(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】微細構造化層を有する物品
(51)【国際特許分類】
B32B 3/30 20060101AFI20220119BHJP
G02B 5/124 20060101ALI20220119BHJP
G02B 5/02 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
B32B3/30
G02B5/124
G02B5/02 C
(21)【出願番号】P 2018533783
(86)(22)【出願日】2016-12-22
(86)【国際出願番号】 US2016068309
(87)【国際公開番号】W WO2017116987
(87)【国際公開日】2017-07-06
【審査請求日】2019-12-19
(32)【優先日】2015-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100157185
【氏名又は名称】吉野 亮平
(72)【発明者】
【氏名】ソロモン,ジェフリー エル.
(72)【発明者】
【氏名】フリー,マイケル ベントン
(72)【発明者】
【氏名】マクマン,スティーヴン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ウォーク,マーティン ビー.
(72)【発明者】
【氏名】クロス,エリサ エム.
【審査官】團野 克也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/050750(WO,A1)
【文献】特開2013-107281(JP,A)
【文献】特表2013-524298(JP,A)
【文献】特表2014-522501(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC B05D 1/00- 7/26
B32B 1/00-43/00
B65D65/00-79/02
81/18-85/88
C23C 4/00- 6/00
14/00-14/58
24/00-30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の材料を含み、かつ互いに反対側の第1主表面及び第2主表面を有する第1の微細構造化層であって、前記第1の材料が、架橋性組成物又は架橋された組成物の少なくとも一方を含み、前記第1主表面が微細構造化表面であり、前記微細構造化表面が山部及び谷部を有し、前記山部が、微細構造特徴部であり、前記微細構造特徴部のそれぞれが、前記それぞれの微細構造特徴部の前記山部と隣接する谷部との間の距離により画定される高さを有する、第1の微細構造化層と、
接着剤材料を含み、かつ互いに反対側の第1主表面及び第2主表面を有する第2の層であって、前記第2の層の前記第2主表面の少なくとも一部分が、前記第1の層の前記微細構造化された第1主表面の少なくとも一部分に直接貼り付けられている、第2の層と、
第3の材料を含み、かつ互いに反対側の第1主表面及び第2主表面を有する第3のポリマー層であって、前記第3のポリマー層の前記第2主表面の少なくとも一部分が、前記第2の層の前記第1主表面の少なくとも一部分に直接貼り付けられている、第3のポリマー層と、を備え、
前記第1の層の前記第2主表面に直接又は間接的に貼り付けられている、任意のポリマー材料が、前記それぞれの層の全体積に対して、合計で75体積パーセント以下の非架橋性の熱可塑性樹脂及び無機材料を含有
し、
前記第1の微細構造化層の屈折率と異なる屈折率を有する材料が、前記第1の微細構造化層の微細構造化表面にコーティングされている、物品。
【請求項2】
前記第1の層の前記微細構造特徴部のそれぞれの一部分が、前記それぞれの微細構造化特徴部の平均高さ未満の深さまで、前記第2の層の前記第2の材料内に少なくとも部分的に貫入している、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記第1の微細構造化層が、前記第1の微細構造化層の任意の谷部から前記第2主表面までの最短距離によって画定される厚さを有し、前記厚さが25マイクロメートル以下である、請求項1または2に記載の物品。
【請求項4】
前記第3の層が、ポリエステル又は多層光学フィルムを含む、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の物品。
【請求項5】
前記物品が、80マイクロメートル以下の厚さを有する、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の物品。
【請求項6】
光源、背面反射体、及び、少なくとも1つの請求項1ないし5のいずれか一項に記載の物品を備える、バックライトシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
微細構造化フィルムは、光学ディスプレイにおいて有用であり得る。例えば、プリズム形微細構造化フィルムは、輝度向上フィルムの機能を果たし得る。多くの種類の光学ディスプレイ内では、2つ以上の微細構造化フィルムを共に使用することができる。更には、光学ディスプレイ内では、1つ以上の微細構造化フィルムと共に、1つ以上の他の光学フィルムを使用することもできる。これらの微細構造化フィルム及び他の光学フィルムは、典型的には、別個に製造され、光学ディスプレイの製造時に、その光学ディスプレイ内に組み込まれるものであり、あるいは、光学ディスプレイ内に組み込まれることが意図されている、サブアセンブリ又は構成要素の製造時に、そのサブアセンブリ又は構成要素内に組み込まれるものである。このことは、多大な費用、時間、及び/又は労力を要する、製造ステップとなる恐れがある。一部のそのような微細構造化フィルム及び他の光学フィルムは、フィルムの製造、フィルムの加工、フィルムの搬送、及び光学ディスプレイ若しくはサブアセンブリ構成要素の製造の間の取り扱いの際に、剛性又は他の利点をもたらすことを目的とする、層を含むように設計されている。このことは、そのようなフィルムに、それらのフィルムの光学機能を発揮するために必要とされるものを上回るような、厚さ及び重量の増大をもたらす恐れがある。場合によっては、そのような微細構造化フィルム及び他の光学フィルムは、光学ディスプレイ又はサブアセンブリ構成要素が製造される際に、1つ又は複数の接着剤層を使用して、互いに接着される。このこともまた、その光学ディスプレイ又はサブアセンブリ構成要素に、厚さ及び重量の増大をもたらす恐れがあり、場合によってはまた、その光学系にも悪影響を及ぼす恐れがある。場合によっては、そのような微細構造化フィルム及び他の光学フィルムは、それらの主光軸が互いに正確な角度で位置するように、光学ディスプレイ内に極めて正確に配置構成しなければならない。このことは、多大な費用、時間、及び/又は労力を要する製造ステップとなる恐れがあり、僅かな位置ずれでさえも、光学性能に悪影響を及ぼす恐れがある。上述の欠点のうちの1つに対処するもの、又は上述の欠点のうちの1つを改善するものを含めた、更なる微細構造化フィルム構成体が必要とされている。
【発明の概要】
【0002】
一態様では、本開示は、
第1の材料を含み、かつ互いに反対側の第1主表面及び第2主表面を有する第1の微細構造化層であって、この第1の材料が、架橋性組成物又は架橋された組成物の少なくとも一方を含み、この
第1主表面が微細構造化表面であり、その微細構造化表面が山部及び谷部を有し、それらの山部が、微細構造特徴部であり、それら微細構造特徴部のそれぞれが、それぞれの微細構造特徴部の山部と隣接する谷部との間の距離により画定される高さを有する、第1の微細構造化層と、
接着剤材料を含み、かつ互いに反対側の第1主表面及び第2主表面を有する第2の層であって、この第2の層の第2主表面の少なくとも一部分が、第1の層の微細構造化された第1主表面の少なくとも一部分に直接貼り付けられている、第2の層と、
