(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】発泡樹脂製の断熱収納容器
(51)【国際特許分類】
B65D 81/38 20060101AFI20220119BHJP
【FI】
B65D81/38 B
(21)【出願番号】P 2019199088
(22)【出願日】2019-10-31
【審査請求日】2020-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】591239003
【氏名又は名称】株式会社サンカ
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【氏名又は名称】吉井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】神子島 岩男
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-008167(JP,A)
【文献】特開平07-330045(JP,A)
【文献】実開平04-064074(JP,U)
【文献】特開平10-211974(JP,A)
【文献】実開平05-010268(JP,U)
【文献】英国特許出願公開第01198352(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/38
B65D 35/44-35/54
B65D 39/00-55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部開口型の発泡樹脂材で形成された収納本体と、前記収納本体
に着脱自在に設けられ前記収納本体の上部開口部
を閉塞する発泡樹脂材で形成された上蓋体とから成る発泡樹脂製の断熱収納容器
であって、前記上蓋体には、前記収納本体の前記上部開口部内に入り込む封止用垂下部が設けられ、この前記上蓋体の封止用垂下部の外側面に雌雄テープが設けられ、一方、前記収納本体の前記上部開口部の縁部上面にも雌雄テープが設けられ、この
両雌雄テープを互いに接触止着させ前記収納本体の前記上部開口部の縁部に前記上蓋体を立設状態に固定保持し
、前記上部開口部の開口状態を維持可能に構成されて
おり、前記上蓋体を
前記収納本体
の上部開口部の縁部に前記
両雌雄テープにより
立設状態で固定保持
した場合、前記上蓋体の縁部が前記収納本体の上端部に設けられた支承部に支持されて前記立設状態が固定保持されるように構成されていることを特徴とする発泡樹脂製の断熱収納容器。
【請求項2】
請求項1記載の発泡樹脂製の断熱収納容器において、前記
両雌雄テープの止着強度及び止着面積は、前記上蓋体を前記上部開口部の縁部に立設状態
で固定保持した場合、内側へ手で押して倒すことでこの
両雌雄テープの止着が弱まるか離脱して内側へ徐々に倒れて平伏するように設定されていることを特徴とす
る発泡樹脂製の断熱収納容器。
【請求項3】
請求項1,2いずれか1項に記載の発泡樹脂製の断熱収納容器において、前記上蓋体の縁部は、前記封止用垂下部と直交する水平外方向に延設され、前記収納本体の前記上部開口部の縁部に前記上蓋体を立設状態とした
場合、前記上蓋体の縁部の内面が前記収納本体の前記上部開口部の縁部
の外側面に設けられた前記支承部に当接することで、前記上蓋体の
立設状態が固定保持されるように構成されていることを特徴とす
る発泡樹脂製の断熱収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡樹脂製の断熱収納容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、釣りやキャンプなどの屋外レジャーで使用される保冷機能を備えた容器として、例えば特開2002-205313号に開示されるような発泡樹脂製の断熱収納容器(以下、従来例)が提案されている。
【0003】
この従来例は、上部開口型の発泡樹脂材で形成された収納本体と、この収納本体の上部開口部を着脱自在に閉塞する発泡樹脂材で形成された上蓋体とから成る構造であり、保冷性に優れ、軽量で持ち運びに便利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、前述した発泡樹脂製の収納本体と上蓋体とから成る断熱収納容器について開発を進めた結果、従来にない非常に便利で実用的な発泡樹脂製の断熱収納容器を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0007】
上部開口型の発泡樹脂材で形成された収納本体1と、前記収納本体1に着脱自在に設けられ前記収納本体1の上部開口部2を閉塞する発泡樹脂材で形成された上蓋体3とから成る発泡樹脂製の断熱収納容器であって、前記上蓋体3には、前記収納本体1の前記上部開口部2内に入り込む封止用垂下部5が設けられ、この前記上蓋体3の封止用垂下部5の外側面に雌雄テープ4が設けられ、一方、前記収納本体1の前記上部開口部2の縁部上面にも雌雄テープ4が設けられ、この両雌雄テープ4を互いに接触止着させ前記収納本体1の前記上部開口部2の縁部に前記上蓋体3を立設状態に固定保持し、前記上部開口部2の開口状態を維持可能に構成されており、前記上蓋体3を前記収納本体1の上部開口部2の縁部に前記両雌雄テープ4により立設状態で固定保持した場合、前記上蓋体3の縁部が前記収納本体1の上端部に設けられた支承部6に支持されて前記立設状態が固定保持されるように構成されていることを特徴とする発泡樹脂製の断熱収納容器に係るものである。
