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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/00 20060101AFI20220119BHJP
   H01L 25/065 20060101ALI20220119BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20220119BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
H01L23/00 C
H01L25/08 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2017203848
(22)【出願日】2017-10-20
(65)【公開番号】P2019079862
(43)【公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-09-17
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「IoT推進のための横断技術開発プロジェクト」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】518082091
【氏名又は名称】電子商取引安全技術研究組合
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(72)【発明者】
【氏名】永田 真
(72)【発明者】
【氏名】三浦 典之
(72)【発明者】
【氏名】三木 拓司
【審査官】多賀 和宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-179806(JP,A)
【文献】特表2014-513492(JP,A)
【文献】特開2003-318325(JP,A)
【文献】特開2014-216645(JP,A)
【文献】国際公開第2011/030467(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/00
H01L 25/00-25/18
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の回路基板を含み、互いに積み重ねられた複数の回路基板を備える半導体装置であって、
前記各回路基板は、互いに平行な第1及び第2の面を有し、
前記第1の回路基板は、当該第1の回路基板の第1及び第2の面に対して平行に形成された第1のシールド導体を備え、
前記第2の回路基板は、当該第2の回路基板の第1及び第2の面に対して平行に形成された第2のシールド導体を備え、
前記複数の回路基板のうちの少なくとも1つは、前記第1及び第2のシールド導体の間に位置するように形成された少なくとも1つの電子回路を備え、
前記半導体装置は、前記第1及び第2のシールド導体を互いに電気的に接続するように、かつ、互いに所定間隔を有して前記電子回路を包囲するように、前記複数の回路基板に形成された複数のビア導体を備え、
前記第1のシールド導体は、互いに電気的に接続されていない第3及び第4のシールド導体を含み、
前記第2のシールド導体は、互いに電気的に接続されていない第5及び第6のシールド導体を含み、
前記第3及び第5のシールド導体と、前記第3及び第5のシールド導体を互いに電気的に接続する複数のビア導体とは、第1の電位が印加される第1の電源端子に電気的に接続され、
前記第4及び第6のシールド導体と、前記第4及び第6のシールド導体を互いに電気的に接続する複数のビア導体とは、前記第1の電位とは異なる第2の電位が印加される第2の電源端子に電気的に接続された、
半導体装置。
【請求項2】
前記第1及び第2のシールド導体は、中実、メッシュ状、又はストライプ状に形成された、
請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1及び第2のシールド導体及び前記複数のビア導体は、接地端子又は電源端子に電気的に接続された、
請求項1又は2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記電子回路は、
互いに隣接する一対の回路基板の一方に形成された第1の回路部分と、
前記互いに隣接する一対の回路基板の他方に形成された第2の回路部分とを含み、
前記第1及び第2の回路部分は互いに電気的に接続された、
請求項1~のうちの1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1の回路部分は能動素子を含み、
前記第2の回路部分は受動素子を含む、
請求項記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体装置は、前記第1及び第2の回路基板の間に設けられた少なくとも1つの第3の回路基板を備え、
前記第1~第3の回路基板は、前記第1及び第2のシールド導体の間に位置するように形成された複数の電子回路を備えた、
請求項1~5のうちの1つに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記半導体装置は、
少なくとも3つの回路基板と、
互いに異なる一対の回路基板にそれぞれ形成された第1及び第2のシールド導体をそれぞれ含む複数のシールド導体ペアとを備え、
前記少なくとも3つの回路基板は、各シールド導体ペアの第1及び第2のシールド導体の間に位置するように、前記少なくとも3つの回路基板のうちの少なくとも2つの回路基板に形成された少なくとも2つの電子回路を備え、
互いに隣接する一対の電子回路のうちの一方に係る第1のシールド導体は、前記互いに隣接する一対の電子回路のうちの他方に係る第2のシールド導体と一体化された、
請求項1~6のうちの1つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積された電子回路を含む半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、信号を処理するために、集積された電子回路を含むさまざまな半導体装置が使用されている。
【0003】
ある種の信号の処理(例えば、暗号化及びその復号など)では、処理される信号の秘匿性及び/又は真正性が求められる場合がある。この場合、機密情報を含む信号が、外部から直接にアクセス可能な信号線に伝送されないことが求められる。また、機密情報を含む信号を処理する回路が、不要電波又は電源ノイズなどの形態で信号の内容を漏洩しないことが求められる。
【0004】
