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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】プレイ記録動画作成システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/86 20140101AFI20220119BHJP
   A63F 13/5252 20140101ALI20220119BHJP
   A63F 13/812 20140101ALI20220119BHJP
   G06T 13/40 20110101ALI20220119BHJP
【FI】
A63F13/86
A63F13/5252
A63F13/812 A
G06T13/40
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021035668
(22)【出願日】2021-03-05
【審査請求日】2021-06-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520490174
【氏名又は名称】榊原 正啓
(73)【特許権者】
【識別番号】520490185
【氏名又は名称】菰下 将司
(73)【特許権者】
【識別番号】521239750
【氏名又は名称】株式会社Redefine Arts
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榊原 正啓
(72)【発明者】
【氏名】菰下 将司
【審査官】宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-006853(JP,A)
【文献】特表2020-515316(JP,A)
【文献】国際公開第2013/111248(WO,A1)
【文献】特開2016-189804(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0228600(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00 - 13/98
G06T 13/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定された仮想空間において動作するキャラクターをプレイヤーが入力端末で操作することによりコンピュータゲームをプレイした記録の動画を作成するシステムであって、
前記入力端末を通じて入力された前記キャラクターの動作を、予め決められたアルゴリズムに基づいて処理することによりコンピュータゲームを進行する進行制御部と、
前記仮想空間に設定され、それぞれが所定の画角で該仮想空間を捉える複数の仮想カメラと、
前記複数の仮想カメラにより捉えられた前記仮想空間の画像を表す画像情報が順次、保存される仮想カメラ画像記憶部と
前記コンピュータゲームの進行中に発生し得る複数のイベントの情報と、該複数のイベントのそれぞれを前記複数の仮想カメラのいずれかに対応づけた情報が保存されたイベント情報記憶部と、
前記コンピュータゲームの進行中に、前記複数のイベントのいずれかが発生したことを検知するイベント検知部と、
前記複数のイベントのいずれかが発生したことを前記イベント検知部が検知したときに当該イベントに対応付けられた仮想カメラにより捉えられた前記仮想空間の画像を表す画像情報を前記仮想カメラ画像記憶部から取得する画像情報取得部と、
前記画像情報取得部により取得された画像情報を記憶する画像情報記憶部と、
前記画像情報記憶部に記憶された画像を用いてプレイ記録動画を作成するプレイ記録動画作成部と
を備えることを特徴とするプレイ記録動画作成システム。
【請求項2】
さらに、
前記プレイ記録動画作成部により作成されたプレイ記録動画を予め決められたサイトにアップロードする動画アップロード部と、
前記予め決められたサイトにおいて入力された、前記プレイ記録動画に含まれる各イベントの画像情報に対する評価を収集する評価情報収集部と、
前記各イベントの画像情報に対する評価が予め決められた基準を満たさない場合に当該イベントの画像情報を削除して新たなプレイ記録動画を作成する動画編集部と
を備える、請求項に記載のプレイ記録動画作成システム。
【請求項3】
前記イベント情報記憶部に、前記コンピュータゲームの進行中に発生し得る第2イベントと該第2イベントのそれぞれに対応付けられた画像情報が保存され、
前記イベント検知部は、前記コンピュータゲームの進行中に、さらに前記第2イベントが発生したことを検知し、
前記画像情報取得部は、前記第2イベントが発生したことを前記イベント検知部が検知したときに当該第2イベントに対応付けられた画像情報を前記イベント情報記憶部から取得する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のプレイ記録動画作成システム。
【請求項4】
さらに、
前記複数のイベント及び前記第2イベントのうちの一部に、仮想カメラ及び/又は画像情報が複数対応付けられており、
前記プレイ記録動画作成部は、画像情報の組み合わせが異なる複数のプレイ記録動画を作成する
ことを特徴とする請求項に記載のプレイ記録動画作成システム。
【請求項5】
さらに、
前記複数のプレイ記録動画を予め決められたサイトにアップロードする動画アップロード部と、
前記複数のプレイ記録動画のそれぞれについて、前記予め決められたサイトにおいて入力された、各プレイ記録動画に含まれる各イベントの画像情報に対する評価を収集する評価情報収集部と、
前記イベントと前記画像情報の組み合わせのそれぞれについて収集された評価を集計する評価情報解析部と、
前記集計された結果が高い、前記イベントと前記画像情報の組み合わせを用いた、新たなプレイ記録動画を作成する動画編集部と
