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特許7010443インドリジン系化合物、その製造方法及び用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】インドリジン系化合物、その製造方法及び用途
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20220119BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20220119BHJP
   A61K 31/501 20060101ALI20220119BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALI20220119BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220119BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220119BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
C07D471/04 104A
C07D471/04 CSP
A61K31/5377
A61K31/501
A61K31/4545
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P37/06
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020568587
(86)(22)【出願日】2019-03-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 CN2019076904
(87)【国際公開番号】W WO2019170063
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2020-09-01
(31)【優先権主張番号】201810183618.4
(32)【優先日】2018-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518339490
【氏名又は名称】上海海和薬物研究開発股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】陳旭星
(72)【発明者】
【氏名】陳▲イー▼
(72)【発明者】
【氏名】黄▲イン▼
(72)【発明者】
【氏名】耿美玉
(72)【発明者】
【氏名】張▲チオン▼
(72)【発明者】
【氏名】丁健
(72)【発明者】
【氏名】▲ヤオ▼虞財
(72)【発明者】
【氏名】沈▲チエンチエン▼
(72)【発明者】
【氏名】沈雁雁
【審査官】佐溝 茂良
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/102493(WO,A1)
【文献】特表2014-534178(JP,A)
【文献】特表2013-525498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 471/04
A61K 31/5377
A61K 31/501
A61K 31/4545
A61P 43/00
A61P 35/00
A61P 37/06
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで示されるインドリジン系化合物、その薬理学的許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物又は結晶多型であって、
【化1】

その中、
は、
【化2】

からなる群より選ばれ;
10は、H、ハロゲン、-NH、-NO、置換されてもよいC1-C6アルキル基及び置換されてもよいC1-C4アルコキシ基からなる群より選ばれ;
は、H、ハロゲン、シアノ基及び置換されてもよいC1-C6アルキル基からなる群より選ばれ;
は、
【化3】

であり;
とR6’は、それぞれ独立して、H、メチル基、エチル基、プロピル基及びシクロプロピル基からなる群より選ばれ、かつRとR6’の少なくとも一つは、Hであり;
Xは、置換されてもよい飽和又は不飽和の4-7員の環状炭化水素基又は置換されてもよい4-7員の飽和又は不飽和の複素環基であり、前記複素環基は、O、N、S及びPからなる群より選ばれるヘテロ原子を1-2個含み;
とRは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、-COOH、-CN、置換されてもよいC1-C6アルキル基、置換されてもよい6-16員のアリール基、置換されてもよい5-16員のヘテロアリール基、置換されてもよい4-8員の飽和又は不飽和のシクロアルキル基、置換されてもよい4-8員の飽和又は不飽和の複素環基、置換されてもよいC1-C6アルキルカルボニル基、置換されてもよい-C(O)O-(C1-C6アルキル基)、-C(O)(NR)、ボロン酸基、置換されてもよいC2-C8アルケニル基、置換されてもよいC2-C8アルキニル基、置換されてもよいC1-C6アルキルスルホニル基、置換されてもよいC1-C6アルキルスルフィニル基及び置換されてもよいC1-C6アルキルスルファニル基からなる群より選ばれ;その中、前記ヘテロアリール基又は複素環基は、N、O、S、Pからなる群より選ばれるヘテロ原子を1-3個含み;その中、R、Rは、それぞれ独立して、H、置換されてもよいC1-C6アルキル基、置換されてもよい3-8員のシクロアルキル基及び置換されてもよい4-8員の複素環基からなる群より選ばれ、或いは、RとRとNは、連結して置換されてもよい4-8員の複素環を形成し;その中、前記複素環は、N、O、S及びPからなる群より選ばれるヘテロ原子を1-3個含み;
は、H及び置換されてもよいC1-C6アルキル基からなる群より選ばれ;
とRは、それぞれ独立して、水素、重水素及び置換されてもよいC1-C6アルキル基からなる群より選ばれ;
、R、R、R、R10、RとRでいう「置換されてもよい」の置換基とは、H、ハロゲン、C1-C4アルキル基、C1-C4ハロアルキル基、ニトロ基、-OH、アミノ基、メトキシ基及びジメチルアミノ基からなる群より選ばれ一つ又は複数の置換基を有することを意味する
式Iで示されるインドリジン系化合物、その薬理学的許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物又は結晶多型
【請求項2】
は、
【化4】

であり;
10は、H、ハロゲン、-NH、-NO、置換されてもよいC1-C6アルキル基及び置換されてもよいC1-C4アルコキシ基からなる群より選ばれ;
は、H、ハロゲン、シアノ基及び置換されてもよいC1-C6アルキル基からなる群より選ばれ;好ましくは、Rは、置換されてもよいC1-C4アルキル基であり;さらに好ましくは、メチル基であり;
は、
【化5】

であり;
とR6’は、それぞれ独立して、H、メチル基、エチル基、プロピル基及びシクロプロピル基からなる群より選ばれ、かつRとR6’の少なくとも一つは、Hであり;
Xは、置換されてもよい飽和又は不飽和の4-7員の環状炭化水素基、又は置換されてもよい4-7員の飽和又は不飽和の複素環基であり;その中、前記複素環基は、O、N、S、Pからなる群より選ばれるヘテロ原子を1-2個含み;Xでいう置換基は、-OH、ハロゲン、tert-ブチルオキシカルボニル基、-NR、1-3つのRで置換されるC1-C4アルキル基、1-3つのRで置換されるC1-C4アルコキシ基、1-3つのRで置換されるC1-C4アルキルカルボニル基、1-3つのRで置換されるC1-C4アルコキシカルボニル基及び1-3つのRで置換されるC1-C4アルキルスルホニル基からなる群より選ばれ;それぞれのRは、独立して、H、ハロゲン、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アミノ基、-OH、メトキシ基及びエトキシ基からなる群より選ばれ;
とRは、それぞれ独立して、H、C1-C4アルキル基、C1-C4ハロアルキル基、
【化6】

からなる群より選ばれ;
とRは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、-COOH、-CN、置換されてもよいC1-C6アルキル基、置換されてもよい6-16員のアリール基、置換されてもよい5-16員のヘテロアリール基、置換されてもよい4-8員の飽和又は不飽和のシクロアルキル基、置換されてもよい4-8員の飽和又は不飽和の複素環基、置換されてもよいC1-C6アルキルカルボニル基、置換されてもよい-C(O)O-(C1-C6アルキル基)、-C(O)(NR)、ボロン酸基、置換されてもよいC2-C8アルケニル基、置換されてもよいC2-C8アルキニル基、置換されてもよいC1-C6アルキルスルホニル基、置換されてもよいC1-C6アルキルスルフィニル基及び置換されてもよいC1-C6アルキルスルファニル基からなる群より選ばれ;前記ヘテロアリール基又は複素環基は、N、O、S、Pからなる群より選ばれるヘテロ原子を1-3個含み;かつRとRでいう置換基は、ハロゲン、-CN、R45(C1-C4アルキル基)、R45(C1-C4アルコキシ基)、R45(C1-C4アルカノイル基)、R45(C1-C4アルキル基)スルホニル基、R45(C3-C8シクロアルキル基)、R45(4-8員の複素環基)及び-NRからなる群より選ばれ;前記複素環基は、N及びOからなる群より選ばれるヘテロ原子を1-2個含む複素環基であり;
それぞれのR45は、独立して、H、-OH、ハロゲン、tert-ブチルオキシカルボニル基、ハロC1-C4アルキル基、C1-C4アルキル基、C1-C4アルコキシ基、C1-C4アシル基、ジメチルアミン基、メチルアミノ基、ジエチルアミン基、メチルエチルアミノ基、エチルアミン基、
【化7】

からなる群より選ばれ;R451は、H、C1-C4アルキル基からなる群より選ばれ;その中、R、Rは、それぞれ独立して、H、置換されてもよいC1-C6アルキル基、置換されてもよい3-8員のシクロアルキル基及び置換されてもよい4-8員の複素環基からなる群より選ばれ、或いはRとRとNは、連結して置換されてもよい4-8員の複素環を形成し;その中、前記複素環は、N、O、S及びPからなる群より選ばれるヘテロ原子を1-3個含み;
とRは、それぞれ独立して、H、C1-C4アルキル基、C1-C4ハロアルキル基、
【化8】

からなる群より選ばれ;
は、H及び置換されてもよいC1-C6アルキル基からなる群より選ばれ;
とRは、それぞれ独立して、水素、重水素及び置換されてもよいC1-C6アルキル基からなる群より選ばれ;
、R、R、R、R10、RとRでいう「置換される」の置換基とは、H、ハロゲン、C1-C4アルキル基、C1-C4ハロアルキル基、ニトロ基、-OH、アミノ基、メトキシ基及びジメチルアミノ基からなる群より選ばれ一つ又は複数の置換基を有することを意味する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の式Iで示されるインドリジン系化合物、その薬理学的許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物又は結晶多型
【請求項3】
は、
【化9】

からなる群より選ばれ;
その中、Rは、H、1-3つのRで置換されるC1-C4アルキル基、1-3つのRで置換されるC1-C4アルキルカルボニル基、1-3つのRで置換されるC1-C4アルコキシカルボニル基、1-3つのRで置換されるC1-C4アルキルスルホニル基及びtert-ブチルオキシカルボニル基からなる群より選ばれ;
は、-OH、ハロゲン、1-3つのRで置換されるC1-C4アルキル基、 1-3つのRで置換されるC1-C4アルコキシ基及び-NRからなる群より選ばれ;
は、H、ハロゲン及び-OHからなる群より選ばれ;
とRは、それぞれ独立して、H、C1-C4アルキル基、C1-C4ハロアルキル基、
【化10】

からなる群より選ばれ;
とR6’は、それぞれ独立して、H、メチル基及びエチル基からなる群より選ばれ、かつRとR6’の少なくとも一つは、Hであり;
より好ましくは、Rは、
【化11】

からなる群より選ばれ;
その中、Rは、H及びR(C1-C3アルキル基)からなる群より選ばれ;
は、-OH、ハロゲン、R(C1-C3アルキル基)、R(C1-C3アルコキシ基)及び-N(C1-C3アルキル基)からなる群より選ばれ;
は、H、ハロゲン、トリフルオロメチル基及びジフルオロメチル基からなる群より選ばれ;
とR6’は、それぞれ独立して、H、メチル基及びエチル基からなる群より選ばれ、かつRとR6’の少なくとも一つは、Hであり;
最も好ましくは、
は、
【化12】

からなる群より選ばれ;
は、フッ素で置換されるC1-C3アルキル基からなる群より選ばれ;
とR6’は、それぞれ独立して、H及びメチル基からなる群より選ばれ、かつRとR6’の少なくとも一つは、Hである、
ことを特徴とする、請求項1に記載の式Iで示されるインドリジン系化合物、その薬理学的許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物又は結晶多型
【請求項4】
又はRは、それぞれ独立して、H、R55C1-C4アルキル基、-CN、ハロゲン、R55C1-C4アルキルカルボニル基、R55(C1-C4アルコキシ基)カルボニル基、-COOH、-C(O)(NR)、
【化13】

【化14】

及びR55C1-C3アルキニル基からなる群より選ばれ;
nは、R55置換基の数であり、1、2及び3からなる群より選ばれ;
55は、H、R551C1-C4アルキル基、R551C3-C8シクロアルキル基、ハロゲン、-CN、-NR、(R551C1-C4アルキル基)O-、R551C1-C4アルキルスルホニル基、
【化15】

551(C1-C6)アルキル基OC(O)-、-COOH及び-C(O)(NR)からなる群より選ばれ;その中、R551は、H、-OH、ハロゲン、ハロC1-C4アルキル基、C1-C4アルキル基、C1-C4アルコキシ基、アミノ基、ジメチルアミン基、メチルアミノ基、ジエチルアミン基、メチルエチルアミノ基、エチルアミン基、
【化16】

であり;
、Rは、それぞれ独立して、H、C1-C4アルキル基、Rb’’(C1-C4)アルキル基、フェニル基、ハロフェニル基、及びRb’で置換される複素環基からなる群より選ばれ;或いはRとRと連結するNは、一緒にしてRb’で置換される4-8員の複素環基を形成し、前記複素環基は、N及びOからなる群より選ばれるヘテロ原子を1-2個含み;
b’’は、H、-OH、C1-C3アルコキシ基、ジメチルアミン基、
【化17】

からなる群より選ばれ;
b’は、H、C1-C4アルキル基、tert-ブチルオキシカルボニル基及びC1-C4アルカノイル基からなる群より選ばれ;
より好ましくは、
又はRは、それぞれ独立して、H、
【化18】

からなる群より選ばれ;
nは、R55置換基の数であり、1及び2からなる群より選ばれ;
55は、H、C1-C4アルキル基、ハロゲン、-NH、(C1-C2アルキル基)NH-及びジメチルアミン基からなる群より選ばれる、
ことを特徴とする、請求項1に記載の式Iで示されるインドリジン系化合物、その薬理学的許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物又は結晶多型
【請求項5】
は、
【化19】

であり;
とR6’は、それぞれ独立して、H、メチル基、エチル基及びプロピル基からなる群より選ばれ、かつRとR6’の少なくとも一つは、Hであり;
Xは、置換されてもよいピラニル基、置換されてもよいピペリジニル基、置換されてもよいピペラジニル基及び置換されてもよいモルホリニル基からなる群より選ばれ、かつXでいう置換基は、C1-C4アルキル基及びハロC1-C4アルキル基からなる群より選ばれ;より好ましくは、Xでいう置換基は、トリフルオロエチルであり;
は、メチル基であり;
10は、未置換又はハロゲン置換のC1-C4アルキル基及び未置換又はハロゲン置換のC1-C4アルコキシ基からなる群より選ばれ;
、Rは、それぞれ独立して、H、置換されてもよいピリジル基、置換されてもよいピリミジニル基、置換されてもよいピリダジニル基、置換されてもよいピラジル基、置換されてもよいトリアゾリル基及び置換されてもよいピロロピリジル基からなる群より選ばれ;
とRでいう置換基は、H、C1-C4アルキル基、ハロゲン及び-NRからなる群より選ばれ;
とRは、それぞれ独立して、H、C1-C4アルキル基及びハロC1-C4アルキル基からなる群より選ばれる、
ことを特徴とする、請求項1に記載の式Iで示されるインドリジン系化合物、その薬理学的許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物又は結晶多型
【請求項6】
は、メチル基であり;
は、
【化20】

