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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】フローティングコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/631 20060101AFI20220119BHJP
   H01R 12/91 20110101ALI20220119BHJP
【FI】
H01R13/631
H01R12/91
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017163331
(22)【出願日】2017-08-28
(65)【公開番号】P2019040799
(43)【公開日】2019-03-14
【審査請求日】2020-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】591236301
【氏名又は名称】住鉱テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(72)【発明者】
【氏名】浅川 和重
【審査官】藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3157742(JP,U)
【文献】特開2011-243425(JP,A)
【文献】特開2005-209501(JP,A)
【文献】特開2011-076755(JP,A)
【文献】米国特許第04334732(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00 - 12/91
13/56 - 13/72
24/00 - 24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に固定される第一ハウジングと、前記第一ハウジングとは別体の第二ハウジングとが、並列に配された複数の端子部材によって連結されてなり、前記複数の端子部材の各々が有する可撓部の弾性変形により前記第二ハウジングが前記第一ハウジングに対して可動するフローティングコネクタであって、
前記端子部材は、前記可撓部に加えて、前記第一ハウジングに嵌入されて前記基板に固定される基板装着部と、前記第二ハウジングに嵌入されて外部ピンが挿抜される端子接触部と、を有しており、
前記可撓部は、板厚方向に撓むように弾性変形する薄板バネによって構成されるとともに、前記薄板バネが前記複数の端子部材の並列方向との直交方向を弾性変形方向とし、前記弾性変形方向が前記基板の実装面から前記第一ハウジングが突出する高さ方向に沿うように配されており、
前記可撓部を構成する前記薄板バネは、前記基板装着部に接続する第一接続部と、前記第一接続部の端から前記基板装着部の側に向けて延伸する第一折り返し部と、前記第一折り返し部の端から前記端子接触部の側に向けて延伸する第二折り返し部と、前記第二折り返し部の端を前記端子接触部に接続する第二接続部と、を有して形成されているとともに、
前記薄板バネは、少なくとも前記第一折り返し部および前記第二折り返し部が対称性を有して配置された平面形状を有し、前記外部ピンの挿抜方向に沿った仮想線を対称軸として前記第一折り返し部および前記第二折り返し部が当該対称軸の両側に対称に配されている
フローティングコネクタ。
【請求項2】
前記可撓部は、前記薄板バネの弾性変形方向が鉛直方向に沿うように配されているとともに、
前記可撓部には、弾性変形が生じていない状態の前記薄板バネの一部分を鉛直方向下方側から支持することで前記第二ハウジングの鉛直方向下方側への傾きを規制するサポート部材が付設されている
請求項1に記載のフローティングコネクタ。
【請求項3】
前記サポート部材は、前記第二折り返し部の前記基板装着部側の部分を鉛直方向下方側から支持するように配置されている
請求項に記載のフローティングコネクタ。
【請求項4】
前記サポート部材は、前記第二折り返し部の対称性に対応しつつ当該第二折り返し部の外縁近傍を支持するように配置されている
請求項2または3に記載のフローティングコネクタ。
【請求項5】
前記第二折り返し部の対称性に対応しつつ当該第二折り返し部の上面と当接するように配置されて前記第二ハウジングの鉛直方向上方側への動きを規制する可動規制部を有する 請求項1から4のいずれか1項に記載のフローティングコネクタ。
【請求項6】
前記端子接触部は、当該端子接触部に挿入された状態の前記外部ピンとの接触可能領域が、前記端子部材の並列方向および当該外部ピンの挿抜方向への当該外部ピンの所定量の範囲内の位置ズレを許容する大きさに設定されている
請求項1から5のいずれか1項に記載のフローティングコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フローティングコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、嵌合ズレを吸収できるコネクタとして、フローティングコネクタが広く知られている。フローティングコネクタは、基板に固定される固定ハウジングと、その固定ハウジングに対して移動可能な可動ハウジングとが、可撓部を有する複数の端子によって連結されて構成されたものである。従来におけるフローティングコネクタは、複数の端子の多極化への対応を優先して、各端子が並ぶ幅方向(ピッチ方向)に可動するように構成されたものが主流となっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-76755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、幅方向(ピッチ方向)の可動では、フローティングコネクタの小型化(特に低背化)が困難である。さらに具体的には、幅方向の可動では、その可動を実現可能にする各端子の可撓部を幅方向に重畳するように配する必要があるため、特に、フローティングコネクタが実装される基板からの突出方向(高さ方向)の低背化が困難である。
