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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】揺動式電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01H 23/24 20060101AFI20220119BHJP
【FI】
H01H23/24 E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018134483
(22)【出願日】2018-07-17
(65)【公開番号】P2020013682
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000215833
【氏名又は名称】帝国通信工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094226
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100087066
【弁理士】
【氏名又は名称】熊谷 隆
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 朋哉
(72)【発明者】
【氏名】川嶌 義之
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-241327(JP,A)
【文献】特開平05-343211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/00 - 9/28
H01H 19/00 - 23/30
H01H 89/00 - 89/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
揺動自在に軸支された揺動体と、
前記揺動体を所定の位置に復帰させる弾発部材と、
前記揺動体と前記弾発部材を収納し、且つ一方の面を隔壁としたケースと、
前記隔壁の前記揺動体を収納した反対面側に設置される検出手段と、
を具備し、
前記隔壁に設けた挿通孔を介して、前記揺動体と前記検出手段を連結することで、当該検出手段を動作させ
さらに前記検出手段は、前記揺動体に連結される移動体と、当該移動体に取り付けられる摺動子とを具備する電気的機能部であり、これら移動体と摺動子の内、移動体を前記隔壁側に配置したことを特徴とする揺動式電子部品。
【請求項2】
請求項1に記載の揺動式電子部品であって、
前記検出手段はカバーで覆われ、
当該カバーと前記隔壁の間に防滴部材を挟持したことを特徴とする揺動式電子部品。
【請求項3】
揺動自在に軸支された揺動体と、
前記揺動体を所定の位置に復帰させる弾発部材と、
前記揺動体と前記弾発部材を収納し、且つ一方の面を隔壁としたケースと、
前記隔壁の前記揺動体を収納した反対面側に設置される検出手段と、
を具備し、
前記隔壁に設けた挿通孔を介して、前記揺動体と前記検出手段を連結することで、当該検出手段を動作させ、
さらに前記検出手段はカバーで覆われ、
当該カバーと前記隔壁の間に防滴部材を挟持したことを特徴とする揺動式電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作つまみを揺動することで、出力信号を変化させる揺動式電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示すように、つまみ(90)の上面の一方の端部近傍部分を下方向に押圧することで、このつまみ(90)及びこのつまみ(90)に固定した摺動型物(10)を揺動し、これによってケース(ケース本体(61)とケースカバー(80)からなる)内に収納した電気的機能部(摺動型物(10)と摺動子(30)とフレキシブル基板(50)からなる)の出力信号を変化させる構成の揺動式電子部品(1)がある。つまみ(90)は、前記ケース内に収納したコイルバネ(40)の弾発力によって中立位置に自動復帰される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平06-026130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記構成の揺動式電子部品(1)は、防滴構造となっておらず、このため、ケース内に液体や粉塵などが浸入し易く、これによってケース内に収納した電気的機能部に接続不良を発生させてしまう虞があった。
