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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/506 20060101AFI20220119BHJP
【FI】
H01R13/506
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020509931
(86)(22)【出願日】2019-03-22
(86)【国際出願番号】 JP2019011960
(87)【国際公開番号】W WO2019188738
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2020-06-01
(31)【優先権主張番号】P 2018066903
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パーティウッティパット ピパッタナ
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 治
(72)【発明者】
【氏名】田端 正明
(72)【発明者】
【氏名】大森 康雄
【審査官】藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-130163(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2001/0055921(US,A1)
【文献】実開平06-050262(JP,U)
【文献】特開2003-203695(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/40-13/533
13/56-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに合体した合体状態となった後、合体方向と交差する組み付け方向に相対移動させることで組み付け状態となる第1ハウジング及び第2ハウジングと、
前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの間に収容された端子金具と、
前記第1ハウジングに形成されたロック部と、
前記第2ハウジングに形成され、前記合体状態において前記ロック部に引っ掛かり、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングが前記合体方向と反対方向の離間方向へ相対移動することを規制する片持ち状の弾性ロック片と、
前記第1ハウジングに形成され、前記合体方向及び前記組み付け方向の両方向に対して交差する方向に突出した突片部と
記第2ハウジングに形成され、前記突片部の移動を規制する突片規制部とを備えており、
前記突片規制部は、前記組み付け方向に沿って前記突片部の前記離間方向への移動可能範囲を縮めるように傾斜した傾斜面を有し
前記突片規制部は前記弾性ロック片からなり、
前記弾性ロック片には前記傾斜面が形成され、
前記突片部は前記ロック部からなり、
前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングのうち前記第1ハウジングが配置される側を下側とし、前記第2ハウジングが配置される側を上側とし、更に、前記第1ハウジングに対する前記第2ハウジングの前記組み付け方向を前方とした場合、
前記突片部は、前記傾斜面の上方において前記傾斜面に対して後方に移動可能とされ、
前記傾斜面は、後方に向かうに連れて上るように傾斜しており、
前記突片部の下方への移動は、前記傾斜面によって規制され、
前記突片部の上方への移動は、前記合体状態では、前記組み付け方向と平行な上限ラインで規制されるコネクタ。
【請求項2】
前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングのうち一方の前記ハウジングには、嵌合部が形成されており、
前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングのうち他方の前記ハウジングには、前記合体状態となった前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングを前記組み付け状態となるように相対移動させる過程で前記嵌合部が嵌まり込む嵌合孔が形成されている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記弾性ロック片には、前記合体状態となる前に前記突片部の前記組み付け方向の位置決めをするロック位置決め部が形成されている請求項1又は請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングのうち一方の前記ハウジングには、他方の前記ハウジング側に向けて立設したピンが形成されており、
他方の前記ハウジングには、前記ピンが貫通する逃がし孔が形成されており、
前記ピンには、前記組み付け状態において、前記逃がし孔の内周を構成する孔縁部の前記離間方向への移動を規制するピン規制部が形成されている請求項1から請求項3のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項5】
前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングのうち一方の前記ハウジングには、前記合体方向と直交する方向における両端にヒンジを支点として揺動する揺動ロック部が形成されており、