【0005】
そこで、本発明は、従来構造よりも小型化(特に低背化)を容易に実現可能とするフローティングコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、
基板に固定される第一ハウジングと、前記第一ハウジングとは別体の第二ハウジングとが、並列に配された複数の端子部材によって連結されてなり、前記複数の端子部材の各々が有する可撓部の弾性変形により前記第二ハウジングが前記第一ハウジングに対して可動するフローティングコネクタであって、
前記可撓部は、薄板バネによって構成されるとともに、前記薄板バネが前記複数の端子部材の並列方向との直交方向を主たる弾性変形方向とするように配されている
フローティングコネクタが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、小型化(特に低背化)が容易に実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係るフローティングコネクタの側断面構成の一例を模式的に示す説明図である。
図2】本発明に係るフローティングコネクタの平面構成の一例を模式的に示す説明図である。
図3図1に示すフローティングコネクタのA矢視図である。
図4図1に示すフローティングコネクタのB矢視図である。
図5図1に示すフローティングコネクタにおける端子部材の構成例を示す説明図であり、(a)は側面視を示す図、(b)は平面視を示す図、(c)は正面視を示す図である。
図6】本発明に係るフローティングコネクタの使用態様の一具体例の側面視を示す説明図であり、(a)はピン挿入前の状態を示す図、(b)はピン挿入後の状態を示す図、(c)は下方側への移動状態を示す図、(d)は上方側への移動状態を示す図である。
図7】本発明に係るフローティングコネクタの使用態様の一具体例の平面視を示す説明図である。
図8】薄板バネの主たる弾性変形方向を鉛直方向(上下方向)とした場合に生じ得る傾きの態様の一具体例を模式的に示す説明図である。
図9】本発明に係るフローティングコネクタにおける薄板バネとサポート部材との位置関係の一具体例を示す説明図であり、(a)は平面視を示す図、(b)は薄板バネを真直ぐと仮定した場合を模式的に示す図である。
図10】本発明に係るフローティングコネクタの変形例を模式的に示す説明図であり、(a)はその一例を示す図、(b)はさらに他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係るフローティングコネクタについて、図面を参照しながら説明する。
【0010】
(1)フローティングコネクタの構成
先ず、本実施形態に係るフローティングコネクタの構成について説明する。
図1は、フローティングコネクタの側断面構成の一例を模式的に示す説明図である。図2は、フローティングコネクタの平面構成の一例を模式的に示す説明図である。図3は、図1に示すフローティングコネクタのA矢視図である。図4は、図1に示すフローティングコネクタのB矢視図である。図5は、図1に示すフローティングコネクタにおける端子部材の構成例を示す説明図である。
【0011】
(コネクタ全体構成)
図1~4に示すように、本実施形態で説明するフローティングコネクタ1は、プリント配線基板等の回路基板(以下、単に「基板」という。)2に固定される固定ハウジングとしての第一ハウジング10と、この第一ハウジング10とは別体で形成された可動ハウジングとしての第二ハウジング20と、これらを連結する複数の端子部材30と、を備えている。そして、詳細を後述するように、複数の端子部材30の各々が有する可撓部31が弾性変形することで、第二ハウジング20が第一ハウジング10に対して可動し得るように構成されている。つまり、フローティングコネクタ1は、第二ハウジング20の可動を許容するフローティング機構を搭載したものである。
【0012】
フローティング機構を搭載するフローティングコネクタ1は、基板2に実装された状態で生じる位置ズレ(嵌合ズレ)を吸収し得るようになっている。具体的には、第二ハウジング20に対しては、第一ハウジング10に連結される側とは反対の側から、相手側コネクタの外部ピン3が挿抜されるようになっているが、第二ハウジング20内への外部ピン3の挿入時に当該第二ハウジング20が可動することで、フローティングコネクタ1の実装の際(すなわち、第一ハウジング10を基板2に固定する際)に生じる位置ズレや基板2への実装後に生じる位置ズレ等を吸収し得るのである。
【0013】
第二ハウジング20に対して挿抜される外部ピン3としては、様々なものが適用可能であり、特に限定されるものではないが、その一例として、車載用の電池モジュールにおけるシャント抵抗器に用いられる円柱ピン状のものが挙げられる。また、図例では、二つの外部ピン3に対応する場合、すなわちフローティングコネクタ1において二つの端子部材30が並列に配されている場合を示しているが、これに限定されることはなく、相手側コネクタの外部ピン3に応じて、三つ以上の端子部材30が配されていてもよい。なお、外部ピン3が並ぶ方向(すなわち、端子部材30の並列方向)は、水平方向(水平方向と見做せる方向を含む)に沿っているものとする。
