(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】メタルボンド及びガラス質ボンド研磨物品の製造方法、並びに研磨物品前駆体
(51)【国際特許分類】
B24D 3/00 20060101AFI20220119BHJP
B24D 3/06 20060101ALI20220119BHJP
B24D 3/20 20060101ALI20220119BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20220119BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20220119BHJP
【FI】
B24D3/00 340
B24D3/06 A
B24D3/20
B33Y10/00
B33Y30/00
(21)【出願番号】P 2018546785
(86)(22)【出願日】2017-03-30
(86)【国際出願番号】 US2017024882
(87)【国際公開番号】W WO2017173009
(87)【国際公開日】2017-10-05
【審査請求日】2020-03-27
(32)【優先日】2016-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】カーステン フランケ
(72)【発明者】
【氏名】マイケン ジボット
(72)【発明者】
【氏名】マルテ コルテン
(72)【発明者】
【氏名】ロバート エル.ダブリュ.スミスソン
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ディー.ゴウアーズ
(72)【発明者】
【氏名】ニーガス ビー.アデフリス
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ジェイ.アンダーソン
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン エー.シュクラ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル シー.ハーパー
(72)【発明者】
【氏名】エリザベータ ワイ.プロトニコフ
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-531305(JP,A)
【文献】特開2008-018479(JP,A)
【文献】特表平04-500044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24D 3/00 - 99/00
B33Y 10/00
B33Y 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非一時的機械可読媒体から、ガラス質ボンド研磨物品プリフォームの3Dモデルを表すデータを検索することであって、前記ガラス質ボンド研磨物品プリフォームのガラス質ボンド研磨物品前駆体は、
ガラス質ボンド前駆体材料と有機化合物である一時的バインダとによって互いに結合された研磨粒子を含み、前記ガラス質ボンド研磨物品前駆体は、
前記ガラス質ボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの蛇行状冷却チャネル;又は
前記ガラス質ボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの弓状冷却チャネル;
のうちの少なくとも1つを更に含み、前記有機化合物は、ワックス、糖、250℃以下の融点を有する熱可塑性材料、又は、これらの組み合わせを有する、検索することと、
1又は複数のプロセッサによって、前記データを使用する製造デバイスとインターフェースする3D印刷アプリケーションを実行することと、
前記製造デバイスによって、前記ガラス質ボンド研磨物品プリフォームの物理的オブジェクトを生成することであって、
ガラス質ボンド前駆体材料、研磨粒子、及び、有機化合物材料を含む固まっていない粉末粒子の層を堆積することと、前記有機化合物の融点よりも高い温度まで前記固まっていない粉末粒子の層の一部エリアを選択的に加熱することと、前記エリアを変更しながら前記堆積及び前記選択的な加熱を繰り返して、各層の非加熱エリアによって前記少なくとも1つの蛇行状冷却チャネル又は前記少なくとも1つの弓状冷却チャネルを形成することと、を含む前記生成することと、
前記非加熱エリアにおける固まっていない粉末粒子から前記生成された前記ガラス質ボンド研磨物品プリフォームを分離することと、
前記ガラス質ボンド研磨物品プリフォームを540℃から1700℃までの間の温度で焼成することと、
を含む、方法。
【請求項2】
1又は複数のプロセッサを有する製造デバイスによって、ガラス質ボンド研磨物品前駆体の複数の層を規定するデータを含むデジタルオブジェクトを受信することであって、前記ガラス質ボンド研磨物品前駆体は、
ガラス質ボンド前駆体材料と有機化合物である一時的バインダとによって互いに結合された研磨粒子を含み、前記ガラス質ボンド研磨物品前駆体は、
前記ガラス質ボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの蛇行状冷却チャネル;又は