【0005】
特に上記構成の揺動式電子部品(1)の場合、ケース内に収納した摺動型物(10)を、その上方に設置したつまみ(90)によって押圧して揺動させる構成なので、ケースの上部に開口を設ける必要があり、このためケース内を防滴構造にすることが困難であった。
【0006】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、容易に防滴構造とすることができる揺動式電子部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る揺動式電子部品は、揺動自在に軸支された揺動体と、前記揺動体を所定の位置に復帰させる弾発部材と、前記揺動体と前記弾発部材を収納し、且つ一方の面を隔壁としたケースと、前記隔壁の前記揺動体を収納した反対面側に設置される検出手段と、を具備し、前記隔壁に設けた挿通孔を介して、前記揺動体と前記検出手段を連結することで、当該検出手段を動作させ、さらに前記検出手段は、前記揺動体に連結される移動体と、当該移動体に取り付けられる摺動子とを具備する電気的機能部であり、これら移動体と摺動子の内、移動体を前記隔壁側に配置したことを特徴としている。
本発明によれば、ケースの隔壁の外側(外壁面側)に検出手段を設置したので、ケース内に浸入してくる液体や粉塵などが検出手段へ浸入することを容易に防止することができる。また検出手段は、ケースの隔壁を利用して、例えばこの隔壁の外壁面上に検出手段を覆うカバーを取り付けるだけで、容易に防滴構造にすることができる。
【0008】
た本発明によれば、検出手段を構成する移動体と摺動子の内、移動体を隔壁側に配置したので、摺動子の弾発力によって移動体をケースの隔壁側に押圧して密着させることができる。このため、隔壁に設けた挿通孔に連通しているカバー内の空間を、移動体の密着によって容易に密閉することができ、これによって、摺動子等の電気的部品の防滴を図ることができる。
【0009】
また本発明に係る揺動式電子部品は、上記特徴に加え、前記検出手段はカバーで覆われ、当該カバーと前記隔壁の間に防滴部材を挟持したことを特徴としている。
これによって、隔壁の外壁面とカバーとが当接する部分からカバー内部に液体などが浸入することを確実に防止することができ、カバーによる検出手段の防滴効果をさらに向上させることができる。なお、前述のように、検出手段を構成する移動体と摺動子の内、移動体を隔壁側に配置した場合において、移動体を前記防滴部材に当接させれば、隔壁に設けた挿通孔に連通しているカバー内の空間を、より確実に密閉することができ、さらに好適である。
また本発明に係る揺動式電子部品は、揺動自在に軸支された揺動体と、前記揺動体を所定の位置に復帰させる弾発部材と、前記揺動体と前記弾発部材を収納し、且つ一方の面を隔壁としたケースと、前記隔壁の前記揺動体を収納した反対面側に設置される検出手段と、を具備し、前記隔壁に設けた挿通孔を介して、前記揺動体と前記検出手段を連結することで、当該検出手段を動作させ、さらに前記検出手段はカバーで覆われ、当該カバーと前記隔壁の間に防滴部材を挟持したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、揺動式電子部品の検出手段を容易に防滴構造とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】揺動式電子部品1の斜視図である。
図2】揺動式電子部品1の斜視図である。
図3】揺動式電子部品1の断面図(図1のA-A断面矢視図)である。
図4】揺動式電子部品1の分解斜視図である。
図5】揺動式電子部品1の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の1実施形態に係る揺動式電子部品1の斜視図、図2は別の角度から見た揺動式電子部品1の斜視図、図3は揺動式電子部品1の断面図(図1のA-A断面矢視図)、図4図1に示す揺動式電子部品1の分解斜視図、図5図2に示す揺動式電子部品1の分解斜視図である。これらの図に示すように、揺動式電子部品1は、ケース本体20と隔壁40とによって形成されるケース10内に、揺動体60と弾発部材90とを収納し、一方、隔壁40の前記揺動体60を収納した反対面側(隔壁40の外壁面側)に、防滴部材(以下「防滴シート」という)100と移動体110と摺動子130と回路基板(以下「フレキシブル回路基板」という)150とカバー170とを取り付け、更に上記ケース10の上部に操作つまみ190を設置して構成されている。なお以下の説明において、「上」とは揺動体60から操作つまみ190を見る方向をいい、「下」とはその反対方向をいうものとする。
