に厚さを変えて定置することが可能となり、したがってアセンブリのより広範な使用が可能となる。
【0124】
本開示による感圧接着剤組成物及びアセンブリは、低表面エネルギー(LSE)基材に対する強力な接着結合を形成するのに特に有用であり得る。このような材料に含まれるものは、ポリプロピレン、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレン又はHDPE)、ポリプロピレンのブレンド(例えば、PP/EPDM、TPO)、又は更には一部のクリアコート面である。基材の表面上にある石油残留物などの残留物又は塗装などの被膜に起因して、他の基材も低表面エネルギー特性を有する場合がある。
【0125】
しかしながら、感圧接着剤組成物及びアセンブリが低表面エネルギー表面に良好に結合しても、これらの接着剤の使用は低表面エネルギー基材に限定されない。感圧接着剤組成物及びアセンブリは、驚くべきことに、例えば、ポリアミド6(PA6)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、PC/ABSブレンド、PC、PVC、PA、PUR、TPE、POM、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)などの中表面エネルギー(MSE)基材、一部のクリアコート面、特に自動車のような車両のクリアコート又は産業用途用のコート面、及び繊維強化プラスチックのような複合材料に良好に結合し得る。
【0126】
驚くべきことに、本開示による感圧接着剤組成物及びアセンブリはまた、例えば、セラミック、ガラス、及び金属などのより高い表面エネルギー(HSE)の基材に強力な接着結合を提供する。
【0127】
したがって、本開示は、低表面エネルギー基材、中表面エネルギー基材、及び/又は高表面エネルギー基材への結合のための、上述のような感圧接着剤組成物及びアセンブリの使用を更に目的とする。
【0128】
感圧接着剤組成物及びアセンブリを適用することができる基材は、特定の用途に応じて選択され得る。例えば、感圧接着剤アセンブリは、特にその第2及び/又は第3の感圧接着剤層によって、シート製品(例えば、装飾用グラフィック及び反射性製品)、ラベル素材、及びテープバッキングに適用してもよい。加えて、感圧接着剤組成物及びアセンブリは、更に別の基材又は対象物をパネル又は窓に取り付けることができるように、金属パネル(例えば、自動車パネル)又はガラス窓などの他の基材上に直接適用してもよい。したがって、本開示の感圧接着剤組成物及びアセンブリは、自動車製造業(例えば、外装品又はウェザーストリップの取り付けのため)、建設業、又はソーラーパネル建設業において特定の用途を見出すことができる。
【0129】
したがって、本開示は、産業用途、特に建設用途及び自動車用途について上述したような感圧接着剤組成物及びアセンブリの使用を更に目的とする。
【0130】
項目1は、
a)第1の(メタ)アクリレートコポリマーであって、第1の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、0.1~12重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位を含む、第1の(メタ)アクリレートコポリマーと、
b)第2の(メタ)アクリレートコポリマーであって、第2の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、15~40重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位を含む、第2の(メタ)アクリレートコポリマーと、を含む、感圧接着剤組成物である。
【0131】
項目2は、第2の(メタ)アクリレートコポリマーが、第1の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、15重量%超、16重量%超、又は更には17重量%超の量の(メタ)アクリル酸モノマー単位を含む、項目1に記載の感圧接着剤組成物である。
【0132】
項目3は、
a)第1の(メタ)アクリレートコポリマーが、第1の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、0.1~11重量%、0.1~10重量%、0.2~10重量%、0.2~9重量%、0.2~8重量%、0.3~8重量%、0.5~8重量%、0.5~6重量%、1~6重量%、又は更には1~5重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位を含み、
b)第2の(メタ)アクリレートコポリマーが、第2の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、16~40重量%、16~35重量%、16~30重量%、16~25重量%、17~25重量%、17~23重量%、又は更には17~20重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位を含む、項目1又は2に記載の感圧接着剤組成物である。
【0133】
項目4は、
a)第1の(メタ)アクリレートコポリマーが、0℃以下のTgを有し、
b)第2の(メタ)アクリレートコポリマーが、0℃超のTgを有する、項目1~3のいずれか一項目に記載の感圧接着剤組成物である。
【0134】
項目5は、
a)第1の(メタ)アクリレートコポリマーが、-70℃~0℃、-70℃~-10℃、-60℃~-10℃、-60℃~-20℃、-60℃~-30℃、-55℃~-35℃、又は更には-50℃~-40℃に含まれるTgを有し、
