IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コクヨ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ブース 図1
  • 特許-ブース 図2
  • 特許-ブース 図3
  • 特許-ブース 図4
  • 特許-ブース 図5
  • 特許-ブース 図6
  • 特許-ブース 図7
  • 特許-ブース 図8
  • 特許-ブース 図9
  • 特許-ブース 図10
  • 特許-ブース 図11
  • 特許-ブース 図12
  • 特許-ブース 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】ブース
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/12 20060101AFI20220119BHJP
【FI】
E04H1/12 302Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021003300
(22)【出願日】2021-01-13
(62)【分割の表示】P 2017032026の分割
【原出願日】2017-02-23
(65)【公開番号】P2021059974
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2021-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 聡
(72)【発明者】
【氏名】福岡 真美
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-135722(JP,A)
【文献】特開2002-129765(JP,A)
【文献】特開平09-310515(JP,A)
【文献】特開昭61-137971(JP,A)
【文献】特開2003-314069(JP,A)
【文献】特開2004-150255(JP,A)
【文献】特開2003-328482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/00 - 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に使用者を収容可能なブース空間を有するブースであって、
単一の使用者が使用し得る前記ブース空間を形成したものであり、
前記ブース空間の前面側を覆う前壁と、この前壁と略平行をなし上端部から下端部の略全域に亘って床面に対して略直交するように起立し前記ブース空間の背面側を覆う背壁と、前記ブース空間の右側面側を覆う第一の側壁と、前記ブース空間の左側面側を覆う第二の側壁とを具備してなり、前記前壁、前記背壁、及び、前記第一、第二の側壁は、前記ブース空間と外部空間とを区画する区画面材を主体に構成されたものであり、
前記ブース空間が、平面視において略正方形状をなしており、
前記第一の側壁の区画面材が、前部領域に固設された固定面材部と、後部領域に開閉動作可能に配された可動面材部たる扉とを備えたものであり、
前記前壁の内面における上下方向中間位置に天板が設けられており、当該天板の先端縁の全体が側面視において前記固定面材部よりも後に位置し、且つ、前記前壁と略平行をなしたものであり、
前記天板が、前記ブース空間における幅方向のすべてに亘って設けられたものであり、
前記扉の前後寸法が、前記固定面材部の前後寸法よりも長く設定されたものであり、
前記天板の前後寸法が、前記固定面材部の前後寸法よりも長く設定されたものであるブース。
【請求項2】
前記ブース空間における上面側の一部を開放しつつ前記ブース空間の上面を覆う天壁を備えたものであり、この天壁の内面に照明装置が設けられている請求項1記載のブース。
【請求項3】
前記照明装置が、前記天板の上方に配置されている請求項記載のブース。
【請求項4】
前記ブース空間の上面を覆う天壁を備えたものであり、この天壁がすだれ状または網状の部材を適用したものである請求項1、2又は3記載のブース。
【請求項5】
前記可動面材部に用いられたパネルは、使用者の足元に対応する下部分が透明であり、使用者の足元よりも上の部分に対応する上部分が不透明又は擦りガラス状に構成されている請求項1、2、3又は4記載のブース。