【0014】
また、本実施形態で説明するフローティングコネクタ1には、第二ハウジング20の動き(特に、鉛直方向下方側への傾き)を規制するサポート部材40が設けられている。
【0015】
以下、このようなフローティングコネクタ1の各構成要素について、さらに詳しく説明する。
【0016】
(第一ハウジング)
第一ハウジング10は、例えば樹脂等の絶縁材料の一体成型によって形成されたもので、端子部材30の一部が嵌入される凹部11を有しており、その凹部11に嵌入された端子部材30の一部を基板2上にはんだ付け等で装着することで、その端子部材30とともに基板2に固定されるように構成されている。
【0017】
(第二ハウジング)
第二ハウジング20は、第一ハウジング10と同様に、例えば樹脂等の絶縁材料の一体成型によって形成されたものである。第二ハウジング20には、端子部材30の他の一部が嵌入される係合孔部21と、その係合孔部21に連通する開口部22と、が形成されている。そして、第二ハウジング20は、係合孔部21に嵌入された端子部材30によって支持されるとともに、開口部22を通じて相手側コネクタの外部ピン3が挿抜され得るように構成されている。なお、係合孔部21および開口部22は、端子部材30に対応した数(例えば二つ)が配されている。また、第二ハウジング20の形成材料は、後述する理由により、第一ハウジング10の形成材料と同一であることが好ましい。
【0018】
(端子部材)
図5に示すように、端子部材30は、例えば導電性を有する金属板(例えば銅板または銅合金板)への抜き加工および曲げ加工によって形成されたものであり、薄板バネ310によって構成されており必要に応じて弾性変形する可撓部31と、第一ハウジング10の凹部11に嵌入されて基板2に装着固定される基板装着部32と、第二ハウジング20の係合孔部21に嵌入される端子接触部33と、を有している。そして、端子部材30は、基板装着部32が第一ハウジング10の凹部11に嵌入され、かつ、端子接触部33が第二ハウジング20の係合孔部21に嵌入された状態で、第一ハウジング10と第二ハウジング20とを連結するように構成されている。このとき、基板装着部32と端子接触部33との間に配された可撓部31が弾性変形することで、第二ハウジング20が第一ハウジング10に対して可動し得ることになる。
【0019】
可撓部31を構成する薄板バネ310は、板状のものであり、その板厚方向に撓むように弾性変形する。つまり、薄板バネ310は、板厚方向を主たる弾性変形方向とする。
また、薄板バネ310は、その面内方向(板厚方向と直交する方向)が、複数の端子部材30が並ぶ並列方向(外部ピン3のピッチ方向)に沿うように、寝かした状態で配されている。
したがって、薄板バネ310は、複数の端子部材30の並列方向との直交方向を、主たる弾性変形方向とするように配されていることになる。端子部材30の並列方向が水平方向に沿っていれば、薄板バネ310の弾性変形方向は、鉛直方向(鉛直方向と見做せる方向を含む)に沿うことになる。
【0020】
薄板バネ310は、基板装着部32に接続する第一接続部311と、第一接続部311の端から基板装着部32の側に向けて延伸する第一折り返し部312と、第一折り返し部312の端から端子接触部33の側に向けて延伸する第二折り返し部313と、第二折り返し部313の端を端子接触部33に接続する第二接続部314とを有しており、第一接続部311から第一折り返し部312および第二折り返し部313を経て第二接続部314まで至る連続体として形成されている。また、薄板バネ310は、少なくとも第一折り返し部312および第二折り返し部313が対称性を有して配置された平面形状を有している。具体的には、外部ピン3の挿抜方向に沿った仮想線(すなわち、基板装着部32の側と端子接触部33の側とを結ぶ仮想線)を対称軸として、少なくとも第一折り返し部312および第二折り返し部313が当該対称軸の両側に対称に配されている。
【0021】
基板装着部32は、はんだ付け等によって基板2に装着される部分であり、当該装着によって基板2上の配線と導通し得るように構成されている。
【0022】
端子接触部33は、相手側コネクタの外部ピン3と接触して当該外部ピン3との導通を確保する部分であり、そのために外部ピン3を挟持するように突設された弾性アーム330を有している。ただし、端子接触部33は、当該端子接触部33に挿入された状態の外部ピン3と当該端子接触部33における弾性アーム330との接触範囲が、端子部材30の並列方向および外部ピン3の挿抜方向への当該外部ピン3の所定量の移動を許容する大きさに設定されている。具体的には、弾性アーム330の幅が端子部材30の並列方向(外部ピン3のピッチ方向)への外部ピン3の移動を許容する大きさに設定されているとともに、端子接触部33の奥行き寸法が外部ピン3の挿抜方向への当該外部ピン3の移動を許容する大きさに設定されている。
【0023】
(サポート部材)
図1,2,4に示すように、サポート部材40は、第二ハウジング20の動き(特に、鉛直方向下方側への傾き)を規制すべく、可撓部31を構成する薄板バネ310の一部分を支持するように、その可撓部31に付設されたものである。具体的には、サポート部材40は、例えば樹脂等の絶縁材料によって形成されたもので、可撓部31を構成する薄板バネ310の一部分(例えば、第二折り返し部313における基板装着部32側の部分)を鉛直方向下方側から支持するように、第一ハウジング10の凹部11に配置されている。また、サポート部材40は、第二折り返し部313の対称性に対応しつつ、その第二折り返し部313の外縁近傍を支持するように配置されている。
