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特許7010506低分子有効サポニン含有量を増大させかつベンゾピレン含有量を低減させるアマチャヅル葉抽出物の製造方法及びそれによって得られたアマチャヅル葉抽出物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】低分子有効サポニン含有量を増大させかつベンゾピレン含有量を低減させるアマチャヅル葉抽出物の製造方法及びそれによって得られたアマチャヅル葉抽出物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/424 20060101AFI20220203BHJP
   A61K 31/7048 20060101ALI20220203BHJP
   A61K 31/424 20060101ALI20220203BHJP
   A23L 33/105 20160101ALN20220203BHJP
   A61P 3/04 20060101ALN20220203BHJP
   A61P 3/10 20060101ALN20220203BHJP
【FI】
A61K36/424
A61K31/7048
A61K31/424
A23L33/105
A61P3/04
A61P3/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019563366
(86)(22)【出願日】2019-01-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-02
(86)【国際出願番号】 KR2019000153
(87)【国際公開番号】W WO2019135637
(87)【国際公開日】2019-07-11
【審査請求日】2019-11-14
(31)【優先権主張番号】15/862,131
(32)【優先日】2018-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】10-2018-0085640
(32)【優先日】2018-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518397054
【氏名又は名称】ビーティシー コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】BTC CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム,テヨン
(72)【発明者】
【氏名】ムン,ジュミョン
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ソングァン
【審査官】柴原 直司
(56)【参考文献】
【文献】Arch. Pharm. Res. (2013), 36, [7], p.874-879
【文献】J. Korean Soc. Appl. Biol. Chem., (2010), 53, [1], p.71-77
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/424
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低分子有効サポニンの含有量を増大かつベンゾピレンの含有量を低減させるアマチャヅル葉抽出物の製造方法であって、
前記方法は、
(1)アマチャヅル生葉を90~300℃で5分~120時間焙煎処理してから乾燥する段階と、
(2)乾燥されたアマチャヅル葉をスチーム処理する段階と、
(3)前記スチーム処理されたアマチャヅル葉に1~100倍体積の水を添加した後、100~150℃、1~10気圧で5分~120時間熱水抽出してアマチャヅル葉の熱水抽出物を製造する段階と、
(4)前記アマチャヅル葉を熱水抽出して残った残渣に1~100倍体積のC~Cの低級アルコールを添加した後、50~100℃で5分~120時間アルコール抽出してアマチャヅル葉熱水抽出物残渣のアルコール抽出物を製造する段階と、
(5)前記(3)段階の熱水抽出物及び(4)段階のアルコール抽出物を混合してから濾過及び濃縮する段階とを含む、アマチャヅル葉抽出物の製造方法。
【請求項2】
前記(2)段階のスチーム処理は、5分~10時間行うことを特徴とする、請求項1に記載のアマチャヅル葉抽出物の製造方法。
【請求項3】
前記スチーム処理は、開放した容器で行うことを特徴とする、請求項に記載のアマチャヅル葉抽出物の製造方法。
【請求項4】
前記(4)段階のC~Cの低級アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール及びブタノールの中でそれぞれ選択される1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載のアマチャヅル葉抽出物の製造方法。
【請求項5】
前記(4)段階の低級アルコールは、それぞれ5~95体積%のアルコール水溶液であることを特徴とする、請求項1に記載のアマチャヅル葉抽出物の製造方法。
【請求項6】
前記(3)段階の水及び(4)段階の低級アルコールはpH1~7に調整されたことを特徴とする、請求項1に記載のアマチャヅル葉抽出物の製造方法。
【請求項7】
前記アマチャヅル葉抽出物は、ジンセノサイドRg3を0.01~7mg/g、ジペノシドLを1.5~70mg/g、ジペノシドLIを1.5~70mg/g含むことを特徴とする、請求項1に記載のアマチャヅル葉抽出物の製造方法。
【請求項8】
前記アマチャヅル葉抽出物は、ベンゾピレンを10ppb以下含むことを特徴とする、請求項1に記載のアマチャヅル葉抽出物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は低分子有効サポニンの含有量を増大させながらもベンゾピレンの含有量を低減させるアマチャヅル葉抽出物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アマチャヅル葉抽出物の効能に関する研究としては、第2型糖尿病動物実験モデルにおいてアマチャヅル葉のエタノール抽出物が強い血糖降下作用があると報告されており、100mg/kgの容量において有効であった[参考文献:Yeo JY, et al., 2008, Potential Hypoglycemic Effect of an EtOH Extract of Gynostemma pentaphyllum in C57BL/KsJ-db/db Mice, J. Medicinal Food, 11: 709-716]。また、アマチャヅル葉抽出物がAMP-activated protein kinase(AMPK)の活性を増加させてインシュリン抵抗性、肥満、そして高脂血症などを含む代謝疾患を改善させることができることを示唆している。このようなアマチャヅル葉抽出物の製造方法の主要なものとして、エタノール抽出及び抽出後の高温処理によってダムリン(Damulin)A及びBの含有量を増加させる抽出法が知られている(特許文献1)。また、他の例として、特許文献2には、エタノール抽出物として、ジペノシドUL1、ジペノシドUL2、ジペノシドUL3、ジペノシドUL4、ジペノシドUL5、ジペノシドUL6、ジペノシドUL7及びジペノシドXLVIIIからなる群から選択された1種以上のダンマラン系トリテルペノイドサポニン化合物を含むアマチャヅル葉のジペノシド抽出物を有効成分として含む第2型糖尿病、肥満又は高脂血症の治療又は予防用薬剤学的組成物に関するものが開示されている。
【0003】
このようなアマチャヅル葉抽出物の製造時に生葉をそのまま用いる場合、生葉内に多様に存在する低分子有効サポニンの前駆体が充分に活性化していないため、このような方法で抽出される場合、抽出物の有効性が低いという問題がある。また、アマチャヅルの生葉を抽出したアマチャヅル葉抽出物は熱処理などの工程を経てもその有効性が充分に確保されないことを長年の研究によって確認した。そして、前記アマチャヅル生葉抽出物を発酵及び酵素処理する場合、ある程度の低分子有効サポニン含有量が増加するが、追加工程によって工程時間及び生産費が増加するという問題があった。
【0004】
一方、前記アマチャヅル葉抽出物は、製造過程でベンゾピレンが発生する。前記ベンゾピレンは多環芳香族炭化水素(polycyclic aromatic hydrocarbon、PAH)に属する黄色の結晶性固体であり、400~600℃で不完全燃焼によって生成される。前記ベンゾピレンは主にコールタール、自動車排出ガス、タバコ煙などに存在し、物質の不完全燃焼によって環境中に排出され、大気中で非常に安定して発生源から遠い距離まで伝播可能である。ベンゾピレンは環境汚染などによって農産物、魚貝類などの調理されるか加工されることがない食品にも存在し、食品を高温で加熱するとき、食品の主成分である炭水化物、タンパク質、脂質などが分解して生成されることもある。このように、ベンゾピレンは、主に汚染された水、食べ物、そして大気を介して人体に露出され、人体で代謝された多様なベンゾピレン代謝体はDNAに内転されて癌を引き起こす原因となると知られている。
【0005】
また、ベンゾピレンは残留期間が長く毒性が強いことが問題となっており、内分泌系障害物質であるとともに発癌性物質であり、世界的な関心の対象物質になっている。食品分野でもベンゾピレン問題が発生している。近年、国内でも加熱処理する紅参又は黒参などの加工人参製品などでベンゾピレンが検出されているから、これを低減させる技術に対する関心が高くなっているという実情がある。
【0006】
