(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】癌細胞部位と病変の程度を識別するためのバイオセンサチップ及びその方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/34 20060101AFI20220119BHJP
C12Q 1/06 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
C12M1/34 Z
C12Q1/06
(21)【出願番号】P 2020131807
(22)【出願日】2020-08-03
【審査請求日】2020-08-03
(32)【優先日】2020-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】503004699
【氏名又は名称】國立中正大學
(74)【代理人】
【識別番号】100115613
【氏名又は名称】武田 寧司
(72)【発明者】
【氏名】王 祥辰
(72)【発明者】
【氏名】任 春平
(72)【発明者】
【氏名】范 宏▲ウェイ▼
(72)【発明者】
【氏名】王 信▲チェ▼
【審査官】馬場 亮人
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107971049(CN,A)
【文献】特開2000-208786(JP,A)
【文献】国際公開第2019/182142(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/34
C12Q 1/06
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板上に設置された電極とを備えるバイオセンサチップであって、前記基板は光電変換材料を含み、前記電極は二つの接触部と、電極パターンとを備え、前記光電変換材料は単結晶シリコン材料、金属酸化物、III-V族半導体またはII-VI族半導体材料であ
り、前記電極パターンは互いに間隔をあけた複数のマイクロ電極を含み、前記複数のマイクロ電極は、電極間隔の半径が約30μm~80μmの円形と直線形状の櫛形ジグザグ電極であることを特徴とする、バイオセンサチップ。
【請求項2】
前記複数のマイクロ電極の互いの距離は約60μm~160μmであることを特徴とする、請求項
1に記載のバイオセンサチップ。
【請求項3】
前記電極は金クロム合金であることを特徴とする、請求項1
または2に記載のバイオセンサチップ。
【請求項4】
前記複数のマイクロ電極を構成する各マイクロ電極は、各マイクロ電極の長手方向の一方の端部が前記二つの接触部のうちの一方を有する前記電極に接し、各マイクロ電極の長手方向の他方の端部が前記二つの接触部のうちのもう一方を有する前記電極に接している請求項1~3のいずれか一項に記載のバイオセンサチップ。
【請求項5】
前記複数のマイクロ電極を構成する各マイクロ電極は、各マイクロ電極の長手方向のそれぞれの端部が前記光電変換材料を含む基板上に設けた前記電極に接している請求項1~4のいずれか一項に記載のバイオセンサチップ。
【請求項6】
癌細胞部位を識別する方法であって、
テスト細胞を含む定量化後の細胞懸濁液を、請求項1~5のいずれか一項に記載のバイオセンサチップの電極パターン上に滴下するステップと、
信号発生器によって電信号を前記バイオセンサチップの二つの接触部に印加するステップと、
前記テスト細胞のアドミタンスを測定するように、センサを前記バイオセンサチップの二つの接触部に連接するステップと、
を含むことを特徴とする、癌細胞部位を識別する方法。
【請求項7】
前記電信号は、1MHz及び10Vp-pの電圧であり、且つ約5分維持することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記テスト細胞のアドミタンスを測定するステップにおいて、前記センサは500 kHz及び1Vp-pの電圧で測定を行うことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
癌細胞病変の程度を識別する方法であって、
テスト細胞を含む定量化後の細胞懸濁液を、請求項1~5のいずれか一項に記載のバイオセンサチップの電極パターン上に滴下するステップと、
信号を感知するようにセンサを前記バイオセンサチップの二つの接触部に連接するステップと、
前記バイオセンサチップを安定させるように暗室中に第一所定時間放置するステップと、
点灯して第二所定時間放置した後に、消灯して第三所定時間放置してから、前記センサで光電流応答の数値を収集するステップと、
を含むことを特徴とする、癌細胞病変の程度を識別する方法。
【請求項10】
