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特許7010509新規配合スポーツ飲料およびその調製のための顆粒剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】新規配合スポーツ飲料およびその調製のための顆粒剤
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/52 20060101AFI20220119BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20220119BHJP
   A23L 2/39 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
A23L2/00 F
A23L2/52
A23L5/00 K
A23L2/00 R
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020004598
(22)【出願日】2020-01-15
(65)【公開番号】P2021108632
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2021-06-15
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和元年度、スポーツ庁、「ハイパフォーマンスセンターの基盤整備」委託事業、独立行政法人日本スポーツ振興センター、「ハイパフォーマンスセンターの基盤整備(スポーツ技術・開発事業)」委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515242928
【氏名又は名称】一般社団法人 UNICAL
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】杉田 正明
(72)【発明者】
【氏名】西村 雅彦
【審査官】村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-042666(JP,A)
【文献】特開2007-314560(JP,A)
【文献】特開昭64-060360(JP,A)
【文献】特開2002-087815(JP,A)
【文献】特開2001-258526(JP,A)
【文献】特開2018-078870(JP,A)
【文献】特表2008-539729(JP,A)
【文献】特表2009-505644(JP,A)
【文献】特開2015-043767(JP,A)
【文献】特表2006-509797(JP,A)
【文献】特開2018-080175(JP,A)
【文献】特表2016-536010(JP,A)
【文献】株式会社アリスト、クエン酸 アミノ酸 40種類もの栄養素を配合した健康飲料[online]、2019年03月30日(retrieved on 2021.11.09), retrieved from the Internet Archive<URL:The Wayback Machine - https://web.archive.org/web/20190330091335/http://www.arist.co.jp/product/pr-medalist.htm>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 5/00
A23L 33/16
A23L 2/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルシウム:マグネシウムを約3:1~約50:1の比で含み、ビタミンDおよびパラチノースを含み、かつ約400~800mg/Lのカルシウムを含む、食品であって、
前記食品がスポーツ飲料である、食品。
【請求項2】
約10μg/L~60μg/LのビタミンDおよび約15~60g/Lのパラチノースを含む、請求項1に記載の食品。
【請求項3】
カルシウム:マグネシウムを約3:1~約50:1の比で含み、約5μg/L~100μg/LのビタミンDおよび約5~150g/Lのパラチノースを含み、かつ約150~2000mg/Lのカルシウムを含む、食品であって、
前記食品がスポーツ飲料である、食品。
【請求項4】
前記カルシウム:マグネシウムの比が、約4:1~約30:1である、請求項1~3のいずれか一項に記載の食品。
【請求項5】
約10μg/L~60μg/LのビタミンDおよび約15~60g/Lのパラチノースを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の食品。
【請求項6】
含まれる塩素が、重量で1%未満である、請求項1~のいずれか一項に記載の食品。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の食品を調製するための、カルシウム:マグネシウムを約3:1~約50:1の比で含み、ビタミンDおよびパラチノースを含む、組成物。
【請求項8】
乾燥組成物である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記カルシウムが、一次粒子の凝集により形成された二次粒子の形態である、請求項7または8に記載の組成物。
【請求項10】
前記二次粒子が、前記一次粒子および結合剤を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記結合剤が、シクロデキストリンである、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記カルシウムが、クエン酸カルシウムの形態である、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物または食品。
【請求項13】
疲労低減のための、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物または食品。
【請求項14】
痙攣低減のための、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物または食品。
【請求項15】
骨折予防のための、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物または食品。
【請求項16】
請求項7~15のいずれか一項に記載の組成物を水と混合するステップ
を含む、スポーツ飲料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カルシウムを含む食品およびその調製に関する。より特定すると、本開示は、カルシウムを含む飲料、カルシウムを含む飲料を調製するための組成物およびその調製の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カルシウムは乳製品をはじめ、海藻や小魚、ゴマなどに含まれており、人はこれらの食物からカルシウムを摂取する。カルシウムは骨強度を高めるなどの効果を有することが知られているが(特許文献1)、未だ十分に解明されていない効果があり、これを十分に利用する手段も知られていないと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平06-007116
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明者は、カルシウムに疲労低減効果があることを予想外に見出した。また、発明者は、カルシウムを特定の割合でマグネシウムと組み合わせることで、疲労低減効果(特に、長期運動の後半の疲労および/または運動後の疲労の低減効果)が向上することをさらに見出した。また、発明者は、カルシウムが痙攣を低減し、骨折(例えば、疲労骨折)の頻度を低下させることも見出した。本開示は、このような知見に基づき、この効果を有効に活用する手段を提供する。例えば、本開示のカルシウム含有組成物は、スポーツ飲料として提供され、運動により生じた疲労を低減させ、かつ/または運動による痙攣を低減させ、かつ/または骨折(例えば、疲労骨折)の頻度を低下させ得る。
【0005】
したがって、本開示は以下を提供する。
(項目1)
カルシウム:マグネシウムを約3:1~約50:1の比で含む、食品を調製するための組成物。
(項目2)