第3の材料を含み、かつ互いに反対側の第1主表面及び第2主表面を有する、第3のポリマー層であって、この第3のポリマー層の第2主表面の少なくとも一部分が、第2の層の第1主表面の少なくとも一部分に直接貼り付けられている、第3のポリマー層とを備え、第1の層の第2主表面に直接又は間接的に貼り付けられている、任意のポリマー材料が、それぞれの層の全体積に基づいて、合計で75体積パーセント以下(一部の実施形態では、70、65、60、55、又は更に50体積パーセント以下)の非架橋性の熱可塑性樹脂及び無機材料を含有する、物品を説明する。
【0003】
別の態様では、本開示は、本明細書で説明される物品の作製方法を説明するものであり、この方法は、
互いに反対側の第1主表面及び第2主表面をそれぞれが有する、第1の層並びに第2の層を含み、その第2の層の第1主表面が、第1の層の第2主表面に貼り付けられている、複合体を準備することと、
互いに反対側の第1主表面及び第2主表面を有する第3の層を、その第3の層の第1主表面が、第2の層の第2主表面に貼り付けられるように、その複合体に積層することとを含み、その第3の層の第1主表面は、微細構造特徴部を有する微細構造化表面である。
【0004】
本明細書で説明される物品は、例えば、光学フィルム用途において有用である。例えば、規則的なプリズム形微細構造化パターンを含む物品は、背面反射体と組み合わされた場合、輝度向上フィルムとして使用するための、全内部反射フィルム(totally internal reflecting film)として機能し得るものであり、コーナーキューブプリズム形微細構造化パターンを含む物品は、反射フィルムとして使用するための、再帰反射フィルム又は再帰反射素子として機能し得るものであり、プリズム形微細構造化パターンを含む物品は、光学ディスプレイ内で使用するための、光転向フィルム又は光転向素子として機能し得る。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本明細書で説明される例示的物品の断面図である。
【
図1A】本明細書で説明される例示的物品の断面図である。
【
図2】実施例1の物品の、倍率2000での走査型電子顕微鏡(scanning electron microscopy;SEM)の顕微鏡写真である。
【
図3】実施例2の物品の断面の、倍率2000でのSEM顕微鏡写真である。
【
図4A】第1の微細構造化層のプリズムに垂直に切断された、実施例3の物品の、倍率1800でのSEM顕微鏡写真である。
【
図4B】任意選択的な微細構造化層のプリズムに垂直に切断された、実施例3の物品の、倍率1900でのSEM顕微鏡写真である。
【
図5A】第1の微細構造化層のプリズムに垂直に切断された、実施例4の物品の、倍率2000でのSEM顕微鏡写真である。
【
図5B】任意選択的な微細構造化層のプリズムに垂直に切断された、実施例4の物品の、倍率2000でのSEM顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書で説明される例示的物品は、順に、微細構造化層、接着剤層、ポリマー層、任意選択的な微細構造化層、任意選択的な接着剤層、任意選択的なポリマー層、及び任意選択的な接着剤層を備える。
【0007】
図1及び
図1Aを参照すると、例示的物品200は、微細構造化層201、接着剤層202、ポリマー層203、任意選択的な微細構造化層205、任意選択的な接着剤層207、任意選択的なポリマー層208、及び任意選択的な接着剤層209を備える。微細構造化層201は、互いに反対側の第1主表面201a及び第2主表面201bを有する。主表面201aは、微細構造化表面である。接着剤層202は、互いに反対側の第1主表面202a及び第2主表面202bを有する。主表面201aの少なくとも一部分が、主表面202bに直接貼り付けられている。図示のように、微細構造化表面201aの部分204は、接着剤層202内に貫入している。微細構造化表面201aは、山部206a及び谷部206bを備える微細構造特徴部206を有し、各微細構造特徴部は、山部(206a)から、最も低い隣接する谷部(206b)までを測定した場合の、高さd
1を有する。この高さ測定値は、表面201bに垂直な高さであることが理解されよう。微細構造化層201は、最も低い隣接する谷部(206b)から主表面201bまでを測定した場合の、厚さd
2を有する。ポリマー層203は、互いに反対側の第1主表面203a及び第2主表面203bを有する。主表面202aの少なくとも一部分が、主表面203bに直接貼り付けられている。
【0008】
任意選択的な微細構造化層205は、互いに反対側の第1主表面205a及び第2主表面205bを有し、主表面205aは、微細構造化表面である。図示のように、主表面205bは、少なくとも部分的に、主表面203aに直接貼り付けられている。任意選択的な接着剤層207は、互いに反対側の第1主表面207a及び第2主表面207bを有する。図示のように、主表面207bは、少なくとも部分的に、主表面205aに直接貼り付けられている。任意選択的なポリマー層208は、互いに反対側の第1主表面208a及び第2主表面208bを有する。図示のように、主表面208bは、少なくとも部分的に、主表面207aに直接貼り付けられている。任意選択的な接着剤層209は、互いに反対側の第1主表面209a及び第2主表面209bを有する。図示のように、主表面209bは、少なくとも部分的に、主表面208aに直接貼り付けられている。いずれかの任意選択層が存在していない場合には、存在している層の対応する隣接主表面を、直接貼り付けることができる。
【0009】
微細構造化層の微細構造特徴部が、方向性(例えば、プリズムなどの線形構造体)を有する場合には、それらの微細構造特徴部の方向性は、任意の角度に方向付けすることができる。例えば、微細構造化層のプリズムは、別の層の微細構造特徴部に対して、平行に、又は垂直に、あるいは任意の他の角度にすることが可能である。例えば、実施例4の物品の、第1の微細構造化層のプリズムと、任意選択的な微細構造化層のプリズムとは、互いに垂直に方向付けされている(
図5A及び
図5B)。
【0010】
一般的に、微細構造化層を作製するための技術は、当技術分野において既知である(例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,182,069号(Wick)、同第5,175,030号(Luら)、同第5,183,597号(Lu)、及び同第7,074,463(B2)号(Jonesら)を参照)。
【0011】
架橋性材料から作製される従来の微細構造化層は、典型的には、架橋された微細構造化層が、異なる材料で構成されているポリマーフィルム(例えば、ポリエステルフィルム)に貼り付けられている、複合構成体である。しかしながら、架橋性材料で作製されている一体型の微細構造化層もまた、当該技術分野において既知である(例えば、米国特許第4,576,850号(Martens)を参照)。微細構造化層である、本明細書で説明される物品の第1の層は、少なくとも一部分が、一方の面で接着剤層に直接貼り付けられており、他方の面で直接又は間接的に貼り付けられている、任意のポリマー材料は、合計で75体積パーセント以下(一部の実施形態では、65、60、55、又は更に50体積パーセント以下)の非架橋性の熱可塑性樹脂を含有する。この構成により、典型的な工業プロセス(例えば、連続ウェブ処理又は半連続ウェブ処理)において単独で取り扱うには十分に堅牢ではない(例えば、その薄さ又は構成により)、比較的薄い架橋微細構造化層であっても、他の層と組み合わせて、本明細書で説明される物品を形成することが可能となる。本明細書で説明される物品は、厚さを減少させつつも、同等の光学性能を発揮することが可能となる。