したがって、アマチャヅル葉抽出物の主要有効生理活性成分であるジンセノサイドRg3、ジペノシドL、ジペノシドLIなどのダマリン系低分子有効サポニンの含有量は高め、かつベンゾピレンの含有量を低減させる新しい方法が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国特許登録第10-0930580B号公報
【文献】韓国公開特許第10-2014-0108621A号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ジンセノサイドRg3、ジペノシドL及びジペノシドLIなどの低分子有効サポニンの含有量が増大しながらもベンゾピレンの含有量は低いアマチャヅル葉抽出物の製造方法を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、ベンゾピレンが10ppb以下(例えば、0.01~10ppbの範囲内)で含まれることを特徴とする、乾燥粉末又は濃縮液形態のアマチャヅル葉抽出物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために、本発明は、(1)アマチャヅル生葉を加熱処理してから乾燥する段階と、(2)乾燥されたアマチャヅル葉をスチーム処理する段階と、(3)前記スチーム処理されたアマチャヅル葉に1~100倍体積の水を添加した後、100~150℃、1~10気圧で5分~120時間熱水抽出してアマチャヅル葉の熱水抽出物を製造する段階と、(4)前記アマチャヅル葉を熱水抽出して残った残渣に1~100倍体積のC~Cの低級アルコールを添加した後、50~100℃で5分~120時間アルコール抽出してアマチャヅル葉熱水抽出物残渣のアルコール抽出物を製造する段階と、(5)前記(3)段階の熱水抽出物及び(4)段階のアルコール抽出物を混合してから濾過及び濃縮する段階とを含む、低分子有効サポニン含有量を増大させかつベンゾピレン含有量を低減させるアマチャヅル葉抽出物の製造方法を提供する。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、前記(1)段階の加熱処理は、アマチャヅル生葉を90~300℃で5分~120時間焙煎処理することができる。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、前記(1)段階の加熱処理は、アマチャヅル生葉を90~300℃で5分~120時間蒸熱(蒸気処理)することができる。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、前記(2)段階のスチーム処理は、5分~10時間行うことができる。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、前記スチーム処理は、開放した容器で行うことができる。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、前記(4)段階のC~Cの低級アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール及びブタノールの中でそれぞれ選択される1種以上であってもよい。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、前記(4)段階の低級アルコールは、それぞれ5~95体積%のアルコール水溶液であってもよい。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、前記(3)段階の水及び(4)段階の低級アルコールはpH1~7に調整されることができる。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、前記アマチャヅル葉抽出物は、ジンセノサイドRg3を0.01~7mg/g、ジペノシドLを1.5~70mg/g、ジペノシドLIを1.5~70mg/g含むことができる。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、前記アマチャヅル葉抽出物は、ベンゾピレンを10ppb以下含むことができる。
【0020】
また、本発明は、アマチャヅル生葉を90~300℃で焙煎処理後に乾燥する段階と、前記乾燥されたアマチャヅル葉を、水、C~Cの低級アルコール又はこれらの混合物で抽出する段階とを含むアマチャヅル葉抽出物の製造方法を提供する。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、前記焙煎処理は、5分~120時間行うことができる。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、前記アマチャヅル葉抽出物は、ジンセノサイドRg3を0.01~7mg/g、ジペノシドLを1.5~70mg/g、ジペノシドLIを1.5~70mg/g含むことができる。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、前記アマチャヅル葉抽出物は、ベンゾピレンを10ppb以下含むことができる。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、前記アマチャヅル葉抽出物は、乾燥粉末又は濃縮液の形態であってもよい。
【0025】
また、本発明は、ベンゾピレンを10ppb以下含むアマチャヅル葉抽出物を提供する。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、ジンセノサイドRg3を0.01~7mg/g、ジペノシドLを1.5~70mg/g、ジペノシドLIを1.5~70mg/g含むことができる。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、乾燥粉末又は濃縮液の形態であってもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によって製造されるアマチャヅル葉抽出物は、ジンセノサイドRg3、ジペノシドL、ジペノシドLIなどの低分子有効サポニンの含有量は高く、ベンゾピレンの含有量が低いという特徴を有する。
【0029】
また、前記アマチャヅル葉抽出物は、AMPK活性増加、ベータ酸化促進、ブドウ糖吸収促進などの効能を現すので、糖尿、肥満及び筋損失などの予防又は治療、及び運動能力の増進に効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】ジペノシド及びジンセノサイドの基本構造を示す化学式である。
図2】サポニン前駆体と低分子有効サポニン成分の関係を示す関係図である。
図3】アマチャヅル葉の多様な処理によって製造されたアマチャヅル葉抽出物内のサポニン含有量及びベンゾピレン含有量を手短に比較して示すフローチャートである。
図4】本発明の一実施例によるアマチャヅル葉抽出物の製造方法を示す工程図である。
図5】本発明の実施例及び比較例によるアマチャヅル葉抽出物が細胞生存力に及ぶ影響を示すグラフである。
図6】本発明の実施例及び比較例によるアマチャヅル葉抽出物を処理した3T3-L1脂肪前駆細胞での脂肪蓄積率を示すグラフである。
図7】本発明の実施例及び比較例によるアマチャヅル葉抽出物のAMPK及びACCリン酸化増加効果を示す写真である。
図8】本発明の実施例及び比較例によるアマチャヅル葉抽出物を処理した3T3-L1脂肪前駆細胞でのAMPK活性化作用を示す写真である。
図9】本発明の実施例及び比較例によるアマチャヅル葉抽出物の脂肪酸ベータ酸化促進効果を示すグラフである。
図10】本発明の実施例及び比較例によるアマチャヅル葉抽出物の細胞内ブドウ糖吸収促進効果を示すグラフである。
図11】本発明の実施例及び比較例によるアマチャヅル葉抽出物の筋肉細胞分化誘導効果を示すグラフである。
図12】本発明の実施例及び比較例によるアマチャヅル葉抽出物の筋肉細胞株でのmTORの発現量を示すグラフである。
図13】本発明の実施例及び比較例によるアマチャヅル葉抽出物の筋肉細胞株での筋肉分解促進生体指標MURF-1の発現量を示すグラフである。
図14】動物モデルにおいて本発明の実施例及び比較例によるアマチャヅル葉抽出物処理による運動遂行能力(持久力)を測定したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0032】
アマチャヅル(Gynostemma pentaphyllum)はウリ科(Cucurbitaceae)に属する多年生のつる植物である。山野の森の中で自生し、根茎は横に伸び、節に白毛があり、絡み合いながら育つが、巻きひげとして上がることもある。棲息地としては、韓国内では南部地域、済州道、鬱陵島地域の山地で自生し、韓国外では、中国、日本、東南アジアなどの地域に幅広く分布されている。大部分が主に海岸、川岸など、湿度の高い場所で育つ。
【0033】
アマチャヅルは、自生する国と地域によって多数種がある。この中で、ジノステマ(Gynostemma)種は30余種が知られている。この中で、ペンタピルム(pentapyllum)種が広く分布されており、種、成分及び効能に対する研究が幅広く進んできた。アマチャヅルには多様なサポニンが含有されており、これらはギノサポニン(gynosaponin)又はジペノシド(gypenoside)と呼ばれる。前記ジペノシドは、化学構造から見ると、OH基がどの部分に結合されているかに違いを現すだけであり、その構造は紅参のジンセノサイド系と類似した構造を有している。図1はジペノシドとジンセノサイドの基本構造を示す。
【0034】