他方の前記ハウジングには、前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングが前記組み付け状態となる位置に配された状態でのみ前記揺動ロック部が引っ掛かる引っ掛け部が形成されている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、上下2つの分割構造とすることで、端子金具が収容される端子収容室を上下に分割可能としたコネクタが開示されている。このコネクタは、上下2つのハウジングのうち下側のハウジングには弾性ロック片が形成されており、上側のハウジングにはその弾性ロック片が引っ掛かるロック部が形成されている。このコネクタは、下側のハウジングの上面に端子金具を載置して、さらに上側のハウジングを被せることで組み付けられる。上下のハウジングが合体する過程では弾性ロック片が上側のハウジングに押されて斜め姿勢に弾性変形して、両ハウジングが合体すると、弾性ロック片の突部がロック部を越えるので、弾性ロック片が弾性復帰してロック部に引っ掛かる。これにより、上下のハウジングの離脱方向への移動が規制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-32534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したように弾性ロック片をロック部に引っ掛けて組み付ける構成においては、両ハウジングが合体する過程で、弾性ロック片が固定端を中心として揺動しながら弾性復帰するので、両ハウジングの合体が完了したときに弾性ロック片の突部とロック部との間に隙間が生じてしまう。このため、上下のハウジングが離脱方向にがたついてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、両ハウジング同士のがたつきを抑えることができる技術の提供を解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコネクタは、
互いに合体した合体状態となった後、合体方向と交差する組み付け方向に相対移動させることで組み付け状態となる第1ハウジング及び第2ハウジングと、
前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの間に収容された端子金具と、
前記第1ハウジングに形成されたロック部と、
前記第2ハウジングに形成され、前記合体状態において前記ロック部に引っ掛かり、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングが前記合体方向と反対方向の離間方向へ相対移動することを規制する片持ち状の弾性ロック片と、
前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングのうち一方の前記ハウジングに形成され、前記合体方向及び前記組み付け方向の両方向に対して交差する方向に突出した突片部と、
前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングのうち他方の前記ハウジングに形成され、前記突片部の移動を規制する突片規制部とを備えており、
前記突片規制部は、前記組み付け方向に沿って前記突片部の前記離間方向への移動可能範囲を縮めるように傾斜した傾斜面を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のコネクタによれば、弾性ロック片をロック部に引っ掛けて合体状態とした後、組み付け状態とする過程で、突片部の離間方向への移動可能範囲が縮められる。これにより、第1ハウジングと第2ハウジングとの離間方向へのがたつきを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1のコネクタを前上方から見た斜視図である。
図2】コネクタを後上方から見た斜視図である。
図3】フラットケーブルの平面図である。
図4】ロアハウジングを前上方から見た斜視図である。
図5】ロアハウジングの正面図である。
図6】ロアハウジングの背面図である。
図7】ロアハウジングの平面図である。
図8】ロアハウジングの底面図である。
図9】ロアハウジングの側面図である。
図10】アッパハウジングを前上方から見た斜視図である。
図11】アッパハウジングを前下方から見た斜視図である。
図12】アッパハウジングの正面図である。
図13】アッパハウジングの背面図である。
図14】アッパハウジングの平面図である。
図15】アッパハウジングの底面図である。
図16】アッパハウジングの側面図である。
図17】ロアハウジングの上面にフラットケーブルを載置した状態の平面図である。
図18】ロアハウジングとアッパハウジングとを合体させた状態の平面図である。
図19】ロアハウジングとアッパハウジングとを合体させた状態の側面図である。
図20】ロアハウジングとアッパハウジングとを組み付けた状態の平面図である。
図21】ロアハウジングとアッパハウジングとを組み付けた状態の側面図である。
図22】突片部の離間方向への移動可能範囲を概念的に示した説明図である。
図23】ロアハウジングとアッパハウジングとを組み付けた後、揺動ロック部を引っ掛け部に引っ掛けた状態の平面図である。
図24】ロアハウジングとアッパハウジングとを組み付けた後、揺動ロック部を引っ掛け部に引っ掛けた状態の側面図である。
図25】コネクタの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)本発明のコネクタにおいて、前記突片規制部は前記弾性ロック片としてもよい。前記弾性ロック片に前記傾斜面を形成するようにしてもよい。前記突片部は前記ロック部としてもよい。
こうすれば、弾性ロック片と突片規制部、あるいは突片部とロック部を別々に形成した場合と比較して、コネクタの構造を簡素化することができる。
【0010】