前記ガラス質ボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの弓状冷却チャネル;
のうちの少なくとも1つを更に含み、前記有機化合物は、ワックス、糖、250℃以下の融点を有する熱可塑性材料、又は、これらの組み合わせを有する、受信することと、
前記製造デバイスで、付加製造プロセスによって、前記デジタルオブジェクトに基づい
てガラス質ボンド研磨物品プリフォームを生成することであって、
ガラス質ボンド前駆体材料、研磨粒子、及び、有機化合物材料を含む固まっていない粉末粒子の層を堆積することと、前記有機化合物の融点よりも高い温度まで前記固まっていない粉末粒子の層の一部エリアを選択的に加熱することと、前記エリアを変更しながら前記堆積及び前記選択的な加熱を繰り返して、各層の非加熱エリアによって前記少なくとも1つの蛇行状冷却チャネル又は前記少なくとも1つの弓状冷却チャネルを形成することと、を含む前記生成することと、
前記非加熱エリアにおける固まっていない粉末粒子から前記生成された前記ガラス質ボンド研磨物品プリフォームを分離することと、
前記ガラス質ボンド研磨物品プリフォームを540℃から1700℃までの間の温度で焼成することと、
を含む、方法。
【請求項3】
前記ワックスは、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、酸化フィッシャートロプシュワックス、微結晶性ワックス、ラノリン、ヤマモモワックス、パーム核ワックス、羊脂ワックス、ポリエチレンワックス、ポリエチレンコポリマーワックス、石油由来ワックス、モンタンワックス誘導体、ポリプロピレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、及び、これらの組み合わせを有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記250℃以下の融点を有する熱可塑性材料は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリプロピレン(PP)、ビスフェノールAポリカーボネート(BPA-PC)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルイミド(PEI)、及び、これらの組み合わせを有する、請求項1又は2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、メタルボンドマトリックス又はガラス質ボンドマトリックス内に研磨粒子を有する研磨物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビトリファイドボンド研磨物品(例えば、研磨ホイール、研磨セグメント、及び砥石)は、研磨粒子(例えば、ダイヤモンド、立方窒化ホウ素、アルミナ、若しくはSiC)、ガラス質ボンド前駆体(例えば、ガラスフリット、セラミック前駆体)、任意選択的な細孔誘導剤(例えば、グラスバブルズ、ナフタレン、破砕されたヤシ若しくはクルミ殻、又はアクリルガラス若しくはPMMA)、並びに液状ビヒクル中の一時的有機バインダー(例えば、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール、尿素ホルムアルデヒド樹脂、若しくはデキストリンの水溶液)のブレンドを圧縮することによって製造されている。研磨粒子、ガラス質ボンド前駆体、及び通常は細孔誘導剤を、典型的には、合わせてドライブレンドする。次に、一時的有機バインダー溶液を加え、砥粒混合物を浸潤させる。その後、ブレンドされた混合物を、離型剤で処理された焼入鋼成形型内に配置する。充填された成形型を、次いで、プレス機内で圧縮して、型成形されたグリーン体を形成する。グリーン体を成形型から取り出し、その後、一時的有機バインダーがバーンアウトして、ガラス質ボンド前駆体がガラス質ボンドマトリックス(当該技術分野において「ガラス質ボンド」及び「ガラス質バインダー」とも呼ばれる)に変換されるまで加熱する。
【0003】
従来、メタルボンド研磨物品は、ダイヤモンド、立方窒化ホウ素(cBN)、又は他の研磨砥粒などの研磨グリットと、非融解性金属粉末(例えば、タングステン、ステンレス鋼、その他)、融解性金属粉末(例えば、青銅若しくは銅)、又はこれらの組み合わせとを混合することによって製造されている。細孔誘発物質、一時的バインダー、及び他の添加剤を添加してもよい。この混合物を、次いで、離型剤が塗布された成形型に導入する。充填された成形型を、次いで、プレス機内で圧縮して、型成形されたグリーン体を形成する。次いで、グリーン体を成形型から取り出し、その後に、金属組成物の一部分を溶融させるために炉内で高温で加熱するか、又は溶融した金属を注入する。加熱は、典型的には、不活性ガス若しくは還元ガス(例えば、窒素、アルゴン、水素)の好適な制御された雰囲気内で、又は減圧下で、行われる。
【0004】
これらの製造アプローチには多数の欠点が存在する:各研磨物品の形状は特殊な成形型を必要とする;成形型は典型的には高額で、製造までのリードタイムが長い;何らかの設計変更は新たな成形型の製造を必要とする;型成形できる形状に制限があり、アンダーカット又は冷却チャネルなどの内部構造がある複雑な形状は、概ね不可能である;成形型は摩滅し、1つの成形型で製造できる単位数は限られる;成形型に研磨混合物が充填されている場合、構成成分の分離が起こり、不均質な研磨成分及び濃度のばらつきを招く可能性があり、これは容易に視認できると共に性能のばらつきの原因となり得る。更に、プロセスは、多くの場合手作業であり、労働集約的である。