前記第一所定時間は約30秒~1分、前記第二所定時間は約10秒~30秒、前記第三所定時間は約10秒~70秒であることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一種のバイオセンサチップに関わり、特に、癌細胞部位と病変の程度を識別できるバイオセンサチップ及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
癌は、組織細胞の異常増殖が腫瘍を形成する疾患で、その細胞は循環系を介して他の部位に移動し、循環腫瘍細胞になる。疾患の発症時には、これらの細胞を血液または生体組織のサンプルから検出することは非常に難しく、特に転移性腫瘍細胞では、非常にユニークな活動パターンを示す。過去の実験から、癌細胞は初期の表在型から最終の転移型までの4つの病理学的ステージに分けることができることがわかる。癌細胞が末期で他の部分に転移されると、治療の機会も減少していくことになる。癌細胞の位置と形態をすばやく特定するには、相応の方法とツールが必要となり、そのうち、バイオセンサは通常の選択肢の一つである。
【0003】
20世紀半ば、酵素電極の概念が提唱された後、バイオセンサは商業開発と量産に移行し始め、第一世代のバイオセンサ市場が展開され、且つ1979年に最初に医療検査の分野に導入され、その最初の製品は、血糖値検出用のバイオセンサであった。そして、メディエータ分子(Mediator Molecules)の開発によってバイオセンサの応答時間と感度が改善されると共に、ペン型とクレジットカード型の携帯型小型バイオセンサにより、医療検査市場の主流商品となっている。
【0004】
技術の発展に伴い、第二世代バイオセンサの開発は、分子認識成分としての抗体または受容体タンパク質の使用として定義され、信号変換器の選択は、電界効果半導体(FET)、光ファイバー(FOS)、圧電性結晶(PZ)、表面弾性波(SAW)など、より多様化に発展している。
【0005】
現在開発中の第三世代バイオセンサは、携帯性、自動監視、およびリアルタイム監視機能を強化する方向に進めている。例えば、MEMS技術はアレイ型バイオセンサの開発に使用されていますが、ほとんどが免疫型アレイセンサ(免疫センサ)である。一方、酵素型アレイバイオセンサは、酵素が変性しやすいため、基板の表面に共有結合やクロスリンク技術をもって固定するには適さないので、まだ開発の余地がある。
【0006】
誘電泳動(Dielectrophoresis,DEP)の原理は、電界の作用による分極現象であり、分極による双極子モーメントと電界の作用により誘電泳動力が発生する。誘電泳動は、細胞、細菌、生体分子、核酸、およびその他の粒子を非破壊的な方法で操作、分離、および凝集することができるため、広く使用されている。誘電泳動による細胞操作において、物質を改変する必要がなく、細胞への損傷が最小限であり、且つ誘電泳動は非接触力の操作であり、単一またはグループ単位で制御できるため、細胞操作に適している。誘電泳動は主に、粒子と溶液の間の異なる誘電特性(伝導度と誘電係数)に基づいて、不均一交流電界を利用して粒子が非対称の誘導分極エネルギーを生成し、電界の作用で粒子が高または低電界の場所に移動して分離することになる。粒子が溶液中に電界分極を受けると、粒子の分極能力が周囲の溶液よりも優れている場合、粒子の内部で生成される電荷の量は周囲の溶液よりも多くなり、その結果、電荷密度の分布が不均一になり、電気双極子と電界の方向が同じ方向になる。逆に、粒子の分極能力が周囲の溶液より小さい場合、周囲の溶液中の電荷の量は粒子の表面よりも多くなり、電気双極子の方向が電界の方向と反対になる。誘電泳動の現象は、粒子と媒体溶液の分極能力に依存し、誘電泳動の移動距離を決めるのは、伝導度と誘電係数であり、伝導度が大きい場合、電荷の移動速度は速くなり、伝導度が小さい場合、電荷の移動速度は遅くなるため、粒子内部に電荷を蓄積する能力に影響するのは誘電係数である。
【0007】
近年、生物医学の研究が次第に注目を集めており、その中でもラボオンチップ(lab-on-a-chip)は多くの国の多くの研究チームの注目を集めており、サンプル消費量の削減、人員要件の削減、検査速度の加速、操作手順の簡素化及び検査室スペースの節約などの要件を備えたチップの開発に注力している。このようなチップは、従来の実験室によるサンプル分析を数センチのチップ上に行うことができる小さなデバイスであり、その応用範囲は非常に広く、それらの中で、生物医学的測定及び分析において、例えば連続的な粒子の分離(Continuous Size Separation)などの特定のサンプルを研究する場合が多いので、DEPは各国の研究チームによって最も注目されている。これらのサンプルは、細菌や細胞などであり、主に粒子と溶液の間の異なる誘電特性を利用して、不均一な電場を与えて粒子に異なる分極現象(Electrical Polarization)を促進し、粒子が異なる電界強度の位置に向かって移動することによって粒子分離の効果が達成される。そのうち、誘電泳動力の強度と方向は、粒子と溶液との間の誘電特性、印加する交流電界の強度、粒子のサイズ、電界の変化率、周波数に関連する。粒子の分極能力が周囲の溶液よりも優れている場合、粒子は高電界勾配の方向に移動して正の誘電泳動(positive Dielectrophoresis,pDEP)を形成し、逆に粒子の分極能力が周囲の溶液よりも弱い場合、粒子は低電界勾配の方向に移動して負の誘電泳動(negative Dielectrophoresis,nDEP)を形成する。
