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特許7010502オペレータ遮蔽型の手動可搬式紫外線消毒カート
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】オペレータ遮蔽型の手動可搬式紫外線消毒カート
(51)【国際特許分類】
   B64F 5/30 20170101AFI20220119BHJP
   B64D 11/00 20060101ALI20220119BHJP
   A61L 2/10 20060101ALI20220119BHJP
   A61L 9/20 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
B64F5/30
B64D11/00
A61L2/10
A61L9/20
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019542457
(86)(22)【出願日】2018-02-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-16
(86)【国際出願番号】 US2018019143
(87)【国際公開番号】W WO2018164845
(87)【国際公開日】2018-09-13
【審査請求日】2020-07-22
(31)【優先権主張番号】62/469,930
(32)【優先日】2017-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519279638
【氏名又は名称】クレイテンバーグ,アーサー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】クレイテンバーグ,アーサー
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-162474(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0330452(US,A1)
【文献】特開2001-121968(JP,A)
【文献】特開2016-215600(JP,A)
【文献】特開2016-124939(JP,A)
【文献】特開平04-110380(JP,A)
【文献】中国実用新案第2705163(CN,Y)
【文献】中国実用新案第2621044(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 11/00ー11/06
B64F 5/30
A61L 2/10
A61L 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人のUVC暴露を伴わずにUVC放射カートを操作し、表面を衛生化するためのデバイスであって、表面上を移動するように構成された移動体と;前記移動体に装着され、所定量のUV放射を前記表面に向けるように構成されたUV放射源と;前記移動体に装着されたアームと、前記アームに装着されたUVランプとを備え、前記アームは、ある領域を移動可能なある位置で前記移動体から拡張可能であり、前記UVランプは、衛生化のための領域に向けられ、前記デバイスは、UVC保護シールドを備え、前記シールドは、オペレータを部分的に取り囲むか又は前記オペレータを前記UVC暴露から隔離するかの少なくとも一方である囲いを選択的に提供する、デバイスであって、
一位置において、前記シールドが展開位置にあるときだけUVCの作動を許容するように制御パネルに対する物理的バリアがあり、前記シールドが展開されているときにUVC給電を許容するように連動スイッチ、近接センサスイッチ又は同様のデバイスのうちの少なくとも1つを選択的に含む、デバイス
【請求項2】