例えば、特許文献1は、プリント回路基板の上に設けられた電子デバイスなどの半導体装置をシールドにより包囲することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-522471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のようなシールドを用いる場合、攻撃者によりシールドが除去されると、機密情報を含む信号を伝送する信号線に外部から直接にアクセス可能になったり、信号の内容が不要電波又は電源ノイズなどの形態で漏洩したりする。これにより、処理する信号の秘匿性及び/又は真正性が損なわれるおそれがある。また、単独の半導体装置に関しても、そのパッケージを切削することなどによって、内部で処理する信号の秘匿性及び/又は真正性が損なわれるおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、以上の問題点を解決し、内部で処理する信号の秘匿性及び/又は真正性が従来技術に比較して損なわれにくい、新規な半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に係る半導体装置によれば、
第1及び第2の回路基板を含み、互いに積み重ねられた複数の回路基板を備える半導体装置であって、
前記各回路基板は、互いに平行な第1及び第2の面を有し、
前記第1の回路基板は、当該第1の回路基板の第1及び第2の面に対して平行に形成された第1のシールド導体を備え、
前記第2の回路基板は、当該第2の回路基板の第1及び第2の面に対して平行に形成された第2のシールド導体を備え、
前記複数の回路基板のうちの少なくとも1つは、前記第1及び第2のシールド導体の間に位置するように形成された少なくとも1つの電子回路を備え、
前記半導体装置は、前記第1及び第2のシールド導体を互いに電気的に接続するように、かつ、互いに所定間隔を有して前記電子回路を包囲するように、前記複数の回路基板に形成された複数のビア導体を備え、
前記第1のシールド導体は、互いに電気的に接続されていない第3及び第4のシールド導体を含み、
前記第2のシールド導体は、互いに電気的に接続されていない第5及び第6のシールド導体を含み、
前記第3及び第5のシールド導体と、前記第3及び第5のシールド導体を互いに電気的に接続する複数のビア導体とは、第1の電位が印加される第1の電源端子に電気的に接続され、
前記第4及び第6のシールド導体と、前記第4及び第6のシールド導体を互いに電気的に接続する複数のビア導体とは、前記第1の電位とは異なる第2の電位が印加される第2の電源端子に電気的に接続されている。
【0009】
本発明の第2の態様に係る半導体装置によれば、第1の態様に係る半導体装置において、
前記第1及び第2のシールド導体は、中実、メッシュ状、又はストライプ状に形成されている。
【0010】
本発明の第3の態様に係る半導体装置によれば、第1又は第2の態様に係る半導体装置において、
前記第1及び第2のシールド導体及び前記複数のビア導体は、接地端子又は電源端子に電気的に接続されている。
【0012】
本発明の第4の態様に係る半導体装置によれば、第1~第3のうちの1つの態様に係る半導体装置において、
前記電子回路は、
互いに隣接する一対の回路基板の一方に形成された第1の回路部分と、
前記互いに隣接する一対の回路基板の他方に形成された第2の回路部分とを含み、
前記第1及び第2の回路部分は互いに電気的に接続されている。
【0013】
本発明の第5の態様に係る半導体装置によれば、第4の態様に係る半導体装置において、
前記第1の回路部分は能動素子を含み、
前記第2の回路部分は受動素子を含む。
【0014】
本発明の第6の態様に係る半導体装置によれば、第1~第5のうちの1つの態様に係る半導体装置において、
前記半導体装置は、前記第1及び第2の回路基板の間に設けられた少なくとも1つの第3の回路基板を備え、
前記第1~第3の回路基板は、前記第1及び第2のシールド導体の間に位置するように形成された複数の電子回路を備える。
【0015】
本発明の第7の態様に係る半導体装置によれば、第1~第6のうちの1つの態様に係る半導体装置において、
前記半導体装置は、
少なくとも3つの回路基板と、
互いに異なる一対の回路基板にそれぞれ形成された第1及び第2のシールド導体をそれぞれ含む複数のシールド導体ペアとを備え、
前記少なくとも3つの回路基板は、各シールド導体ペアの第1及び第2のシールド導体の間に位置するように、前記少なくとも3つの回路基板のうちの少なくとも2つの回路基板に形成された少なくとも2つの電子回路を備え、
互いに隣接する一対の電子回路のうちの一方に係る第1のシールド導体は、前記互いに隣接する一対の電子回路のうちの他方に係る第2のシールド導体と一体化されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様に係る半導体装置によれば、内部で処理する信号の秘匿性及び/又は真正性を従来技術に比較して損なわれにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す斜視図である。
図2図1のA-A線における断面図である。
図3図1のB-B線における断面図である。
図4図1の回路基板1の上面を示す図である。
図5図1の回路基板1の下面を示す図である。
図6】第1の実施形態の第1の変形例に係る回路基板1Aの下面を示す図である。
図7図1の回路基板2の上面を示す図である。
図8図1の回路基板2の下面を示す図である。
図9】第1の実施形態の第2の変形例に係る回路基板2Aの下面を示す図である。
図10】第2の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
図11】第3の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
図12図11の半導体装置の受動回路13Cb及び電子回路25Cを等価回路により示す図である。
図13図11の回路基板1Cの上面を示す図である。
図14図11の回路基板1Cの下面の第1の実施例を示す図である。
図15図11の回路基板1Cの下面の第2の実施例を示す図である。
図16図11の回路基板1Cの下面の第3の実施例を示す図である。
図17】第4の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
図18】第5の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
図19図18の半導体装置の受動回路13Cb、電子回路25C、受動回路23Cb、及び電子回路35Cを等価回路により示す図である。
図20】第5の実施形態の変形例に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
図21図20の半導体装置の受動回路23Cb及び電子回路35Cを等価回路により示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の各実施形態に係る半導体装置について説明する。各図において、同じ符号は同様の構成要素を示す。
【0019】
第1の実施形態.