であり;RとR6’は、それぞれ独立して、H又はメチル基からなる群より選ばれ、かつRとR6’の少なくとも一つは、Hであり;
Xは、モルホリニル基、トリフルオロエチルピペラジニル基及びトリフルオロエチルピペリジニル基からなる群より選ばれ;さらに好ましくは、モルホリニル基、2,2,2-トリフルオロエチルピペラジニル基又は2,2,2-トリフルオロエチルピペリジニル基であり;
とRは、独立して、H、ジメチルアミノピリジン及びメチルアミノピリジンからなる群より選ばれ;さらに好ましくは、H、2-ジメチルアミノピリジン又は2-メチルアミノピリジンであり;
、RとRは、水素であり;
10は、メトキシ基である、
ことを特徴とする、請求項1に記載の式Iで示されるインドリジン系化合物、その薬理学的許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物又は結晶多型
【請求項7】
前記式Iで示されるインドリジン系化合物は、以下の化合物からなる群より選ばれる、ことを特徴とする、請求項1記載の式Iで示されるインドリジン系化合物、その薬理学的許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物又は結晶多型
【化21】
【請求項8】
上記の式Iで示されるインドリジン系化合物又はその薬理学的許容される塩の製造方法であって、以下の方法のいずれかを含み、即ち、
方法一:
【化22】

(1)塩基の存在下で、化合物aと化合物bの縮合反応により、化合物cを生成する工程と;
(2)ルイス酸の存在下で、化合物cと第二級アミンの脱水反応によりエナミン化合物dを生成する工程と;
(3)化合物dの加水分解により、化合物eを生成する工程と;
(4)化合物eとアミンfの縮合反応により、化合物I-1を生成する工程と、
[その中、R、R、R、R、R、R6’、R、RとRの定義は、請求項1に記載の通りであり、かつRは、C1-C4直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であり;丸Xは、置換されてもよい4-7員の飽和又は不飽和の複素環基であり、前記複素環基は、少なくとも一つのN原子を含み、その任意の置換基の定義は、請求項1記載のXの置換基の通りである]
を含む方法一と、
方法二:
【化23】