前記表面は、任意選択的に飛行機内客室の内側であり、前記デバイスは、前記移動体に装着された少なくとも2つの関節アームと、前記アームのそれぞれに装着されたUVCランプとを含み、前記移動体は、任意選択的に飛行機内通路である領域を通り抜けるためのトロリー又はカートであり、前記デバイスは、任意選択的に前記飛行機内通路である領域に沿って前記トロリー又はカートが移動するときに、UVC放射を作動させるための電源を含み、前記2つの関節アームは、前記移動体に装着され、任意選択的に座席上である領域を移動可能なある位置で前記移動体から拡張可能であり、前記UVCランプは、任意選択的に座席表面である領域に向けられ、前記移動体から拡張されるとき、及び前記移動体に戻されるときに、任意選択的に座面の上方にあり、選択的に、前記複数のUVCランプは、縦に並んだ関係で設置されており、選択的に、前記ランプ用の前記アームは、選択的に、前記トロリーに向けて互いに対して内側に折り畳み可能であり、前記トロリーから互いに対して外側に選択的に前記座席上に拡張される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記シールドは、選択的に耐久性があり、硬質材料を含み、又はより小さく収納できるように縮小可能であり、選択的にビニルである可撓性かつ屈曲性の材料、及び要素の折り畳み、入れ子、はめ込み、回転、摺動組合せを含む機構を選択的に含む、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
傾斜した軸線で枢動する一対の桁を含み、選択的に、収納されるとき、狭いカート占有面積に対応して前記桁間の距離が狭くなり、前記シールドが展開されるとき、オペレータの胴幅を収容するように前記桁間の距離が広くなる、請求項1~3のうちいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
安全機構を含み、前記カートを走行させるために使用されるハンドルが前記シールド内にあり、前記ハンドル内に組み込まれた瞬時給電スイッチを含む、請求項1~4のうちいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記アームは、前記移動体に装着され、ある位置にある前記移動体から前記座席の背もたれの上方に拡張可能であり、前記座席上を移動可能であり、前記UVCランプは、前記座席表面に向けられる、請求項2に記載のデバイス。
【請求項7】
前記表面に対するUVCランプの距離及び/又は出力を計測し、前記表面から前記ランプまでの距離及び/又は前記表面に送出されるUVCエネルギーの量を制御するためのセンサを含む、請求項1~6のうちいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記アームは、前記移動体に装着され、ある位置で前記移動体から飛行機の座席の上方に拡張可能であり、前記座席上を移動可能であり、UVCランプは、座席表面に向けられ、前記移動体から拡張されるとき、及び前記移動体に戻されるときに、UVCランプが前記移動体の比較的上部に位置するように座面の上方に維持されており;前記デバイスは、前記アームと前記移動体との間にヒンジを含み、前記ヒンジは、拡張位置と、選択的に水平位置、及び本質的に前記移動体の本体上である上側位置との間での前記アームの上向き移動を許容する、請求項1~7のうちいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記アームは、前記移動体に装着され、座席上を移動可能なある位置で前記移動体から拡張可能であり、UVCランプは、座席表面に向けられ、前記移動体から拡張され、前記移動体に戻されるときに、UVCランプが前記移動体の上部にあるように座面の上方にあり、複数のUVCランプは、縦に並んだ関係又は配列関係で設置されている、請求項1~8のうちいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
個人のUVC暴露を伴わずにUVC放射カートを操作し、表面を衛生化するための方法であって、移動体を表面上で移動させることと;所定量のUVC放射をUVCランプ本体から前記表面に照射することと、UVC保護シールドを展開すること、とを含み、前記シールドは、オペレータを部分的に覆うか又は前記オペレータを前記UVC暴露から隔離するかの少なくとも一方である多面式囲いを選択的に提供する、方法であって、
一位置において、前記シールドが展開位置にあるときだけUVCの作動を許容するように制御パネルに対する物理的バリアがある、方法
【請求項11】