【0013】
ケース本体20は、合成樹脂を略矩形状であって、下記する揺動体60を収納する側に略半円形凹状の揺動体収納部21を形成するように成形して構成されている。揺動体収納部21内の中央上部には、円形の貫通孔からなる軸支孔23が形成され、また揺動体収納部21内の軸支孔23の左右両側斜め下方には、板状に突出する一対のバネ係止部25,27が設けられている。バネ係止部25,27の下端辺は、それぞれバネ当接部25a,27aとなっている。またケース本体20の揺動体60側を向く左右両辺近傍の上下3か所ずつには、小突起状の取付部29が形成されている。
【0014】
隔壁40は、合成樹脂を略矩形板状であって、前記ケース本体20の揺動体収納部21を塞ぐ形状に成形して構成されている。隔壁40の上部中央の、前記ケース本体20の軸支孔23に対向する位置には、円形の貫通孔からなる軸支孔41が形成され、またその下部中央には、円弧状の貫通孔からなる挿通孔43が形成されている。また隔壁40の左右両辺近傍の上下3か所ずつには、小孔からなる被取付部45が形成されている。各被取付部45は、前記ケース本体20の各取付部29に対向する位置に設けられている。隔壁40の前記ケース本体20側とは反対面側の、前記軸支孔41の左右両側斜め下方には、小突起状の取付部47が設けられ、また挿通孔43の下部には、平板状で横長で水平に摺動子載置部49が突設されている。摺動子載置部49の先端辺の中央には、小突起状の係止部51が設けられている。この摺動子載置部49は下記するように、防滴の作用も有する防滴部でもある。
【0015】
揺動体60は、合成樹脂を略矩形板状であって、前記ケース本体20の揺動体収納部21に収納される外形形状に成形して構成されている。揺動体60の両面中央付近からは、略円柱状の軸部61,63が突出している。両軸部61,63は同一中心軸上に形成され、それぞれ前記ケース本体20の軸支孔23と前記隔壁40の軸支孔41に回転自在に挿入される寸法に形成されている。両軸部61,63の先端面には、下記する操作つまみ190の被係合部193,195に係合される略矩形状に突出する係合部65,67が形成されている。揺動体60のケース本体20側を向く面の軸部61の左右両側の斜め下方には、一対のバネ係止部69,71が設けられている。バネ係止部69,71の下端辺が、それぞれバネ当接部69a,71aとなっている。これらバネ係止部69,71は、前記ケース本体20のバネ係止部25,27の外側を覆う位置に形成されている。また軸部61の上部には、下記する弾発部材90のコイル部91がケース本体20側に移動するのを防止する小突起状のコイル部係止部73が上方向に向かって突出するように形成されている。また揺動体60の下端部中央から下方向に向かって連結部支持部75が突出し、この連結部支持部75の下端近傍の隔壁40に対向する側の面から円柱状の突起からなる連結部77が突出している。また揺動体60上部は水平面状(直線状)に形成されており、その左右の部分がつまみ押圧部79,81となっている。
【0016】
弾発部材90は、弾性金属線をコイル状に巻き回し、そのコイル部91の両端から半径方向外方に向かって係止部93,95を直線状に引き出して構成されている。
【0017】
防滴シート(撥水性シート)100は、フッ素樹脂製のシートであって略台形状に形成され、その中央に円弧状の貫通孔からなる挿通孔101を設け、挿通孔101の下方に直線状の貫通孔からなる挿入孔103を設け、さらに各角部近傍の4か所に小孔からなる取付孔105を設けて構成されている。挿通孔101は、前記揺動体60の連結部77を揺動自在に挿入する寸法形状に形成されている。挿入孔103は、前記隔壁40の摺動子載置部49を挿入する寸法形状に形成されている。フッ素樹脂製のシートは、撥水性、低摩擦性、適度な弾力性を有するシートであるが、防滴シート100はこの材質に限定されず、所望の撥水性、低摩擦性、適度な弾力性を有するシートであれば、他の各種材質のシートで構成しても良く、特に防滴のためには撥水性を有するシートが好ましい。
【0018】
移動体110は、合成樹脂を略矩形状に成形して構成されており、前記隔壁40に対向する面の中央に、上下方向に長尺で直線凹状の連結部係止部111を設け、一方反対側の面を摺動子取付面113としている。摺動子取付面113には小突起からなる一対の摺動子取付部115,115が設けられている。