を備える、請求項に記載のプレイ記録動画作成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポーツゲーム、ロールプレイングゲーム、格闘ゲームなどのコンピュータゲームのプレイ記録動画を作成するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータゲームのプレイ技術を争うeスポーツ(エレクトロニック・スポーツ)いう新たな分野が確立されつつある。eスポーツの分野では、様々なジャンルのコンピュータゲームのプレイ技術を争う大会が開催され、コンピュータゲームをプレイすることを生業とする、プロゲーマーと呼ばれる人々が高度なプレイ技術を披露している。
【0003】
インターネット上には、種々の動画が投稿され広く公開されるサイト(動画投稿サイト)が存在する。動画投稿サイトには、プロゲーマーをはじめとする多くのプレイヤーにより、コンピュータゲームをプレイした画面を記録した動画(プレイ記録動画)が数多く投稿されている(例えば特許文献1)。
【0004】
コンピュータゲームのプレイ記録動画は、プレイヤーがそのゲームをプレイしたときにディスプレイに表示されるプレイ画面(プレイヤー画面)を記録したものである。プレイヤー画面は、コンピュータゲームのキャラクターをプレイヤーが操作する際の操作性を高めることを主眼として画角が定められている。例えば野球ゲームにおいてプレイヤーがピッチャーを操作して投球動作を行う際には、マウンド上からキャッチャー方向を見た画面がプレイヤー画面として設定され、プレイヤーがバッターを操作して打撃動作を行う際には、キャッチャーの目線でピッチャー方向を見た画面がプレイヤー画面として設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-013101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
プレイヤー画面は、プレイヤーの操作性を主眼において定められた画面であり、それを記録したプレイ記録動画も当然、それらの限られた画角のプレイヤー画面を繰り返し表示したものとなる。動画サイトに投稿されるプレイ記録動画の中には長時間にわたるものも存在するが、同じような画面が繰り返される単調な動画を見ているうちに他のプレイヤーはもとより、当プレイヤー自身も飽きてしまう。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、視聴する者を飽きさせないプレイ記録動画を作成することができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために成された本発明は、予め設定された仮想空間において動作するキャラクターをプレイヤーが入力端末で操作することによりコンピュータゲームをプレイした記録の動画を作成するシステムであって、
前記入力端末を通じて入力された前記キャラクターの動作を、予め決められたアルゴリズムに基づいて処理することによりコンピュータゲームを進行する進行制御部と、
前記仮想空間に設定され、それぞれが所定の画角で該仮想空間を捉える複数の仮想カメラと、
前記コンピュータゲームの進行中に発生し得る複数のイベントの情報と、該複数のイベントのそれぞれを前記複数の仮想カメラのいずれかに対応づけた情報が保存されたイベント情報記憶部と、
前記コンピュータゲームの進行中に、前記複数のイベントのいずれかが発生したことを検知するイベント検知部と、
前記複数のイベントのいずれかが発生したことを前記イベント検知部が検知したときに当該イベントに対応付けられた仮想カメラにより捉えられた前記仮想空間の画像を表す画像情報を取得する画像情報取得部と、
前記画像情報取得部により取得された画像を用いてプレイ記録動画を作成するプレイ記録動画作成部と
を備えることを特徴とする。
【0009】
上記入力端末には、例えば、操作ボタンを通じた入力を行うコントローラやキーボードを入力部として備えたもの用いてもよく、プレイヤー自身の動きをカメラに検知させることにより入力を行うモーションキャプチャを入力部として備えたものを用いてもよい。また、上記入力端末は、プレイヤーがゲームをプレイするために必要な画面(プレイヤー画面)を表示する表示部を備えたものであってもよい。このプレイヤー画面は、コンピュータゲームのキャラクターをプレイヤーが操作する際の操作性を高めることを主眼として画角が定められる。この入力端末は、本発明のシステムに組み込まれたものであってもよく、あるいは本発明のシステムとは別に、該システムと接続可能に設けられたものであってもよい。
【0010】
上記画像情報取得部は、イベント検知部がイベントを検知した時点で画像情報を取得するものであってもよく、コンピュータゲームのプレイ終了後に、イベント検知部がイベントを検知したタイミングで仮想カメラにより捉えられていた画像の情報を取得するものであってもよい。前者の場合は、複数の仮想カメラのそれぞれは画像情報取得部からの指示があった時点で前記仮想空間を捉え始めるだけでよい。一方、後者の場合は、複数の仮想カメラはそれぞれコンピュータゲームの進行中に継続して仮想空間を捉えておき、所定の画像記録部にその画像データを記録しておく。さらに、上記画像情報は通常の画像(動画)データ形式に限らず、他のデータ形式で取得してもよい。例えば、画像を、各時点の仮想空間におけるキャラクター等の位置情報及び姿勢情報と、当該時点で選択されている仮想カメラの情報を対応づけたデータ形式で取得してもよい。
【0011】
本発明に係るコンピュータゲームのプレイ記録動画作成システムにおいて、プレイヤーは入力端末を通じてキャラクターを操作する。進行制御部は、入力端末を通じて入力されたキャラクターの動作を予め決められたアルゴリズムに基づいて処理する。これらの動作はコンピュータゲームにおける一般的な処理と同様である。本発明に係るシステムでは、これらの構成要素とは別に、それぞれが所定の画角で仮想空間を捉える複数の仮想カメラを使用する。イベント情報記憶部には、コンピュータゲームの進行中に発生し得る複数のイベントを、それぞれ仮想カメラと対応付けた情報が保存されており、イベント検知部がいずれかのイベントの発生を検知すると、画像情報取得部が当該イベントに対応付けられた仮想カメラで仮想空間を捉えた画像を取得する。そして、プレイ記録動画作成部が、画像情報取得部によって取得された画像を用いてプレイ記録動画を作成する。