乾燥組成物である、項目1に記載の組成物。
(項目3)
前記カルシウムが、一次粒子の凝集により形成された二次粒子の形態である、項目1または2に記載の組成物。
(項目4)
前記二次粒子が、前記一次粒子および結合剤を含む、項目3に記載の組成物。
(項目5)
前記結合剤が、シクロデキストリンである、項目4に記載の組成物。
(項目6)
カルシウム:マグネシウムを約3:1~約50:1の比で含む、食品。
(項目7)
前記食品が飲料である、項目1~6のいずれか一項に記載の組成物または食品。
(項目8)
前記食品がスポーツ飲料である、項目1~6のいずれか一項に記載の組成物または食品。
(項目9)
前記飲料が、カルシウムを約150~2000mg/Lの濃度で含む、項目7または8に記載の組成物または食品。
(項目10)
前記カルシウムが、クエン酸カルシウムの形態である、項目1~9のいずれか一項に記載の組成物または食品。
(項目11)
ビタミンDを含む、項目1~10のいずれか一項に記載の組成物または食品。
(項目12)
パラチノースを含む、項目1~11のいずれか一項に記載の組成物または食品。
(項目13)
疲労低減のための、項目1~12のいずれか一項に記載の組成物または食品。
(項目14)
痙攣低減のための、項目1~13のいずれか一項に記載の組成物または食品。
(項目15)
骨折予防のための、項目1~14のいずれか一項に記載の組成物または食品。
(項目16)
カルシウム:マグネシウムを約3:1~約50:1の比で含む組成物を水と混合するステップ
を含む、飲料の製造方法。
【0006】
本開示において、上記の1つまたは複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供され得ることが意図される。本開示のなおさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。
【発明の効果】
【0007】
本開示は、カルシウムによる疲労低減を提供し、必要に応じてマグネシウムと組み合わせて増強した疲労低減、痙攣低減および/または骨折(特に、疲労骨折)予防を提供し得る。例えば、必要に応じてマグネシウムと組み合わせてカルシウムを含む飲料は、運動による疲労および/または痙攣を簡便に低減し得る。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示を最良の形態を示しながら説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本開示の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0009】
以下に本開示を、必要に応じて、添付の図面を参照して例示の実施例により説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本開示の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0010】
以下に本明細書において特に使用される用語の定義および/または基本的技術内容を適宜説明する。
【0011】
(定義等)
本明細書において疲労の「低減」とは、蓄積された疲労感を低減すること、および疲労感の蓄積を予防することの少なくとも一方を指す。
【0012】
本明細書において痙攣の「低減」とは、痙攣状態を緩和または解消すること、および痙攣の発生を予防することの少なくとも一方を指す。
【0013】
本明細書において「食品」とは、哺乳動物が経口摂取するための物を指す。本明細書において、食品には、飲料、液体を添加した後に経口摂取するための乾燥品(例えば、インスタント食品、飲料調製用粉末など)、冷凍食品、加熱した後に経口摂取するための未調理品も含まれる。
【0014】
本明細書において「飲料」とは、咀嚼を必要とせずに経口摂取できる食品を指す。例えば、飲料には、スポーツ飲料、ゼリー飲料、アルコール飲料、清涼飲料などが含まれる。
【0015】
本明細書において「スポーツ飲料」とは、運動前、運動中、および運動後など運動に関連して摂取することを目的とする飲料を指す。典型的には、スポーツ飲料は、運動に伴う発汗によって失われる塩(塩化ナトリウム、塩化カリウムなど)を補うために、塩が添加される。
【0016】
本明細書において「持久運動」とは、持続的な筋肉負荷が長時間続く運動を指す。例えば、持久運動には、マラソン、長距離走、遠泳、競歩、ウォーキング、ランニング、クロスカントリースキー、セーリング、乗馬、トライアスロンなどが含まれ得るがこれらに限定されない。例えば、白筋:赤筋の筋肉重量の比において、スポーツ選手の平均よりも赤筋量割合が多いヒトは、持久運動型であり得、持久運動に好ましい本開示の実施形態が好適に適用され得る。
【0017】
本明細書において「瞬発運動」とは、数秒から数十秒の短時間で強い筋肉負荷が発生する運動を指す。例えば、瞬発運動には、短距離走、短距離水泳、野球、テニス、バスケットボール、卓球、バレーボール、バトミントン、重量挙げ、高跳び、砲丸投げ、体操、柔道、空手、剣道、フェンシング、ボート、ボルダリング、ボクシング、競泳、フィギュアスケート、スキージャンプ、スノーモービル、ハーフパイプ、モーグルなどが含まれ得るがこれらに限定されない。持久運動の途中に瞬発運動が生じる場合もある。例えば、白筋:赤筋の筋肉重量の比において、スポーツ選手の平均よりも白筋量割合が多いヒトは、瞬発運動型であり得、瞬発運動に好ましい本開示の実施形態が好適に適用され得る。
【0018】
本明細書において、「疲労骨折」とは、1回の大きな外傷でおこる外傷性骨折とは異なり、骨の同じ部位に力が繰り返し加わることによって、骨にひびがはいったり、ひびが進んで完全な骨折に至った状態をいう。
【0019】
本明細書において、任意の化合物および成分は、特段記載しなくとも、塩の形態で提供されてもよい。特に、任意の化合物および成分は、食品において通常使用される塩基および酸、例えば、リン酸、亜リン酸、ポリリン酸、塩酸、硫酸、炭酸、アルドン酸、ウロン酸、アルダン酸、アルギン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルカン酸、ガラクタル酸、ガラクツロン酸、安息香酸、2,4-ジヒドロキシ安息香酸、ケイ皮酸、ヒドロキシ酸、シクロヘキシルカルボン酸、タンニン酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、グルコヘプトン酸、アジピン酸、ヒドロキシクエン酸、リンゴ酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、クロロゲン酸、サリチル酸、クレアチン、塩酸グルコサミン、グルコノ-δ-ラクトン、カフェ酸、胆汁酸、酢酸、アスコルビン酸、アルギン酸、エリソルビン酸、ポリグルタミン酸、アスパラギン酸、アルギニン、グリシン、グルタミン酸、プロリン、トレオニン、テアニン、システイン、シスチン、アラニン、バリン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、アスパラギン、セリン、リシン、ヒスチジン、オルニチン、メチオニン、カルニチン、アミノ酪酸、グルタミン、ヒドロキシプロリン、タウリン、ノルバリン、グルタチオン、サルコシン、ポリ-L-アスパラギン酸、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、グアニジン、グルコサミン、ポリ-L-リジン、ポリ-L-オルニチン、またはポリ-L-アルギニンと共に形成される塩の形態で提供され得る。
【0020】
本明細書において、用語「約」は、特に別の定義が示されない限り、示された値プラスまたはマイナス10%を指す。比率について使用する「約」は、示された比(X:Yなどと記載される)の左の値(X)のプラスまたはマイナス10%の比を指す。
【0021】
(好ましい実施形態)
一つの局面において、本開示は、カルシウムによる疲労低減、痙攣低減および/または疲労骨折予防を提供する。これを達成するための任意の手段が本開示の範囲であると企図される。例えば、明示的な記載がなくとも、ある成分を使用する方法の記載は、同成分を含む組成物、同成分の使用および同方法に使用するための同成分など、他の手段を反映した実施形態も同時に企図するものである。本明細書では、主に組成物の実施形態において本開示を説明するが、ある成分を含むある使用のための組成物についての記載は、同成分を同使用のための方法、および同成分の同使用など、他の手段を反映した実施形態も同時に企図するものである。例えば、飲料に関する任意の開示は、本開示の組成物(例えば、乾燥組成物)によって調製されることが意図される飲料に関する開示でもある。