【0019】
摺動子130は、弾性金属板製であり、平板状の基部131と、基部131の1辺から突出してその根元部分を約180°折り返してなる一対の接点部133,133とを具備して構成されている。基部131には、小孔からなる一対の被取付部135,135が形成されている。
【0020】
フレキシブル回路基板150は、合成樹脂フィルム製であり、横長で略矩形状の基板本体部151の下辺中央から帯状の引出部153を引き出す形状に形成されている。基板本体部151の隔壁40に対向する側の面には、摺接パターン155が形成されている。摺接パターン155は、この例ではスイッチパターンになっている。また基板本体部151の左右両端近傍には、小孔からなる取付部157,157が形成され、また基板本体部151の前記引出部153を接続した根元部分には、前記隔壁40の係止部51を挿通する小孔からなる被取付部159が形成されている。
【0021】
カバー170は、合成樹脂を横長の略箱型に成形して構成されており、隔壁40側に向かって収納部171を開口している。収納部171の底面の左右両側位置には、前記フレキシブル回路基板150の一対の被取付部157,157に挿入される一対の小突起からなる取付部173,173(図5ではその一方のみ示す)が形成され、また収納部171の底面の中央下部には、前記隔壁40の係止部51を挿通する有底の小穴からなる被係止部175が形成されている。カバー170の左右両側には、左右両外方に向けて平板状の取付部177,177が突出しており、各取付部177,177に2つずつの小孔からなる被取付部179が形成されている。なお、カバー170の隔壁40を向く側の収納部171の周囲の面は、下辺中央に設けた凹状の基板挿入部181を除いて、同一面となっており、この同一面は全て前記防滴シート100に当接する構成となっている。
【0022】
操作つまみ190は、合成樹脂を下方が開口する略箱型に成形して構成されており、その内部を収納部191とし、またその両側面の中央下部に、前記揺動体60の係合部65,67を係止する略矩形状の貫通孔からなる被係合部193,195を形成している。操作つまみ190の収納部191内には、前記揺動体60のつまみ押圧部79,81に当接する揺動体当接部197(図3参照)が形成されている。
【0023】
揺動式電子部品1を組み立てるには、まず予め、移動体110の摺動子取付面113に摺動子130の基部131を設置し、その際基部131に設けた被取付部135,135に、移動体110に設けた摺動子取付部115,115を挿入・固定して一体化しておく。また、カバー170の収納部171内にフレキシブル回路基板150の基板本体部151を挿入して収納部171の底面に設置し、その際、基板本体部151の各被取付部157,157にカバー170の各取付部173,173を挿入し、各取付部173,173の先端を熱カシメして固定しておく。
【0024】
次に、揺動体60のコイル部係止部73に、弾発部材90のコイル部91の上部中央部分を係止し、同時に、揺動体60の両バネ当接部69a,71aに、弾発部材90の各係止部93,95を係止する。次に、この弾発部材90を取り付けた揺動体60を、ケース本体20の揺動体収納部21に収納し、その際、揺動体60の軸部61をケース本体20の軸支孔23に回動自在に挿入する。同時にこのとき、弾発部材90の両係止部93,95を、ケース本体20の両バネ当接部25a,27aに係止する。つまり、弾発部材90の両係止部93,95は、ケース本体20の両バネ当接部25a,27aと揺動体60の両バネ当接部69a,71aに同時に係止され、揺動体60は中立位置に弾発・保持される。
【0025】
次に、揺動体60と弾発部材90を取り付けたケース本体20の揺動体収納部21側の面に、この揺動体収納部21を塞ぐように、隔壁40を設置する。このとき揺動体60の軸部63は、隔壁40の軸支孔41に回動自在に挿入される。同時に、揺動体60に設けた連結部77は、隔壁40の挿通孔43に挿通され、隔壁40の反対面側に突出する。またこのときケース本体20の各取付部29は、隔壁40の各被取付部45に挿入され、隔壁40の反対面側に突出する。このとき、ケース本体20と隔壁40によって1つのケース10が構成される。即ち、ケース10内(揺動体収納部21内)には揺動体60と弾発部材90が収納されることとなる。
【0026】