【0008】
また、リソグラフィプロセステクノロジーを介して酸化シリコン上にマイクロ電極を製造し、電極上に5μlの金ナノ粒子を滴下し、プローブを用いて交流電を印加し、異なる電極及び異なる電圧での金ナノ粒子の変化を観察する研究も知られている。電圧が8Vの場合、金ナノ粒子は規則的な真珠紐状を形成するのに1秒しか掛からず、また、通過する電流が高すぎると、高電流が電極ギャップ中の金ナノ粒子を溶かすことになる。この実験も、マイクロ電極アレイにおける誘電泳動の統合を達成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
癌細胞の認識速度を改善すると共に、消耗品を節約するように、本発明の目的は、癌細胞の抵抗及び光電流効果を同時に検出するために使用できるバイオセンサチップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的により、本発明は一種のバイオセンサチップを提供し、そのバイオセンサチップは、基板と、基板上に設置された電極とを備え、前記基板は光電変換材料を含み、前記電極は二つの接触部と、電極パターンとを備える。そのうち、前記光電変換材料は単結晶シリコン材料、金属酸化物、III-V族半導体またはII-VI族半導体材料である。
【0011】
好ましくは、電極パターンは互いに間隔をあけた複数のマイクロ電極を含む。
【0012】
好ましくは、前記複数のマイクロ電極は、電極間隔の半径が約30μm~80μmの円形と直線形状の櫛形ジグザグ電極である。
【0013】
好ましくは、前記複数のマイクロ電極の互いの距離は約60μm~160μmである。
【0014】
好ましくは、前記電極は金クロム合金である。
【0015】
上記の目的により、本発明はさらに癌細胞部位を識別する方法を提供し、その方法は以下のステップを含む:テスト細胞を含む定量化後の細胞懸濁液を、バイオセンサチップの電極パターン上に滴下するステップ;信号発生器によって電信号を前記バイオセンサチップの二つの接触部に印加するステップ;前記テスト細胞のアドミタンスを測定するように、センサを前記バイオセンサチップの二つの接触部に連接するステップ。
【0016】
好ましくは、前記電信号は、1MHz及び10Vp-pの電圧であり、且つ約5分維持する。
【0017】
好ましくは、前記テスト細胞のアドミタンスを測定するステップにおいて、前記センサは500kHz及び1Vp-pの電圧で測定を行う。
【0018】
上記の目的により、本発明はさらに癌細胞病変の程度を識別する方法を提供し、その方法は以下のステップを含む:テスト細胞を含む定量化後の細胞懸濁液を、バイオセンサチップの電極パターン上に滴下するステップ;信号を感知するようにセンサを前記バイオセンサチップの二つの接触部に連接するステップ;前記バイオセンサチップを安定させるように暗室中に第一所定時間放置するステップ;点灯して第二所定時間放置した後に、消灯して第三所定時間放置してから、前記センサで光電流応答の数値を収集するステップ。
【0019】
好ましくは、前記第一所定時間は約30秒~1分、前記第二所定時間は約10秒~30秒、前記第三所定時間は約10秒~70秒である。
【発明の効果】
【0020】
上記の特徴により、本発明により提供される癌細胞部位と病変の程度を識別するためのバイオセンサチップ及びその方法は、以下の利点を有する:
【0021】
(1)バイオセンサによる簡単且つ高速な検出ができる。
【0022】
(2)一枚のチップのバイオセンサで、癌細胞部位と病変の程度を同時に識別し、コストを節約することができる。
【0023】
(3)マイクロ電極によって検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
以下の図面の説明は、本発明のさらなる理解を提供するために含まれ、且つ本明細書の一部として組み込まれる。その図面は、本発明の例示的な実施形態を示し、明細書と共に本発明の概念を説明する。
【
図1】本発明の実施例に係るバイオセンサチップを示す概略図である。
【
図2】本発明の実施例に係るバイオセンサチップのマイクロ電極を示す拡大図である。
【
図3】本発明の実施例に係るバイオセンサチップに誘電泳動を適用する前後の細胞の光学顕微鏡写真である。
【
図4】本発明の実施例に係る4種類の癌細胞のアドミタンスの変化を示す図である。
【
図5】本発明の実施例に係る4種類の癌細胞が異なる細胞数での光電流応答の測定結果を示す図である。
【