【0012】
本発明に係るシステムでは、イベント情報記憶部に保存された複数のイベントのいずれかが発生すると、プレイヤー画面とは別に、仮想カメラで仮想空間をとらえた画像を取得し、それらを用いてプレイ記録動画を作成する。そのため、プレイヤーの操作性とは関係なく、変化に富んだ様々な画角の画像を組み合わせて、視聴する者を飽きさせないプレイ記録動画を作成することができる。
【0013】
本発明に係るシステムは、また、
前記イベント情報記憶部に、前記コンピュータゲームの進行中に発生し得る第2イベントと該第2イベントに対応付けられた画像が保存され、
前記イベント検知部は、前記コンピュータゲームの進行中に、さらに前記第2イベントが発生したことを検知し、
前記第2イベントが発生したことを前記イベント検知部が検知したときに当該第2イベントに対応付けられた画像を前記イベント情報記憶部から読み出す
ように構成することができる。
【0014】
コンピュータゲームの進行中には、キャラクター自身の動作とは直接関係がないイベントが発生し得る。例えば、野球ゲームの場合、ゲームの進行中にプレイヤーが操作するキャラクター(プレイヤーキャラクター)の動作とは関係なく、7回表裏の攻防(ラッキーセブン)が到来する。また、サッカーゲーム等では前半終了時にハーフタイムに入る。これらの第2イベントはプレイヤーによるキャラクターの操作と無関係に発生するものであるため、予め用意した画像を表示させればよい。そのような画像として、例えばラッキーセブンの攻撃前やハーフタイムにおける応援団の画像を用いることができる。上記態様のシステムでは、このようなタイミングで予め保存された画像の表示を含んだプレイ記録動画を作成することができる。
【0015】
本発明に係るシステムは、さらに、
前記画像情報取得部により取得された画像情報を記憶する画像情報記憶部と、
前記複数の仮想カメラにより捉えられた前記仮想空間の画像を表す画像情報が順次、保存される仮想カメラ画像記憶部と
を備えるように構成することができる。
【0016】
上記態様のシステムでは、各イベントの発生時に複数の仮想カメラによって仮想空間をとらえた画像が画像記憶部に保存されるため、プレイ記録動画作成部により作成された動画を使用者が確認し、その一部の画像を別の仮想カメラで仮想空間を捉えた画像に差し替えてプレイ記録動画を編集することができる。
【0017】
本発明に係るシステムは、さらに、
前記複数のイベント及び前記第2イベントのうちの一部に、仮想カメラ及び/又は画像情報が複数対応付けられており、
前記プレイ記録動画作成部は、画像情報の組み合わせが異なる複数のプレイ記録動画を作成する
ように構成することができる。
【0018】
上記態様のシステムでは、各イベント発生時の画像が異なる複数種類のプレイ記録動画を作成することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るコンピュータゲームのプレイ記録動画作成システムを用いることにより、視聴する者を飽きさせないプレイ記録動画を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係るコンピュータゲームのプレイ記録動画作成システムの一実施例の要部構成図。
図2】本実施例のシステムにおいてイベント情報記憶部に保存されるイベントと、該イベントに対応する画像情報又は仮想カメラの例。
図3】本実施例のシステムにおいてイベントに対応付けられる画像情報の例。
図4】本実施例のシステムにおいて仮想カメラで取得される画像情報の例。
図5】本実施例のシステムにおいて作成されるプレイ記録動画の構成例。
図6】本実施例のシステムにおけるプレイ記録動画の編集前後の構成例。
図7】本実施例のシステムにおけるプレイ記録動画の評価情報解析例。
図8】本実施例のシステムにおけるプレイ記録動画の編集例。
図9】本発明に係るコンピュータゲームのプレイ記録動画作成システムを用いてロールプレイングゲームのプレイ記録動画を作成する場合の構成例。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係るコンピュータゲームのプレイ記録動画作成システムについて、以下、図面を参照して説明する。本実施例では、野球ゲームのプレイ記録動画を作成する場合を例に説明する。
【0022】
図1は、本実施例のコンピュータゲームのプレイ記録動画作成システム1(以下、単に「システム」ともいう。)の要部構成図である。本実施例のシステム1は、大別してプレイヤー端末10(本発明における入力端末に相当)と、動画作成者端末50と、該プレイヤー端末10及び該動画作成者端末50と相互に通信可能に設けられた制御・処理装置20で構成されている。
【0023】
プレイヤー端末10は、コンピュータゲームをプレイする者(プレイヤー)が使用する端末である。プレイヤー端末10は、記憶部11と、コンピュータゲームにおいて仮想空間で動作するキャラクターをプレイヤーが操作するためのコントローラ(操作入力部)12と、該キャラクターの動作を表示するプレイヤー画面が表示されるディスプレイ(表示部)13と、プレイヤーの声を拾うマイク(音声入力部)14とを備えている。コントローラに代えてモーションキャプチャやキーボードなどを用いてもよい。
【0024】
動画作成者端末50は、コンピュータゲームのプレイ記録動画を作成しようとする者(動画作成者)が使用する端末である。動画作成者端末50は、記憶部51を備えており、入力部52と表示部53が接続されている。
【0025】