(5)不活性溶媒において、三塩化チタン又は四塩化チタンと、還元性試薬との存在下で、化合物cと対応するケトンのマクマリー反応により、化合物gを生成する工程と;
(6)化合物gの加水分解反応により、化合物hを生成する工程と;
(7)化合物gとアミンfの縮合反応により、化合物I-2を生成する工程と;
[その中、R、R、R、R、R、R6’、R、RとRの定義は、請求項1に記載の通りであり、かつRは、C1-C4直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であり;丸Yは、であり置換されてもよい飽和又は不飽和の4-7員の環状炭化水素基又は置換されてもよい4-7員の飽和又は不飽和の複素環基であり;その中、前記複素環基は、O、N、S及びPからなる群より選ばれる1-2個のヘテロ原子を含み、その任意の置換基の定義は、請求項1記載のXの置換基の通りである]
を含む方法二と、
を含む上記の式Iで示されるインドリジン系化合物又はその薬理学的許容される塩の製造方法。
【請求項9】
(1)活性成分として、治療有効量の請求項1~7のいずれか一項に記載のインドリジン系化合物、その薬理学的許容される塩、そのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物又は結晶多型と、
(2)薬理学的許容される担体と、
を含む、ことを特徴とする医薬組成物。
【請求項10】
請求項1~7のいずれか一項に記載のインドリジン系化合物、その薬理学的許容される塩、そのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物又は結晶多型、又は請求項9に記載の医薬組成物の使用であって、
(a)EZH1/2変異、活性又は発現量に関連する疾患を予防又は治療する医薬の製造;
(b)EZH2及びその変異体の活性の体外非治療的阻害;及び/又は
(c)腫瘍細胞の増殖の体外非治療的阻害、
からなる群より選ばれる使用。
【請求項11】
前記EZH1/2変異、活性又は発現量に関連する疾患は、腫瘍、及び自己免疫性疾患からなる群より選ばれる、
ことを特徴とする請求項10に記載の使用
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬化学分野に関し、具体的に、本発明は、インドリジン系化合物又はその薬理学的許容される塩、製造方法に関する。本発明のインドリジン系化合物は、悪性腫瘍等のようなZeste遺伝子エンハンサーホモログ1/2(EZH1/2)に関連する疾患を治療する医薬の製造に用いられる。
【背景技術】
【0002】
エピジェネティクスとは、遺伝子のヌクレオチド配列が変化しないが、遺伝子の発現に遺伝的な変化を生じることを意味する。このような現象は、細胞の増殖、分化、生存並びにアポトーシス等を含むプロセスの調節に重要な役割を果たす。エピジェネティクスによる調節の重要なメカニズムの一つは、ヒストンの共有結合修飾である。真核細胞では、DNAは、ヒストンの周辺を包み込み、クロマチンの基本構造であるヌクレオソームを形成する。それぞれのヌクレオソームには、H2A、H2B、H3及びH4がそれぞれ二分子あり、ヒストンオクタマーを形成する。ヒストンのそれぞれのN末端アミノ酸末端でメチル化、アセチル化、リン酸化、ユビキチン化等のような様々な共有結合修飾が発生することにより、遺伝子の発現を制御する。ヒストンメチル化を触媒する酵素は、ヒストンメチルトランスフェラーゼ(HMTs)と呼ばれる。
【0003】
ポリコーム阻害複合体2、即ちPRC2(polycomb repressive complex 2)は、多タンパク質複合体であり、ヒストンH3の27位のリシン(H3K27)メチル化を触媒する機能があり、それにより関連する遺伝子の沈黙に繋がる。PRC2の触媒サブユニットは、EZH1又はEZH2であるが、単独で存在するEZH1又はEZH2が触媒機能を有さず、EED(embryonic ectoderm development)及びSUZ12(suppressor of Zeste 12 homolog)と結合しなければ、メチル基転移の作用を発揮することができない。EZH2は、様々な腫瘍(例えば、乳癌、結腸直腸癌、子宮内膜腫瘍、胃癌、肝臓癌、腎臓癌、肺癌、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌及び膀胱癌等)の細胞で高く発現し、腫瘍細胞の増殖、浸潤、薬物耐性及び遊走等の過程に密接に関連する。
【0004】
近年、非ホジキンリンパ腫の8-24%には、Y641F、Y641N、Y641S、Y641H、A677G及びA687V等のようなEZH2変異が発見される。野生型のEZH2と比較して、これらの変異体により、ヒストンH3の27位のリシンのジメチル化及びトリメチル化の触媒機能が強化される。EZH2の過剰発現又は変異により、いずれもH3の27位のリシンのトリメチル化生成物(H3K27me3)のレベルが上昇させ、高レベルのH3K27me3は、腫瘍細胞の増殖及び生存に重要な役割を果たす。異常なEZH2活性は、腫瘍の形成及び発達に繋がり、EZH2により調節される複数の標的遺伝子が腫瘍抑制遺伝子であり、腫瘍抑制遺伝子の沈黙は、重要なメカニズムの一つであるとみなされる。siRNA又はshRNAによるEZH2のダウンレギュレーション、又はSAH加水分解酵素阻害剤である3-deazaneplanocin A(3-DZNep)によるEZH2の間接的阻害は、明らかに腫瘍細胞の体外増殖及び浸潤、並びに体内腫瘍の成長を低下させることができる。
【0005】
EZH2は、T細胞の分化過程にも重要な役割を果たす。EZH2は、IFN-γ、IL-4、IL-5等のようなTh1/Th2サイトカインの発現を低下させ、Th1/Th2依存性のT細胞遊走を阻害し、制御性T細胞を活性化する。腫瘍微小環境では、EZH2によるTh1細胞でのCXCL9及びCXCL10のようなケモカインの分泌の阻害は、腫瘍免疫回避の重要なメカニズムの一つである。
【0006】
まとめると、当分野において、野生型及び/又は変異型のEZH1/2を阻害できる有効な医薬の開発は、依然として緊迫な需要がある。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、インドリジン系化合物又はその薬理学的許容される塩を提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、インドリジン系化合物又はその薬理学的許容される塩の製造方法を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、前記インドリジン系化合物又はその薬理学的許容される塩を含む医薬組成物を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、抗腫瘍の医薬、自己免疫性疾患を予防及び/又は治療する医薬の製造における前記インドリジン系化合物又はその薬理学的許容される塩又は前記インドリジン系化合物又はその薬理学的許容される塩を含む組成物の使用を提供することである。
【0011】
本発明の第1の側面は、式Iで示されるインドリジン系化合物、その薬理学的許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、結晶多型又はプロドラッグを提供することである。
【0012】
【化1】
【0013】
[その中、
は、
【0014】
【化2】
【0015】
からなる群より選ばれ;
【0016】
10は、H、ハロゲン、-NH、-NO、置換されてもよいC1-C6アルキル基及び置換されてもよいC1-C4アルコキシ基からなる群より選ばれ;
【0017】
は、H、ハロゲン、シアノ基及び置換されてもよいC1-C6アルキル基からなる群より選ばれ;
【0018】
は、
【0019】
【化3】
【0020】
であり;
【0021】
とR6’は、それぞれ独立して、H、メチル基、エチル基、プロピル基及びシクロプロピル基からなる群より選ばれ、かつRとR6’の少なくとも一つは、Hであり;
【0022】
Xは、置換されてもよい飽和又は不飽和の4-7員の環状炭化水素基又は置換されてもよい4-7員の飽和又は不飽和の複素環基であり、前記複素環基は、O、N、S、Pからなる群より選ばれるヘテロ原子を1-2個含み;
【0023】
とRは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、-COOH、-CN、置換されてもよいC1-C6アルキル基、置換されてもよい6-16員のアリール基、置換されてもよい5-16員のヘテロアリール基、置換されてもよい4-8員の飽和又は不飽和のシクロアルキル基、置換されてもよい4-8員の飽和又は不飽和の複素環基、置換されてもよいC1-C6アルキルカルボニル基、置換されてもよい-C(O)O-(C1-C6アルキル基)、-C(O)(NR)、ボロン酸基、置換されてもよいC2-C8アルケニル基、置換されてもよいC2-C8アルキニル基、置換されてもよいC1-C6アルキルスルホニル基、置換されてもよいC1-C6アルキルスルフィニル基及び置換されてもよいC1-C6アルキルスルファニル基からなる群より選ばれ;その中、前記ヘテロアリール基又は複素環基は、N、O、S、Pからなる群より選ばれるヘテロ原子を1-3個含み;その中、R、Rは、それぞれ独立して、H、置換されてもよいC1-C6アルキル基、置換されてもよい3-8員のシクロアルキル基及び置換されてもよい4-8員の複素環基からなる群より選ばれ、或いはRとRとNは、連結して置換されてもよい4-8員の複素環を形成し;その中、前記複素環は、N、O、S、Pからなる群より選ばれるヘテロ原子を1-3個含み;
【0024】
は、H及び置換されてもよいC1-C6アルキル基からなる群より選ばれ;
【0025】
とRは、それぞれ独立して、水素、重水素及び置換されてもよいC1-C6アルキル基からなる群より選ばれ;
【0026】
、R、R、R、R10、RとRでいう「置換されてもよい」の置換基とは、H、ハロゲン、C1-C4アルキル基、C1-C4ハロアルキル基、ニトロ基、-OH、アミノ基、メトキシ基、ジメチルアミノ基からなる群より選ばれる一つ又は複数(例えば、1、2、3又は4つ)の置換基を有することを意味する。]
【0027】
別の好ましい例では、
は、
【0028】
【化4】
【0029】
であり;
【0030】
10は、H、ハロゲン、-NH、-NO、置換されてもよいC1-C6アルキル基及び置換されてもよいC1-C4アルコキシ基からなる群より選ばれ;
【0031】
は、H、ハロゲン、シアノ基及び置換されてもよいC1-C6アルキル基からなる群より選ばれ;
【0032】
は、
【0033】
【化5】
【0034】
であり;
【0035】
とR6’は、それぞれ独立して、H、メチル基、エチル基、プロピル基及びシクロプロピル基からなる群より選ばれ、かつRとR6’の少なくとも一つは、Hであり;
【0036】
Xは、置換されてもよい飽和又は不飽和の4-7員の環状炭化水素基、又は置換されてもよい4-7員の飽和又は不飽和の複素環基であり;その中、前記複素環基は、O、N、S、Pからなる群より選ばれるヘテロ原子を1-2個含み;Xでいう置換基は、-OH、ハロゲン、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)基、-NR、1-3つのRで置換されるC1-C4アルキル基、1-3つのRで置換されるC1-C4アルコキシ基、1-3つのRで置換されるC1-C4アルキルカルボニル基、1-3つのRで置換されるC1-C4アルコキシカルボニル基及び1-3つのRで置換されるC1-C4アルキルスルホニル基からなる群より選ばれ;それぞれのRは、独立して、H、ハロゲン、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アミノ基、-OH、メトキシ基及びエトキシ基からなる群より選ばれ;
【0037】
とRは、それぞれ独立して、H、C1-C4アルキル基、C1-C4ハロアルキル基、
【0038】
【化6】
【0039】
からなる群より選ばれ;
【0040】
とRは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、-COOH、-CN、置換されてもよいC1-C6アルキル基、置換されてもよい6-16員のアリール基、置換されてもよい5-16員のヘテロアリール基、置換されてもよい4-8員の飽和又は不飽和のシクロアルキル基、置換されてもよい4-8員の飽和又は不飽和の複素環基、置換されてもよいC1-C6アルキルカルボニル基、置換されてもよい-C(O)O-(C1-C6アルキル基)、-C(O)(NR)、ボロン酸基、置換されてもよいC2-C8アルケニル基、置換されてもよいC2-C8アルキニル基、置換されてもよいC1-C6アルキルスルホニル基、置換されてもよいC1-C6アルキルスルフィニル基及び置換されてもよいC1-C6アルキルスルファニル基からなる群より選ばれ;前記ヘテロアリール基又は複素環基は、N、O、S、Pからなる群より選ばれるヘテロ原子を1-3個含み;かつRとRでいう置換基は、ハロゲン、-CN、R45(C1-C4アルキル基)、R45(C1-C4アルコキシ基)、R45(C1-C4アルカノイル基)、R45(C1-C4アルキル基)スルホニル基、R45(C3-C8シクロアルキル基)、R45(4-8員の複素環基)及び-NRからなる群より選ばれ;前記複素環基は、N及びOからなる群より選ばれるヘテロ原子を1-2個含む複素環基であり;
【0041】
それぞれのR45は、独立して、H、-OH、ハロゲン、-Boc、ハロC1-C4アルキル基、C1-C4アルキル基、C1-C4アルコキシ基、C1-C4アシル基、ジメチルアミン基、メチルアミノ基、ジエチルアミン基、メチルエチルアミノ基、エチルアミン基、
【0042】
【化7】
【0043】
からなる群より選ばれ;
【0044】
451は、H、C1-C4アルキル基からなる群より選ばれ;その中、R、Rは、それぞれ独立して、H、置換されてもよいC1-C6アルキル基、置換されてもよい3-8員のシクロアルキル基及び置換されてもよい4-8員の複素環基からなる群より選ばれ、或いはRとRとNは、連結して置換されてもよい4-8員の複素環を形成し;その中、前記複素環は、N、O、S及びPからなる群より選ばれるヘテロ原子を1-3個含み;
【0045】
とRは、それぞれ独立して、H、C1-C4アルキル基、C1-C4ハロアルキル基、
【0046】
【化8】
【0047】
からなる群より選ばれ;
【0048】
は、H及び置換されてもよいC1-C6アルキル基からなる群より選ばれ;
【0049】
とRは、それぞれ独立して、水素、重水素及び置換されてもよいC1-C6アルキル基からなる群より選ばれ;
【0050】
、R、R、R、R10、RとRでいう「置換される」の置換基とは、H、ハロゲン、C1-C4アルキル基、C1-C4ハロアルキル基、ニトロ基、-OH、アミノ基、メトキシ基及びジメチルアミノ基からなる群より選ばれる一つ又は複数(例えば、1、2、3又は4つ)の置換基を有することを意味する。
【0051】
別の好ましい例では、Rは、置換されてもよいC1-C4アルキル基であり;より好ましくは、メチル基である。
【0052】
別の好ましい例では、Rは、
【0053】
【化9】
【0054】
からなる群より選ばれ;
【0055】
その中、Rは、H、1-3つのRで置換されるC1-C4アルキル基、1-3つのRで置換されるC1-C4アルキルカルボニル基、1-3つのRで置換されるC1-C4アルコキシカルボニル基、1-3つのRで置換されるC1-C4アルキルスルホニル基及びBocからなる群より選ばれ;
【0056】
は、-OH、ハロゲン、1-3つのRで置換されるC1-C4アルキル基、1-3つのRで置換されるC1-C4アルコキシ基及び-NRからなる群より選ばれ;
【0057】
は、H、ハロゲン及び-OHからなる群より選ばれ;
【0058】
とRは、それぞれ独立して、H、C1-C4アルキル基、C1-C4ハロアルキル基、
【0059】
【化10】
【0060】
からなる群より選ばれ;
【0061】
とR6’は、それぞれ独立して、H、メチル基及びエチル基からなる群より選ばれ、かつRとR6’の少なくとも一つは、Hであり;
【0062】
より好ましくは、Rは、
【0063】
【化11】
【0064】
からなる群より選ばれ;
【0065】
その中、Rは、H及びR(C1-C3アルキル基)からなる群より選ばれ;
【0066】
は、-OH、ハロゲン、R(C1-C3アルキル基)、R(C1-C3アルコキシ基)及び-N(C1-C3アルキル基)からなる群より選ばれ;
は、H、ハロゲン、トリフルオロメチル基及びジフルオロメチル基からなる群より選ばれ;
【0067】
とR6’は、それぞれ独立して、H、メチル基及びエチル基からなる群より選ばれ、かつRとR6’の少なくとも一つは、Hであり;
【0068】
最も好ましくは、
は、
【0069】
【化12】
【0070】
からなる群より選ばれ;
【0071】
は、フッ素で置換されるC1-C3アルキル基からなる群より選ばれ;
【0072】
とR6’は、それぞれ独立して、H及びメチル基からなる群より選ばれ、かつRとR6’の少なくとも一つは、Hである。
【0073】
別の好ましい例では、R又はRは、それぞれ独立して、H、R55C1-C4アルキル基、-CN、ハロゲン、R55C1-C4アルキルカルボニル基、R55(C1-C4アルコキシ基)カルボニル基、-COOH、-C(O)(NR)、
【0074】
【化13】
【0075】
【化14】
【0076】
及びR55C1-C3アルキニル基からなる群より選ばれ;
【0077】
nは、R55置換基の数であり、1、2及び3からなる群より選ばれ;
55は、H、R551C1-C4アルキル基、R551C3-C8シクロアルキル基、ハロゲン、-CN、-NR、(R551C1-C4アルキル基)O-、R551C1-C4アルキルスルホニル基、
【0078】
【化15】
【0079】
551(C1-C6)アルキル基OC(O)-、-COOH及び-C(O)(NR)からなる群より選ばれ;その中、R551は、H、-OH、ハロゲン、ハロC1-C4アルキル基、C1-C4アルキル基、C1-C4アルコキシ基、アミノ基、ジメチルアミン基、メチルアミノ基、ジエチルアミン基、メチルエチルアミノ基、エチルアミン基、
【0080】
【化16】
【0081】
であり;
【0082】
、Rは、それぞれ独立して、H、C1-C4アルキル基、Rb’’(C1-C4)アルキル基、フェニル基、ハロフェニル基、及びRb’で置換される複素環基からなる群より選ばれ;或いはRとRと連結するNは、一緒にしてRb’で置換される4-8員の複素環基を形成し、前記複素環基は、N及びOからなる群より選ばれるヘテロ原子を1-2個含み;
【0083】
b’’は、H、-OH、C1-C3アルコキシ基、ジメチルアミン基、
【0084】
【化17】
【0085】
からなる群より選ばれ;
【0086】
b’は、H、C1-C4アルキル基、Boc及びC1-C4アルカノイル基からなる群より選ばれ;
【0087】
より好ましくは、
又はRは、それぞれ独立して、H、
【0088】
【化18】
【0089】
からなる群より選ばれ;
【0090】
nは、R55置換基の数であり、1及び2からなる群より選ばれ;
【0091】
55は、H、C1-C4アルキル基、ハロゲン、-NH、(C1-C2アルキル基)NH-及びジメチルアミン基からなる群より選ばれる。
【0092】
別の好ましい例では、Rは、
【0093】
【化19】
【0094】
であり;
【0095】
とR6’は、それぞれ独立して、H、メチル基、エチル基及びプロピル基からなる群より選ばれ、かつRとR6’の少なくとも一つは、Hであり;
【0096】
Xは、置換されてもよいピラニル基、置換されてもよいピペリジニル基、置換されてもよいピペラジニル基及び置換されてもよいモルホリニル基からなる群より選ばれ、かつXでいう置換基は、C1-C4アルキル基及びハロC1-C4アルキル基からなる群より選ばれ;より好ましくは、Xでいう置換基は、トリフルオロエチルであり;
【0097】
は、メチル基であり;
【0098】
10は、未置換又はハロゲン置換のC1-C4アルキル基及び未置換又はハロゲン置換のC1-C4アルコキシ基からなる群より選ばれ;
【0099】
とRは、それぞれ独立して、H、置換されてもよいピリジル基、置換されてもよいピリミジニル基、置換されてもよいピリダジニル基、置換されてもよいピラジル基、置換されてもよいトリアゾリル基及び置換されてもよいピロロピリジル基からなる群より選ばれ;
【0100】
とRでいう置換基は、H、C1-C4アルキル基、ハロゲン及び-NRからなる群より選ばれ;
【0101】
とRは、それぞれ独立して、H、C1-C4アルキル基及びハロC1-C4アルキル基からなる群より選ばれる。
【0102】
別の好ましい例では、
は、メチル基であり;
は、
【0103】
【化20】
【0104】
であり;RとR6’は、それぞれ独立して、H又はメチル基からなる群より選ばれ、かつRとR6’の少なくとも一つは、Hであり;
【0105】
Xは、モルホリニル基、トリフルオロエチルピペラジニル基及びトリフルオロエチルピペリジニル基からなる群より選ばれ;さらに好ましくは、モルホリニル基、2,2,2-トリフルオロエチルピペラジニル基又は2,2,2-トリフルオロエチルピペリジニル基であり;
【0106】
とRは、独立して、H、ジメチルアミノピリジン及びメチルアミノピリジンからなる群より選ばれ;さらに好ましくは、H、2-ジメチルアミノピリジン又は2-メチルアミノピリジンであり;
【0107】
、RとRは、水素であり;
【0108】
10は、メトキシ基である。
【0109】
別の好ましい例では、前記式Iで示されるインドリジン系化合物は、以下の化合物からなる群より選ばれる。
【0110】
【化21】
【0111】
別の好ましい例では、前記式Iで示されるインドリジン系化合物は、以下の化合物からなる群より選ばれる。
【0112】
【化22】
【0113】