図6】CE81T食道癌細胞が異なる細胞数での光電流応答の測定結果を示す図である。
【
図7】本発明の実施例に係るバイオセンサチップを利用してアドミタンス値と光電流応答を同時に測定する場合の抵抗測定値を示す図である。
【
図8】本発明の実施例に係るバイオセンサチップを利用してアドミタンス値と光電流応答を同時に測定する場合の光電流応答測定値を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の説明において、本発明の様々な例示的な実施形態または実例のより完全な理解を提供するために、多くの細部の詳細が示されている。しかしながら、これらの詳細なしに、または1つ以上の同等の構成を用いても、様々な例示的な実施形態を実施できることは明らかである。さらに、様々な例示的な実施形態は異なる場合があるが、排他的である必要はない。例えば、例示的な実施形態の特定の形状、構成や特性は、本発明の概念から逸脱することなく、他の例示的な実施形態で使用または実装することもできる。
【0026】
特に明記しない限り、例示された例示的な実施形態は、本発明の概念を実際に実現するためのいくつかの方法の詳細を示す例示的な特徴を提供すると理解されるべきである。したがって、特に明記しない限り、様々な実施形態の特徴、層、フィルム、パネル、領域、及び/または態様は、本発明の概念から逸脱することなく、さらに組み合わせ、分離、交換、及び/または再配置することができる。
【0027】
さらに、図面において、要素のサイズおよび相対サイズは、明確化及び/または説明目的のために誇張されている場合がある。例示的な実施形態が異なるように実現される場合、記載された順序とは異なるように特定の処理順序で実現され得る。例えば、連続して説明された2つのプロセスは、実質的に同時、または説明されたものと逆の順序で実行されてもよい。また、同じ符号は同じ要素を示し。
【0028】
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する分野の通常の知識を有する者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。例えば、一般的な辞書で定義されている用語は、関連する分野での意味と一致する意味を持つものとして解釈されるべきであり、ここで明確に定義されていない限り、理想的または過度に正式な意味で解釈されるべきではない。
【0029】
図1は本発明の実施例に係るバイオセンサチップ1を示す概略図である。
図2は本発明の実施例に係るバイオセンサチップの電極パターン3を示す拡大図である。
【0030】
図1を参照すると、本発明の実施形態によるバイオセンサチップ1は、電極2と電極パターン3とを含む。電極間に集中している細胞の量を測定して細胞の抵抗値を定量化するために、
図3に示すように、電極間隔は、30μm~80μm、好ましくは40μm~60μm、より好ましくは50μmの半径を持つ円と直線形状の櫛形ジグザグ電極に設計されている。電極パターン3に含まれる波状または櫛形ジグザグマイクロ電極4間の距離は、60μm~160μm、好ましくは80μm~1200μm、より好ましくは100μmである。これは、電極間に集中する定量の細胞を測定するように設計されており、高周波電圧を印加する時に、生きている細胞に十分な誘電泳動力を発生させることができ、且つ一般的なマイクロ電極よりも感度が高くなる。
【0031】
本実施例のチップは、単結晶シリコン(Monocrystalline)を基板として製造プロセスを進行し、単結晶シリコン材料に加えて、金属酸化物(亜酸化銅、酸化亜鉛など)、III-V族半導体、II-VI族半導体材料などの光電効果を持つ材料を使用することができる。単結晶シリコン基板は光電変換効率が高く、チップ製造に標準の黄色光リソグラフィプロセスを使用し、このプロセスでは、フォトマスクで定義されたパターンを使用して、基板上に目的の電極パターンを生成し、製造プロセスは、Au/Cr電子ビーム蒸着、及び電極リソグラフィープロセスという二つのステップに分かれており、その製造プロセスの詳細は次のとおりである:
【0032】
Au/Cr電子ビーム蒸着
【0033】
このプロセスは、主に真空環境でターゲット材料に衝突して物理蒸着を行い、電子ビーム蒸着法により、高エネルギー電子ビームの運動エネルギーをターゲット材料溶融用の熱エネルギーに変換し、融点近傍のターゲット材料の飽和蒸気圧を利用して、気化・昇華するまで材料を加熱してガスが近くの基板の表面に付着して薄膜を形成することで、従来の抵抗加熱蒸着法と比較して、ターゲット材料の制限を克服できるだけでなく、蒸発による汚染を効果的に低減することができる。蒸着速度に関しては、電子ビーム蒸着は電流を制御することにより速度を高精度に制御することもでき、毎分1nmの蒸着速度を達成できる。
【0034】