制御・処理装置20には、記憶部21のほか、機能ブロックとして、進行制御部31、イベント検知部32、画像情報取得部33、プレイ記録動画作成部34、音声データ取得部35、動画編集受付部36、動画アップロード部37、評価情報収集部38、評価情報解析部39、及び動画編集部40を備えている。制御・処理装置20の実体は、例えば、一般的なパーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、あるいはゲーム機であり、それらに予めインストールされたプレイ記録動画作成用プログラム30をプロセッサで実行することによりこれらの機能ブロックが具現化される。
【0026】
記憶部21には、イベント情報記憶部22、イベント発生記憶部23、画像情報記憶部24、音声データ記憶部25、及びプレイ記録動画記憶部26が設けられている。
【0027】
イベント情報記憶部22には、当該野球ゲームのプレイ中に発生し得る複数のイベントの情報が保存されている。このイベントは、例えば図2に示すような、プレイ開始、プレイボール、初ヒット、三振、チャンス(得点圏に自チームのランナーを置いた状態)、ホームラン、得点、ピンチ(得点圏に相手チームのランナーを背負った状態)、失点、自チームによる逆転、相手チームによる逆転、選手交代、自チームのラッキーセブン、相手チームのラッキーセブン、クロスプレー、及びゲームセットである。
【0028】
また、これらのイベントのそれぞれについて、1乃至複数の仮想カメラの情報又は画像情報が対応付けられている。仮想カメラの情報が対応付けられたものは本発明におけるイベントに相当し、画像情報が対応付けられたものは本発明における第2イベントに相当する。ただし、これらは便宜上の分類に過ぎず、本実施例のイベントの一部には、仮想カメラの情報と画像情報の両方が対応付けられたものもある。イベントのうち、逆転のイベントは、得点又は失点のイベントと同時に起こりうる。こうしたイベントについて、いずれか一方(ここでは逆転)のイベントが他方(得点、失点)のイベントよりも上位のイベントとして設定されている。上位のイベントは、そのイベントが発生したときに当該イベントと下位のイベントの両方の発生要件を満たすように決められる。このような例には、他に、ホームランのイベント(上位のイベント)と得点(下位のイベント)などもある。なお、本明細書に記載する「画像」には、動画像と静止画像の両方が含まれうる。
【0029】
仮想カメラには、例えば、キャッチャーの目線でマウンド上のピッチャーを捉えるように配置されるカメラ(以下、この仮想カメラを「ピッチャーカメラ」という。)、ピッチャーの目線でマウンド上からキャッチャーを捉えるように配置されるカメラ(以下、この仮想カメラを「キャッチャーカメラ」という。)、ランナーを捉えるように配置されるカメラ(以下、この仮想カメラを「ランナーカメラ」という。)、主審をそれぞれ捉えるように配置されるカメラ(以下、この仮想カメラを「主審カメラ」という。)、バックスクリーンからフィールド全体を捉えるように配置されるカメラ(以下、この仮想カメラを「バックスクリーンカメラ」という。)、一塁、二塁、三塁、及び本塁のそれぞれを所定の方向から捉えるように配置されるカメラ(以下、これらの仮想カメラを「一塁カメラ」、「二塁カメラ」、「三塁カメラ」、及び「本塁カメラ」という。)、仮想空間の上空からフィールド全体を捉えるように配置されるカメラ(以下、この仮想カメラを「上空カメラ」という。)が含まれる。これらの仮想カメラの位置及び画角は固定されている。
【0030】
また、仮想カメラには、ゲームに登場するキャラクター(プレイヤーキャラクター(PC))を含む自チームの各選手や、相手チームの各選手、自チームの監督、コーチ、ボール等のノンプレイヤーキャラクター(NPC))をそれぞれ所定の画角でとらえる位置に配置されるカメラ(以下、この仮想カメラを「監督カメラ」等という。)も含まれる。ノンプレイヤーキャラクターには、プレイ中の野球ボールといった、人物以外のものも含まれうる。これらの仮想カメラは、仮想空間内でのキャラクターの移動に追随して位置及び向きが自動的に変更される。
【0031】
画像情報としては、例えば、自チームの選手画像、自チームと他チームの応援団の画像、自チームと他チームの監督の画像が含まれる。
【0032】
イベント発生記憶部23には、ゲームのプレイ中に発生したイベント、及びその発生時間に関する情報が保存される。
【0033】
画像情報記憶部24には、選択画像記憶部241と仮想カメラ画像記憶部242が設けられている。選択画像記憶部241には、後述するイベント検知部32が検知したイベントに対応付けられ、後述する画像情報取得部33によって取得された画像情報が保存される。図3に示すように、画像情報としては、例えば選手画像や応援団画像が含まれる。
【0034】
仮想カメラ画像記憶部242には、プレイ中に、後述する仮想カメラによって捉えられた仮想空間の画像の情報が保存される。図4に、仮想カメラによって捉えられる仮想空間の画像の一例(ピッチャーカメラ、バッターカメラ、及びランナーカメラによる画像の例)を示す。各仮想カメラにより取得される仮想空間の画像情報は、1プレイ単位(例えばピッチャーがボールを投げ、バッターがそのボールを打ち、その打球を捕球して一塁に送球し、審判によりアウト/セーフのジャッジがなされる等の一連のプレイが完結する単位)毎に、イベントの発生と関係なく、順次、仮想カメラ画像記憶部242に保存される。
【0035】
音声データ記憶部25には、後記する進行制御部31によるゲームの進行中に予め決められたアルゴリズムに基づいて与えられる実況音声や効果音(打球音、捕球音など)が、1プレイ単位で、イベントの発生と関係なく、順次、保存される。また、音声データ記憶部25には、ゲームのプレイ中にプレイヤー端末10のマイク14を通じて入力された音声のデータも保存される。
【0036】