b)第2の(メタ)アクリレートコポリマーが、2℃~100℃、2℃~80℃、2℃~60℃、2℃~50℃、2℃~45℃、5℃~45℃、5℃~40℃、5℃~35℃、又は更には10℃~30℃に含まれるTgを有する、項目1~4のいずれか一項目に記載の感圧接着剤組成物である。
【0135】
項目6は、第2の(メタ)アクリレートコポリマーが、100℃以下、80℃以下、60℃以下、50℃以下、45℃以下、又は更には40℃以下のTgを有する、項目1~5のいずれか一項目に記載の感圧接着剤組成物である。
【0136】
項目7は、
a)65~99重量%、70~95重量%、75~95重量%、75~90重量%、又は更には75~85重量%の第1の(メタ)アクリレートコポリマーと、
b)1~35重量%、1~30重量%、2~25重量%、3~25重量%、3~20重量%、4~20重量%、又は更には4~15重量%の第2の(メタ)アクリレートコポリマーと、を含み、
重量パーセントが、感圧接着剤組成物の総重量に基づく、項目1~6のいずれか一項目に記載の感圧接着剤組成物である。
【0137】
項目8は、第1の(メタ)アクリレートコポリマー及び/又は第2の(メタ)アクリレートコポリマーが、主モノマー単位として、直鎖又は分岐鎖のC~C32(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位、C~C24(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位、又は更にはC~C18(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位と、を主モノマー単位として含む、項目1~7のいずれか一項目に記載の感圧接着剤組成物である。
【0138】
項目9は、第1の(メタ)アクリレートコポリマー及び/又は第2の(メタ)アクリレートコポリマーが、主モノマー単位として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、イソ-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、イソ-ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソ-オクチル(メタ)アクリレート、2-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、2-プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ノニルアクリレート、イソホリル(メタ)アクリレート、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される直鎖又は分岐鎖アルキル(メタ)アクリレートエステルモノマー単位を含む、項目1~8のいずれか一項目に記載の感圧接着剤組成物である。
【0139】
項目10は、第1の(メタ)アクリレートコポリマー及び/又は第2の(メタ)アクリレートコポリマーが、主モノマー単位として、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、イソ-オクチル(メタ)アクリレート、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される直鎖又は分岐鎖アルキル(メタ)アクリレートエステルモノマー単位を含む、項目9に記載の感圧接着剤組成物である。
【0140】
項目11は、第1の(メタ)アクリレートコポリマー及び第2の(メタ)アクリレートコポリマーが、主モノマー単位として、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートモノマーを含む、項目9又は10に記載の感圧接着剤組成物である。
【0141】
項目12は、第1の(メタ)アクリレートコポリマーが、
a)第1の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、0.1~11重量%、0.1~10重量%、0.2~10重量%、0.2~9重量%、0.2~8重量%、0.3~8重量%、0.5~8重量%、0.5~6重量%、1~6重量%、又は更には1~5重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位と、
b)第1の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、89~99.9重量%、90~99.9重量%、90~99.8重量%、91~99.8重量%、92~99.8重量%、92~99.7重量%、92~99.5重量%、94~99.5重量%、94~99重量%、又は更には95~99重量%の、直鎖又は分岐鎖のC~C32(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位、C~C24(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位、又は更にはC~C18(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位と、を含む、項目1~11のいずれか一項目に記載の感圧接着剤組成物である。
【0142】
項目13は、第2の(メタ)アクリレートコポリマーが、
a)第2の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、13~35重量%、13~30重量%、15~30重量%、15~25重量%、又は更には17~23重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位と、
