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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】光半導体素子およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/227 20060101AFI20220119BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
H01S5/227
H01L21/205
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017198040
(22)【出願日】2017-10-11
(65)【公開番号】P2019071397
(43)【公開日】2019-05-09
【審査請求日】2020-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000154325
【氏名又は名称】住友電工デバイス・イノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 孝幸
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-064907(JP,A)
【文献】特開昭59-165479(JP,A)
【文献】特開平07-111361(JP,A)
【文献】特開2016-031970(JP,A)
【文献】特開平11-121869(JP,A)
【文献】特開平07-202317(JP,A)
【文献】特開2011-249766(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0007529(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 - 5/50
H01L 21/205
H01L 21/31
H01L 21/365
H01L 21/469
H01L 21/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
メサ構造を有する、前記半導体基板の上に設けられたn型クラッド層および前記n型クラッド層の上に設けられた活性層と、
前記活性層の上に設けられ、前記活性層よりも幅が狭い第1のp型クラッド層と、
前記活性層の上であって前記第1のp型クラッド層の両側面に接して設けられ、前記第1のp型クラッド層よりも高いキャリア濃度を有する第2のp型クラッド層と、
前記メサ構造の前記n型クラッド層および前記活性層の側面から前記第2のp型クラッド層の下面に延在して設けられた、前記第2のp型クラッド層よりも低いキャリア濃度を有するp型の埋込層と、
前記活性層の上の領域を含む前記第2のp型クラッド層の上に設けられたn型ブロック層と、
前記第1のp型クラッド層および前記n型ブロック層の上に設けられた第3のp型クラッド層と、を具備する光半導体素子。
【請求項2】
前記第2のp型クラッド層の厚さは0.05μm以上、0.15μm以下である請求項1に記載の光半導体素子。
【請求項3】
半導体基板の上にn型クラッド層を形成する工程と、
前記n型クラッド層の上に活性層を形成する工程と、
前記活性層の上に第1のp型クラッド層を形成する工程と、
前記第1のp型クラッド層にストライプ状のマスクを形成する工程と、
前記ストライプ状のマスクをマスクにストライプ状の前記n型クラッド層、前記活性層、前記第1のp型クラッド層からなるメサを形成する工程と、
前記メサの両側にp型の埋込層を形成する工程と、
前記ストライプ状のマスクをエッチングにより後退させ、前記第1のp型クラッド層を前記ストライプ状のマスクから露出させる工程と、
前記後退させたマスクを用いて、前記第1のp型クラッド層の幅を前記活性層よりも狭くする工程と、
前記後退させたマスクを用いて、前記活性層の上であって前記第1のp型クラッド層の両側面に接して、前記第1のp型クラッド層よりも高いキャリア濃度を有する第2のp型クラッド層を形成する工程と、
前記活性層の上の領域を含む前記第2のp型クラッド層の上にn型ブロック層を形成する工程と、