本発明で使用される電子ビーム蒸着システム上方のサンプルホルダーは、最大6つの4インチウェーハのサンプルを置くことができ、且つ単一の蒸着プロセスに最大4種類のターゲット材料を置くことができ、実験の要求に応じて加熱ランプを使って高温環境(~250℃)を提供することもできる。
【0035】
電極リソグラフィープロセス
【0036】
a.フォトレジストを塗布(スピンコーティング):
【0037】
このプロセスでは、S1813ポジティブフォトレジストを使用し、最初にシリコン基板を適切なサイズにカットし、アセトン、メタノール、DI水で表面を洗浄し、ガラスウェーハをフォトレジストコーティングマシンに入れ、コーティング用のS1813ポジティブフォトレジストを適量塗布する。ガラス上にフォトレジストを均一に塗布するために、コーティング機を2段階に分けて設定し、第1段階では、回転速度を700rpmで10秒間コーティングに設定し、この段階で過剰なS1813ポジティブフォトレジストを低回転速度で初歩的に除去することができる;第2段階では、1700rpmで20秒間コーティングし、この段階で高回転速度でフォトレジストを基板上に均一に約3μmの厚さでスピンコーティングできる。
【0038】
b.ソフトベイク:
【0039】
フォトレジストのスピンコートが完了後、90℃のホットプレート上に4分間置いてソフトベークを行い、加熱によりフォトレジスト中の有機溶液を蒸発させ、露光中にフォトレジストとマスクがくっつけることを防ぐと共に、フォトレジストはより平坦化され、フォトレジストと基板の間の接着力を強化できる。ソフトベイクの温度と時間が不十分な場合、有機溶液の残留が多すぎてグラフィックの解像度が低下し、その逆の場合、フォトレジストの光に対する感度が低下し、現像が難しくなる。
【0040】
c.露光:
【0041】
リソグラフィは、光源の種類に応じて、紫外光リソグラフィ、電子ビームリソグラフィ、及びX線リソグラフィに分けられ、本発明は、黄色光リソグラフィープロセスを使用し、その光源が低圧及び高圧水銀ランプまたは水銀キセノンアークランプであるため、350nm~450nmの紫外波長範囲に2つの高輝度発光スペクトル線、すなわちg線(436nm)とi線(365nm)がある。露光の目的は、主にフォトレジストの結合または結合の破壊であるため、露光された部分は現像液の溶解度に大きく変わることを利用して、パターン転写の目的を達成する。露光前に、照度計(パワーメータ)を使用して露光機の露光パワー(mW/cm2)を測定し、露光に必要な時間を計算する必要がある。
【0042】
露光時間の理論式は次のとおり:
露光量(mJ/cm2)=露光パワー(mW/cm2)×露光時間(秒)
【0043】
ソフトベークされたチップを露光した後、電極パターンを有するマスクを、シリコン基板上にコーティングされたS1813フォトレジスト上に覆うてから、再び露光を行う。
【0044】
d.露光後ベーク:
【0045】
露光中、フォトレジストで吸収されなかった光の一部はフォトレジストを通過して基板の表面に到達し、反射と入射光の光波は建設的及び破壊的な干渉を生じ、定在波効果(Standing wave effect)が形成され、この効果より、フォトレジストが不均一な光強度にさらされ、フォトレジストの側面に波打ちが発生することにより、フォトレジストの線幅が変化して後の工程に影響を与えますので、露光後ベークにより露光後のフォトレジストを再配置し、定在波効果による異常を低減することができる。本実験のプロセスでは、ウェーハを露光し、90℃で4分間ベークした。
【0046】
e.現像:
【0047】
本実施例では、S1813の特殊現像液MP351を用いて現像を行い、その混合比はMP351:DI水=1:4(v/v)とし、ガラスウェーハを混合されたMP351現像液に入れて、約10~15秒間均一に振とうし、フォトレジスト層が脱落すれば現像が完了する。フォトレジスト層が完全に脱落されてない場合は、脱落するまで上記の工程を繰り返し、最後にDI水を使用して洗浄すると、後続のエッチングに必要なバリア層が完成する。
【0048】
f.ハードベイク:
【0049】
フォトリソグラフィが完了する前に、ハードベークをする必要があり、ウェーハを120°Cのホットプレートに置き、10分間ベークする。この目的は、フォトレジスト層の残留溶剤含有量を最小限に抑え、フォトレジスト層の表面に対する結合能力を向上し、且つエッチングが容易になるようにフォトレジスト層の結合を強化して耐酸性を向上する。
【0050】
g.エッチング:
【0051】
エッチングとは、ガラス表面に酸性、腐食性、研磨性の物質を使用する技術のことで、現在のエッチングは主に半導体プロセスで用いられ、ドライエッチング(Dry Etching)とウェットエッチング(Wet Etching)に分けらる。本実施例ではウエットエッチングを使用し、金のエッチング液にウェーハを入れ、基板上の不要な金の膜が除去されるまで3分間浸漬し、金膜が除去されてない場合は、除去までの浸漬時間を長くする。金の膜をエッチングした後、金のウェーハをクロムのエッチング液に入れ、3分間浸漬した後、ウェーハを取り出してDI水で洗浄し、顕微鏡で電極パターンが完成したかどうかを観察し、エッチング工程を完了する。