b)第2の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、65~87重量%、70~87重量%、70~85重量%、75~85重量%、又は更には77~83重量%の、直鎖又は分岐鎖のC~C32(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位、C~C24(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位、又は更にはC~C18(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位と、を含む、項目1~12のいずれか一項目に記載の感圧接着剤組成物である。
【0143】
項目14は、
a)65~99重量%、70~95重量%、75~95重量%、75~90重量%、又は更には75~85重量%の第1の(メタ)アクリレートコポリマーと、
b)1~35重量%、1~30重量%、2~25重量%、3~25重量%、3~20重量%、4~20重量%、又は更には4~15重量%の第2の(メタ)アクリレートコポリマーと、
c)任意選択的に、2重量%~30重量%、2重量%~20重量%、又は更には2重量%~15重量%の、好ましくは膨張性微小球及びグラスバブルズの群から選択される、充填材料と、を含み、
重量パーセントが、感圧接着剤組成物の総重量に基づく、項目1~13のいずれか一項目に記載の感圧接着剤組成物である。
【0144】
項目15は、粘着付与樹脂を実質的に含まない、特に炭化水素粘着付与樹脂を含まない、項目1~14のいずれか一項目に記載の感圧接着剤組成物である。
【0145】
項目16は、ポリマー発泡体層の形態をとる、項目1~15のいずれか一項目に記載の感圧接着剤組成物である。
【0146】
項目17は、中空粒子状充填材料料、特に膨張性微小球、ガラス微小球、及びグラスバブルズを組み込むことによって得られる、項目16に記載の感圧接着剤組成物である。
【0147】
項目18は、泡立て技法によって、好ましくは、重合性感圧接着剤組成物中に気体を泡立たせることによって得られる、項目16に記載の感圧接着剤組成物である。
【0148】
項目19は、100~6000マイクロメートル、200~4000マイクロメートル、300~2000マイクロメートル、500~2000マイクロメートル、800~1500マイクロメートル、又は更には600~1300マイクロメートルに含まれる厚さを有する、項目16~18のいずれか一項目に記載の感圧接着剤組成物である。
【0149】
項目20は、第1の感圧接着剤ポリマー層の形態の、好ましくは、第1の感圧接着剤ポリマー発泡体層の形態の、項目1~19のいずれか一項目に記載の感圧接着剤組成物を含み、第1の感圧接着剤ポリマー層に隣接する第2の感圧接着剤層を更に含む、多層感圧接着剤アセンブリである。
【0150】
項目21は、スキン/コア多層感圧接着剤アセンブリの形態であり、第1の感圧接着剤ポリマー発泡体層が、多層感圧接着剤アセンブリのコア層であり第2の感圧接着剤層が、多層感圧接着剤アセンブリのスキン層である、項目20に記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0151】
項目22は、第2の感圧接着剤層に隣接する第1の感圧接着剤ポリマー発泡体層の側方に対向する、第1の感圧接着剤ポリマー発泡体層の側方において第1の感圧接着剤ポリマー発泡体層に隣接することが好ましい第3の感圧接着剤層を更に含む多層感圧接着剤アセンブリの形態である、項目20又は21に記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0152】
項目23は、スキン/コア/スキン多層感圧接着剤アセンブリの形態であり、第1の感圧接着剤ポリマー発泡体層が、多層感圧接着剤アセンブリのコア層であり、第2の感圧接着剤層が、多層感圧接着剤アセンブリの第1のスキン層であり、第3の感圧接着剤層が、多層感圧接着剤アセンブリの第2のスキン層である、項目22に記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0153】
項目24は、第2の感圧接着剤層及び/又は第3の感圧接着剤層が、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリアミン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリイソブチレン、ポリスチレン、ポリビニル、ポリビニルピロリドン、天然ゴム、合成ゴム、並びにこれらの任意の組み合わせ、コポリマー又は混合物からなる群から選択されるポリマー基材を含む、項目20~23のいずれか一項目に記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0154】
項目25は、第2の感圧接着剤層及び/又は第3の感圧接着剤層が、主なモノマー成分が、好ましくは、直鎖又は分岐鎖アルキル(メタ)アクリレートエステル、好ましくは、1~32個、1~20個、又は更には1~15個の炭素原子を含むことが好ましい直鎖又は分岐鎖アルキル基を有する非極性の直鎖又は分岐鎖アルキル(メタ)アクリレートエステルを含むポリアクリレートからなる群から選択されるポリマー基材を含む、項目20~24のいずれか一項目に記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0155】