【0022】
一つの局面において、本開示は、カルシウムを含み、必要に応じてマグネシウムをさらに含む組成物を提供し得る。本開示の組成物は、疲労低減効果、痙攣低減効果および/または疲労骨折予防効果を有し得る。一つの実施形態において、本開示の組成物は、疲労低減、痙攣低減および/または疲労骨折予防のための組成物であり得る。本開示によって低減され得る痙攣は、代表的には、運動中または運動後の痙攣であり、代表的には、手足など運動負荷が大きい部位、激しく使用された筋肉において生じるものである。一つの実施形態において、本開示の組成物は、食品として提供され得る。一つの実施形態において、本開示の組成物は、飲料として提供され得る。一つの実施形態において、本開示の組成物は、スポーツ飲料として提供され得る。
【0023】
一つの実施形態において、本開示の組成物は、カルシウムおよびマグネシウムを、カルシウム:マグネシウム=約2:1~50:1、約3:1~50:1、約4:1~50:1、約6:1~50:1、約8:1~50:1、約10:1~50:1、約12:1~50:1、約15:1~50:1、約20:1~50:1、約2:1~40:1、約3:1~40:1、約4:1~40:1、約6:1~40:1、約8:1~40:1、約10:1~40:1、約12:1~40:1、約15:1~40:1、約20:1~40:1、約2:1~30:1、約3:1~30:1、約4:1~30:1、約6:1~30:1、約8:1~30:1、約10:1~30:1、約12:1~30:1、約15:1~30:1、約20:1~30:1、約2:1~25:1、約3:1~25:1、約4:1~25:1、約6:1~25:1、約8:1~25:1、約10:1~25:1、約12:1~25:1、約15:1~25:1、約2:1~20:1、約3:1~20:1、約4:1~20:1、約6:1~20:1、約8:1~20:1、約10:1~20:1、約12:1~20:1、約15:1~20:1、約2:1~15:1、約3:1~15:1、約4:1~15:1、約6:1~15:1、約8:1~15:1または約10:1~15:1の比で含み得る。発明者は、カルシウムに加えてこのような特定の比率でマグネシウムを使用することで、カルシウムによる疲労低減効果、痙攣低減効果および/または疲労骨折予防効果がより向上し得ることを見出した。
【0024】
一つの実施形態において、カルシウムおよびマグネシウムの組合せにおける疲労低減効果、痙攣低減効果および/または疲労骨折予防効果をより効果的に発揮するために好適なカルシウム:マグネシウムの比率は、疲労、運動の種類および/または痙攣・疲労骨折発生リスクによって異なり得る。本発明者らは、スポーツ選手の汗の中の成分を調べ、運動の種類(長距離走、短距離走など)によって汗中の成分が異なり得ることを見出した。そして、汗中の成分(例えば、カルシウムおよびマグネシウム)を補うような組成の飲料が上記の効果を良好に提供し得ることを見出した。例えば、ウォーミングアップ時などの運動前(例えば、運動を予定している日の朝)、または運動を特に意図しない日常的な場面で摂取する場合、運動中の疲労、運動後の疲労および/または運動と関連しない疲労の低減、運動中または運動後の痙攣低減、あるいは疲労骨折予防に効果的なカルシウム:マグネシウム比は、約25:1付近、例えば、約12:1~50:1、約15:1~40:1、約20:1~30:1などであり得る。例えば、持久運動前および/または運動中に摂取する場合、運動中および/または運動後の疲労低減および/または痙攣低減、あるいは疲労骨折予防に効果的なカルシウム:マグネシウム比は、約25:1付近、例えば、約12:1~50:1、約15:1~40:1、約20:1~30:1などであり得る。例えば、瞬発運動前および/または運動の間に摂取する場合、運動中および/または運動後の疲労低減および/または痙攣低減、あるいは疲労骨折予防に効果的なカルシウム:マグネシウム比は、約6:1付近、例えば、約4:1~25:1、約4:1~20:1、約5:1~15:1、約6:1~12:1などであり得る。
【0025】
一つの実施形態において、本開示の組成物において、カルシウムは、酸との塩を形成していてもよい。一つの実施形態において、この酸として、クエン酸、乳酸、リン酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、氷酢酸、リン酸、亜リン酸、ポリリン酸、塩酸、硫酸、および炭酸、アルドン酸、ウロン酸、アルダン酸、アルギン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルカン酸、ガラクタル酸、およびガラクツロン酸、C2-C30カルボン酸、安息香酸、2,4-ジヒドロキシ安息香酸、ケイ皮酸、ヒドロキシ酸、シクロヘキシルカルボン酸、タンニン酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、グルコヘプトン酸、アジピン酸、ヒドロキシクエン酸、リンゴ酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、クロロゲン酸、サリチル酸、クレアチン、塩酸グルコサミン、グルコノ-δ-ラクトン、カフェ酸、胆汁酸、酢酸、アスコルビン酸、アルギン酸、エリソルビン酸、およびポリグルタミン酸が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、この酸は、クエン酸であり得る。クエン酸カルシウムは、高いカルシウム溶解度、カルシウムの苦みマスキングおよび/または疲労低減、痙攣低減、疲労骨折予防を提供し得る。一つの実施形態において、本開示の組成物において、マグネシウムは、カルシウムと同様の様式で酸との塩を形成していてもよい。
【0026】
本開示の組成物におけるカルシウムは、任意の形態であり得るが、一つの実施形態において、カルシウムは粒子状であり得る。一つの実施形態において、カルシウム粒子は、マグネシウムを含んでもよいし、含まなくてもよい。一つの実施形態において、本開示の組成物におけるカルシウムは、一次粒子が凝集して形成された二次粒子の形態であり得る。
【0027】
一つの実施形態において、カルシウム粒子は、約0.1~200μm、約0.5~200μm、約1~200μm、約2~200μm、約5~200μm、約10~200μm、約20~200μm、約50~200μm、約0.1~100μm、約0.5~100μm、約1~100μm、約2~100μm、約5~100μm、約10~100μm、約20~100μm、約50~100μm、約0.1~70μm、約0.5~70μm、約1~70μm、約2~70μm、約5~70μm、約10~70μm、約20~70μm、約0.1~50μm、約0.5~50μm、約1~50μm、約2~50μm、約5~50μm、約10~50μm、約20~50μm、約0.1~20μm、約0.5~20μm、約1~20μm、約2~20μm、約0.1~10μm、約0.5~10μm、約1~10μm、約0.1~5μm、約0.5~5μm、約0.1~2μm、約0.2~2μmまたは約0.1~1μmの粒径(または平均粒径)を有し得る。ここで、「粒径」は、レーザ回折・散乱法によって測定してもよいし、顕微鏡(例えば、電子顕微鏡)で観察して画像ソフトまたは目視で測定してもよい。一つの実施形態において、「平均粒径」は平均体積径であり得る。一つの実施形態において、「平均粒径」は、顕微鏡(例えば、電子顕微鏡)で観察して、粒径測定可能な(例えば、重なりがない)粒子を100個選択した場合の、粒径測定値の相加平均であり得る。カルシウム粒子は、細長い形状を有し得るが、その場合、カルシウム粒子の粒径は粒子の最長の測定値を指し得る。カルシウムが一次粒子が凝集して形成された二次粒子の形態である場合、一次粒子および二次粒子の粒径は、それぞれ上記の範囲であり得るが、一つの実施形態において、二次粒子の粒径(または平均粒径)は一次粒子の粒径(または平均粒径)の約5~500倍、約10~500倍、約20~500倍、約50~500倍、約5~200倍、約10~200倍、約20~200倍、約50~200倍、約5~100倍、約10~100倍、約20~100倍、約50~100倍、約5~50倍、約10~50倍、約20~50倍、約5~20倍または約5~10倍であり得る。具体的な実施形態において、一次粒子の粒径(または平均粒径)は、約2μm付近、例えば、約0.1~10μm、約0.1~5μm、約0.1~2μm、約0.2~10μm、約0.2~5μm、約0.2~2μm、約0.5~10μm、約0.5~5μm、約0.5~2μm、約1~10μmまたは約1~5μmであり、二次粒子の粒径(または平均粒径)は、約50μm付近、例えば、約5~200μm、約5~100μm、約5~70μm、約5~50μm、約10~200μm、約10~100μm、約10~70μm、約10~50μm、約20~200μm、約20~100μm、約20~70μm、約50~200μmまたは約50~100μmであり得る。