前記第1のp型クラッド層および前記n型ブロック層の上に第3のp型クラッド層を形成する工程と、を有し、前記p型の埋込層のキャリア濃度は前記第2のp型クラッド層よりも低い、光半導体素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光半導体素子およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光通信システムなどには光を出力する光半導体素子が用いられている(特許文献1)。高温環境下における光半導体素子の高出力動作を実現するために、光半導体素子の直列抵抗の低減、および発光層である活性層への効率的な電流注入が重要である。電流注入の効率化のため、例えばn型、p型、n型およびp型の導電型の半導体層を積層したサイリスタ構造を活性層の近傍に形成することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-55696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サイリスタ構造を形成するため、活性層の上にクラッド層を積層し、クラッド層の上にクラッド層とは反対の導電型のブロック層を設ける。しかし、活性層に注入される電流がブロック層により狭窄されるため、光半導体素子の直列抵抗が増加してしまう。また、活性層とブロック層との間でリーク電流が発生する恐れがある。
【0005】
そこで、直列抵抗の低減およびリーク電流の抑制が可能な光半導体素子およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る光半導体素子は、半導体基板と、前記半導体基板の上に設けられたn型クラッド層と、前記n型クラッド層の上に設けられた活性層と、前記活性層の上に設けられた第1のp型クラッド層と、前記活性層の上であって前記第1のp型クラッド層の両側に設けられ、前記第1のp型クラッド層よりも高いキャリア濃度を有する第2のp型クラッド層と、前記第2のp型クラッド層の上に設けられたn型ブロック層と、前記第1のp型クラッド層および前記n型ブロック層の上に設けられた第3のp型クラッド層と、を具備するものである。
【0007】
本発明に係る光半導体素子の製造方法は、半導体基板の上にn型クラッド層を形成する工程と、前記n型クラッド層の上に活性層を形成する工程と、前記活性層の上に第1のp型クラッド層を形成する工程と、前記第1のp型クラッド層にストライプ状のマスクを形成する工程と、前記ストライプ状のマスクをマスクにストライプ状のメサを形成する工程と、前記マスクをエッチングにより後退させる工程と、前記後退させたマスクを用いて、前記活性層の上であって前記第1のp型クラッド層の両側に、前記第1のp型クラッド層よりも高いキャリア濃度を有する第2のp型クラッド層を形成する工程と、前記第2のp型クラッド層の上にn型ブロック層を形成する工程と、前記第1のp型クラッド層および前記n型ブロック層の上に第3のp型クラッド層を形成する工程と、を有するものである。
【発明の効果】
【0008】
上記発明によれば、直列抵抗の低減およびリーク電流の抑制が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1はシミュレーションに用いた光半導体素子を例示する断面図である。
図2図2(a)は光半導体素子の直列抵抗の計算結果である。図2(b)は駆動電流の実験結果である。
図3図3(a)は伝導帯の電位の計算結果である。図3(b)はエネルギー障壁の計算結果である。
図4図4(a)はキャリア濃度とエネルギー障壁との関係を示す図である。図4(b)は厚さとキャリア濃度との関係を示す図である。
図5図5(a)は実施例1に係る光半導体素子を例示する平面図である。図5(b)は図5(a)の線A-Aに沿った断面図である。
図6図6はメサ付近を拡大した断面図である。
図7図7(a)および図7(b)は光半導体素子の製造方法を例示する断面図である。
図8図8(a)および図8(b)は光半導体素子の製造方法を例示する断面図である。
図9図9(a)および図9(b)は光半導体素子の製造方法を例示する断面図である。
図10図10(a)および図10(b)は光半導体素子の製造方法を例示する断面図である。
図11図11(a)および図11(b)は実施例2に係る光半導体素子の製造方法を例示する断面図である。
図12図12はDMZ流量とキャリア濃度との関係を示す図である。
図13図13は実施例3に係る光半導体素子を例示する断面図である。
図14図14(a)から図14(b)は光半導体素子の製造方法を例示する断面図である。
図15図15(a)から図15(b)は光半導体素子の製造方法を例示する断面図である。
図16図16(a)から図16(b)は光半導体素子の製造方法を例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施形態の内容を列記して説明する。
本願発明の一形態は、(1)半導体基板と、前記半導体基板の上に設けられたn型クラッド層と、前記n型クラッド層の上に設けられた活性層と、前記活性層の上に設けられた第1のp型クラッド層と、前記活性層の上であって前記第1のp型クラッド層の両側に設けられ、前記第1のp型クラッド層よりも高いキャリア濃度を有する第2のp型クラッド層と、前記第2のp型クラッド層の上に設けられたn型ブロック層と、前記第1のp型クラッド層および前記n型ブロック層の上に設けられた第3のp型クラッド層と、を具備する光半導体素子光半導体素子である。第2のp型クラッド層のキャリア濃度が高いため、直列抵抗を低減し、かつ活性層からn型ブロック層に流れるリーク電流を抑制することができる。