【0005】
選択的レーザー焼結では、不活性雰囲気エンクロージャ内で、金属粉末と研磨砥粒とを含む粉末の層を、均一な層に展延する。所定のエリアで、レーザービームによって粉末を加熱して、金属粉末をその焼結温度まで加熱する。従来のレーザー焼結の欠点は、高出力のレーザーを必要とする(例えば30~150ワットの範囲)こと、及び印刷プロセス全体にわたって不活性雰囲気を維持する必要があることである。
【発明の概要】
【0006】
第1の態様では、本開示は、ガラス質ボンド研磨物品の製造方法を提供し、この製造方法は、逐次的な工程を含む。工程a)は、逐次的に、i)固まっていない粉末粒子の層を限定された領域内に堆積させる工程、及びii)伝導又は照射によって熱を選択的に適用して、固まっていない粉末粒子の層のエリアを加熱処理する工程、を含むサブプロセス工程を含む。固まっていない粉末粒子は、ガラス質ボンド前駆体粒子、研磨粒子、及び有機化合物粒子を含む。固まっていない粉末粒子の層は、実質的に均一な厚さを有する。工程b)は、工程a)を複数回独立して実施して、結合された粉末粒子及び残りの固まっていない粉末粒子を含む研磨物品プリフォームを生成する工程を含む。それぞれの工程a)では、固まっていない粉末粒子が独立して選択される。工程c)は、残りの固まっていない粉末粒子の実質的に全てを研磨物品プリフォームから分離する工程を含み、工程d)は、研磨物品プリフォームを加熱して、ガラス質ボンド材料中に保持された研磨粒子を含むガラス質ボンド研磨物品を提供する工程を含む。
【0007】
第2の態様では、本開示は、ガラス質ボンド前駆体材料及び有機化合物によって互いに結合された研磨粒子を含むガラス質ボンド研磨物品前駆体を提供し、当該ガラス質ボンド研磨物品前駆体は、ガラス質ボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの蛇行状冷却チャネル;又はガラス質ボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの弓状冷却チャネルのうちの少なくとも1つを更に含む。
【0008】
第3の態様では、本開示は、メタルボンド研磨物品の製造方法を提供し、この製造方法は、逐次的な工程を含む。工程a)は、逐次的に、i)固まっていない粉末粒子の層を限定された領域内に堆積させる工程、及びii)伝導又は照射によって熱を選択的に適用して、固まっていない粉末粒子の層のエリアを加熱処理する工程、を含むサブプロセス工程を含む。固まっていない粉末粒子は、高融点金属粒子、研磨粒子、及び有機化合物粒子を含む。固まっていない粉末粒子の層は、実質的に均一な厚さを有する。工程b)は、工程a)を複数回独立して実施して、結合された粉末粒子及び残りの固まっていない粉末粒子を含む研磨物品プリフォームを生成する工程を含む。それぞれの工程a)では、固まっていない粉末粒子が独立して選択される。工程c)は、残りの固まっていない粉末粒子の実質的に全てを研磨物品プリフォームから分離する工程を含む。工程d)は、研磨物品プリフォームに溶融した低融点金属を注入する工程を含み、高融点金属粒子の少なくとも一部が、溶融した低融点金属と接触したときに完全には溶融しない。工程e)は、溶融した低融点金属を固化して、メタルボンド研磨物品を提供する工程を含む。
【0009】
第4の態様では、本開示は、メタルボンド研磨物品の製造方法を提供し、この製造方法は、逐次的な工程を含む。工程a)は、逐次的に、i)固まっていない粉末粒子の層を限定された領域内に堆積させる工程、及びii)伝導又は照射によって熱を選択的に適用して、固まっていない粉末粒子の層のエリアを加熱処理する工程、を含むサブプロセス工程を含む。固まっていない粉末粒子は、金属粒子、研磨粒子、及び有機化合物粒子を含む。固まっていない粉末粒子の層は、実質的に均一な厚さを有する。工程は、b)工程a)を複数回独立して実施して、結合された粉末粒子及び残りの固まっていない粉末粒子を含む研磨物品プリフォームを生成する工程を含み、研磨物品プリフォームは、所定の形状を有する。それぞれの工程a)では、固まっていない粉末粒子が独立して選択される。工程c)は、残りの固まっていない粉末粒子の実質的に全てを研磨物品プリフォームから分離する工程を含む。工程d)は、研磨物品プリフォームを加熱して、メタルボンド研磨物品を提供する工程を含む。
【0010】
第5の態様では、本開示は、有機化合物材料によって互いに結合された金属粒子と研磨粒子とを含むメタルボンド研磨物品前駆体を提供し、当該メタルボンド研磨物品前駆体は、メタルボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの蛇行状冷却チャネル;及びメタルボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの弓状冷却チャネルのうちの少なくとも1つを更に含む。
【0011】