次に、隔壁40の揺動体60を収納した反対面側(即ち外壁面側)に、防滴シート100を設置し、その際、防滴シート100の4つの取付孔105に、隔壁40に設けた2つの取付部47と、隔壁40を貫通したケース本体20の最も下に位置する2つの取付部29とを挿入し、防滴シート100の挿通孔101に隔壁40を貫通した揺動体60の連結部77を挿通し、防滴シート100の挿入孔103に隔壁40の摺動子載置部49を挿入する。そして、隔壁40を貫通したケース本体20の最も上に位置する2つの取付部29の先端と、隔壁40の2つの取付部47の先端を、それぞれ熱カシメして固定する。
【0027】
次に、前記フレキシブル回路基板150の基板本体部151を収納設置したカバー170の収納部171内に、摺動子130を取り付けた移動体110を挿入したものを、防滴シート100の上から隔壁40上に載置し、その際、隔壁40の挿通孔43及び防滴シート100の挿通孔101から突出する揺動体60の連結部77の先端部分を、移動体110の連結部係止部111に挿入する。同時に、隔壁40を貫通したケース本体20の下側4つの取付部29を、カバー170に設けた4つの被取付部179に挿入する。また同時に、隔壁40に設けた係止部51を、フレキシブル回路基板150の被取付部159とカバー170の被係止部175に挿入する。そして、ケース本体20の下側4つの取付部29の先端を、それぞれ熱カシメして固定する。このとき、隔壁40の外壁面とカバー170の間に収納された移動体110や摺動子130やフレキシブル回路基板150(基板本体部151)によって、出力信号を変化させる検出手段(以下「電気的機能部」という)Sが構成される。摺動子130の一対の接点部133,133は、基板本体部151に弾接し、その摺接パターン155に当接する。
【0028】
そして、上記のように組み立てたケース10の上から操作つまみ190を被せ、その被係合部193,195に、前記ケース10の左右両側から突出する揺動体60の係合部65,67をスナップイン方式によって係合する。このとき、操作つまみ190の揺動体当接部197が揺動体60のつまみ押圧部79,81に当接する。これによって、操作つまみ190と揺動体60が一体に揺動自在となり、揺動式電子部品1が完成する。なお上記組立手順はその一例であり、他の各種異なる組立手順を用いて組み立てても良いことはいうまでもない。
【0029】
次に、揺動式電子部品1の動作を説明する。操作つまみ190が中立の状態にあるとして、操作つまみ190の上面の一方の端部側を、例えば図1に矢印Bで示すように押圧すると、弾発部材90の弾発力に抗して、操作つまみ190と揺動体60が揺動体60の軸部61,63の中心軸を中心にして、押圧された方向に揺動する。これによって、揺動体60の連結部77が揺動方向に移動し、この連結部77に連結されている移動体110がカバー170の収納部171内を左右方向に直線移動する。これによって、移動体110に取り付けた摺動子130の接点部133,133がフレキシブル回路基板150の摺接パターン155上を摺動し、それに伴ってその出力信号(電気的出力)が変化する。前記操作つまみ190への押圧を解除すれば、弾発部材90の弾発復帰力によって、操作つまみ190、揺動体60、移動体110及び摺動子130は元の中立位置に戻り、フレキシブル回路基板150の出力信号も元の状態に戻る。操作つまみ190の上面の他方の端部側を押圧すれば、揺動体60の連結部77及びこれに連結する移動体110は上記とは反対の方向に移動し、それに伴ってフレキシブル回路基板150の出力信号が変化する。
【0030】
そして上記構成の揺動式電子部品1は、ケース10の隔壁40に設けた挿通孔43を介して、揺動体60と移動体110などの電気的機能部Sを連結することで、当該電気的機能部Sを動作させる構成としたので、即ち、ケース10の隔壁40の外側(外壁面側)に電気的機能部Sを設置したので、ケース10内に浸入してくる液体や粉塵などが電気的機能部Sへ浸入することを容易に防止することができ、電気的機能部Sを容易に防滴構造とすることが可能になる。具体的に上記実施形態では、ケース10の隔壁40を利用して、この隔壁40の外壁面上に電気的機能部Sを覆うカバー170を取り付ける構成とすることで、容易に防滴構造にすることができた。カバー170の隔壁40を向く側の収納部171の周囲の面は、基板挿入部181を除いて同一面となっているので、基板挿入部181以外の部分からの液体などの浸入は確実に防止できる。なお、基板挿入部181を設けた部分は下向きなので、液体が入りにくい上、図3に示すように、基板挿入部181の真上には隔壁40の摺動子載置部(防滴部)49が配置されているので、例え基板挿入部181から液体などが浸入しても、電気的機能部Sに到達するまでの距離(沿面距離)を長く取ることができ、効果的な防滴効果を得ることができる。なおこの摺動子載置部49は、フレキシブル回路基板150の引出部153の根元部分をカバー170の収納部171の底面に押し付ける作用も有し、これによって基板本体部151を収納部171の底面に確実に密着するように設置することができる。