【0028】
カルシウムは、鉱石など天然由来のもの、市販品など任意の供給源のものを使用することができる。一つの実施形態において、カルシウムは、ホタテ、ウニ、卵の殻などの生物由来原料から取得することができる。例えば、ホタテなどの貝類の貝殻からカルシウムを取得する場合、貝殻中の炭酸カルシウムは、約950~1150℃で焼成することにより酸化カルシウムに変換され得る。
【0029】
一つの実施形態において、本開示の組成物(例えば、飲料調製用組成物)において使用するカルシウム粒子は、任意の好適な方法で作製することができるが、例えば、消石灰スラリー化(水に生石灰(CaO)を混ぜることにより、消石灰スラリー(Ca(OH))を生成する工程)、酸添加(撹拌された反応槽中の消石灰スラリーに酸水溶液を滴下して、カルシウム塩を合成する工程)、濃度調整(カルシウム塩スラリーに水を添加して固形分濃度を調整する工程)、湿式粉砕(液体中のカルシウム塩に対して湿式粉砕を行う工程)、噴霧乾燥(カルシウム塩溶液を噴霧乾燥して粉末化し、カルシウム塩の顆粒を作製する工程)などの工程を任意に組み合わせて作製することができる。
【0030】
一つの実施形態において、粒子に成形したカルシウムには、結合剤が含まれてもよい。例えば、一次粒子は、結合剤とともに混合されることで凝集して二次粒子の形成が促進され得る。一つの実施形態において、結合剤として、シクロデキストリン(例えば、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン)、水溶性セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロースなどが挙げられるが、これらに限定されない。一つの実施形態において、シクロデキストリンは、一次粒子をより微細化するために湿式粉砕を行うときにカルシウム塩の凝集を防止し得る。一つの実施形態において、結合剤(例えば、シクロデキストリン)は、水の存在下において溶解し、二次粒子の崩壊および一次粒子の分散を促進し得る。例えば、結合剤は、二次粒子において約5~20重量%の割合で使用され得る。カルシウムは水に溶けにくいため、飲料を調製するための本開示の組成物におけるカルシウム粒子は、好ましくは、結合剤を含む。
【0031】
一つの実施形態において、本開示の組成物は、ムコ多糖を含んでもよい。ムコ多糖は、カルシウムによる疲労低減を向上させ得る。ムコ多糖は、典型的には、アミノ糖(ガラクトサミン、グルコサミン)と、ウロン酸(グルクロン酸、イズロン酸)またはガラクトースとの2糖の繰り返し構造を含む化合物であり、多くは、この繰り返し構造に硫酸基が付加されている。ムコ多糖として、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパラン硫酸、ヘパリンなどが挙げられる。
【0032】
一つの実施形態において、本開示の組成物は、約50~2000mg/L、約50~1500mg/L、約50~1000mg/L、約50~800mg/L、約50~700mg/L、約50~600mg/L、約50~500mg/L、約50~400mg/L、約50~200mg/L、約100~2000mg/L、約100~1500mg/L、約100~1000mg/L、約100~800mg/L、約100~700mg/L、約100~600mg/L、約100~500mg/L、約100~400mg/L、約100~200mg/L、約150~2000mg/L、約150~1000mg/L、約150~800mg/L、約150~700mg/L、約150~600mg/L、約150~500mg/L、約150~400mg/L、約200~2000mg/L、約200~1500mg/L、約200~1000mg/L、約200~800mg/L、約200~700mg/L、約200~600mg/L、約200~500mg/L、約200~400mg/L、約300~2000mg/L、約300~1500mg/L、約300~1000mg/L、約300~800mg/L、約300~700mg/L、約300~600mg/L、約300~500mg/L、約400~2000mg/L、約400~1500mg/L、約400~1000mg/L、約400~800mg/L、約400~700mg/Lまたは約400~600mg/Lの濃度のカルシウムを含む飲料、またはこの濃度のカルシウムを含む飲料を調製するための組成物である。カルシウムは苦味を有するが、発明者は、本開示に従って調製した飲料(例えば、約600mg/Lのカルシウム濃度)がほとんど苦味を感じさせないことを予想外に見出した。また、従来のスポーツ飲料に含まれるカルシウムは多くても100mg/L程度であるが、本開示の飲料はより高濃度のカルシウムを含み得る。本開示の組成物は、飲料として無理なく摂取することができる水分量において、高いカルシウム量を提供し得るので、カルシウムによる疲労低減効果、痙攣低減効果および/または疲労骨折予防効果が効果的に発揮され得る。
【0033】
一つの実施形態において、本開示の組成物(例えば、スポーツ飲料またはスポーツ飲料調製用組成物)は、特定の範囲の浸透圧を有するか、またはこれをもたらし得る。一つの実施形態において、本開示の組成物は、約50~2000mOsm/kg、約50~1500mOsm/kg、約50~1000mOsm/kg、約50~700mOsm/kg、約50~500mOsm/kg、約50~400mOsm/kg、約50~300mOsm/kg、約50~250mOsm/kg、約50~200mOsm/kg、約50~150mOsm/kg、約70~2000mOsm/kg、約70~1500mOsm/kg、約70~1000mOsm/kg、約70~700mOsm/kg、約70~500mOsm/kg、約70~400mOsm/kg、約70~300mOsm/kg、約70~250mOsm/kg、約70~200mOsm/kg、約70~150mOsm/kg、約100~2000mOsm/kg、約100~1500mOsm/kg、約100~1000mOsm/kg、約100~700mOsm/kg、約100~500mOsm/kg、約100~400mOsm/kg、約100~300mOsm/kg、約100~250mOsm/kg、約100~200mOsm/kg、約150~2000mOsm/kg、約150~1500mOsm/kg、約150~1000mOsm/kg、約150~700mOsm/kg、約150~500mOsm/kg、約150~400mOsm/kg、約150~300mOsm/kg、約150~250mOsm/kg、約200~2000mOsm/kg、約200~1500mOsm/kg、約200~1000mOsm/kg、約200~700mOsm/kg、約200~500mOsm/kg、約200~400mOsm/kgまたは約200~300mOsm/kgの浸透圧を有するか、またはこれをもたらし得る。組成物の浸透圧は、任意の添加成分によって調整され得るが、代表的には、糖成分および/または塩によって調整される。一つの実施形態において、スポーツ飲料(例えば、瞬発運動用スポーツ飲料)は、体液(およそ285±5mOsm/L)とほぼ等張(アイソトニック)となるように、例えば、約260~330mOsm/kgの浸透圧を有し得る。別の実施形態において、スポーツ飲料(例えば、持久運動用スポーツ飲料または日常的に摂取するスポーツ飲料)は、体液よりわずかに低張(ハイポトニック)となるように約200mOsm/L付近、例えば、約150~250mOsm/kgまたは約170~230mOsm/kgの浸透圧を有し得る。スポーツ飲料またはスポーツ飲料調製用組成物である本開示の組成物は、このような浸透圧となるように調製され得る。一つの実施形態において、本開示の瞬発運動用スポーツ飲料は、持久運動用スポーツ飲料より約300~2000mg/L、約500~1500mg/Lまたは約700~1000mg/L多くの糖成分を含み得る。