第6の態様では、本開示は、ガラス質ボンド研磨物品の三次元モデルを表すデータを有する非一時的機械可読媒体であって、3Dプリンタとインターフェースする1又は複数のプロセッサによってアクセスされたときに、ガラス質ボンド研磨物品のガラス質ボンド研磨物品前駆体を3Dプリンタに作製させる、非一時的機械可読媒体を提供する。ガラス質ボンド研磨物品前駆体は、ガラス質ボンド前駆体材料及び有機化合物によって互いに結合された研磨粒子を含む。ガラス質ボンド研磨物品前駆体は、ガラス質ボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの蛇行状冷却チャネル;又はガラス質ボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの弓状冷却チャネルのうちの少なくとも1つを更に含む。
【0012】
第7の態様では、本開示は、(例えば、非一時的)機械可読媒体から、ガラス質ボンド研磨物品の3Dモデルを表すデータを検索することを含む、方法を提供する。ガラス質ボンド研磨物品プリフォームのガラス質ボンド研磨物品前駆体は、ガラス質ボンド前駆体材料及び有機化合物によって互いに結合された研磨粒子を含む。ガラス質ボンド研磨物品前駆体は、ガラス質ボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの蛇行状冷却チャネル;又はガラス質ボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの弓状冷却チャネルのうちの少なくとも1つを更に含む。方法は、1又は複数のプロセッサによって、データを使用する製造デバイスとインターフェースする3D印刷アプリケーションを実行することと、製造デバイスによって、ガラス質ボンド研磨物品前駆体の物理的オブジェクトを生成することと、を更に含む。
【0013】
第8の態様では、本開示は、1又は複数のプロセッサを有する製造デバイスによって、ガラス質ボンド研磨物品前駆体の複数の層を規定するデータを含むデジタルオブジェクトを受信することを含む、方法を提供する。ガラス質ボンド研磨物品前駆体は、ガラス質ボンド前駆体材料及び有機化合物によって互いに結合された研磨粒子を含む。ガラス質ボンド研磨物品前駆体は、ガラス質ボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの蛇行状冷却チャネル;又はガラス質ボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの弓状冷却チャネルのうちの少なくとも1つを更に含む。方法は、製造デバイスで、付加製造プロセスによって、デジタルオブジェクトに基づいてガラス質ボンド研磨物品前駆体を生成することを更に含む。
【0014】
第9の態様では、本開示は、ガラス質ボンド研磨物品の3Dモデルを表示するディスプレイと、ユーザによって選択された3Dモデルに応じて、ガラス質ボンド研磨物品のガラス質ボンド研磨物品前駆体の物理的オブジェクトを3Dプリンタに作製させる、1又は複数のプロセッサと、を含むシステムを提供する。ガラス質ボンド研磨物品前駆体は、ガラス質ボンド前駆体材料及び有機化合物によって互いに結合された研磨粒子を含む。ガラス質ボンド研磨物品前駆体は、ガラス質ボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの蛇行状冷却チャネル;又はガラス質ボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの弓状冷却チャネルのうちの少なくとも1つを更に含む。
【0015】
第10の態様では、本開示は、メタルボンド研磨物品の三次元モデルを表すデータを有する非一時的機械可読媒体であって、3Dプリンタとインターフェースする1又は複数のプロセッサによってアクセスされたときに、メタルボンド研磨物品のメタルボンド研磨物品前駆体を3Dプリンタに作製させる、非一時的機械可読媒体を提供する。メタルボンド研磨物品前駆体は、有機化合物材料によって互いに結合された金属粒子と研磨粒子とを含む。メタルボンド研磨物品前駆体は、メタルボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの蛇行状冷却チャネル;及びメタルボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの弓状冷却チャネルのうちの少なくとも1つを更に含む。
【0016】
第11の態様では、本開示は、非一時的機械可読媒体から、メタルボンド研磨物品前駆体の3Dモデルを表すデータを検索することを含む、方法を提供する。メタルボンド研磨物品前駆体は、有機化合物材料によって互いに結合された金属粒子と研磨粒子とを含む。メタルボンド研磨物品前駆体は、メタルボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの蛇行状冷却チャネル;及びメタルボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの弓状冷却チャネルのうちの少なくとも1つを更に含む。方法は、1又は複数のプロセッサによって、データを使用する製造デバイスとインターフェースする3D印刷アプリケーションを実行することと、製造デバイスによって、メタルボンド研磨物品前駆体の物理的オブジェクトを生成することと、を更に含む。
【0017】