【請求項6】
内部に使用者を収容可能なブース空間を有するブースであって、
単一の使用者が使用し得る前記ブース空間を形成したものであり、
前記ブース空間の前面側を覆う前壁と、この前壁と略平行をなし上端部から下端部の略全域に亘って床面に対して略直交するように起立し前記ブース空間の背面側を覆う背壁と、前記ブース空間の右側面側を覆う第一の側壁と、前記ブース空間の左側面側を覆う第二の側壁とを具備してなり、前記前壁、前記背壁、及び、前記第一、第二の側壁は、前記ブース空間と外部空間とを区画する区画面材を主体に構成されたものであり、
前記ブース空間が、平面視において略正方形状をなしており、
前記第一の側壁の区画面材が、前部領域に固設された固定面材部と、後部領域に蝶番を介して回転することにより開閉動作可能に配された可動面材部たる扉とを備えたものであり、
前記前壁の内面に天板が設けられており、この天板が、前記ブース空間における幅方向のすべてに亘って設けられたものであり、
前記ブース空間における上面側の一部を開放しつつ前記ブース空間の上面を覆う天壁を備えたものであり、この天壁の内面に照明装置が設けられており、
前記扉の前後寸法が、前記固定面材部の前後寸法よりも長く設定されたものであり、
前記天板の前後寸法が、前記固定面材部の前後寸法よりも長く設定されたものであるブース。
【請求項7】
前記照明装置が、前記天板の上方に配置されている請求項記載のブース。
【請求項8】
前記天壁がすだれ状または網状の部材を適用したものである請求項6又は7記載のブース。
【請求項9】
前記に用いられたパネルは、使用者の足元に対応する下部分が透明であり、使用者の足元よりも上の部分に対応する上部分が不透明又は擦りガラス状に構成されている請求項6、7又は8記載のブース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公共的なスペースやオフィス等に好適に配設されるブースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、オフィス内に好適に配設され得るブースが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
また、オフィス内に限られず公共的なスペースにおいても使用し得るように、ブース空間を形成したブースも存在する。この種のブースは、壁体により囲まれたブース空間を有しているものであり、使用者は、オフィス内や公共的な場所であっても外部を気にすることなく、パソコンやスマートフォン等を使用した比較的短時間の執務を行うことができるものとなっている。
【0004】
ところで、ブースは、外部から一定程度遮断されたブース空間内において、使用者が執務を無理なく快適に遂行できることが望ましい。
【0005】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-180937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上のような事情に着目してなされたもので、少なくとも、外部から一定程度遮断されたブース空間内において、使用者が執務を無理なく快適に遂行できるブースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は次の構成をなしている。
【0009】
請求項1に記載の発明は、内部に使用者を収容可能なブース空間を有するブースであって、単一の使用者が使用し得る前記ブース空間を形成したものであり、前記ブース空間の前面側を覆う前壁と、この前壁と略平行をなし上端部から下端部の略全域に亘って床面に対して略直交するように起立し前記ブース空間の背面側を覆う背壁と、前記ブース空間の右側面側を覆う第一の側壁と、前記ブース空間の左側面側を覆う第二の側壁とを具備してなり、前記前壁、前記背壁、及び、前記第一、第二の側壁は、前記ブース空間と外部空間とを区画する区画面材を主体に構成されたものであり、前記ブース空間が、平面視において略正方形状をなしており、前記第一の側壁の区画面材が、前部領域に固設された固定面材部と、後部領域に開閉動作可能に配された可動面材部たる扉とを備えたものであり、前記前壁の内面における上下方向中間位置に天板が設けられており、当該天板の先端縁の全体が側面視において前記固定面材部よりも後に位置し、且つ、前記前壁と略平行をなしたものであり、前記天板が、前記ブース空間における幅方向のすべてに亘って設けられたものであり、前記扉の前後寸法が、前記固定面材部の前後寸法よりも長く設定されたものであり、前記天板の前後寸法が、前記固定面材部の前後寸法よりも長く設定されたものであるブースである。