本発明の第2の側面では、以下の方法のいずれかを含む、上記の式Iで示されるインドリジン系化合物又はその薬理学的許容される塩の製造方法を提供する。
【0114】
方法一:
【0115】
【化23】
【0116】
方法一は、
(1)水素化ナトリウム、カリウム tert-ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム及び炭酸ナトリウムからなる群より選ばれる一つ又は複数の組合せである塩基の存在下で、化合物aと化合物bの縮合反応により、化合物cを生成する工程と;
(2)四塩化チタン、チタン酸テトラエチル、チタン酸テトライソプロピル、三フッ化ホウ素、塩化銅及び三塩化アルミニウムからなる群より選ばれる一つ又は複数の組合せであるルイス酸の存在下で、化合物cと第二級アミンの脱水反応によりエナミン化合物dを生成する工程と;
(3)化合物dの加水分解により、化合物eを生成する工程と;
(4)化合物eとアミンfの縮合反応により、化合物I-1を生成する工程と、
[その中、R、R、R、R、R、R6’、R、RとRの定義は、前記の通りであり、かつRは、C1-C4直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であり;丸Xは、置換されてもよい4-7員の飽和又は不飽和の複素環基であり、前記複素環基は、少なくとも一つのN原子を含み、その任意の置換基の定義は、前記Xの置換基の通りである。]
を含む。
【0117】
方法二:
【0118】
【化24】
【0119】
方法二は、
(5)テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素及び酢酸エチルからなる群より選ばれる一つ又は複数の組合せである不活性溶媒において、三塩化チタン又は四塩化チタンと、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、亜鉛、水素化アルミニウムリチウム及び亜鉛銅偶からなる群より選ばれる一つ又は複数の組合せである還元性試薬との存在下で、化合物cと対応するケトンのマクマリー反応により、化合物gを生成する工程と;
(6)化合物gの加水分解反応により、化合物hを生成する工程と;
(7)化合物gとアミンfの縮合反応により、化合物I-2を生成する工程と;
[その中、R、R、R、R、R、R6’、R、RとRの定義は、前記の通りであり、かつRは、C1-C4直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であり;丸Yは、置換されてもよい飽和又は不飽和の4-7員の環状炭化水素基又は置換されてもよい4-7員の飽和又は不飽和の複素環基であり;その中、前記複素環基は、O、N、S及びPからなる群より選ばれる1-2個のヘテロ原子を含み、その任意の置換基の定義は、前記Xの置換基の通りである。]
を含む。
【0120】
本発明の第3の側面では、
(1)上記の式Iで示されるインドリジン系化合物、その薬理学的許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、結晶多型又はプロドラッグと、
(2)薬理学的許容される担体と、
を含む、医薬組成物を提供する。
【0121】
好ましくは、当該医薬組成物は、さらにその他の薬理学的許容される治療剤、特にその他の抗腫瘍薬を含む。前記治療剤は、シスプラチンのようなDNAの化学構造に作用する抗腫瘍薬、メトトレキサート(MTX)、5-フルオロウラシル(5FU)等のような核酸合成に影響する抗腫瘍薬、ドキソルビシン、エピルビシン、アクラシノマイシン、ミトラマイシン等のような核酸転写に影響する抗腫瘍薬、パクリタキセル、ビノレルビン等のようなチューブリン合成に作用する抗腫瘍薬、アミノグルテチミド、フォルメスタン、レトロゾール、アナストロゾール等のようなアロマターぜ阻害剤、上皮成長因子受容体阻害剤であるイマチニブ(Imatinib)、ゲフィチニブ(Gefitinib)、エルロチニブ(Erlotinib)、ラパチニブ(Lapatinib)等のような細胞シグナル経路阻害剤を含むが、これらに限定されない。
【0122】
本発明の第4の側面では、上記の式Iで示されるインドリジン系化合物、その薬理学的許容される塩、そのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、結晶多型又はプロドラッグの使用であって、
(a)EZH1/2変異、活性又は発現量に関連する疾患を予防又は治療する医薬の製造;
(b)EZH1/2及びその変異体の活性の体外非治療的阻害;及び/又は
(c)腫瘍細胞の増殖の体外非治療的阻害、
からなる群より選ばれる使用を提供する。
【0123】
好ましい一例では、前記EZH1/2変異、活性又は発現量に関連する疾患は、腫瘍、及び自己免疫性疾患からなる群より選ばれる。
【0124】
別の好ましい例では、前記EZH1/2変異、活性又は発現量に関連する疾患は、B細胞リンパ腫、悪性横紋筋腫、滑膜肉腫、乳癌、結腸直腸癌、子宮内膜腫瘍、胃癌、肝臓癌、腎臓癌、肺癌、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、鼻咽癌及び膀胱癌からなる群より選ばれる。
【0125】
なお、本発明の範囲内で、本発明の上記の各技術的特徴と以下に(例えば、実施例に)具体的に説明される各技術的特徴を互いに組合せることにより、新な又は好ましい技術案を形成することができると理解すべきである。簡潔の目的で、ここで詳細を省略する。
【0126】
用語の説明
特に定義しない限り、ここで用いる全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
ここで用いるように、具体的に挙げられた数値と共に使用される場合、「約」という用語は、当該値が挙げられた値から1%以下だけ変動できることを意味する。例えば、ここで用いるように、「約100」という表現は、99と101との間の全ての値(例えば、99.1、99.2、99.3、99.4等)を含む。
【0127】
ここで用いるように、「含有」又は「含む(含み)」という用語は、開放式、準閉鎖式及び閉鎖式の意味を有する。言い換えると、前記用語は、「基本的に・・・から構成される」、又は「・・・から構成される」ことも含む。
【0128】
基の定義
標準化学用語の定義は、参考文献(包括Carey and Sundberg "ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY 4TH ED." Vols.A(2000)and B(2001),Plenum Press,New York)に見つかることができる。特に説明しない限り、質量分析、NMR、IR及びUV/VIS分光法及び薬理学的方法のような本分野の技術範囲内の通常な方法を採用する。特に具体的に定義しない限り、本明細書には、分析化学、有機合成化学並びに医薬及び医薬化学に関連する記載で用いる用語は、本分野で既知のものである。化学合成、化学分析、医薬製造、製剤と送達、及び患者に対する治療には、標準的技術を使用することができる。例えば、キットに対するメーカーの説明書に準じてもよく、本分野で周知の方式又は本発明の説明に従って反応を実施し、精製を行ってもよい。一般的に、本明細書に引用及び記載されるいくつかの要約的及び具体的な文献における記載に従って、本分野で熟知の通常の方法により上記技術及び方法を実施することができる。本明細書には、当業者により基及びその置換基を選択して、安定な構造部分及び化合物を提供することができる。
【0129】
左から右へ書かれた一般的な化学式により置換基を記載する場合、当該置換基は、同じように右から左へ構造式を書く際に得られる化学的同等の置換基も含む。一例として、-CHO-は、-OCH-と同等なものである。
【0130】
ここで用いるの章の標題は、文書を整理するためのものであり、前記主題に対する制限として解釈すべきではない。特許、特許出願、記事、書籍、操作マニュアル及び論文を含むが、これらに限定されない本願に引用される全ての文献又は文献部分は、いずれも参照によりその全体で本明細書に組み込まれる。
【0131】
本明細書で定義されるいくつかの化学基の前には、簡略記号で、当該基に存在する炭素原子の合計数を示す。例えば、C1-C6アルキル基とは、合計1から6個の炭素原子を有する以下で定義されるようなアルキル基を意味する。簡略記号における炭素原子の合計数は、前記基に存在し得る置換基における炭素を含まない。
【0132】
上記に加えて、本願の明細書及び特許請求の範囲に用いられる場合、特に説明しない限り、以下の用語は、以下で示されるような意味を有する。
本願では、用語「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味する。
「ヒドロキシ基」とは、-OH基を意味する。
「ヒドロキシアルキル基」とは、ヒドロキシ(-OH)で置換される以下で定義されるようなアルキル基を意味する。
「カルボニル」とは、-C(=O)-イル基を意味する。
「ニトロ基」とは、-NOを意味する。
「シアノ」とは、-CNを意味する。
「アミノ」とは、-NHを意味する。
「置換されるアミノ」とは、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アラルキルアミノ基、ヘテロアラルキルアミノ基のような、以下で定義されるようなアルキル基、アルキルカルボニル基、アラルキル基、ヘテロアラルキル基の1つ又は2つで置換されるアミノ基を意味する。
「カルボキシル基」とは、-COOHを意味する。
【0133】
本願では、基又はその他の基の一部として(例えば、ハロゲンで置換されるアルキル基等の基において)、用語「アルキル基」とは、完全飽和の直鎖状又は分岐鎖状の鎖状炭化水素基を意味し、炭素原子と水素原子のみからなり、例えば1から12個(好ましくは1から8個、より好ましくは1から6個)の炭素原子を有し、かつ単結合で分子の残りの部分と連結するものであり、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、2-メチルブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、ヘプチル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基及びデシル等を含むが、これらに限定されない。本発明には、用語「アルキル基」とは、1から6個の炭素原子のアルキル基を意味する。
本願では、基又はその他の基の一部として、用語「アルケニル基」とは、炭素原子と水素原子のみからなり、少なくとも1つの二重結合を含み、例えば2から14個(好ましくは2から10個、より好ましくは2から6個)の炭素原子を有し、かつ単結合で分子の残りの部分と連結する直鎖状又は分岐鎖状の鎖状炭化水素基を意味し、例えばエテニル基、プロペニル基、アリル基、ブタン-1-エニル基、ブタン-2-エニル基、ペンタン-1-エニル基、ペンタン-1,4-ジエニル基等があるが、これらに限定されない。
【0134】
本願では、基又はその他の基の一部として、用語「環状炭化水素基」とは、炭素原子と水素原子のみからなる安定な非芳香族単環式又は多環式炭化水素基を意味し、縮合環系、架橋環系又はスピロ環系を含んでもよく、3から15個の炭素原子を有し、好ましくは3から10個の炭素原子を有し、より好ましくは3から8個の炭素原子を有し、かつ飽和又は不飽和でいずれかの適宜な炭素原子を介して単結合で分子の残りの部分と連結するものである。本明細書で特に説明しない限り、環状炭化水素基における炭素原子は、酸化されてもよい。シクロアルキル基の実例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、1H-インデニル基、2,3-インダニル基、1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフチル基、5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフチル基、8,9-ジヒドロ-7H-ベンゾシクロヘプテン-6-イル基、6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾシクロヘプテニル基、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロ-ベンゾシクロオクテニル基、フルオレニル基、ジシクロ[2.2.1]ヘプチル基、7,7-ジメチル-ジシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ジシクロ[2.2.1]ヘプテニル基、ジシクロ[2.2.2]オクチル基、ジシクロ[3.1.1]ヘプチル基、ジシクロ[3.2.1]オクチル基、ジシクロ[2.2.2]オクテニル基、ジシクロ[3.2.1]オクテニル基、アダマンタニル基、オクタヒドロ-4,7-メチレン-1H-インデニル基及びオクタヒドロ-2,5-メチレン-ビシクロペンタジエニル基等を含むが、これらに限定されない。
【0135】
本願では、基又はその他の基の一部として、用語「複素環基」とは、2から14個の炭素原子と、窒素、リン、酸素及び硫黄からなる群より選ばれる1から6個のヘテロ原子からなる安定な3員から20員の非芳香族環状基を意味する。本明細書で特に説明しない限り、複素環基は、単環、二環、三環又はより多い環の環系であってもよく、縮合環系、架橋環系又はスピロ環系を含んでもよく;その複素環基における窒素、炭素又は硫黄原子は、酸化されてもよく;窒素原子は、第四級アンモニウム化されてもよく;かつ複素環基は、部分又は完全飽和であってもよい。複素環基は、炭素原子又はヘテロ原子を介して単結合で分子の残りの部分と連結してもよい。縮合環を含む複素環基において、一つ又は複数の環は、以下で定義されるアリール基又はヘテロアリール基であってもよいが、分子の残りの部分との連結点が非芳香族シクロ原子であることを条件とする。本発明の目的から、複素環基は、好ましくは窒素、酸素及び硫黄からなる群より選ばれる1から3個のヘテロ原子を含む安定な4員から11員の非芳香性単環式、二環式、架橋環又はスピロ環基であり、より好ましくは窒素、酸素及び硫黄からなる群より選ばれる1から3個のヘテロ原子を含む安定な4員から8員の非芳香性単環式、二環式、架橋環又はスピロ環基である。複素環基の実例は、ピロリジニル基、モルホリニル基、ピペラジニル基、ホモピペラジニル基、ピペリジニル基、チオモルホリニル基、2,7-ジアザ-スピロ[3.5]ノラン-7-イル基、2-オキザ-6-アザ-スピロ[3.3]ヘプタン-6-イル基、2,5-ジアザ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル基、アゼチジニル基、ピラニル基、テトラヒドロピラニル基、チオピラニル基、テトラヒドロフラン基、オキサジニル基、ジオキソラニル基、テトラヒドロイソキノリニル基、デカヒドロイソキノリニル基、イミダゾニル基、イミダゾリジニル基、キノリジジニル基、チアゾリジニル基、イソチアゾリジニル基、イソオキサゾリジニル基、インドリニル基、オクタヒドロインドリル基、オクタヒドロイソインドリル基、ピロリジニル基、ピラゾリジニル基、フタルイミド基等を含むが、これらに限定されない。
【0136】
本願では、基又はその他の基の一部として、用語「アリール基」とは、6から18個の炭素原子を有する(好ましくは6から10個の炭素原子を有する)共役炭化水素環基を意味する。本発明の目的から、アリール基は、単環、二環、三環又はより多い環の環系であってもよく、上記で定義されるシクロアルキル基又は複素環基と縮合してもよいが、アリール基が芳香環上の原子を介して単結合で分子の残りの部分と連結することを条件とする。アリール基の実例は、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、フルオレニル基、2,3-ジヒドロ-1H-イソインドリル基、2-ベンゾオキサゾリドン、2H-1,4-ベンゾオキサジン-3(4H)-オン-7-イル基等を含むが、これらに限定されない。
【0137】
本願では、用語「アリールアルキル基」とは、上記で定義されるアリール基で置換される上記で定義されるアルキル基を意味する。
【0138】
本願では、基又はその他の基の一部として、用語「ヘテロアリール基」とは、環内に1から15個の炭素原子(好ましくは1から10個の炭素原子)と、窒素、酸素及び硫黄からなる群より選ばれる1から6個のヘテロ原子を有する5員から16員の共役環基を意味する。本明細書で特に説明しない限り、ヘテロアリール基は、単環、二環、三環又はより多い環の環系であってもよく、上記で定義されるシクロアルキル基又は複素環基と縮合してもよいが、ヘテロアリール基が芳香環上の原子を介して単結合で分子の残りの部分と連結することを条件とする。ヘテロアリール基における窒素、炭素又は硫黄原子は、酸化されてもよく;窒素原子は、第四級アンモニウム化されてもよい。本発明の目的から、ヘテロアリール基は、好ましくは窒素、酸素及び硫黄からなる群より選ばれる1から5個のヘテロ原子を含む安定な5員から12員の芳香性基であり、より好ましくは、窒素、酸素及び硫黄からなる群より選ばれる1から4個のヘテロ原子を含む安定な5員から10員の芳香性基、又は窒素、酸素及び硫黄からなる群より選ばれる1から3個のヘテロ原子を含む5員から6員の芳香性基である。ヘテロアリール基の実例は、チオフェニル基、イミダゾリル基、ピラジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、イソオキサゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジル基、ピリダジニル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾピラジル基、インドリル基、フラニル基、ピロール基、トリアゾリル基、テトラアゾリル基、トリアジニル基、インドリジン基、イソインドリル基、インダゾリル基、イソインダゾリル基、プリニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ジアザナフチル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、プテリジニル基、カバゾリル基、カルボリニル基、フェナントリジニル基、フェナントロリニル基、アクリジニル基、フェナジニル基、イソチアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチオフェニル基、オキサトリアゾリル基、シンノリニル基、キナゾリニル基、フェニルスルファニル基、インドリジニル基、o-ジアザフェナントレニル基、イソオキサゾリル基、フェノキサジニル基、フェノチアジニル基、4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ[b]チオフェニル基、ナフトピリジル基、[1,2,4]トリアゾ[4,3-b]ピリダジン、[1,2,4]トリアゾ[4,3-a]ピラジン、[1,2,4]トリアゾ[4,3-c]ピリミジン、[1,2,4]トリアゾ[4,3-a]ピリジン、イミダゾ[1,2-a]ピリジン、イミダゾ[1,2-b]ピリダジン、イミダゾ[1,2-a]ピラジン等を含むが、これらに限定されない。
本願では、用語「ヘテロアリールアルキル基」とは、上記で定義されるヘテロアリール基で置換される上記で定義されるアルキル基を意味する。
【0139】
本願では、「てもよい」とは、その前に記載される事件又は状況が発生するかしないか両方とも可能性があることを意味し、かつ当該記載は、当該事件又は状況が発生する場合と発生しない場合を同時に含む。例えば、「置換されてもよいアリール基」は、アリール基が置換される又は置換されないことを意味し、かつ当該記載は、置換されるアリール基と置換されないアリール基を同時に含む。例えば、置換基が明記に挙げられない場合に、ここで用いるの用語「置換」又は「~で置換される」とは、指定の原子又は基上の一つ又は複数の水素原子が独立して一つ又は複数、例えば1、2、3又は4つの置換基で置換されることを意味し、前記置換基は、独立して、重水素(D)、ハロゲン、-OH、スルファニル基、シアノ基、-CD、-C-Cアルキル基(好ましくは-C1-3アルキル基)、C-Cアルケニル基、C-Cアルキニル基、シクロアルキル基(好ましくは3-8員のシクロアルキル基)、アリール基、複素環基(好ましくは3-8員の複素環基)、ヘテロアリール基、アリール基-C-Cアルキル基-、ヘテロアリール基-C-Cアルキル基-、C-Cハロアルキル基-、-OC-Cアルキル基(好ましくは-OC-Cアルキル基)、-OC-Cアルケニル基、-OC-Cアルキルフェニル基、-C-Cアルキル基-OH(好ましくは-C-Cアルキル基-OH)、-C-Cアルキル基-SH、-C-Cアルキル基-O-C-Cアルキル基、-OC-Cハロアルキル基、-NH、-C-Cアルキル基-NH(好ましくは-C-Cアルキル基-NH)、-N(C-Cアルキル基)(好ましくは-N(C-Cアルキル基))、-NH(C-Cアルキル基)(好ましくは-NH(C-Cアルキル基))、-N(C-Cアルキル基)(C-Cアルキルフェニル基)、-NH(C-Cアルキルフェニル基)、ニトロ基、-C(O)-OH、-C(O)OC-Cアルキル基(好ましくは-C(O)OC-Cアルキル基)、-CONRii(その中、RとRiiは、H、D及びC1-6アルキル基であり、好ましくはC1-3アルキル基である。)、-NHC(O)(C-Cアルキル基)、-NHC(O)(フェニル基)、-N(C-Cアルキル基)C(O)(C-Cアルキル基)、-N(C-Cアルキル基)C(O)(フェニル基)、-C(O)C-Cアルキル基、-C(O)ヘテロアリール基(好ましくは-C(O)-5-7員のヘテロアリール基)、-C(O)C-Cアルキルフェニル基、-C(O)C-Cハロアルキル基、-OC(O)C-Cアルキル基(好ましくは-OC(O)C-Cアルキル基)、-S(O)-C-Cアルキル基、-S(O)-C-Cアルキル基、-S(O)-フェニル基、-S(O)-C-Cハロアルキル基、-S(O)NH、-S(O)NH(C-Cアルキル基)、-S(O)NH(フェニル基)、-NHS(O)(C-Cアルキル基)、-NHS(O)(フェニル)及び-NHS(O)(C-Cハロアルキル基)からなる群より選ばれ、その中、前記アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、アリール基、複素環基及びヘテロアリール基のそれぞれは、ハロゲン、-OH、-NH、シクロアルキル基、3-8員の複素環基、C-Cアルキル基、C-Cハロアルキル基-、-OC-Cアルキル基、-C-Cアルキル基-OH、-C-Cアルキル基-O-C-Cアルキル基、-OC-Cハロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、-C(O)-OH、-C(O)OC-Cアルキル基、-CON(C-Cアルキル基)、-CONH(C-Cアルキル基)、-CONH、-NHC(O)(C-Cアルキル基)、-NH(C-Cアルキル基)C(O)(C-Cアルキル基)、-SO(C-Cアルキル基)、-SO(フェニル基)、-SO(C-Cハロアルキル基)、-SONH、-SONH(C-Cアルキル基)、-SONH(フェニル基)、-NHSO(C-Cアルキル基)、-NHSO(フェニル)及び-NHSO(C-Cハロアルキル基)からなる群より選ばれる一つ又は複数の置換基でさらに置換されてもよい。一つの原子又は基が複数の置換基で置換される場合、前記置換基は、同じでも異なってもよい。ここで用いる用語「部分」、「構造部分」、「化学部分」、「基」、「化学基」とは、分子中の特定な段又は官能基を意味する。化学部分は、一般的に、分子に組み込まれる又は付加される化学実体とみなされる。