第12の態様では、本開示は、1又は複数のプロセッサを有する製造デバイスによって、メタルボンド研磨物品前駆体の複数の層を規定するデータを含むデジタルオブジェクトを受信することを含む、方法を提供する。メタルボンド研磨物品前駆体は、有機化合物材料によって互いに結合された金属粒子と研磨粒子とを含む。メタルボンド研磨物品前駆体は、メタルボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの蛇行状冷却チャネル;及びメタルボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの弓状冷却チャネルのうちの少なくとも1つを更に含む。方法は、製造デバイスで、付加製造プロセスによって、デジタルオブジェクトに基づいてメタルボンド研磨物品前駆体を生成することを更に含む。
【0018】
第13の態様では、本開示は、メタルボンド研磨物品の3Dモデルを表示するディスプレイと、ユーザによって選択された3Dモデルに応じて、メタルボンド研磨物品のメタルボンド研磨物品前駆体の物理的オブジェクトを3Dプリンタに作製させる、1又は複数のプロセッサと、を含むシステムを提供する。メタルボンド研磨物品前駆体は、有機化合物材料によって互いに結合された金属粒子と研磨粒子とを含む。メタルボンド研磨物品前駆体は、メタルボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの蛇行状冷却チャネル;及びメタルボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの弓状冷却チャネルのうちの少なくとも1つを更に含む。
【0019】
本開示の特徴及び利点は、詳細な説明並びに添付の特許請求の範囲を考慮することにより更に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1A】本開示によるガラス質ボンド又はメタルボンド研磨物品の製造方法の概略プロセスフロー図である。
【0021】
【
図1B】サーマルプリントヘッド熱源を用いた
図1Aのプロセスの第3工程の概略側断面図である。
【0022】
【
図1C】加熱チップ熱源を用いた
図1Aのプロセスの第3工程の概略側断面図である。
【0023】
【
図1D】レーザー熱源を用いた
図1Aのプロセスの第3工程の概略側断面図である。
【0024】
【
図2】本開示に従って調製可能な、例示的なガラス質ボンド又はメタルボンド研磨ホイール200の概略断面平面図である。
【0025】
【
図3】本開示に従って調製可能な、例示的なガラス質ボンド又はメタルボンド研磨ホイール300の概略断面平面図である。
【0026】
【
図4】本開示に従って調製可能な、例示的なガラス質ボンド又はメタルボンド研磨セグメント400の概略斜視図である。
【0027】
【
図5】本開示に従って調製可能な、ガラス質ボンド又はメタルボンド研磨ホイール500の概略斜視図である。
【0028】
【
図6A】本開示に従って調製可能な、単体構造化された研磨ディスク600の概略斜視図である。
【0029】
【
図6B】単体構造化された研磨ディスク600の概略平面図である。
【0030】
【
図7A】本開示に従って調製可能な、単体構造化された研磨ディスク700の概略斜視図である。
【0031】
【
図7B】単体構造化された研磨ディスク700の概略平面図である。
【0032】
【
図8】本開示に従って調製可能な、回転研磨工具800の概略斜視図である。
【0033】
【
図9】本開示に従って調製可能な、例示的な歯科用バー900の概略斜視図である。
【0034】
【
図10】代表的なコンピューティングデバイス1000の概略正面図である。
【0035】
【
図11】ガラス質ボンド又はメタルボンド研磨物品の付加製造のための一般化されたシステム1150のブロック図である。
【0036】
【
図12】ガラス質ボンド又はメタルボンド研磨物品の一般化された製造プロセスのブロック図である。
【0037】
【
図13】例示的なガラス質ボンド又はメタルボンド研磨物品製造プロセスの高レベルフローチャートである。
【0038】
【
図14】例示的なガラス質ボンド又はメタルボンド研磨物品付加製造プロセスの高レベルフローチャートである。
【0039】
明細書及び図面中の参照文字が繰り返して使用されている場合、本開示の同じ又は類似の特徴又は要素を表すことを意図している。多くの他の変更形態及び実施形態を当業者であれば考案することができ、それらは本開示の原理の趣旨及び範囲に入ることは理解されるべきである。図面は、縮尺どおりに描かれていない場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本開示によるガラス質ボンド研磨物品及びメタルボンド研磨物品の製造方法は、共通の積層サブプロセスを含む。サブプロセス工程は、少なくとも3つの工程を逐次的に、好ましくは連続的に(ただし、必須ではない)実施する工程を含む。有利には、方法は、熱源として高電力設備を要さず、かつ不活性雰囲気を必要とせずに、伝導又は照射によって熱を選択的に適用することを含む。
【0041】
図1Aは、ガラス質ボンド研磨物品又はメタルボンド研磨物品の製造に使用される例示的な粉末床プロセス100を概略的に図示している。
【0042】