【0012】
本明細書で説明される物品に関する微細構造化層は、例えば、工具表面上に架橋性組成物をコーティングして、その架橋性組成物を架橋させ、その微細構造化された層を工具表面から取り外すことによって形成することができる。本明細書で説明される物品に関する微細構造化層はまた、例えば、工具表面上に架橋性組成物をコーティングして、ポリマー層を適用し、その架橋性組成物を架橋させ、工具表面及び任意選択的にポリマー層を取り外すことによって形成することもできる。2つの微細構造化表面を備える微細構造化層は、例えば、工具表面上に架橋性組成物をコーティングして、ポリマー層を適用し(この架橋性組成物と接触するポリマー層の主表面は、微細構造化表面である)、その架橋性組成物を架橋させ、工具表面及びポリマー層を取り外すことによって形成することができる。本明細書で説明される物品に関する微細構造化層はまた、例えば、工具表面上に溶融熱可塑性材料を押し出し、その熱可塑性材料を冷却して、工具表面を取り外すことによって形成することもできる。これらの微細構造体は、規則的プリズム形パターン、不規則的プリズム形パターン(例えば、環状プリズム形パターン、キューブコーナーパターン、又は任意の他のレンズ状微細構造体)、非周期的隆起部、疑似非周期的隆起部、又は、非周期的凹部、若しくは疑似非周期的凹部のうちの少なくとも1つを含めた、様々なパターンを有し得る。
【0013】
第1の微細構造化層は、架橋性組成物又は架橋された組成物の少なくとも一方を含む。更には、任意選択的な微細構造化層は、例えば、架橋性組成物又は架橋された組成物、あるいは熱可塑性材料のうちの少なくとも1つを含み得る。一部の実施形態では、微細構造化層は、架橋された材料から本質的になる。例示的な架橋性組成物又は架橋された組成物には、フリーラジカル重合機構によって硬化可能なもの、若しくは硬化されたものであり得る、樹脂組成物が含まれる。フリーラジカル重合は、放射線(例えば、電子ビーム、紫外線、及び/又は可視光)及び/又は熱に曝露されることによって生じ得る。例示的な好適な架橋性組成物又は架橋された組成物にはまた、過酸化ベンゾイルなどの熱開始剤の添加により、熱重合可能なもの、又は熱重合されたものも含まれる。放射線開始カチオン重合性樹脂もまた、使用することができる。好適な樹脂は、光開始剤と(メタ)アクリレート基を有する少なくとも1種の化合物との、ブレンドとすることができる。
【0014】
フリーラジカル機構によって重合することが可能な例示的樹脂としては、エポキシ、ポリエステル、ポリエーテル、及びウレタンから誘導されたアクリル系樹脂、エチレン性不飽和化合物、少なくとも1つのペンダント(メタ)アクリレート基を有するアミノプラスト誘導体、少なくとも1つのペンダント(メタ)アクリレート基を有するイソシアネート誘導体、(メタ)アクリル化エポキシ以外のエポキシ樹脂、並びに、これらの混合物及び組み合わせが挙げられる。(メタ)アクリレートという用語は、本明細書では、アクリレート化合物及びメタクリレート化合物の双方が存在する場合には常に、アクリレート化合物及びメタクリレート化合物の双方を包含するために使用されるものである。そのような樹脂についての更なる詳細は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,576,850号(Martens)で報告されている。
【0015】
エチレン性不飽和樹脂には、炭素原子、水素原子、及び酸素原子、並びに、任意選択的に窒素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子を含有する、モノマー化合物及びポリマー化合物の双方が含まれる。酸素原子又は窒素原子、あるいはその双方は、一般に、エーテル基、エステル基、ウレタン基、アミド基、及び尿素基中に存在している。一部の実施形態では、エチレン性不飽和化合物は、約4,000未満の数平均分子量を有する(一部の実施形態では、脂肪族モノヒドロキシ基、脂肪族ポリヒドロキシ基を含有する化合物と、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、及びマレイン酸)との反応から調製される、エステルである)。本発明で使用するために好適な、アクリル基又はメタクリル基を有する化合物の一部の具体例を、以下に列記する。
(1)単官能性化合物:エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、及びN,N-ジメチルアクリルアミド;
(2)二官能性化合物:1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、及びジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;並びに、
(3)多官能性化合物:トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、及びトリス(2-アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート。
【0016】
他のエチレン性不飽和化合物及びエチレン性不飽和樹脂の一部の代表例としては、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、モノアリル、ポリアリル、及びポリメタリルエステル(ジアリルフタレート及びジアリルアジペートなど)、並びにカルボン酸のアミド(N,N-ジアリルアジパミドなど)が挙げられる。一部の実施形態では、2種以上の(メタ)アクリレート成分又はエチレン性不飽和成分が、架橋性樹脂組成物又は架橋された樹脂組成物中に存在し得る。
【0017】
この樹脂組成物が、電子ビーム以外の放射線によって硬化される場合には、その樹脂組成物中に光開始剤を含めることができる。この樹脂組成物が、熱硬化される場合には、その樹脂組成物中に熱開始剤を含めることができる。一部の実施形態では、放射線硬化と熱硬化との組み合わせを使用することができる。そのような実施形態では、その組成物は、光開始剤及び熱開始剤の双方を含み得る。
【0018】
この樹脂中にブレンドすることが可能な例示的光開始剤としては、以下のものが挙げられる:ベンジル、メチルo-ベンゾエート、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなど、ベンゾフェノン/三級アミン、アセトフェノン(例えば、2,2-ジエトキシアセトフェノン、ベンジルメチルケタール、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-N,N-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシド、2-メチル-1-4(メチルチオ)、フェニル-2-モルホリノ-1-プロパノン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド、及び、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド)。これらの化合物は、個々に、又は組み合わせて使用することができる。カチオン重合性材料としては、エポキシ官能基及びビニルエーテル官能基を含有する材料が挙げられる。これらの系は、トリアリールスルホニウム塩及びジアリールヨードニウム塩などの、オニウム塩開始剤によって光重合が開始される。他の例示的な架橋性樹脂組成物又は架橋された樹脂組成物は、例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,986,812(B2)号(Huntら)、同第8,282,863(B2)号(Jonesら)、及び、2014年3月27日公開のPCT国際公開第2014/46837号で説明されている。