(2)本発明のコネクタにおいて、前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングのうち一方の前記ハウジングには、嵌合部が形成されていてもよい。前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングのうち他方の前記ハウジングには、前記合体状態となった前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングを前記組み付け状態となるように相対移動させる過程で前記嵌合部が嵌まり込む嵌合孔が形成されていてもよい。
こうすれば、合体状態となった両ハウジングを組み付け状態にする過程で両ハウジングが嵌合状態となるので、両ハウジングは組み付け状態において組み付け方向と交差する離間方向への移動が規制される。したがって、両ハウジングの離間方向へのがたつきをより確実に抑えることができる。
【0011】
(3)本発明のコネクタでは、前記弾性ロック片には、前記合体状態となる前に前記突片部の位置決めをするロック位置決め部が形成されるようにしてもよい。
こうすれば、両ハウジングを合体させるときの組み付け方向の位置決めを簡単に行うことができる。
【0012】
(4)本発明のコネクタにおいて、前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングのうち一方の前記ハウジングには、他方の前記ハウジング側に向けて立設したピンが形成されていてもよい。他方の前記ハウジングには、前記ピンが貫通する逃がし孔が形成されていてもよい。前記ピンには、前記組み付け状態において、前記逃がし孔の内周を構成する孔縁部の前記離間方向への移動を規制するピン規制部が形成されていてもよい。
こうすれば、組み付け状態において、孔縁部の離間方向への移動が規制されるので、両ハウジングの離間方向へのがたつきをより確実に抑えることができる。
【0013】
(5)本発明のコネクタにおいて、前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングのうち一方の前記ハウジングには、前記合体方向と直交する方向における両端にヒンジを支点として揺動する揺動ロック部が形成されていてもよい。他方の前記ハウジングには、前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングが前記組み付け状態となる位置に配された状態でのみ前記揺動ロック部が引っ掛かる引っ掛け部が形成されていてもよい。
こうすれば、揺動ロック部が引っ掛け部に引っ掛かることにより、両ハウジングの離間方向へのがたつきを抑えることができるだけでなく、両ハウジングが組み付け状態となったことを確認することができる。
【0014】
<実施例1>
以下、本発明を具体化した実施例1を図1図25を参照して説明する。なお、前後方向については、相手側コネクタ(図示省略)に対するコネクタ1の嵌合方向(図9,16,19,21,23,24における右方、図3,7,8,14,15,17,18,20,22における下方)を前方、その反対方向を後方と定義する。上下方向については、図5,6,9,12,13,16,19,21,23,24における上下方向をそのまま上下方向と定義し、左右方向については、図3,5~8,12~15,17,18,20,22における左右方向をそのまま左右方向と定義する。
【0015】
<コネクタ1>
本実施例1のコネクタ1は、図1及び図2に示すように、上下に分割可能な分割構造とすることで、端子収容室5を上下に分割可能としたコネクタである。コネクタ1は、下側のロアハウジング2と、上側のアッパハウジング3と、互いに合体したハウジング2,3に保持されるフラットケーブル4とを備える。なお、本実施例1ではロアハウジング2が本発明の「第1ハウジング」に相当し、アッパハウジング3が本発明の「第2ハウジング」に相当する。
【0016】
<フラットケーブル4>
フラットケーブル4は、例えば、フレキシブルプリント基板(Flexible printed circuits)やフレキシブルフラットケーブル(Flexible Flat Cable)などであり、図3に示すように、複数の端子金具10と、複数の端子金具10に個別に接続される複数の導体(図示省略)と、複数の導体を被覆するシート状部材11と、シート状部材11における端子金具10側の端部に一体化された補強板12とを備える。
【0017】
各端子金具10は、導電性の金属部材で構成されており、前後方向に細長い形状をなしている。複数の端子金具10は、左右方向に並列するように等間隔で配されている。各端子金具10の後端部には半田付け等によって導体が接続されている。全ての導体は、1枚のシート状部材11によって被覆されている。シート状部材11は、絶縁性を有する部材で構成されており、撓み変形や折り曲げなどが可能とされている。このシート状部材11の下側に補強板12が貼り付けられている。補強板12は、シート状部材11よりも高い強度の部材で構成されている。補強板12は、左右方向に長い略矩形状をなしている。
【0018】
シート状部材11及び補強板12は、左右方向の幅寸法が同じであり、平面視において左右両端及び前端の位置が揃っている。シート状部材11及び補強板12の前端部は櫛歯状をなしており、各櫛歯の先端部に端子金具10が取り付けられている。
【0019】
フラットケーブル4には、シート状部材11及び補強板12を貫通する複数(本実施例1では7つ)の補強孔13が形成されている。複数の補強孔13は、左右方向に等間隔で一列に配されている。複数の補強孔13は、櫛歯の基端よりも後方に配されている。各補強孔13は円形状をなしている。各補強孔13の直径は、端子金具10の並列方向のピッチと略同一となっている。
【0020】
<ロアハウジング2>