【0034】
一つの実施形態において、糖成分として、パラチノース、タガトース、トレハロース、ガラクトース、ラムノース、シクロデキストリン、(例えば、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン及びγ-シクロデキストリン)、マルトデキストリン、デキストラン、ショ糖、ブドウ糖、リブロース、果糖、トレオース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、マンノース、イドース、ラクトース、麦芽糖、転化糖、イソトレハロース、ネオトレハロース、パラチノース又はイソマルツロース、エリトロース、デオキシリボース、グロース、イドース、タロース、エリトルロース、キシルロース、プシコース、ツラノース、セロビオース、アミロペクチン、グルコサミン、マンノサミン、フコース、グルクロン酸、グルコン酸、グルコノ-ラクトン、アベクオース、ガラクトサミン、ビートオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖(イソマルトース、イソマルトトリオース、パノースなど)、キシロオリゴ糖(キシロトリオース、キシロビオースなど)、ゲンチオオリゴ糖(ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオースなど)、ソルボース、ニゲロオリゴ糖、パラチノースオリゴ糖、フラクトオリゴ糖(ケストース、ニストースなど)、マルトテトラオール、マルトトリオール、マルトオリゴ糖(マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、マルトヘプタオースなど)、ラクツロース、メリビオース、ラフィノース、ラムノース、リボース、高フルクトースコーンシロップ/水飴などの異性化液糖、結合糖、大豆オリゴ糖、ブドウ糖シロップ、エリトリトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、ラクチトール、キシリトール、イノシトール、イソマルト、プロピレングリコール、グリセロール(グリセリン)、トレイトール、ガラクチトール、還元イソマルトオリゴ糖、還元キシロオリゴ糖、還元ゲンチオオリゴ糖、還元麦芽糖シロップ、還元ブドウ糖シロップ、糖アルコールが挙げられるが、これらに限定されない。一つの実施形態において、本開示の飲料は、約5~150g/L、約5~100g/L、約5~80g/L、約5~60g/L、約5~40g/L、約10~150g/L、約10~100g/L、約10~80g/L、約10~60g/L、約10~40g/L、約15~150g/L、約15~100g/L、約15~80g/L、約15~60g/L、約15~40g/L、約20~150g/L、約20~100g/L、好ましくは約20~80g/L、より好ましくは約20~60g/L、特に好ましくは約20~50g/Lの糖成分(例えば、パラチノース)を含み得る。特定の実施形態では、本開示の組成物は、パラチノースを含み得る。パラチノースは、ショ糖と比較して血糖値を上昇させる速度が緩やかであり得るため、持続的な血糖値の上昇を提供し、運動の持続を促進し得る。パラチノースは、ショ糖の約半分の甘味を有するため、パラチノースを使用した本開示の組成物は、甘味料の選択などにより広範に風味の調整が可能であり得る。
【0035】
一つの実施形態において、塩として、酸成分(リン酸、亜リン酸、ポリリン酸、塩酸、硫酸、炭酸、アルドン酸、ウロン酸、アルダン酸、アルギン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルカン酸、ガラクタル酸、ガラクツロン酸、安息香酸、2,4-ジヒドロキシ安息香酸、ケイ皮酸、ヒドロキシ酸、シクロヘキシルカルボン酸、タンニン酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、グルコヘプトン酸、アジピン酸、ヒドロキシクエン酸、リンゴ酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、クロロゲン酸、サリチル酸、クレアチン、塩酸グルコサミン、グルコノ-δ-ラクトン、カフェ酸、胆汁酸、酢酸、アスコルビン酸、アルギン酸、エリソルビン酸、ポリグルタミン酸、アスパラギン酸、アルギニン、グリシン、グルタミン酸、プロリン、トレオニン、テアニン、システイン、シスチン、アラニン、バリン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、アスパラギン、セリン、リシン、ヒスチジン、オルニチン、メチオニン、カルニチン、アミノ酪酸、グルタミン、ヒドロキシプロリン、タウリン、ノルバリン、グルタチオン、サルコシン、ポリ-L-アスパラギン酸ンなど)と、塩基成分(ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、グアニジン、グルコサミン、アスパラギン酸、アルギニン、グリシン、グルタミン酸、プロリン、トレオニン、テアニン、システイン、シスチン、アラニン、バリン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、アスパラギン、セリン、リシン、ヒスチジン、オルニチン、メチオニン、カルニチン、アミノ酪酸、グルタミン、ヒドロキシプロリン、タウリン、ノルバリン、グルタチオン、サルコシン、ポリ-L-アスパラギン酸、ポリ-L-リジン、ポリ-L-オルニチン、ポリ-L-アルギニンなど)との任意の組合せにより形成される塩が挙げられるが、これらに限定されない。具体的な実施形態において、塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、クエン酸カリウム、硫酸マグネシウム、ミョウバン、塩化マグネシウム、リン酸のナトリウムまたはカリウム塩、炭酸のナトリウムまたはカリウム塩、アルギン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、グアニジンHCl、グルコサミンHCl、グルタミン酸ナトリウム、アデノシン1リン酸塩、グルコン酸マグネシウム、酒石酸カリウム、酒石酸ナトリウムおよびこれらの任意の組み合わせであり得る。特定の実施形態では、本開示の組成物は、ナトリウムまたはその塩、および/またはカリウムまたはその塩を含み得る。例えば、本開示の飲料は、約200~2000mg/L、約200~1500mg/L、約200~1200mg/L、約200~1000mg/L、約200~800mg/L、約300~2000mg/L、約300~1500mg/L、約300~1200mg/L、約300~1000mg/L、約300~800mg/L、約400~2000mg/L、約400~1500mg/L、約400~1200mg/L、約400~1000mg/L、約400~800mg/L、約500~2000mg/L、約500~1500mg/L、約500~1200mg/L、約500~1000mg/Lまたは約500~800mg/Lのナトリウム、および/または約200~2000mg/L、約200~1500mg/L、約200~1200mg/L、約200~1000mg/L、約200~800mg/L、約300~2000mg/L、約300~1500mg/L、約300~1200mg/L、約300~1000mg/L、約300~800mg/L、約400~2000mg/L、約400~1500mg/L、約400~1200mg/L、約400~1000mg/L、約400~800mg/L、約500~2000mg/L、約500~1500mg/L、約500~1200mg/L、約500~1000mg/Lまたは約500~800mg/Lのカリウムを含んでもよい。一つの実施形態において、本開示の飲料は、約5:1~1:5、約4:1~1:4、約3:1~1:3または約2:1~1:2の比でナトリウムおよびカリウムを含み得る。
【0036】