進行制御部31は、予め決められたアルゴリズムに従ってゲームを進行させる。また、進行制御部31は、プレイヤーがゲームをプレイするために必要な画面(プレイヤー画面)をプレイヤー端末10のディスプレイ13に表示し、コントローラ12からの入力信号を処理する。プレイヤー画面は、コンピュータゲームのキャラクターをプレイヤーが操作する際の操作性を高めることを主眼として画角が定められている。本実施例の野球ゲームのプレイ中にプレイヤーがピッチャーを操作して投球動作を行う際には、マウンド上からキャッチャー方向を見た画面がプレイヤー画面として設定され、プレイヤーがバッターを操作して打撃動作を行う際には、キャッチャーの目線でピッチャー方向を見た画面がプレイヤー画面として設定される。これらの機能は、従来のコンピュータゲームと同様である。本実施例の進行制御部31は、さらに、野球の試合が行われる球場を仮想空間として設定し、その仮想空間に、上記の複数の仮想カメラをそれぞれ配置する。
【0037】
イベント検知部32は、コンピュータゲームの進行をモニターし、イベント情報記憶部22に保存されている複数のイベントのいずれかの発生を検知する。
【0038】
画像情報取得部33は、イベント検知部32がイベントを検知したときに、当該イベントに対応付けられている画像情報及び/又は複数の仮想カメラにより取得される仮想空間の画像情報を収集して選択画像記憶部241に保存する。なお、仮想カメラで取得される仮想空間の画像については、仮想カメラを特定する情報と各時点での仮想空間におけるキャラクター等の位置情報及び姿勢情報とを対応付けたデータとして保存される。仮想カメラで取得される仮想空間の画像を画像データ形式あるいは動画データ形式で保存することも可能であるが、上記形式のデータとして保存することよりファイルサイズを小さくすることができる。また、プレイ記録動画を作成した後の編集も容易になる。
【0039】
プレイ記録動画作成部34は、画像情報取得部33により取得され、選択画像記憶部241に保存された画像情報を用いてプレイ記録動画を作成する。
【0040】
音声データ取得部35は、ゲーム進行中の実況音声や効果音、及びゲームのプレイ中にプレイヤー端末10のマイク14を通じて入力されたプレイヤーの声のデータを順次、音声データ記憶部25に保存する。
【0041】
動画編集受付部36、動画アップロード部37、評価情報収集部38、評価情報解析部39、及び動画編集部40は、プレイ記録動画が作成された後に動画を編集する際に用いられる。これらの機能については具体的な処理の流れと併せて後述する。
【0042】
次に、本実施例のシステム1の各部の動作を説明する。ゲームのプレイヤーと動画作成者は同一であってもよく、異なっていてもよい。ここでは、両者が別であるものとする。例えば、サーバコンピュータ上でゲームを提供する者が、ネットワークを通じてプレイヤーがプレイした記録動画を作成してプレイヤーに提供する場合、プレイヤーと動画作成者は異なる。あるいは、プレイヤーが自らのプレイ動画を作成しようとする場合には、プレイヤーと動画作成者は同一である。その場合には、プレイヤー端末10と動画作成者端末50の両方を一体化した端末を用いることができる。なお、進行制御部31が、プレイヤー端末10のディスプレイ13にプレイヤー画像を表示する機能や、コントローラ12からの入力を処理する機能については従来のコンピュータゲームと同様であるため、説明を省略する。
【0043】
プレイヤーが野球ゲームの開始を指示すると、進行制御部31は、野球の試合が展開される球場を仮想空間として設定し、その中に上記複数の仮想カメラを設定する。各仮想カメラにより仮想空間(仮想空間に配置されたキャラクターを含む)を捉えた画像は、1プレイ毎に順次、仮想カメラ画像記憶部242に保存される。
【0044】
野球ゲームが開始されると、イベント検知部32は、ゲームの進行状況を監視し、イベントの発生を検知する。イベント検知部32は、まず、ゲーム開始のイベントを検知する。イベント検知部32がゲーム開始のイベントを検知すると、画像情報取得部33は、イベント情報記憶部22に保存されている、ゲーム開始のイベントに対応付けられた画像である、選手画像を読み出して選択画像記憶部241に保存する。
【0045】
ゲーム開始のイベントを検知した後、イベント検知部32は続いてプレイボールのイベントを検知する。イベント検知部32がプレイボールのイベントを検知すると、画像情報取得部33は、画像情報記憶部に保存されている、プレイボールのイベントに対応付けられた情報である、審判の画像を読み出して選択画像記憶部241に保存する。
【0046】
イベント検知部32は、試合開始後も、引き続きゲームの進行状況を監視し、イベント情報記憶部22に保存されている複数のイベントのいずれかの発生を検知する。例えば、自チームの攻撃イニングにおいて、初ヒットを打ったとき、自チームにチャンスが到来したとき、得点が入ったときや、相手チームの攻撃イニングにおいて、自チームにピンチが到来した時、失点したときにイベントを検知する。その他、自チームのラッキーセブン、相手チームのラッキーセブンもそれぞれイベントとして検知する。なお、例えば、自チームによる逆転は、逆転と得点の両方のイベントに相当するが、より上位のイベントである逆転のイベントの発生として検知される。
【0047】
上記のゲーム開始やプレイボールとは異なり、初ヒットや得点などのイベントは、当該の1プレイが完結した時点で発生する。従って、これらのイベントのプレイ記録動画を作成するには、イベント検知部32がイベントを検知した時点よりも前の画像情報を取得する必要がある。例えば、イベント検知部32が自チームが初ヒットを打ったイベントを検知した場合、イベントが検知された時点でヒットの瞬間は終わっている。このようなイベントが検知された場合、画像情報取得部33は、仮想カメラ画像記憶部242に保存されている画像情報を参照し、そのヒットが生まれた1プレイの画像の情報を取得する。初ヒットのイベントについては、バットにボールが当たるまでの時間にバッターカメラで取得した画像情報とそれ以降の時間帯には上空カメラで取得した画像情報を組み合わせたものを取得する(図2参照)。画像情報取得部33は、取得した画像を選択画像記憶部241に保存する。