図1は、第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す斜視図である。図1の半導体装置は、回路基板1、回路基板2、パッケージ基板5、複数のパッド導体6、及び複数のボンディングワイヤ7を備える。
【0020】
回路基板1及び2は、図1のXY面に沿った互いに平行な+Z側の面(「上面」又は「第1の面」ともいう)及び-Z側の面(「下面」又は「第2の面」ともいう)を有する。回路基板1及び2は、半導体基板と、半導体基板においてXY面に対して平行に形成された少なくとも1つの配線層とをそれぞれ含む。例えば、半導体基板はシリコンからなり、配線層は銅からなる。回路基板1及び2の少なくとも一方に電子回路が形成される。回路基板1の上面には、内部の電子回路に電力を供給し、信号を入出力するための、複数のパッド導体12aが形成される。
【0021】
回路基板1及び2は、回路基板1の下面及び回路基板2の上面が互いに対向するように積み重ねられ、互いに電気的かつ機械的に接続される。回路基板1及び2は、回路基板2の下面において、例えば接着などにより、パッケージ基板5に固定される。
【0022】
パッケージ基板5は、半導体装置を封止する樹脂又はセラミックなどのパッケージの一部である。
【0023】
各パッド導体12aは、ボンディングワイヤ7により、パッケージ基板5に形成されたパッド導体6にそれぞれ電気的に接続される。各パッド導体6は、半導体装置の全体を封止した後でパッケージの外部から電力供給を受け、信号を入出力するためのリード導体にそれぞれ電気的に接続される。代替として、各パッド導体12aは、ボンディングワイヤ7により、パッケージ基板5に形成されたリード導体に直接に接続されてもよい。さらに代替として、各パッド導体12aは、ボンディングワイヤ7に代えて、フリップチップ実装を用いて各パッド導体6に電気的に接続されてもよい。この場合、各パッド導体12aが形成された回路基板1の面がパッケージ基板5に対向し、各パッド導体12aに対向する位置に各パッド導体6が形成される。各パッド導体12aは、バンプを介して各パッド導体6に電気的に接続される。
【0024】
図2は、図1のA-A線における断面図である。図3は、図1のB-B線における断面図である。
【0025】
図2及び図3に示すように、回路基板1は、半導体基板11、複数のパッド導体12a、シールド導体13、複数のビア導体14a、及び複数のビア導体14bを備える。各パッド導体12aは、回路基板1の1つの配線層として、半導体基板11の上面に形成される。シールド導体13は、回路基板1の他の1つの配線層として、半導体基板11の下面に形成される。各ビア導体14aは、パッド導体12aに電気的に接続されるように、かつ、シールド導体13に電気的に接続されるように、半導体基板11をZ方向(厚さ方向)に貫通して形成される。各ビア導体14bは、パッド導体12aに電気的に接続されるように、かつ、シールド導体13に電気的に接続されないように、半導体基板11をZ方向に貫通して形成される。
【0026】
図2及び図3に示すように、回路基板2は、半導体基板21、多層配線22、シールド導体23、複数のビア導体24、及び電子回路25を備える。半導体基板21は、その上面に複数の配線層22a及び複数の誘電体層22bを含む多層配線22を有し、その下面にシールド導体23を有する。図2及び図3の例では、多層配線22は6つの配線層22aを含む。各配線層22aは、任意の半導体プロセス技術によりパターン形成された配線導体22aa及び絶縁誘電体22abを含む。これにより、多層配線22に電子回路25が形成される。電子回路25は、トランジスタ、ダイオード、キャパシタ、抵抗、インダクタなど、複数の回路素子25aを含む。電子回路25は、CMOSプロセス技術又は他のプロセス技術により形成されてもよい。シールド導体23は、回路基板2の他の1つの配線層として、半導体基板21の下面に形成される。各ビア導体24は、多層配線22に電気的に接続されるように、かつ、シールド導体23に電気的に接続されるように、半導体基板21をZ方向(厚さ方向)に貫通して形成される。
【0027】
図2及び図3に示すように、回路基板1及び2は、複数のバンプ4を介して、回路基板1の下面及び回路基板2の上面が互いに対向するように積み重ねられる。シールド導体13は、バンプ4を介してビア導体24に電気的に接続される。これにより、シールド導体13、バンプ4、ビア導体24、及びシールド導体23は、互いに電気的に接続される。シールド導体13は、ビア導体14a、パッド導体12a、及びボンディングワイヤ7を介して、半導体装置の外部の所定電位の電圧源(例えば、接地端子又は電源端子)に電気的に接続される。従って、シールド導体13、バンプ4、ビア導体24、及びシールド導体23は、互いに同じ所定電位(例えば、接地電位又は電源電位)を有する。また、図3に示すように、電子回路25は、バンプ4、ビア導体14b、パッド導体12a、及びボンディングワイヤ7を介して、半導体装置の外部の回路に電気的に接続される。
【0028】
回路基板1及び2の間において、バンプ4以外の部分は、接着剤又は他の封止材料(アンダーフィル)によって充填される。これにより、回路基板1及び2は互いに機械的に接続される。ただし、各図において、接着剤又は他の封止材料の図示を省略する。
【0029】