ロアハウジング2は、図4~9に示すように、合成樹脂製であり、正面視において左右方向に長い扁平形状をなしている。ロアハウジング2は、平面視において左右方向に長い略矩形状の底板部20を備えている。底板部20の上面における略前半分には、各端子収容室5の下側部分を構成する端子収容凹部21が形成されている。各端子収容凹部21は、前後方向に長い形状をなしている。複数の端子収容凹部21は、左右方向に並列するように配されている。複数の端子収容凹部21は、底板部20の上面から上方に突出して前後方向に延びる複数の隔壁22によって個別に区切られている。各端子収容凹部21には、後方又は上方から端子金具10が収容可能とされており、各端子収容凹部21に収容された端子金具10は、各端子収容凹部21の下側に設けられたランス23によって後方への移動が規制される。
【0021】
ロアハウジング2は、底板部20の上面の前端から上方に突出して左右方向に延びる板状の前壁部24を備えている。前壁部24は、ロアハウジング2の左右方向全幅に亘って形成されている。各端子収容凹部21に収容された端子金具10は前方への移動が前壁部24によって規制される。前壁部24の前面には、各端子収容凹部21に対応した位置に第1開口部24Aが形成されている。相手側端子金具(図示省略)が第1開口部24Aを通じて端子収容凹部21内に進入すると、端子収容凹部21内の端子金具10と電気的に接続される。
【0022】
また、前壁部24には、第1開口部24Aよりも上方の位置において、前後方向に貫通した複数の嵌合孔24Bが形成されている。各嵌合孔24Bは左右方向に長い形状をなしている。各嵌合孔24Bには、後述のアッパハウジング3の嵌合部41が嵌まり込む。
【0023】
ロアハウジング2は、底板部20の上面の左右両端から上方に突出して前後方向に延びる一対の側壁部25を備えている。各側壁部25の前端縁は、前壁部24の左右両端縁に連なっている。各側壁部25の内面には、段差が形成されており、この段差に水平方向に平行な第1組付ロック部25Aが形成されている。第1組付ロック部25Aの前側には後述の第1組付部50が収まる空間が形成されている。
【0024】
ロアハウジング2は、一対の側壁部25の後方において、底板部20の上面の左右両端から上方に突出して前後方向に延びる一対の側板部26を備えている。各側板部26の後端縁は、隔壁22の後端縁(端子収容凹部21の後端縁)とほぼ前後方向に揃っている。各側板部26には、左右方向外面から左右方向外方に突出した突起状の突片部27が形成されている。各突片部27の上部(アッパハウジング3側の部分)には、下方(アッパハウジング3側とは反対側の方向)に向けて左右方向外方に傾斜したガイド面27Aが形成されている。各突片部27の下部(アッパハウジング3側とは反対側の部分)には、側面視において下方に張り出すように湾曲したロック部27Bが形成されている。
【0025】
各側板部26には、突片部27の後方において、左右方向に貫通した側面貫通孔28が形成されている。側面貫通孔28の後面には、後述の第2組付部51が引っ掛かる第2組付ロック部28Aが形成されている。
【0026】
底板部20の上面には、複数(本実施例1では7つ)の略円柱状のピン30が立設されている。複数のピン30は、端子収容凹部21の後端縁よりも後方に配されており、左右方向に等間隔で一列に配されている。各ピン30の後面には、嵌合凹部30Aが形成されており、嵌合凹部30Aの上面には、水平方向に平行なピン規制部30Bが形成されている。複数のピン30のうち中央に位置するピン30は、他のピン30と比較して、ピン規制部30Bが下方に位置する。上述したフラットケーブル4の補強孔13は、ピン30と同数以上形成されており、全てのピン30に対応する位置に配されている。
【0027】
底板部20には、複数のピン30の後端よりも後方の位置において、上面から上方に突出して左右方向に延びる下側リブ31が設けられている。下側リブ31の左右両端は、底板部20の左右両端よりも左右方向外方まで延びている。下側リブ31の左右両端縁(底板部20の左右両端よりも左右方向外方の部分)の前面には、上下方向に平行な第3組付ロック部31Aが形成されている。第3組付ロック部31Aには、後述の第3組付部52が引っ掛けられる。
【0028】
底板部20には、下面から下方に突出して前後方向に延びる複数の補強リブ32が形成されている。各補強リブ32は、各ピン30の真下を通過するように配されている。
【0029】
底板部20の左右両端には、一対の引っ掛け部33が形成されている。各引っ掛け部33は、底板部20の左右両端面から左右方向外方に突出したブロック状の組付検知リブ33Aと、底板部20の下面の左右両端縁から下方に突出して前後方向に延びる非揺動ロック突部33Bとを有している。
【0030】
各組付検知リブ33Aは、高さ寸法に比して前後寸法が大きく形成されている。各組付検知リブ33Aは、側板部26よりも後方に配されており、下側リブ31よりも前方に配されている。
【0031】
各非揺動ロック突部33Bの前端は、組付検知リブ33Aの前端と前後方向に揃っており、各非揺動ロック突部33Bの後端は、組付検知リブ33Aの後端と前後方向に揃っている。各非揺動ロック突部33Bは下方への突出寸法が左右方向内方に向けて次第に大きくなっている。各非揺動ロック突部33Bの左右方向内面には、上下方向に平行な引っ掛け面33Cが形成されている。
【0032】
<アッパハウジング3>
アッパハウジング3は、図10~16に示すように、合成樹脂製であり、正面視において左右方向に扁平な形状をなしている。アッパハウジング3は、平面視において左右方向に長い略矩形状の上板部40を備えている。上板部40には、前端面から前方に突出した複数の嵌合部41が形成されている。
【0033】
上板部40の左右両端縁には、上板部40の前後方向中央よりも前方の位置において、一対の弾性ロック片42が設けられている。また、アッパハウジング3には、突片部27の移動を規制する突片規制部60が形成されている。本実施例では、突片規制部60が弾性ロック片42からなる。各弾性ロック片42は、上板部40から下方に延びて、片持ち状をなしている。具体的には、各弾性ロック片42は、上板部40から下方に延びる2本の縦軸部42Aと、2本の縦軸部42Aの下端縁同士をつなぐ横軸部42Bとを有している。各横軸部42Bの上面には、前方に向けて下るように傾斜した傾斜面42Cが形成されている。各横軸部42Bの左右方向内面には、凹状のロック位置決め部42Dが形成されている。