(2)前記第2のp型クラッド層の厚さは0.05μm以上、0.15μm以下でもよい。これにより光半導体素子の直列抵抗を小さくすることができる。
(3)前記n型クラッド層と前記活性層とはメサを形成し、前記n型クラッド層の上であって前記メサの両側に設けられた、p型の埋込層を具備し、前記第2のp型クラッド層は、前記活性層の上から前記埋込層の上にかけて設けられてもよい。これにより直列抵抗を低減し、かつリーク電流を抑制することができる。
(4)前記n型クラッド層と前記活性層とはメサを形成し、前記メサの両側に設けられた埋込層を具備し、前記第2のp型クラッド層は前記活性層の上に設けられ、前記埋込層の上には設けられていなくてもよい。これにより直列抵抗を低減し、かつリーク電流を抑制することができる。
(5)本発明は、半導体基板の上にn型クラッド層を形成する工程と、前記n型クラッド層の上に活性層を形成する工程と、前記活性層の上に第1のp型クラッド層を形成する工程と、前記第1のp型クラッド層にストライプ状のマスクを形成する工程と、前記ストライプ状のマスクをマスクにストライプ状のメサを形成する工程と、前記マスクをエッチングにより後退させる工程と、前記後退させたマスクを用いて、前記活性層の上であって前記第1のp型クラッド層の両側に、前記第1のp型クラッド層よりも高いキャリア濃度を有する第2のp型クラッド層を形成する工程と、前記第2のp型クラッド層の上にn型ブロック層を形成する工程と、前記第1のp型クラッド層および前記n型ブロック層の上に第3のp型クラッド層を形成する工程と、を有する光半導体素子の製造方法である。第2のp型クラッド層のキャリア濃度が高いため、直列抵抗を低減し、かつ活性層からn型ブロック層に流れるリーク電流を抑制することができる。
(6)前記第2のp型クラッド層を形成する工程は、前記後退させたマスクを用いて前記第1のp型クラッド層をエッチングする工程と、前記第1のp型クラッド層をエッチングする工程の後、MOCVD法により前記第2のp型クラッド層を形成する工程と、を含んでもよい。MOCVD法により第2のp型クラッド層を形成することができる。
(7)前記第2のp型クラッド層を形成する工程は、前記第1のp型クラッド層の一部にドーパントを気相拡散することにより前記第2のp型クラッド層を形成する工程でもよい。これにより高キャリア濃度の第2のp型クラッド層を形成することができる。
(8)前記メサの両側にp型の埋込層を形成する工程と、前記埋込層の上に別のマスクを形成する工程と、を有し、前記第2のp型クラッド層を形成する工程は、前記第1のp型クラッド層のうち前記後退させたマスクおよび前記別のマスクから露出する部分に前記ドーパントを気相拡散する工程でもよい。これにより高キャリア濃度の第2のp型クラッド層を形成することができる。
【0011】
[本願発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る光半導体素子およびその製造方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0012】
(シミュレーション)
はじめに、光半導体素子の直列抵抗およびリーク電流について検証したシミュレーションを説明する。図1はシミュレーションに用いた光半導体素子90を例示する断面図である。
【0013】
図1に示すように、基板10の上に、n型クラッド層12、活性層14およびp型クラッド層16が積層され、これらはメサ11を形成する。n型クラッド層12の上であってメサ11の両側に埋込層18が設けられている。p型クラッド層16の上面の周縁部から埋込層18の上面にかけてn型ブロック層22が設けられている。p型クラッド層16の中央部およびn型ブロック層22の上にp型クラッド層24が設けられ、p型クラッド層24の上にp型コンタクト層26が設けられている。基板10からp型コンタクト層26にかけて、n型、p型、n型およびp型の導電型の層を積層したサイリスタ構造が形成される。p型コンタクト層26の上に絶縁膜28および電極30が設けられている。基板10の下面に電極36が設けられている。
【0014】
基板10およびn型クラッド層12はシリコン(Si)をドープしたn型インジウムリン(InP)により形成されている。活性層14は、亜鉛(Zn)をドープした複数のインジウムガリウム砒素リン(InGaAsP)層を積層した多重量子井戸(MQW:Multi Quantum Well)構造を有する。p型クラッド層16および24、ならびに埋込層18はZnをドープしたp型InPで形成されている。n型ブロック層22はn型InPで形成されている。p型コンタクト層26はZnをドープしたp型InGaAsで形成されている。絶縁膜28は窒化シリコン(SiN)で形成されている。電極30および36は金(Au)などで形成されている。
【0015】