【0052】
h.フォトレジスト除去:
【0053】
アセトン、メタノール、脱イオン水を使用して、ガラスの表面に残留したフォトレジストを洗浄し、ウェーハの製造を完了する。
【0054】
本発明の実施例によるバイオセンサチップは、任意の適切な方法及びプロセスによって製造することができ、上記の方法に限定されないことを理解されたい。
【0055】
本発明のバイオセンサチップの使用方法は、例示的な実施例に従って以下に詳細に説明される。
【0056】
癌細胞識別実験
【0057】
本発明は、バイオセンサチップを使用して、抵抗測定システム及びマイクロ電流計を用いて、異なる人種の異なる部位及び同じ部位の4株の癌細胞を識別する。その癌細胞は、それぞれOE21食道癌細胞、CE81T/VGH食道癌細胞、A549肺腺癌細胞、TSGH-8301膀胱癌細胞である。OE21食道癌細胞、CE81T/VGH食道癌細胞、A549肺腺癌細胞、TSGH-8301膀胱癌細胞。この実験では、細胞を培養、計数、交換したあとに測定し、抵抗測定部には、一種のDEPIM櫛形ジグザグのマイクロ電極を使用して、電極に正の誘電泳動力を発生させ、高電界領域を生成してマイクロ電極の先端に4株の癌細胞を集めた後、正弦関数信号で測定を行う。測定において、誘電泳動力によって細胞を集め、櫛形電極の間隔は細胞を収容できように高い表面積を有し、計算後にアドミタンス値を得てから解析することが理想的である。光電流量測定部は、マイクロ電流計を使用して、プローブを介してウェーハにバイアスをかけ、コンポーネントが光を吸収して励起キャリアを生成し、GSHとGSSGの濃度を使用して、電子と正孔の分離を促進し、癌病変の程度と光電流の関係を検出する。
【0058】
癌細胞用培地の調製
【0059】
本実験では、CE81T食道癌細胞、OE21食道癌細胞、A549肺腺癌細胞、TSGH-8301膀胱癌細胞の4種類の癌細胞を使用した。培地を配置する場合、細胞の必要に応じて調製し、TSGH8301細胞に必要な培地はRPMI-160;CE81T、CE81T-4、A549細胞に必要な培地はDMEMであり、RPMI-160を調製するときは、2.0g/Lの炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を追加してpH値のバランスを取り、細胞の適切な増殖環境(通常pH値7.1~7.3)に調整するように塩酸(HCl)または酸化ナトリウム(NaOH)を使用した後、フィルター膜(0.22μm)を使用して濾過し、滅菌後、ガラス瓶に密封して冷凍庫に入れて、最後に、使用する前に培地に1%(v/v)の抗生物質(Antibiotic-Antimycotic,Gibco,Grand Island,NY,USA)及び10%(v/v)のウシ胎児血清(Heat-inactivated fetal bovine serum,FBS,Gibco,Grand Island,NY,USA)を追加し、それぞれ細菌またはカビの増殖を抑制するものと、細胞増殖に必要な栄養素を提供するものである;DMEMを調製するときは、3.7g/Lの炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を追加してpH値のバランスを取り、細胞の適切な増殖環境(通常pH値7.1~7.3)に調整するように塩酸(HCl)または酸化ナトリウム(NaOH)を使用した後、フィルター膜(0.22μm)を使用して濾過し、滅菌後、ガラス瓶に密封して冷凍庫に入れて、最後に、使用する前に培地に1%(v/v)の抗生物質(Antibiotic-Antimycotic,Gibco,Grand Island,NY,USA)及び10%(v/v)のウシ胎児血清(Heat-inactivated fetal bovine serum,FBS,Gibco,Grand Island,NY,USA)を追加し、それぞれ細菌またはカビの増殖を抑制するものと、細胞増殖に必要な栄養素を提供するものである。
【0060】
細胞溶液/サンプル調製
【0061】
誘電泳動実験において、細胞と周囲の溶液との電気特性の差異が実験全体の鍵となり、誘電泳動現象に影響を与えるCM因子があれば、誘電泳動現象が発生しにくくなるので、誘電泳動実験を行うための適切な溶液を選択しなければならない。また、生細胞としては、浸透圧の高い溶液(純水)に浸すと細胞が膨潤し、浸透圧の低い溶液(食塩水)に浸すと細胞が収縮するので、どちらも生細胞実験に使用できない。実験において、溶液が細胞培養液などの導電率が高いものである場合、誘電泳動が発生できず、一方PBS溶液なら、ジュール熱と気泡が発生して電極の損傷と細胞の死亡を引き起こす可能性があるため、本実験では等張のスクロース溶液8.62%を使用し、電気伝導率は17.6μS/cmで、実験中に細胞をアクティブに保つための実験溶液として使用する。実験の前に、細胞溶液を遠心分離で交換し、550rpm/5分の回転速度で細胞を遠心チューブの底に細胞を集め、上層液を吸引した後、等量のスクロース液を加える。この操作を10回繰り返すと、溶液の交換が完了し、細胞数を数えた後に、誘電泳動及び測定実験を実行する。