【0034】
上板部40には、上板部40の前後方向中央よりも後方において、上下方向に貫通した複数(7つ)の逃がし孔43が形成されている。各逃がし孔43は、平面視において前後方向に長い形状をなしている。各逃がし孔43は、平面視において、前端部が湾曲した形状をなしているのに対し、後端部は角ばった形状をなしている。複数の逃がし孔43は、左右方向に等間隔で一列に配されている。上板部40の上面は、複数の逃がし孔43のうち中央の逃がし孔43が形成された部分は、他の逃がし孔43が形成された部分と比較して低く形成されている。複数の逃がし孔43は、複数のピン30に対応した位置に配されている。各逃がし孔43の左右方向の幅寸法は、ピン30の左右方向の幅寸法(直径)よりも大きく形成されている。
【0035】
上板部40には、下面の後端縁から下方に突出して左右方向に延びる上側リブ45が設けられている。上側リブ45は、上板部40の全幅に亘って形成されている。
【0036】
上板部40の左右両端縁には、上板部40の前後方向中央よりも後方において、一対の揺動ロック部46が設けられている。各揺動ロック部46は、各揺動ロック部46と上板部40とをつなぐヒンジ47を軸として揺動し得る。ヒンジ47は上板部40の左右両端縁に沿って前後方向に延びるように形成されている。各揺動ロック部46は、外力が加わっていない状態では、正面視において、左右方向外方に延び、下方に折れ曲がった略L字状をなしている。また、各揺動ロック部46は、平面視において前後方向に長い矩形状をなしており、側面視において前後方向に長い矩形状をなしている。以下では、各揺動ロック部46の左右方向外方に延びる部分を基端板部46Aと称し、各揺動ロック部46の下方に折れ曲がった部分を先端板部46Bと称する。基端板部46Aには、基端板部46Aの厚み方向に大きく開口した第2開口部46Cが形成されている。先端板部46Bの先端縁部には、ヒンジ47側の面から先端板部46Bの厚み方向に突出して前後方向に延びる揺動ロック突部46Dが形成されている。揺動ロック部46の前端縁は、逃がし孔43の前端縁よりも前方に位置し、揺動ロック部46の後端縁は、逃がし孔43の後端縁よりも後方に位置する。
【0037】
上板部40には、左右両端面から左右方向外方に突出した一対の第1組付部50が形成されている。一対の第1組付部50は、上板部40の前端部に配されており、弾性ロック片42の前端よりも前方の位置に配されている。
【0038】
上板部40には、左右両端面から左右方向外方に突出した一対の第2組付部51が形成されている。一対の第2組付部51は、上板部40の前後方向中央部に配されている。一対の第2組付部51は、弾性ロック片42の後端よりも後方の位置に配されている。一対の第2組付部51は、揺動ロック部46の前端よりも前方の位置に配されている。
【0039】
上側リブ45の左右両端縁には、一対の第3組付部52が設けられている。一対の第3組付部52は、上板部40の左右両端よりも左右方向外方の位置から下方に延びる基端側腕部52Aと、基端側腕部52Aの下端縁(先端)から前方に延びる先端側腕部52Bと、先端側腕部52Bの前端部(先端部)の上面から上方に突出した突起52Cとを有している。
【0040】
<ハウジング2,3の組み付け>
ロアハウジング2及びアッパハウジング3は、互いに合体することで合体状態となり、さらに合体方向と交差する所定の組み付け方向に相対的に移動することで組み付け状態となる。具体的には以下のとおりである。
【0041】
まず、図17に示すように、ロアハウジング2の上面にフラットケーブル4を載置する。このとき、フラットケーブル4の各端子金具10を各端子収容凹部21に収容させるとともに、ランス23によって後方への抜けを防止する。また、フラットケーブル4の各補強孔13を各ピン30に挿通させる。これにより、シート状部材11が後方へ引っ張られた際、補強孔13がピン30に引っ掛かるので、引張力が端子金具10と導体との接続部分に及ぶことを防止することができ、端子金具10と導体との接続部分が損傷することを防止することができる。ロアハウジング2の上面にフラットケーブル4が載置された状態では、補強板12の後端は、下側リブ31の前端よりも前方の位置に配される。したがって、下側リブ31の上面には、補強板12のない部分(シート状部材11及び導体のみ)が載置される。
【0042】
その後、図18及び図19に示すように、ロアハウジング2に対して、上方からアッパハウジング3を合体させる。このとき、一対の突片部27と一対のロック位置決め部42Dとが前後方向(組み付け方向)に揃うように位置合わせをした状態で合体させる。こうすることで、ロアハウジング2及びアッパハウジング3同士が不要な干渉をして破損等が生じることを防止することができる。ロアハウジング2及びアッパハウジング3を合体状態とする過程では、一対の弾性ロック片42が、突片部27に左右方向外方に押されて弾性変形し、斜め姿勢となる。一対の弾性ロック片42は、突片部27の干渉がなくなると、固定端を軸として揺動しながら弾性復帰する。これにより、弾性ロック片42が突片部27のロック部27Bによって、ロアハウジング2及びアッパハウジング3が互いに離れる方向へ移動することが規制される。このように、ロアハウジング2及びアッパハウジング3が合体して、互いに離れる方向へ移動することが規制された状態を合体状態という。
【0043】
また、ロアハウジング2及びアッパハウジング3を合体状態とする過程では、アッパハウジング3の各逃がし孔43に各ピン30が挿通される。そして、ロアハウジング2及びアッパハウジング3が合体状態となると、各ピン30が各逃がし孔43の上端よりも上方に突出した状態となる。