【0011】
請求項に記載の発明は、前記ブース空間における上面側の一部を開放しつつ前記ブース空間の上面を覆う天壁を備えたものであり、この天壁の内面に照明装置が設けられている請求項1記載のブースである。
【0012】
請求項に記載の発明は、前記照明装置が、前記天板の上方に配置されている請求項記載のブースである。
【0013】
請求項に記載の発明は、前記ブース空間の上面を覆う天壁を備えたものであり、この天壁がすだれ状または網状の部材を適用したものである請求項1、2又は3記載のブースである。
【0014】
請求項に記載の発明は、前記可動面材部に用いられたパネルは、使用者の足元に対応する下部分が透明であり、使用者の足元よりも上の部分に対応する上部分が不透明又は擦りガラス状に構成されている請求項1、2、3又は4記載のブースである。
【0015】
請求項に記載の発明は、内部に使用者を収容可能なブース空間を有するブースであって、単一の使用者が使用し得る前記ブース空間を形成したものであり、前記ブース空間の前面側を覆う前壁と、この前壁と略平行をなし上端部から下端部の略全域に亘って床面に対して略直交するように起立し前記ブース空間の背面側を覆う背壁と、前記ブース空間の右側面側を覆う第一の側壁と、前記ブース空間の左側面側を覆う第二の側壁とを具備してなり、前記前壁、前記背壁、及び、前記第一、第二の側壁は、前記ブース空間と外部空間とを区画する区画面材を主体に構成されたものであり、前記ブース空間が、平面視において略正方形状をなしており、前記第一の側壁の区画面材が、前部領域に固設された固定面材部と、後部領域に蝶番を介して回転することにより開閉動作可能に配された可動面材部たる扉とを備えたものであり、前記前壁の内面に天板が設けられており、この天板が、前記ブース空間における幅方向のすべてに亘って設けられたものであり、前記ブース空間における上面側の一部を開放しつつ前記ブース空間の上面を覆う天壁を備えたものであり、この天壁の内面に照明装置が設けられており、前記扉の前後寸法が、前記固定面材部の前後寸法よりも長く設定されたものであり、前記天板の前後寸法が、前記固定面材部の前後寸法よりも長く設定されたものであるブースである。
【0016】
請求項に記載の発明は、前記照明装置が、前記天板の上方に配置されている請求項記載のブースである。
【0017】
請求項に記載の発明は、前記天壁がすだれ状または網状の部材を適用したものである請求項6又は7記載のブースである。
請求項に記載の発明は、前記に用いられたパネルは、使用者の足元に対応する下部分が透明であり、使用者の足元よりも上の部分に対応する上部分が不透明又は擦りガラス状に構成されている請求項6、7又は8記載のブースである。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明によれば、少なくとも、外部から一定程度遮断されたブース空間内において、使用者が執務を無理なく快適に遂行できるブースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態を示す斜視図。
図2】同実施形態における右側面図。
図3】同実施形態における背面図。
図4】同実施形態における斜視図。
図5図3におけるX-X線概略断面図。
図6図2におけるY-Y線概略断面図。
図7】同実施形態における斜視図。
図8図5におけるA部分拡大図。
図9図5におけるB部分拡大図。
図10図5におけるC部分拡大図。
図11図5におけるD部分拡大図。
図12図5におけるE部分拡大図。
図13図5におけるF部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を、図1~15を参照して説明する。なお、図7は主としてブースGを構成するフレームHを説明するための概略的な斜視図である。