前記アマチャヅルサポニンは、脂質代謝改善作用、心血管系疾患防御作用、血糖降下作用、中枢神経系作用、坑癌作用、血小板凝集阻害作用、強壮作用などの効能を示すものとして知られている。また、アマチャヅルは、サポニンであるジペノシド(gypenoside)以外に、プリメベロシド(primeveroside)、ソフォロシド(sophoroside)、ビスデスモシド(bisdesmoside)、ゲンチオビドシド(gentiobioside)、ルチノシド(rutinoside)などの配糖体とステロイド、糖類及び色素などを含んでいる。
【0035】
体内脂肪の蓄積を減少させる機序は3種類ある。一つ目は、食餌から取られる脂肪の吸収を抑制することによって体脂肪の蓄積を抑制する機序である。このような脂肪吸収抑制は、小腸で中性脂肪を分解する脂肪分解酵素の作用を阻害するか、取った脂肪と吸着して便としての脂肪排泄を増進させる作用によって可能である。これは、腹部膨満感、不便なガス排出、脂の混じった便が漏れるという問題点がある。二つ目は、食餌から取られた脂肪又は体内に蓄積された体脂肪の酸化を促進させることによって体脂肪を調節する機序である。脂肪酸の酸化に関与する酵素の活性を増加させて脂肪酸がミトコンドリアに移動することを増進させ、よってミトコンドリア内でのβ-酸化を促進させることにより、最終的には脂肪からのエネルギー生産を増加させることである。三つ目は、脂肪合成関連酵素である脂肪酸合成酵素(Fatty acid synthase)及びクエン酸リアーゼ(Citrate lyase)などの活性を低下させることによってアセチルCoA(acetyl CoA)からの脂肪酸合成を阻害させることである。
【0036】
特に、体内エネルギーの消費において、蓄積された脂肪を直接分解するか脂肪を酸化してエネルギーと熱を生成する燃焼過程が重要であるが、ここには多くの酵素及び遺伝子が関与している。ホルモン感受性リパーゼ(hormone sensitive lipase)は脂肪組職で中性脂肪を分解する段階で最も重要な酵素であり、脂肪酸が分解してエネルギーとして使われるためにはエネルギー生成場所であるミトコンドリアに移動しなければならない。細胞質で活性化した脂肪酸(acyl CoA)がミトコンドリアの内部に移動するためにはミトコンドリアの膜(外膜と内膜)を通過しなければならない。この過程を触媒する酵素がカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ(Carnitine palmitoyltransferase、CPT)であり、CPTIとCPTIIがある。そしてAcyl-CoA oxidaseはペルオキシソーム(peroxisome)に位置する酵素であり、acyl CoAとO2からtrans-2,3-dehydroacyl-CoAとHを生成し、脂肪酸β-酸化の第1段階で作用する速度制限酵素(rate-limiting enzyme)である。ミトコンドリアの脱共役タンパク質(uncoupling protein、UCP)は、茶色脂肪(褐色脂肪)、白色脂肪、及び筋肉細胞で発見される。UCPは、該当細胞内のミトコンドリアでの酸化的リン酸化過程を脱共役(uncoupling)することによってATP生成を減少させ熱を発生させる。したがって、UCP発現程度がエネルギー消費量に影響を及ぼして肥満の発生に関与すると報告されており、脂肪の酸化にAMPKが重要な役割をすることが報告されている。
【0037】
AMPK活性化によるACCのリン酸化は脂肪酸酸化増加機序による体脂肪減少に重要な役割を担う。したがって、脂肪酸の合成初期にACC酵素活性をAMPKによって調節する場合、必要以上の体内脂肪蓄積を抑制することができるようになり、結果として体重増加を抑制することができる。ひいては、AMPKの重要な調節機序のうち、HMG-CoAレダクターゼ(高脂血症治療剤であるスタチンのターゲット分子)の活性も抑制される。これはAMPK活性化によってコレステロールの合成も肝組織で調節可能であることを意味するもので、血中の中性脂肪とコレステロールの濃度を低下させる効果も得ることができる。したがって、AMPKが活性化すれば、脂肪の合成が減少するとともにβ-酸化が増加して体内脂肪の酸化が増加することにより、体脂肪減少による体重減少はもちろんのこと、血中の中性脂肪とコレステロールの濃度を減少させることができる。
【0038】
一方、筋肉(Muscle)は人体において構成量が最も多い組職であり、人体の機能的能力(functional capacity)を維持し、代謝性疾患を予防するためには、適正筋肉量の確保が必須として要求される。一般に、65~70歳の人口の約24%は老化による筋萎縮を経験しており、20%程度は筋機能の喪失による困難を経験していることが知られている。身体活動量減少、機能障害、癌、肥満、第2型糖尿病、及び老化などが進行するほど筋肉量と運動能力が減少することになり、これにより生活の質は格段に低下する。特に、我が国は急速な経済発展、医療技術の発達、及び栄養状態の改善とともに急速に高齢化社会に入っており、筋萎縮症のような筋肉消耗性疾患の治療に対する関心が高まっている。
【0039】
筋肉の大きさ(muscle size)は筋肉内で起こる同化作用(anabolism)又は異化作用(catabolism)を誘導する細胞内信号伝逹経路(signalling pathways)によって調節される。筋肉タンパク質の分解より合成を誘導する信号伝逹反応が多く起こる場合、筋肉タンパク質の合成が増加し、結果的に筋肉の大きさが増加する筋肥大(hypertrophy)又は筋纎維数の増加(hyperplasia)が発生する(The Korea Journal of Sports Science, 20(3): 1551-1561, 2011)。
【0040】
筋タンパク質合成に関与する因子は筋細胞内でphosphatidylinositol-3 kinase(PI3K)/Akt pathwayの刺激を基点としてダウンストリームタンパク質(downstream proteins)をリン酸化させることによってタンパク質合成を誘導する。PI3K/Akt信号伝逹によるmammalian target of rapamycin(mTOR)の活性は細胞内で多様な成長信号を統合する中心成長信号伝逹因子と認められている。mTORは、mRN Atranslationを開始する二つの因子、4E-binding protein(4EBP1)とphosphorylated 70-kDa ribosomal S6 kinase(p70S6K)を活性化させることにより、筋タンパク質合成を誘導して筋肉量の増加に寄与する(The Korea Journal of Sports Science, 20(3): 1551-1561, 2011; The International Journal of Biochemistry and Cell Biology, 43(9): 1267-1276, 2011)。反対に、転写因子(transcription factor)であるforhead box(FoxO)が細胞質から核内に移動すれば、タンパク質分解に関与するE3 ubiquitin ligase因子atrogin-1とMuRF-1の発現を増加させる(Disease Models and Mechanisms, 6: 25-39, 2013)。これらの発現量が増加すれば、筋肉内のタンパク質分解が促進されて筋肉量が減ることになる。したがって、mTORの活性促進とatrogin-1とMuRF-1発現の抑制は筋肉タンパク質量を増加させて筋肉量を増加させることになる。
【0041】
本明細書で、‘運動遂行能力’、又は‘運動能力’は日常生活やスポーツで見られる身体動作を外形的に競走、ジャンプ、投げ、泳ぎなどに区分すると、前記動作を速く、強く、正確に、長く、上手に行える程度を示すものであり、運動遂行能力は筋力、敏捷性及び持久力などの因子によって規定される。‘運動遂行能力の向上’という用語は運動遂行能力を改善するか向上させることを言う。
【0042】
運動によって身体の健康を維持することができる。ここで、各自の運動遂行能力によって運動の結果は違う。先天的に身体に障害があるか病院に長期間横になっているなどの後天的な理由で筋肉が消失した場合、筋力が減少すれば運動遂行能力も減ることになる。これを解決することができる運動代替効果(exercise mimetic effect)を有する物質に対する研究が多様に遂行されている。ブドウ皮から抽出したレスベラトロル(resveratrol)が運動遂行能力を著しく増加させるという事実が報告された後(Nature 444:337-342, Cell 127: 1109-1122, Exp Mol Med 39:222-229)、4週間運動訓練と並行してperoxisome proliferator-activated receptor δ(PPAR δ)agonistである5-Aminoimidazole-4-carboxamide ribonucleotide(AICAR)を腹腔注射したとき、運動訓練がなくとも運動遂行距離を44%増加させると報告をして、運動代替物質の製薬化への可能性を提示した。韓国産の宿り木抽出物が筋肉細胞でミトコンドリア活性を増加させ、マウスモデルのトレッドミル実験の際、150%の運動遂行距離の増加を報告した(Korean J. Food Nurt. Vol. 29. No. 4, 505~512, 2016)。
【0043】