前記シールドは、選択的に常設であり、又はより小さく収納できるように縮小可能である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記シールドが展開されているときに、UVC給電を許容するように連動スイッチ、近接センサスイッチのうちの少なくとも1つを操作するステップを選択的に含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記表面は、飛行機客室の内側であり;前記方法は、前記移動体に装着された少なくとも2つの関節アームを展開することを含み、UVCランプが前記アームのそれぞれに装着されており、前記移動体は、任意選択的に飛行機内通路である領域を通り抜けるためのトロリー又はカートであり、前記方法は、任意選択的に座席表面である領域に前記UVCランプを向けるステップを含み、選択的に、前記ランプ用の前記アームは、選択的に、前記トロリーに向けて互いに対して内側に折り畳み可能であり、前記トロリーから互いに対して外側に選択的に座席上に拡張される、請求項10~12のうちいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年3月10日に出願された「Operator Shielded Manually Transportable Ultraviolet Disinfection Cart」と題する米国仮特許出願シリアル番号第62469930号から優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
紫外線「C」(UVC)及び同様の波長の光は、既知であり、有用な殺菌特性を有する。UVCを放射するプラットフォーム及びカートが、人々及び人々が運ぶ病原菌が、集まり、会し、移動する医療、輸送、劇場及び他の環境における表面を衛生化するために使用されてきた。
【0003】
UVCに対するヒトの暴露は、量が多くなると、目及び皮膚の炎症を引き起こし得る。ヒトのUVC暴露を避けるために、プラットフォームは、様々なタイミング、UVC測定、アラーム及び運転停止で休止されて、暴露が防止されてきた。衛生化される領域には、人員がいてはならない。
【0004】
衛生化される領域の付近を移動する放射源には、表面暴露がより一様となるなどの技術的利点がある。このことは、自律的に駆動するロボットにより、ヒトの暴露を伴わずに達成することができる。そのような放射源には、本出願人に付与された特許が含まれる。現在の予測可能なロボットの制約により、ロボットによるそのような放射源のセンシング、走行、作動及びUVC給電の実用的な使用が制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、敏感な目及び皮膚のUVC暴露を防止する特定の安全機構を伴う、人が「駆動可能な」可搬式プラットフォームを提供することが、非常に望ましく、かつ有用である。本開示により、オペレータは、様々なUVC放射源のセンシング、走行、作動及びUVC給電を安全に行うことが可能となる。衣類、眼鏡、フード及び顔面シールドなどの個人用保護具が、使用され得るが、任意である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、様々な遮蔽構造及び方法を利用して、オペレータが、皮膚及び目の暴露を伴わずに紫外線放射プラットフォーム/カートを安全に搬送及び操作することを可能にする。
【0007】
本開示は概して、表面を衛生化するための衛生化デバイスに関する。本開示の一実施形態によれば、衛生化デバイスは、移動体及びUV放射源を含む。UV放射源は、表面上を移動するように構成された移動体に装着されている。UV放射源は、細菌量を許容レベルまで減らすのに十分な量のUV放射を表面に向けるように構成されている。本開示のいくつかの目立った特徴には、いくつかの特徴が含まれる。
【0008】
飛行機又は同様のものの通路を通り抜けることを目的とするトロリー。
【0009】
UVC供給源を搭載した2つのアームが、複数の方向に分散するように配置されている。それらは、座席背部上で側方に拡張可能であり、トロリーの占有面積内に引込み可能であるように連結されている。それらは、モータで制御及び作動され、座席配置に応じて可変的に拡張可能である。アームは、座席配置に応じてプログラミング可能であり、互いに独立して機能することができる。
【0010】
本開示の一有用性は、周期的な商用の国内及び国際定期航路において自明である。特に飛行機によって致死病原菌を分散させる生物テロの脅威の究極の場合において、本開示は、多数の犠牲者を防ぐ可能性を有する。
【0011】
本開示は、定期的な地上給油及びメンテナンス中に殺菌UV-C光への暴露によって客室内を衛生化する迅速、安全かつ効果的な手段を提供する。
【0012】