【0008】
また、請求項1記載の発泡樹脂製の断熱収納容器において、前記両雌雄テープ4の止着強度及び止着面積は、前記上蓋体3を前記上部開口部2の縁部に立設状態で固定保持した場合、内側へ手で押して倒すことでこの両雌雄テープ4の止着が弱まるか離脱して内側へ徐々に倒れて平伏するように設定されていることを特徴とする発泡樹脂製の断熱収納容器に係るものである。
【0009】
また、請求項1,2いずれか1項に記載の発泡樹脂製の断熱収納容器において、前記上蓋体3の縁部は、前記封止用垂下部5と直交する水平外方向に延設され、前記収納本体1の前記上部開口部2の縁部に前記上蓋体3を立設状態とした場合、前記上蓋体3の縁部の内面7が前記収納本体1の前記上部開口部2の縁部の外側面に設けられた前記支承部6に当接することで、前記上蓋体3の立設状態が固定保持されるように構成されていることを特徴とする発泡樹脂製の断熱収納容器に係るものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は上述のように構成したから、保冷性に優れ、軽量で持ち運びが楽に行え、しかも、使い勝手が良いなど、非常に便利で実用的な発泡樹脂製の断熱収納容器となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【発明を実施するための形態】
【0012】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0013】
上蓋体3を開放し、この上蓋体3を内外面が側方を向く立てた状態にしてその縁部を収納本体1の上部開口部2の縁部に載置すると、この上蓋体3の縁部に設けられた雌雄テープ4と収納本体1の上部開口部2の縁部に設けられた雌雄テープ4とが接触止着し、この雌雄テープ4の接触止着により収納本体1の上部開口部2の縁部に対する上蓋体3の立設状態が固定保持される。
【0014】
ところで、例えば収納本体1へ収納物を出し入れする場合、前述した従来例をはじめとするこの種の製品においては、上蓋体3を取り外して開放した後は、この上蓋体3を片手で持ったままで行うか、若しくは、上蓋体の内面が汚れないように該上蓋体の外面を下にして適当な場所へ載置して行なうなど、収納本体1から上蓋体3を取り外す度に、この取り外した上蓋体3の取り扱いや置き場に困り、煩わしいという問題があったが、この点、本発明は、前述したように取り外した上蓋体3を収納本体1の上部開口部2の縁部に立設状態とするだけでその状態が固定保持されることになり、前述した問題が生じることはない。
【0015】
また、本発明は、例えば、上蓋体3の縁部(雌雄テープ4が設けられた縁部)を支点側として擺動させるような動作で開放した場合、その支点側とした縁部に設けられた雌雄テープ4を収納本体1の上部開口部2の縁部に設けられた雌雄テープ4にその開放動作のまま接触止着させて固定することで、あたかもヒンジ構造があるかのように開放して素早く固定保持することができる。また、この上蓋体3の閉塞も開放時とは逆の操作により簡易且つ迅速に行える。
【0016】
しかも、この立設状態とした上蓋体3を固定保持する構造が、例えばヒンジ構造や穴にピンを差し込んで止着するような構造ではなく、取り扱いが簡易な雌雄テープ4同士を接触止着させるだけで固定保持が行われる構造の為、前述した作用効果を簡易な構造で確実に奏することができる。
【0017】
以上から、本発明は、発泡樹脂製の収納本体1から取り外した発泡樹脂製の上蓋体3を雌雄テープ4により立て置き保持するという、これまでに無い斬新な使用形態が得られて使い勝手が良く、非常に便利で実用的なものとなる。
【実施例】
【0018】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0019】
本実施例は、上部開口型の発泡樹脂材で形成された収納本体1と、この収納本体1の上部開口部2を着脱自在に閉塞する発泡樹脂材で形成された上蓋体3とから成る発泡樹脂製の断熱収納容器である。
【0020】
以下、本実施例に係る構成各部について詳細な説明をする。
【0021】
収納本体1は、
図1~3に図示したように適宜な発泡樹脂材(発泡スチロール)で一体成形された平面視方形状の上部開口部2を有するボックス形状体であり、その上部開口部2は後述する上蓋体3の封止用垂下部5が密着状態で入り込む(嵌入する)寸法に設定されている。
【0022】
この収納本体1の上部開口部2の外周には段部8が凹設されており、また、上部開口部2を構成する四辺の縁部2aのうち、対向する二辺の縁部2a夫々の上面左右位置に雌雄テープ4(ループ部)が設けられている。
【0023】
この左右の雌雄テープ4(ループ部)の間隔は、後述する上蓋体3に設けられる雌雄テープ4(フック部)の間隔と対応した間隔に設定されている。
【0024】
また、この雌雄テープ4の止着強度及び止着面積は、上蓋体3を上部開口部2の縁部2aに立設状態に立て置き保持した状態で、内側へ手で押して倒すことでこの雌雄テープ4の止着が弱まるか離脱して内側へ徐々に倒れて平伏するように設定されている。
【0025】
また、収納本体1の上部開口部2の縁部2aにして雌雄テープ4(ループ部)が設けられる縁部2a近傍の外側面は、後述する上蓋体3の縁部3aの内面7が当接することで、上蓋体3の立て置き保持をサポートする支承部6として構成されている。