【0031】
また上記実施形態では、カバー170と隔壁40の間に、撥水性と適度な弾力性を有する防滴シート100を挟持したので、隔壁40の外壁面とカバー170とが当接する部分からカバー170内部に液体などが浸入することをさらに確実に防止することができ、カバー170による電気的機能部Sの防滴効果をさらに向上させることができる。
【0032】
またこの実施形態における電気的機能部Sは、移動体110と摺動子130とフレキシブル回路基板150(その摺接パターン155)とを具備しているが、移動体110と摺動子130の内、移動体110を隔壁40側に配置したので、摺動子130の弾発力によって移動体110をケース10の隔壁40側に押圧して密着させることができる。このため、移動体110の隔壁40側を向く外周辺(この実施形態の場合4辺全部)を隔壁40(具体的には防滴シート100)に密着させることで、隔壁40の挿通孔43に連通しているカバー170内の空間(移動体110の隔壁40側を向く外周辺に囲まれる空間)を、カバー170内の摺動子130や摺接パターン155等の電気的部品を設置している空間に対して密閉することができ、電気的部品の防滴を図ることができる。特に上記実施形態のように、移動体60の隔壁40側を向く外周辺を防滴シート100に当接させれば、隔壁40に設けた挿通孔43に連通しているカバー170内の空間を、電気的機能部Sを設置している空間に対して、より確実に密閉することができ、好適である。
【0033】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、上記実施形態では移動体の移動方向として直線方向を示したが、移動体の移動方向は、円弧方向やその他の曲線方向など、直線方向以外の各種方向であっても良い。上記実施形態では、揺動体に突出する連結部を設けて隔壁の挿通孔に貫通して移動体に連結したが、その代わりに、移動体に突出する連結部を設けて隔壁の挿通孔に貫通して揺動体に連結する構成としても良く、要は、隔壁に設けた挿通孔を介して揺動体と検出手段を連結する構成であればどのような構成であっても良い。操作つまみは必ずしも必要なく、揺動体自体を指やその他のアクチュエータ等によって揺動させる構成としても良い。弾発部材は捩りコイルバネに限定されず、板ばねや圧縮コイルバネなどの他の各種弾発部材であっても良い。弾発部材が揺動体を自動復帰させる位置は、中央位置(中立位置)に限られず、例えば揺動体が一方の側に揺動しきって停止する位置に自動復帰させる構成であっても良い。上記実施形態では、ケース本体と隔壁によってケースを構成したが、1つの部品によってケースを構成しても良いし、3つ以上の部品によってケースを構成しても良い。検出手段は、電気的な出力信号を変化させる電気的機能部に限られず、磁気的な出力信号、光学的な出力信号などを変化させる検出手段であっても良い。また上記実施形態では、防滴部材として防滴シートを用いたが、厚みのある防滴板やその他の形状の防滴部材を用いても良い。また、上記記載及び各図で示した実施形態は、その目的及び構成等に矛盾がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。また、上記記載及び各図の記載内容は、その一部であっても、それぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は上記記載及び各図を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0034】
1 揺動式電子部品
10 ケース
20 ケース本体(ケース)
40 隔壁(ケース)
43 挿通孔
60 揺動体
77 連結部
90 弾発部材
100 防滴シート(防滴部材)
110 移動体(電気的機能部、検出手段)
130 摺動子(電気的機能部、検出手段)
150 フレキシブル回路基板(回路基板、電気的機能部、検出手段)
155 摺接パターン
170 カバー
190 操作つまみ
S 電気的機能部(検出手段)
図1
図2
図3
図4
図5