【0019】
架橋性組成物中で使用される材料は、例えば、Sartomer Company(Exton PA)、Cytec Industries(Woodland Park,NJ)、Soken Chemical(Tokyo,Japan)、Daicel(USA),Inc.(Fort Lee,NJ)、Allnex(Brussels,Belgium)、BASF Corporation(Charlotte,NC)、Dow Chemical Company(Midland,MI)、Miwon Specialty Chemical Co.Ltd.(Gyoenggi-do,Korea)、Hampford Research Inc.(Stratford,CT)、及びSigma Aldrich(St Louis,MO)より入手可能である。
【0020】
架橋性材料は、化学線(例えば、eビーム又は紫外線)を含めた、当該技術分野において既知の技術によって、部分的に架橋させることができる。架橋性材料を部分的に架橋するための技術は、酸素含有雰囲気の存在下で、(メタ)アクリレート部分含有組成物を化学線に曝露することを含む。この(メタ)アクリレート含有組成物は、酸素を実質的に含まない雰囲気中で、化学線に曝露することによって、更に架橋させることができる。架橋性組成物を部分的に架橋するための技術は、2つ以上の架橋反応のタイプで反応する成分を含む、架橋性組成物を使用することを更に含み、それらの反応は、独立して開始させることができる(例えば、カチオン重合によって架橋することが可能なエポキシ成分、及びフリーラジカル重合によって架橋することが可能な(メタ)アクリレート成分の双方を含有する、混合物)。この架橋性組成物は、架橋反応(例えば、エポキシのカチオン重合)を開始した後、短時間で部分的に架橋し得る。この部分的に架橋された組成物を、化学線(例えば、eビーム又は紫外線)などの、当該技術分野において既知の技術によって、更に硬化させることができる。
【0021】
例示的な熱可塑性材料には、押出加工などの熱可塑性処理技術によって、加工処理することが可能なものが含まれる。例示的な熱可塑性材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、及びポリエステルが挙げられる。
【0022】
一部の実施形態では、微細構造化層の双方の主表面が、微細構造化表面を含む。一部の実施形態では、微細構造化層は、第1の微細構造化層の、任意の谷部から第2主表面までの最短距離により画定される厚さを有し、この厚さは、25マイクロメートル以下(一部の実施形態では、20マイクロメートル以下、15マイクロメートル以下、又は更に10マイクロメートル以下)である。
【0023】
一部の実施形態では、微細構造化層の微細構造特徴部の高さは、1マイクロメートル~200マイクロメートルの範囲(一部の実施形態では、1マイクロメートル~150マイクロメートル、5マイクロメートル~150マイクロメートル、又は更に5マイクロメートル~100マイクロメートルの範囲)である。
【0024】
一部の実施形態では、第1の微細構造化層の微細構造特徴部のそれぞれの一部分は、第2の層の第2の材料内に、少なくとも部分的に貫入している(一部の実施形態では、第1の微細構造化層は、それぞれの微細構造特徴部の平均高さ未満の深さまで、第2の層の第2の材料内に少なくとも部分的に貫入している)。一部の実施形態では、貫入している各微細構造特徴部の貫入深さは、その微細構造特徴部のそれぞれの高さの50パーセント以下(一部の実施形態では、45、40、35、30、25、20、15、10パーセント以下、又は更に5パーセント以下)である。上記の説明はまた、隣接層の主表面に隣接している微細構造特徴部に関して、他の微細構造層にも適用され得る。
【0025】
例示的な接着剤材料には、ポリアクリレート成分と重合性モノマーとの反応生成物の、相互貫入ネットワークが含まれる(例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2014/0016208(A1)号(Edmondsら)を参照)。
【0026】
別の例示的な接着剤材料は、(メタ)アクリレート及びエポキシを互いの存在下で含む混合物の、反応生成物を含む。一部の実施形態では、この混合物の総重量に基づいて、(メタ)アクリレートは、5~95重量パーセントの範囲で(一部の実施形態では、10~90、又は更に20~80重量パーセントの範囲で)存在し、エポキシは、5~95重量パーセントの範囲で(一部の実施形態では、5~95、10~90、又は更に20~80重量パーセントの範囲で)存在している。例示的な(メタ)アクリレートとしては、単官能性(メタ)アクリレート化合物(例えば、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、及びN,N-ジメチルアクリルアミド)、二官能性(メタ)アクリレート材料(例えば、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート)、及び多官能性(メタ)アクリレート材料(例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、及びペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)が挙げられる。一部の実施形態では、少なくとも2種の(メタ)アクリレート成分を、接着剤材料中で使用することができる。例示的なエポキシとしては、(3-4-エポキシシクロヘキサン)メチル3’-4’-エポキシシクロヘキシル-カルボキシレート、ビス(3-4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、4-ビニル-1-シクロヘキセン1,2-エポキシド、ポリエチレングリコールジエポキシド、ビニルシクロヘキセンジオキシド、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、及び1,4-シクロヘキサンジメタノ-ルビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)が挙げられる。一部の実施形態では、これらの(メタ)アクリレート及びエポキシは、同じ分子上に存在している(例えば、(3-4-エポキシシクロヘキシル)メチルアクリレート、3-4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、及び4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル)。一部の実施形態では、この混合物は、ポリオール官能性を更に含む(例えば、ポリエチレングリコール、カプロラクトンモノマーから誘導されたポリエステルジオール、カプロラクトンモノマーから誘導されたポリエステルトリオール)。一部の実施形態では、この混合物は、単官能性(メタ)アクリレートを実質的に含まない(すなわち、その接着剤材料の総重量に基づいて、10重量パーセント未満の単官能性(メタ)アクリレートを含有する)。一部の実施形態では、これらの(メタ)アクリレート及びエポキシは、互いに反応しない。
【0027】
例示的な接着剤材料には、当該技術分野において既知の、感圧性接着剤、光学的に透明な接着剤、及び構造用接着剤が含まれる。例示的な接着剤材料にはまた、架橋性組成物も含まれる。
【0028】
一部の実施形態では、例えば光学的欠陥の視認性を低減するために、拡散体(すなわち、光を拡散する1つ又は複数のコーティング若しくは層、あるいは、光を拡散する既存の層内部の要素)を組み込むことが望ましい場合がある。一部の実施形態では、接着剤材料を含む層は、充填材料(例えば、ガラスビーズ、ポリマービーズ、フュームドシリカなどの無機粒子)を更に含む。一部の実施形態では、接着剤層は、不連続なもの又はパターン化されたもの(例えば、規則的なドット又は不規則的なドットの配列)とすることができる。