【0026】
また、この支承部6の外方近傍位置にして前述した収納本体1の上部開口部2の外周に設けられた段部8には凹状部8aが設けられ、この凹状部8aは立設状態とした上蓋体3の縁部3a(突状部3a’)が干渉するのを防止(回避)するための部位である。
【0027】
符号1aは補強リブを兼ねた指掛け部である。
【0028】
上蓋体3は、
図1~3に図示したように適宜な発泡樹脂材(発泡スチロール)で一体成形された平面視方形状の板状体であり、収納本体1の上部開口部2を閉塞する寸法に設定されている。
【0029】
また、上蓋体3には、収納本体1の上部開口部2内に入り込む封止用垂下部5が設けられている。
【0030】
この封止用垂下部5は、
図2に図示したように上蓋体3の周端部における内面所定位置にして周縁を縁取るように所定高さの凸条を繞設して構成されている。
【0031】
また、この上蓋体3の封止用垂下部5にして対向する二辺の外側面左右位置には雌雄テープ4(フック部)が所定間隔を介して設けられている。
【0032】
本実施例では、収納本体1の上部開口部2の縁部2a上面に設けられた雌雄テープ4に上蓋体3の雌雄テープ4を止着した際、該上蓋体3を立て置き保持し得るように構成されている。
【0033】
また、上蓋体3の縁部3aが収納本体1の上端部に設けられた支承部6に支持されて立て置き保持がサポートされるように構成されている。
【0034】
具体的には、上蓋体3の縁部3aは、封止用垂下部5と直交する水平外方向に延設され、収納本体1の上部開口部2の縁部2aに上蓋体3を立設状態とした際、上蓋体3の縁部3aの内面7が収納本体1の上部開口部2の縁部2a外側面に設けられた支承部6に当接することで、上蓋体3の立て置き保持がサポートされるように構成されている。
【0035】
この支承部6に当接する部位は、上蓋体3の縁部3aにおける左右所定位置に突出状態に設けられており、この突状の縁部3a(突状部3a’)の内面7を支承部6に当接するように構成されている。
【0036】
従って、上蓋体3の立設状態は、雌雄テープ4による接触止着に加え、収納本体1に設けられた支承部6でサポートされることで、外方向(
図4中の矢印方向)へ倒れることが阻止される。
【0037】
符号3bは把手部である。
【0038】
本実施例は上述のように構成したから、上蓋体3を開放し、この上蓋体3を内外面が側方を向く立てた状態にしてその縁部を収納本体1の上部開口部2の縁部に載置すると、この上蓋体3の縁部に設けられた雌雄テープ4と収納本体1の上部開口部2の縁部に設けられた雌雄テープ4とが接触止着し、この雌雄テープ4の接触止着により収納本体1の上部開口部2の縁部に対する上蓋体3の立設状態が固定保持される。
【0039】
また、本実施例は、例えば、上蓋体3の縁部(雌雄テープ4が設けられた縁部)を支点側として擺動させるような動作で開放した場合、その支点側とした縁部に設けられた雌雄テープ4を収納本体1の上部開口部2の縁部に設けられた雌雄テープ4にその開放動作のまま接触止着させて固定することで、あたかもヒンジ構造があるかのように開放して素早く固定保持することができる。また、この上蓋体3の閉塞も開放時とは逆の操作により簡易且つ迅速に行える。
【0040】
また、本実施例は、この立設状態とした上蓋体3を固定保持する構造が、例えばヒンジ構造や穴にピンを差し込んで止着するような構造ではなく、取り扱いが簡易な雌雄テープ4同士を接触止着させるだけで固定保持が行われる構造の為、前述した作用効果を簡易な構造で確実に奏することができる。
【0041】
よって、本実施例によれば、発泡樹脂製の収納本体1から取り外した発泡樹脂製の上蓋体3を雌雄テープ4により立て置き保持するという、これまでに無い斬新な使用形態が得られて使い勝手が良く、非常に便利で実用的なものとなる。
【0042】
また、本実施例は、雌雄テープ4の止着強度及び止着面積は、上蓋体3を上部開口部2の縁部2aに立設状態に立て置き保持した状態で、内側へ手で押して倒すことでこの雌雄テープ4の止着が弱まるか離脱して内側へ徐々に倒れて平伏するように設定されているから、上蓋体3を開放した状態から閉塞した状態へゆっくりと伏し動することになり、しかも、上蓋体3の破損も防止される。
【0043】
また、本実施例は、上蓋体3には、収納本体1の上部開口部2内に入り込む封止用垂下部5が設けられていて、この上蓋体3の封止用垂下部5の外側面に一方の雌雄テープ4が設けられ、収納本体1の上部開口部2の縁部上面に設けられた他方の雌雄テープ4に上蓋体3の一方の雌雄テープ4を止着した際、上蓋体3の縁部が収納本体1の上端部に設けられた支承部6に支持されて立て置き保持がサポートされるように構成されているから、上蓋体3の良好な立設状態が得られる。
【0044】
また、本実施例は、上蓋体3の縁部は、封止用垂下部5と直交する水平外方向に延設され、収納本体1の上部開口部2の縁部に上蓋体3を立設状態とした際、上蓋体3の縁部の内面7が収納本体1の上部開口部2の縁部外側面に設けられた支承部6に当接することで、上蓋体3の立て置き保持がサポートされるように構成されているから、前述した作用効果が簡易な構造で確実に奏することになる。
【0045】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0046】
1 収納本体
2 上部開口部
3 上蓋体
4 雌雄テープ
5 封止用垂下部
6 支承部