回路基板1及び2を積み重ねることにより、電子回路25は、シールド導体13及び23の間に位置する。また、複数のビア導体14a及び24及び複数のバンプ4は、シールド導体13及び23を互いに電気的に接続するように、かつ、互いに所定間隔を有して電子回路25を包囲するように形成される。従って、電子回路25は、シールド導体13及び23、バンプ4、及びビア導体24を含むシールド構造によって包囲される。ビア導体14a及び24を形成する間隔d1(図3を参照)は、電子回路25を形成する半導体プロセス技術におけるパッド配置の設計基準に従う。間隔d1は、例えば、電子回路25によって処理される信号の波長の最小値よりも短く設定されてもよい。
【0030】
シールド構造に含まれる複数のビア導体24を間隔d1で形成するために、例えば、図3に示すように、回路基板1においてビア導体14a及び14bを交互に配置してもよい。
【0031】
パッケージ基板5は、回路基板2と対向する位置において配線層をさらに備えてもよい。パッケージ基板5の配線層は、回路基板2のシールド導体23又は他の部分(例えば電子回路25の一部)に電気的に接続されてもよい。
【0032】
図4は、図1の回路基板1の上面を示す図である。前述のように、半導体基板11の上面に複数のパッド導体12aが形成される。
【0033】
図5は、図1の回路基板1の下面を示す図である。前述のように、半導体基板11の下面にシールド導体13が形成される。シールド導体13は、例えば、中実な領域として形成されてもよい。半導体基板11の上面の各パッド導体12aに対向する半導体基板11の下面の領域のうち、一部の領域(図5において破線で示す)はシールド導体13の一部として形成され、その他の一部の領域ではシールド導体13の導体が除去されて半導体基板11が露出する。図3を参照して説明したように、半導体基板11の下面の領域のうち、シールド導体13の一部として形成された領域にはビア導体14aが形成され、導体が除去されて半導体基板11が露出した領域にはビア導体14bが形成される。これにより、電子回路25及びシールド構造は、互いに電気的に接続することなく、ボンディングワイヤ7などを介して半導体装置の外部の回路に電気的に接続することができる。
【0034】
図6は、第1の実施形態の第1の変形例に係る回路基板1Aの下面を示す図である。図6の例では、半導体基板11の下面にシールド導体13Aが形成される。シールド導体13Aは、例えば、互いに間隔d2を有して配置された複数のストリップ導体を含むメッシュ状の領域として形成されてもよい。間隔d2は、電子回路25を形成する半導体プロセス技術における配線層の設計基準に従う。間隔d2は、例えば、電子回路25によって処理される信号の波長の最小値よりも短く設定されてもよい。
【0035】
図7は、図1の回路基板2の上面を示す図である。半導体基板21の最上面における配線層22aのうちの一部には、複数のパッド導体22cが形成される。パッド導体22cは、回路基板2のビア導体24又は電子回路25に電気的に接続される。パッド導体22cは、さらに、バンプ4を介して回路基板1のシールド導体13又はビア導体14aに電気的に接続される。
【0036】
図8は、図1の回路基板2の下面を示す図である。前述のように、半導体基板21の下面にシールド導体23が形成される。シールド導体23は、例えば、中実な領域として形成されてもよい。
【0037】
図9は、第1の実施形態の第2の変形例に係る回路基板2Aの下面を示す図である。図9の例では、半導体基板21の下面にシールド導体23Aが形成される。シールド導体23Aは、例えば、互いに間隔d3を有して配置された複数のストリップ導体を含むストライプ状の領域として形成されてもよい。間隔d3は、電子回路25を形成する半導体プロセス技術における配線層の設計基準に従う。間隔d3は、例えば、電子回路25によって処理される信号の波長の最小値よりも短く設定されてもよい。
【0038】
回路基板1のシールド導体がストライプ状又は他の形状の領域として形成されてもよい。また、回路基板2のシールド導体がメッシュ状又は他の形状の領域として形成されてもよい。
【0039】
図1の半導体装置は、シールド導体13及び23、バンプ4、及びビア導体24を含むシールド構造によって電子回路25を包囲している。これにより、電子回路25により機密情報を含む信号を処理するとき、不要電波又は電源ノイズなどの形態で信号の内容を漏洩しにくくすることができる。また、非機密情報を含む信号を処理するときであっても、不要電波又は電源ノイズを放射しにくくなるので、外部の回路への不要な影響を低減することができる。
【0040】
また、図1の半導体装置では、シールド構造を半導体装置のパッケージではなく回路基板1及び2に一体化しているので、パッケージの切削などによる攻撃を受けても、機密情報を含む信号を伝送する信号線に外部から直接にアクセス可能にはなりにくい。シールド導体13及び23は、切削などによる攻撃を受けたときに容易に削り取られないのに十分な厚さ、例えば、10~100μmの厚さを有するように形成されてもよい。
【0041】
また、図1の半導体装置は、通常の半導体プロセス技術を用いて回路基板にシールド構造を追加可能である。
【0042】
従って、図1の半導体装置は、半導体装置の内部で処理する信号の秘匿性及び/又は真正性を従来技術に比較して損ないにくくすることができる。
【0043】
第2の実施形態.