【0021】
この実施形態は、本発明を、オフィスや公共的なスペースに設置されるブースGに適用したものである。
【0022】
ブースGは、壁体である前壁1と背壁2との間にブース空間spを形成したものである。この実施形態では、ブースGは、図1~7に示すように、外部空間から一定程度遮断されたブース空間spを形成したものである。ブース空間spは、壁体である前壁1、背壁2、第一、第二の側壁3、4、底壁5、及び、天壁6により囲まれている。ブースGを使用する使用者は、例えば、当該ブースGが設置されるオフィス内における所定の場所や公共的な場所であっても外部への音等の情報流出や外部からの騒音を気にすることなく、パソコンや、スマートフォンや固定電話等を使用した比較的短時間の執務をスピーディーに行うことができるものとなっている。
【0023】
ブースGは、内部に起立姿勢の使用者を収容可能なブース空間spを有している。ブースGは、ブース空間spの前面側を覆う前壁1と、ブース空間spの背面側を覆う背壁2と、ブース空間spの一側面(右側面)側を覆う扉たる可動面材部i2を備えた第一の側壁3と、ブース空間spの他側面(左側面)側を覆う第二の側壁4と、ブース空間spの下面を覆う底壁5と、ブース空間spの上面を覆う天壁6とを具備している。なお、前壁1の内面における上下方向中間位置には、天板Kが設けられている。背壁2の内面における上下方向中間位置には、脚を有しない臀部当てJが背壁2から突出した態様で設けられている。
【0024】
ブースGは、保形性を確保するためのフレームHと、フレームH間に配設されブース空間spと外部空間とを区画する区画面材Iとを備えている。前壁1、背壁2、第一、第二の側壁3、4、底壁5、及び、天壁6は、区画面材Iを主体に構成されている。
【0025】
フレームHは、図5~7に示すように、例えば、角パイプ素材を用いて作られたものである。フレームHは、第一、第二の側壁3、4の外縁に対応する環状に形成された右・左の側フレーム部h1を備えている。(なお、右の側フレームh1は、ブースGを正面側から見た場合における右に位置するものであり、左の側フレームh1は、ブースGを正面側から見た場合における左に位置するものである。)右・左の側フレーム部h1は、前後に延びる底壁対応部分h11と、底壁対応部分h11の前端から上方に延びる前壁対応部分h12と、底壁対応部分h11の後端から上方に延びる背壁対応部分h13と、背壁対応部分h13と前壁対応部分h12との上端部間を連結する天壁対応部分h14と、天壁対応部分h14の前部と底壁対応部分h11の前部との間を繋ぐ中間縦枠部分h15とを備えている。
【0026】
フレームHは、右・左の側フレーム部h1における前壁対応部分h12間に架設された最上段、上段、中段、下段の前面側架設フレーム部h2a、h2b、h2c、h2dと、右・左の側フレーム部h1における背壁対応部分h13間に架設された最上段、上段、中段、下段、最下段の背面側架設フレーム部h3a、h3b、h3c、h3d、h3eと、右・左の側フレーム部h1における底壁対応部分h11間に架設された前・後の底面側架設フレーム部h4a、h4bと、右・左の側フレーム部h1の天壁対応部分h14間に架設された上面側架設フレーム部h5と、右・左の側フレーム部h1における中間縦枠部分h15間に架設された中間架設フレーム部h6とを備えている。背壁対応部分h13は、臀部当てJの高さ位置に相応した上下方向中央部が最も後方に位置した側面視略くの字状に形成されている。底壁対応部分h11には、取付板部h7が設けられている。そして、取付板部h7に貫通させた図示しないアンカーボルト等を利用して、ブースGを床上に適切に固定することができるようになっている。
【0027】
区画面材Iは、図1図6、及び、図8~13に示すように、右の側フレーム部h1の前部領域の外面に固設された固定面材部i1と、右の側フレーム部h1の後部領域の外面に配された扉である可動面材部i2と、左の側フレーム部h1の内側に配設された側面材部i3と、側フレーム部h1の前壁対応部分h12間に配設された前面材部i4と、側フレーム部h1の背壁対応部分h13間に配設された上、下の背面材部i5、i6と、側フレーム部h1の底壁対応部分h11間に配設された底面材部i7と、側フレーム部h1の天壁対応部分h14間に配設された天面材部i8とを備えてなる。