【0024】
サポート部材40は、薄板バネ310の全部ではなく、当該薄板バネ310の一部分(例えば、第二折り返し部313における基板装着部32側の部分で、当該第二折り返し部313の外縁近傍)を支持するものであるが、これらの具体的な位置関係については、詳細を後述する。
【0025】
なお、サポート部材40は、薄板バネ310の一部分を支持し得るものであれば、第一ハウジング10とは別体で形成されたものであってもよいし、第一ハウジング10と一体で(すなわち第一ハウジング10の一部として)形成されたものであってもよい。第一ハウジング10とは別体である場合には、接着等によってサポート部材40を第一ハウジング10の凹部11に固定することが考えられる。
【0026】
(2)フローティングコネクタの製造手順
ここで、上述した構成のフローティングコネクタ1を製造する際の手順について、簡単に説明する。
【0027】
上述した構成のフローティングコネクタ1は、第二ハウジング20が第一ハウジング10に対して可動し得るようにするために、これらが別体である2ピース構造を採用している。ただし、フローティングコネクタ1を製造にあたっては、製造コストや設備費等を削減するために、第一ハウジング10と第二ハウジング20とを一体成型可能な構造とすることが好ましい。
【0028】
具体的には、先ず、第一ハウジング10と第二ハウジング20をジョイント部(ただし不図示)で連結した構造体を一体成形によって形成する。その場合、第一ハウジング10および第二ハウジング20は、同一材料によって形成されることになる。そして、一体成形によって得られた構造体に端子部材30を嵌入して取り付けた後に、第一ハウジング10と第二ハウジング20とを連結するジョイント部を除去して、これらを別体のものとすることで、フローティングコネクタ1を組み立てる。
【0029】
このような手順でフローティングコネクタ1を製造すれば、第一ハウジング10と第二ハウジング20を一体で成型可能であり、しかも一体成形された構造体に端子部材30を取り付けることになるので、別体の場合に比べて取り付け作業の容易化や高精度化等が実現可能となり、その結果として製造コストや設備費等を削減し得るようになる。
【0030】
(3)フローティングコネクタの使用態様
次に、上述した構成のフローティングコネクタ1を使用する場合の具体的な態様について説明する。
図6は、フローティングコネクタの使用態様の一具体例の側面視を示す説明図である。図7は、フローティングコネクタの使用態様の一具体例の平面視を示す説明図である。
【0031】
(ピン挿抜)
フローティングコネクタ1には、その使用に際して、図6(a)に示すように、第二ハウジング20の開口部22を通じて、相手側コネクタの外部ピン3が挿入される(図中矢印C参照)。外部ピン3が挿入されると、その外部ピン3は、図6(b)に示すように、第二ハウジング20の係合孔部21に嵌入された端子部材30の弾性アーム330と接触する。これにより、外部ピン3は、端子部材30との導通が確保されるとともに、その端子部材30を通じて基板2上の配線との導通が確保されることになる。
【0032】
(ハウジング可動)
このとき、例えば、図6(c)に示すように、外部ピン3に上方側からの力が作用すると(図中矢印D参照)、または嵌合相手である基板2等に下方側からの力が作用すると、これに応じて端子部材30における可撓部31を構成する薄板バネ310が板厚方向に撓むように弾性変形する。これにより、第二ハウジング20は、第一ハウジング10との相対位置が、鉛直方向(上下方向)に沿って下方側に移動する。したがって、上述した力の作用に起因するフローティングコネクタ1と外部ピン3との間の位置ズレは、第二ハウジング20の可動によって吸収されることになる。
【0033】
また、例えば、図6(d)に示すように、外部ピン3に下方側からの力が作用すると(図中矢印E参照)、または嵌合相手である基板2等に上方側からの力が作用すると、これに応じて端子部材30における可撓部31を構成する薄板バネ310が板厚方向に撓むように弾性変形する。これにより、第二ハウジング20は、第一ハウジング10との相対位置が、鉛直方向(上下方向)に沿って上方側に移動する。したがって、上述した力の作用に起因するフローティングコネクタ1と外部ピン3との間の位置ズレは、第二ハウジング20の可動によって吸収されることになる。
【0034】
つまり、外部ピン3に関する位置ズレのうち、鉛直方向(上下方向)の位置ズレについては、可撓部31を構成する薄板バネ310の弾性変形によって、その位置ズレが吸収されるのである。
【0035】
(他の方向の位置ズレ)
また、図7に示すように、他の方向の位置ズレについては、以下のとおりである。
【0036】
例えば、フローティングコネクタ1と外部ピン3との相対位置について、複数の外部ピン3が並ぶピッチ方向(すなわち、複数の端子部材30の並列方向)の位置ズレが生じた場合を考える(図中矢印F参照)。その場合、端子部材30における弾性アーム330の幅が外部ピン3の所定量の移動を許容する大きさに設定されており、これにより外部ピン3と弾性アーム330との接触可能領域が広く確保されることから、位置ずれが当該所定量の範囲内であれば、その位置ズレが吸収された状態で外部ピン3と弾性アーム330とが接触することになる。つまり、外部ピン3に関する位置ズレのうち、ピッチ方向(左右方向)の位置ズレについては、端子部材30における弾性アーム330の大きさを適宜設定することによって、その位置ズレが吸収されるのである。