第1の実施形態では、半導体装置が、所定電位の電圧源に電気的に接続される1つのシールド構造を備える場合について説明した。一方、第2の実施形態では、半導体装置が、互いに異なる電位を有する電圧源にそれぞれ電気的に接続される複数のシールド構造を備える場合について説明する。
【0044】
図10は、第2の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。図10の半導体装置は、図3の半導体装置の回路基板1及び2に代えて、回路基板1B及び2Bを備える。回路基板1Bは、図3の回路基板1のシールド導体13に代えて、互いに電気的に接続されていないシールド導体13Ba及び13Bbを備える。回路基板2Bは、図3の回路基板2のシールド導体23に代えて、互いに電気的に接続されていないシールド導体23Ba及び23Bbを備える。
【0045】
シールド導体13Baは、バンプ4及びビア導体24を介して、シールド導体23Baに電気的に接続される。従って、電子回路25は、シールド導体13Ba及び23Baと、これらを互いに電気的に接続するバンプ4及びビア導体24とを含むシールド構造によって包囲される。シールド導体13Baは、ビア導体14a、パッド導体12a、及びボンディングワイヤ7を介して、半導体装置の外部における第1の電位V1の電圧源に電気的に接続される。従って、シールド導体13Ba及び23Baと、これらを互いに電気的に電気的に接続するバンプ4及びビア導体24とは、互いに同じ電位V1を有する。
【0046】
シールド導体13Bbもまた、バンプ4及びビア導体24を介して、シールド導体23Bbに電気的に接続される。従って、電子回路25は、シールド導体13Bb及び23Bbと、これらを互いに電気的に接続するバンプ4及びビア導体24とを含むシールド構造によって包囲される。このシールド構造は、前述のシールド導体13Ba及び23Ba等を含むシールド構造に対して電気的に接続されていない。シールド導体13Bbは、ビア導体14a、パッド導体12a、及びボンディングワイヤ7を介して、半導体装置の外部における第2の電位V2の電圧源に接続される。従って、シールド導体13Bb及び23Bbと、これらを互いに電気的に接続するバンプ4及びビア導体24とは、互いに同じ電位V2を有する。
【0047】
図10の半導体装置は、互いに電気的に接続されていない2つのシールド構造を、異なる電位V1及びV2を有する電圧源にそれぞれ電気的に接続することにより、電子回路25への電力供給の自由度を向上することができる。これにより、電子回路25が異なる電圧で動作する複数の回路部分を含む場合、電子回路25の内部において昇圧回路及び降圧回路などの電力変換回路が不要になる。
【0048】
図10の半導体装置によれば、電子回路25に含まれる複数の回路部分(例えば、アナログ回路部分及びディジタル回路部分)の相互の影響を低減することが望まれる場合、これらの回路部分に別個に電力を供給することができる。
【0049】
第2の実施形態によれば、半導体装置は、互いに異なる3つ以上の電位を有する電圧源にそれぞれ電気的に接続される3つ以上のシールド構造を備えてもよい。
【0050】
第3の実施形態.
第1及び第2の実施形態では、電子回路25が1つの回路基板2又は2Bに形成される場合について説明した。半導体装置から回路基板1又は1Bを除去した場合、電子回路25に外部からアクセス可能になり、電子回路25によって処理される信号の秘匿性及び/又は真正性が損なわれるおそれがある。従って、このような場合にも、処理される信号の秘匿性及び/又は真正性が損なわれにくくすることが求められる。第3の実施形態では、電子回路が、互いに隣接する2つの回路基板にわたって形成される場合について説明する。
【0051】
図11は、第3の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。図11の半導体装置は、図2の半導体装置の回路基板1及び2に代えて、回路基板1C及び2Cを備える。
【0052】
回路基板1Cは、半導体基板11、シールド導体12C、複数のパッド導体13Ca、受動回路13Cb、及び複数のビア導体14cを備える。シールド導体12Cは、回路基板1Cの1つの配線層として、半導体基板11の上面に形成される。各パッド導体13Ca及び受動回路13Cbは、回路基板1Cの他の1つの配線層として、半導体基板11の下面に形成される。受動回路13Cbは、例えば、キャパシタ、抵抗、及び/又はインダクタなど、1つ又は複数の受動素子を含む。各ビア導体14cは、シールド導体12Cに電気的に接続されるように、かつ、各パッド導体13Caに電気的に接続されるように、半導体基板11をZ方向(厚さ方向)に貫通して形成される。
【0053】
回路基板2Cは、図2の回路基板2の電子回路25に代えて、電子回路25Cを備える。
【0054】