図2(a)は光半導体素子90の直列抵抗の計算結果である。横軸はp型クラッド層16の厚さ、縦軸は直列抵抗を表す。p型クラッド層16のキャリア濃度が高いほど、p型クラッド層16の電気抵抗は低くなり、光半導体素子90の直列抵抗も低くなる。図2(a)のシミュレーションにおいては、キャリア濃度は1.8×1018cm-3で一定とした。またn型ブロック層22の厚さを0.15μm、活性層14の幅を1.25μm、共振器長を150μmとした。図2(a)に示すように、p型クラッド層16が薄いほど直列抵抗は低減する。電流はp型クラッド層24および16を介して活性層14に注入される。n型ブロック層22が電流を狭窄することで、直列抵抗が増大するものと推定される。p型クラッド層16が薄くなると、狭窄された電流の流れる距離が短くなり、直列抵抗の増大が抑制されると考えられる。すなわち、直列抵抗を低くするためには、p型クラッド層16を薄くすることが有効である。しかしながらリーク電流が増大する恐れがある。
【0016】
図2(b)は駆動電流の実験結果である。横軸は光半導体素子90の温度を表す。縦軸は光出力16mWを出すための駆動電流を表す。駆動電流が大きいほど、活性層14からp型クラッド層16を介してn型ブロック層22に流れるリーク電流が大きいことを表す。図中の四角はp型クラッド層16の厚さが0.05μmの場合の実験結果、三角は厚さ0.07μmの場合の実験結果、丸は厚さ0.1μmの場合の実験結果を表す。図2(b)に示すように、温度が高くなるほど駆動電流は大きくなり、かつp型クラッド層16が薄いほど駆動電流が増大する。
【0017】
以上のように、p型クラッド層16を薄くすることで、直列抵抗を低くすることができるが、リーク電流は増大してしまう。リーク電流を抑制するためには、伝導帯に大きなエネルギー障壁が形成されることが好ましい。以下、エネルギー障壁のシミュレーションについて説明する。
【0018】
図3(a)は伝導帯の電位の計算結果である。横軸はp型コンタクト層26の表面からの深さ、縦軸は光半導体素子90の伝導帯の電位を表す。実線はp型クラッド層16の厚さが0.5μmの場合の計算結果、破線は厚さが0.1μmの場合の計算結果である。キャリア濃度は5×1017cm-3とした。図3(a)に示すように、伝導帯には、np接合の界面(p型クラッド層16とn型ブロック層22との界面)において、エネルギー障壁b1およびb2が形成される。厚さ0.5μmの場合におけるエネルギー障壁b1は0.2V程度であり、厚さ0.1μmの場合のエネルギー障壁b2より大きい。
【0019】
図3(b)はエネルギー障壁の計算結果である。横軸はp型クラッド層16の厚さ、縦軸はp型クラッド層16とn型ブロック層22との界面におけるエネルギー障壁である。p型クラッド層16のキャリア濃度は5×1017cm-3とした。図3(b)に示すように、p型クラッド層16が薄いほど、エネルギー障壁は小さくなる。例えば厚さが0.1μmならば、エネルギー障壁は0.008Vである。
【0020】
厚さが小さいほど、図4(a)および図4(b)に示したようにエネルギー障壁は小さくなり、図2(b)に示したようにリーク電流は大きくなる。すなわち、エネルギー障壁が低いとリーク電流が増大する。したがって、リーク電流を低減するためには、エネルギー障壁を高くすることが有効である。
【0021】
図4(a)はキャリア濃度とエネルギー障壁との関係を示す図である。横軸はp型クラッド層16のキャリア濃度を表し、縦軸はエネルギー障壁を表す。丸はp型クラッド層16の厚さが0.1μmの場合の計算結果、三角は厚さ0.08μmの場合の計算結果、正方形は厚さ0.06μmの場合の計算結果、ひし形は厚さ0.04μmの場合の計算結果を表す。いずれの厚さにおいてもキャリア濃度が高いほど、エネルギー障壁は大きくなる。例えば、厚さ0.04μmにおいて、キャリア濃度を1×1019cm-3とすることで、エネルギー障壁の大きさを約0.07Vとすることができる。
【0022】
図4(b)は厚さとキャリア濃度との関係を示す図であり、エネルギー障壁を0.05Vとするように調節された厚さおよびキャリア濃度を示す。横軸はp型クラッド層16の厚さを表し、縦軸はp型クラッド層16のキャリア濃度を表す。図中の実線は、エネルギー障壁を0.05Vとするような厚さとキャリア濃度との関係を表す。図4(b)に示すように、p型クラッド層16を薄くするにしたがい、キャリア濃度を高くする。これによりエネルギー障壁の高さを0.05Vに維持することができる。例えば厚さ0.1μmの場合、キャリア濃度を約2×1018cm-3とする。厚さ0.06μmの場合、キャリア濃度を約5×1018cm-3とする。図4(b)の結果より、エネルギー障壁を0.05V以上とするためには、以下の(1)式が成り立てばよい。Tはp型クラッド層16の厚さ、dはキャリア濃度、nは1.5である。
d×T>6.5e16 (1)
【0023】