【0140】
「立体異性体」とは、同じ原子から構成され、同じ結合により結合されるが、異なる三次元構造を持つ化合物を意味する。本発明は、各々の立体異性体及びその混合物を含むようにする。
【0141】
本発明の化合物にアルケン二重結合が含まれる場合、特に説明しない限り、本発明の化合物は、E-とZ-幾何異性体を含むようにする。
【0142】
「互変異性体」とは、プロトンが分子の一つの原子から同一の分子の別の原子に転移してなる異性体を意味する。本発明の化合物の全ての互変異性形式は、本発明の範囲内に含まれる。
【0143】
本発明の化合物又はその薬理学的許容される塩は、一つ又は複数の不斉炭素原子を含む場合があり、かつそれによりエナンチオマー、ジアステレオマー及びその他の立体異性形式が発生することができる。各々の不斉炭素原子は、立体化学に基づいて(R)-又は(S)-として定義されることができる。本発明は、全ての可能な異性体、並びにそのラセミ体及び光学的純粋な形式を含むようにする。本発明の化合物の製造には、ラセミ体、ジアステレオマー又はエナンチオマーは、原料又は中間体として採用されてもよい。光学活性の異性体は、不斉合成原料又は不斉試薬を使用することにより製造されてもよく、通常技術を使用する、例えば結晶化並びにキラルクロマトグラフィー等の方法を採用することにより分割されてもよい。
【0144】
個別の異性体の製造/単離の通常技術は、適宜な光学的純粋な前駆体からの不斉合成、又はキラル高圧液体クロマトグラフィーのような方法によるラセミ体(又は塩又は誘導体のラセミ体)の分割を含み、例えば、Gerald Gubitz and Martin G.Schmid(Eds.),Chiral Separations,Methods and Protocols,Methods in Molecular Biology,Vol.243,2004;A.M.Stalcup,Chiral Separations,Annu.Rev.Anal.Chem.3:341-63,2010;Fumiss et al.(eds.),VOGEL’S ENCYCLOPEDIA OF PRACTICAL ORGANIC CHEMISTRY 5.sup.TH ED.,Longman Scientific and Technical Ltd.,Essex,1991,809-816;Heller,Acc.Chem.Res.1990,23,128を参照してもよい。
【0145】
本願では、用語「薬理学的許容される塩」は、薬理学的許容される酸付加塩及び薬理学的許容される塩基付加塩を含む。
【0146】
「薬理学的許容される酸付加塩」とは、遊離塩基の生物有効性を保持することができ、その他の副作用がない、無機酸又は有機酸との塩を意味する。無機酸塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等を含むが、これらに限定されなく;有機酸塩は、ギ酸塩、酢酸塩、2,2-ジクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、カプロン酸塩、カプリル酸塩、カプリン酸塩、ウンデシレン酸塩、グリコール酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩、セバシン酸塩、アジピン酸塩、グルタル酸塩、マロン酸塩、蓚酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、オレイン酸塩、桂皮酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、グルタミン酸塩、ピログルタミン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、サリチル酸塩、4-アミノサリチル酸塩、ナフタレンジスルホン酸塩等を含むが、これらに限定されない。これらの塩は、本分野で既知の方法により製造することができる。
【0147】
「薬理学的許容される塩基付加塩」とは、遊離酸の生物有効性を保持することができるとともにその他の副作用がない、無機塩基又は有機塩基との塩を意味する。無機塩基から誘導された塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、マンガン塩、アルミニウム塩等を含むが、これらに限定されない。好ましい無機塩は、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩である。有機塩基から誘導された塩は、第一級アミン系、第二級アミン系及び第三級アミン系、天然の置換されるアミン系を含む置換されるアミン系、環状アミン系及び塩基性イオン交換樹脂、例えばアンモニア、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルコサミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、ポリアミン樹脂等を含むが、これらに限定されない。好ましい有機塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリン及びカフェインを含む。これらの塩は、本分野で既知の方法により製造することができる。
【0148】
本願では、「医薬組成物」とは、本発明化合物と、生物活性化合物を哺乳動物(例えば、人)に送達するため本分野で通常に許容される媒介との製剤を意味する。当該媒介は、薬理学的許容される担体を含む。医薬組成物は、生体への投与を促進し、活性成分の吸収に寄与して、さらに生物活性を発揮するためのものである。
【0149】
ここで用いる用語「薬理学的許容される」とは、本発明化合物の生物活性又は性質に影響しない物質(例えば、担体又は希釈剤)を意味し、かつ毒性が比較的にないものであり、即ち、当該物質が、不良な生物反応を生じないように、又は、不良方式で組成物に含まれるいずれかの成分と相互作用しないように、個体に投与されることができる。
【0150】
本願では、「薬理学的許容される賦形剤」は、関連の政府管理部署で認可される人又は家畜への適用が許容されるいずれかのアジュバント、担体、賦形剤、流動促進剤、甘味剤、希釈剤、防腐剤、染料/着色剤、矯味剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、安定化剤、等張剤、溶媒又は乳化剤を含むが、これらに限定されない。
【0151】
本発明で記載される「腫瘍」は、神経膠腫、肉腫、黒色腫、関節軟骨腫、胆管瘤、白血病、消化管間質腫瘍、組織球性リンパ腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、膵臓癌、肺扁平上皮癌、肺腺癌、乳癌、前立腺癌、肝臓癌、皮膚癌、上皮細胞癌、子宮頸癌、卵巣癌、腸癌、鼻咽頭癌、脳癌、骨癌、食道癌、黒色腫、腎臓癌、口腔癌等の疾患を含むが、これらに限定されない。
【0152】
ここで用いる用語「予防的」、「予防」及び「防止」は、患者に疾患又は病症の発生又は悪化の可能性を低減させうることを含む。
ここで用いるの用語「治療」及びその他の類似の同義語は、以下の意味を含む。
(i)哺乳動物、特に当該疾患又は病症に罹りやすいが、当該疾患又は病症と診断されていない哺乳動物に、疾患又は病症が現れることを予防する;
(ii)疾患又は病症を阻害し、即ち、その発達を抑制する;
(iii)疾患又は病症を緩和し、即ち、当該疾患又は病症の状態を解消する;又は、
(iv)当該疾患又は病症により引き起こされる症状を軽減する。
【0153】
ここで用いる用語「有効量」、「治療有効量」又は「薬学的有効量」とは、投与した後にある程度に治療される疾患又は病症一つ又は複数症状の少なくともいずれかを緩和するのに十分な薬剤又は化合物の量を意味する。その結果は、徴候、症状又は病因の消滅及び/又は緩和であってもよく、生物学的体系のいずれかその他の所望の変化であってもよい。例えば、治療のための「有効量」は、臨床的に有意な病症緩和効果を提供するのに必要なここで開示される化合物を含む組成物の量を意味する。用量漸増試験などの手法を使用して、個々の症例に適した有効量を決定できる。
【0154】
ここで用いる用語「服用」、「適用」、「投与」等とは、化合物又は組成物を生物学的作用のために所望の部位に送達できる方法を意味する。これらの方法は、経口経路、経十二指腸経路、非経口注射(静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内、動脈内注射又は注入を含む)、局所投与、及び直腸投与を含むが、これらに限定されない。当業者は、ここで記載される化合物及び方法で使用できる適用技術、例えば、Goodman and Gilman,The Pharmacological Basis of Therapeutics,current ed.; Pergamon; and Remington’s,Pharmaceutical Sciences(current edition),Mack Publishing Co.,Easton,Paに記載されるものを熟知する。好ましい実施形態では、ここで記載される化合物及び組成物は、経口投与される。
【0155】
ここで用いる用語「医薬の組合せ」、「医薬の併用」、「併用療法」、「その他の治療の投与」、「その他の治療薬の投与」等とは、一種異常の活性成分を混合する又は組合せてなる医薬による治療を意味し、活性成分の固定及び非固定の組合せを含む。用語「固定の組合せ」とは、単一の実体又は単一の剤形として、少なくとも一つのここで記載される化合物及び少なくとも一つの相乗薬剤を患者に同時投与することを意味する。用語「不固定の組合せ」とは、単独の実体として、少なくとも一つのここで記載される化合物及び少なくとも一つの相乗薬剤を患者に同時投与、併用、又は調整可能な時間間隔で逐次投与することを意味する。これらは、カクテル療法にも適用され、例えば、三つ以上の活性成分を投与する。
【0156】
なお、当業者は、以下で記載される方法において、中間体化合物の官能基が適切な保護基で保護される必要があると理解すべきである。このような官能基は、ヒドロキシ基、アミノ基、スルファニル基及びカルボン酸を含む。適切なヒドロキシ基の保護基は、トリアルキルシリル基又はジアリールアルキルシリル基(例えば、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基又はトリメチルシリル基)、テトラヒドロピラニル基、ベンジル基等を含む。適切なアミノ基、アミジニル基及びグアニジニル基の保護基は、tert-ブチルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル等を含む。適切なスルファニル基の保護基は、-C(O)-R’’(その中、R’’は、アルキル基、アリール基又はアラルキルである)、p-メトキシベンジル基、トリチル基等を含む。適切なカルボキシル基の保護基は、アルキル基、アリール基又はアラルキルエステル系を含む。
【0157】
保護基は、当業者に既知の技術、及びここで記載される標準技術により導入及び除去することができる。保護基の使用の詳細は、Greene,T.W.与P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organi Synthesis,(1999),4th Ed.,Wileyに記載される。保護基は、ポリマー樹脂であってもよい。
【0158】
有益な効果
1.式Iで示されるインドリジン系化合物又はその薬理学的許容される塩を提供する。
2.EZH1/2変異に関連する疾患を予防及び治療するための構造的に新規な医薬組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0159】
本発明について、以下、具体的な実施例を参照しながら、さらに説明する。なお、これらの実施例は、本発明を説明するために用いられるが、本発明の範囲を限定するものではないと理解すべきである。以下の実施例で具体的な条件が明記されない実験方法は、一般的に通常の条件に従ったり、メーカが推奨する条件に従ったりすることである。特に説明しない限り、百分率及び部数は、重量百分率及び重量部数であるものとする。
【0160】
以下の実施例で使用された実験材料及び試薬は、特に説明しない限り、いずれも市販品として入手することができる。
【0161】
各実施例では、H NMRは、Varian Mercury-400型核磁気共振装置によって記録され、化学位移がδ(ppm)で表示され;質量分析は、Finnigan/MAT-95(EI)とFinnigan LCQ/DECA and Micromass Ultra Q-TOF(ESI)型質量分析計によって記録され;逆相分取HPLC分離用のシリカゲルは、200-300メッシュであった。
【0162】
その中、化学式又は英語文字の略称で示される試薬の名称は、以下の通りである。
【0163】
iPrOH:イソプロパノール;EtOH:エタノール;DCM:ジクロロメタン;TFA:トリフルオロ酢酸;MeOH:メタノール;NaOH:水酸化ナトリウム;HCl:塩化水素;TEA:トリエチルアミン;1,4-dioxane:1,4-ジオキサン;NaH:水素化ナトリウム;H2O:水;HATU:2-(7-オキシドベンゾトリアゾール)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート;DMF:N,N-ジメチルホルムアミド;THF:テトラヒドロフラン;NBS:N-ブロモスクシンイミド;MeCN:アセトニトリル;DIPEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン;DMSO:ジメチルスルホキシド;pyridine:ピリジン;ethyl acetate:酢酸エチル;K2CO3:炭酸カリウム;Cs2CO3:炭酸セシウム;Pd(dppf)Cl2:[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム;KOAc:酢酸カリウム;LiOH:水酸化リチウム。
【0164】
実施例1:1-(2-(ジメチルアミノ)ピリジン-4-イル)-N-((4-メトキシ-6-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-メチル-5-(1-モルホリニルプロパン-1-エン-1-イル)インドリジン-7-カルボキサミドの製造:
【0165】
【化25】
【0166】
工程1:3-ブロモ-1-(2-オキソブチル)-1H-ピロール-2-カルボアルデヒドの製造:3-ブロモ-1H-ピロール-2-カルボアルデヒド(200mg)(その製造は、文献:WO2012029942を参照する)のDMF(5mL)溶液に、1-ブロモブタン-2-オン(192mg)、炭酸カリウム(222mg)を順次添加して、室温で一晩撹拌した。反応液を酢酸エチルで三回抽出し、順次に水及び飽和食塩水で洗浄し、有機相を合併し、減圧蒸留し、粗生成物をフラッシュ分離カラムにより分離して(石油エーテル:酢酸エチル=10:1、v/v)、黄色固体が得られた(215mg、収率76%)。MS(ESI)m/z 216[M+H-CHO]
【0167】
工程2:1-ブロモ-6-メチル-5-プロピオニルインドリジン-7-カルボン酸エチルの製造:3-ブロモ-1-(2-オキソプロピル)-1H-ピロール-2-カルボアルデヒド(215mg)のイソプロパノール溶液(5mL)に、それぞれ、酢酸エチル(345mg)、炭酸カリウム(182mg)を添加し、100℃で5時間反応した。反応液を冷却した後に濾過し、酢酸エチルで洗浄し、濾液を減圧濃縮し、粗生成物をフラッシュ分離カラムにより分離して(石油エーテル:酢酸エチル=10:1、v/v)、黄色固体が得られた(83mg、収率28%)。MS(ESI)m/z 338[M+H]
【0168】
工程3:1-(2-(ジメチルアミノ)ピリジン-4-イル)-6-メチル-5-プロピオニルインドリジン-7-カルボン酸エチルの製造:乾燥の窒素保護される100mL一口フラスコ中に、化合物:1-ブロモ-6-メチル-5-プロピオニルインドリジン-7-カルボン酸エチル(159mg)、N,N-ジメチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-アミン(352mg)、Pd(dppf)Cl(18mg)、炭酸セシウム(308mg)を、6mL1,4-ジオキサンと水の混合溶液(5:1、v/v)に添加した。窒素を複数回置換し、窒素を満たしたバルーンと連通させ、110℃のオイルバスで一晩撹拌した。反応液をジクロロメタンで抽出し(100mL)、水(50mL×2)で洗浄し、飽和食塩水(50mL)で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過濃縮して粗生成物が得られた。カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=3:1)により精製して、黄緑色固体が得られた(97mg、収率:54%)。MS(ESI)m/z 380[M+H]
【0169】
工程4:1-(2-(ジメチルアミノ)ピリジン-4-イル)-6-メチル-5-(1-モルホリニルプロパン-1-エン-1-イル)インドリジン-7-カルボン酸イソプロピルの製造:1-(2-(ジメチルアミノ)ピリジン-4-イル)-6-メチル-5-プロピオニルインドリジン-7-カルボン酸エチル(97mg)の反応瓶に、2mLモルホリン及び1mLチタン酸テトライソプロピルを添加し、100℃に昇温させ、一晩撹拌した。反応液を冷却した後、ジクロロメタン(15mL)で希釈し、そして0.5mL水を添加し、減圧濃縮し、残留物にさらに30mLジクロロメタンを添加し、濾過し、濾液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過濃縮して、黄色固体が得られた(110mg、収率:93%)。MS(ESI)m/z 463[M+H]
【0170】
工程5:1-(2-(ジメチルアミノ)ピリジン-4-イル)-6-メチル-5-(1-モルホリニルプロパン-1-エン-1-イル)インドリジン-7-カルボン酸の製造:1-(2-(ジメチルアミノ)ピリジン-4-イル)-6-メチル-5-(1-モルホリニルプロパン-1-エン-1-イル)インドリジン-7-カルボン酸イソプロピル(110mg)のメタノール(2.5mL)溶液に、ゆっくり2M水酸化ナトリウム水溶液(2.5mL)を添加し、60℃に昇温させ、一晩撹拌し、反応液を希塩酸(1M)でpH5となるように中和し、逆相フラッシュ分離カラムにより分離して(アセトニトリル:水=1:4、v/v)、薄黄緑色固体が得られた(70mg、収率70%)。MS(ESI)m/z 421[M+H]
【0171】
工程6:1-(2-(ジメチルアミノ)ピリジン-4-イル)-N-((4-メトキシ-6-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-メチル-5-(1-モルホリニルプロパン-1-エン-1-イル)インドリジン-7-カルボキサミドの製造:1-(2-(ジメチルアミノ)ピリジン-4-イル)-6-メチル-5-(1-モルホリニルプロパン-1-エン-1-イル)インドリジン-7-カルボン酸(70mg)のN,N-ジメチルホルムアミド溶液(2mL)に、3-(アミノメチル)-4-メトキシ-6-メチルピリジン-2(1H)-オン塩酸塩(41mg)(その合成は、文献:WO2015023915を参照する)、HATU(95mg)、ジイソプロピルエチルアミン(51mg)を順次添加して、室温で撹拌しながら一晩反応した。分取分離により精製して、黄色固体が得られた(5mg、収率:9%)。
【0172】
H NMR(400 MHz,CDCl3)δ 8.06(d,J=5.3Hz,1H),7.89(s,1H),7.86(d,J=5.0Hz,1H),7.38(d,J=2.8Hz,1H),6.97(d,J=2.9Hz,1H),6.74(d,J=5.3Hz,1H),6.63(s,1H),5.86(s,1H),5.01(q,J=6.8Hz,1H),4.66-4.51(m,2H),3.89(s,3H),3.71-3.58(m,4H),3.05(s,6H),2.84(dd,J=14.6,10.1Hz,4H),2.35(s,3H),2.15(s,3H),1.40(d,J=6.8Hz,3H); MS(ESI)m/z 571[M+H]