【0062】
抵抗測定システムの設置
【0063】
本実験では、Microtest 6630 Impedance Analyzer(Precision Impedance Analyzer)を使用する。測定において、信号発生器(Function generator, Agilent 33220A)は広範囲の振幅と周波数の励起信号を提供できるため、信号発生器と組み合わせるように1Vp-p電圧AC周波数を測定に使用する。CCDレンズ((DP71, Olympus, Tokyo, Japan)を搭載した正立顕微鏡(OLYMPUS、BX43)をコンピュータに接続していれば、細胞サンプルの変化を観察及び記録ができる。
【0064】
抵抗測定実験の手順
【0065】
まず、製造されたウェーハの抵抗が最初に測定される。製造プロセスの影響により、電極が剥がれたり、断裂したりするなど、抵抗値が過大になることがあり、抵抗値が過大のウェーハは、確認後に廃棄される。それ以外の場合は、マイクロポジショナーでプローブを固定した後にバイオセンサチップ1上の電極2に接触させる。このマイクロポジショナーでプローブを固定することにより、プローブの安定性が向上し、振動の影響を受けにくくなる。実験の最初に、スクロースのアドミタンス値が測定され、細胞サンプルの部分は、カウンティングボードを使用して計算された後に、バイオセンサチップ1の電極パターン3に滴下する。滴下した細胞は溶液中に浮遊するため、細胞がウェーハの底に落ち着くまで5分間待ってから、1MHzと10Vp-pの電圧を5分間印加して細胞を凝集させる誘電泳動を発生させ、細胞がマイクロ電極4の間に真珠紐を形成するまで静置する。それから、500kHz、1Vp-pで測定を行い、信号が安定してから理想的な測定データが得られる。測定された信号は、データポートを介して収集、計算されてコンピューターに送信されてから、Originソフトウェアを使用してデータ処理を行い、細胞サンプルのアドミタンス値を取得する。
【0066】
光電応答システムの設置
【0067】
本実験では、光電流測定システムの主要な測定としてマイクロ電流計(AMETRIX Instruments Model 101)を使用することで、従来のより高価な機器より優れた分解能と精度を提供し、静かで安定した測定と測定時間の大幅的な短縮を実現する。光電流測定システムは、マイクロポジショナー(Micropositioner EB-700)を介してプローブの接触圧と位置を固定し、マイクロ電流計はプローブを介してウェーハにバイアスをかけると共に、光源を使用してサンプルのキャリア分離を励起し、プローブを接続して光電流応答を測定する。上記では、ソフトウェアを介して数値を設定する必要がある。
【0068】
光電流応答実験の手順
【0069】
まず、製造されたバイオセンサチップ1をDI水で洗浄し、窒素でバイオセンサチップ1を乾燥させた後、マイクロポジショナーでプローブを固定してバイオセンサチップ1と接触し、マイクロポジショナーでプローブを固定することにより、プローブの安定性が向上し、振動の影響を受けにくくなる。そして、LabVIEW RTE2013によって作成されたソフトウェア(Pluse Scan V1.1)によってマイクロ電流計を制御し、マイクロ電流計によって1vのバイアスが与え、室内光源でサンプルを励起する。室内光源は入手が簡単で、光源とチップ間の距離を固定できる。暗室での実験では、外部光源の干渉による信号の不安定を回避できるため、本実験は暗室で実行する必要がある。細胞サンプル部分は、先にカウンティングボードによってカウントされ、バイオセンサチップ1の電極パターン3に滴下する。理想的なデータを取得するために、最初の時はバイオセンサチップ1を約30秒から1分間、好ましくは30秒間置いて信号を安定させる。その後、10秒~30秒点灯及び10秒~70秒消灯の規則でチップの光電流応答を測定し、好ましくは10秒点灯、10秒消灯の周期で測定する。上記は、ソフトウェアを介して光電流応答値を収集する必要があり、測定された信号は、データポートを介して収集、計算されてコンピューターに送信されてから、Originソフトウェアを使用してデータ処理を行い、細胞サンプルのアドミタンス値を取得する。
【0070】
結果
【0071】
誘電泳動での細胞凝集
【0072】
図3は、バイオセンサチップに10Vp-pAC電圧を印加する前後の光学顕微鏡画像であり、そのうち、(a)は誘電泳動前の6000個のCE81T細胞、(b)は誘電泳動後の6000個のCE81T細胞、(c)は誘電泳動前の30000個のCE81T細胞、(d)は誘電泳動後の30000個のCE81T細胞、実験では東洋人の食道癌細胞CE81Tを例にとり、電極上で1MHz、10Vp-pの正弦波で10分間誘電泳動(DEP)凝集を行い、凝集範囲は3000~30000個の細胞数。この時、細胞は正の誘電泳動力を示し、そのうち