第1の工程では、固まっていない粉末粒子110の層138を、可動ピストン122aを有する粉末槽120aから、可動ピストン122bを有する粉末槽120bの限定された領域140に堆積させる。層138は、実質的に均一な厚さとするべきである。例えば、層の厚さは、50ミクロン未満、好ましくは30ミクロン未満、より好ましくは10ミクロン未満で変化しうる。層は、熱が適用された場所にある、固まっていない粉末の全てを、その熱が結合できる限り、最大約1ミリメートルの任意の厚さを有してもよい。好ましくは、層の厚さは、約10ミクロン~約500ミクロン、10ミクロン~約250ミクロン、より好ましくは、約50ミクロン~約250ミクロン、及びより好ましくは、約100ミクロン~約200ミクロンである。
【0043】
研磨粒子は、研磨剤産業において用いられる任意の研磨粒子を含み得る。好ましくは、研磨粒子は、少なくとも4、好ましくは、少なくとも5、より好ましくは、少なくとも6、より好ましくは、少なくとも7、より好ましくは、少なくとも8、より好ましくは、少なくとも8.5、及びより好ましくは、少なくとも9のモース硬度を有する。実施形態のいくつかでは、研磨粒子は超研磨粒子を含む。本明細書で使用するとき、用語「超研磨」は、炭化ケイ素の硬度以上の硬度を有する任意の研磨粒子(例えば、炭化ケイ素、炭化ホウ素、立方窒化ホウ素、及びダイヤモンド)を指す。
【0044】
好適な研磨材料の具体例としては、酸化アルミニウム(例えば、αアルミナ)材料(例えば、溶融、熱処理、セラミック、及び/若しくは焼結酸化アルミニウム材料)、炭化ケイ素、二ホウ化チタン、窒化チタン、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化チタン、窒化アルミニウム、ダイヤモンド、立方窒化ホウ素(CBN)、ガーネット、溶融アルミナ-ジルコニア、ゾル-ゲル由来研磨粒子、金属酸化物、例えば、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。実施形態のいくつかでは、研磨粒子は金属酸化物セラミック粒子を含む。米国特許第4,314,827号(Leitheiser et al.)、同第4,623,364号(Cottringer et al.)、同第4,744,802号(Schwabel)、同第4,770,671号(Monroe et al.)、及び同第4,881,951号(Monroe et al.)に、ゾル-ゲル由来研磨粒子の例を見出すことができる。ガラス質ボンドマトリックス中により微細な研磨粒子を含む凝集研磨粒子(例えば、米国特許第6,551,366号(D’Souza et al.))に記載されているとおりの)も同様に用いられ得る。
【0045】
上記のように、固まっていない粉末粒子は有機化合物粒子を含み、熱を選択的に適用すると、研磨粒子(並びに、固まっていない粉末粒子中に存在する他の種類の粒子)を一緒に保持できることが発見された。多くの実施形態において、有機化合物粒子は、50℃~250℃(両端の値を含む)、例えば、100℃~180℃(両端の値を含む)の融点を有する。別の言い方をすれば、実施形態のいくつかにおいて、有機化合物粒子は、少なくとも50℃、又は少なくとも60℃、又は少なくとも70℃、又は少なくとも80℃、又は少なくとも90℃、又は少なくとも100℃、又は少なくとも110℃、又は少なくとも120℃、又は少なくとも130℃の融点、及び最大250℃、又は最大240℃、又は最大230℃、又は最大220℃、又は最大210℃、又は最大200℃、又は最大190℃、又は最大180℃、又は最大170℃、又は最大160℃の融点を有する。
【0046】
有機化合物粒子は特に限定されず、ワックス、糖、デキストリン、250℃以下の融点を有する熱可塑性材料、アクリレート、メタクリレート、及びこれらの組み合わせから任意に選択される。
【0047】
好適なワックスとしては、例えば、限定するものではないが、植物、動物、石油、及び/又は鉱物由来の材料が挙げられる。代表的なワックスとしては、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、酸化フィッシャートロプシュワックス、微結晶性ワックス、ラノリン、ヤマモモワックス、パーム核ワックス、羊脂ワックス、ポリエチレンワックス、ポリエチレンコポリマーワックス、石油由来ワックス、モンタンワックス誘導体、ポリプロピレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0048】
好適な糖としては、例えば、限定するものではないが、ラクトース、トレハロース、グルコース、スクロース、レボロース、デキストロース、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0049】
好適なデキストリンとしては、例えば、限定するものではないが、γ-シクロデキストリン、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、グルコシル-α-シクロデキストリン、マルトシル-α-シクロデキストリン、グルコシル-β-シクロデキストリン、マルトシル-β-シクロデキストリン、2-ヒドロキシ-β-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリン、ヒドロキシエチル-β-シクロデキストリン、メチル-β-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-α-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-γ-シクロデキストリン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0050】