本開示の追加的な更なる目的、特徴、及び利点は、当業者にとって容易に明らかとなるであろう。
【0013】
本開示の実施形態を特徴付ける他の特徴及びメリットは、以下の詳細な説明を読み、添付の図面を検討すれば明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】アームが折り畳まれた状態で座席列間の通路を通り抜けている衛生化カートの背面図である。
図2】アームが第1の位置に開かれた状態で座席列間の通路を通り抜けている衛生化カートの背面図である。
図3】アームが第2の位置に開かれた状態で座席列間の通路を通り抜けている衛生化カートの背面図である。
図4】アームが第2の位置に開かれた状態で座席列間の通路を通り抜けている衛生化カートの上面図である。
図5】アームが折り畳まれた状態で座席列間の通路を通り抜けている衛生化カートの異なる実施形態の背面図である。
図6】アームが第1の位置に開かれた状態で座席列間の通路を通り抜けている衛生化カートの異なる実施形態の背面図である。
図7】アームが第2の位置に開かれた状態で座席列間の通路を通り抜けている衛生化カートの異なる実施形態の背面図である。
図8】アームが第2の位置に開かれた状態で座席列間の通路を通り抜けている衛生化カートの異なる実施形態の上面図である。
図9】アームが折り畳まれた状態で座席列間の通路を通り抜けている衛生化カートの異なる実施形態の背面図である。
図10】アームが第1の位置に開かれた状態で座席列間の通路を通り抜けている衛生化カートの異なる実施形態の背面図である。
図11】アーム筐体内のUV管部分の斜視図である。
図12】トロリー内のUV管部分の斜視図である。
図13】UV管及び拡張された保護シールドを有するトロリーの斜視図である。
図14】縮小された保護シールドを有するトロリーの背面図である。
図15】拡張された保護シールドを有するトロリーの背面図である。
図16A】折り畳まれた保護シールドを有するトロリーの側面図である。
図16B】部分的に開かれた保護シールドを有するトロリーの側面図である。
図16C】完全に開かれた保護シールドを有するトロリーの側面図である。
図17】アームが開かれ、保護シールドが使用者の付近で開かれた状態で、座席列間の通路を通り抜けている衛生化カートの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
遮蔽するシステム、デバイス及び方法は、個人のUVC暴露を伴わずに個人がUVC放射カートを操作し、表面、任意選択的に飛行機内客室の内側である表面を衛生化することを可能にする構造、コンポーネント及び方法論を備える。
【0016】
表面上を移動するように構成された移動体と、移動体に装着され、所定量のUV放射を表面に向けるように構成されたUV放射源とがある。少なくとも2つの関節アームが移動体に装着されており、アームのそれぞれに装着されたUVランプがある。
【0017】
移動体は、任意選択的に飛行機内通路である領域を通り抜けるトロリー又はカートであり、トロリー又はカートが任意選択的に飛行機内通路である領域に沿って移動するときに、UV放射を作動させる電源である。2つの関節アームは、移動体に装着され、ある位置で移動体から拡張可能であり、任意選択的に座席上である領域を移動可能であり、UVランプは、任意選択的に座席表面である領域に向けられる。移動体から拡張されるとき、及び移動体に戻されるときに、それらは、任意選択的に座面の上方にある。選択的に、複数のUVランプは、縦に並んだ関係で設置されており、選択的に、ランプ用のアームは、選択的に、トロリーに向けて互いに対して内側に、及びトロリーから互いに対して外側に折り畳み可能であり、選択的に座席;構造、コンポーネント上に拡張される。
【0018】
少なくとも1つのUVC保護シールドがあり、シールドは、選択的にオペレータを取り囲み、周辺環境中のUVCから隔離する多面式囲いを選択的に提供する。
【0019】
本説明は、利便性のために、本発明者の紫外線自律式トロリー(米国特許第8907304号、同第8999238号、同第9144618号及び同第9149549号)上で本開示の特徴を示しているが、任意のUVC放射デバイスに同様に適用可能である。これら特許の内容は、それらの全体が参照によって組み込まれる。
【0020】