図12は、図11の半導体装置の受動回路13Cb及び電子回路25Cを等価回路により示す図である。図12の例は、受動回路13Cbが受動素子(例えばキャパシタ)を含み、電子回路25Cが能動素子(例えばオペアンプ及びスイッチング素子など)を含む場合を示す。受動回路13Cb及び電子回路25Cは、バンプ4を介して、回路基板1C及び2Cにわたって互いに電気的に接続される。これにより、受動回路13Cb及び電子回路25Cが一体の電子回路として動作する。言い換えると、電子回路25Cが、一体の電子回路の第1の回路部分として機能し、受動回路13Cbが、一体の電子回路の第2の回路部分として機能する。
【0055】
図13は、図11の回路基板1Cの上面を示す図である。前述のように、半導体基板11の上面にシールド導体12Cが形成される。シールド導体12Cは、例えば、中実な領域として形成されてもよく、メッシュ状、ストライプ状、又は他の形状の領域として形成されてもよい。さらに、半導体基板11の上面には、図4と同様に、複数のパッド導体12aが形成される。各パッド導体12aは、ビア導体14cを介して下面のパッド導体13Caに電気的に接続される。ただし、複数のパッド導体12aのうちの一部は、シールド導体12Cに接続又は一体化されるように形成される。従って、前述のように、シールド導体12Cが、ビア導体14cを介して下面のパッド導体13Caに電気的に接続される。
【0056】
図14は、図11の回路基板1Cの下面の第1の実施例を示す図である。前述のように、半導体基板11の下面に複数のパッド導体13Ca及び受動回路13Cbが形成される。図14の例では、受動回路13Cbは、互いに嵌合する一対のくし形の電極を含むキャパシタである。各電極の一端にパッド導体13Ccが形成され、各パッド導体13Ccはバンプ4を介して電子回路25Cに電気的に接続される。
【0057】
図15は、図11の回路基板1Cの下面の第2の実施例を示す図である。図15の例では、受動回路13Cbは、ミアンダ状の電極を含む抵抗である。電極の両端にパッド導体13Ccが形成され、各パッド導体13Ccはバンプ4を介して電子回路25Cに電気的に接続される。
【0058】
図16は、図11の回路基板1Cの下面の第3の実施例を示す図である。図16の例では、受動回路13Cbは、渦巻き状の電極を含むインダクタである。電極の両端にパッド導体13Ccが形成され、各パッド導体13Ccはバンプ4を介して電子回路25Cに電気的に接続される。
【0059】
前述のように、図11の半導体装置では、受動回路13Cb及び電子回路25Cが一体の電子回路として動作する。従って、回路基板1Cが回路基板2Cから分離されると、それと同時に、バンプ4を介する受動回路13Cb及び電子回路25Cの間の電気的な接続が失われ、受動回路13Cb及び電子回路25Cは一体の電子回路として動作できなくなる。従って、回路基板1Cが回路基板2Cから分離された場合、受動回路13Cb及び電子回路25Cによって処理される信号の秘匿性及び/又は真正性を損ないにくくすることができる。このように、図11の半導体装置では、ハードウェア的なセキュリティを従来技術に比較して向上することができる。
【0060】
図11の半導体装置は、シールド導体12C及び23、バンプ4、ビア導体14c及び24を含むシールド構造によって受動回路13Cb及び電子回路25Cを包囲している。これにより、受動回路13Cb及び電子回路25Cにより機密情報を含む信号を処理するとき、第1の実施形態と同様に、不要電波又は電源ノイズなどの形態で信号の内容を漏洩しにくくすることができる。
【0061】
図11の半導体装置では、電子回路25Cから受動素子を分離して回路基板1Cに隔離することにより、受動素子から電子回路25Cに回り込む伝導ノイズを抑制することができる。また、図11の半導体装置では、電子回路25を設ける多層配線22とは別の配線層に受動素子を設けるので、受動素子の導体の厚さを容易に増大させることができる。これにより、例えば、高容量、低抵抗、及び/又は高Q値を有するように、受動素子の性能を向上することができる。また、図11の半導体装置では、受動素子がシールド構造の内側に隠れることにより、受動回路13Cb及び電子回路25Cによる放射又は受信される電磁ノイズを抑制することができる。また、図11の半導体装置では、受動素子を、半導体装置の外部に設けるのではなく、電子回路25Cに近接して電気的に接続することにより、回路の性能を向上することができる。
【0062】
第3の実施形態によれば、回路基板1Cに受動回路13Cbが形成され、回路基板2Cに電子回路25Cが形成されることに限定されない。回路基板1Cにおいて、能動素子を含む回路部分を形成してもよく、受動素子及び能動素子を含む回路部分を形成してもよい。回路基板2Cにおいて、受動素子を含む回路部分を形成してもよく、受動素子及び能動素子を含む回路部分を形成してもよい。これらの回路部分は、回路基板1C及び2Cにわたって互いに電気的に接続される。
【0063】
第4の実施形態.