【0173】
実施例2:1-(2-(ジメチルアミノ)ピリジン-4-イル)-N-((4-メトキシ-6-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-メチル-5-(1-モルホリニルエテニル)インドリジン-7-カルボキサミドの製造:
【0174】
【化26】
【0175】
工程1:1-(2-オキソプロピル)-1H-ピロール-2-カルボアルデヒドの製造:操作工程は、実施例1における工程1と同じようにした:収率30%。
【0176】
H NMR(CDCl,400 MHz)δ ppm 9.49(s,1H),7.00(d,J=8.0Hz,1H),6.87(brs,1H),6.32-6.31(m,1H),5.09(s,2H),2.23(s,3H)。
【0177】
工程2:5-アセチル-6-メチルインドリジン-7-カルボン酸エチルの製造:操作工程は、実施例1における工程2と同じようにした、収率48%。
【0178】
H NMR(CDCl,400 MHz)δ ppm 9.20(s,1H),7.21(brs,1H),6.87(t,J=4.0Hz,1H)、6.74(d、J=4.0Hz,1H),4.34(q,J=7.2Hz,2H),2.64(s,3H),2.44(s,3H),1.39(t,J=7.2Hz,3H)。
【0179】
工程3:5-アセチル-1-ブロモ-6-メチルインドリジン-7-カルボン酸エチルの製造:100mLの乾燥一口フラスコ中に、5-アセチル-6-メチルインドリジン-7-カルボン酸エチル(500mg、2mmol)を20mLテトラヒドロフランに溶解し、0℃で複数回分けてブロモスクシンイミド(320mg、1.8mmol)を添加し、混合物を0℃で20分間撹拌し、減圧蒸留により溶媒を除去して、粗品が得られ、粗品をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=20:1、v/v)により分離して、黄色油状物141mgが得られた。収率26%。
【0180】
H NMR(CDCl,400 MHz)δ ppm 8.15(s,1H),7.17(d,J=2.8Hz,1H),6.89(d,J=2.8Hz,1H),4.37(q,J=14Hz,2H),2.63(s,3H),2.44(s,3H),1.42(t,J=14Hz,3H)。
【0181】
工程4:5-アセチル-1-(2-(ジメチルアミノ)ピリジン-4-イル)-6-メチルインドリジン-7-カルボン酸エチルの製造:操作工程は、実施例1における工程3と同じようにした。
【0182】
工程5:1-(2-(ジメチルアミノ)ピリジン-4-イル)-6-メチル-5-(1-モルホリニルエテニル)インドリジン-7-カルボン酸イソプロピルの製造:操作工程は、実施例1における工程4と同じようにした。
【0183】
工程6:1-(2-(ジメチルアミノ)ピリジン-4-イル)-6-メチル-5-(1-モルホリニルエテニル)インドリジン-7-カルボン酸の製造:操作工程は、実施例1における工程5と同じようにした。
【0184】
工程7:1-(2-(ジメチルアミノ)ピリジン-4-イル)-N-((4-メトキシ-6-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-メチル-5-(1-モルホリニルエテニル)インドリジン-7-カルボキサミドの製造:操作工程は、実施例1における工程6と同じようにした。
【0185】
実施例3:N-((4-メトキシ-6-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-メチル-1-(6-メチルピリダジン-3-イル)-5-(1-(4-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピペラジン-1-イル)エテニル)インドリジン-7-カルボキサミドの製造:
【0186】
【化27】
【0187】
工程1:5-アセチル-6-メチル-1-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)インドリジン-7-カルボン酸エチルの製造:乾燥の50mL三口フラスコ中に、5-アセチル-1-ブロモ-6-メチルインドリジン-7-カルボン酸エチル(2.0g)、Pd(dppf)Cl(454mg)、ビス(ピナコラート)ジボロン(3.15g)並びに酢酸カリウム(1.22g)を順次添加し、1,4-ジオキサン(50mL)に溶解し、110℃で一晩撹拌した。反応完了後、反応液を酢酸エチルで抽出し(100mL×3)、水(30mL×2)で洗浄し、飽和食塩水(30mL)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過濃縮して、粗生成物が得られた。カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=10:1、v/v)により精製して、黄色固体が得られた(910mg、収率:41%)。MS(ESI)m/z 372[M+H]
【0188】
工程2:5-アセチル-6-メチル-1-(6-メチルピリダジン-3-イル)インドリジン-7-カルボン酸エチルの製造:操作工程は、実施例1における工程3と同じようにした。収率48%。MS(ESI)m/z 338[M+H]
【0189】
工程3:6-メチル-1-(6-メチルピリダジン-3-イル)-5-(1-(ピペラジン-1-イル)エテニル)インドリジン-7-カルボン酸イソプロピルの製造:操作工程は、実施例1における工程4と同じようにした。MS(ESI)m/z 420[M+H]
【0190】
工程4:6-メチル-1-(6-メチルピリダジン-3-イル)-5-(1-(4-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピペラジン-1-イル)エテニル)インドリジン-7-カルボン酸イソプロピルの製造:前記工程で得られた粗品(600mg)を5mL無水テトラヒドロフランに溶解し、トリエチルアミン(272mg)、2,2,2-トリフルオロエチルトリフルオロメタンスルホン酸エステル(625mg)を順次添加し、室温で一晩撹拌し、減圧濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより分離して、黄色固体が得られた(335mg、2工程収率57%)MS(ESI)m/z 502[M+H]
【0191】
工程5:6-メチル-1-(6-メチルピリダジン-3-イル)-5-(1-(4-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピペラジン-1-イル)エテニル)インドリジン-7-カルボン酸の操作:操作は、実施例1における工程5と同じようにした。
【0192】
工程6:N-((4-メトキシ-6-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-メチル-1-(6-メチルピリダジン-3-イル)-5-(1-(4-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピペラジン-1-イル)エテニル)インドリジン-7-カルボキサミドの製造:操作は、実施例1における工程6と同じようにした。2工程収率70%。
【0193】
H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ 11.44(s,1H),8.48(s,1H),8.09(t,J=4.6Hz,1H),7.93(d,J=8.9Hz,1H),7.49(d,J=5.7Hz,1H),7.48(s,1H),7.39(d,J=3.0Hz,1H),6.11(s,1H),4.54(s,1H),4.26(d,J=4.6Hz,2H),4.15(s,1H),3.85(s,3H),3.18(q,J=10.0Hz,2H),2.98-2.78(m,4H),2.67-2.60(m,4H),2.59(s,3H),2.22(s,3H),2.18(s,3H); MS(ESI)m/z 610[M+H]
【0194】
実施例4:1-(2-(ジメチルアミノ)ピリジン-4-イル)-N-((4-メトキシ-6-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-メチル-5-(1-(1-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピペリジン-4-イリデン)エチル)インドリジン-7-カルボキサミドの製造:
【0195】
【化28】
【0196】
工程1:5-(1-(1-(tert-ブチルオキシカルボニル)ピペリジン-4-イリデン)エチル)-1-(2-(ジメチルアミノ)ピリジン-4-イル)-6-メチルインドリジン-7-カルボン酸エチルの製造:3.5g亜鉛粉を仕込んだ100mL丸底フラスコに、40mLの希塩酸(含有量1%)を添加し、室温で30分間撹拌し、吸引ろ過し、順次に水、エチルエーテル及びエタノールで固体を洗浄し、その後、活性化された亜鉛粉をオイルポンプで残留溶媒を乾燥まで吸引し、用意した。250mL三口フラスコに活性化された亜鉛粉(2.98g)を添加し、窒素置換し、氷浴に移転し、25mL無水テトラヒドロフランを添加し、そして反応液にゆっくり四塩化チタン(21mL)を滴下し、滴下完了後に、室温で転移して引き続き15分間撹拌し、70℃で移転して還流した。2時間後、三口フラスコを室温で移転し、15分間後に氷浴に移転した。その後、1-tert-ブチルオキシカルボニルピペリジンケトン(2.05g)、5-アセチル-1-(2-(ジメチルアミノ)ピリジン-4-イル)-6-メチルインドリジン-7-カルボン酸エチル(1.18g)及びピリジン(2.68g)のテトラヒドロフラン溶液(50mL)を、ゆっくり三口フラスコに滴下し、滴下完了後に、室温で転移して引き続き15分間撹拌し、その後、70℃のオイルバスで12時間還流した。室温までに冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチングして、水と酢酸エチルを添加して、5分間静置し、上層の有機相を保留し、減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより分離して(酢酸エチル:石油エーテル=1:10至1:3、v/v)、黄色固体が得られた(185mg、収率:11%)。
【0197】
H NMR(400 MHz,CDCl)δ 8.47(s,1H),8.21(d,J=5.3Hz,1H),7.19(d,J=2.7Hz,1H),7.03(d,J=2.8Hz,1H),6.81(dd,J=5.3,1.3Hz,1H),6.73(s,1H),4.35(q,J=7.1Hz,2H),3.16(s,6H),2.53(s,2H),2.38(s,3H),2.00(s,2H),1.96(s,3H),1.85(d,J=13.1Hz,4H),1.45(s,9H),1.39(t,J=7.1Hz,3H); MS(ESI)m/z 533[M+H]
【0198】
工程2:1-(2-(ジメチルアミノ)ピリジン-4-イル)-6-メチル-5-(1-(ピペリジン-4-イリデン)エチル)インドリジン-7-カルボン酸エチルの製造:乾燥の50mL一口フラスコに、化合物5-(1-(1-(tert-ブチルオキシカルボニル)ピペリジン-4-イリデン)エチル)-1-(2-(ジメチルアミノ)ピリジン-4-イル)-6-メチルインドリジン-7-カルボン酸エチル(92mg)、2mLジクロロメタン及び0.5mLトリフルオロ酢酸を添加し、室温で撹拌しながら1時間反応し、反応液を飽和重炭酸ナトリウム溶液中、及び、ジクロロメタンで抽出し(50mL)、水(50mL×2)で洗浄し、飽和食塩水(50mL)で洗浄し、有機相を濃縮して、黄色液体が得られた(29mg、収率:39%)。MS(ESI)m/z 433[M+H]
【0199】
工程3:1-(2-(ジメチルアミノ)ピリジン-4-イル)-6-メチル-5-(1-(1-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピペリジン-4-イリデン)エチル)インドリジン-7-カルボン酸エチルの製造:操作工程は、実施例3における工程4と同じようにした。黄色固体が得られた(33mg、収率96%)。MS(ESI)m/z 515[M+H]
【0200】
工程4:1-(2-(ジメチルアミノ)ピリジン-4-イル)-6-メチル-5-(1-(1-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピペリジン-4-イリデン)エチル)インドリジン-7-カルボン酸の製造:操作工程は、実施例1における工程5と同じようにした。黄色固体が得られた(21mg、収率70%)。MS(ESI)m/z 487[M+H]
【0201】
工程5:1-(2-(ジメチルアミノ)ピリジン-4-イル)-N-((4-メトキシ-6-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-メチル-5-(1-(1-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピペリジン-4-イリデン)エチル)インドリジン-7-カルボキサミドの製造:操作工程は、実施例1における工程6と同じようにした。黄色固体が得られた(11mg、収率40%)。
【0202】
H NMR(400 MHz,CDCl)δ 11.91(s,1H),8.07(d,J=5.3Hz,1H),7.80(s,1H),7.73(s,1H),7.12(d,J=2.7Hz,1H),6.96(d,J=2.7Hz,1H),6.75(d,J=5.4Hz,1H),6.62(s,1H),5.85(s,1H),4.57(qd,J=14.7,5.3Hz,2H),3.87(s,3H),3.07(d,J=7.8Hz,6H),2.98(dd,J=19.1,9.6Hz,2H),2.85-2.77(m,2H),2.56(d,J=3.9Hz,2H),2.25(s,3H),2.16(s,3H),2.01(d,J=6.3Hz,4H),1.92(s,3H); MS(ESI)m/z 637[M+H]
【0203】
実施例5:N-((4-メトキシ-6-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-メチル-1-(2-(メチルアミノ)ピリジン-4-イル)-5-(1-(1-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピペリジン-4-イリデン)エチル)インドリジン-7-カルボキサミドの製造:
【0204】
【化29】
【0205】
工程1:5-アセチル-6-メチル-1-(2-(メチルアミノ)ピリジン-4-イル)インドリジン-7-カルボン酸エチルの製造:操作工程は、実施例1における工程3と同じようにした、収率42%。MS(ESI)m/z 352[M+H]
【0206】
工程2:6-メチル-1-(2-(メチルアミノ)ピリジン-4-イル)-5-(1-(ピペリジン-4-イリデン)エチル)インドリジン-7-カルボン酸エチルの製造:操作工程は、実施例4における工程1と同じようにした。収率78%。MS(ESI)m/z 419[M+H]
【0207】
工程3:6-メチル-1-(2-(メチルアミノ)ピリジン-4-イル)-5-(1-(1-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピペリジン-4-イリデン)エチル)インドリジン-7-カルボン酸エチルの製造:操作工程は、実施例3における工程4と同じようにした。収率64%。MS(ESI)m/z 501[M+H]
【0208】
工程4:6-メチル-1-(2-(メチルアミノ)ピリジン-4-イル)-5-(1-(1-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピペリジン-4-イリデン)エチル)インドリジン-7-カルボン酸の製造:操作工程は、実施例1における工程5と同じようにした。MS(ESI)m/z 473[M+H]
【0209】
工程5:N-((4-メトキシ-6-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-メチル-1-(2-(メチルアミノ)ピリジン-4-イル)-5-(1-(1-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピペリジン-4-イリデン)エチル)インドリジン-7-カルボキサミドの製造:操作工程は、実施例1における工程6と同じようにした。
【0210】
H NMR(400 MHz,CDCl)δ 12.26(s,1H),7.94(d,J=5.4Hz,1H),7.82(s,1H),7.12(d,J=2.8Hz,1H),6.96(d,J=2.8Hz,1H),6.80-6.74(m,1H),6.57(s,1H),5.86(s,1H),4.57(qd,J=14.7,5.4Hz,2H),3.87(s,3H),2.97(dd,J=19.1,9.6Hz,2H),2.86(s,3H),2.84-2.76(m,2H),2.56(s,2H),2.26(s,3H),2.18(s,3H),2.01(s,2H),1.91(s,3H),1.86(s,2H); MS(ESI)m/z 623[M+H]
【0211】
実施例6:生物活性測定
1、PRC2複合体(EZH2Y641F)に対する化合物の活性の測定:
検出方法:均一時間分解蛍光法(Homogeneous Time-Resolved Fluorescence、HTRF)
【0212】
材料:実験で使用されたPRC2複合体(EZH2 Y641F/EED/SUZ12/RbAp48/AEBP2)ヒストンメチルトランスフェラーゼは、Cisbio社から購入され;基質H3(1-50)K27me1は、GL Biochem社の製品であり;メチル供給体S-(5’-Adenosyl)-L-methionine chloride dihydrochloride(SAM)は、Sigma-aldrichから購入され;Eu標識H3K27me3、Streptavidin-XL665及び反応に必要なバッファーは、いずれもCisbioから購入された。
【0213】
実験方法:各ウェルにPRC2複合体(EZH2 Y641F/EED/SUZ12/RbAp48/AEBP2)、H3(1-50)me1基質、メチル供給体SAM及び化合物を添加し、全反応系10μLで、室温で遮光しながら4時間反応した。各ウェルに5μL Eu標識H3K27 Me3抗体及び5μL Streptavidin-XL665を添加し、均一に混合し、室温で1時間インキュベートした後に、マルチラベルマイクロプレートリーダシステム(PerkinElmer Envision)により620nmと665nmでの蛍光値を測定し、そして各ウェルのHTRFシグナル比(665nm/620nm)を算出した。SoftMax Pro 5.4.1ソフトウェアで化合物のIC50値を算出した。
【0214】
2、PRC2複合体(EZH2野生型)に対する化合物の活性の測定:
検出方法:酵素結合免疫吸着測定(Enzyme-linked immunosorbent assay,ELISA)
【0215】
材料:実験で使用されたPRC2複合体(EZH2 /EED/SUZ12/RbAp48/AEBP2)ヒストンメチルトランスフェラーゼは、BPS社から購入され;基質BiotinH3(21-44)me0は、AnaSpec社の製品であり;SAMは、Sigmaから購入され、GL Biochem社の製品であり;メチル供給体SAMは、Sigma-aldrichから購入され;H3K27me3抗体は、BPSから購入された。
【0216】
実験方法:最終濃度100nMのNeutrAvidinを採用して、100μL/ウェルで96ウェルプレートをコートし、湿潤箱内に置きながら、一晩振盪し、その後に、各ウェルに100μL 3% BSAを添加して、室温で1時間密閉した。密閉した96ウェルプレートに、各ウェルにPRC2複合体(EZH2 /EED/SUZ12/RbAp48/AEBP2)、H3(21-44)me0基質、メチル供給体SAM及び化合物を添加し、全反応系100μLで、湿潤箱内に置き、室温で振盪しながら1時間反応した。TBS-T[20 mM Tris-HCl(pH7.2-7.4、室温)、150 mM NaCl、0.1%(v/v)Tween-20]でプレートを3回洗浄し、3%BSAで10分間密閉し、抗H3K27me3抗体を添加して室温で湿潤箱内に振盪しながら1時間インキュベートした。そして、TBS-Tでプレートを3回洗浄し、各ウェルに3%BSAで10分間密閉した。そして、西洋ワサビペルオキシダーゼ標識二次抗体を添加して室温で湿潤箱内に振盪しながら1時間反応した。最後に、引き続きTBS-Tで3回洗浄し、2mg/ml OPD発色液(100μL/ウェル)を添加して発色し、そして2MHSO(50μL/ウェル)で反応を停止させ、マイクロプレートリーダーにより490nmで数値を読み取り、SoftMax Pro 5.4.1ソフトウェアで化合物のIC50を算出した。
その結果は、表1に示した。
【0217】
【表1】
【0218】
本明細書において言及されるすべての文書は、各文書が参照として個別に引用されるのと同様に、本出願において参照として引用される。なお、本発明の上記の教示内容を読んだ後、当業者は本発明に様々な変更または修正を加えることができ、これらの同等の形態もまた、本出願の添付の特許請求の範囲によって定義される範囲内にあることを理解されるべきである。
<付記>
本開示の態様は以下を含む。
<項1>
式Iで示されるインドリジン系化合物、その薬理学的許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、結晶多型又はプロドラッグであって、
【化1】