【0048】
また、イベントの中には画像情報及び/又は仮想カメラが複数、対応づけられたものもある。例えば、失点のイベントにはピッチャーカメラと監督カメラの2つが対応付けられている。こうしたイベントが検知された場合は、画像情報取得部33はそれら複数の画像をそれぞれ取得して選択画像記憶部241に保存する。また、例えば、チャンスのイベントには、自チーム応援団画像とバッターカメラが対応付けられている。こうしたイベントが検知された場合は、画像情報取得部33は、当該イベントに対応付けられた画像情報をイベント情報記憶部22から読み出すとともに、バッターカメラにより仮想空間(ここではバッター)を捉えた画像を取得し、それぞれを選択画像記憶部241に保存する。
【0049】
試合が終了するまでの間、イベント検知部32によるイベントの検知と、画像情報取得部33による画像の取得及び選択画像記憶部241への保存が順次、行われる。
【0050】
試合が終了すると、プレイ記録動画作成部34は、選択画像記憶部241に保存された画像情報を用いてプレイ記録動画を作成する。
【0051】
図5に、試合が終了した時点で選択画像記憶部241に保存される動画の構成例を示す。図5に示すように、試合開始後、試合の進行に伴って時系列で順次、選択画像記憶部241に画像情報が保存されていく。また、イベントの一部については複数の画像情報が選択画像記憶部241に保存されることになる。図5における経過時間はプレイ開始からの経過時間である。また、イベント時間は当該イベントに係る1プレイの時間であり、これはプレイ記録動画において当該イベントの画像が表示される時間となる。
【0052】
プレイ記録動画作成部34は、各イベントに対応付けられた画像情報を読み出し、それらをつなぎ合わせた動画を作成する。ここで、複数の画像情報が対応付けられたイベントが存在する場合には、それらを1つずつ用いて、画像の組み合わせが異なる複数種類のプレイ記録動画を作成する。また、各プレイ記録動画含まれる各イベントの画像情報に、プレイ中の実況音声や効果音、プレイヤーの発した音声のデータを対応付ける。
【0053】
図5に示す例では、7つのイベント(イベント4:チャンス、イベント5:ピンチ、イベント6:失点、イベント7:相手チーム逆転、イベント10:ピンチ、イベント12:ホームラン、及びイベント13:自チーム逆転)について、それぞれ2つずつ画像情報が保存されている。従って、この場合には、画像の組み合わせが異なる128個のプレイ記録動画が作成される。この例では、6.5分(イベント時間の総和)のプレイ記録動画が作成される。プレイ記録動画作成部34は、それらのプレイ記録動画を記憶部21に保存し、プレイ記録動画の作成が終了したことを通知する画面を、動画作成者端末50の表示部53に表示する。ここでは全ての組み合わせに対応する動画を作成したが、組み合わせの数が膨大になる場合は、プレイ記録動画作成部34は、全ての組み合わせの中からランダムに一部の組み合わせを抽出し、それらに対応する動画のみを作成するようにしてもよい。
【0054】
動画作成者が、プレイ記録動画の作成が終了したことを示す通知を確認した後、入力部52を通じた操作によりそれらのプレイ記録動画のダウンロードを指示すると、プレイ記録動画のファイルが動画作成者端末50にダウンロードされ、記憶部51に保存される。
【0055】
また、動画作成者がプレイ記録動画の確認を指示すると、作成されたプレイ記録動画のリストと再生ボタンが表示される。動画作成者は、各動画の再生ボタンを押すことにより、各動画を視聴することができる。各動画を確認する際には、実況及び効果音と、プレイヤーの音声データのそれぞれについてON/OFFを切り替え可能となっている。例えば、プレイヤーの音声データOFFを選択した場合には、野球ゲームのプレイ実況等の音声のみが音声データが再生される。プレイヤーの音声データONを選択した場合には、プレイ実況等の音声に加えてゲームのプレイ中にプレイヤーが発した声も出力される。
【0056】
上記のように作成されるプレイ記録動画は、予め保存された画像又は仮想カメラで仮想空間を捉えた画像から作成される。これらの画像はプレイヤーの操作性とは関係のない、変化に富んだ画像であることから、視聴する者を飽きさせないプレイ記録動画を作成することができる。
【0057】
動画作成者は、作成された128種類のプレイ記録動画を適宜、視聴し、その中で自らが最も気に入ったものを動画投稿サイトに投稿して他者に視聴させることができる。
【0058】
また、動画作成者は、プレイ記録動画作成部34が作成したプレイ記録動画を編集することもできる。動画作成者がプレイ記録動画の編集を指示すると、動画編集受付部36は、編集の元データとなるプレイ記録動画のファイルを動画作成者に指定させる。
【0059】
動画作成者が対象ファイルを指定すると、動画編集受付部36は、そのプレイ記録動画の編集箇所を動画作成者に指定させる。例えば、動画作成者にイベント番号を選択させることにより編集箇所を指定させることができる。本実施例では、当該箇所の画像の削除、当該箇所の画像の差し替え、あるいは当該箇所への画像の追加を行うことができる。
【0060】
動画作成者が当該箇所の画像の削除を指示すると、動画作成者により指定された箇所(イベント)の画像情報が削除される。
【0061】
動画作成者が当該箇所の画像の差し替えを指示すると、動画編集受付部36は、仮想カメラ画像記憶部242に保存されている、野球ゲームのプレイ中に各仮想カメラにより取得された画像情報を読み出し、動画作成者にいずれかの仮想カメラを選択させる。動画作成者が仮想カメラの1つを選択すると、動画作成者が指定した編集箇所(イベント)において当該仮想カメラにより取得された仮想空間の画像情報が仮想カメラ画像記憶部242から読み出され、先にプレイ記録動画に含まれていた画像情報と入れ替えられる。