【0044】
弾性ロック片42は、斜め姿勢から固定端を軸として揺動しながら弾性復帰する。このため、合体状態では、弾性ロック片42の傾斜面42Cと突片部27のロック部27Bとの間に隙間が生じてしまい、ハウジング2,3のがたつきの原因となる。そこで、コネクタ1では、以下のようにして、がたつきを抑えることを可能としている。
【0045】
ロアハウジング2及びアッパハウジング3は、合体状態となった後、合体方向と交差する所定の組み付け方向に相対的に移動することによって組み付け状態となる。ロアハウジング2及びアッパハウジング3は、組み付け状態となる前の状態、すなわち合体状態では以下のような状態となっている。各突片部27は、傾斜面42Cよりも上方であって、傾斜面42Cの前後方向中央よりも前方に配されている。アッパハウジング3は、最前端縁(嵌合部41の前端縁)がロアハウジング2の最前端縁(嵌合孔24Bの後端縁)よりも後方の位置に配されており、最後端縁がロアハウジング2の最後端縁よりも後方の位置に配されている。各弾性ロック片42の前端は、各側壁部25の後端よりも後方に配されている。
【0046】
組付検知リブ33Aは、揺動ロック部46が揺動したときに干渉する位置に配されている。具体的には、組付検知リブ33Aは、後端が揺動ロック部46の前端よりも後方に配されており、前端が揺動ロック部46の前端よりも前方に配されている。このため、揺動ロック部46が揺動すると、揺動ロック部46の基端板部46Aが組付検知リブ33Aと干渉する。
【0047】
第1組付部50の前端は、第1組付ロック部25Aよりも後方に配されている。第2組付部51の前端は、第2組付ロック部28Aよりも後方に配されている。第3組付部52の前端は、第3組付ロック部31Aよりも後方に配されている。各ピン30は、各逃がし孔43の前端部に配されている。
【0048】
アッパハウジング3は、図20及び図21に示すように、ロアハウジング2に対して前方へ移動することによってロアハウジング2に組み付けられる。すなわち、コネクタ1では、ロアハウジング2に対する前方が所定の組み付け方向となっている。アッパハウジング3を、ロアハウジング2に対して前方へ移動させて組み付け状態とする過程では、各突片部27が、傾斜面42Cの上方において傾斜面42Cに対して後方に移動する。具体的には、各突片部27は、傾斜面42Cの前後方向前方の位置から前後方向後方の位置に移動する。傾斜面42Cは、前方に向けて下るように傾斜しているので、各突片部27が傾斜面42Cに対して後方へ移動するに連れて、各突片部27の傾斜面42Cとの離間方向への移動可能範囲が縮まる。これにより、ロアハウジング2とアッパハウジング3との離間方向へのがたつきを抑えることができる。
【0049】
ここで、各突片部27が傾斜面42Cに対して後方へ移動するに連れて、各突片部27の離間方向への移動可能範囲が縮まる構造について図22を用いて詳しく説明する。図22に示すように、傾斜面42Cは、組み付け方向に対して、後方へ向かうに連れて上るように傾斜している。突片部27は、この傾斜面42Cによって下方(合体方向)への移動が規制される。また、ロアハウジング2とアッパハウジング3が合体した状態では、突片部27の上方(離間方向)への移動が組み付け方向と平行な上限ラインで規制される。このため、図22に示すように、突片部27が前方側に配置されている状態では、突片部27の傾斜面42Cとの離間方向への移動可能範囲が相対的に大きくなる。これに対し、突片部27が後方側に配置されている状態では、突片部27の傾斜面42Cとの離間方向への移動可能範囲が相対的に小さくなる。即ち、突片部27の離間方向への移動可能範囲は、突片部27が傾斜面42Cに対して後方へ移動するに連れて縮まるようになっている。
【0050】
また、アッパハウジング3を、ロアハウジング2に対して前方へ移動させて組み付け状態とする過程では、各嵌合部41が各嵌合孔24Bに嵌まり込む。各ピン30が各逃がし孔43内を後方へ移動し、各ピン30の嵌合凹部30Aが各逃がし孔43の孔縁部44に嵌まり込む。ロアハウジング2とアッパハウジング3が組付状態になると、アッパハウジング3の前面が、ロアハウジング2の前壁部24の後面に突き当たる。弾性ロック片42の前端が、側壁部25の後端に突き当たる。第1組付部50が第1組付ロック部25Aに引っ掛かって、組み付け方向と反対方向への移動を規制する。第2組付部51が第2組付ロック部28Aに引っ掛かって、組み付け方向と反対方向への移動を規制する。第3組付部52の突起52Cが第3組付ロック部31Aに引っ掛かって、組み付け方向と反対方向への移動を規制する。孔縁部44がピン30のピン規制部30Bに当接することによって上方への移動が規制される。こうしてロアハウジング2及びアッパハウジング3が組み付け状態となる。
【0051】
組み付け状態では、組付検知リブ33Aの前端が、第2開口部46Cの前端よりも後方に配され、組付検知リブ33Aの後端が、第2開口部46Cの後端よりも前方に配される。したがって、図23及び図24に示すように、各揺動ロック部46を下方に略直角となるように揺動させると、組付検知リブ33Aが第2開口部46C内に収まる。すなわち、組付検知リブ33A(引っ掛け部33)は、ロアハウジング2及びアッパハウジング3が組み付け状態となる位置に配された状態でのみ揺動ロック部46の引っ掛かりを許容するものとなっている。また、揺動ロック部46の揺動ロック突部46Dが、引っ掛け面33Cに弾性的に引っ掛かって、ロアハウジング2及びアッパハウジング3が互いに離間する方向へ移動することが規制される。これにより、ロアハウジング2とアッパハウジング3との離間方向へのがたつきをより一層抑えることができる。
【0052】