その中、
は、
【化2】

からなる群より選ばれ;
10 は、H、ハロゲン、-NH 、-NO 、置換されてもよいC1-C6アルキル基及び置換されてもよいC1-C4アルコキシ基からなる群より選ばれ;
は、H、ハロゲン、シアノ基及び置換されてもよいC1-C6アルキル基からなる群より選ばれ;
は、
【化3】

であり;
とR 6’ は、それぞれ独立して、H、メチル基、エチル基、プロピル基及びシクロプロピル基からなる群より選ばれ、かつR とR 6’ の少なくとも一つは、Hであり;
Xは、置換されてもよい飽和又は不飽和の4-7員の環状炭化水素基又は置換されてもよい4-7員の飽和又は不飽和の複素環基であり、前記複素環基は、O、N、S及びPからなる群より選ばれるヘテロ原子を1-2個含み;
とR は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、-COOH、-CN、置換されてもよいC1-C6アルキル基、置換されてもよい6-16員のアリール基、置換されてもよい5-16員のヘテロアリール基、置換されてもよい4-8員の飽和又は不飽和のシクロアルキル基、置換されてもよい4-8員の飽和又は不飽和の複素環基、置換されてもよいC1-C6アルキルカルボニル基、置換されてもよい-C(O)O-(C1-C6アルキル基)、-C(O)(NR )、ボロン酸基、置換されてもよいC2-C8アルケニル基、置換されてもよいC2-C8アルキニル基、置換されてもよいC1-C6アルキルスルホニル基、置換されてもよいC1-C6アルキルスルフィニル基及び置換されてもよいC1-C6アルキルスルファニル基からなる群より選ばれ;その中、前記ヘテロアリール基又は複素環基は、N、O、S、Pからなる群より選ばれるヘテロ原子を1-3個含み;その中、R 、R は、それぞれ独立して、H、置換されてもよいC1-C6アルキル基、置換されてもよい3-8員のシクロアルキル基及び置換されてもよい4-8員の複素環基からなる群より選ばれ、或いは、R とR とNは、連結して置換されてもよい4-8員の複素環を形成し;その中、前記複素環は、N、O、S及びPからなる群より選ばれるヘテロ原子を1-3個含み;
は、H及び置換されてもよいC1-C6アルキル基からなる群より選ばれ;
とR は、それぞれ独立して、水素、重水素及び置換されてもよいC1-C6アルキル基からなる群より選ばれ;
、R 、R 、R 、R 10 、R とR でいう「置換されてもよい」の置換基とは、H、ハロゲン、C1-C4アルキル基、C1-C4ハロアルキル基、ニトロ基、-OH、アミノ基、メトキシ基及びジメチルアミノ基からなる群より選ばれ一つ又は複数の置換基を有することを意味する
式Iで示されるインドリジン系化合物、その薬理学的許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、結晶多型又はプロドラッグ。
<項2>
は、
【化4】

であり;
10 は、H、ハロゲン、-NH 、-NO 、置換されてもよいC1-C6アルキル基及び置換されてもよいC1-C4アルコキシ基からなる群より選ばれ;
は、H、ハロゲン、シアノ基及び置換されてもよいC1-C6アルキル基からなる群より選ばれ;好ましくは、R は、置換されてもよいC1-C4アルキル基であり;さらに好ましくは、メチル基であり;
は、
【化5】