第1の実施形態では、半導体装置が、1つの電子回路及び1つのシールド構造を備える場合について説明した。第4の実施形態では、半導体装置が、互いに積み重ねられた複数の電子回路及び複数のシールド構造を備える場合について説明する。
【0064】
図17は、第4の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。図17の半導体装置は、図2の半導体装置に加えて、回路基板3を備える。回路基板2及び3は、回路基板2の下面及び回路基板3の上面が互いに対向するように積み重ねられ、互いに電気的かつ機械的に接続される。回路基板1~3は、回路基板3の下面において、例えば接着などにより、パッケージ基板5に固定される。
【0065】
回路基板3は、半導体基板31、多層配線32、シールド導体33、複数のビア導体34、及び電子回路35を備える。回路基板3のこれらの構成要素は、回路基板2の対応する構成要素と同様に構成される。
【0066】
回路基板2及び3は、複数のバンプ4を介して、回路基板2の下面及び回路基板3の上面が互いに対向するように積み重ねられる。シールド導体23は、バンプ4を介してビア導体34に電気的に接続される。これにより、シールド導体23、バンプ4、ビア導体34、及びシールド導体33は、互いに電気的に接続される。従って、回路基板3のビア導体24及びシールド導体13は、シールド導体23等と同じ電位を有する。
【0067】
回路基板2及び3の間において、バンプ4以外の部分は、接着剤又は他の封止材料(アンダーフィル)によって充填される。これにより、回路基板2及び3は互いに機械的に接続される。
【0068】
回路基板2及び3を積み重ねることにより、電子回路35は、シールド導体23及び33の間に位置する。また、複数のビア導体34及び複数のバンプ4は、シールド導体23及び33を互いに電気的に接続するように、かつ、互いに所定間隔を有して電子回路35を包囲するように形成される。従って、電子回路35は、シールド導体23及び33、バンプ4、ビア導体34を含むシールド構造によって包囲される。
【0069】
図17の半導体装置によれば、シールド導体13及び23、バンプ4、及びビア導体24を含むシールド構造によって電子回路25を包囲し、さらに、シールド導体23及び33、バンプ4、及びビア導体34を含むシールド構造によって電子回路35を包囲している。電子回路25及び35を別個のシールド構造により包囲することにより、電子回路25及び35の一方で生じる電磁ノイズによって他方に与えられる悪影響を低減することができる。
【0070】
第4の実施形態では、半導体装置が、互いに積み重ねられた複数の電子回路及び3つ以上のシールド構造を備えてもよい。半導体装置は、第1及び第2の回路基板を含み、互いに積み重ねられた少なくとも3つの回路基板を備える。各回路基板は、互いに平行な第1及び第2の面を有する。第1の回路基板は、当該第1の回路基板の第1及び第2の面に対して平行に形成された第1のシールド導体を備える。第2の回路基板は、当該第2の回路基板の第1及び第2の面に対して平行に形成された第2のシールド導体を備える。半導体装置は、互いに異なる一対の回路基板にそれぞれ形成された第1及び第2のシールド導体をそれぞれ含む複数のシールド導体ペアを備える。少なくとも3つの回路基板は、各シールド導体ペアの第1及び第2のシールド導体の間に位置するように、少なくとも3つの回路基板のうちの少なくとも2つの回路基板に形成された少なくとも2つの電子回路を備える。互いに隣接する一対の電子回路のうちの一方に係る第1のシールド導体は、互いに隣接する一対の電子回路のうちの他方に係る第2のシールド導体と一体化されている。半導体装置は、第1及び第2のシールド導体を互いに電気的に接続するように、かつ、互いに所定間隔を有して電子回路を包囲するように、複数の回路基板に形成された複数のビア導体を備える。これにより、異なる電子回路は別個のシールド構造によって包囲される。
【0071】
互いに積み重ねられた複数のシールド構造のシールド導体が互いに一体化されていなくてもよい。この場合、互いに隣接する一対のシールド構造の間において互いに対向する一対のシールド導体は互いに電気的に接続されてもよい。
【0072】
第5の実施形態.
