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特許7010508物体搬送用のウォータジェットエジェクタ
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  • 特許-物体搬送用のウォータジェットエジェクタ 図1
  • 特許-物体搬送用のウォータジェットエジェクタ 図2
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  • 特許-物体搬送用のウォータジェットエジェクタ 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】物体搬送用のウォータジェットエジェクタ
(51)【国際特許分類】
   F04F 5/46 20060101AFI20220119BHJP
【FI】
F04F5/46 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019572789
(86)(22)【出願日】2018-05-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-08
(86)【国際出願番号】 KR2018005886
(87)【国際公開番号】W WO2019017580
(87)【国際公開日】2019-01-24
【審査請求日】2020-11-24
(31)【優先権主張番号】10-2017-0090472
(32)【優先日】2017-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519464843
【氏名又は名称】ジャン,ヒ ス
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ヒ ス
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-240199(JP,A)
【文献】特開平02-106519(JP,A)
【文献】特開2002-356224(JP,A)
【文献】中国実用新案第203176014(CN,U)
【文献】実開昭61-183500(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04F 5/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の側に吸込み圧力を生じさせる吸込み部と、前記吸込み部において吸い込まれた任意の対象体を他方の側に吐き出す吐出し部とが連通されるように設けられ、前記吸込み部と吐出し部が設けられた胴体の任意の位置においてポンプを駆動することで、外部から任意の流入水を供給される加圧部が配設されたウォータジェットエジェクタ胴体を配設し、
前記ウォータジェットエジェクタ胴体には、
前記吸込み部が配設された一方の側から吐出し部が設けられた他方の側に向かって次第に直径が縮小する第1のベンチュリ部が配設され、
これに後続して、前記加圧部から供給される流入水が吐出し口に向かって吐き出されるように前記加圧部と連通される複数の加圧孔が前記ウォータジェットエジェクタ胴体の内周面に沿ってそれぞれ配設され、
前記吐出し口に後続して直径が縮小する形状の第2のベンチュリ部が配設され、
前記第2のベンチュリ部に後続して直径が拡大する拡径部が配設され
前記第1のベンチュリ部は、直径が連続的に縮小する一定長のテーパ部と、該テーパ部の先端に後続し、該先端の直径と同一の直径を有する一定長の直管部と、を含んで構成されている物体搬送用のウォータジェットエジェクタ。
【請求項2】
前記加圧孔は、
前記第1のベンチュリ部の先端に設けられ、
前記加圧孔は、前記ウォータジェットエジェクタ胴体の断面からみて、任意の回転角度をもって配設される請求項1に記載の物体搬送用のウォータジェットエジェクタ。
【請求項3】
前記第1のベンチュリ部と前記加圧部を介して圧力を生じさせる加圧孔とが、一体の単一の胴体に含まれるように配設される請求項2に記載の物体搬送用のウォータジェットエジェクタ。
【請求項4】
前記ウォータジェットエジェクタ胴体は、
前記第1のベンチュリ部、加圧孔、第2のベンチュリ部及び拡径部を含んで構成される内胴体部と、前記内胴体部の全体を包み込む外胴体部と、を含んで構成される請求項1又は請求項3に記載の物体搬送用のウォータジェットエジェクタ。
【請求項5】
前記第2のベンチュリ部と拡径部とが、一体の単一の胴体になるように配設される請求項1に記載の物体搬送用のウォータジェットエジェクタ。
【請求項6】
前記加圧孔は、