短時間に最大力を発揮しなければならない運動においてATPを提供する主要経路はクレアチンキナーゼ(creatine kinase)によってホスホクレアチン(phosphocreatine)がクレアチン(creatine)に分解する過程でホスホクレアチンのリン酸基がADPに伝達されてATPが再生産される。5~10秒以内に多量のATP生成に主に寄与する。また、グリコーゲン分解(glycogenolysis)又は解糖過程(glycolysis)でグリコーゲン(glycogen)が乳酸(lactate)に分解する過程である。約2分以内の早いATP生成に主に寄与する。運動時間が短いほどホスホクレアチンのATP生成に対する相対的寄与度はもっと高くなる。短距離疾走を行ううちにホスホクレアチンが枯渇し、グリコーゲン分解過程は活性化し、ATP分解速度はたびたびATP合成速度を凌ぐ。これは、過度にATPを分解し、細胞内アデニンヌクレオチド分解の最終産物(ADP、AMP、IMP、アンモニアなど)の含有量を増加させる結果をもたらす。生成されたイノシンリン酸(IMP)の少量はイノシン(inosine)に転換され、ヒポキサンチン(hypozanthine)に転換され、これは筋肉の静脈血に流出される。アデニンヌクレオチドの分解によって生成されるADPとリン酸(phosphate)が細胞内に蓄積されるとともに解糖過程及びグリコーゲン分解によって過度に生産された乳酸から遊離されるH+が体内緩衝作用で処理することができる水準を超えると、pHが低下し、これは短期間最大運動中の疲労に連関する。
【0044】
筋肉細胞で脂肪酸はグリセロールと再合成して筋肉の内部に中性脂肪の形態として再び保存されるか、筋肉内のタンパク質と合成され、ミトコンドリアがエネルギー生成をする際に使われる。AMPKの活性によって細胞核内でPeroxisome proliferator-activated receptor gamma coactivator-1α(PGC-1α)を活性化させて運動力を増加させる効果がある。
【0045】
本発明者らは、本発明のアマチャヅル葉抽出物が脂肪細胞分化抑制効果及びAMPK活性化に優れた効果があり、これにより優れた肥満予防又は治療の効果があることを確認した。また、筋肉細胞分化促進及びブドウ糖吸収促進、筋肉分解タンパク質抑制に効果があり、運動遂行能力の向上及び筋肉損失の予防又は治療効果があることを確認した。
【0046】
また、AMPKは、serine/threonine kinaseの一つのcatalytic α subunit(α1又はα2)と二つのregulatory subunit β(β1又はβ2)とγ(γ1、γ2又はγ3)でheterotrimeric complexを成している。各subunitの組職内分布と発現程度の違いは次のようである。Catalytic α1 subunitは腎臓、肺及び脂肪組職に多く分布している反面、catalytic α2 subunitは主に心臓、筋肉及び肝に分布している。Regulatory β1 subunitは主に肝に分布しており、β2 subunitの場合には筋肉に分布している。Regulatory γ1とγ2 subunitsは組職内に広範囲に分布しているが、γ3は筋肉に特異的に大きく分布している。AMPKの作用は細胞内でエネルギー準位を感知する重要センサーであり、またその結果によって食欲調節、体重調節、血糖調節及び血中脂質代謝調節などに核心的な役割を果たす。AMPKの活性化は高強度の運動又は長期間飢えたときに現れるATP消耗によるAMP濃度の増加によってAMPがAMPKのγ-サブユニットに結合することによって起こる。実質的な活性化は、LKB1又はCaMKKという上位リン酸化酵素によってAMPKαサブユニットのスレオニン(threonine)(Thr)-172残基に対するリン酸化によって現れる。
【0047】
リン酸化形態のAMPKはATPを消費する生化学反応である脂肪酸及びコレステロールの合成を抑制し、反対にATPを生成する脂肪酸のベータ酸化(β-oxidation)過程と解糖作用(glycolysis)を活性化させる。それだけでなく、細胞膜のブドウ糖吸収通路であるグルコーストランスポーター4(glucose transporter4、GLUT4)量を増加させる。一方で、AMPKの活性化はインシュリンの作用によるPI3K信号伝逹機序に関係なく、細胞内ブドウ糖吸収通路であるGLUT4の細胞膜移動を増加させる。また、AMPKがリン酸化によって活性化すれば、さらに他の下位タンパク質であるコレステロール合成の核心酵素であるHMG-CoA還元酵素(hydroxymethylglutaryl-CoA reductase)に対するリン酸化が起こる。その結果、HMG-CoA還元酵素が不活性してコレステロール合成が低下するので、血中コレステロールが減少する。
【0048】
筋肉でのAMPK調節では、収縮と低酸素症の両方で骨格筋でインシュリンと類似している効果を示す。運動による筋収縮によって筋肉内ATP消費を増やす。AMPK活性はAMP/ATP及びクレアチン/ホスホクレアチン(creatine/phosphocreatine)の変化率によって誘導され、活性化程度は運動の強度に比例する。筋収縮の活性は急激にATP-消費(consuming)機序を抑制し、筋肉でATPを保存する炭水化物と脂肪酸を活性化させることもある。AMPはγ-サブユニットの二つのCBS domainと結合し、これは直接的にはアロステリック活性化(allosteric activation)、間接的にはAMPKの異なるキナーゼ(kinase)との結合を助ける機序であり、α-サブユニットに位置するThr172のリン酸化反応(phosphorylation)を活性化させる。AMPのγ-サブユニットとの結合はATP及びATP/AMPfreeの比率によって阻害され、このような比率の減少が筋肉細胞の収縮と運動の際にAMPKを活性化させる最も重要な要素であると言える。筋収縮に対するブドウ糖摂取増加の機序はインシュリン刺激によるブドウ糖摂取増加の機序とは明らかに違い、細胞内Ca++の増加は収縮を引き起こし、これはブドウ糖摂取増加につながる。ここで、AMPKという遺伝子が活性化すれば、実験用マウスにおいて運動を全然しなくても筋肉が発達して体力増進の効果があることが明かされ、PPAR deltaという遺伝子を活性化させれば、もっと長時間、長距離を走ることができることが明らかにされた。したがって、AMPK及びPPAR deltaのような遺伝子を活性化させて筋損失を予防することができる。
【0049】
アマチャヅル葉に含まれているサポニン化合物は殆どが糖を含む配糖体形態であり、生体内で吸収率が低いサポニンもある。このような吸収しにくいサポニンであっても低分子の吸収可能な有効サポニンに転換可能な場合がある。例えば、アマチャヅル葉と類似したサポニンを含んでいる紅参の場合、高分子のサポニン成分を低分子に転換させて生体利用率を高めた報告がある(韓国特許第10-1200571号)。したがって、アマチャヅル葉のジペノシド配糖体を吸収可能な有効ジペノシド(非配糖体又は糖の修飾が小さい低分子サポニン)に転換させることは生体利用率の増大とこれによる有効性の増大に非常に重要な要素である。
【0050】
本発明は、主要有効生理活性成分であるジンセノサイドRg3、ジペノシドL、ジペノシドLIなどの低分子有効サポニンの含有量は高く、特にベンゾピレンの含有量が低減する抽出物を提供するために、(1)アマチャヅル生葉を加熱処理した後に乾燥する段階と、(2)乾燥されたアマチャヅル葉をスチーム処理する段階と、(3)前記スチーム処理されたアマチャヅル葉に1~100倍体積の水を添加した後、100~150℃、1~10気圧で5分~120時間熱水抽出してアマチャヅル葉の熱水抽出物を製造する段階と、(4)前記アマチャヅル葉を熱水抽出し、残りの残渣に1~100倍体積のC~Cの低級アルコールを添加した後、50~100℃で5分~120時間アルコール抽出してアマチャヅル葉熱水抽出物残渣のアルコール抽出物を製造する段階と、(5)前記(3)段階の熱水抽出物及び(4)段階のアルコール抽出物を混合してから濾過及び濃縮する段階と、を含む、アマチャヅル葉抽出物の製造方法を提供する。
【0051】
アマチャヅル葉抽出物を製造するために主に使われる高温焙煎処理は、アマチャヅル葉に含まれているジンセノサイド、ジペノシドなどの多くの前駆物質を低分子有効サポニンであるRg3、ジペノシドL、ジペノシドLIなどに転換される前駆物質に転換させるが、これと共にタンパク質、炭水化物、脂質などの成分が転換されたベンゾピレンが多量発生して安全性の問題が生じる。一方、アマチャヅル葉を自然乾燥する場合、前駆物質が低分子有効サポニンに殆ど転換されないのでアマチャヅル葉抽出物の有効性が問題となる。
【0052】
したがって、本発明者はアマチャヅル葉の低分子有効成分の含有量を最大限に高めるために、生葉状態で熱処理を行わなければならないという事実を見つけた。また、図2に示すようなサポニン前駆体と低分子有効サポニン成分間の関係(Chenら, J. Chromatogr. B Analyt Technol Biomed life Sci, 969 : pp. 42-52)に基づき、アマチャヅルの生葉に焙煎又は蒸熱を行えば、分子量の高いサポニン前駆体が低分子サポニン前駆体に転換され、これを高温抽出すれば低分子有効サポニンに転換されると推定した(図3)。
【0053】
生葉を熱処理する段階を焙煎又は蒸熱(蒸気、蒸らし)処理といい、一般的に焙煎又は蒸熱処理の後に乾燥段階がともに遂行される。一般に、焙煎は生葉を開放した容器内で一定温度以上に熱処理するものであり、蒸熱は焙煎と類似した温度にて密閉した容器で熱処理するものである。これらは、有害菌を殺菌して腐敗を防止し、香及び風味を増加させるために一般的に行われる工程である。一般に、アマチャヅル葉を焙煎処理するときには350~500℃の高温で行う。伝統的な方法は熱い釜に茶葉を入れ、手で掻き乱して混ぜながら焙煎する。このような方法は、高温によって生成されるベンゾピレン又は不均一な温度によって有効成分前駆体が有効成分に転換される比率が一定でなくて過度なベンゾピレンが生成されるだけでなく、有効性分への転換率が低くなる。現在までアマチャヅル葉の蒸熱又は焙煎工程がアマチャヅル葉の品質にどのような影響を及ぼすかに対する研究は全くない状態である。