第1の実施形態では、半導体装置が、1つの電子回路及び1つのシールド構造を備える場合について説明した。第5の実施形態では、1つのシールド構造が複数の電子回路を包囲する場合について説明する。
【0073】
図18は、第5の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。図18の半導体装置は、図11の回路基板2Cに代えて回路基板2CAを備え、回路基板3Cをさらに備える。回路基板2CA及び3Cは、回路基板2CAの下面及び回路基板3Cの上面が互いに対向するように積み重ねられ、互いに電気的かつ機械的に接続される。回路基板1C、2CA、及び3Cは、回路基板3Cの下面において、例えば接着などにより、パッケージ基板5に固定される。
【0074】
回路基板2CAは、図11の回路基板2Cのシールド導体23に代えて、複数のパッド導体23Ca及び受動回路23Cbを備える。各パッド導体23Ca及び受動回路23Cbは、回路基板1Cの各パッド導体13Ca及び受動回路13Cbと同様に構成される。
【0075】
回路基板3Cは、半導体基板31、多層配線32、シールド導体33、複数のビア導体34、及び電子回路35Cを備える。回路基板3Cのこれらの構成要素は、図11の回路基板2Cの対応する構成要素と同様に構成される。
【0076】
図19は、図18の半導体装置の受動回路13Cb、電子回路25C、受動回路23Cb、及び電子回路35Cを等価回路により示す図である。図19の例は、受動回路13Cb及び23Cbが受動素子(例えばキャパシタ)を含み、電子回路25C及び35Cが能動素子(例えばオペアンプ及びスイッチング素子など)を含む場合を示す。図11の半導体装置と同様に、受動回路13Cb及び電子回路25Cは一体の電子回路として動作する。さらに、受動回路23Cb及び電子回路35Cは、バンプ4を介して、回路基板2CA及び3Cにわたって互いに電気的に接続される。これにより、受動回路23Cb及び電子回路35Cが一体の電子回路として動作する。言い換えると、電子回路35Cが、一体の電子回路の第1の回路部分として機能し、受動回路23Cbが、一体の電子回路の第2の回路部分として機能する。
【0077】
図18の半導体装置によれば、シールド導体12C及び33、バンプ4、及びビア導体14c、24、及び34を含むシールド構造によって、受動回路13Cb及び電子回路25Cを包囲し、さらに、受動回路23Cb及び電子回路35Cを包囲している。これにより、1つのシールド構造により複数の電子回路を包囲することで、レイアウトの自由度を向上することができる。
【0078】
また、図18の半導体装置によれば、受動回路13Cb及び電子回路25Cを一体の電子回路として動作させ、受動回路23Cb及び電子回路35Cを一体の電子回路として動作させることにより、第3の実施形態で説明したものと同様の効果をもたらすことができる。
【0079】
図20は、第5の実施形態の変形例に係る半導体装置の構成を示す断面図である。図18の半導体装置では、すべての電子回路が互いに隣接する2つの回路基板にわたって形成される場合について説明したが、各電子回路の構成はこれに限定されない。図20の半導体装置は、図18の回路基板1C及び2CAに代えて、回路基板1及び2CBを備える。図20の回路基板1は、図2の回路基板1と同様に構成される。回路基板2CBは、図2の回路基板2のシールド導体23に代えて、複数のパッド導体23Ca及び受動回路23Cbを備える。図20の各パッド導体23Ca及び受動回路23Cbは、図18の対応する構成要素と同様に構成される。
【0080】
図21は、図20の半導体装置の受動回路23Cb及び電子回路35Cを等価回路により示す図である。図21の電子回路25は、図2の電子回路25と同様に動作する。一方、受動回路13Cb及び電子回路25Cは、図18の半導体装置と同様に、一体の電子回路として動作する。
【0081】
図20の半導体装置によれば、1つのシールド構造が、さまざまな構成を有する電子回路を包囲することで、レイアウトの自由度を向上することができる。シールド構造によって包囲される複数の電子回路のうちの一部が、1つの回路基板に形成されてもよく、他の一部が、互いに隣接する2つの回路基板にわたって形成されてもよい。シールド構造によって包囲される複数の電子回路のすべてが、1つの回路基板に形成されてもよい。
【0082】
第5の実施形態では、1つのシールド構造が3つ以上の電子回路を包囲してもよい。半導体装置は、第1及び第2の回路基板を含み、互いに積み重ねられた少なくとも3つの回路基板を備える。各回路基板は、互いに平行な第1及び第2の面を有する。第1の回路基板は、当該第1の回路基板の第1及び第2の面に対して平行に形成された第1のシールド導体を備える。第2の回路基板は、当該第2の回路基板の第1及び第2の面に対して平行に形成された第2のシールド導体を備える。半導体装置は、第1及び第2の回路基板の間に設けられた少なくとも1つの第3の回路基板を備える。第1~第3の回路基板は、第1及び第2のシールド導体の間に位置するように形成された複数の電子回路を備える。半導体装置は、第1及び第2のシールド導体を互いに電気的に接続するように、かつ、互いに所定間隔を有して電子回路を包囲するように、複数の回路基板に形成された複数のビア導体を備える。これにより、1つのシールド構造が3つ以上の電子回路を包囲することができる。
【0083】
第4の実施形態に係る構成と、第5の実施形態に係る構成とを組み合わせてもよい。すなわち、互いに積み重ねられた複数のシールド構造を備え、各1つのシールド構造が複数の電子回路を包囲してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の各態様に係る半導体装置は、機密情報を含む信号の処理に有効であり、また、電磁環境両立性を満たすためのノイズ対策に有効である。
【符号の説明】
【0085】
1,1A~1C,2,2A~2C,2CA,2CB,3,3C…回路基板、
4…バンプ、
5…パッケージ基板、
6…パッド導体、
7…ボンディングワイヤ、
11…半導体基板、
12a…パッド導体、
12C…シールド導体、
13,13A,13Ba,13Bb…シールド導体、
13Ca…パッド導体、
13Cb…受動回路、
13Cc…パッド導体、
14a~14c…ビア導体、
21…半導体基板、
22…多層配線、
22a…配線層、
22aa…配線導体、
22ab…絶縁誘電体、
22b…誘電体層、
22c…パッド導体、
23,23A,23Ba,23Bb…シールド導体、
23Ca…パッド導体、
23Cb…受動回路、
24…ビア導体、
25,25C…電子回路、
25a…回路素子、
31…半導体基板、
32…多層配線、
33…シールド導体、
34…ビア導体、
35,35C…電子回路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21