項目26は、第2の感圧接着剤層及び/又は第3の感圧接着剤層が、その主モノマー成分が直鎖又は分岐鎖アルキル(メタ)アクリレートエステルを含むポリアクリレートからなる群から選択されるポリマー基材を含み、直鎖又は分岐鎖アルキル(メタ)アクリレートエステルが、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、イソ-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、イソ-ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソ-オクチル(メタ)アクリレート、2-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、2-プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソホリル(メタ)アクリレート、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される、項目20~25のいずれか一項目に記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0156】
項目27は、直鎖又は分岐鎖アルキル(メタ)アクリレートエステルが、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、2-オクチル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される、項目20~26のいずれか一項目に記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0157】
項目28は、直鎖又は分岐鎖アルキル(メタ)アクリレートエステルが、イソオクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-プロピルヘプチルアクリレート、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される、項目20~27のいずれか一項目に記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0158】
項目29は、第2の感圧接着剤層及び/又は第3の感圧接着剤層が、極性コモノマー、好ましくは極性アクリレートコモノマーを更に含むポリマー基材を含む、項目20~28のいずれか一項目に記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0159】
項目30は、第2の感圧接着剤層及び/又は第3の感圧接着剤層が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、ヒドロキシアルキルアクリレート、窒素含有アクリレートモノマー、特にアクリルアミド及び置換アクリルアミド、アクリルアミン及び置換アクリルアミン、並びにこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される極性アクリレートモノマーを更に含むポリマー基材を含む、項目29に記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0160】
項目31は、第2の感圧接着剤層及び/又は第3の感圧接着剤層が、エチレン性不飽和基を有する第2のモノマー、好ましくは、エチレン性不飽和基を有する第2の非極性モノマーを更に含むポリマー基材を含む、項目20~30のいずれか一項目に記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0161】
項目32は、本明細書で使用するためのエチレン性不飽和基を有する第2のモノマーが、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソホリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択され、より好ましくは、第2のモノマーが、イソボルニル(メタ)アクリレートであるように選択される、項目31に記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0162】
項目33は、第2の感圧接着剤層及び/又は第3の感圧接着剤層が、粘着付与樹脂、特に炭化水素粘着付与樹脂を更に含むポリマー基材を含む、項目20~32のいずれか一項目に記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0163】
項目34は、粘着付与樹脂が、C5系炭化水素樹脂、C9系炭化水素樹脂、C5/C9系炭化水素樹脂、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物若しくは水素化形態からなる群から選択される、項目33に記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0164】
項目35は、第2の感圧接着剤層及び/又は第3の感圧接着剤層が、塩素化ポリオレフィン(コ)ポリマーを更に含むポリマー基材を含み、塩素化ポリオレフィン(コ)ポリマーが、好ましくは、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、塩素化エチレン/酢酸ビニルコポリマー、及びこれらの任意の組み合わせ、混合物又はコポリマーからなる群から選択される、項目20~34のいずれか一項目に記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0165】
項目36は、ウェット・オン・ウェット・コーティングプロセス工程によって得られる、項目20~35のいずれか一項目に記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0166】