【0037】
また、例えば、フローティングコネクタ1と外部ピン3との相対位置について、外部ピン3の挿抜方向の位置ズレが生じた場合を考える(図中矢印G参照)。その場合、端子部材30の端子接触部33の奥行き寸法が外部ピン3の所定量の移動を許容する大きさに設定されており、これにより円柱ピン状の外部ピン3と弾性アーム330との接触可能領域が広く確保されることから、位置ずれが当該所定量の範囲内であれば、その位置ズレが吸収された状態で外部ピン3と弾性アーム330とが接触することになる。つまり、外部ピン3に関する位置ズレのうち、挿抜方向(前後方向)の位置ズレについては、円柱ピン状の外部ピン3に対して、その外部ピン3の移動を許容するように(すなわち、当該移動を阻害しないように)、端子接触部33の奥行き寸法を適宜設定することによって、その位置ズレが吸収されるのである。
【0038】
(位置ズレ吸収の作用効果)
以上のような使用態様を実現するフローティングコネクタ1は、上下方向、左右方向および前後方向のいずれについても、フローティングコネクタ1と外部ピン3との相対位置の位置ズレを吸収することができる。したがって、例えば、フローティングコネクタ1を基板2上に実装する際に位置ズレが生じた場合や、基板2上への実装後に位置ズレが生じた場合等であっても、その位置ズレが吸収されるので、位置ズレに起因する外部ピン3の変形等が生じてしまうことがなく、また、位置ズレに起因して外部ピン3と基板2上の配線との間の導通が損なわれてしまうこともない。このことは、車載用として用いられる場合に非常に有用なものとなる。車載用の場合は、車両走行時に振動等によって、位置ズレが生じてしまうことが考えられるからである。
【0039】
(小型化への対応)
上述のように、本実施形態のフローティングコネクタ1は、特に上下方向の位置ズレについて、端子部材30の可撓部31を構成する薄板バネ310の弾性変形を利用して、その位置ズレを吸収するように構成されている。つまり、可撓部31を構成する薄板バネ310は、端子部材30の並列方向(すなわち、外部ピン3のピッチ方向)との直交方向(すなわち、上下方向)を主たる弾性変形方向とするように配されている。このように、ピッチ方向との直交方向である上下方向を薄板バネ310の主たる弾性変形方向とすれば、その薄板バネ310によって構成される可撓部31は、薄板バネ310の面内方向がピッチ方向に沿うように寝かした状態で配されることなる。したがって、可撓部31の弾性変形方向がピッチ方向である場合(すなわち、例えば薄板バネ310がピッチ方向に重畳するように構成された場合)に比べると、上下方向への小型化(すなわち、フローティングコネクタ1が実装される基板2から突出する高さ方向の低背化)が容易に実現可能となる。
【0040】
しかも、本実施形態のフローティングコネクタ1においては、可撓部31を構成する薄板バネ310が第一接続部311、第一折り返し部312、第二折り返し部313および第二接続部314を有して形成されている。このように、薄板バネ310が少なくとも第一折り返し部312および第二折り返し部313を有して形成されていることで、当該薄板バネ310の前後方向(すなわち、端子部材30の並列方向および可撓部31の弾性変形方向のいずれとも直交する方向)の大型化を招いてしまうことなく、当該薄板バネ310を構成する連続体の有効スパン(すなわち、有効ばね長)を十分に確保することができる。つまり、本実施形態のフローティングコネクタ1は、薄板バネ310が少なくとも第一折り返し部312および第二折り返し部313を有して形成されているので、可撓部31による可動域が損なわれることなく、上述した上下方向への小型化(低背化)のみならず、前後方向についても小型化が実現可能となる。
なお、前後方向の小型化という観点においては、第一接続部311と第二接続部314とを近づけて配するように、薄板バネ310を形成することが好ましい。また、有効スパンの確保(すなわち、可撓部31の可動域確保)という観点においては、第一折り返し部312および第二折り返し部313の延伸長を長くするように、薄板バネ310を形成することが好ましい。
【0041】
(第二ハウジングの傾き抑制)
ところで、本実施形態のフローティングコネクタ1は、上述したように、薄板バネ310の面内方向がピッチ方向に沿うように寝かした状態で配することで、小型化(特に低背化)への対応を容易に実現可能としている。
ただし、薄板バネ310を寝かした状態で配して鉛直方向(上下方向)を主たる弾性変形方向とした場合には、図8に示すように、その変形端の側に位置することになる第二ハウジング20と端子部材30の端子接触部33との重量により、第二ハウジング20等が下方側に倒れるように傾いてしまうおそれがある(図中矢印H参照)。
このことから、本実施形態のフローティングコネクタ1においては、第二ハウジング20の動き(特に、鉛直方向下方側への傾き)を規制すべく、薄板バネ310の一部分を支持するサポート部材40が設けられているのである。
【0042】