であり;
とR 6’ は、それぞれ独立して、H、メチル基、エチル基、プロピル基及びシクロプロピル基からなる群より選ばれ、かつR とR 6’ の少なくとも一つは、Hであり;
Xは、置換されてもよい飽和又は不飽和の4-7員の環状炭化水素基、又は置換されてもよい4-7員の飽和又は不飽和の複素環基であり;その中、前記複素環基は、O、N、S、Pからなる群より選ばれるヘテロ原子を1-2個含み;Xでいう置換基は、-OH、ハロゲン、tert-ブチルオキシカルボニル基、-NR 、1-3つのR で置換されるC1-C4アルキル基、1-3つのR で置換されるC1-C4アルコキシ基、1-3つのR で置換されるC1-C4アルキルカルボニル基、1-3つのR で置換されるC1-C4アルコキシカルボニル基及び1-3つのR で置換されるC1-C4アルキルスルホニル基からなる群より選ばれ;それぞれのR は、独立して、H、ハロゲン、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アミノ基、-OH、メトキシ基及びエトキシ基からなる群より選ばれ;
とR は、それぞれ独立して、H、C1-C4アルキル基、C1-C4ハロアルキル基、
【化6】

からなる群より選ばれ;
とR は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、-COOH、-CN、置換されてもよいC1-C6アルキル基、置換されてもよい6-16員のアリール基、置換されてもよい5-16員のヘテロアリール基、置換されてもよい4-8員の飽和又は不飽和のシクロアルキル基、置換されてもよい4-8員の飽和又は不飽和の複素環基、置換されてもよいC1-C6アルキルカルボニル基、置換されてもよい-C(O)O-(C1-C6アルキル基)、-C(O)(NR )、ボロン酸基、置換されてもよいC2-C8アルケニル基、置換されてもよいC2-C8アルキニル基、置換されてもよいC1-C6アルキルスルホニル基、置換されてもよいC1-C6アルキルスルフィニル基及び置換されてもよいC1-C6アルキルスルファニル基からなる群より選ばれ;前記ヘテロアリール基又は複素環基は、N、O、S、Pからなる群より選ばれるヘテロ原子を1-3個含み;かつR とR でいう置換基は、ハロゲン、-CN、R 45 (C1-C4アルキル基)、R 45 (C1-C4アルコキシ基)、R 45 (C1-C4アルカノイル基)、R 45 (C1-C4アルキル基)スルホニル基、R 45 (C3-C8シクロアルキル基)、R 45 (4-8員の複素環基)及び-NR からなる群より選ばれ;前記複素環基は、N及びOからなる群より選ばれるヘテロ原子を1-2個含む複素環基であり;
それぞれのR 45 は、独立して、H、-OH、ハロゲン、tert-ブチルオキシカルボニル基、ハロC1-C4アルキル基、C1-C4アルキル基、C1-C4アルコキシ基、C1-C4アシル基、ジメチルアミン基、メチルアミノ基、ジエチルアミン基、メチルエチルアミノ基、エチルアミン基、
【化7】

からなる群より選ばれ;R 451 は、H、C1-C4アルキル基からなる群より選ばれ;その中、R 、R は、それぞれ独立して、H、置換されてもよいC1-C6アルキル基、置換されてもよい3-8員のシクロアルキル基及び置換されてもよい4-8員の複素環基からなる群より選ばれ、或いはR とR とNは、連結して置換されてもよい4-8員の複素環を形成し;その中、前記複素環は、N、O、S及びPからなる群より選ばれるヘテロ原子を1-3個含み;
とR は、それぞれ独立して、H、C1-C4アルキル基、C1-C4ハロアルキル基、
【化8】

からなる群より選ばれ;
は、H及び置換されてもよいC1-C6アルキル基からなる群より選ばれ;
とR は、それぞれ独立して、水素、重水素及び置換されてもよいC1-C6アルキル基からなる群より選ばれ;
、R 、R 、R 、R 10 、R とR でいう「置換される」の置換基とは、H、ハロゲン、C1-C4アルキル基、C1-C4ハロアルキル基、ニトロ基、-OH、アミノ基、メトキシ基及びジメチルアミノ基からなる群より選ばれ一つ又は複数の置換基を有することを意味する、
ことを特徴とする、項1に記載の式Iで示されるインドリジン系化合物、その薬理学的許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、結晶多型又はプロドラッグ。
<項3>
は、
【化9】

からなる群より選ばれ;
その中、R は、H、1-3つのR で置換されるC1-C4アルキル基、1-3つのR で置換されるC1-C4アルキルカルボニル基、1-3つのR で置換されるC1-C4アルコキシカルボニル基、1-3つのR で置換されるC1-C4アルキルスルホニル基及びtert-ブチルオキシカルボニル基からなる群より選ばれ;
は、-OH、ハロゲン、1-3つのR で置換されるC1-C4アルキル基、 1-3つのR で置換されるC1-C4アルコキシ基及び-NR からなる群より選ばれ;
は、H、ハロゲン及び-OHからなる群より選ばれ;
とR は、それぞれ独立して、H、C1-C4アルキル基、C1-C4ハロアルキル基、
【化10】

からなる群より選ばれ;
とR 6’ は、それぞれ独立して、H、メチル基及びエチル基からなる群より選ばれ、かつR とR 6’ の少なくとも一つは、Hであり;
より好ましくは、R は、
【化11】

からなる群より選ばれ;
その中、R は、H及びR (C1-C3アルキル基)からなる群より選ばれ;
は、-OH、ハロゲン、R (C1-C3アルキル基)、R (C1-C3アルコキシ基)及び-N(C1-C3アルキル基) からなる群より選ばれ;
は、H、ハロゲン、トリフルオロメチル基及びジフルオロメチル基からなる群より選ばれ;
とR 6’ は、それぞれ独立して、H、メチル基及びエチル基からなる群より選ばれ、かつR とR 6’ の少なくとも一つは、Hであり;
最も好ましくは、
は、
【化12】

からなる群より選ばれ;
は、フッ素で置換されるC1-C3アルキル基からなる群より選ばれ;
とR 6’ は、それぞれ独立して、H及びメチル基からなる群より選ばれ、かつR とR 6’ の少なくとも一つは、Hである、
ことを特徴とする、項1に記載の式Iで示されるインドリジン系化合物、その薬理学的許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、結晶多型又はプロドラッグ。
<項4>
又はR は、それぞれ独立して、H、R 55 C1-C4アルキル基、-CN、ハロゲン、R 55 C1-C4アルキルカルボニル基、R 55 (C1-C4アルコキシ基)カルボニル基、-COOH、-C(O)(NR )、
【化13】

【化14】

及びR 55 C1-C3アルキニル基からなる群より選ばれ;
nは、R 55 置換基の数であり、1、2及び3からなる群より選ばれ;
55 は、H、R 551 C1-C4アルキル基、R 551 C3-C8シクロアルキル基、ハロゲン、-CN、-NR 、(R 551 C1-C4アルキル基)O-、R 551 C1-C4アルキルスルホニル基、
【化15】

551 (C1-C6)アルキル基OC(O)-、-COOH及び-C(O)(NR )からなる群より選ばれ;その中、R 551 は、H、-OH、ハロゲン、ハロC1-C4アルキル基、C1-C4アルキル基、C1-C4アルコキシ基、アミノ基、ジメチルアミン基、メチルアミノ基、ジエチルアミン基、メチルエチルアミノ基、エチルアミン基、
【化16】

であり;
、R は、それぞれ独立して、H、C1-C4アルキル基、R b’’ (C1-C4)アルキル基、フェニル基、ハロフェニル基、及びR b’ で置換される複素環基からなる群より選ばれ;或いはR とR と連結するNは、一緒にしてR b’ で置換される4-8員の複素環基を形成し、前記複素環基は、N及びOからなる群より選ばれるヘテロ原子を1-2個含み;
b’’ は、H、-OH、C1-C3アルコキシ基、ジメチルアミン基、
【化17】

からなる群より選ばれ;
b’ は、H、C1-C4アルキル基、tert-ブチルオキシカルボニル基及びC1-C4アルカノイル基からなる群より選ばれ;
より好ましくは、
又はR は、それぞれ独立して、H、
【化18】

からなる群より選ばれ;
nは、R 55 置換基の数であり、1及び2からなる群より選ばれ;
55 は、H、C1-C4アルキル基、ハロゲン、-NH 、(C1-C2アルキル基)NH-及びジメチルアミン基からなる群より選ばれる、
ことを特徴とする、項1に記載の式Iで示されるインドリジン系化合物、その薬理学的許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、結晶多型又はプロドラッグ。
<項5>
は、
【化19】

であり;
とR 6’ は、それぞれ独立して、H、メチル基、エチル基及びプロピル基からなる群より選ばれ、かつR とR 6’ の少なくとも一つは、Hであり;
Xは、置換されてもよいピラニル基、置換されてもよいピペリジニル基、置換されてもよいピペラジニル基及び置換されてもよいモルホリニル基からなる群より選ばれ、かつXでいう置換基は、C1-C4アルキル基及びハロC1-C4アルキル基からなる群より選ばれ;より好ましくは、Xでいう置換基は、トリフルオロエチルであり;
は、メチル基であり;
10 は、未置換又はハロゲン置換のC1-C4アルキル基及び未置換又はハロゲン置換のC1-C4アルコキシ基からなる群より選ばれ;
、R は、それぞれ独立して、H、置換されてもよいピリジル基、置換されてもよいピリミジニル基、置換されてもよいピリダジニル基、置換されてもよいピラジル基、置換されてもよいトリアゾリル基及び置換されてもよいピロロピリジル基からなる群より選ばれ;
とR でいう置換基は、H、C1-C4アルキル基、ハロゲン及び-NR からなる群より選ばれ;
とR は、それぞれ独立して、H、C1-C4アルキル基及びハロC1-C4アルキル基からなる群より選ばれる、
ことを特徴とする、項1に記載の式Iで示されるインドリジン系化合物、その薬理学的許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、結晶多型又はプロドラッグ。
<項6>
は、メチル基であり;
は、
【化20】

であり;R とR 6’ は、それぞれ独立して、H又はメチル基からなる群より選ばれ、かつR とR 6’ の少なくとも一つは、Hであり;
Xは、モルホリニル基、トリフルオロエチルピペラジニル基及びトリフルオロエチルピペリジニル基からなる群より選ばれ;さらに好ましくは、モルホリニル基、2,2,2-トリフルオロエチルピペラジニル基又は2,2,2-トリフルオロエチルピペリジニル基であり;
とR は、独立して、H、ジメチルアミノピリジン及びメチルアミノピリジンからなる群より選ばれ;さらに好ましくは、H、2-ジメチルアミノピリジン又は2-メチルアミノピリジンであり;
、R とR は、水素であり;
10 は、メトキシ基である、
ことを特徴とする、項1に記載の式Iで示されるインドリジン系化合物、その薬理学的許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、結晶多型又はプロドラッグ。
<項7>
前記式Iで示されるインドリジン系化合物は、以下の化合物からなる群より選ばれる、ことを特徴とする、項1記載の式Iで示されるインドリジン系化合物、その薬理学的許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、結晶多型又はプロドラッグ。
【化21】

<項8>
上記の式Iで示されるインドリジン系化合物又はその薬理学的許容される塩の製造方法であって、以下の方法のいずれかを含み、即ち、
方法一:
【化22】

(1)塩基の存在下で、化合物aと化合物bの縮合反応により、化合物cを生成する工程と;
(2)ルイス酸の存在下で、化合物cと第二級アミンの脱水反応によりエナミン化合物dを生成する工程と;
(3)化合物dの加水分解により、化合物eを生成する工程と;
(4)化合物eとアミンfの縮合反応により、化合物I-1を生成する工程と、
[その中、R 、R 、R 、R 、R 、R 6’ 、R 、R とR の定義は、項1に記載の通りであり、かつR は、C1-C4直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であり;丸Xは、置換されてもよい4-7員の飽和又は不飽和の複素環基であり、前記複素環基は、少なくとも一つのN原子を含み、その任意の置換基の定義は、項1記載のXの置換基の通りである]
を含む方法一と、
方法二:
【化23】

(5)不活性溶媒において、三塩化チタン又は四塩化チタンと、還元性試薬との存在下で、化合物cと対応するケトンのマクマリー反応により、化合物gを生成する工程と;
(6)化合物gの加水分解反応により、化合物hを生成する工程と;
(7)化合物gとアミンfの縮合反応により、化合物I-2を生成する工程と;
[その中、R 、R 、R 、R 、R 、R 6’ 、R 、R とR の定義は、項1に記載の通りであり、かつR は、C1-C4直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であり;丸Yは、であり置換されてもよい飽和又は不飽和の4-7員の環状炭化水素基又は置換されてもよい4-7員の飽和又は不飽和の複素環基であり;その中、前記複素環基は、O、N、S及びPからなる群より選ばれる1-2個のヘテロ原子を含み、その任意の置換基の定義は、項1記載のXの置換基の通りである]
を含む方法二と、
を含む上記の式Iで示されるインドリジン系化合物又はその薬理学的許容される塩の製造方法。
<項9>
(1)活性成分として、治療有効量の項1~7のいずれか一項に記載のインドリジン系化合物、その薬理学的許容される塩、そのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、結晶多型又はプロドラッグと、
(2)薬理学的許容される担体と、
を含む、ことを特徴とする医薬組成物。
<項10>
項1~7のいずれか一項に記載のインドリジン系化合物、その薬理学的許容される塩、そのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、結晶多型又はプロドラッグ、又は項9に記載の医薬組成物の使用であって、
(a)EZH1/2変異、活性又は発現量に関連する疾患を予防又は治療する医薬の製造;
(b)EZH2及びその変異体の活性の体外非治療的阻害;及び/又は
(c)腫瘍細胞の増殖の体外非治療的阻害、
からなる群より選ばれる使用。
<項11>
前記EZH1/2変異、活性又は発現量に関連する疾患は、腫瘍、及び自己免疫性疾患からなる群より選ばれる、
ことを特徴とする項10に記載の使用。