【0029】
例示的なポリマー層としては、ポリエステル、ポリカーボネート、環状オレフィンコポリマー、又はポリメチルメタクリレートを含むものが挙げられる。例示的なポリマー層には、反射型偏光フィルム(例えば、3M Company(St Paul,MN)より商品名「DUAL BRIGHTNESS ENHANCEMENT FILM」又は「ADVANCED POLARIZING FILM」で入手可能)又は反射フィルム(例えば、3M Company(St Paul,MN)より商品名「ENHANCED SPECULAR REFLECTOR」で入手可能)を含めた、多層光学フィルムが含まれる。例示的なポリマー層には、光学ディスプレイ内で使用される、ライトガイドが含まれる。一部の実施形態では、例示的なポリマー層には、拡散層が含まれる。
【0030】
例示的な拡散層としては、当該技術分野において既知の、バルク拡散体及び表面拡散体が挙げられる。
【0031】
例示的な拡散層としては、埋め込み微細構造化層、又は充填材料を含む層が挙げられ、当該技術分野において既知の技術によって調製することができる。埋め込み微細構造化層は、例えば、屈折率を有する材料(例えば、ポリマー材料又は架橋性材料)を使用して、所望の表面上に微細構造特徴部を作り出し、次いで、それらの微細構造特徴部の上に、異なる屈折率を有する異なる材料(例えば、ポリマー材料又は架橋性材料)をコーティングすることによって、調製することができる。充填材料を含む拡散層は、例えば、屈折率を有する充填材料と、異なる屈折率を有するポリマー材料又は架橋性材料とを組み合わせて、その拡散混合物を、所望の表面上に適用又はコーティングすることによって、調製することができる。
【0032】
例示的な拡散層には、一方又は双方の主表面上に微細構造化表面を有する層(例えば、3M Companyより商品名「ULTRA DIFFUSER FILM」で入手可能)が含まれる。例示的な拡散層には、色彩調節拡散体(例えば、3M Companyより商品名「3M QUANTUM DOT ENHANCEMENT FILM」で入手可能)が含まれる。一部の実施形態では、拡散層の微細構造化表面の一部分のみが、隣接層に貼り付けられている。
【0033】
一部の実施形態では、拡散層は、複数の層(例えば、架橋された層(1つ以上)、微細構造化層(1つ以上)、ポリマー層(1つ以上)、又は充填材料を含む層(1つ以上)のうちの2つ以上の組み合わせ)で構成することができる。
【0034】
別の態様では、本開示は、本明細書で説明される物品の作製方法を説明するものであり、この方法は、
互いに反対側の第1主表面及び第2主表面をそれぞれが有する、第1の層並びに第2の層を含み、その第2の層の第1主表面が、第1の層の第2主表面に貼り付けられている、複合体を準備することと、
互いに反対側の第1主表面及び第2主表面を有する第3の層を、その第3の層の第1主表面が、第2の層の第2主表面に貼り付けられるように、その複合体に積層することとを含み、その第3の層の第1主表面は、微細構造特徴部を有する微細構造化表面である。
【0035】
一部の実施形態では、この方法は、第1の層の第1主表面に、第1のポリマー層(例えば、ポリエステル層又は多層光学フィルム(例えば、偏光フィルム又は反射フィルム)又はライトガイド)を貼り付けることを更に含む。
【0036】
一部の実施形態では、第3の層は、工具表面上に樹脂をコーティングして、その樹脂を硬化させ、その第3の層を工具表面から取り外すことによって準備され、この工具表面は、第3の層の微細構造化された第1主表面を形成するための成形型である。
【0037】
一部の実施形態では、積層する間に、第3の層の微細構造化表面の微細構造特徴部が、第2の層の第2主表面内に貫入する。
【0038】
一部の実施形態では、第2の層の第2主表面内への、第3の層の微細構造特徴部の貫入深さを、制御することが望ましい。この貫入深さは、例えば、第2の層の厚さを制御することによって、制御することができる。この貫入深さはまた、第2の層が表面に適用された後に、その第2の層の粘度を増大させることによっても、制御することができる。例えば、第2の層の粘度は、第2の層の組成物を溶媒中に溶解させ、その組成物を表面上に適用し、次いで、第3の層の微細構造特徴部を貼り付ける前に、その組成物から溶媒を除去することによって、コーティング後に増大させることが可能である。第2の層の粘度はまた、その組成物を表面上に適用した後、第3の層の微細構造化表面を貼り付ける前に、その組成物を部分的に架橋させることによっても、改変することが可能である。
【0039】
架橋性組成物は、既知のコーティング技術(例えば、ダイコーティング、グラビアコーティング、スクリーン印刷など)を使用して、所望の表面(例えば、工具表面又はポリマー層)上にコーティングすることができる。
【0040】
一部の実施形態では、本明細書で説明される物品は、80マイクロメートル以下の(一部の実施形態では、75マイクロメートル、70マイクロメートル、65マイクロメートル、60マイクロメートル、55マイクロメートル、50マイクロメートル、45マイクロメートル以下の、又は更に40マイクロメートル以下の)厚さを有する。
【0041】
一部の実施形態では、本明細書で説明される物品は、本実施例での「光学利得の測定」によって測定した場合に、2.0を超える(一部の実施形態では、2.1、2.2を超える、又は更に2.3を超える)光学利得を有する。
【0042】
本明細書で説明される物品の層は、その物品の更なる加工処理が可能となるように、十分に付着されている。例えば、一時的フィルム(例えば、プレマスクフィルム)を、光学フィルムに積層することにより、後続の製造プロセスで、その光学フィルムを保護することができる。その光学フィルムは、所望の形状に切断又は加工することができ、保護フィルムを取り外した後に、その光学フィルムを、光学ディスプレイ又はサブアセンブリ内に組み込むことができる。本明細書で説明される物品の層は、これらの加工するステップ、一時的フィルムの取り外し、及び光学ディスプレイ内への組み込みの間、付着した状態のまま維持されるように、十分に付着されている。
【0043】
本明細書で説明される物品は、例えば、光学フィルム用途に関して有用である。例えば、規則的なプリズム形微細構造化パターンを含む物品は、背面反射体と組み合わされた場合、輝度向上フィルムとして使用するための、全内部反射フィルムとして機能し得る。コーナーキューブプリズム形微細構造化パターンを含む物品は、反射フィルムとして使用するための、再帰反射フィルム又は再帰反射素子として機能し得る。プリズム形微細構造化パターンを含む物品は、光学ディスプレイ内で使用するための、光転向フィルム又は光転向素子として機能し得る。
【0044】
バックライトシステムは、光源(すなわち、エネルギー活性化させることが可能な、又は他の方式で光を供給することが可能な光源(例えば、LED))、光ガイド若しくは波長板、背面反射体、及び本明細書で説明される少なくとも1つの物品を備え得る。製造又は取り扱いを通じて付与された、表面的欠陥の視認性を隠蔽するために、あるいは、ホットスポット、ヘッドランプ効果、又は他の不均一性を隠蔽するために、拡散体(表面拡散体又はバルク拡散体のいずれか)を、任意選択的にバックライト内部に含めることができる。このバックライトシステムを、例えば、ディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ)内に組み込むことができる。このディスプレイは、例えば、液晶モジュール(少なくとも1つの吸収型偏光子を含む)、及び反射型偏光子(本明細書で説明される物品の一実施形態に、既に含まれ得るもの)を含み得る。
【0045】
例示的実施形態
1A.