サポート部材40は、その上面が薄板バネ310の一部分(例えば、第二折り返し部313における基板装着部32側の部分)の下面側と当接するように配されており、これにより薄板バネ310の一部分を鉛直方向下方側から支持する。したがって、図6(a)に示すように、第二ハウジング20に外部ピン3が挿入されていない状態においては、サポート部材40が薄板バネ310の一部分を支持することで、第二ハウジング20の鉛直方向下方側への傾きが規制されることになる。つまり、薄板バネ310の弾性変形方向が鉛直方向に沿う場合であっても、サポート部材40を配設することで、第二ハウジング20が鉛直方向下方側(すなわち重力が作用する方向)に傾いてしまうのを抑制することができる。このことは、フローティングコネクタ1を使用する際に、第二ハウジング20に対して外部ピン3を確実に嵌合させ得るようになる点で、非常に有用である。
【0043】
しかも、サポート部材40は、薄板バネ310の全部ではなく、その薄板バネ310の一部分を、鉛直方向下方側から支持するように配されている。したがって、その薄板バネ310によって構成される可撓部31は、鉛直方向下方側および鉛直方向上方側のいずれについても、可動域が損なわれてしまうことがない。
【0044】
ここで、薄板バネ310とその薄板バネ310の一部分を支持するサポート部材40との具体的な位置関係について、詳しく説明する。
図9は、フローティングコネクタにおける薄板バネとサポート部材との位置関係の一具体例を示す説明図である。
【0045】
図9(a)に示すように、薄板バネ310は、第一接続部311から第一折り返し部312および第二折り返し部313を経て第二接続部314まで至る連続体として形成されており、第一ハウジング10の側における固定端である固定部321と第二ハウジング20の側における固定端である固定部331との間の長さが、その連続体の有効スパン(すなわち、有効ばね長)となる。このような薄板バネ310に対して、サポート部材40は、各固定部321,331の間の有効スパンの中間点付近に配されていることが好ましい。つまり、図9(b)に示すように、薄板バネ310を構成する連続体が真直ぐに延伸していると仮定した場合に、サポート部材40は、その真直ぐに延伸する両端固定バネの有効スパンの中間点付近に位置していることが好ましい。このような位置関係を有していれば、サポート部材40を配した場合であっても、薄板バネ310を構成する連続体のバネ性をバランスよく有効に使えるためである。
【0046】
具体的には、上述した位置関係を具現化しようとすると、サポート部材40は、少なくとも第一折り返し部312および第二折り返し部313を有する薄板バネ310に対して、例えば、第二折り返し部313の全体ではなく、その第二折り返し部313における基板装着部32側の部分を、鉛直方向下方側から支持するように配されることになるサポート部材40による支持面の大きさ(すなわち、薄板バネ310とサポート部材40とが接触する部分の面積、または、当該部分についての有効スパン方向の長さ)については、薄板バネ310を支持し得るものであれば、特に限定されることはなく、バネ性のバランス等を考慮して適宜設定されたものであればよい。
【0047】
なお、図9(b)には、サポート部材40に加えて後述する可動規制部41も併せて図示しているが、その可動規制部41についても薄板バネ310に対して同様の位置関係を有していることが好ましい。例えば、サポート部材40と可動規制部41とが薄板バネ310を挟むように配されている場合であっても、これらを両端固定バネの有効スパンの中間点付近に位置させることで、薄板バネ310のバネ性をバランスよく有効に使えるからである。
【0048】
このような位置関係により、例えば、図6(c)に示すように、第一ハウジング10に対して第二ハウジング20が下方側へ移動する方向の力が作用すると、薄板バネ310は、サポート部材40の一端縁を支点にして、第二折り返し部313における第二接続部314との接続端側が下方に移動し(図中矢印d1参照)、当該第二折り返し部313における第一接続部311との接続端側が上方に移動する(図中矢印d2参照)。したがって、鉛直方向下方側への可動域が損なわれてしまうことがない。
【0049】
また、例えば、図6(d)に示すように、第一ハウジング10に対して第二ハウジング20が上方側へ移動する方向の力が作用すると、薄板バネ310は、第一ハウジング10側の固定端を支点にして、または第二折り返し部313における第一接続部311との接続端側を支点にして、当該第二折り返し部313における第二接続部314との接続端側が上方に移動する(図中矢印e1参照)。したがって、鉛直方向上方側への可動域が損なわれてしまうことがない。
【0050】
つまり、第二ハウジング20の重力による鉛直方向下方側への傾きを抑制する場合であっても、第二折り返し部313に対して上述の位置関係を有するようにサポート部材40を配することで、鉛直方向上方側および鉛直方向下方側のいずれについても、可撓部31の可動域が損なわれてしまうのを回避することができる。その上、第一折り返し部312および第二折り返し部313を有する薄板バネ310に対して、上述の位置関係を有するようにサポート部材40を配することで、可撓部31の前後方向についての小型化を実現可能にしつつ、その可撓部31の可動域を十分に確保し得るようにもなる。
【0051】
(第二ハウジングのねじれ抑制)
本実施形態のフローティングコネクタ1において、薄板バネ310は、上述したように、少なくとも第一折り返し部312および第二折り返し部313が対称性を有して配置された平面形状を有している。したがって、薄板バネ310が鉛直方向上方側または鉛直方向下方側に弾性変形する際には、第一折り返し部312および第二折り返し部313のそれぞれが対称軸の両側で略均等に撓むことになる。このように、第一折り返し部312および第二折り返し部313が対称軸の両側で略均等に撓めば、薄板バネ310が弾性変形する際のねじれの発生を抑制できる。このことは、第二ハウジング20のねじれの抑制に繋がるので、フローティングコネクタ1を使用する際に、第二ハウジング20に対して外部ピン3を確実に嵌合させ得るようになる点で、非常に有用である。