【0028】
固定面材部i1は、図1~4、及び、図6に示すように、例えば、図示しない枠材にパネルを取り付けてなるものである。固定面材部i1は、右の側フレーム部h1における前部に適宜の方法により固設されている。なお、固定面材部i1の外面には、ICタグ読み取り機i11が設けられている。ICタグ読み取り機i11の使用態様としては、例えば、登録された使用者情報を有するICカードを当該ICタグ読み取り機i11に接近させることにより可動面材部i2たる扉を開錠したり施錠したりすることが挙げられる。
【0029】
可動面材部i2は、開閉動作可能な扉を構成するものである。可動面材部i2は、図1~4、及び、図6に示すように、例えば、枠材i21の内側にガラスや合成樹脂製のパネルi22をはめ込んでなる。この実施形態では、可動面材部i2に用いられたパネルi22は、使用者の足元に対応する下部分が透明であり、使用者の足元よりも上の部分に対応する上部分が不透明又は擦りガラス状に構成されている。可動面材部i2の基端部は、蝶番i23を介して固定面材部i1に支持されている。可動面材部i2の先端部には、使用者が開閉に操作に使用する取手i24が取り付けられている。
【0030】
側面材部i3は、図1図4図5、及び、図6に示すように、例えば、板金製の外側パネルi31と内側パネルi32とを主体に構成されたものである。外側パネルi31は、左の側フレーム部h1に取り付けられている。内側パネルは、中間縦枠部分h15を挟むようにして、外側パネルi31にネジvを用いて取り付けられている。なお、ブース空間spに面する内側パネルi32には、必要に応じて、吸音機能を有した内張り材(図示せず)が取り付けられる。
【0031】
前面材部i4は、図1図4~6、及び、図11~13に示すように、例えば、板金製の外側パネルi41と内側パネルi42とを主体に構成されている。外側パネルi41は、最上段の前面側架設フレーム部h2a、及び、下段の前面側架設フレーム部h2dに取り付けられている。内側パネルi42は、上段、中段の前面側架設フレーム部h2b、h2cを挟むようにして外側パネルi41の内面側に設けられている。内側パネルi42は、ネジvを用いて外側パネルi41に止着されている。なお、ブース空間spに面する内側パネルi42の内面には、必要に応じて、吸音機能を有した内張り材(図示せず)が取り付けられる。
【0032】
上の背面材部i5は、図1図3~6、及び、図8~10に示すように、例えば、板金製の外側パネルi51と内側パネルi52とを主体に構成されている。外側パネルi51は、最上段の背面側架設フレーム部h3a、及び、最下段の背面側架設フレーム部h3eに取り付けられている。内側パネルi52は、上段、中段、下段の背面側架設フレーム部h3b、h3c、h3dを挟むようにして外側パネルi51の内面側に設けられている。内側パネルi52は、ネジvを用いて外側パネルi51に止着されている。なお、ブース空間spに面する内側パネルi52の内面には、必要に応じて、吸音機能を有した内張り材(図示せず)が取り付けられる。
【0033】
下の背面材部i6は、図1図3~5、及び、図10に示すように、例えば、板金製の外側パネルi61と使用者の荷重に耐え得る厚み寸法を有した合成樹脂製の内側パネルi62とを主体に構成されている。外側パネルi61は、最下段の背面側架設フレーム部h3e、及び、後の底面側架設フレーム部h4bに取り付けられている。内側パネルi62は、上端を最下段の背面側架設フレーム部h3eの下面に当接させた状態で外側パネルi61の内側に対面配置させたものである。内側パネルi62の下端部は、後述する底面材部i7の内側パネルに一体に連続させてある。
【0034】
底面材部i7は、図4~6に示すように、例えば、板金製の外側パネルi71と、使用者の荷重に耐え得る厚み寸法を有した合成樹脂製の内側パネルi72を主体に構成されている。外側パネルi71は、下段の前面側架設フレーム部h2d、及び、前の底面側架設フレーム部h4aに取り付けられている。内側パネルi72は、前端を下段の前面側架設フレーム部h2dの下面に当接させた状態でブース空間spの下面に位置させたものである。内側パネルi72の後端部は、下の背面材部i6の内側パネルi62に一体に連続させてある。