第1の材料を含み、かつ互いに反対側の第1主表面及び第2主表面を有する第1の微細構造化層であって、この第1の材料が、架橋性組成物又は架橋された組成物の少なくとも一方を含み、この第1主表面が微細構造化表面であり、その微細構造化表面が山部及び谷部を有し、それらの山部が、微細構造特徴部であり、それら微細構造特徴部のそれぞれが、それぞれの微細構造特徴部の山部と隣接する谷部との間の距離により画定される高さを有する、第1の微細構造化層と、
接着剤材料を含み、かつ互いに反対側の第1主表面及び第2主表面を有する第2の層であって、この第2の層の第2主表面の少なくとも一部分が、第1の層の微細構造化された第1主表面の少なくとも一部分に直接貼り付けられている、第2の層と、
第3の材料を含み、かつ互いに反対側の第1主表面及び第2主表面を有する、第3のポリマー層であって、この第3のポリマー層の第2主表面の少なくとも一部分が、第2の層の第1主表面の少なくとも一部分に直接貼り付けられている、第3のポリマー層とを備え、
第1の層の第2主表面に直接又は間接的に貼り付けられている、任意のポリマー材料が、それぞれの層の全体積に基づいて、合計で75体積パーセント以下(一部の実施形態では、65、60、55、又は更に50体積パーセント以下)の非架橋性の熱可塑性樹脂及び無機材料を含有する物品。
2A.第1の層の微細構造特徴部のそれぞれの一部分が、それぞれの微細構造化特徴部の平均高さ未満の深さまで、第2の層の第2の材料内に少なくとも部分的に貫入している、例示的実施形態1Aの物品。
3A.貫入している各微細構造特徴部の貫入深さが、その微細構造特徴部のそれぞれの高さの50パーセント以下(一部の実施形態では、45、40、35、30、25、20、15、10パーセント以下、又は更に5パーセント以下)である、例示的実施形態2Aの物品。
4A.第1の微細構造化層が、架橋性組成物を含む、例示的実施形態1A~3Aの物品。
5A.第1の微細構造化層が、架橋された組成物を含む、例示的実施形態1A~3Aの物品。
6A.第2の層が、架橋された材料から本質的になる、例示的実施形態1A~3Aの物品。
7A.第1の微細構造化層が、その第1の微細構造化層の、任意の谷部から第2主表面までの最短距離によって画定されている厚さを有し、この厚さが、25マイクロメートル以下(一部の実施形態では、20マイクロメートル以下、15マイクロメートル以下、又は更に10マイクロメートル以下)である、いずれかの先行するAの例示的実施形態の物品。
8A.第1の微細構造化層の微細構造特徴部が、規則的プリズム形パターン、不規則的プリズム形パターン(例えば、環状プリズム形パターン、キューブコーナーパターン、又は任意の他のレンズ状微細構造体)、非周期的隆起部、疑似非周期的隆起部、又は、非周期的凹部、若しくは疑似非周期的凹部の形状のうちの少なくとも1つの形態である、いずれかの先行するAの例示的実施形態の物品。
9A.第1の層の微細構造特徴部の高さが、1マイクロメートル~200マイクロメートルの範囲(一部の実施形態では、1マイクロメートル~150マイクロメートル、5マイクロメートル~150マイクロメートル、又は更に5マイクロメートル~100マイクロメートルの範囲)である、いずれかの先行するAの例示的実施形態の物品。
10A.第1の微細構造化層の第2主表面が、微細構造化表面を含む、いずれかの先行するAの例示的実施形態の物品。
11A.第3の層が、ポリエステル又は多層光学フィルムを含む、いずれかの先行するAの例示的実施形態の物品。
12A.第4の材料を含み、かつ互いに反対側の第1主表面及び第2主表面を有する、第2の微細構造化層を更に備え、この第1主表面が微細構造化表面であり、その微細構造化表面が山部及び谷部を有し、それらの山部が、微細構造特徴部であり、それら微細構造特徴部のそれぞれが、それぞれの微細構造特徴部の山部と隣接する谷部との間の距離により画定される高さを有し、この第2の微細構造化層の第2主表面が、第3のポリマー層の第1主表面に直接貼り付けられている、いずれかの先行するAの例示的実施形態の物品。
13A.第2の微細構造化層の第2主表面が、微細構造化表面を含む、いずれかの先行するAの例示的実施形態の物品。
14A.互いに反対側の第1主表面及び第2主表面を有する、第2の接着剤層を更に備え、この第2の接着剤層の第2主表面が、第2の微細構造化層の第1主表面に貼り付けられている、例示的実施形態12A又は13Aのいずれかの物品。
15A.第2の微細構造化層の微細構造特徴部のそれぞれの一部分が、第2の接着剤層内に、少なくとも部分的に貫入している(一部の実施形態では、第2の微細構造化層が、それぞれの微細構造化特徴部の平均高さ未満の深さまで、第2の接着剤層内に少なくとも部分的に貫入している)、例示的実施形態14Aの物品。
16A.第2の微細構造化層の、貫入している各微細構造特徴部の貫入深さが、その微細構造特徴部のそれぞれの高さの50パーセント以下(一部の実施形態では、45、40、35、30、25、20、15、10パーセント以下、又は更に5パーセント以下)である、例示的実施形態15Aの物品。
17A.第1主表面及び第2主表面を有する、第2のポリマー層(例えば、ポリエステル層又は多層光学フィルム(例えば、偏光フィルム又は反射フィルム)又はライトガイド)を更に備え、この第2のポリマー層の第2主表面が、第2の接着剤層の第1主表面に貼り付けられている、例示的実施形態14A~16Aのうちのいずれかの物品。
18A.第2のポリマー層の第1主表面に貼り付けられている、第3の接着剤層を更に備える、例示的実施形態17Aの物品。
19A.この物品が、80マイクロメートル以下の(一部の実施形態では、75マイクロメートル、70マイクロメートル、65マイクロメートル、60マイクロメートル、55マイクロメートル、50マイクロメートル、45マイクロメートル以下の、又は更に40マイクロメートル以下の)厚さを有する、いずれかの先行するAの例示的実施形態の物品。
20A.2.0を超える(一部の実施形態では、2.1、2.2を超える、又は更に2.3を超える)光学利得を有する、いずれかの先行するAの例示的実施形態の物品。
21A.光源、背面反射体、及び、少なくとも1つのいずれかの先行するAの例示的実施形態の物品を備える、バックライトシステム。
1B.いずれかの先行する例示的実施形態1A~21Aの物品の作製方法であって、
互いに反対側の第1主表面及び第2主表面をそれぞれが有する、第1の層並びに第2の層を含み、その第2の層の第1主表面が、第1の層の第2主表面に貼り付けられている、複合体を準備することと、
互いに反対側の第1主表面及び第2主表面を有する第3の層を、その第3の層の第1主表面が、第2の層の第2主表面に貼り付けられるように、その複合体に積層することとを含み、その第3の層の第1主表面が、微細構造特徴部を有する微細構造化表面である、方法。
2B.第1の層の第1主表面に、第1のポリマー層(例えば、ポリエステル層又は多層光学フィルム(例えば、偏光フィルム又は反射フィルム)又はライトガイド)を貼り付けることを更に含む、例示的実施形態1Bの方法。
3B.第3の層が、工具表面上に樹脂をコーティングして、その樹脂を硬化させ、その第3の層を工具表面から取り外すことによって準備され、この工具表面が、第3の層の微細構造化された第1主表面を形成するための成形型である、例示的実施形態1Bの方法。
4B.積層する間に、第3の層の微細構造化表面の微細構造特徴部が、第2の層の第2主表面内に貫入する、例示的実施形態1Bの方法。
【0046】