図2(a)に示すようにp型クラッド層16を薄くすることで直列抵抗を低くすることができる。また、図4(a)および図4(b)に示すように、キャリア濃度を高めることでエネルギー障壁を大きくし、リーク電流を抑制することができる。以上の知見に基づいた実施例について説明する。
【実施例1】
【0024】
(光半導体素子)
図5(a)は実施例1に係る光半導体素子100を例示する平面図である。図5(b)は図5(a)の線A-Aに沿った断面図である。図6はメサ11付近を拡大した断面図である。X方向、Y方向およびZ方向は互いに直交する。
【0025】
図5(a)に示すように、光半導体素子100はXY平面に広がる矩形の半導体レーザ素子である。X方向の長さL1およびY方向の長さL2は例えば200μm~500μmである。
【0026】
図5(b)に示すように、基板10(半導体基板)の上にn型クラッド層12が設けられ、n型クラッド層12には溝13および15が形成されている。溝13と溝15との間にメサ11が形成されている。メサ11付近の構成については後述する。溝13から-X側端部まで、および溝15から+X側端部までのそれぞれの領域において、n型クラッド層12の上に、埋込層18、p型クラッド層20、n型ブロック層22、p型クラッド層24、p型コンタクト層26および絶縁膜28が順に積層されている。絶縁膜28は光半導体素子100の表面を覆い、溝13内およびメサ11上に開口部を有する。
【0027】
溝13内には、n型クラッド層12に接触する電極31が設けられている。溝13から-X側のp型コンタクト層26の上にかけて、絶縁膜28の上に配線32が設けられている。電極33は配線32の上面に接触する。配線32は溝13内において電極31に接触する。メサ11から+X側のp型コンタクト層26の上にかけて、絶縁膜28の上に配線34が設けられている。電極35は配線34の上面に接触する。配線34はメサ11上において電極30に接触する。配線32と配線34とは離間している。配線32、電極31および33は互いに電気的に接続されている。配線34、電極30および35は互いに電気的に接続されている。
【0028】
図5(b)に示すように溝13および15の間にメサ11が位置し、メサ11はY方向に延伸する。図6に示すように、n型クラッド層12、活性層14およびp型クラッド層16がストライプ状のメサ11を形成する。n型クラッド層12が凸形状を有し、n型クラッド層12の上面に活性層14が接触している。活性層14の上面の中央部に、p型クラッド層16(第1のp型クラッド層)が接触している。埋込層18はメサ11の両側に位置し、n型クラッド層12および活性層14の側面に接触する。埋込層18の上から活性層14の上面の周縁部にかけて、p型クラッド層20(第2のp型クラッド層)が設けられている。n型ブロック層22は、p型クラッド層20の上に設けられ、p型クラッド層16の上には設けられていない。p型クラッド層20は埋込層18および活性層14それぞれの上面に接触し、n型ブロック層22はp型クラッド層20の上面に接触している。
【0029】
p型クラッド層24(第3のp型クラッド層)は、p型クラッド層16およびn型ブロック層22の上に設けられ、これらの上面に接触する。p型クラッド層24の上にp型コンタクト層26および絶縁膜28が順に積層されている。絶縁膜28はメサ11上に開口部28aを有している。電極30は、開口部28aから露出するp型コンタクト層26に接触する。基板10の下面には電極36が接触する。図5(b)に示した電極35および配線34を介して、電極30には例えば変調信号およびバイアス電流などが供給される。電極30は活性層14に電流を供給するための電極として機能する。
【0030】
基板10およびn型クラッド層12は、例えばシリコン(Si)がドープされたn型InPにより形成され、キャリア濃度は例えば1×1018cm-3である。活性層14は、Znをドープした複数のInGaAsP層を積層した多重量子井戸構造を有し、キャリアの再結合により光を発生させる。p型クラッド層16および24、ならびに埋込層18は、例えばZnをドープしたp型InPで形成されている。p型クラッド層16の厚さは例えば0.1μm、p型クラッド層24の厚さは例えば1.5μmである。p型クラッド層16および24のキャリア濃度は例えば5×1017cm-3である。
【0031】
p型クラッド層20は例えばZnをドープしたp型InPで形成されている。厚さは例えば0.1μmであり、p型クラッド層16の厚さに等しい。p型クラッド層20のキャリア濃度は、埋込層18、p型クラッド層16および24よりも高く、例えば2×1018cm-3である。n型ブロック層22は、例えばSiをドープしたn型InPで形成され、キャリア濃度は2×1018cm-3、厚さは0.3μmである。p型コンタクト層26はZnをドープしたp型InGaAsで形成され、厚さは例えば0.1μmである。メサ11の両側において、基板10からp型コンタクト層26にかけて、n型、p型、n型およびp型の導電型の層を積層したサイリスタ構造が形成される。絶縁膜28は例えばSiNなどの絶縁体で形成されている。電極30および36はAuなどの金属で形成されている。