【0054】
本発明は、アマチャヅル葉の焙煎又は蒸熱工程、乾燥工程、抽出工程及び熱処理工程によって有効サポニン含有量が増加する過程で有害物質であるベンゾピレン含有量も増加する傾向を示すことを見つけ、安全性の問題及び有効性を解決しようと努力した結果、アマチャヅル葉を本発明の焙煎又は蒸熱処理、スチーム処理及び熱水抽出工程の方法で抽出する場合、アマチャヅル葉に含まれているタンパク質、炭水化物及び脂質の成分がベンゾピレンに転換される量が少なくなり、Rg3、ジペノシドL、ジペノシドLIなどの低分子有効サポニンの含有量が増加することを確認して本発明を完成することになった。
【0055】
すなわち、本発明者は、アマチャヅル生葉を温度が均一に調節される機器で焙煎又は蒸熱処理して有効生理活性成分の前駆物質の転換率を高め、ベンゾピレン生成量を減少させ、前記乾燥されたアマチャヅル葉をスチーム処理する過程でベンゾピレンを相当量除去した。また、前記スチーム処理されたアマチャヅル葉を本発明の方法で抽出する場合、アマチャヅル葉に含まれているタンパク質、炭水化物及び脂質の成分がベンゾピレンに転換される量が少なくなり、Rg3、ジペノシドL、ジペノシドLIなどの低分子有効サポニンの含有量が増加することを確認して本発明を完成させることになった。
【0056】
まず、(1)段階ではアマチャヅル生葉を加熱処理してから乾燥する。
【0057】
前記加熱処理は、アマチャヅル生葉を90~300℃で5分~120時間焙煎処理するか蒸熱するものであり得る。
【0058】
アマチャヅル葉は有効物質の前駆体が大部分配糖体であるので、原則的に高温を加えればアマチャヅル葉に含有されている糖又は脂質の成分との結合が切れて有効成分の含有量を増加させることができると期待されるが、ベンゾピレンの生成もともに増加させる問題点があった。
【0059】
したがって、前記焙煎又は蒸熱は、90~300℃、好ましくは90~200℃、より好ましくは110~150℃で5分~120時間、好ましくは30分~30時間、より好ましくは1~10時間行うことができる。前記温度範囲で焙煎又は蒸熱処理を行うとき、アマチャヅル葉に含有された有効成分の含有量は著しく増加しながらもベンゾピレンの生成は低減させることができるので有利である。
【0060】
また、前記加熱処理は、ベンゾピレン含有量の低減及び有効物質含有量の増大の面で焙煎処理であることがより好ましく、前記焙煎は特に制限されないが、炭火による焙煎、ガス火による焙煎、電気ヒーターによる焙煎などがあり得る。前記炭火による焙煎は、炭火によって加熱された釜に、ガス火による焙煎は中間程度のガス火で加熱された釜に、電気ヒーターによる焙煎は、回転型電気ヒーターの円筒にアマチャヅル葉を入れて焙煎することができる。前記方法の中で、ベンゾピレンの含有量を低減させながらも有効物質の含有量を増大させるためには、電気ヒーターによる焙煎が最も好ましい。
【0061】
次に、(2)段階では乾燥されたアマチャヅル葉をスチーム処理する。
【0062】
前記スチーム処理は、0.5~10時間、好ましくは30分~90分間処理することができる。前述のようにアマチャヅル葉を抽出する前、前処理としてスチーム処理を行えば、アマチャヅル葉抽出物に含有されたベンゾピレン含有量が著しく低減するので好ましい。
【0063】
また、前記スチーム処理は開放した容器で行うことがベンゾピレン含有量の低減効果の面で好ましい。スチーム処理をオートクレーブのような密閉した容器で行えばベンゾピレン含有量が低減する効果が低くなる問題点がある。
【0064】
一方、前記(1)段階での加熱処理及び乾燥過程なしにスチーム処理のみ行う場合では、ベンゾピレンの含有量は低減するが、有効物質の含有量は大きく増大しない。
【0065】
その後、(3)段階では、前記スチーム処理されたアマチャヅル葉に1~100倍体積の水を添加した後、pH1~7,100~150℃、1~10気圧で5分~120時間熱水抽出して熱水抽出物を製造する。
【0066】
前記熱水抽出物製造の際、pHは1~7まで調節されることができ、好ましくはpH3~5であり得る。pHを前記範囲に調節する場合、有効物質への転換率を増加させることができる。
【0067】
前記pH調節の際に使われる酸は、クエン酸(citric acid)、酪酸(butyric acid)、塩酸(hydrochloric acid)、トリフルオロ酢酸(trifluoroacetic acid)、卜リクロロ酢酸(trichloroacetic acid)、酢酸(acetic acid)、ビタミンC(vitamin C)、リンゴ酸(malic acid)、乳酸(lactic acid)、コハク酸(succinic acid)、アルギン酸(alginate)などがあり、pHを低めることができる酸は使用可能であり、この中で選択された1種以上であり得る。
【0068】
前記熱水抽出物の製造時の加熱温度は、100~150℃、好ましくは110~130℃、最も好ましくは115~125℃であり得る。加熱温度が前記範囲未満の場合には、有効成分の抽出収率が低くなる、もしくは有効成分の前駆物質の有効成分への転換率が低くなるおそれがあり、前記範囲を超える場合には、有効成分が破壊されることがあるから好ましくない。
【0069】
また、前記加熱時間が前記範囲未満の場合には、有効成分の抽出収率が低くなるおそれがある。
【0070】
ついで、(4)段階は、前記アマチャヅル葉を熱水抽出してから残った残渣に1~100倍、好ましくは1~50倍体積のC~Cの低級アルコールを添加した後、50~100℃で5分~120時間アルコール抽出して、アマチャヅル葉熱水抽出物残渣に含まれている水溶性及び脂溶性成分を抽出したアルコール抽出物を製造することである。
【0071】
前記C~Cの低級アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール及びブタノールの中から選択された1種以上であり得る。
【0072】
前記低級アルコールは、5~95体積%、好ましくは40~70体積%のアルコール水溶液であり得る。
【0073】
前記アルコール抽出物の製造時の加熱温度は、50~100℃、好ましくは70~90℃であり得る。加熱温度が前記範囲未満の場合には、有効成分の抽出収率が減少するおそれがあり、前記範囲を超える場合には、溶媒蒸気によって工程上の問題が発生することがあるから好ましくない。
【0074】
また、前記加熱時間が前記範囲未満の場合には、有効成分の抽出収率が低くなるおそれがある。
【0075】
ついで、(5)段階では、前記(3)段階の熱水抽出物及び(4)段階のアルコール抽出物を混合してから濾過及び濃縮する。
【0076】
また、前記アマチャヅル葉抽出物の混合物は通常の濾過方法又は装置を用いて不純物を除去することができ、例えば遠心分離法、もしくはマイクロフィルターを用いて濾過することにより、不純物が除去された抽出物を得られる。
【0077】
前記濾過されたアマチャヅル葉抽出物は濃縮液又は乾燥粉末状態に製造されることもできる。具体的には、前記濾過されたアマチャヅル葉抽出物は10~30brixで濃縮して用いることができる。もしくは、前記のアマチャヅル葉抽出物は、減圧蒸溜、凍結乾燥又は噴霧乾燥などの追加の過程を経た粉末状態に製造されることもできる。
【0078】
前述した方法によれば、ジンセノサイドRg3を0.01~7mg/g、ジペノシドLを1.5~70mg/g、ジペノシドLIを1.5~70mg/g、その他の低分子有効サポニンを含み、ベンゾピレンは10ppb以下(例えば、0.01~10ppbの範囲内)含むアマチャヅル葉抽出物を提供することができる。
【0079】
本発明のアマチャヅル葉抽出物は、ベンゾピレン含有量が少なくて有害性が低くなり、Rg3、ジペノシドL、ジペノシドLIなどの低分子サポニンの含有量が増加して糖尿病又は肥満を予防、改善、もしくは治療する効果に優れ、筋肉細胞の損失などを減少させる効果に優れる。
【0080】
また、本発明のアマチャヅル葉抽出物は、ジンセノサイドRg3を0.01~7mg/g、ジペノシドLを1.5~70mg/g、ジペノシドLIを1.5~70mg/g、その他の低分子有効サポニンを含むものであり得、さらにベンゾピレンを10ppb以下(例えば、0.01~10ppbの範囲内)、特に3ppb以下含むものであり得る。
【0081】
また、本発明のアマチャヅル葉抽出物は、ベンゾピレンを10ppb以下(例えば、0.01~10ppbの範囲内)、特に3ppb以下含むものであり得、さらにジンセノサイドRg3を0.01~7mg/g、ジペノシドLを1.5~70mg/g、ジペノシドLIを1.5~70mg/g、その他の低分子有効サポニンを含むものであり得、前記アマチャヅル葉抽出物は乾燥粉末又は濃縮液形態であり得る。
【0082】
また、本発明は、本発明のアマチャヅル葉抽出物を有効成分として含む組成物を提供する。特に、本発明の組成物は、肥満又は糖尿病、筋損失の予防、改善又は治療の用途に使うことができ、運動能力遂行能力の改善に使うことができる。本発明の組成物は、その使用方法及び目的によって、薬学組成物、食品組成物、健康食品組成物、医薬外品組成物などであり得るが、これに制限されない。
【0083】
具体的に、本発明の薬学組成物は、アマチャヅル葉抽出物を有効成分として含み、薬学的に許容可能な担体をさらに含むことができる。前記薬学的に許容可能な担体は製剤時に通常に用いられるものであり、食塩水、滅菌水、リンゲル液、緩衝食塩水、シクロデキストリン、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エタノール、リポソームなどを含むが、これに限定されず、必要によって抗酸化剤、緩衝液などの他の通常の添加剤をさらに含むことができる。また、希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤、滑剤などを付加的に添加して、水溶液、懸濁液、流体及び製剤化に対しては各成分によって好ましく製剤化することができる。本発明の薬学組成物は、剤形に特別な制限はないが、注射剤、経口投与剤、皮膚外用剤などに製剤化することができる。