組み付け状態では、図25に示すように、上側リブ45と下側リブ31との間隔が、シート状部材11の厚みと同じか、シート状部材11の厚みよりも小さくなっている。より具体的には、上側リブ45の下面の前端隅部と、下側リブ31の上面の後端隅部との間隔が、シート状部材11の厚みと同じか、シート状部材11の厚みよりも小さくなっている。したがって、シート状部材11は、上側リブ45と下側リブ31とによって屈曲させた状態で挟み込むように保持される。すなわち、上側リブ45及び下側リブ31はストレインリリーフ部55を構成している。このストレインリリーフ部55は、ピン30よりも後方に配されており、端子金具10と導体との接続部分よりも後方に配されている。
【0053】
<実施例1の作用及び効果>
以上説明したように、実施例1のコネクタ1は、互いに合体した合体状態となった後、合体方向と交差する組み付け方向に相対移動させることで組み付け状態となるロアハウジング2及びアッパハウジング3を備えている。コネクタ1は、組み付け状態となったロアハウジング2とアッパハウジング3との間において並列するように収容された複数の端子金具10を備えている。ロアハウジング2にはロック部27Bが形成されている。アッパハウジング3にはロック部27Bに引っ掛かる弾性ロック片42が形成されている。弾性ロック片42は、片持ち状をなしており、ロアハウジング2とアッパハウジング3を合体させる過程で斜め姿勢に弾性変形し、合体状態になると揺動しながら弾性復帰してロック部27Bに引っ掛かり、ロアハウジング2とアッパハウジング3が互いに離間する方向へ移動することを規制する。ロアハウジング2には、左右方向外方に突出した突片部27が形成されている。アッパハウジング3には、ロアハウジング2をアッパハウジング3に対して前方へ移動させる過程で、突片部27の離間方向への移動可能範囲を縮める傾斜面42Cが形成されている。
このコネクタ1によれば、弾性ロック片42をロック部27Bに引っ掛けて合体状態とした後、組み付け状態とする過程で、突片部27の離間方向への移動可能範囲が縮められる。これにより、ロアハウジング2とアッパハウジング3との離間方向へのがたつきを抑えることができる。
【0054】
また、傾斜面42Cは弾性ロック片42に形成されており、ロック部27Bは突片部27に形成されている。
これにより、弾性ロック片42と傾斜面42C、あるいは突片部27とロック部27Bを別々に形成した場合と比較して、コネクタ1の構造を簡素化することができる。
【0055】
また、アッパハウジング3には嵌合部41が形成されている。ロアハウジング2には、合体状態となったロアハウジング2及びアッパハウジング3を組み付け状態となるように相対移動させる過程で嵌合部41が嵌まり込む嵌合孔24Bが形成されている
これにより、合体状態となった両ハウジング2,3を組み付け状態にする過程で両ハウジング2,3が嵌合状態となるので、両ハウジング2,3は組み付け状態において組み付け方向と交差する離間方向への移動が規制される。したがって、両ハウジング2,3の離間方向へのがたつきをより確実に抑えることができる。
【0056】
また、弾性ロック片42には、組み付け方向において、ロアハウジング2及びアッパハウジング3を合体可能に位置決めするロック位置決め部42Dが形成されている。
したがって、両ハウジング2,3を合体させるときの組み付け方向の位置決めを簡単に行うことができる。
【0057】
また、ロアハウジング2には、アッパハウジング3側に向けて立設したピン30が形成されている。アッパハウジング3には、ピン30が貫通する逃がし孔43が形成されている。各ピン30には、組み付け状態において、逃がし孔43の内周を構成する孔縁部44の離間方向への移動を規制するピン規制部30Bが形成されている。
したがって、組み付け状態において、孔縁部44の離間方向への移動が規制されるので、両ハウジング2,3の離間方向へのがたつきをより確実に抑えることができる。
【0058】
また、アッパハウジング3には、合体方向と直交する方向における両端にヒンジ47を支点として揺動する揺動ロック部46が形成されている。ロアハウジング2には、ロアハウジング2及びアッパハウジング3が組み付け状態となる位置に配された状態でのみ揺動ロック部46の引っ掛かりを許容する引っ掛け部33が形成されている。
したがって、揺動ロック部46が引っ掛け部33に引っ掛かることにより、両ハウジング2,3の離間方向へのがたつきを抑えることができるだけでなく、両ハウジング2,3が組み付け状態となったことを確認することができる。
【0059】
実施例1のコネクタ1は、上下に組み付けられた下側のロアハウジング2及び上側のアッパハウジング3を備えている。コネクタ1は、組み付けられたロアハウジング2とアッパハウジング3との間において、抜け止めされた状態で並列するように収容された複数の端子金具10を備えている。コネクタ1は、複数の端子金具10に個別に接続される複数の導体と、複数の導体を被覆するシート状部材11と、を有するフラットケーブル4を備えている。コネクタ1は、ロアハウジング2の上面から立設されたピン30を備えている。コネクタ1は、シート状部材11を貫通した形態であり、ピン30が挿通した状態で係止可能な補強孔13が形成されている。
このコネクタ1では、シート状部材11にピン30が貫通しており、シート状部材11が後方へ引っ張られた場合にシート状部材11がピン30に引っ掛かるので、導体と端子金具10との接続部分に及ぶ引張力が抑制される。したがって、導体と端子金具10との接続部分の損傷を抑制することができる。
【0060】
実施例1のコネクタ1は、上下に組み付けられた下側のロアハウジング2及び上側のアッパハウジング3を備えている。コネクタ1は、組み付けられたロアハウジング2とアッパハウジング3との間において、抜け止めされた状態で並列するように収容された複数の端子金具10を備えている。コネクタ1は、複数の端子金具10に個別に接続される複数の導体と、複数の導体を被覆するシート状部材11と、シート状部材11よりも強度が高くシート状部材11における端子金具10側の端部に一体化された補強板12と、を有するフラットケーブル4を備えている。コネクタ1は、ロアハウジング2の上面から立設されたピン30を備えている。コネクタ1は、補強板12を貫通した形態であり、ピン30が挿通した状態で係止可能な補強孔13が形成されている。