図3(a)および3(c)はそれぞれ誘電泳動前の食道癌細胞6000個と30000個の光学顕微鏡像であり、
図3(b)及び
図3(d)は、誘電泳動後の食道癌細胞6000個と30000個の光学顕微鏡画像である。
図3に示すように、誘電泳動後の細胞はマイクロ電極4の先端付近に真珠紐状に集まっている。
【0073】
誘電泳動抵抗測定結果
【0074】
等価回路モジュールの計算式から、抵抗とアドミタンスは相反関係にあることがわかり、実験開始前にバイオセンサチップ1を測定した場合、バイオセンサチップ1の電極パターン3の上に細胞がなく単純にスクロース溶液の抵抗値を測定し、その時の抵抗値からスクロースのアドミタンス値を算出する。次に、さまざまな細胞数のテストで取得したアドミタンス値と参照サンプルのアドミタンス値を使用して、正しいアドミタンス値の変化を算出する。
図4は、4種類の癌細胞が異なる細胞数でバイオセンサチップ1に注入した場合のアドミタンス値の変化を示す図であり、それぞれOE21-1白人食道癌細胞、CE81T-1食道癌細胞、A549肺腺癌細胞、及びTSGH-8301膀胱癌細胞の結果を示す。
図4から、アドミタンス値の変化と細胞数の間には線形関係があり、線形回帰も90%を超えていることがわかる。アドミタンス値と細胞数の間の関係図の変化は、異なる部位の癌細胞では異なる勾配を表し、勾配の違いによって異なる部位の癌細胞を識別することができる。
【0075】
光電気化学応答測定の結果
【0076】
本実験で得られた光電流応答データは、点灯前の光電流値がすべて同じになるように計算された後、点灯後の一定の時点での光電流データが取得されることで、正しい光電流値が得られる。
図5は、異なる細胞数の4種類の癌細胞の光電流応答測定結果を示し、そのうち、CE81T-1及びCE81T-4は、東洋人の食道癌細胞の第1ステージおよび第4ステージの病変であり、そしてOE21-1は、白人の食道癌細胞の第1ステージの病変である。マイクロ電流計で測定された部位と病変程度の異なる癌細胞が、異なる癌細胞数で測定された光電流応答曲線を見ると、
図5に示すように、光電流応答と癌細胞数の関係は線形であることがわかる。図から観察すれば、異なる程度の癌病変を有する癌細胞の光電流応答が細胞数の勾配と大きな差を示す、
図6では、異なる細胞数でのCE81T食道癌細胞の光電流量測定結果であり、そのうち、CE81T-1は第1ステージの癌病変、CE81T-4は第4ステージの癌病変である。
図6の測定結果から、勾配の差を使用して、病変の程度が異なる癌細胞を特定できると推定する。
【0077】
次に、
図7および
図8を参照する。
図7は、本発明の実施例に係るバイオセンサチップを利用してアドミタンス値と光電流応答を同時に測定する場合の抵抗測定値を示す図である。
図8は、本発明の実施例に係るバイオセンサチップを利用してアドミタンス値と光電流応答を同時に測定する場合の光電流応答測定値を示す図である。本発明の実施例によるバイオセンサチップは、細胞アドミタンス値と光電応答を同時に測定することができる。
【0078】
アドミタンス測定プローブと測定光電流プローブの両端を
図1の対応する電極2に接続し、自作の検出ソフトウェアを使用して抵抗測定器と光電流量測定器を同時に制御し、同時に測定する。この回路構造と自作の測定ソフトウェアを使用して、光電応答と細胞アドミタンスを同時に測定できる。
図7と
図8に示す測定結果は、細胞の光電応答と細胞アドミタンスの測定値である。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明により提供されるバイオセンサチップ及び方法は、勾配の違いを有効的に利用して、OE21食道癌細胞、CE81T/VGH食道癌細胞、A549肺腺癌細胞、TSGH-8301膀胱癌細胞を区別することができると共に、同じ部位の異なる癌病変の程度を検出する機能がある。本発明の実施例のバイオセンサチップは、複雑で高価な機器なしで癌細胞を検出及び分析するためにわずかな時間しか必要とせず、抵抗測定及び光電流応答測定の結果において、細胞数とアドミタンス及び細胞数と光電流値ではほぼ直線的に関連しており、勾配の違いでこれらの癌細胞を区別できる。
【0080】
以上に説明した内容は例示に過ぎず、本発明を限定するものではありません。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく行われた同等の修正または変更は、添付の特許出願の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0081】
1 バイオセンサチップ
2 電極
3 電極パターン
4 マイクロ電