【0084】
前記薬学組成物は、目的とする方法によって経口投与するか非経口投与(例えば、静脈内、皮下、腹腔内又は局所に適用)することができ、投与量は患者の状態及び体重、疾病の程度、薬物形態、投与経路及び時間によって違うが、当業者によって適宜選択されることができる。
【0085】
また、前記組成物から選択される投与水準は、化合物の活性、投与経路、治療される病態の重症度及び治療される患者の病態及び以前病歴によるであろう。しかし、所望の治療効果の達成のために要求されるより低い水準の化合物の容量から始め、所望の効果が達成されるまで投与量を徐々に増加させることは当該分野の知識範囲内にあり、好ましい投与量は年齢、性別、体形、体重によって決定されることができる。前記組成物は薬剤学上に許容可能な製薬製剤に製剤化される前に追加に加工されることができ、好ましくはもっと小さな粒子に粉砕又は研磨されることができる。また、前記組成物は病態及び治療される患者によって異なるが、これは非独創的に決定することができる。好ましい効果のために、本発明のアマチャヅル葉抽出物の有効容量は0.001~400mg/kg、好ましくは0.01~100mg/kgであり、一日に1~3回投与されることができる。前記投与量は何れの面でも本発明の範囲を限定するものではない。
【0086】
前記本発明の薬学組成物は本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施することができる方法によって、薬剤学的に許容される担体及び/又は賦形剤を用いて製剤化することによって単位容量形態に製造されるか又は多用量容器内に入れて製造されることができる。ここで、剤形は、分散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアロゾルなどの経口型剤、軟膏、クリームなどの外用剤、坐剤及び滅菌注射溶液などを含めて薬剤学的製剤に適したどの形態にも使うことができ、分散剤又は安定化剤をさらに含むことができる。
【0087】
また、本発明は、アマチャヅル葉抽出物を有効成分として含む肥満又は糖尿病、筋損失の予防又は改善用食品組成物を提供する。本発明の食品組成物は、機能性食品(functional food)、健康機能性食品(health functional food)、栄養補助剤(nutritional supplement)、健康食品(health food)及び食品添加剤(food additives)などの全ての形態を含む。前記類型の食品組成物は当該分野に公知となった通常の方法によって多様な形態に製造することができる。
【0088】
本発明によれば、前記組成物において前記アマチャヅル葉抽出物の含有量は、全体食品組成物の総重量に対して0.001~100重量%含有することができ、好ましくは0.05~50重量%含有することができる。前記アマチャヅル葉抽出物の含有量が前記範囲未満の場合には、アマチャヅル葉抽出物による効果を期待しにくい問題がある。
【0089】
前記食品組成物の具体的な例として、本発明のアマチャヅル葉抽出物をお茶、ジュース又はドリンクなどの形態に製造して飲用するようにするか、顆粒化、カプセル化又は粉末化して健康機能食品の形態で摂取することができる。また、本発明のアマチャヅル葉抽出物を抗肥満効果又は抗糖尿効果、筋損失抑制効果があると知られた公知の物質又は活性成分とともに混合して組成物の形態に製造することができる。例えば、本発明の食品組成物は、アマチャヅル葉抽出物の他に微量のミネラル、ビタミン、糖類及び公知の抗肥満活性又は抗糖尿活性、筋損失抑制効果を有する成分などをさらに含むことができる。
【0090】
また、前記食品組成物の例としては、ドリンク剤、肉類、ソーセージ、パン、ビスケット、餠、チョコレート、キャンディー類、スナック類、ピザ、ラーメン、その他の麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む酪農製品、各種のスープなどがあり、通常の意味の機能性食品を全て含む。
【0091】
また、前記健康機能性食品組成物は、担体、希釈剤、賦形剤、及び添加剤のいずれか1種以上を含めて、錠剤、丸剤、分散剤、顆粒剤、粉末剤、カプセル剤及び液体剤形からなる群から選択された1種に剤形されたことを特徴とする。
【0092】
本発明のアマチャヅル葉抽出物は食品にそのまま添加されるか他の食品又は食品成分とともに使われることができ、通常の方法によって適切に使われることができる。有効成分の混合量はその使用目的(予防又は改善用)によって適宜決定されることができる。一般に、食品中の前記食品組成物の量は全体食品重量の0.001~100重量%、好ましくは0.01~50重量、より好ましくは0.1~30重量%加えることができる。しかし、肥満の予防及び改善を目的とするか又は健康調節を目的とする長期間の摂取の場合には、前記量は前記範囲以下であってもよく、安全性の面で何らの問題がないので、有効成分は前記範囲以上の量でも使われることができる。
【0093】
以下、本発明によるアマチャヅル葉抽出物の実施例を詳細に説明する。
【0094】
予備実験
予備実験1.焙煎方法によるベンゾピレン及び有効物質の含有量の比較
焙煎方法による有効物質の含有量及びベンゾピレン生成量を調査するために、アマチャヅル生葉100gをそれぞれの焙煎方法で2時間焙煎及び乾燥した。
【0095】
まず、自然乾燥の場合、日陰で風が吹く場所でアマチャヅル葉を薄く広げて乾燥し、炭火による焙煎は炭火によって加熱された釜にアマチャヅル葉を入れ、手袋をはめた手で掻き回しながら焙煎した。そして、ガス火による焙煎は中火程度で調節して前記炭火による方法と同様な方法で焙煎を遂行し、電気ヒーターによる焙煎は135℃に調節した回転型の電気ヒーターの円筒内で焙煎を遂行した。前記焙煎処理が完了したアマチャヅル葉の表面が乾燥したことを確認した後、自然乾燥した。
【0096】
その後、121℃で1時間スチーム処理した後、1Lの水を加え、1時間浸漬させた後、121℃、1.2気圧で4時間熱水抽出した後、上澄み液を回収した。その後、残った残渣に50%(v/v)エタノール水溶液1Lを加え、80℃で3時間アルコール抽出した後、上澄み液を回収した。前記熱水抽出物及びアルコール抽出物を混合して濾過した後、固形分含有量が20~25%になるように減圧濃縮し、凍結乾燥してアマチャヅル葉抽出物を製造した。
【0097】
食品医薬品安全庁で勧奨するHPLC分析法でベンゾピレンを分析し、有効成分に対するHPLC分析条件を下記表1に示し、分析した結果を下記表2に示した。
【0098】
【表1】
【0099】
【表2】
【0100】
前記表2に示すように、焙煎過程のないアマチャヅル葉の場合(陰で自然乾燥)にはベンゾピレンの含有量が最も少なかったが、有効成分がほとんど検出されないので好ましくない。よって、抽出過程前に焙煎過程があることが有利であり、特に他の焙煎方法に比べて低いベンゾピレン含有量を現し、有効物質の含有量が増大する電気ヒーターによる焙煎方法が有利であることを確認することができた。一方、前記有効物質の他にダムリンA及びBも少量検出されたことを確認した。
【0101】
予備実験2.焙煎温度によるベンゾピレン及び有効物質の含有量の比較
焙煎温度による有効物質の含有量及びベンゾピレン生成量を調査するために、アマチャヅル生葉100gをそれぞれの温度に調節し、2時間電気ヒーターで焙煎及び乾燥させた後、予備実験1のスチーム処理及び抽出方法で抽出した後、減圧濃縮して凍結乾燥した抽出物でのベンゾピレン及び有効物質の含有量を分析して下記表3に示した。
【0102】
【表3】
【0103】
前記表3に示すように、焙煎温度が上昇するほど有効物質の含有量は増加する傾向を示したが、これに伴い有害物質であるベンゾピレンの含有量も増加した。よって、焙煎処理の際に90~300℃の温度範囲で焙煎することが有利であることを確認した。
【0104】
予備実験3.焙煎及び蒸熱比較
焙煎は一定温度以上でアマチャヅル葉を入れ、開放した容器で炒めて熱処理することであって、蒸熱は焙煎と類似した温度で遂行するが、密閉した容器で熱い蒸気で熱処理することである。前記焙煎と蒸熱による有効物質の含有量及びベンゾピレン生成量を比較するために、焙煎はアマチャヅル生葉100gを135℃の温度に調節し、2時間の間に電気ヒーターで焙煎してから乾燥させ、蒸熱は温度を121℃に調節し、2時間の間に蒸熱及び乾燥させた後、予備実験1のスチーム処理及び抽出方法で抽出した後、ベンゾピレン及び有効物質の含有量を分析して下記表4に示した。
【0105】
【表4】
【0106】
前記表4に示すように、90~300℃温度で熱処理した後にスチーム処理及び抽出した場合、ベンゾピレン含有量は10ppb以下に低減し、有効物質の含有量は著しく増大したことを確認することができた。特に、焙煎の場合、蒸熱に比べて低いベンゾピレン含有量を示すことを確認した。
【0107】
予備実験4.スチーム処理によるベンゾピレン除去
電気ヒーターで焙煎処理されたアマチャヅル葉をスチーム処理した場合と処理しなかった場合にアマチャヅル葉に含まれているベンゾピレン含有量を調査した。電気ヒーターを用いて135℃で2時間焙煎してから乾燥させたアマチャヅル葉100gを121℃で60分間スチーム発生器によってスチーム処理した場合と処理しなかった場合、及び135℃で2時間蒸熱してから乾燥させたアマチャヅル葉100gを前記のような方法でスチーム処理した場合と処理しなかった場合に対し、アマチャヅル葉に残っているベンゾピレンの含有量を調べた。アマチャヅル葉に含有されたベンゾピレン含有量は前記予備実験1と同様な方法で測定し、その測定結果を下記表5に示した。