【0062】
動画作成者が2つのイベントの間を指定して画像の追加を指示すると、動画編集受付部36は画像の差し替え時と同様に、仮想カメラ画像記憶部242に保存されている、野球ゲームのプレイ中に各仮想カメラにより取得された画像情報を読み出し、動画作成者にいずれかの仮想カメラを選択させる。動画作成者が仮想カメラの1つを選択すると、動画編集受付部36は、動画作成者が指定した2つのイベントの間に当該仮想カメラにより取得された画像情報を時系列で表示する。動画作成者が、表示された時系列の画像情報の中から所望の時間範囲の画像情報を指定すると、動画作成者が先に指定した編集箇所に、動画作成者が指定した時間範囲に動画作成者が指定した仮想カメラにより取得された画像情報が差し込まれる。
【0063】
図6に、プレイ記録動画の編集例を示す。この例では、イベント2、3、8-10の画像情報が削除され、またイベント5及び13の画像情報が変更されている。これらの画像情報の削除により、プレイ記録動画の再生時間が6.5分から4.5分に短縮される。
【0064】
本実施例のシステムでは、さらに、1回の野球ゲームのプレイ中に作成された複数のプレイ記録動画をインターネット上の動画投稿サイト等で公開し、各プレイ記録動画の視聴者からの評価を受け付けることができる。
【0065】
プレイ記録動画作成部34により作成されたプレイ記録動画、及び/又はそれを動画編集受付部36により編集したプレイ記録動画のアップロードを指示すると、動画アップロード部37は予め決められたインターネットサーバ上の動画投稿サイトにそれらの動画をアップロードする。ここでは、動画アップロード部37によりプレイ記録動画をインターネットサーバ上の動画投稿サイトにアップロードして不特定多数の視聴者による評価を受け付けるが、予め決められた視聴者(例えば本システムのユーザとして登録された者)にプレイ記録動画を送信し、それらの視聴者のみから評価を受け付けるようにしてもよい。
【0066】
インターネットサーバ上にアクセスした視聴者がいずれかの動画の再生を指示すると、当該動画の再生と同時に評価ボタン(良い、悪い)を視聴画面に表示する。視聴者が動画の再生中に評価ボタンのいずれかを押すと、評価情報収集部38は、押されたボタンの情報(良い、悪い)と押された時間を対応付けた情報(評価情報)を収集する。
【0067】
視聴者が動画を最後まで視聴すると、評価情報収集部38は、それまでに収集した評価情報を、視聴された動画の情報(例えばファイル名)に対応付けて評価情報記憶部27に保存する。視聴者が動画の再生を途中でやめた場合には、その時点で表示されていた画像が視聴者の興味を惹かなかったと見なし、評価情報収集部38は、再生が中止された時間の情報(再生時間)の情報を取得して当該再生時間に「悪い」の評価を追加し、それまでに収集した評価情報と合わせて視聴された動画の情報に対応付けて評価情報記憶部27に保存する。
【0068】
動画アップロード部37によってプレイ記録動画がアップロードされてから所定の期間(例えば1週間)が経過すると、評価情報解析部39は、当該プレイ記録動画に与えられた評価を集計する。
【0069】
まず、1つのプレイ記録動画についてのみ評価情報を収集した場合について説明する。
【0070】
図7に評価情報解析部39による解析結果の一例を示す。この例では、評価情報解析部39は、プレイ記録動画に含まれる各イベントの画像に対して付された「良い」評価の数から「悪い」評価の数を差し引くことにより評点を算出する。
【0071】
図7に示すような評点が算出されると、動画編集部40は、評点が予め決められた基準に満たないイベントの画像情報を削除して、新たなプレイ記録動画を作成する。例えば、評点が0以上であることを基準とした場合には、動画編集部40によって図8に示すような、新たなプレイ記録動画が作成される。これにより、視聴者が「悪い」と評価した部分(視聴者が魅力を感じなかった画像)を削除して、より視聴者の興味を惹くプレイ記録動画を作成することができる。
【0072】
次に、複数のプレイ記録動画について評価情報が収集された場合について説明する。
【0073】
この場合も上記同様に、評価情報解析部39は、複数のプレイ記録動画のそれぞれに含まれる各イベントについて評点を算出する。
【0074】
次に、評価情報解析部39は、同一のイベントかつ同一の画像情報について取得された評点を集計(例えば平均)する。そして、集計値が予め決められた基準に満たないイベントの画像情報を削除する。この基準は上記同様に、例えば平均値が0以上であることとすればよい。この時点で、同一のイベントに関する複数の集計値(つまり、同一のイベントであるが画像情報が異なる集計値)が残っている場合には、その中で最も集計値が高いものを選択する。
【0075】
動画編集部40は、上記処理によって選択された画像情報を経過時間の順に並べて新たなプレイ記録動画を作成する。これにより、視聴者が「悪い」と評価した部分を削除するだけでなく、さらに、視聴者がより「良い」と評価した画像情報を組み合わせた、魅力的なプレイ記録動画を自動的に作成することができる。
【0076】
また、動画編集部40が、動画作成者に、元のプレイ記録動画よりも短い動画の長さを指定させ、その長さ以下の時間に収まる範囲内で、評点又は集計点が高い順にイベントと画像情報の組み合わせを抽出するように構成してもよい。これにより動画作成者が任意の長さで、かつ視聴者の興味を惹くシーンを集めたプレイ記録動画を作成することができる。
【0077】
上記実施例は一例であって、本発明の趣旨に沿って適宜に変更することができる。
【0078】
上記実施例ではプレイヤー画面とは別に、仮想空間に仮想カメラを配置して画像情報を取得したが、ピッチャーカメラやバッターカメラに代えて、プレイヤー画面を対応付けてもよい。これにより仮想カメラの数を抑えてプロセッサに係る負荷を低減することができる。