本発明の利点及び実施形態が、以下の実施例によって更に例示されるが、これらの実施例で列挙される、特定の材料及びそれらの量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不当に限定するものとして解釈されるべきではない。全ての部及び百分率は、別段の指示のない限り、重量に基づく。
【実施例】
【0047】
試験方法
-光学利得の測定
拡散透過性の中空ライトボックスの頂部に、フィルム又はフィルム積層体を配置することによって、光学利得を測定するものとした。このライトボックスの拡散透過及び拡散反射は、ほぼランベルト型であった。このライトボックスは、厚さ約0.6mmの拡散ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene;PTFE)板から作製された、12.5cm×12.5cm×11.5cmの寸法の6面中空直方体とした。このボックスの1つの面を、サンプル表面として指定した。この中空ライトボックスは、そのサンプル表面で測定し、400~700nmの波長範囲にわたって平均した場合、約0.83%の拡散反射率を有するものであった。
【0048】
利得試験の間、このボックスの、サンプル表面の反対側の表面内の、直径約1cmの円孔を介して、サンプル表面に向けて方向付けられた光で、そのボックスを内部から照光した。この照光は、直径1cmのファイバ束延長部(Schott North Americaより商品名「SCHOTT FIBER OPTIC BUNDLE」で入手)で、光を方向付けるために使用される光ファイバ束に取り付けられた、安定化広帯域白熱光源(Schott North America(Southbridge MA)より商品名「FOSTEC DCR-III」で入手)によって供給するものとした。直線吸収型偏光子(CVI Melles Griot(Albuquerque NM)より商品名「MELLES GRIOT 03 FPG 007」で入手)を、回転ステージ(Aerotech(Pittsburgh PA)より商品名「ART310-UA-G54-BMS-9DU-HC」で入手)上に取り付け、サンプルとカメラとの間に配置した。カメラの焦点は、約0.28mの距離にあるライトボックスのサンプル表面に合わせるものとし、吸収型偏光子は、そのカメラレンズから約1.3cmに配置するものとした。
【0049】
偏光子が所定の位置にあり、サンプルフィルムが所定の位置にない状態で測定した場合、その照光されたライトボックスの輝度は、150カンデラ毎平方メートル(cd/m2)を超えるものであった。サンプル輝度は、光ファイバケーブル(StellarNet Inc.より商品名「F1000-VIS-NIR」で入手)を介してコリメートレンズに接続された、分光計(StellarNet Inc.(Tampa,FL)より商品名「EPP2000」で入手)で測定するものとし、この分光計は、サンプルフィルムがサンプル表面上に配置された場合に、そのボックスのサンプル表面の平面に対して法線入射角で方向付けするものとした。コリメートレンズは、鏡筒(Thorlabs(Newton,NJ)より商品名「SM1L30」で入手)及び平凸レンズ(Thorlabsより商品名「LA1131」で入手)で構成するものとし、5mmの集束スポットサイズが検出器で達成されるように、この構成を組み立てた。光学利得は、サンプルが存在していない状態のライトボックスからの輝度に対する、サンプルフィルムが所定の位置にある状態の輝度の比として判定するものとした。全てのフィルムに関して、そのサンプルの向きに対して0度、45度、及び90度の偏光子角度で、光学利得を判定した。反射型偏光フィルムを含まないサンプルに関しては、0度及び90度で測定された値の、平均光学利得を報告するものとした。反射型偏光フィルムを含むサンプルに関しては、最大光学利得を報告するものとした。
【0050】
-厚さの測定
厚さは、花崗岩基台スタンド(Chicago Dial Indicators Co.,Inc.(Des Plaines,IL)より商品名「CDI812-1」で入手)上に取り付けられたデジタル表示計(Mitutoyo America(Aurora,IL)より商品名「ID-F125E」で入手)を使用して測定するものとした。このデジタル表示計を、花崗岩基台と接触させている間に、ゼロに設定した。サンプル厚さの5つの測定値を、3cm×3cmの正方形の角部及び中心で測定した。それら5つの厚さ測定値の平均を報告するものとした。
【0051】
-走査型電子顕微鏡写真画像
走査型電子顕微鏡写真画像は、真空チャンバ(Denton Vacuum LLC(Moorestown,NJ)より商品名「DENTON VACUUM DESK II」で入手)内でサンプルを金属化して、走査型電子顕微鏡(Phenom-World BV(The Netherlands)より商品名「PHENOM PURE」モデルPW-100-010で入手)内で撮像することによって取得するものとした。
【0052】
-工具表面Aの調製
その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,175,030号(Luら)及び同第5,183,597号(Lu)で概説されているように、プリズムフィルムを作製した。具体的には、このプリズムフィルムは、架橋性樹脂組成物D(説明は下記)と、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2009/0041553号(Burkeら)で説明されているプロセスに従って製造された、0.048mm(48マイクロメートル)ごとに間隔を置いて90度の角度を有するプリズムを備える、マスタ工具とを使用して、作製するものとした。このプリズムフィルムの微細複製表面を、低圧プラズマチャンバ内で処理することによって、工具表面を調製するものとした。チャンバから空気を除去した後、ペルフルオロヘキサン(「C6F14」)及び酸素を、それぞれ600立方センチメートル毎分(standard cubic centimeters per minute;sccm)及び300sccmの流量でチャンバに導入して、10mTorrのチャンバ全圧とした。その処理ゾーンを通過するように、フィルムを9.14m/分(30ft/分)で移動させながら、8000WのRF電力で、そのフィルムを処理した。
【0053】
-工具表面Bの調製
その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第9,102,083(B2)号(Davidら)の実施例4で説明されているように、テトラメチルシラン及び酸素プラズマ中で、輝度向上フィルム(3M Companyより商品名「VIKUTI THIN BRIGHTNESS ENHANCEMENT FILM(TBEF)II 90/24」フィルムで入手)の微細複製表面を処理することによって、工具表面を調製するものとした。この輝度向上フィルムを、250立方センチメートル毎分(standard cubic centimeters per minute;SCCM)の流量のアルゴンガスで、25ミリトール(mTorr)の圧力、及び1000ワット(W)のRF電力で30秒間にわたって、プライマー処理した。その後、このフィルムを、テトラメチルシラン(tetramethylsilane;TMS)プラズマに、150SCCMのTMS流量で曝露した。チャンバ内の圧力は、25mTorrとし、RF電力は、1000Wで10秒間にわたるものとした。
【0054】
架橋性樹脂組成物Aの調製