異なる角度を有するように配設される請求項2又は請求項3に記載の物体搬送用のウォータジェットエジェクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体搬送用のウォータジェットエジェクタに係り、さらに詳しくは、搬送物体に物理的なダメージを与えることなく、高圧のウォータ圧力で様々な対象体の吸込み・吐出しを行うことのできる物体搬送用のウォータジェットエジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、水圧や空圧などを用いて吸込み・吐出しを行う物理的な機構には、ポンプを介した圧力を与えられてその機能を行う真空引き装置に相当するエジェクタ(ejector)が多用されている。
【0003】
真空引きを行う装置としてのエジェクタは、ノズルと、ディヒューザと呼ばれる基本パーツと、から構成されたものであって、ノズルから噴射される高速の空気がディヒューザに向かって排出されるようにするにあたって、ノズルとディヒューザとの間の隙間にはベルヌーイの定理で述べられた負圧が生じ、これが真空となる。この負圧により周りの空気が吸い込まれ、ディヒューザを一緒に通過しつつ排出されるようになっている。
【0004】
エジェクタは、可動の部分がないことから、故障要素が全くなく、構造が簡単であり、運転及びメンテナンスを行い易く、運転性能が一定している他、寿命が長く、しかも、運転及びメンテナンスにかかる費用が安価であるというメリットがある。
【0005】
既存のエジェクタは、一般に、吸引室が設けられ、この吸引室で生じる真空を用いてディヒューザに吐き出すような構造になっていた。
【0006】
しかしながら、このようなエジェクタの一般的な構造は、吸引室の構造的な特性からみて、様々な対象体を搬送するのに限界が生じていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述したような問題を解消するための本発明は、既存のポンプ構造に伴う、インペラなど構造装置により搬送される物体に大きなダメージを被らせる問題を解消するために、ウォータ圧力により様々な対象体の吸込み・吐出しを行うことのできるウォータジェットエジェクタを提供するところにその目的がある。
【0008】
また、本発明は、吸込み・吐出しの全体の区間において干渉が生じることなく、比較的拡張された貫通構造のウォータジェットエジェクタを配設して、様々な対象体を高圧によってダメージを与えることなく搬送するための構造を提供するところにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述したような目的を達成するための本発明は、一方の側に吸込み圧力を生じさせる吸込み部と、前記吸込み部において吸い込まれた任意の対象体を他方の側に吐き出す吐出し部とが連通されるように設けられ、前記吸込み部と吐出し部が設けられた胴体の任意の位置においてポンプを駆動することで、外部から任意の流入水を供給される加圧部が配設されたウォータジェットエジェクタ胴体を配設し、前記ウォータジェットエジェクタ胴体には、前記吸込み部が配設された一方の側から吐出し部が設けられた他方の側に向かって次第に直径が縮小する第1のベンチュリ部が配設され、これに後続して、前記加圧部から供給される流入水が吐出し口に向かって吐き出されるように前記加圧部と連通される複数の加圧孔が前記ウォータジェットエジェクタ胴体の内周面に沿ってそれぞれ配設され、前記吐出し口に後続して直径が縮小する形状の第2のベンチュリ部が配設され、前記第2のベンチュリ部に後続して直径が拡大する拡径部が配設される。
【0010】
また、前記加圧孔は、前記第1のベンチュリ部の先端に設けられ、前記加圧孔は、前記ウォータジェットエジェクタ胴体の断面からみて、任意の回転角度をもって配設される。
【0011】
さらに、前記第1のベンチュリ部と前記加圧部を介して圧力を生じさせる加圧孔とは、一体の単一の胴体になるように配設される。
【0012】
さらにまた、前記ウォータジェットエジェクタ胴体は、前記第1のベンチュリ部、加圧孔、第2のベンチュリ部、拡径部から構成する内胴体部と、前記内胴体部の全体を包み込む外胴体部と、から構成される。
【0013】
さらにまた、前記第2のベンチュリ部と拡径部とは、一体の単一の胴体になるように配設されることを特徴とする。
【0014】
これらに加えて、前記加圧孔は、異なる角度を有するように配設されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
上記のように構成されて作用する本発明は、ポンプの圧力により供給される任意の水量により流入口側に高圧の吸込み圧力を生じさせて吐出し口に向かって吐き出し得るウォータジェットエジェクタを提供することにより、インペラなどの物理的な装置なしにも吸込み圧力を生じさせて魚類の搬送や特定の対象体の搬送に際して対象体にダメージを与えることなく高圧にて且つ速やかに搬送することができて、産業上非常に効率的であるというメリットがある。