項目37は、実験セクションに記載された静的剪断試験法によって、70℃で測定した場合、2000分超、4000分超、6000分超、8000分超、又は更には10000分超の静的剪断強度値を有する、項目20~35のいずれか一項目に記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0167】
項目38は、実験セクションに記載された静的剪断試験法によって、90℃で測定した場合、2000分超、4000分超、6000分超、8000分超、又は更には10000分超の静的剪断強度値を有する、項目20~37のいずれか一項目に記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0168】
項目39は、項目1~19のいずれか一項目に記載の感圧接着剤組成物の製造方法であって、
a)第2の(メタ)アクリレートコポリマーであって、第2の(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、15~40重量%の(メタ)アクリル酸モノマー単位を含む、第2の(メタ)アクリレートコポリマーを用意する工程と、
b)第2の(メタ)アクリレートコポリマーを、第1の(メタ)アクリレートコポリマーを調製するために使用される主モノマー単位、(メタ)アクリル酸モノマー単位、任意選択的に重合開始剤、任意選択的に架橋剤、及び任意選択的に粒子状充填材料を含む硬化性前駆体組成物に組み込むことにより、感圧性組成物の硬化性前駆体組成物を形成する工程と、
c)工程b)で得られた感圧性組成物の硬化性前駆体組成物を、好ましくは化学線で、硬化させる工程と、を含む、方法である。
【0169】
項目40は、第2の(メタ)アクリレートコポリマーが、フリーラジカル重合、特に本質的に無溶媒の重合法によって、とりわけ本質的に断熱の重合反応によって得られる、項目39に記載の方法である。
【0170】
項目41は、工程a)の第2の(メタ)アクリレートコポリマーが、10%超、15%超、20%超、25%超、30%超、35%超、40%超、又は更には45%超のポリマー変換率を有するプレポリマー組成物として得られる、項目39又は40に記載の方法である。
【0171】
項目42は、工程a)の第2の(メタ)アクリレートコポリマーが、10~60%、20~55%、30~50%、又は更に35~50%に含まれるポリマー変換率を有するプレポリマー組成物として得られる、項目39又は40に記載の方法である。
【0172】
項目43は、項目20~38のいずれか一項目に記載の感圧接着剤アセンブリの製造方法であって、
a)第1の感圧接着剤ポリマー層の(液体)前駆体を用意する工程と、
b)第2の感圧接着剤層の(液体)前駆体を用意する工程と、
c)任意選択的に、第3の感圧接着剤層の(液体)前駆体を用意する工程と、
d)第1の感圧接着剤ポリマー層の(液体)前駆体、第2の感圧接着剤層の(液体)前駆体と、任意選択的に第3の感圧接着剤層の(液体)前駆体を重ね合わせることにより、感圧接着剤アセンブリの硬化性前駆体を形成する工程と、
e)工程d)で得られた感圧接着剤アセンブリの硬化性前駆体を、好ましくは化学線で、硬化させる工程と、を含む、方法である。
【0173】
項目44は、第2の感圧接着剤層の硬化性(液体)前駆体の(下部)層が、第1の感圧接着剤ポリマー層の硬化性液体前駆体の隣接(上部)層によって、それぞれ、本質的に、第2の感圧接着剤層の硬化性(液体)前駆体の(下側)層を露出させないで、被覆されている、項目43に記載の方法である。
【0174】
項目45は、ウェット・オン・ウェット・コーティングプロセス工程を含む、項目43又は44に記載の方法である。
【0175】
項目46は、共押出加工工程を含む、項目43に記載の方法である。
【0176】
項目47は、第1の感圧接着剤ポリマー層、第2の感圧接着剤層、及び任意選択的に第3の感圧接着剤層が、別々に調製され、続いて互いに積層される、項目43に記載の方法である。
【0177】
項目48は、低表面エネルギー基材、中表面エネルギー基材及び/又は高表面エネルギー基材への結合のための、好ましくは低表面エネルギー基材又は中表面エネルギー基材への結合のための、項目1~19のいずれか一項目に記載の感圧接着剤組成物又は項目20~38のいずれか一項目に記載の感圧接着剤アセンブリの使用である。
【0178】
項目49は、工業用途、特に建設用途及び自動車用途のための、項目1~19のいずれか一項目に記載の感圧接着剤組成物又は項目20~38のいずれか一項目に記載の感圧接着剤アセンブリの使用である。
【実施例
【0179】
以下の実施例により本開示を更に説明する。これらの実施例は、単に例示目的のものであり、添付の特許請求の範囲の限定を意図するものではない。
【0180】
適用される試験法:
300mm/分での90°剥離試験(試験法Finat No.2による)
本開示による感圧接着剤組成物及びアセンブリの、幅10mm及び長さ175mm超のストリップを、試料材料から縦方向に切り出す。
【0181】
試験試料調製のために、ライナーを最初に一方の接着剤側から取り外し、以下の寸法22×1.6cmのアルミニウムストリップ上に置く。次いで、各PSAストリップの接着剤コーティングされた側を、ライナーが取り外された後、その接着剤側が、軽い指圧を使用してきれいな試験パネル上で下になる状態で置く。次に、試験試料を、標準的なFINAT試験ローラー(重量6.8kg)を用い、毎秒約10mmの速度で各方向に2回転がし、接着剤の塊と表面との間で密着させる。感圧接着剤組成物及びアセンブリのストリップを試験パネルに適用した後、試験に先立って周囲室温(23℃+/-2℃、相対湿度50%+/-5%℃)にて72時間、試験試料を放置させる。
【0182】