【0052】
しかも、薄板バネ310の第二折り返し部313を鉛直方向下方側から支持するサポート部材40は、その第二折り返し部313の対称性に対応しつつ、その第二折り返し部313の外縁近傍を支持するように配置されている。つまり、サポート部材40についても、対称軸の両側のそれぞれに配されており、それぞれのサポート部材40が第二折り返し部313の外縁近傍を支持するようになっている。したがって、サポート部材40は、薄板バネ310を下方側から支持して第二ハウジング20の傾きを抑制し得るだけではなく、その薄板バネ310を支持する際の当該薄板バネ310のねじれについても、その発生を抑制することができる。このことも、第二ハウジング20のねじれの抑制に繋がるので、フローティングコネクタ1を使用する際に、第二ハウジング20に対して外部ピン3を確実に嵌合させ得るようになる点で、非常に有用である。
【0053】
(4)本実施形態により得られる効果
本実施形態によれば、以下に示す一つまたは複数の効果が得られる。
【0054】
(a)本実施形態のフローティングコネクタ1は、端子部材30の可撓部31が弾性変形することで、外部ピン3との相対位置の位置ズレを吸収し得るように構成されているので、位置ズレに起因する外部ピン3の変形や導通不良等が生じてしまうことがなく、特に車載用として用いて非常に有用なものとなる。
しかも、本実施形態のフローティングコネクタ1では、位置ズレの吸収に寄与する端子部材30の可撓部31が薄板バネ310によって構成されるとともに、その薄板バネ310が端子部材30の並列方向(すなわち、外部ピン3のピッチ方向)との直交方向(すなわち、上下方向)を主たる弾性変形方向とするように配されている。このように、ピッチ方向との直交方向を薄板バネ310の主たる弾性変形方向とすれば、その薄板バネ310によって構成される可撓部31は、薄板バネ310の面内方向がピッチ方向に沿うように寝かした状態で配されることなる。したがって、可撓部31の弾性変形方向がピッチ方向である場合(すなわち、例えば薄板バネ310がピッチ方向に重畳するように構成された場合)に比べると、上下方向への小型化(すなわち、フローティングコネクタ1が実装される基板2から突出する高さ方向の低背化)が容易に実現可能となる。
つまり、本実施形態によれば、位置ズレを吸収し得るように構成されたフローティングコネクタ1において、従来構造よりも小型化(特に低背化)を容易に実現することが可能である。
【0055】
(b)本実施形態のフローティングコネクタ1では、第二ハウジング20の動き(特に、鉛直方向下方側への傾き)を規制すべく、薄板バネ310の一部分を支持するサポート部材40が設けられている。したがって、薄板バネ310の弾性変形方向が鉛直方向に沿う場合であっても、サポート部材40が支持することで、第二ハウジング20が鉛直方向下方側(すなわち重力が作用する方向)に傾いてしまうのを抑制することができる。つまり、本実施形態によれば、第二ハウジング20に外部ピン3が挿入されていない状態での当該第二ハウジング20の傾きを抑制することで、フローティングコネクタ1を使用する際に、第二ハウジング20に対して外部ピン3を確実に嵌合させ得るようになり、コネクタとしての信頼性や利便性等を十分に高められる。
【0056】
(c)本実施形態のフローティングコネクタ1では、可撓部31を構成する薄板バネ310が、第一接続部311、第一折り返し部312、第二折り返し部313および第二接続部314を有して形成されている。このように、薄板バネ310が少なくとも第一折り返し部312および第二折り返し部313を有して形成されていることで、当該薄板バネ310の前後方向の大型化を招いてしまうことなく、当該薄板バネ310を構成する連続体の有効スパン(すなわち、有効ばね長)を十分に確保することができる。つまり、本実施形態のフローティングコネクタ1によれば、可撓部31による可動域が損なわれることなく、上述した低背化のみならず、前後方向についても小型化が実現可能となる。
【0057】
(d)本実施形態のフローティングコネクタ1において、第二ハウジング20の動きを規制するためのサポート部材40は、薄板バネ310の全部ではなく、その薄板バネ310における第二折り返し部313の一部分を鉛直方向下方側から支持するように配置されている。したがって、薄板バネ310によって構成される可撓部31は、鉛直方向下方側および鉛直方向上方側のいずれについても、可動域が損なわれてしまうことがない。つまり、本実施形態によれば、鉛直方向上方側および鉛直方向下方側のいずれについても可撓部31の可動域が損なわれてしまうのを回避しつつ、第二ハウジング20の重力による鉛直方向下方側への傾きを確実に抑制することができる。
【0058】
(e)本実施形態のフローティングコネクタ1では、薄板バネ310が対称性を有する平面形状に形成されており、また、その対称性に対応するように(すなわち、同様の対称性を有するように)サポート部材40が配置されている。したがって、本実施形態によれば、可撓部31のねじれについても、その発生を抑制することができる。このように、傾きのみならず、ねじれについても抑制すれば、フローティングコネクタ1を使用する際に、第二ハウジング20に対して外部ピン3を確実に嵌合させ得るようになり、コネクタとしての信頼性や利便性等をより一層高められる。