【0016】
特に、本発明に係るウォータジェットエジェクタは、圧力を生じさせるための物理的なデバイス(device)を用いないことから、漁船で捕獲した魚類を陸上に運ぶ過程で、高圧の吸込み力を生じさせて魚類を速やかに搬送することができ、このとき、魚類の表面にダメージを与えないことから、商品の値打ちをそのまま保存することができるというメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る物体搬送用のウォータジェットエジェクタの断面図。
図2】本発明に係る物体搬送用のウォータジェットエジェクタにおける加圧部を示す側面図。
図3】本発明に係る物体搬送用のウォータジェットエジェクタにおける加圧部を示す正面図。
図4】本発明に係る物体搬送用のウォータジェットエジェクタの実物を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面に基づいて、本発明に係る物体搬送用のウォータジェットエジェクタについて詳しく説明する。
【0019】
本発明に係る物体搬送用のウォータジェットエジェクタは、一方の側に吸込み圧力を生じさせる吸込み部と、前記吸込み部において吸い込まれた任意の対象体を他方の側に吐き出す吐出し部とが連通されるように設けられ、前記吸込み部と吐出し部が設けられた胴体の任意の位置においてポンプを駆動することで、外部から任意の流入水を供給される加圧部が配設されたウォータジェットエジェクタ胴体を配設し、前記ウォータジェットエジェクタ胴体には、前記吸込み部が配設された一方の側から吐出し部が設けられた他方の側に向かって次第に直径が縮小する第1のベンチュリ部が配設され、これに後続して、前記加圧部から供給される流入水が吐出し口に向かって吐き出されるように前記加圧部と連通される複数の加圧孔が前記ウォータジェットエジェクタ胴体の内周面に沿ってそれぞれ配設され、前記吐出し口に後続して直径が縮小する形状の第2のベンチュリ部が配設され、前記第2のベンチュリ部に後続して直径が拡大する拡径部が配設される。
【0020】
本発明に係る物体搬送用のウォータジェットエジェクタは、複合的なベンチュリ原理とともに、回転角を有する多数の加圧孔を用いて吸込み部に高い圧力を生じさせ、吐出し部に吐き出し得るウォータジェット方式のエジェクタを提供するところにその目的がある。
【0021】
図1は、本発明に係る物体搬送用のウォータジェットエジェクタの断面図である。同図に示すように、本発明のウォータジェットエジェクタは、中空な円筒を有するウォータジェットエジェクタ胴体の両端にそれぞれ吸込み部200と吐出し部300が設けられ、前記ウォータジェットエジェクタ胴体の中央の一方の側に吸込み圧力を生じさせるための加圧部400が胴体の中央の一方の側に設けられる。
【0022】
まず、前記ウォータジェットエジェクタ胴体100は、その材質が金属であり、好ましくは、使用用途に応じて種々の材質から形成することができるが、機械的な強さと耐食性を考慮して、ステンレス鋼の材質から構成することが好ましい。
【0023】
前記ウォータジェットエジェクタ胴体の内側には第1の胴体101と第2の胴体102が配設されるが、前記第1の胴体は外形をなすカバー体の役割を担い、前記第2の胴体102は、ウォータジェットの機能を実現するための物理的な構造を有するための胴体に相当する。
【0024】
上述したように、前記第1の胴体101は、カバー体の役割を担うものであり、物理的な機能を生じさせる第2の胴体102の構造について詳しく説明する。
【0025】
前記第2の胴体102には、好ましくは、加工性を確保すべく、高強度の合成樹脂材を適用する。図1の断面構造を用いて詳しく述べると、吸込み部200において吸い込まれた対象体は、第2の胴体101の一つを構成する第1のベンチュリ部110を通過する。前記第1のベンチュリ部は、その直径が前に進むにつれて次第に縮小するような構造を有するものであって、これは、圧力を低くして高い流速を持たせる。
【0026】
このとき、前記第1のベンチュリ部110は、直径が連続して縮小する一定の長さを有し、その前方には再び前記第1のベンチュリ部110の最後の直径と同じ直径を有する構造が一定の長さだけ連続して設けられている。
【0027】
ここで、前記第1のベンチュリ部110を構成する第2の胴体102は、加圧孔120を構成するものと一体の単一の胴体になるように配設される。これについては、図2に基づいて述べる。図2は、本発明に係る物体搬送用のウォータジェットエジェクタにおける加圧部を示す側面図である。同図に示すように、第1のベンチュリ部と加圧孔120とは、一体の単一の胴体になるように配設されるような構造を有する。すなわち、別々の合成樹脂を図2に示すように形状化させて加工した後に組み立てるのである。