【0032】
(製造方法)
図7(a)から図10(b)は光半導体素子100の製造方法を例示する断面図であり、図6に対応する部分を図示している。光半導体素子100の他の部分も同様の工程により形成される。
【0033】
図7(a)に示すように、例えば有機金属気相成長(MOCVD:Metal Oxide Chemical Vapor Deposition)法により、基板10の上に、n型クラッド層12、活性層14、およびp型クラッド層16を順にエピタキシャル成長する。p型クラッド層16の厚さは例えば0.1μmである。MOCVD装置内の温度(成長温度)は例えば620℃、成長圧力は例えば0.1気圧である。n型クラッド層12の原料ガスは、例えばトリメチルインジウム(TMIn:Trimethyl Indium)、フォスフィン(PH)およびシラン(SiH)を含む。活性層14の原料ガスは、例えばTMIn、トリエチルガリウム(TEGa:Triethyl Gallium)、PHおよびアルシン(AsH)を含む。p型クラッド層16の原料ガスは、例えばTMIn、PHおよびDMZを含む。ドーパントの原料ガスであるDMZの流量は例えば0.02ccmであり、0.1ccm未満である。p型クラッド層16の上面に、ストライプ状の酸化シリコン(SiO)のマスク40を形成する。マスク40はp型クラッド層16の一部を覆う。
【0034】
図7(b)に示すように、例えばドライエッチング法により、p型クラッド層16、活性層14およびn型クラッド層12をエッチングし、メサ11を形成する。エッチング深さは例えば1.5μmである。マスク40下の部分はエッチングされない。
【0035】
図8(a)に示すように、例えばMOCVD法を用いて、メサ11の両側に、p型InPの埋込層18を成長する。原料ガスは、例えばTMIn、PHおよびDMZなどを含む。マスク40が成長マスクとして機能するため、マスク40下に埋込層18は成長しない。図8(b)に示すように、例えば希釈したフッ酸などを用いてマスク40をエッチングし、後退させる。マスク40の幅および高さが小さくなり、p型クラッド層16の上面のうち周縁部がマスク40から露出する。
【0036】
図9(a)に示すように、例えば希釈したシュウ酸を用いて、p型クラッド層16および埋込層18をエッチングする。これによりp型クラッド層16のうち周縁部が除去され、活性層14が露出する。また、埋込層18は活性層14と同程度の高さまでエッチングされる。p型クラッド層16のうちマスク40下の部分はエッチングされず、活性層14の上面のうち中央部にp型クラッド層16が残存する。図9(b)に示すように、例えばマスク40を用いたMOCVD法により、p型InPのp型クラッド層20を成長する。原料ガスは例えばTMIn、PHおよびDMZなどを含み、DMZの流量は例えば0.1ccm以上である。p型クラッド層20のキャリア濃度は例えば2×1018cm-3である。p型クラッド層20は、活性層14の上面のうちマスク40から露出する部分から埋込層18の上面にかけて設けられ、これらに接触する。p型クラッド層20の厚さは例えばp型クラッド層16と同じく0.1μmである。
【0037】
図10(a)に示すように、例えばマスク40を用いたMOCVD法により、p型クラッド層20の上に、n型InPのn型ブロック層22を成長する。原料ガスは例えばTMIn、PH、およびSiHを含む。図10(b)に示すように、マスク40を例えばフッ化水素酸に1分間浸すことで除去する。マスク40の除去後、MOCVD法により、p型クラッド層16およびn型ブロック層22の上に、p型クラッド層24およびp型コンタクト層26を順に成長する。p型クラッド層24の原料ガスは例えばTMIn、PH、およびDMZを含む。p型コンタクト層26の原料ガスは例えばTMIn、TEGa、AsHおよびDMZを含む。図6に示したように、p型コンタクト層26の上に例えばプラズマCVD法などにより絶縁膜28を形成し、蒸着法などにより電極30をp型コンタクト層26の上に設け、基板10の下に電極36を形成する。以上の工程により、光半導体素子100を形成する。
【0038】
実施例1によれば、活性層14の上にp型クラッド層16および20が設けられ、p型クラッド層20の上にn型ブロック層22が設けられている。p型クラッド層20のキャリア濃度は例えば2×1018cm-3であり、p型クラッド層16よりも高い。このため、p型クラッド層20とn型ブロック層22との界面のエネルギー障壁が高くなる(図4(a)参照)。この結果、活性層14からn型ブロック層22へと流れるリーク電流を抑制することができる。また、高キャリア濃度のp型クラッド層20はp型クラッド層16よりも低抵抗になるため、光半導体素子100の直列抵抗を低くすることができる。
【0039】