75重量部のエポキシアクリレート(Sartomer Companyより商品名「CN 120」で入手)、25重量部の1,6ヘキサンジオールジアクリレート(Sartomer Companyより商品名「SR 238」で入手)、0.25重量部の開始剤(BASF Corporationより商品名「DAROCUR 1173」で入手)、及び0.1重量部の開始剤(BASF Corporationより商品名「IRGACURE TPO」で入手)を混合することによって、架橋性樹脂組成物を調製した。
【0055】
架橋性樹脂組成物Bの調製
表1(下記)の成分を、指示されている重量比で使用して、架橋性樹脂組成物Bを調製するものとした。
【0056】
【0057】
トルエン、メタノール、及び酢酸エチルを、最初に添加した。次いで、ポリアクリレートPSA、(3-4-エポキシシクロヘキサン)メチル3’-4’-エポキシシクロヘキシル-カルボキシレート(「CELLOXIDE 2021P」)、及びフタル酸ジエチル(「DIETHYL PHTHALATE」)を添加して、続いて、イソプロピルチオキサントン(「ITX」)及び(4-オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート(「SBF6 OPPI」)を添加した。次いで、この組成物を、毎分500回転で動作している高速ミキサ(Cole-Palmer Instrument Company,LLC(Vernon Hills,IL)より商品名「SERVODYNE」で入手)を使用して、2時間にわたって混合した。
【0058】
-架橋性樹脂組成物Cの調製
その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,282,863(B2)号(Jonesら)の実施例2に従って、架橋性樹脂組成物を調製した。
【0059】
実施例1
架橋性樹脂組成物Aのビーズを、工具表面A上に配置して、その架橋性樹脂組成物の上に、厚さ0.125mm(125マイクロメートル)の従来の二軸配向ポリエステルフィルムの1片を、ハンドローラを使用して積層した。次いで、この構成体を、UV硬化システム(Fusion UV Systems,Inc.(Gaithersburg,MD)より、商品名「FUSION UV CURING SYSTEM」で入手し、双方とも6000ワットで動作するDバルブ及びHバルブを装備したもの)からのUV光に、18.3m/分の速度で曝露した。ポリエステルフィルムを取り除いた。両面テープ(3M Companyより商品名「「SCOTCH 137 DOUBLE SIDED TAPE」で入手)の1片を、架橋性樹脂組成物Aの一方の縁部に沿って配置した。それら両面テープ及び架橋性樹脂組成物Aの上に、第2の厚さ0.125mmの従来の二軸配向ポリエステルフィルムの1片を配置した。工具表面Aを、架橋性樹脂組成物Aから取り外した。接着促進プライマーコーティング(Dow Chemical Company(Midland,MI)より商品名「RHOPLEX 3208」で入手)を有する厚さ0.75mm(75マイクロメートル)の従来の二軸配向ポリエステルフィルムの1片の上に、その縁部に沿って架橋性樹脂組成物Bのビーズを配置して、その架橋性樹脂組成物Bをワイヤ巻きロッド(R.D.Specialties(Webster,NY)より商品名「#18 WIRE WOUND ROD」で入手)を使用して延展させることによって、架橋性樹脂組成物Bをコーティングした。このコーティングされたポリエステルフィルムを、2分間にわたって、65.5℃(150°F)のバッチオーブン内に置いた。架橋性樹脂組成物Aの微細構造化面を、架橋性樹脂組成物Bに積層した。次いで、この構成体を、双方とも6000ワットで動作しているDバルブ及びHバルブを装備した、UV硬化システム(「FUSION UV CURING SYSTEM」)からのUV光に、18.3m/分の速度で曝露した。この構成体の、両面テープを含む区画を切り離して、厚さ0.125mmのポリエステルフィルムを取り外した。得られた実施例1の物品の厚さは、0.101mmと測定され、平均光学利得は、1.49と測定された。実施例1の物品の断面は、カミソリの刃で切断することによって得るものとした。
図2は、実施例1の物品の、倍率2000での走査型電子顕微鏡(SEM)の顕微鏡写真を示す。
【0060】
実施例2
実施例1と同じ手順を使用して、実施例2を製造したが、ただし、厚さ0.075mmのポリエステルフィルムの代わりに、反射型偏光フィルム(3M Companyより商品名「ADVANCED POLARIZING FILM-V4」で入手)を使用するものした。得られた実施例2の物品の厚さは、0.046mmと測定され、最大光学利得は、2.15と測定された。
図3は、実施例2の物品の断面の、倍率2000でのSEM顕微鏡写真である。
【0061】
実施例3
実施例1で説明される手順を使用して、実施例3を製造したが、ただし、厚さ0.075mmのポリエステルフィルムの代わりに、輝度向上フィルム(3M Companyより商品名「THIN BRIGHTNESS ENHANCEMENT FILM TBEF3(24)N」で入手)を使用するものとした。この輝度向上フィルムの非微細構造化表面上に、架橋性樹脂組成物Bをコーティングした。輝度向上フィルムのプリズムは、架橋性樹脂組成物Aのプリズムに対して、ほぼ垂直に方向付けするものとした。得られた実施例3の物品の平均光学利得は、2.19と測定され、厚さは、0.103mmと測定された。実施例3の物品を、カミソリの刃で、輝度向上フィルムのプリズムに対してほぼ平行に切断することによって、及び、ほぼ垂直に切断することによって、断面を調製するものとした。
図4Aは、第1の微細構造化層のプリズムに垂直に切断された、実施例3の物品の、倍率2000でのSEM顕微鏡写真である。
図4Bは、任意選択的な微細構造化層のプリズムに垂直に切断された、実施例3の物品の、倍率2000でのSEM顕微鏡写真である。
【0062】
実施例4
0.024mm(24マイクロメートル)ごとに間隔を置いた90度のプリズムの金属工具表面を、ダイヤモンド旋削を使用して製造した。この金属工具表面を、60℃のホットプレート上に配置した。架橋性樹脂組成物Aのビーズを、工具表面上に配置して、その架橋性樹脂組成物Aの上に、反射型偏光フィルム(「ADVANCED POLARIZING FILM-V4」)を、ハンドローラを使用して積層した。次いで、この構成体を、ホットプレートから取り外して、Dバルブ及びHバルブが双方とも6000ワットで動作している状態の、UV硬化システム(「FUSION UV CURING SYSTEM」)からのUV光に、18.3m/分の速度で曝露した。得られた実施例4の第1の微細構造化層を、金属工具表面から取り外した。実施例3で説明される手順を使用して、実施例4を製造したが、ただし、実施例3の輝度向上フィルムの代わりに、この実施例4の第1の微細構造化層を使用するものとした。得られた実施例4の物品の最大光学利得は、2.54と測定され、厚さは、0.058mmと測定された。実施例4の物品を、カミソリの刃で、第1の微細構造化層のプリズムに対してほぼ平行に切断することによって、及び、ほぼ垂直に切断することによって、断面を調製するものとした。
図5Aは、第1の微細構造化層のプリズムに垂直に切断された、実施例4の物品の、倍率2000でのSEM顕微鏡写真である。
図5Bは、第1の微細構造化層のプリズムに平行に切断された、実施例4の物品の、倍率2000でのSEM顕微鏡写真である。
【0063】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、本開示の予測可能な修正及び変更が、当業者には明らかとなるであろう。本発明は、例示の目的のために本出願に記載されている実施形態に、限定されるべきではない。