【0079】
上記実施例では、イベント検知部32が検知した全てのイベントに対応づけられた画像情報を用いてプレイ記録動画を作成した。つまり、まず、プレイ記録動画作成部34が、全てのイベントのシーンを含むプレイ記録動画を作成し、その後、動画作成者が適宜に編集(削除)する場合を説明したが、予め動画作成者がゲームのプレイ前の時点でプレイ記録動画の長さを指定しておき、プレイ記録動画作成部34がその長さに収まるようなプレイ記録動画を作成するように構成することもできる。具体的には、例えばイベント情報記憶部22に保存されるイベントについて優先順位を付しておき、ゲームのプレイ中に発生した全てのイベントのなかから優先順位が高い順に画像情報を抽出してプレイ記録動画を作成すればよい。例えば野球ゲームの場合、打撃戦になる場合と投手戦になる場合では発生するイベントの数が大きく異なる可能性があり、上記例の方法ではプレイ記録動画作成部34が打撃戦のプレイ記録動画を作成すると長時間の動画になる可能性があるが、上記のような構成を採ることにより、プレイ内容に関係なく一定の長さのプレイ記録動画を作成することが可能となる。
【0080】
上記実施例では、イベントに対応付けられているものが静止画像であるか動画像であるか、さらには仮想カメラにより取得される画像(動画像)であるかを問わず、1プレイ単位の長さの画像情報を取得したが、画像の種類に応じて異なる長さの画像情報としてもよい。例えば、静止画像である場合、数秒表示すれば十分であると考えられることから、イベントに対応付けられた画像情報が静止画像である場合には、動画像である場合に比べて短い時間のみ当該画像を表示するようにプレイ記録動画を作成するとよい。
【0081】
上記実施例では、イベントの内容を問わず、1プレイ分の画像情報を取得するように構成したが、イベントの種類によって、画像情報を取得する長さを変えてもよい。また、上記実施例では、イベントの一部について複数の仮想カメラを対応付け、それら複数の仮想カメラによって取得される同じ長さ(1プレイ分)の画像情報を取得するようにしたが、さらに、1つの仮想カメラによって取得される、異なる時間の画像情報を対応付けるようにしてもよい。例えばチャンスのイベントの場合、上記実施例ではバッターのアウト/セーフが決する1プレイのみ(例えば当該バッターに対する3球目の投球に関するプレイ画像のみ)の画像情報を取得するが、当該バッターが打席に立った後、そのバッターのアウト/セーフが決するまでの複数プレイ分の画像情報を取得するように構成することもできる。
【0082】
上記実施例では、野球ゲームのプレイ記録動画を作成する場合を説明したが、サッカーゲーム、テニスゲーム、バスケットゲームなどの他のスポーツゲームについても上記同様のシステムを用いることができる。また、本発明のシステムはスポーツゲームに限らず、シューティングゲーム、格闘ゲーム、ロールプレイングゲーム等の異なるジャンルのコンピュータゲームにも適用することができる。
【0083】
ロールプレイングゲームでは、通常、予め用意された1乃至複数のシーンのそれぞれにおいて予め設定された1乃至複数のイベント(ノンプレイヤーキャラクターとの会話、敵キャラクターとの戦闘、アイテムの発見等)を達成ながらゲームが進行される。
【0084】
そこで、予め、上記達成条件を満たすことをそれぞれ上記実施例におけるイベントとし、当該イベントの発生時に当該キャラクタープレイヤーに対応する仮想カメラで取得された画像情報を組み込むことによってプレイ記録動画を作成することができる。
【0085】
また、プレイヤーキャラクターの仮想カメラで取得される画像情報に、プレイヤーがロールプレイングゲームにおけるプレイヤーキャラクターのアバターを作成する過程を記録した画像、物語のプロローグ、及び物語のエピローグを組み合わせるように構成してもよい。このような構成を採ることによって、物語風のプレイ記録動画を作成することができる。さらに、上記実施例と同様に、複数種類のプレイ記録動画を作成することもできる。図9に、長さが異なる複数のプレイ記録動画を作成する場合のパラメータの一例を示す。
【符号の説明】
【0086】
1…プレイ記録動画作成システム
10…プレイヤー端末
11…記憶部
12…コントローラ
13…ディスプレイ
14…マイク
20…制御・処理装置
21…記憶部
22…イベント情報記憶部
23…イベント発生記憶部
24…画像情報記憶部
241…選択画像記憶部
242…仮想カメラ画像記憶部
25…音声データ記憶部
26…プレイ記録動画記憶部
27…評価情報記憶部
30…プレイ記録動画作成用プログラム
31…進行制御部
32…イベント検知部
33…画像情報取得部
34…プレイ記録動画作成部
35…音声データ取得部
36…動画編集受付部
37…動画アップロード部
38…評価情報収集部
39…評価情報解析部
40…動画編集部
50…動画作成者端末
51…記憶部
52…入力部
53…表示部
【要約】
【課題】視聴する者を飽きさせないプレイ記録動画を作成することができる技術を提供する。
【解決手段】予め設定された仮想空間において動作するキャラクターをプレイヤーが入力端末10で操作することによりコンピュータゲームをプレイした記録の動画を作成するシステム1において、コンピュータゲームを進行する進行制御部31と、仮想空間に設定される仮想カメラと、ゲーム進行中に発生し得るイベントの情報と該イベントを仮想カメラに対応づけた情報が保存されたイベント情報記憶部22と、コンピュータゲームの進行中にイベントが発生したことを検知するイベント検知部32と、イベントが発生したときに該イベントに対応付けられた仮想カメラにより捉えられた仮想空間の画像を表す画像情報を取得する画像情報取得部33と、画像情報取得部により取得された画像を用いてプレイ記録動画を作成するプレイ記録動画作成部34とを備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9