【0028】
前記加圧孔120は、加圧部400を介して供給される圧力により流速をさらに増やして吸込み部の吸込み圧力を高出力に向上させる。前記加圧部400は、外部のポンプ(図示せず)と連結されてポンプの圧力を伝達されるが、このとき、供給水を同時に供給しながら圧力を増幅させるような構造を有する。前記加圧孔120は、胴体の前方の外周面に沿って一定の間隔をあけて連続して配設され、外側に設けられた空間部は加圧部400と連通されるように配設されている。
【0029】
また、前記加圧孔120は、異なる角度を有するように配設され、真空ゲージでの測定の際に0.1Mpaと測定される(98%の絶対真空を基準としたとき)。したがって、前記加圧孔を介して加圧される圧力により吸込みエジェクタの高い吸込み力を生じさせることができ、これにより、多種多様な分野に適用される。
【0030】
図3は、本発明に係る物体搬送用のウォータジェットエジェクタにおける加圧部を示す正面図である。図3に示す所定の傾斜角をもって設けられるが、つまり、加圧部を介して供給される加圧水がその傾斜角を用いてまるでつむじ風(竜巻)の構造に回転圧力を生じさせる結果、吸込み圧力をさらに増幅させるのである。
【0031】
このように、第1のベンチュリ部と加圧孔とは、一体の単一の胴体になるように配設されているので、ベンチュリ原理による増幅と加圧孔を用いた2次的な増幅によりウォータジェットエジェクタの圧力を大幅に増幅させる機能を有することになる。
【0032】
前記加圧孔120において加圧して2次的に増幅された圧力は、再び第2のベンチュリ部130を通過することになる。前記第2のベンチュリ部も同様に、直径が縮小するような構造に一定の長さが設けられており、前記第2のベンチュリ部により3次的に圧力を増幅させる。
【0033】
本発明では、好ましくは、2つのベンチュリ部110、130と加圧孔を介してウォータジェットエジェクタの圧力を大幅に増幅させ、これにより吸い込まれた対象体は、拡径部140を通過して最終的に吐出し部300を通り過ぎることになる。本発明に係るウォータジェットエジェクタは、加圧部の加圧水の供給と複数のベンチュリ部を通して高圧の吸込み圧力を生じさせ、これをもって、吸込み部において吸い込まれる対象体を吐出し部を介して速やかに吐き出すことができるので、別途の物理的な機構が適用されなくても、胴体の貫通構造を用いて高圧に吐き出すことができるので、水産の分野や海上の分野など様々な分野に機能的に適用することができるというメリットがある。
【0034】
図4は、本発明に係る物体搬送用のウォータジェットエジェクタの全体の概念図である。加圧部が高出力のポンプや油圧ポンプなど前記ウォータジェットエジェクタの容量に合う適正な出力条件を満たすポンプを用いて高圧の水を供給することにより生じる吸込み圧力を用いて、吸込み部において吸い込み、吐出し部に速やかに出力するウォータジェットエジェクタを提供することができる。
【0035】
このような構成を有する本発明は、ベンチュリ原理と加圧部の加圧構造に伴う圧力の発生を通して高圧にて吸込み/排出の原理を有するエジェクタを提供することにより、物理的な機構を用いることなく吸込みと排出を行うことができ、搬送対象体のき損なしに搬送することができるというメリットがある。
【0036】
特に、本発明に係るウォータジェットエジェクタは、船舶で捕獲した魚類を陸上に搬送するとき、各種の魚類にダメージを与えることなく高速にて搬送することができて、商品の値打ちを保存することができるというメリットがある。これにより、海で多量の魚類を網で捕獲したとき、数百人の要員が投入される搬送作業を行うにあたって、生産性と人件費を格段に減らして作業の大きな効果を奏することができる。
【0037】
また、活魚の搬送だけではなく、真空蒸発、真空濃縮、お墓の前に墓石を建てる作業、スラリーの搬送など種々の分野において使用可能であるというメリットがある。
【0038】
以上、本発明の原理を例示するための好適な実施の形態について説明し且つ図示したが、本発明は、そのような図示され且つ説明されたそのままの構成及び作用に限定されるものではない。むしろ、添付の特許請求の範囲の思想及び範ちゅうを逸脱することなく、本発明が対する随意変更及び修正を加えることが可能であるということが当業者にとってよく理解できるはずである。よって、そのようなあらゆる適切な変更及び修正と均等物もまた、本発明の範囲に属するものとみなされるべきである。
【符号の説明】
【0039】
100 ウォータジェットエジェクタ胴体
101 第1の胴体
102 第2の胴体
110 第1のベンチュリ部
120 加圧孔
130 第2のベンチュリ部
140 拡径部
200 吸込み部
300 吐出し部
400 加圧部
図1
図2
図3
図4