【0035】
天面材部i8は、図1図4図5、及び、図11に示すように、例えば、板金製の外側パネルi81と内側パネルi82とを主体に構成されている。外側パネルi81は、上面側架設フレーム部h5、及び、最上段の前面側架設フレーム部h2aに取り付けられている。内側パネルi82は、外側パネルi81の内面側に設けられている。内側パネルi82は、ネジvを用いて外側パネルi81に止着されている。なお、ブース空間spに面する内側パネルi82の内面には、必要に応じて、吸音機能を有した内張り材(図示せず)が取り付けられる。
【0036】
区画面材Iの構成は以上に述べた通りである。ブースGの前壁1は、区画面材Iにおける前面材部i4を主体に構成されている。ブースGの背壁2は、区画面材Iにおける上の背面材部i5、及び、下の背面材部i6を主体に構成されている。ブースGの第一の側壁3は、固定面材部i1、及び、可動面材部i2を主体に構成されている。ブースGの第二の側壁4は、側面材部i3を主体に構成されている。ブースGの天壁6は、天面材部i8を主体に構成されている。ブースGの底壁5は、底面材部i7を主体に構成されている。
【0037】
背壁2は、臀部当てJよりも下方に位置する部位が下方に向かって漸次前側に変位するように傾斜した態様をなしている。換言すれば、背壁2は、側面視において、上部である臀部当てJよりも上方に位置する部位が床面に対して略垂直に延びているとともに下部である臀部当てJよりも下方に位置する部位が後傾した態様をなしている。
【0038】
次に、臀部当てJについて説明する。
【0039】
臀部当てJは、図3図5~7、及び、図9に示すように、使用者の臀部が背壁2側に凭れた際に、これを後方及び斜め下方から支持し得るものである。臀部当てJは、クッション材を主体に構成されたものである。臀部当てJは、背壁2の内面における上下方向中間位置に設けられている。臀部当てJは、正面視又は背面視において略横長矩形状をなしたものであり、底壁5との間に介在する脚を有しないものとなっている。臀部当てJは、背壁2における左右方向寸法よりも短く設定されており、且つ、背壁2における左右方向中央に配されている。臀部当てJにおける前後方向の厚み寸法は、下部j1が上部j2と比べて大きくなるように設定されている。換言すれば、臀部当てJにおける上部j2の前後厚み寸法が、当該臀部当てJにおける下部j1の前後厚み寸法よりも小さく設定されている。
【0040】
より具体的に言えば、臀部当てJは、一般的な使用者における臀部の幅寸法に対応させた幅寸法に設定されている。臀部当てJは、下部j1が使用者の臀部を斜め下方から受け得るように前方に膨出した形状をなしており、上部j2が臀部を後方から受け得る形状をなしている。
【0041】
臀部当てJは、図9に示すように、その上部j2の後端部が中段の背面側架設フレーム部h3cにネジvを用いて止着されており、下部j1の後端部が下段の背面側架設フレーム部h3dにネジvを用いて止着されている。
【0042】
続いて、天板Kについて説明する。
【0043】
天板Kは、前壁1の内面における上下方向中間位置に設けられたものである。天板Kは、パーソナルコンピュータや使用者の身の回り品等を載置して使用し得る程度の面積を有したものである。天板Kは、その基端部が中段の前面側架設フレーム部h2cにネジvを用いて止着されている。また、天板Kは、その先端部下面が中間架設フレーム部h6にネジvを用いて止着されている。
【0044】
なお、前壁1の内面における天板Kよりも上の位置には、タッチパネル式のディスプレイ装置Lが配設されている。ディスプレイ装置Lは、例えば、使用者を撮影し得るカメラが内蔵されたものであり、テレビ会議等の執務を行うことができるものとなっている。
【0045】
また、天壁6の内面には、照明装置Mが配設されている。
【0046】