一つの実施形態において、本開示の組成物は、飲料または飲料を調製するためのものであり、ここで、飲料は、任意のpHの範囲であり得るが、例えば、約1.5~10.0、約2.0~10.0、約2.5~10.0、約3.0~10.0、約3.5~10.0、約4.0~10.0、約1.5~9.0、約2.0~9.0、約2.5~9.0、約3.0~9.0、約3.5~9.0、約4.0~9.0、約1.5~8.0、約2.0~8.0、約2.5~8.0、約3.0~8.0、約3.5~8.0、約4.0~8.0、約1.5~7.0、約2.0~7.0、約2.5~7.0、約3.0~7.0、約3.5~7.0、約4.0~7.0、約1.5~6.5、約2.0~6.5、約2.5~6.5、約3.0~6.5、約3.5~6.5、約1.5~6.0、約2.0~6.0、約2.5~6.0、約3.0~6.0、約3.5~6.0、約1.5~5.5、約2.0~5.5、約2.5~5.5、約3.0~5.5、約3.5~5.5、約1.5~5.0、約2.0~5.0、約2.5~5.0、約3.0~5.0、約3.5~5.0、約1.5~4.5、約2.0~4.5、約2.5~4.5、約3.0~4.5または約3.5~4.5のpHであり得る。
【0037】
一つの実施形態において、本開示の組成物は、Hg、Cd、Pb、Asなどの重金属をほとんど含まない。一つの実施形態において、本開示の組成物に含まれる重金属は、1ppm未満、0.1ppm未満、0.01ppm未満、または0.001ppm未満であり得る。
【0038】
一つの実施形態において、本開示の組成物は、塩素を含まないか、または少量含む。一つの実施形態において、本開示の組成物に含まれる塩素は、重量で、1%未満、0.1%未満、0.01%未満、または0.001%未満であり得る。
【0039】
本開示の組成物は、酸味料、甘味料、調味料、香料、着色料、ミネラル、ビタミン、酸化防止剤、防腐剤、発泡剤、助泡剤、アルコール(例えば、エタノール)、結合剤、増量剤、増粘剤、界面活性剤、固化防止剤、果汁、野菜汁などの添加成分を含んでもよい。一般に食品に使用され得る任意の好適な添加成分が本開示の組成物において使用され得る。
【0040】
酸味料の例として、リン酸、亜リン酸、ポリリン酸、塩酸、硫酸、炭酸、アルドン酸、ウロン酸、アルダン酸、アルギン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルカン酸、ガラクタル酸、ガラクツロン酸、安息香酸、2,4-ジヒドロキシ安息香酸、ケイ皮酸、ヒドロキシ酸、シクロヘキシルカルボン酸、タンニン酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、グルコヘプトン酸、アジピン酸、ヒドロキシクエン酸、リンゴ酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、クロロゲン酸、サリチル酸、クレアチン、塩酸グルコサミン、グルコノ-δ-ラクトン、カフェ酸、胆汁酸、酢酸、アスコルビン酸、アルギン酸、エリソルビン酸、ポリグルタミン酸などが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、本開示の飲料は、約500~10000mg/L、約500~7000mg/L、約500~5000mg/L、約500~4000mg/L、約500~3000mg/L、約700~10000mg/L、約700~7000mg/L、約700~5000mg/L、約700~4000mg/L、約700~3000mg/L、約1000~10000mg/L、約1000~7000mg/L、約1000~5000mg/L、約1000~4000mg/L、約1000~3000mg/L、約1200~10000mg/L、約1200~7000mg/L、約1200~5000mg/L、約1200~4000mg/Lまたは約1200~3000mg/Lのクエン酸を含んでもよい。
【0041】
甘味料の例として、本明細書に記載の糖成分、ステビア、ステビオール配糖体、モグロサイド、羅漢果成分、モナチン、クルクリン、スクラロース、サッカリン、シクラマート、アスパルテーム、アセスルファムカリウムまたは他の塩、ネオテームなどが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、本開示の組成物に添加される甘味料は、ステビア、アセスルファムカリウムおよび/またはスクラロースであり得る。
【0042】
調味料の例として、アスパラギン酸、アルギニン、グリシン、グルタミン酸、プロリン、トレオニン、テアニン、システイン、シスチン、アラニン、バリン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、アスパラギン、セリン、リシン、ヒスチジン、オルニチン、メチオニン、カルニチン、アミノ酪酸、グルタミン、ヒドロキシプロリン、タウリン、ノルバリン、グルタチオン、サルコシン、ポリ-L-アスパラギン酸、ポリ-L-リジン、ポリ-L-オルニチン、ポリ-L-アルギニン、カフェイン、キニーネ、尿素、苦橙皮油、ナリンギンおよび苦木、イノシン1リン酸、グアノシン1リン酸、アデノシン1リン酸、シトシン1リン酸、ウラシル1リン酸、イソシン2リン酸、グアノシン2リン酸、アデノシン2リン酸、シトシン2リン酸、ウラシル2リン酸、イソシン3リン酸、グアノシン3リン酸、アデノシン3リン酸、シトシン3リン酸、ウラシル3リン酸、タンニン酸、ミョウバン、タンニン酸、ポリフェノール(例えば、茶ポリフェノール)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
香料の例として、メントール、柑橘類、ショウガ、マンゴー抽出物、シナモン、ココナツ、ビリジフロロール、アーモンド、バニリン、バニラ抽出物、ブドウ皮抽出物、ブドウ種抽出物などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
着色料の例として、アナトー色素、クチナシ黄色素、デュナリエラカロチン、ニンジンカロチン、パーム油カロチン、トマト色素、リコピン、パプリカ色素、カロチノイド系色素、アカネ色素、コチニール色素、シコン色素、ラック色素、キノン系色素、赤キャベツ色素、シソ色素、アントシアニン色素、タマリンド色素、ベニバナ色素、フラボノイド系色素、クロロフィリン、クロロフィル、カラメル、クチナシ青色素、クチナシ赤色素、赤色2号、赤色3号、赤色40号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、黄色4号、黄色5号、青色1号、青色2号、緑色3号、β-カロチン、リボフラビンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
ミネラルの例として、亜鉛、鉄、銅、クロム、セレン、マンガン、モリブデン、ヨウ素、リンなどが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、飲料または飲料調製用組成物である本開示の組成物は、発汗による喪失を補うために亜鉛および/または鉄を微量含んでもよいし、金属味を回避するために含まなくてもよい。例えば、本開示の飲料または飲料調製用組成物である本開示の組成物は、亜鉛および/または鉄を微量含んでもよいし、含まなくてもよい。例えば、本開示の飲料は、約1~25mg/L、約2~25mg/L、約3~25mg/L、約4~25mg/L、約5~25mg/L、約1~20mg/L、約2~20mg/L、約3~20mg/L、約4~20mg/L、約5~20mg/L、約1~15mg/L、約2~15mg/L、約3~15mg/L、約4~15mg/L、約5~15mg/L、約1~10mg/L、約2~10mg/L、約3~10mg/L、約4~10mg/Lまたは約5~10mg/Lの亜鉛および/または約1~25mg/L、約2~25mg/L、約3~25mg/L、約4~25mg/L、約5~25mg/L、約1~20mg/L、約2~20mg/L、約3~20mg/L、約4~20mg/L、約5~20mg/L、約1~15mg/L、約2~15mg/L、約3~15mg/L、約4~15mg/L、約5~15mg/L、約1~10mg/L、約2~10mg/L、約3~10mg/L、約4~10mg/Lまたは約5~10mg/Lの鉄を含んでもよい。
【0046】