UVC放射カートは、広範な環境での走行を可能にするハンドル及び車輪を用いて手動操縦可能である。速度、バッテリ状態、UVC出力、アラームなどのフィードバックをオペレータに与える制御パネルがある。UVC供給源を位置決めし給電し、カートを走行させ、ファンなどの付属機器を動作させるために、スイッチ、ダイヤル及び他の適当な制御子がある。
【0021】
本開示の要素は、可視光スペクトルと紫外光スペクトルとの間の物理的特質を利用する。可視光スペクトルは、ヒトの目には透明に見えるガラス、プラスチック、ビニル及び他のポリマーなどの様々な材料を容易に透過することができる。しかし、これら同じ材料の多くは、紫外光スペクトル、特にUVCを透過させることができない。そのような材料で構成されたシールドにより、オペレータは、目及び皮膚のUVC暴露からの保護をもたらされながら、視覚的フィードバックを用いてUVC放射カートを走行させ操作することが可能である。
【0022】
そのようなUVC保護シールド22の一実施形態が添付図に示されている。シールドは、オペレータ27を取り囲み、周辺環境中のUVCから隔離する多面式囲いを提供する。
【0023】
シールド22は、常設であり、及び硬質材料で作られてもよく、又はより小さく収納できるように様々な既知の機構で縮小可能なものでもよい。そのような機構としては、非限定的に、ビニルなどの可撓性かつ屈曲性の材料、又は折り畳み、入れ子、はめ込み、回転、摺動や同様の方法などの機構が挙げられる。これら機構の組合せも実施形態に含まれ、示されている。
【0024】
収納姿勢にあるときに制御パネルを覆い、制御パネルに対する物理的バリアをもたらし、シールドが展開位置にあるときだけUVCの作動を許容する。同様に、シールドが展開されているときだけUVC給電を確保するように、連動スイッチ、近接センサスイッチ又は同様のデバイスを設けることができる。
【0025】
追加的な特徴として、傾斜した軸線24で枢動する一対の桁23が示されている。収納されるとき、狭いカート占有面積に対応して桁間の距離が狭くなる。シールド22が展開されるとき、オペレータの胴幅を楽に収容するように桁23間の距離が広くなる。
【0026】
追加的な安全機構として、カートを走行させるために使用されるハンドル25がシールド内にある。ハンドル内に瞬時給電スイッチ26が組み込まれている。この配置により、UVC供給源に給電するには、オペレータがシールド内にいることが必要となる。オペレータがシールドの領域から離れようとすると、UVCは直ちに停止する。
【0027】
本開示は概して、UV放射源を利用して表面を衛生化する手段を提供する衛生化デバイスに関する。以下でより詳しく論じられるように、衛生化デバイスの実施形態は、移動体又は手持ち操作用の筐体と組み合わされたUV放射源を含む。本開示の追加的な実施形態は、本開示の衛生化デバイスを用いて表面を衛生化する方法に関する。
【0028】
本開示の別の実施形態によれば、衛生化デバイスは、移動体、表面清浄化コンポーネント、及びUV放射源を含む。表面清浄化コンポーネント及びUV放射源は、表面上を移動するように構成された移動体に装着されている。表面清浄化コンポーネントは、表面に作用するように構成されており、UV放射源は、UV放射を表面に向けるように構成されている。
【0029】
本開示のまた別の実施形態によれば、衛生化デバイスは、筐体、UV放射源、及びセンサを含む。UV放射源は、筐体に収容され、筐体の開口を通してUV放射を送出するように配置されている。センサは、衛生化される表面から供給源が所定距離内にあるときを検出するように構成されている。
【0030】
本開示の追加的な実施形態は、上記の衛生化デバイスを使用して表面を衛生化する方法に向けられる。
【0031】
任意選択的に飛行機客室である領域の内側の表面を衛生化するための衛生化デバイスは、表面上を移動するように構成された移動体を含む。移動体に装着され、所定量のUV放射を表面に向けるように構成されたUV放射源がある。移動体に装着された少なくとも2つの関節アームがあり、それぞれのアームにUVランプが装着されている。移動体は、任意選択的に飛行機内通路である領域を通り抜けるためのトロリー又はカートである。
【0032】
別の形態において、任意選択的に飛行機客室の内側である領域の表面を衛生化するための衛生化デバイスがある。表面上を移動するように構成された移動体と;移動体に装着され、所定量のUV放射を表面に向けるように構成されたUV放射源とがある。少なくとも1つのアームが移動体に装着されており、UVランプがアームに装着されている。移動体は、飛行機内通路を通り抜けるためのトロリー又はカートである。