p型ドーパント(Zn)が活性層14に拡散し、非発光再結合中心の増加、多重量子井戸の混晶化を引き起こす恐れがある。実施例1によれば、p型クラッド層20は、活性層14の上であってp型クラッド層16の両側に設けられ、活性層14の上面のうち周縁部に接触する。p型クラッド層20と活性層14との接触面積が小さいため、Znの拡散が抑制される。
【0040】
p型クラッド層20の製造工程ではp型クラッド層16の製造工程よりもDMZの流量を多くする。これによりMOCVD法を用いて高濃度のp型クラッド層20を形成することができる。例えばDMZの流量を0.1ccm以上とすることで、p型クラッド層20のキャリア濃度を例えば2×1018cm-3とすることができる。
【0041】
p型クラッド層20とn型ブロック層22との間のエネルギー障壁を例えば0.05V以上とするために、前述の(1)式の関係が成り立てばよい。すなわち、p型クラッド層20の厚さをTとし、キャリア濃度をdとし、nを1.5とした場合、以下の関係である。
d×T>6.5e16 (1)
キャリア濃度が低い場合、p型クラッド層20を厚くし、キャリア濃度が高い場合、p型クラッド層20を薄くする。エピタキシャル成長するp型クラッド層20のキャリア濃度は最大で例えば2×1018cm-3程度である。図4(b)より、厚さを例えば約0.1μmとすることで、前述の(1)式の関係が満たされる。この結果、0.05V以上のエネルギー障壁を形成することができる。nは例えば1以上、1.5以下でもよい。
【0042】
図2(a)に示したようにp型クラッド層が薄いほど直列抵抗は小さくなるが、図2(b)に示したようにリーク電流は増大してしまう。直列抵抗の低減とリーク電流の抑制とを両立させるため、p型クラッド層20の厚さは適切な範囲とすることが好ましい。例えば図4(b)に示したように、厚さは0.05μm以上、0.15μm以下であることが好ましく、0.03μm以上、0.07μm以上、0.1μm以下、0.2μm以下でもよい。また、直列抵抗の低減のため、p型クラッド層16の厚さも例えば0.05μm以上、0.15μm以下とすることが好ましく、p型クラッド層20の厚さに等しくすればよい。
【0043】
n型クラッド層12の上であってメサ11の両側にp型の埋込層18が設けられる。埋込層18の上に、p型クラッド層20、n型ブロック層22、p型クラッド層24およびp型コンタクト層26が順に積層される。すなわち、n型クラッド層12からp型コンタクト層26にかけてn型、p型、n型、p型の層が順に並ぶことで、サイリスタ構造が形成される。これにより活性層14への効率的な電流注入が可能となる。
【実施例2】
【0044】
実施例2は、実施例1とは異なる製造方法を用いる例である。実施例1と同じ構成については説明を省略する。光半導体素子は図5(a)から図6に示したものと同じである。図11(a)および図11(b)は実施例2に係る光半導体素子の製造方法を例示する断面図である。図7(a)から図8(b)までの工程は実施例1と共通である。
【0045】
図11(a)に示すように、マスク40をエッチングし、p型クラッド層16のうち周縁部をマスク40から露出させる。DMZを流すことで、マスク40から露出するp型クラッド層16、および埋込層18の上面付近にZnを拡散させる。マスク40は拡散マスクとして機能し、p型クラッド層16の中央部はマスク40の下に位置するためZnが拡散しにくい。例えば、DMZの流量は3.4slm、Znの拡散時間は1分、温度は520℃とする。これにより、図11(b)に示すように、p型クラッド層16および埋込層18の上にp型クラッド層16よりも高キャリア濃度の領域、すなわちp型クラッド層20が形成される。p型クラッド層20のZn濃度は例えば5×1018cm-3である。p型クラッド層20形成後の工程は、実施例1と同じである。
【0046】
実施例2によれば、実施例1と同様に、直列抵抗の低減およびリーク電流の抑制が可能である。また、Znの気相拡散によりp型クラッド層20を形成する。このため、エピタキシャル成長したp型クラッド層20に比べて、キャリア濃度を高めることができる。
【0047】
図12はDMZ流量とキャリア濃度との関係を示す図である。横軸は気相拡散に用いるDMZの流量を表し、縦軸はp型クラッド層20のキャリア濃度を表す。図12に示すように、DMZの流量が多いほどキャリア濃度は高まる。エピタキシャル成長ではキャリア濃度は最大で例えば2×1018cm-3程度であるが、気相拡散によりキャリア濃度をさらに高めることができる。DMZの流量を大きくすることで、キャリア濃度を例えば3×1018cm-3以上、5×1018cm-3以上などとすることができる。
【0048】
エネルギー障壁を0.05V以上とするため、前述の(1)式が成り立つようにp型クラッド層20のキャリア濃度および厚さを定める。図4(b)に示したように、キャリア濃度が高いほど、厚さを小さくすることが好ましい。実施例2によれば、キャリア濃度を例えば2×1018cm-3以上にすることができるため、厚さを0.1μm以下とすることが好ましい。キャリア濃度を例えば5×1018cm-3とする場合、p型クラッド層20の厚さを例えば0.06μmとする。エネルギー障壁を0.05V以上とすることでリーク電流を抑制することができる。また、p型クラッド層16および20を薄くすることで、直列抵抗を低くすることができる。