好適な熱可塑性材料としては、例えば、限定するものではないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリプロピレン(PP)、ビスフェノールAポリカーボネート(BPA-PC)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルイミド(PEI)、及びこれらの組み合わせ等の、250℃以下の融点を有する熱可塑性材料が挙げられる。
【0051】
好適なアクリレート及びメタクリレートとしては、例えば、限定するものではないが、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、アクリル化(メタ)アクリル、ポリエーテルアクリレート、アクリル化ポリオレフィン、及びこれらの組み合わせ、又はこれらのメタクリレート類似体が挙げられる。
【0052】
有機化合物粒子は、典型的には、固まっていない粉末粒子の2.5重量%~30重量%(両端の値を含む)、例えば、5重量%~20重量%(両端の値を含む)の量で存在する。別の言い方をすれば、実施形態のいくつかにおいて、有機化合物粒子は、固まっていない粉末粒子の少なくとも2.5重量%、又は少なくとも3重量%、又は少なくとも4重量%、又は少なくとも5重量%、又は少なくとも7重量%、又は少なくとも8重量、又は少なくとも10重量%、又は少なくとも12重量%;かつ固まっていない粉末粒子の最大30重量%、又は最大28重量%、又は最大25重量%、又は最大23重量%、又は最大20重量%、又は最大18重量%の量で存在する。典型的には、有機化合物粒子の平均粒径は、約1マイクロメートル~約100マイクロメートル、好ましくは約5マイクロメートル~約50マイクロメートル、最も好ましくは約10マイクロメートル~約30マイクロメートルの範囲である。
【0053】
ガラス質ボンド研磨物品を形成する際に、固まっていない粉末粒子は、ガラス質ボンド前駆体粒子、研磨粒子、及び有機化合物粒子を含む。メタルボンド研磨物品を形成する際に、固まっていない粉末粒子は、金属粒子、研磨粒子、及び有機化合物粒子を含む。メタルボンド研磨物品を形成する実施形態のいくつかでは、金属粒子は、高融点金属粒子を含む。
【0054】
ガラス質ボンド前駆体粒子は、ガラス質材料に熱的に転換され得る任意の材料の粒子を含み得る。例としては、ガラスフリット粒子、セラミック粒子、セラミック前駆体粒子、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0055】
本開示に係る研磨砥粒を互いに固結するガラス質ボンドは、研磨剤の技術分野において既知の任意の好適な組成のものであることができる。ガラス質ボンド相はまた、当技術分野において、「セラミックボンド」、「ガラス質相」、「ガラス質マトリックス」、又は「ガラスボンド」として様々に知られており、(例えば、組成に依存して)、高温に加熱されると反応して一体的なガラス質ボンド相を形成する、1又は複数の酸化物(例えば、金属酸化物及び/又はボリア)、及び/又はフリット(即ち、小粒子)としての少なくとも1つのケイ酸塩から生成されてもよい。例としては、ガラス粒子(例えば、再生ガラスフリット、水ガラスフリット)、シリカフリット(例えば、ゾル-ゲルシリカフリット)、アルミナ三水和物粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好適なフリット、これらの原料、及び組成物は当該技術分野において既知である。
【0056】
研磨物品は通例、研磨砥粒、ガラス質ボンド前駆体、任意選択の細孔形成剤、及び一時的バインダーで構成された未焼成構造体を形成することによって調製される。未焼成構造体はその後焼成される。ガラス質ボンド相は通常、本開示の研磨物品を生成するためのプロセスの焼成工程において生成される。典型的な焼成温度は、540℃~1700℃(1000°F~3100°F)の範囲である。焼成工程のために選択される温度及びガラス質ボンド相の組成は、ガラス質ボンド研磨物品中に含有される研磨粒子の物理的特性及び/又は組成に悪影響を与えないように選定されなければならないことを理解されたい。
【0057】
有用なガラスフリット粒子は、ガラス質ボンド研磨物品における使用のために知られている任意のガラスフリット材料を含み得る。例としては、シリカガラスフリット、ケイ酸塩ガラスフリット、ホウケイ酸塩ガラスフリット、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるガラスフリットが挙げられる。一実施形態では、代表的なガラス質固結材料は、約70~90%のSiO2+B2O3、1~20%のアルカリ酸化物、1~20%のアルカリ土類酸化物、及び1~20%の遷移金属酸化物を含有する。別の実施形態では、ガラス質固結材料は、約82重量%のSiO2+B2O3、5%のアルカリ金属酸化物、5%の遷移系列金属酸化物、4%のAl2O3、及び4%のアルカリ土類酸化物の組成を有する。別の実施形態では、ガラス質固結材料として、約20%のB2O3、60%のシリカ、2%のソーダ、及び4%のマグネシアを有するフリットを使用することができる。当業者であれば、上記の特定の成分及びそれらの成分の量が、該組成物で形成される最終研磨物品に特定の性質を与えることを一部目的として選択されることができる点が理解されよう。