【0033】
アームは、移動体を伴う格納位置から、移動体から拡張する位置に移動可能であり、拡張した位置では、衛生化を行うためにアームが動作することができる。
【0034】
一形態において、各アームは、独立して動作する。
【0035】
任意選択的に、飛行機の座席を含む表面など、飛行機の表面上及び表面付近である領域におけるアームの動きを制御する手段がある。
【0036】
アームは、移動体に装着され、ある位置に、任意選択的に座席の背もたれの上方である領域に移動体から拡張可能である。アームは、座席上を移動可能であり、UVランプは、座席表面及び任意選択的に座席の上方である領域、任意選択的に機体の内側面の方に向いた領域に向けられる。
【0037】
アーム又は複数のアームは、移動体に装着され、ある位置に、本質的に任意選択的に飛行機の座席の専ら上方である領域に移動体から拡張可能である。
【0038】
表面清浄化コンポーネントは、移動体に装着され、移動体が移動する表面に作用するように構成されることができる。
【0039】
デバイスは、UV供給源に給電するための自己内蔵型給電ユニットを含む。
【0040】
デバイスは、表面に対するUVランプの距離及び/又は出力を計測し、表面からランプまでの距離及び/又は表面に送出されるUVエネルギーの量を制御するためのセンサを含むことができる。
【0041】
任意選択的に飛行機客室内にある領域の座席表面を衛生化する、以下のステップを含む方法がある。任意選択的に飛行機内通路に沿う領域を移動するように構成された移動体を含む衛生化デバイスが提供され、任意選択的に座席表面にわたる領域に拡張可能な移動デバイスから拡張するデバイスを用いて衛生化するステップがある。
【0042】
移動体に装着され、表面に作用するように構成された表面清浄化コンポーネントがあってもよい。
【0043】
移動体に装着されたUV放射源は、任意選択的に座席表面にわたる領域に衛生化デバイスが向けられるように移動される。任意選択的に座席表面である領域は、供給源によって生成されたUV放射に暴露され、任意選択的に複数の座席表面上である領域をデバイスが移動する間に、移動体は通路に沿って移動される。
【0044】
移動体に装着されたUV放射源は、任意選択的に座席表面である領域に所定量で向けられ、任意選択的に飛行機内通路に沿った領域を移動体が移動するときに、移動体に装着された少なくとも1つのアームをアームに装着されたUVランプとともに、任意選択的に座席上である領域に拡張する。移動体は、移動デバイスに搭載された電源によって給電される。
【0045】
アーム又は複数のアームは、移動体に装着され、移動体から少なくとも、任意選択的に座席の座面の上方の高さにある領域に、任意選択的に、好ましくは座面と座席背もたれの最上部との間にある領域に拡張する。アームは、任意選択的に、好ましくは背もたれの最上部と頭上荷物棚との間にある領域にある。
【0046】
衛生化する方法は、トロリーが任意選択的に飛行機客室の通路に沿う領域を車輪で移動するときに、任意選択的に、客室の最上部と座席の背もたれ最上部の上方との間の空間にある領域を移動するようにアームが拡張される工程を含む。
【0047】
衛生化する方法は、トロリーが任意選択的に飛行機客室の通路に沿う領域を車輪で徐々に移動するときに、客室の最上部と、漸進的に座席の背もたれの最上部及び座席の座席部分の上方との間にある空間を移動するようにアームが拡張される工程を含む。
【0048】
システムのいくつかの異なるコンポーネントが提示される:1)トロリー2)UVC供給源(ランプ)3)トロリー車輪4)反射板5)アーム6)アーム拡張引込み機構7)ローラ8)ヒンジ9)支線10)頭上荷物棚11)飛行機座席。
【0049】
トロリー(1)は、飛行機で使用される標準的な食料/飲料トロリーと同様の「占有面積」を有するが、実質的に高さがより大きい。トロリーは、車輪(3)を有し、それらの少なくとも1つがモータに接続され、それらの少なくとも1つが操舵機構を有する。モータ及び操舵機構は、搭載型マイクロプロセッサコントローラに接続されている。不図示の近接センサも側面、前面及び後面に沿ってあり、コントローラに接続されている。
【0050】
紫外線「C」(UVC)供給源(2)は、トロリーの外側の前面、後面及び側面、並びに底面の全てに実装され、飛行機の内側表面の暴露を最大化させるように配置されている。反射板(4)は、有効UVC出力を最大化するために利用される。