ビタミンの例として、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD(エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロールなど)、ビタミンE(トコフェロール、トコトリエノールなど)、ビタミンA(レチノール、β-カロテン、α-カロテン、β-クリプトキサンチン)、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5、ビタミンB6(ピリドキサール、ピリドキサミン、ピリドキシンなど)、ビタミンB7、ビタミンB9、ビタミンB12(シアノコバラミン、メチルコバラミン、ヒドロキソコバラミンなど)、ビタミンK(フィロキノン、メナキノンなど)などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、本開示の組成物は、ビタミンCおよび/またはビタミンDを含み得る。例えば、本開示の飲料は、約100~3000mg/LのビタミンCおよび/または約5μg/L~100μg/LのビタミンDを含んでもよい。ビタミンDは脂溶性であるが、本開示の飲料に好適に添加され得る。汗(例えば、運動時の汗)にはビタミンDが含まれることが見出されたため、本開示の組成物は、好ましくは、運動などによって体から失われるビタミンDを補充できるような量のビタミンDを含み得る。本開示の飲料は、約100mg/L~3000mg/L、約100mg/L~2000mg/L、約100mg/L~1500mg/L、約100mg/L~1200mg/L、約200mg/L~3000mg/L、約200mg/L~2000mg/L、約200mg/L~1500mg/L、約200mg/L~1200mg/L、約300mg/L~3000mg/L、約300mg/L~2000mg/L、約300mg/L~1500mg/L、約300mg/L~1200mg/L、約400mg/L~3000mg/L、約400mg/L~2000mg/L、約400mg/L~1500mg/L、約400mg/L~1200mg/LのビタミンCを含んでもよい。本開示の飲料は、約5μg/L~100μg/L、約5μg/L~80μg/L、約5μg/L~60μg/L、約5μg/L~40μg/L、約10μg/L~100μg/L、約10μg/L~80μg/L、約10μg/L~60μg/L、約10μg/L~40μg/L、約20μg/L~100μg/L、約20μg/L~80μg/L、約20μg/L~60μg/L、約20μg/L~40μg/LのビタミンDを含んでもよい。
【0047】
酸化防止剤の例として、アスコルビン酸、カテキン、ポリフェノール、ルチン、ネオヘスペリジン、ナリンギン、ネオヘスペリジンジヒドロカルコンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
防腐剤の例として、安息香酸ナトリウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
発泡剤の例として、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、クエン酸などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
助泡剤の例として、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、ガラクトマンナン、グア豆繊維、ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸ナトリウム、水溶性トウモロコシ繊維、大豆食物繊維、それらの加水分解物などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
結合剤の例として、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロースなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
増量剤の例として、本明細書に記載の糖成分、マルトデキストリン、コーンシロップ固体、ショ糖、果糖、ブドウ糖、転化糖、ソルビトール、キシロース、リブロース、マンノース、キシリトール、マンニトール、ガラクチトール、エリトリトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルト、麦芽糖、タガトース、ラクトース、イヌリン、グリセロール、プロピレングリコール、ポリオール、ポリデキシトロース、フラクトオリゴ糖、セルロース及びセルロース誘導体、糖アルコールなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
増粘剤の例として、キトサン、ペクチン、ペクチン酸、ペクチニン酸、ポリウロン酸、ポリガラクツロン酸、アラビアゴム、カラギーナン、ポリアルギニン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレングリコールメチルエーテル)、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリエチレンイミン、アルギン酸、アルギン酸プロピレングリコール、ヘキサメタリン酸、およびポリエチレングリコールアルギン酸、乳清タンパク質、米タンパク質、大豆タンパク質、コラーゲン(例えばゼラチン)、部分的に加水分解したコラーゲンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
界面活性剤の例として、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80、ポリソルベート20、ポリソルベート60)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドクセートまたはスルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、塩化セチルピリジニウム(塩化ヘキサデシルピリジニウム)、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩素酸ナトリウム、カルバミル、塩化コリン、グリココール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム、ラウリルアルギン酸、ステアロイルラクチラート塩ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、レシチン、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
固化防止剤の例として、酒石クリーム、珪酸カルシウム、二酸化ケイ素、微結晶性セルロース、リン酸3カルシウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
上記において機能に基づいて各成分を分類して記載したが、ある機能を有する成分が別の機能に基づいて選択されることを妨げることが企図されるものではない。例えば、アスコルビン酸は、抗酸化剤として使用される場合も、酸味料として使用される場合もあることが当業者には容易に理解される。
【0057】
一つの具体的な実施形態において、本開示は、運動前または運動を特に意図しない日常的な場面で摂取するための飲料調製用乾燥組成物を提供し、水500mLに溶解するためのこの組成物は、以下の組成を含む。組成物は、亜鉛約1~10mgおよび/または鉄1~10mgをさらに含んでもよい。
【表1】
【0058】
一つの具体的な実施形態において、本開示は、短時間の運動前および/または運動中に摂取するための飲料調製用乾燥組成物を提供し、水500mLに溶解するためのこの組成物は、以下の組成を含む。組成物は、亜鉛約1~10mgおよび/または鉄1~10mgをさらに含んでもよい。
【表2】
【0059】
一つの具体的な実施形態において、本開示は、長時間の運動前および/または運動中に摂取するための飲料調製用乾燥組成物を提供し、水500mLに溶解するためのこの組成物は、以下の組成を含む。組成物は、亜鉛約1~10mgおよび/または鉄1~10mgをさらに含んでもよい。
【表3】
【0060】
一つの具体的な実施形態において、水500mLに溶解するための本開示の飲料調製用乾燥組成物は、以下の組成を含むことが特に好ましい。
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【0061】