ブースGは、使用者が取手i24をけん引して扉である可動面材部i2を開くことにより、ブース空間spが外部に開放されるものとなる。そして、使用者は、外部からブース空間sp内に入ることができるものとなる。ブース空間sp内に入った使用者は、臀部当てJに凭れることなく単に起立した状態で、天板K等を用いて作業することも可能である。また、使用者は、天板Kを使用するような執務を行う場合には、臀部当てJに凭れて使用者の臀部を支持させた半起立姿勢で作業することができる。臀部当てJが、側面視において、底壁5の後端部よりも後に位置するように設定されているので、臀部当てJが背壁2の奥まった箇所に位置し、使用者が臀部当てJに凭れずに単に起立した状態で作業する場合でも、臀部当てJが使用者の邪魔になりにくいものとなっている。
【0047】
以上説明したように、本実施形態に係るブースGは、内部に起立姿勢の使用者を収容可能なブース空間spを有するものである。そして、ブースGは、ブース空間spの前面側を覆う前壁1と、ブース空間spの背面側を覆う背壁2と、ブース空間spの一側面である左側の側面を覆う扉たる可動面材部i2を備えた第一の側壁3と、ブース空間spの他側面である右側の側面を覆う第二の側壁4と、ブース空間spの底面側を覆う底壁5と、ブース空間spの上面側を覆う天壁6とを備えている。前壁1の内面における上下方向中間位置に天板Kが設けられているとともに背壁2の内面における上下方向中間位置に脚を有しない臀部当てJが設けられている。このため、少なくとも、ブース空間spに対して使用者が出入りし易い構成をとるための設計の自由度に優れたブースGを提供することができる。つまり、背壁2の内面に脚を有しない臀部当てJを設けているため、従来のような脚に支持された座を有した構成のものと比較して、使用者が出入りし易い構成を好適に採り得るものとなっている。
【0048】
しかも、使用者は、臀部を臀部当てJに凭れさせた状態で執務を行うものとなるため、ブースG内に長時間滞在することが好適に抑制され得るものとなる。つまり、本実施形態におけるブースGであれば、外部から一定程度遮断されたブース空間sp内において、使用者がパソコンやスマートフォンを使用して比較的短時間の執務を無理なく快適に遂行できるとともに無用に長時間滞在することが好適に抑制され得るものとなっている。換言すれば、このブースGであれば、使用者のスピーディーな使用を促し、回転率を適正な値に調整し得るものとなっている。
【0049】
背壁2における臀部当てJよりも下方に位置する部位が、下方に向かって漸次前側に変位するように傾斜したものである。このため、使用者は、背壁2の形状に示唆されてブースGの前後を無理なく把握し得るものとなるため、ブース空間spに入る際に好適な体勢を採り得るものとなっている。
【0050】
ブース空間spの底面側を覆うとともに着座者が上面に起立し得る底壁5を備えたものであり、背壁2における臀部当てJが取り付けられている位置よりも下方に位置する部位が、下方に向かって漸次前側に変位するように傾斜するとともに、その下端部が底壁5の後端部に接続している。そして、臀部当てJが、側面視において、底壁5の後端部よりも後に位置するように設定されている。このため、臀部当てJが背壁2の奥まった位置に設けられたものとなるため、使用者が起立した状態で作業する際に、臀部当てJが使用者の邪魔になりにくいものとなっている。
【0051】
ブースGは、保形性を確保するためのフレームHと、フレームH間に配設されブース空間spと外部空間とを区画する区画面材Iとを備えている。そして、前壁1、背壁2、第一、第二の側壁3、4、底壁5、天壁6が、区画面材Iを主体に構成されている。このため、区画面材IをフレームHに対して付け替えることにより、設置場所等に対応した仕様変更に柔軟に対応し得るものとなっている。
【0052】
臀部当てJが、背壁2における左右方向寸法よりも短く設定されているとともに背壁2における左右方向中央に配されている。このため、臀部当てJが、ブース空間spにおける広範な領域を占有し難いものとなるため、ブース空間sp内の自由な領域を広範に形成しやすいものとなっている。
【0053】
臀部当てJにおける上部j2の前後厚み寸法が、当該臀部当てJにおける下部j1の前後厚み寸法よりも小さく設定されている。このため、使用者の臀部が好適に支持され得る形態をなしたものとなっている。
【0054】
区画面材Iの内面に、吸音機能を有した図示しない内張り材が設けられているため、ブース空間sp内において発生した音が外部に認識されにくいものとなっている。