【0051】
UVC搭載「アーム」(5)は、飛行機座席(11)の上方及び頭上格納棚(10)の下方で側方に可変的に拡張できるようにトロリーに接続されている。これらのアーム(5)は、格納のために、及びトロリー(1)を飛行機内/外及び所定位置へと操縦するときに、引き込まれてトロリー(1)の占有面積内に収納され得る。UVC供給源ランプ(2)は、頭上格納棚(10)を暴露するのに十分高い位置にも配置されている。
【0052】
アーム(5)は、様々な実施形態で構成され得る。アーム(5)は本質的に、鋏状の拡張/引込み機構(6)に取り付けられたUVC供給源(2)を収容する折畳みフレームである。拡張/引込み機構(6)は、不図示の線形アクチュエータに取り付けられ、マイクロプロセッサによってモータ制御され得る。代替的なアーム実施形態において、UVC供給源(2)は、拡張/引込み機構(6)内に直接組み込まれる。UVC供給源(2)が拡張/引込み機構(6)に組み込まれた「ロールアップ」型のアーム実施形態があってもよい。説明の明確性のため、これらのアーム(5)は、限られた数のUVC供給源(2)を収容している。より多くのUVC供給源(2)が、所望のUVC暴露量及び他の制約に応じて望まれ得る。
【0053】
これら複数の実施形態は、全てを含むことを意図してはおらず、むしろ本開示を構成できる無数の方法の例示である。
【0054】
側方に向けられたUVC供給源(2)を有する鉛直方向の拡張も、頭上荷物棚を暴露させる。これら供給源の高さは、飛行機の構成に応じて変更され得る。
【0055】
明確性のため図示されていないファンも、空気流をUVC供給源の経路に向けて空気を衛生化するようにトロリー(1)に取り付けられている。例えば、床の方へと側方に向けられたファンは、そうでない場合に比較的よどんだままとなる空気を循環させうる。UVC光はまた、追加的なメリットとして客室の無臭化を助けるオゾンを周囲の酸素から発生させる。
【0056】
再充電可能なバッテリが、モータ、コントローラ、操舵機構、ファン、アーム拡張機構及びUVC供給源に給電するためにトロリー内に配置されている。いくつかのUVCランプは、安定器を必要とし得る。これらの重量コンポーネントは、転倒防止のための側方安定性を最大化するためにトロリーの下部に優先的に配置されている。不図示の給電コード口が、トロリーが使用されていないときに、充電接続を可能にする。
【0057】
動作
トロリー(1)は、アーム(5)が引き込まれた状態で飛行機から積み下ろされ、搭載バッテリを充電するために外部電源に接続される。使用可能になると、本開示の装置は、接続解除され、既知の食料/飲料トロリーと同様に飛行機に車輪で運ばれる。トロリーは、座席の最初の列(又は最後の列)の間の通路に配置される。アーム(5)は、拡張/引込み機構(6)を利用して拡張される。UVC供給源(2)は、要員が飛行機から離れるのに十分な遅延機構を用いて又は遠隔で、電源投入される。トロリー(1)は、通路に沿って進行し、側方近接センサ及び車輪操舵機構(3)によって自律的に位置決めされる。本開示の装置は、後部近接センサによって検出されるか又は列数によって予めプログラミングされた座席の最後の列(又は最初の列)へと自律的に進行する。トロリー(1)は、停止し、方向転換し、開始地点へと反対方向に通路を進行する。
【0058】
トロリー(1)の移動速度は、プログラミングされ得、UVC供給源の出力、UVC供給源から表面までの距離、及び所望の殺菌率レベルに依存する。殺菌率は、量に依存しており、W秒/m2で測定され、特定の細菌感受性が知られている。総処理継続時間は、飛行機のその他の地上作業時間の制約に合わせなければならない。
【0059】
処理が完了すると、アーム(5)は、収納姿勢に引き込まれる。本開示の装置は、次いで、格納設備に再び搬送され、外部電源に再び接続される。
【0060】
いくつかの代替的な実施形態
以下は、代替的な実施形態及び追加的な特徴の代表例であるが、全てを含むことを意図してはいない。
【0061】
UVC供給源は、蛍光ランプ、発光ダイオード(LED)、パルス化されたキセノン、及び殺菌範囲内の紫外光を生成するための他の既知の技術であり得る。
【0062】
トロリーは、約75ポンドの推定重量を有する。飛行機内/外での移動を容易にするために、トロリーを押すためのモータ支援装置を実装し得る。
【0063】