本開示の組成物は、任意の形態であってよく、例えば、液体、粉末、顆粒、錠剤、ペースト、カプセル、タブレット、懸濁液、食品形態などの形態であり得る。
【0062】
一つの実施形態において、本開示の組成物は、食品であり得る。一つの実施形態において、本開示の組成物は、スポーツ飲料、非炭酸飲料、炭酸飲料、ジンジャエール、ルートビア、サイダ、果実風味のソフトドリンク(例えば、レモンライム又はオレンジなどの柑橘類風味のソフトドリンク)、粉末状ソフトドリンク、果実および/または野菜由来の果汁、果実飲料、果汁飲料、果実風味の飲料、野菜ジュース、ミックスジュース、エネルギードリンク、コーヒー、ココア、紅茶、緑茶、ウーロン茶、乳飲料、カフェオレ、ミルクティー、果実乳飲料、飲むヨーグルト、乳酸菌飲料、酪農製品、ベーカリ製品、ヨーグルト、ゼリー、飲むゼリー、プリン、ババロア、ブランマンジェ、ケーキ、ブラウニ、ムース、冷凍食品、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、シャーベット、クラッカ、ビスケット、菓子、餅、スナック、チューインガム、飴、ソフトキャンディ、ソース、食用ゲル、クリーム、パスタ、ジャム、トウモロコシ製品、香辛料、焼き肉、トマトケチャップ、加工農産物、加工畜産物、加工海産物、加工肉製品、レトルト食品、ピクルス、保存食品、シリアル製品などが挙げられる。一つの実施形態において、本開示の組成物は、運動の前または運動の合間に摂取するための食品であり得る。好ましい実施形態において、本開示の組成物は、スポーツ飲料またはスポーツ飲料調製用組成物である。一つの実施形態において、本開示の組成物は、疲労低減のためのものである。一つの実施形態において、本開示の組成物は、痙攣低減のためのものである。一つの実施形態において、本開示の組成物は、疲労骨折予防のためのものである。
【0063】
(包装品)
一つの局面において、本開示は、本開示の飲料調製用組成物を含有する包装品を提供する。一つの実施形態において、本開示の包装品は、ペットボトルや水筒などの容器中で本開示の飲料調製用組成物と液体とを混合して飲料を調製するためのものであり得、例えば、包装品はスティックの形状であり得る。
【0064】
一つの実施形態において、本開示の包装品は、酸化および/または吸湿を防止する袋(例えば、ポリエチレン製、ポリプロピレン製、ポリエチレン製など)に封入されて提供され得る。一つの実施形態において、本開示の組成物を含む包装品は、光を遮断する袋(例えば、アルミニウム蒸着袋)に封入されて提供され得る。一つの実施形態において、本開示の組成物を含む包装品は、1回量(例えば、約500mLの水と混合するための重量)の本開示の組成物を含み得る。一つの実施形態において、本開示の組成物を含む包装品は、開封して使い切るためのものである。
【0065】
(飲料の調製方法)
一つの局面において、本開示は、飲料の製造方法を提供する。一つの実施形態において、飲料の製造方法は、本開示の飲料調製用の組成物を水と混合する工程を含む。ここで、水は、水道水、炭酸水、ミネラルウォーターなど任意であり得る。
【0066】
以上、本開示を、理解の容易のために好ましい実施形態を示して説明してきた。以下に、実施例に基づいて本開示を説明するが、上述の説明および以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本開示を限定する目的で提供したのではない。従って、本発明の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【実施例
【0067】
(実施例)
本発明者らは、種々のスポーツ選手の運動中の汗の成分分析を行った。具体的には、運動中の胸部周辺の汗をガーゼで収集し、汗の中の成分(カルシウム、マグネシウム、カリウム等)を分析した。また、手のひらを吸光光度法によってスキャンすることでミネラル等を非侵襲かつ迅速に測定できるOligoScanを用いて、ミネラル成分(カルシウム、マグネシウム、カリウム、亜鉛、鉄など)を測定した。これらの結果に基づいて、以下の表に示す成分を含む乾燥粉末組成物(500mL飲料用)を調製した。
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【表5-4】
【表5-5】
【表5-6】
【表5-7】
【表5-8】
*カルシウムは、クエン酸とともに造粒されており、約1μmの細長い一次粒子が凝集して形成された約10μmの二次粒子の形態であった。
【0068】
上記重量の組成物に500mLの割合の水を添加して、飲料を調製した。組成物成分は直ちに分散して溶解した。調製した飲料は透明であった。なお、500mLの水に溶解した場合、ウォーミングアップ用の組成1および4の浸透圧は約280mOsm/Lであり、アイソトニックである。また、500mLの水に溶解した場合、運動中用の組成2、3および5~8の浸透圧は約210~220mOsm/Lであり、ハイポトニックである。
【0069】
組成4、7および8(500mLの水に溶解する場合)が特に好適であり得る。これらの組成は、カルシウムおよびマグネシウムの組合せによる疲労低減、痙攣低減、疲労骨折予防などの有益効果に加えて、発汗によって失われることが見出された各種成分(例えば、ビタミンD)の補充や、運動のエネルギー源となる糖分の補給が特に好適に達成され得るように調整されたものである。
【0070】
・官能試験
上記各組成から調製した飲料を試飲したところ、いずれも固形物の感触はなく、粉末は十分細かく分散されていることが分かった。また、カルシウムの苦味は確認されなかった。
【0071】
・試飲例
上記組成から調製した飲料を各種スポーツの選手に試飲してもらい、効果をヒアリングした。代表的な結果を以下に示す。
【0072】
(1)日本野球機構(NPB)所属野球選手
1シーズン中(約3か月間)、組成4に対して500mLの割合で水を添加して調製した飲料をウォーミングアップ用に、組成5に対して500mLの割合で水を添加して調製した飲料を試合用(1つの試合当たり約1L)に摂取した。飲料は飲みやすいと感じられた。これまでは故障しがちであったが、本発明の飲料を飲んだ本年は、怪我が無くシーズンを通してプレイすることができた。また、足の張りや攣りを起こすことがなくなった。
【0073】
(2)競歩選手
組成2に対して500mLの割合で水を添加して調製した飲料を、1~2kmに一回、約150mL摂取した。飲料は飲みやすいと感じられた。摂取を開始する前と比較して、こむら返りが起こることがなくなった。
【0074】
(3)マラソン選手
組成2に対して500mLの割合で水を添加して調製した飲料を、5kmに一回、約200mL摂取した。飲料は飲みやすいと感じられた。カルシウムを約100mg/L、マグネシウムを約36mg/L含む市販のスポーツ飲料と比較して、後半の持久力の低下が少ないと感じられた。持久力の低下が少ないため、充実したトレーニングを行うことができると感られた。
【0075】
(4)棒高跳びの選手
組成1及び2に対して500mLの割合で水を添加して調製した飲料を、朝に約1L、試合中に約1L摂取した。飲料は飲みやすいと感じられた。飲料は飲みやすいと感じられた。摂取を開始する前と比較して、こむら返りが起こることがなくなった。
【0076】
なお、上記(2)~(4)については、約1年間にわたって、6~7名の選手に日常およびトレーニング時に試験的に飲んでもらった。1回の練習当たり1~2リットルは飲んでいると考えられる。
【0077】
また、組成5~8についても、各種スポーツ選手に試飲してもらい、暑熱環境下での練習における持久力の維持や、痙攣やこむら返りの防止に効果が感じられたとの感想が得られた。
【0078】
以上のように、本開示の好ましい実施形態および実施例を用いて本開示を例示してきたが、本開示はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載した構成の範囲内において様々な態様で実施することができ、本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本開示は、新たなカルシウム含有食品を提供する。特に、本開示のカルシウム含有食品は、疲労低減、痙攣低減および/または疲労骨折予防に有用であり得るので、本開示は、スポーツ飲料など運動に伴って摂取される食品を提供し得る。