【0108】
【表5】
【0109】
前記表5に示すように、90~300℃温度で焙煎又は蒸熱で熱処理した場合、以後にスチーム処理したかに関わらず、ベンゾピレン含有量は10ppb以下に低減したことを確認することができた。ただ、前記熱処理以後にスチーム処理を行った場合にはベンゾピレン含有量が減少した。
【0110】
予備実験5.抽出溶媒のpH
抽出時に使われる溶媒pHによる有効物質の含有量及びベンゾピレン生成量を調査するために、アマチャヅル生葉100gを135℃で2時間の間に電気ヒーターで焙煎及び乾燥した後、121℃で1時間スチーム処理したアマチャヅル葉に塩酸及び/又は重炭酸ナトリウムで様々なpHに調整された1Lの水を加え、1時間浸漬させた。その後、121℃、1.2気圧で4時間熱水抽出してから中和して上澄み液を回収した。そして、前記上澄み液を回収して残った残渣に50%(v/v)エタノール1Lを加えてアルコールを抽出した後、収得した上澄み液を前記熱水抽出物と混合して濾過し、固形分含有量が20~25%になるように減圧濃縮し、凍結乾燥してアマチャヅル葉抽出物を製造した。前記アマチャヅル葉抽出物を予備実験1の分析方法と同様な方法で測定し、その結果を分析して下記表6に示した。
【0111】
【表6】
【0112】
前記表6に示すように、pHによってベンゾピレン含有量はほぼ同じに現れたが、ジペノシドLとL1、及びRg3などの有効物質含有量がpH4までは増加するが、それ以上のpHでは減少してpH9では低い含有量を示した。よって、抽出時に使われる溶媒のpHは酸性条件が有利であり、特にpH3~5の溶媒条件で抽出することが有利であることを確認した。
【0113】
実施例
実施例1
(1)電気ヒーターを用いて135℃で2時間焙煎処理してから乾燥させたアマチャヅル葉を121℃で60分間スチーム処理した。前記スチーム処理したアマチャヅル葉100gに1Lの水を加え、1時間浸漬させた後、121℃、1.2気圧で4時間抽出した後、上澄み液を回収して熱水抽出物を製造した。
【0114】
(2)前記アマチャヅル葉を熱水抽出して残った残渣(残余物)100gに50体積%エタノール水溶液1Lを加え、80℃で3時間抽出した後、上澄み液を回収してアルコール抽出物を製造した。
【0115】
(3)前記(1)段階の熱水抽出物、及び(2)段階のアルコール抽出物を1:1の体積比で混合してから濾過し、固形分含有量が20~25重量%になるように減圧濃縮し、凍結乾燥してアマチャヅル葉抽出物を製造した。
【0116】
実施例2
前記実施例1と同様に実施したが、(1)段階での水は塩酸及び重炭酸ナトリウムを用いてpH4に調整した後、前記スチーム処理したアマチャヅル葉に加えてアマチャヅル葉抽出物を製造した。
【0117】
比較例
比較例1
前記実施例1と同様に実施したが、135℃の代わりに350℃で焙煎処理してアマチャヅル葉抽出物を製造した。
【0118】
比較例2
前記実施例1と同様に実施したが、焙煎処理せずにアマチャヅル葉抽出物を製造した。
【0119】
実験例
実験例1.成分分析
下記表7の方法でRg3及びジペノシドL、ジペノシドLIなどの有効成分とベンゾピレンの含有量を測定して表8に表示した。標準品に対しては、Rg3はシグマアルドリッチから、ジペノシドLとジペノシドLIは株式会社エンボから購入して使った。
【0120】
【表7】
【0121】
【表8】
【0122】
前記表8に示すように、本発明の実施例によるアマチャヅル葉抽出物の場合、比較例1に比べてベンゾピレンの含有量が著しく低減した。また、ダムリンA及びダムリンBも少量検出された。
【0123】
実験例2.MTTを用いた細胞生存能力測定
前記実施例又は比較例で得られたアマチャヅル葉抽出物が脂肪細胞の生存に毒性を示すかを確認するために、MTT(3-(4,5-dimethylthiazol-2-yl)-2,5-diphenyl tetrazolium bromide)アッセイを用いて実験を遂行した。これは、脱水所酵素作用によって黄色の水溶性基質であるMTTテトラゾリウム(tetrazolium)を青紫色の非水溶性MTTホルマザン(formazan)に還元させるミトコンドリアの能力を用いた試験法である。
【0124】
まず、24wellプレートに3T3-L1脂肪前駆細胞を5×10cell/mLの密度で分株し、5%CO、37℃条件で培養した。24時間後、実施例又は比較例で得られたアマチャヅル葉抽出物を濃度別に添加し、さらに24時間に培養した。そして、2mg/mL MTT溶液を処理して、4時間反応させた後、培地を除去し、DMSOで溶解した後、ELISA reader器を用いて570nmで吸光度を測定した。細胞生存率を下記の数学式1で計算し、その結果を図5に示した。
細胞生存率(%)=(試料処理群の吸光度/対照群の吸光度)×100・・・(1)
【0125】
図5に示すように、3T3-L1脂肪前駆細胞に本発明のアマチャヅル葉抽出物を濃度別に処理した後、細胞生存能力を測定した結果、対照群と比較したとき、100μg/mL濃度までは毒性がないことが確認された。
【0126】
実験例3.脂肪細胞への分化抑制確認
実験例3.1.脂肪細胞分化
脂肪前駆細胞と脂肪細胞の増殖抑制能を確認するために、3T3-L1脂肪前駆細胞をアメリカ培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection(ATCC、Manassas、VA、USA))から分譲されて使った。3T3-L1脂肪前駆細胞は脂肪細胞の代謝過程の研究に広く用いられる細胞株であり、前記細胞の分化が活発になるほど脂肪細胞内の脂肪蓄積も活発になる。アメリカ培養細胞系統保存機関(ATCC)から受けた細胞株は、10%小牛血清(BCS、Gibco、GrandIsland、NY、USA)と1%ペニシリン-ストレプトマイシン(P/S、Gibco、GrandIsland、NY、USA)が含有されたダルベッコ変法イーグル培地(Dulbecco’s medified Eagle’s medium、DMEM)(Lonza、Allendale、NJ、USA)であり、5%CO、37℃に維持される条件で培養した。
【0127】
安定化した3T3-L1脂肪前駆細胞は24wellプレートに1×10cells/mlの密度で分株して培養し、100%融合時点になれば、2日間さらに維持させた。そして、0.5mM IBMX(3-isobutyl-1-methylzanthine、Sigma、St.Louis、Mo、USA)1μM Dexamethasone(Sigma、St.Louis、MO、USA)、10μg/ml Insulin(Gibco、Grand Island、NY、USA)を含む10%ウシ胎仔血清(Fetal Bovine Serum、FBS)(Gibco、Grand Island、NY、USA)DEME培地で2日間脂肪細胞分化を誘導し、培養2日後、10μg/mlインシュリンを含む10%FBS DMEM培地で2日間さらに培養した。その後、4日間にわたって2日ごとに10%FBS DMEM培地を入れ替えながら培養した。
【0128】
脂肪細胞分化過程中にアマチャヅル葉抽出物を各培養液にそれぞれ4、20、100μl/mlの濃度で処理し、分化が完成される時点である10日目に脂肪細胞分化程度を観察した。
【0129】
実験例3.2.Oil red O染色
実施例及び比較例で得られたアマチャヅル葉抽出物の3T3-L1脂肪前駆細胞の脂肪細胞分化及び脂肪生成抑制を確認するために、中性脂肪を特異的に染色させるOil Red O染色を進行した。
【0130】
具体的に、前記実験例3.1.で脂肪細胞分化を誘導した細胞から培地を除去し、リン酸緩衝生理食塩水(Phosphate Buffered Saline、PBS)で2回洗浄した後、4%ホルムアルデヒドで30分間常温で固定した。固定後、60%イソプロパノールで洗浄し、0.2%Oil Red O染色薬(60%イソプロパノールに溶解)で1時間常温下で染色した。
【0131】
染色後、蒸留水で洗浄した後、光学顕微鏡で観察した。また、染色した細胞はイソプロパノールで溶解した後、ELIZA reader器を用いて570nmで吸光度を測定した。
【0132】
脂肪細胞での脂肪蓄積率を下記の数学式2で計算し、その結果を図6に示した。
脂肪蓄積率(%)=(試料処理群の吸光度/対照群の吸光度)×100・・・(2)
【0133】
図6は本発明の実施例及び比較例によるアマチャヅル葉抽出物を処理した3T3-L1脂肪前駆細胞での脂肪の蓄積率を示すグラフである。図6に示したように、実施例1及び実施例2のアマチャヅル葉抽出物は100μg/ml濃度でMDI中性脂肪の蓄積率がそれぞれ45%、52%で現れ、統計学的に有意な差を示した。また、実施例のアマチャヅル葉抽出物を処理した場合が比較例に比べて脂肪の蓄積率がさらに減少することを確認することができた。
【0134】
したがって、本発明のアマチャヅル葉抽出物は、産業(製品)化しやすくするために、高収率だけでなく脂肪前駆細胞の脂肪細胞の分化及び中性脂肪の生成を効率的に抑制して肥満の予防又は治療の効果を示すことが分かった。
【0135】
実験例4.AMPKリン酸化増加効果