UVC搭載アームは、飛行機内/外での搬送中及び収納中に実質的にトロリーの「占有面積」内に折畳み可能である。アームは、トロリーから可変距離で通路の側方に、及び垂直に拡張する。2つのアームは、非対称的な座席配置に適応するために独立して側方に拡張する。この特徴を可能にする多数の既知の機構があり、いくつかが本出願に示されている。より手の込んだはめ込み/折畳み/転開又は他の拡張可能機構を設計に取り入れることができ、本開示は、そのような変形形態を含む。アームは、通路の両側に異なる座席数を有し得る飛行機を最適に処理するために互いに独立して機能する。
【0064】
UVC光はヒトの皮膚や目に潜在的に損傷を及ぼすため、搭載型の検出、警報及び中止システムが望ましい。デバイスの潜在的な危険半径内におけるヒトの存在を検出するために、動き及び熱モニタリングするセンサ又は視覚的パターン認識を実装することができる。聴覚的及び視覚的アラームは、潜在的危険性をヒトに警告する。デバイスは停止し、UVC供給源は給電停止されて、潜在的な損害を防止する。同様に、トロリーの進捗を遠隔モニタリングするためにカメラを含めることができる。UVCは、衣類、プラスチック又はガラスを透過せず、作業者は、全ての皮膚を覆う非常に簡単な個人用保護具及び簡単なバイザーを用いることで、安全にトロリーに隣接することができる。
【0065】
プログラミングは、様々なレベルの自動化に関与し得る。例えば、777飛行機の客室のためにプログラミングすることができ、コントローラは、方向、速度、列数、アームの望ましい拡張及び頭上荷物棚に対するUVC供給源の高さを決定する。余り高性能ではないプログラミングは、汚染レベルなどに応じて、可変の列数、列毎の座席数、トロリーの移動速度を有し得る。
【0066】
より高性能の移動経路も予想され、プログラミングされ得る。例えば、アームは、客席の輪郭に追従し、座席背部の付近を上下に動き、床まで下方に動いてUVC供給源を汚染源の直ぐ近くまで持ってくるようにプログラミングされ得る。
【0067】
この方法において、デバイス及び装置は、衛生化が望まれる飛行機コンポーネントをUV供給源に暴露させるように配置される。装置と一体になった清浄化コンポーネント、及びデバイスと一体になった廃棄物容器又は槽があってもよい。清浄化コンポーネント及び廃棄物容器又は槽の内側の暴露が、微生物の増殖及び臭気の発生を制御する働きをする。
【0068】
拡張可能アームは、その上を通って移動しないが、移動する表面から離れた表面を消毒する能力を有する。座席、座席背部及びトレーテーブルのように、その上を通って移動させることができず、衛生化できないであろうこれらの表面は、それらの拡張可能アームを有する開示されるデバイスによって衛生化される。
【0069】
代替的な実施形態は、アームが座席表面に接近するようにデバイスが通路を移動する時に座席背部間を上下に動くアームを有することができる。
【0070】
座席、座席背部及びトレーテーブルなど表面は、その上を通って移動することができない。そのような表面は、デバイスが移動する表面にUV放射を向けるデバイスによって衛生化することができない。開示されるデバイスは、拡張可能アームを有し、そのような表面を衛生化することができる。
【0071】
代替的な実施形態は、アームが座席表面に接近するようにデバイスが通路を移動する時に座席背部間を上下に動くアームを有することができる。
【0072】
代替的な実施形態は、格納コンパートメントを有する飛行機に搭載される常設の設備である。デバイスが、閉鎖コンパートメントに収納され、車輪ではなく、例えば天井装着レールシステムにより、客室コンパートメント内を前部及び後部に移動できる、本開示の構成があってもよい。本システムの利点は、空港が、機能するデバイスを有しているかどうかにかかわらず、飛行機を衛生化できる点にある。偶発的に/非意図的に又は生物テロであっても、搭乗時飛行中に病原体が放出される場合において更なる利点が明らかである。乗客を遮蔽すると共に、搭載デバイスを作動させることで、着陸前に飛行中に飛行機が「衛生化」される。これにより、到着地での潜在的な病原体の放出が避けられ、ヒト接種前に脅威が制圧される。
【0073】
多くの異なる様式が本開示によって可能である。したがって、添付の請求項の範囲内で、具体的に記載されているものとは異なる方法で本開示が実用化され得ることを理解されたい。
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