剥離試験のために、第1の工程において、Zwick引張試験機(Model Z020、Zwick/Roell GmbH,Ulm,Germanyより市販)の下方可動掴み具に、試験試料を締め付け固定する。感圧接着剤フィルムストリップを、90°の角度にて折り返し、その自由端を、90°剥離測定用に一般に利用される構成で引張試験機の上方掴み具内に把握する。毎分300mmの掴み具分離速度に、引張試験機を設定する。試験結果を、10mm当たりのニュートン(N/10mm)で表す。示した剥離値は、2回の90°剥離測定値の平均である。
【0183】
500g、70℃又は90℃での静的剪断試験(FINAT試験法No.8、第8版、2009)
静的剪断は、接着剤の凝集性又は内部強度の尺度である。静的剪断は、接着剤シート材料の基準面積を、一定の標準荷重の応力下で試験パネルから引っ張るのに要する時間の単位(分)で測定される。
【0184】
幅25mm及び長さ12.7mmのストリップを、硬化感圧接着剤試料から機械方向に切断する。1つの剥離ライナーをストリップから取り外し、PSA試料をその露出した接着剤表面を通して陽極酸化アルミニウムバッキング上に付着させる。次いで、第2の剥離ライナーを取り外し、PSA試料を試験基材に付着させ、25mm×12.7mmの接着領域を提供し、軽い指圧を使用する。標準的なFINAT試験ローラー(6.8kg)を、毎秒約10mmの速度で各方向に1回転がし、接着剤の塊と基材表面との間で密着させる。PSAストリップを試験プレートに適用した後、試験プレートを試験前に24時間にわたって室温で放置する。規定の重量を保持するため、試験ストリップの末端にループを作る。試験パネルを、剪断保持デバイスに定置する。70℃又は90℃の試験温度で15分間の放置時間後、500gの荷重がループに取り付けられる。タイマーをスタートさせる。結果を分単位で記録し、3回の剪断測定値の平均とする。「10000+」という記録時間は、接着剤が10000分後に損傷しないことを示す。
【0185】
発泡体分割レベル(凝集破壊レベル)を測定するための試験方法
発泡体分割レベルは、接着剤の凝集性又は内部強度の別の尺度である。凝集破壊レベルは、上記の300mm/分での90°剥離試験に従って測定される。発泡体分割試験では、試験試料は、第1の工程で、3MのPrimer94でプライミングされる。
【0186】
ガラス転移温度(Tg)
本明細書で使用するためのコポリマーのガラス転移温度は、動的機械熱分析によって測定される。動的機械分析及び試料調製を、ASTM E1640-13規格及びその中に記載されている各規格に従って実施する。動的機械測定は、強制対流式オーブンを用いて、5℃/分の加熱速度で、-70~+150℃の温度範囲において、1Hzの固定周波数及び0.01~15%の可変歪みでの平行平板(直径:8mm、間隙:0.5mm)を使用する振動剪断において、ARES歪み制御回転式レオメータ(TA Instruments,USAから入手可能)で実施される。接線デルタ(損失係数)ピーク最大値の温度が、ガラス転移が起こる温度範囲を表すために取られ、これはガラス転移温度Tgと称される。直径8mm及び高さ約0.5mmを測定する円形状の試料を使用する。
【0187】
試験に使用される試験基材:
本開示による感圧接着剤組成物及びアセンブリを、以下の基材に対するそれらの接着剤特性に関して試験する。
-鋼:Rocholl GmbH,Aglatershausen,Germanyから入手可能なステンレス鋼(SS)プレート(「Edelstahl 1.4301 IIID」、150mm×50mm×2mm)。
-PP:Aquarius Plastics Ltd,UKから入手可能な保護フィルムを有するポリプロピレンプレート(150mm×50mm×2mm)。
-PP/EPDM:Rocholl GmbH,Aglatershausen,Germanyから入手可能なポリプロピレン/エチレンプロピレンジエンモノマープレート(「Spritzgussgranulat Exxtral BMU」、150mm×25mm×2mm)。
-ABS:Rocholl GmbH,Aglatershausen,Germanyから入手可能なアクリロニトリルブタジエンスチレンプレート(Metzoplast ABS/G、150mm×25mm×2mm)。
【0188】
試験に先立って、基材を以下のように洗浄する。
-SSプレートを先ずMEK及びn-ヘプタンで洗浄し、ティッシュで乾燥させ、次いでMEKで洗浄し、ティッシュで乾燥させる。
-先ずPP/EPDM及びABSパネルを、軽い力を加えながら乾燥したティッシュを使用して洗浄し、表面上のあらゆる残留物/ワックス状の化合物を除去し、次いで、イソプロピルアルコール:蒸留水(1:1)の混合物で洗浄し、ティッシュで乾燥させる。
-保護フィルムを有するPP試験パネルは、試験前に洗浄を必要としない。必要とされる唯一の工程は、接着剤塗布前に保護フィルムを除去することからなる。
【0189】
使用される原材料:
実施例では、以下の原材料及び使用済みの市販の接着テープを使用する。
2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA、C8-アクリレート)は、2-エチルアルコールとアクリル酸とのエステルであり、BASF AG,Germanyより入手する。
アクリル酸(AA)は、BASF AG,Germanyより入手する。
2-プロピルヘプチルアクリレート(2-PHA、C10-アクリレート)は、2-プロピルヘプタノールとアクリル酸とのエステルであり、BASF AG,Germanyから入手する。Tg:-68℃。2-プロピルヘプチルアクリレートは、一定分布を有する2つの異性体の混合物である。
イソボルニルアクリレート(SR 506D)は、Cray Valley,Franceから入手可能な単官能性アクリルモノマーである。