このコネクタ1では、補強板12にピン30が貫通しており、シート状部材11が後方へ引っ張られた場合に補強板12がピン30に引っ掛かるので、シート状部材11に作用する引張力が導体と端子金具10との接続部分に及ぶことはない。したがって、導体と端子金具10との接続部分の損傷を防止することができる。
【0061】
また、ロアハウジング2及びアッパハウジング3は、シート状部材11を屈曲させた状態で挟み込むように保持するストレインリリーフ部55を有している。
これにより、シート状部材11が後方へ引っ張られた場合に、ストレインリリーフ部55によって導体と端子金具10との接続部分に引張力が作用することを抑えることができる。したがって、導体と端子金具10との接続部分の損傷をより確実に防止することができる。
【0062】
また、アッパハウジング3には、ピン30が貫通する逃がし孔43が形成されている。ピン30には、逃がし孔43の内周を構成する孔縁部44の上方への移動を規制するピン規制部30Bが形成されている。
これにより、孔縁部44がピン規制部30Bによって上方への移動が規制されるので、アッパハウジング3の上方への移動が規制される。したがって、ロアハウジング2とアッパハウジング3とが互いに離間することが防止されるので、ストレインリリーフ部55がシート状部材11を抑える力を向上させることができる。
【0063】
また、アッパハウジング3は、孔縁部44とピン規制部30Bとの掛かり代が大きくなる方向に移動させることでロアハウジング2に組み付けられる。
これにより、アッパハウジング3をロアハウジング2に組み付けた状態において、孔縁部44とピン規制部30Bとの掛かり代が大きくなるので、アッパハウジング3の上方への移動がより強固に規制される。したがって、ストレインリリーフ部55がシート状部材11を抑える力をより一層向上させることができる。
【0064】
また、アッパハウジング3には、前後方向の両端又は左右方向の両端にヒンジ47を支点として揺動する揺動ロック部46が形成されている。ロアハウジング2には、揺動ロック部46が引っ掛かることで、ロアハウジング2及びアッパハウジング3が互いに離間する方向へ移動することを規制する引っ掛け部33が形成されている。
これにより、揺動ロック部46が引っ掛け部33に引っ掛かることによって、ロアハウジング2及びアッパハウジング3が互いに離間する方向へ移動することを規制することができる。したがって、ストレインリリーフ部55がシート状部材11を抑える力をより一層向上させることができる。
【0065】
ロアハウジング2には、前後方向に延びる補強リブ32が形成されている。
これにより、ロアハウジング2は反りにくくなるので、両ハウジング2,3が互いに離間することが防止される。したがって、ストレインリリーフ部55がシート状部材11を抑える力をより一層向上させることができる。
【0066】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例1では、突片部にロック部が形成され、弾性ロック片に傾斜面が形成されるようにしたが、ロアハウジングにおける突片部以外の部分にロック部を形成してもよいし、アッパハウジングにおいて弾性ロック片とは別に突片規制部を設け、この突片規制部に傾斜面を形成してもよい。
(2)上記実施例1では、ロアハウジングに突片部を設けて、アッパハウジングに弾性ロック片を設けるようにした。しかし、ロアハウジングに弾性ロック片を設けて、アッパハウジングに突片部を設けるようにしてもよい。
(3)上記実施例1では、補強孔をシート状部材及び補強板の両方に形成するようにした。しかし、補強孔は少なくとも補強板に形成されていればよく、シート状部材には形成されていなくともよい。
(4)上記実施例1では、補強板をシート状部材の下側に貼り付けることによって一体化させるようにしたが、別の構成で一体化させてもよい。例えば、補強板をシート状部材と面方向に連結させることで一体化させてもよい。
(5)上記実施例1では、補強リブを第1ハウジングに形成するようにしたが、第2ハウジングに形成するようにしてもよいし、両ハウジングに形成するようにしてもよい。また、補強リブを形成する位置は、ハウジングの下面であってもよいし、上面であってもよいし、上下両面であってもよい。また、上記実施例1では、補強リブがピンの真下を通過するように配置したが、ピンの真下を通過しなくてもよい。
(6)上記実施例1では、フラットケーブルが補強板を備えるようにしたが、フラットケーブルは補強板を備えない構成としてもよい。この場合、補強孔は、シート状部材に形成される。
【符号の説明】
【0067】
1…コネクタ
2…ロアハウジング(本発明の第1ハウジングに相当)
3…アッパハウジング(本発明の第2ハウジングに相当)
4…フラットケーブル
10…端子金具
11…シート状部材
12…補強板
13…補強孔
24B…嵌合孔
27…突片部
27B…ロック部
30…ピン
30A…嵌合凹部
30B…ピン規制部
33…引っ掛け部
33A…組付検知リブ
33C…引っ掛け面
41…嵌合部
42…弾性ロック片
42C…傾斜面
42D…ロック位置決め部
43…逃がし孔
44…孔縁部
46…揺動ロック部
47…ヒンジ
55…ストレインリリーフ部
60…突片規制部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
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図19
図20
図21
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