【0059】
(f)本実施形態のフローティングコネクタ1では、端子部材30における弾性アーム330の幅が外部ピン3の所定量の移動を許容する大きさに設定されており、これにより外部ピン3と弾性アーム330との接触可能領域が広く確保されている。さらには、端子部材30の端子接触部33の奥行き寸法が外部ピン3の所定量の移動を許容する大きさに設定されており、これにより円柱ピン状の外部ピン3と弾性アーム330との接触可能領域が広く確保されている。したがって、本実施形態によれば、可撓部31を構成する薄板バネ310の弾性変形による鉛直方向のみならず、端子部材30並列方向(ピッチ方向)および外部ピン3の挿抜方向(前後方向)についても、フローティングコネクタ1と外部ピン3との相対位置の位置ズレを吸収することができ、その位置ズレに起因する外部ピン3の変形や導通不良等が生じてしまうことがない。
【0060】
(5)変形例等
以上、本発明の一実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0061】
図10は、フローティングコネクタの変形例を模式的に示す説明図である。
【0062】
(上方側への動きの規制)
上述の実施形態では、サポート部材40が第二ハウジング20の鉛直方向下方側への傾きを規制する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されることはなく、例えば、鉛直方向下方側に加えて鉛直方向上方側への動きを規制するように構成されたものであってもよい。具体的には、図10(a)に示すように、フローティングコネクタ1aは、薄板バネ310における第二折り返し部313の対称性に対応しつつ、当該第二折り返し部313の可動域の上端近傍にて、当該第二折り返し部313の上面と当接するように配置された可動規制部41を有するものであってもよい。
【0063】
かかる構成のフローティングコネクタ1aでは、可動規制部41を有することで、第二折り返し部313の上方側への可動域が規制されるので、第二ハウジング20の上方側への動き過ぎが抑制され、上方側への移動時における薄板バネ310の変形量が過大になってしまうことがない。しかも、可動規制部41は、第二折り返し部313の対称性に対応しているので(すなわち、同様の対称性を有しているので)、第二ハウジング20が上方側に向けて移動した際にもねじれの発生を未然に防止することができる。したがって、かかる構成のフローティングコネクタ1aによれば、当該フローティングコネクタ1aを使用する際に、第二ハウジング20に対して外部ピン3を確実に嵌合させる上で非常に有用なものとなり、コネクタとしての信頼性や利便性等をより一層高められる。
【0064】
なお、図10(a)に示した例では、サポート部材40および可動規制部41が第一ハウジング10と一体で(すなわち第一ハウジング10の一部として)形成されている場合を示しているが、これに限定されることはなく、第一ハウジング10とは別体で形成されたものであってもよい。
【0065】
(使用時の配置方向)
上述の実施形態では、基板2の上面にフローティングコネクタ1が実装され、可撓部31を構成する薄板バネ310が鉛直方向に沿って弾性変形する場合を例に挙げて説明したが、必ずしもこれに限定されることはない。
【0066】
すなわち、フローティングコネクタ1は、どのような方向に配置された場合(例えば、薄板バネ310の弾性変形方向が鉛直方向以外の方向に沿う場合)であっても、相手側コネクタの外部ピン3を挿入して使用することが可能である。かかる場合においても、フローティングコネクタ1は、薄板バネ310が外部ピン3のピッチ方向との直交方向を主たる弾性変形方向とするように配されていれば、基板2から突出方向についての小型化が容易に実現可能となる。
【0067】
また、薄板バネ310の弾性変形方向が鉛直方向に沿う場合については、必ずしも基板2の上面に実装されている必要はなく、例えば、図10(b)に示すように、基板2の下面にフローティングコネクタ1bが実装されていてもよい。かかる場合には、薄板バネ310の一部分を支持するサポート部材40が、基板2と当該薄板バネ310との間ではなく、当該薄板バネ310よりも第二ハウジング20の側に位置することになる。
【0068】
なお、図10(b)に示した例においても、サポート部材40が第一ハウジング10と一体で(すなわち第一ハウジング10の一部として)形成されている場合を示しているが、これに限定されることはなく、第一ハウジング10とは別体で形成されたものであってもよい。
【0069】
(その他の変形例)
上述の実施形態では、相手側コネクタの外部ピン3の一例として、車載用の電池モジュールにおけるシャント抵抗器に用いられるものを挙げたが、本発明がこれに限定されることはなく、様々な電子機器が接続相手となる場合であっても、全く同様に本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0070】
1,1a,1b…フローティングコネクタ、2…回路基板(基板)、3…外部ピン、10…第一ハウジング、20…第二ハウジング、30…端子部材、31…可撓部、32…基板装着部、33…端子接触部、40…サポート部材、41…可動規制部、310…薄板バネ、311…第一接続部、312…第一折り返し部、313…第二折り返し部、314…第二接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10