【0055】
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
【0056】
ブースは、パソコンやスマートフォンを利用した執務に限られるものではなく、単に、電話ボックス的な使用に供されるものであってもよいのはもちろんのことである。
【0057】
上述したブースは、フレームと区画面材とによって構成されたものを示したが、このようなものに限定されるものではない。例えば、ブースを、フレーム機能及び区画面材機能を兼ねたシェル状の部材を主体にして構成したものであってもよい。しかしながら、上述した実施形態に示すものであれば、フレームに対して、種々の区画面材を適用することができるため、電気系装置の取り付けやデザイン変更等の仕様変更に柔軟に対応しやすいものとなっている。
【0058】
上述した実施形態では、ブース空間における上面側の一部のみが、天壁に覆われた態様を示したが、このようなものに限定されるものではない。天壁は、ブース空間における上面側の全部を覆ってもよい。例えば、オフィス内においてブースを設置する場合に設置条件上に問題がなければ、ブース空間における防音性能を上げるべく、当該ブースの天壁はブース空間における上部側の全部を覆うことが考えられる。一方で、ブースは、天壁を設けない態様であってもよい。ブースは、設置される場所によって、天壁の有無を選択的に設定し得るものとしてもよい。例えば、天壁をフレームに対して着脱容易な構成としてお
き、天壁を設ける態様と天壁を設けない(天壁を一部残すことを含む)態様とを選択的に採り得るものとしてもよい。しかしながら、上述した実施形態に示すような、ブース空間における上面側の一部のみが開放された態様のものであれば、外部との遮断が一定程度達成できるとともに使用者に対する閉塞感を緩和し得るものとなり好適である。
【0059】
上述した実施形態では、取付板部を右・左の側フレーム部における底壁対応部分に取り付けてなるものを説明したが、このようなものに限定されるものではない。例えば、右・左の側フレーム部における底壁対応部分に、或いは、右・左の側フレーム部における底壁対応部分間に架設した底面側架設フレーム部に、前後方向に延びてなる複数の取付板部を設けるようにしてもよい。このとき、ブースの安定を期するべく、取付板部の後端が、側面視において背壁の後端部と略同じ位置又はそれよりも後側に位置するように設定しておくことが好ましい。このようなものであれば、床上にアンカーボルト等を用いて固定しなくても、ブースが転倒することを抑制することができるものとなる。
【0060】
上述した実施形態では、背壁の下部が下に向かって漸次前方に変位する形態をなしていたが、このようなものに限られるものではない。つまり、背壁は、上端部から下端部の略全域に亘って床面に対して略直交するように起立したものであってもよい。
【0061】
フレームや、フレームに対する区画面材の配設態様は、種々のものを適用できるのはもちろんのことである。例えば、前壁及び第一、第二の側壁の前半部分を主体に構成された前半構造体と、背壁及び第一、第二の側壁の後半部分を主体に構成された後半構造体とを構造的に分割したものとしてもよい。このようなものであれば、設置個所において、前半構造体と後半構造体とを組み立てることができ、設置作業の便宜に資するものとなる。
【0063】
扉は種々の形態のものを適用することができ、上述した実施形態に示すものに限定されるものではない。例えば、扉は、完全に不透明なものであってもよいし、内部からのみ外部を見ることができるミラーガラス的なものであってもよい。扉は、完全な透明の部材を主体に構成されたものであってもよい。扉は、液晶パネル等を用いて電気的に透明度を変化させるようにしたものであってもよい。
【0064】
前壁、背壁、側壁、天壁、天壁は、適宜、網状の部材やすだれ状の部材等を適用したものであってもよい。
【0065】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0066】
G…ブース
sp…ブース空間
1…前壁
2…背壁
3…第一の側壁(側壁)
J…臀部当て
K…天板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13