【実施例3】
【0049】
(光半導体素子)
実施例3は、実施例1および2とはp型クラッド層20の大きさを変えた例である。実施例1または2と同じ構成については説明を省略する。図13は実施例3に係る光半導体素子300を例示する断面図である。図13に示すように、光半導体素子300のp型クラッド層20は、活性層14の上面のうち周縁部に設けられ、埋込層18の上には設けられていない。埋込層18は、例えば鉄(Fe)をドープしたp型InPにより形成され、n型クラッド層12、活性層14およびp型クラッド層20の両側に設けられている。すなわち、p型クラッド層20は、p型クラッド層16と埋込層18とに挟まれる。n型ブロック層22は、p型クラッド層16と埋込層18との上に設けられている。
【0050】
(製造方法)
図14(a)から図16(b)は光半導体素子300の製造方法を例示する断面図である。図7(a)から図8(b)までの工程は実施例1と共通であるが、埋込層18の原料ガスとして、例えばTMIn、PH、およびフェロセン(Fe(C)を用いる。
【0051】
図14(a)に示すように、マスク40をエッチングし、p型クラッド層16の上面のうち周縁部をマスク40から露出させる。図14(b)に示すように、埋込層18の上面に例えばSiOのマスク42を形成する。マスク40とマスク42とは離間しており、これらの間からp型クラッド層16が露出する。
【0052】
図15(a)に示すように、DMZを流すことで、p型クラッド層16にZnを拡散させる。例えば、DMZの流量は3.4slm、Znの拡散時間は1分、温度は520℃とする。これにより、p型クラッド層16の周縁部から高キャリア濃度のp型クラッド層20を形成する。p型クラッド層20のZn濃度は例えば5×1018cm-3である。メサ11は、n型クラッド層12、活性層14、p型クラッド層16およびp型クラッド層20により形成される。マスク40および42は拡散マスクとして機能し、マスク40下のp型クラッド層16、およびマスク42下の埋込層18にはZnが拡散しにくい。
【0053】
図15(b)に示すように、例えば希釈したフッ酸を用いてマスク42を除去する。図16(a)に示すように、例えばMOCVD法により、埋込層18およびp型クラッド層20の上に、n型ブロック層22を成長する。図16(b)に示すように、マスク40を除去した後、例えばMOCVD法により、p型クラッド層24およびp型コンタクト層26を成長する。これ以降の工程は、実施例1と同じであり、光半導体素子300が形成される。
【0054】
実施例3によれば、実施例2と同様にZnの気相拡散により、キャリア濃度の高いp型クラッド層20を形成することができる。これにより直列抵抗の低減およびリーク電流の抑制が可能である。エネルギー障壁を0.05V以上とするため、前述の(1)式が成り立つようにp型クラッド層20のキャリア濃度および厚さを定める。例えばキャリア濃度を5×1018cm-3以上とする場合、p型クラッド層20およびp型クラッド層16の厚さを例えば0.06μmとする。
【0055】
実施例2においては、埋込層18およびp型クラッド層16にZnを気相拡散することで、p型クラッド層20を形成する。このため、埋込層18はZnドープInPで形成される。一方、実施例3においては、p型クラッド層20はp型クラッド層16へのZnの気相拡散で形成され、埋込層18にはZnを拡散させない。このため、埋込層18のドーパントとして、p型クラッド層20とは異なるもの(例えばFe)を用いてもよい。これにより高抵抗の埋込層18が得られる。なお実施例3においてもZnドープInPで埋込層18を形成してもよい。
【0056】
実施例1~3において、p型クラッド層16および20のドーパントとしてZn以外にカドミウム(Cd)、炭素(C)、ベリリウム(Be)などを用いてもよい。実施例1~3において基板10、およびn型クラッド層12はInP以外の化合物半導体で形成されてもよい。ただし、埋込層18、p型クラッド層20、n型ブロック層22などInPの層との格子整合のため、基板10およびn型クラッド層12もInPで形成することが好ましい。
【符号の説明】
【0057】
10 基板
11 メサ
12 n型クラッド層
13、15 溝
14 活性層
16、20、24 p型クラッド層
18 埋込層
22 n型ブロック層
26 p型コンタクト層
28 絶縁膜
28a 開口部
30、31、33、35、36 電極
32、34 配線
40、42 マスク
90、100、300 光半導体素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図16