ACCは肝臓と筋肉組職で脂質代謝を調節する重要な酵素である。この酵素はアセチル-CoA(acetyl-CoA)をカルボキシル化させてマロニル-CoA(malonyl-CoA)を生成するようにする。マロニル-CoAはミトコンドリア内で脂肪酸のベータ酸化を調節する最も重要な因子であり、マロニル-CoAの濃度が増加すればミトコンドリア膜のCPT-1(carnitine palmitoyl-CoA transferase)の活性が低下して脂肪酸のベータ酸化が抑制され、反対にマロニル-CoA濃度が減少すればベータ酸化は増加して体脂肪減少が促進される。ACCはAMPK活性の下位ターゲットタンパク質であり、AMPKの活性化はACCをリン酸化してACC酵素の不活性化を促進してマロニル-CoAの濃度が減少し、その結果、ミトコンドリア膜のCPT-1の活性が上昇するので、脂肪酸のベータ酸化が増加するようになる。
【0136】
これに関連して、実施例及び比較例によるアマチャヅル葉抽出物のAMPKリン酸化増加効果を調査した。前記アマチャヅル葉抽出物のそれぞれを分化したL6筋肉細胞(L6 myotube cells)に2時間ずつ処理した後、AMPKαサブユニットのスレオニン-172残基及びACC酵素タンパク質の79番目セリン(Serine)残基に対するリン酸化増加程度をHwangら(Hwangら, Biochem. Biophys. Res. Commun. 371, 289-293, 2008)の方法によってウェスタンブロット分析で確認した。その結果、前記アマチャヅル葉抽出物を処理することにより、L6筋肉細胞内のAMPK及びACCのリン酸化が対照群に比べてそれぞれ増加することを確認した(図7参照)。
【0137】
実験例5.AMPK活性化効果
本発明によるアマチャヅル葉抽出物のAMPK活性化効能を3T3-L1細胞を用いて測定した。
【0138】
まず、3T3-L1細胞を6wellプレートに接種し、10%BSCを含むDMEM培地を使用して培養した後、分化を誘導するために1%FBSを含むDMEM培地に入れ替えて培養した。
【0139】
SDS sample bufferで収穫した後、超音波処理によってタンパク質溶解物(protein lysate)を得た。そして、10%SDS-PAGE電気泳動を実施し、セミドライ式転写(semi-dry transfer)機器を用いてPVDF転写膜(transfer membrane)にタンパク質を転写した。前記転写されたタンパク質を5%脱脂乳(skim milk)で1時間常温で遮断(blocking)した後、total AMPKとphospho-AMPK(Thr172)抗体を用いて4℃で一日晩中インキュベーションした。0.1%tween-20が添加されたTBS bufferで3回洗浄した後、anti-mouse HRP secondary antibodyを用いてimmunoblotを遂行した。エネルギー代謝過程でAMPK活性の増加はACCs(acetyl-CoA carboxylase1及び2)のリン酸化を増加させることが知られている。
【0140】
実施例によるアマチャヅル葉抽出物を処理した3T3-L1細胞でのAMPK活性化作用を図8に示した。図8に示したように、実施例のアマチャヅル葉抽出物を処理した細胞で強いAMPK活性を示した。
【0141】
実験例6.ベータ酸化促進による脂肪減少効果
培養されたL6筋肉細胞に実施例及び比較例によるアマチャヅル葉抽出物をHwangらの方法(Hwangら, Biochem. Biophys. Res. Commun. 377, 1253-1258)で処理して脂肪酸のベータ酸化増進効果を調査した。
【0142】
その結果、本発明によるアマチャヅル葉抽出物の処理時にベータ酸化が増加することを観察し、その結果を図9に示す。
【0143】
実験例7.ブドウ糖吸収促進効果
実施例及び比較例によるアマチャヅル葉抽出物をL6筋肉細胞に処理して細胞内ブドウ糖吸収能力に対する影響を調査した。培養されたL6筋肉細胞をHwangらの方法(Hwangら, Biochem. Biophys. Res. Commun. 377, 1253-1258)で高濃度のブドウ糖とともに、細胞内では分解しない放射線同位元素である2-DG(2-deoxy-[3H]D-glucose)を添加した後、アマチャヅル葉抽出物の添加による細胞内2-DG吸収促進程度を調査した。
【0144】
その結果、本発明によるアマチャヅル葉抽出物を処理した細胞では糖吸収能力が増加した(図10)。その結果として、本発明によるアマチャヅル葉抽出物は血糖低下による抗糖尿効果に優れることを確認した。
【0145】
実験例8.筋肉生成活性及び筋肉分解抑制効果
mTORタンパク質は、リン酸化したとき、筋細胞内のPI3K/Akt信号伝達経路で筋タンパク質合成及び筋肉量増加に関与するタンパク質の活性化を誘導することができることが知られている。よって、アマチャヅル葉抽出物の筋肉生成誘導活性を確認するために、培養されたL6筋肉細胞に実施例及び比較例によるアマチャヅル葉抽出物をHwangらの方法(Hwangら, Biochem. Biophys. Res. Commun. 377, 1253-1258)で処理し、分化が完了する時点である8日目にimage Jプログラムを用いて筋肉細胞分化程度を測定した。
【0146】
その結果、図11に示したように、アマチャヅル葉抽出物処理によってL6筋肉細胞分化が対照群と比較して有意に増加したことを確認することができる。筋肉分化の誘導後、タンパク質を抽出してmTORとMURF-1の発現水準を測定し、その結果を図12及び図13に示す。
【0147】
その結果、図12に示すように、実施例のアマチャヅル葉抽出物の処理によってL6筋肉細胞でmTORの活性が有意に(**P<0.01)増加したことを確認することができる。また、図13に示したように、実施例のアマチャヅル葉抽出物の処理によって、L6筋肉細胞でMURF-1の活性は有意に(**P<0.01)減少したことを確認することができる。したがって、本発明のアマチャヅル葉抽出物が筋肉細胞内で筋肉生成を増加させ、筋肉分解を抑制させる能力に優れることを意味する。
【0148】
実験例9.運動遂行能力向上効果
前記体重30gのICR系の雄マウス(コアテク、韓国)を分譲され、22~24℃の温度条件及び40~60%の湿度条件で明暗周期を12時間(light/dark cycle)にして1週間適応させた後、実験群をそれぞれ8匹ずつで構成して次のように分類した。実験群1(運動対照群、以下、NCで表示)、実験群2(実施例2)、実験群3(比較例2)に設定し、試験物質は1回/1日で合計4週間投与した。実験動物を実験開始16時間前から安定した状態で条件を維持した後、アクリルプラスチック水槽(70cm、70cm、60cm)内に水を約70%程度入れ、水槽内で遊泳するようにした。遊泳時間は実験動物が力尽きてそれ以上動けない状態を終了点に設定し、開始時間から終了時間までの時間を遊泳時間として測定した。その結果、図14に示すように、運動遂行能力を測定するために力尽きたときまでの遊泳時間を測定した。実験の結果、同じ濃度条件での対照群に比べ、実施例2の摂取が運動遂行能力を増進させることを確認し、特に比較例と比較したとき、遊泳時間が長くて運動遂行能力が優れることを確認することができた。
【0149】
製剤例
製剤例1.錠剤の製造
実施例1又は2のアマチャヅル葉抽出物8mg、ビタミンE9mg、ビタミンC9mg、ガラクトオリゴ糖200mg、乳糖60mg及び麦芽糖140mgを混合し、流動層乾燥器を用いて顆粒化した後、糖エステル(sugar ester)6mgを添加した。これらの組成物500mgを通常の方法で打錠して錠剤を製造した。
【0150】
製剤例2.軟質カプセル
通常の軟質カプセル剤の製造方法によって実施例1又は2のアマチャヅル葉抽出物8mg、ビタミンC9mg、パーム油2mg、植物性硬化油8mg、黄鉛4mg及びレシチン9mgを混合し、ゼラチンカプセルに充填して軟質カプセル剤を製造した。
【0151】
製剤例3.ドリンク剤の製造
実施例1又は2のアマチャヅル葉抽出物8mg、ビタミンE9mg、ビタミンC9mg、ブドウ糖10g、クエン酸0.6g、液状オリゴ糖25gを混合した後、精製水300mlを加え、各瓶に200mlずつ充填後、130℃で4~5秒間殺菌してドリンク剤を製造した。
【0152】
製剤例4.顆粒剤
実施例1又は2のアマチャヅル葉抽出物8mg、ビタミンE9mg、ビタミンC9mg、無水結晶ブドウ糖250mg及び澱粉550mgを混合し、流動層料粒器を使って顆粒に成形した後、布に充填して顆粒剤を製造した。
【0153】
製剤例5.注射剤
下記表9に記載した組成によって通常の方法で注射剤を製造した。
【0154】
【表9】
【0155】
製剤例6.健康飲料の製造
下記表10に記載した組成によって通常の方法で健康飲料を製造した。
【0156】
【表10】
【0157】
通常の健康飲料製造方法によって前記の成分を混合した後、約1時間85℃で撹拌加熱した後、溶液を濾過して滅菌する。
【0158】
製剤例7.健康食品の製造
下記表11に記載した組成によって通常の方法で健康機能食品を製造した。
【0159】
【表11】
【0160】
前記のビタミン及びミネラル混合物の組成比は比較的健康機能食品に適した成分を好適な実施例として混合して組成したが、その配合比を任意に変更して実施してもよい。
【0161】
以上の説明から、本発明が属する技術分野の通常の技術者は本発明がその技術的思想又は必須特徴を変更しなくても他の具体的な形態にて実施可能であることが理解可能であろう。これに関連して、以上で記述した実施例は全ての面で例示的なものであり、限定的なものではないことを理解しなければならない。本発明の範囲は前記詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその等価概念から導き出される全ての変更又は変形の形態が本発明の範囲に含まれるものに解釈されなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14