イソオクチルチオグリコレート(IOTG)は連鎖移動剤であり、Bruno Bock Chemische Fabrik,Germanyにより市販されている。
Vazo 52(2,2’-アゾビス(2,4ジメチルペンタンニトリル))は、熱重合開始剤であり、Dupontから入手可能である。
Omnirad BDK(2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン)は、UV開始剤であり、iGm resins,Waalwijk,Netherlandsから入手可能である。
1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)は、高速硬化ジアクリレートであり、BASF AG,Germanyから入手する。
HTGOは、25,000g/molのMを有する高Tgアクリルオリゴマーであり、2-PHA中の50重量%希釈物として使用され、HTG-1dと称されるコポリマーについてEP-A1-2803712号(Wienekeら)に記載の手順に従って調製される。
Arkon P125は、Arakawa Chemical Inc.,Chicago,IL,USAから市販されている完全水素化炭化水素樹脂である。
3Mグラスバブルズ(sK15)は、3M Deutschland GmbH,Germanyより市販されている、115マイクロメートルの直径を有するシラン処理された中空グラスバブルズである。
Aerosil R-972は疎水性ヒュームドシリカ粒子であり、Evonik(Germany)より入手可能である。
3M Primer 94は、3M Company,USAから市販されている表面接着性プライマーである。
3M Tape PX 5011は、3M Company,USAから市販されているアクリル発泡体テープである。
3M 9460PCは、3M Company,USAから市販されている転写テープである。
【0190】
第2の(メタ)アクリレートコポリマーの調製:
感圧接着剤組成物及び第1の感圧接着剤ポリマー層に使用される前駆体を調製する前に、以下に表1に示す組成を有する第2の(メタ)アクリレートコポリマー(以降ポリマー1と称する)を、以下に詳述するように調製する。
【表1】
【0191】
第2の(メタ)アクリレートコポリマーの調製について上述したような様々なモノマーの重合は、1リットルのBuchi Polyclaveステンレス鋼反応器(Buchi Labortechnik GmbH,The Netherlandsから入手可能)を使用して実施される。
【0192】
第1の工程では、Buchi反応器に、3ppmのVazo 52と共に、表1に示すモノマー混合物及び量からなる混合物250グラムを充填する。反応器を封止し、酸素をパージし、次いで、約1バールの窒素圧を保持する。反応混合物を60℃に加熱し、反応は断熱的に進行する。反応ピーク温度は約110℃である。反応が完了すると、混合物を50℃未満まで冷却する。重合変換率は約35%程度であり、第2の(メタ)アクリレートコポリマー(ポリマー1)中のアクリル酸モノマー単位の含有率は約20%である。
【0193】
感圧接着剤組成物の前駆体及び第1の感圧接着剤ポリマー層の前駆体(発泡体層)の調製:
感圧接着剤ポリマー層(FL 1~5)の調製:
感圧接着剤組成物の前駆体及び対応する第1の感圧接着剤ポリマー層(発泡体層)(以降、FL 1~5と称される)は、C8アクリレート(2-EHA)及びアクリル酸(3~10重量%)を含む重合前駆体組成物中で、上述したように、第2の(メタ)アクリレートコポリマーを最初に希釈することによって調製される。全ての時間、得られた組成物を、ローリングベンチ(Labortechnik Frobel,Germanyから入手可能なモデルLD 209)プロペラ撹拌機で約24時間振盪させることによって(150U/分)混合し、透明な均質混合物が得られると混合を停止する。次に、光開始剤Omnirad BDK、HDDA架橋剤、及びヒュームドシリカ粒子を添加し、再度約24時間振盪させることによって混合する。第3の工程では、グラスバブルズを添加し、混合物をプロペラ撹拌機(300U/分)で5分間撹拌して分散させる。第1の感圧接着剤ポリマー層についての重合前駆体組成物の正確な配合を、下記の表2に列挙する。対応する第1の(メタ)アクリレートコポリマーは、第2の(メタ)アクリレートコポリマーの存在下でin-situで形成される。
【0194】
比較感圧接着剤ポリマー層(CFL 1~5)の前駆体:
比較感圧接着剤ポリマー層(発泡体層)(以下、CFL 1~5と称される)で第2の(メタ)アクリレートコポリマーを含まないものの前駆体は、C8アクリレート(2-EHA)及びアクリル酸(3~10重量%)を、ガラス容器内の光開始剤として0.04pphのOmniradと混合することによって調製される。UV露光を開始する前に、混合物に10分間窒素を流し、また、空気をシロップに添加することによって重合プロセスを停止させるまで、混合物中に窒素を常にバブリングする。混合物をプロペラ撹拌機(300U/分)で常に撹拌し、2000~4500mPasに含まれる粘度に達したら(Brookfield粘度計によりT=23℃、スピンドル4、12rpmで測定するとき)、反応を停止させる。加えて、Omnirad BDK、HDDA架橋剤、グラスバブルズ、及びヒュームドシリカ粒子の残りの量を組成物に添加し、溶解/分散するまで混合する。感圧接着剤ポリマー層CFL 1~5のための重合前駆体組成物の正確な配合を、以下の表2に列挙する(pphで)。
【表2】
【0195】
第2の感圧接着剤層SL 1(スキン層)の前駆体の調製:
第2の感圧接着剤層(スキン層)(以降、SL 1と称される)の前駆体は、ガラス容器内で、C10アクリレート(2-PHA)及びアクリル酸を、光開始剤としての0.04pphのOmniradと混合することによって調製される。UV露光を開始する前に、混合物に10分間窒素を流し、また、空気をシロップに添加することによって重合プロセスを停止させるまで、混合物中に窒素を常にバブリングする。混合物をプロペラ撹拌機(300U/分)で常に撹拌し、2000~4500mPasに含まれる粘度に達したら(Brookfield粘度計によりT=25℃、スピンドル4、12rpmで測定するとき)、反応を停止させる。加えて、Omnirad BDK、HDDA架橋剤、モノマーIBOA、HTGOオリゴマー、及び炭化水素粘着付与剤の残りの量を組成物に添加し、溶解/分散するまで混合する。HTGOを2-PHA中の希釈物として添加する。第2の感圧接着剤層SL1についての重合前駆体組成物の正確な配合を、下記の表3に列挙する(pphで)。
【表3】
【0196】
Ex.1~Ex.4及びEx.C1~Ex.C4の自立型感圧接着剤ポリマー発泡体層の調製
感圧接着剤ポリマー発泡体層は、75マイクロメートルの無溶媒シリコーン処理PETライナー(300mm×300mmの寸法を有するSLVK-Liner)上に、二重ライナーコーターを用いて、第1の感圧接着剤ポリマー層FL 1~4及びCFL 1~4の上部前駆体をコーティングすることによって得られる。コーターのライン速度を、0.82m/分に設定する。得られた接着剤層の厚さは、約1.2mmである。硬化は、上に与えられたライン速度で300cmの長さを有する紫外線硬化ステーションにおいて上部及び下部側の両方から達成される。上部から底部まで累積的に照射される全照射強度は、およそ3mW/cmである。
【0197】
Ex.5~Ex.7の多層感圧接着剤アセンブリの調製
多層感圧接着剤アセンブリは、3Mの転写テープ9460PC(第2の感圧接着剤スキン層として働く)を用いて、上記のようにして得られた感圧接着剤ポリマー層FL 1~4及びCFL 1~4の積層によって得られる。積層は、Sallmetall社からラミネータを使用することによって100℃の温度で実施される。接触圧は、1m/分の速度を用いて1~2バールの間である。フィルムは、この手順に2回供される。積層後、多層PSAアセンブリを、試験前に室温(23℃+/-2℃)で72時間放置させる。
【0198】
Ex.8の多層感圧接着剤アセンブリの調製
感圧接着剤層のスキンSL 1の前駆体及び第1の感圧接着剤ポリマー発泡体コア層FL 5の前駆体は、国際公開第A1-2011094385号(Hitschmannら)に記載の方法に従ってコーター内で互いに重ね合わされる。これにより、感圧接着剤スキン層LS 1の液体前駆体は、感圧接着剤ポリマー発泡体コア層FL 5の底部にコーティングされる。ナイフ高さ設定は、第1のナイフ(感圧接着剤スキン層LS 1用)については130~140マイクロメートルであり、第2のナイフ(ポリマー発泡体コア層FL 5用)については1240~1250マイクロメートルであり、両方のレベルは、基材表面から計算される。硬化は、0.82m/分に設定されたライン速度で300cmの長さを有する紫外線硬化ステーションにおいて上部及び下部側の両方から達成される。上部から底部まで累積的に照射される全照射強度は、およそ3mW/cmである。
【0199】
試験に使用される実施例
試験した実施例を、以下の表4に示す。
【表4】
【0200】
試験結果
プライミングされたステンレス鋼上の発泡体分割レベル(凝集破壊レベル)
【表5】
【0201】
FSは、発泡体分割(凝集破壊)を示し、POはポップオフ(ステンレス鋼からの接着破壊)を示し、MIXは、ポップオフ及び発泡体分割の混合を示す。
【0202】
3Mプライマー94でプライミングされたステンレス鋼基材上で実施された発泡体分割実験の結果を表5に示す。表5は、比較例C1~C4(第2の(メタ)アクリレートコポリマーを含まない)の組成物と比較したときの、本開示による自立型感圧接着剤組成物(Ex.1~Ex.4)で得られた、一貫して改善された機械的性能を示す。
【0203】
ステンレス鋼上の90°剥離強度(72時間、室温)
【表6】
【0204】
比較例C2の組成物と比較した場合の、本開示による自立型感圧接着剤組成物(Ex.2)の剥離接着性能の向上は、表6に示す結果からはっきりと明らかである。
【0205】
ステンレス鋼上の90°剥離強度(72時間、室温)
【表7】
【0206】
FSは、発泡体分割(凝集破壊)を示し、POはポップオフ(ステンレス鋼からの接着破壊)を示し、MIXは、ポップオフ及び発泡体分割の混合を示す。
【0207】
比較例C5~C7に基づく積層アセンブリと比較した場合の、本開示による積層感圧接着剤アセンブリ(Ex.5~Ex.7)で得られた剥離接着性能の向上は、表7に示す結果からはっきりと明らかである。
【0208】
様々な基材上のEx.8の90°剥離性能(72時間、室温)
表8は、室温(RT)でPP、ABS、ステンレス鋼(SS)及びPP/EPDM試験基材に対する72時間放置時間後のEx.8による多層感圧接着剤アセンブリの90°剥離値を示す。
【表8】
【0209】
表8は、比較市販のアクリル発泡体テープ(PX 5015)と比較した場合の、本開示による多層感圧接着剤組成物(Ex.8)で得られた、一貫して改善された剥離接着性能を示す。
【0210】
様々な基材上のEx.8の静的剪断性能
表9は、SS、ABS、及びPP試験基材上の70℃及び90℃における、Ex.8による多層感圧接着剤アセンブリの静的剪断性能を示す。
【表9】
【0211】
表9は、様々な種類の基材上及び高温での、本開示による多層感圧接着剤組成物(Ex.8)で得られた優れた静的剪断性能を示す。