【0058】
ガラスフリットのサイズは様々であり得る。例えば、それは研磨粒子と同じサイズであっても異なってもよい。典型的には、ガラスフリットの平均粒径は、約0.01マイクロメートル~約100マイクロメートル、好ましくは、約0.05マイクロメートル~約50マイクロメートル、及び最も好ましくは、約0.1マイクロメートル~約25マイクロメートルの範囲である。少なくとも約4のモース硬度を有する研磨粒子の平均粒径に対する、ガラスフリットの平均粒径は、様々であり得る。通例、ガラスフリットの平均粒径は、研磨剤の平均粒径の約1~約200パーセント、好ましくは、約10~約100パーセント、及び最も好ましくは、約15~約50パーセントである。
【0059】
典型的には、固まっていない粉末粒子中における、ガラス質ボンド前駆体粒子の、研磨粒子に対する重量比は、約10:90~約90:10の範囲である。ガラス質ボンド前駆体粒子の形状もまた、様々であり得る。典型的に、それらは形状が不規則である(例えば、破砕され、任意選択的に選別される)。ただし、これは必要条件ではない。例えば、それらは、球状、立方体状、又は何らかの他の所定の形状であってもよい。
【0060】
好ましくは、ガラス質ボンド前駆体粒子の熱膨張係数は研磨粒子のものと同じであるか、又は実質的に同じである。
【0061】
1つの好ましいガラス質ボンドは、SiO2 63.28、TiO2 0.32、Al2O3 10.99、B2O3 5.11、Fe2O3 0.13、K2O 3.81、Na2O 4.20、Li2O 4.98、CaO 3.88、MgO 3.04及びBaO 0.26の酸化物ベースのモルパーセント(%)組成を有する。これらの成分の焼結は、典型的には、温度を室温から所望の焼結温度(例えば、1149℃(2100°F))まで長時間(例えば、約25~26時間)かけて上昇させ、最高温度で保持し(例えば、数時間)、その後、焼結された物品を長時間(例えば、約25~30時間)かけて室温まで冷却することによって達成される。
【0062】
研磨物品の製造を補助し、及び/又はこのような物品の性能を工場させるために、様々な結合接着物品の製造において様々な添加物を使用することは当該技術分野において既知である。本開示の実施において同様に使用され得るこのような従来の添加物としては、限定するものではないが、潤滑剤、充填剤、細孔誘導剤、及び加工助剤が挙げられる。潤滑剤の例としては、黒鉛、硫黄、ポリテトラフルオロエチレン及び二硫化モリブデンが挙げられる。細孔誘導剤の例としては、グラスバブルズ及び有機粒子が挙げられる。例えば、添加物の意図された目的のために、当技術分野において知られているとおりの添加物の濃度が採用されてもよい。好ましくは、添加物は、本開示の実施において採用された研磨粒子に対してほとんど又は全く悪影響を及ぼさない。
【0063】
ガラス質ボンド前駆体粒子はセラミック粒子を含んでもよい。このような場合には、セラミック粒子の焼結及び/又は溶融がガラス質マトリックスを形成する。任意の焼結可能及び/又は溶融可能セラミック材料が用いられ得る。好ましいセラミック材料としては、アルミナ、ジルコニア、及びこれらの組み合わせが挙げられる。無機ガラス質ボンド前駆体は、任意にαアルミナの前駆体を含む。実施形態のいくつかでは、研磨粒子とガラス質ボンド材料とは、同じ化学組成を有する。
【0064】
所望の場合には、αアルミナセラミック粒子は、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、イットリア、希土類酸化物、ジルコニア、ハフニウム、クロム、又は同様のものなどの金属の酸化物で修飾されてもよい。アルミナ及びジルコニア研磨粒子は、例えば、米国特許第4,314,827号(Leitheiser et al.)、同第4,518,397号(Leitheiser et al.)、同第4,574,003号(Gerk)、同第4,623,364号(Cottringer et al.)、同第4,744,802号(Schwabel)、及び同第5,551,963号(Larmie)において開示されているとおりの、ゾル-ゲルプロセスによって製造されてもよい。
【0065】
ガラス質ボンド前駆体粒子は、ガラス質ボンド前駆体粒子と研磨粒子との複合体積の10~40体積パーセント、好ましくは、研磨組成物の15~35体積パーセントの量で存在してもよい。
【0066】
メタルボンド前駆体粒子の場合、任意の高融点金属粒子は、例えば、元素周期表の第2族から第15族の、任意の金属を含んでもよい。これらの金属の合金、及び、任意選択的に周期表の第1族及び第15族の1つ以上の元素(例えば、金属、及び/又は、炭素、ケイ素、ホウ素などの非金属)を含む合金を使用してもよい。好適な金属粒子の例としては、マグネシウム、アルミニウム、鉄、チタン、ニオブ、タングステン、クロム、タンタル、コバルト、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、モリブデン、パラジウム、プラチナ、銅、銀、金、カドミウム、スズ、インジウム、タンタル、亜鉛、前述のいずれかの合金、及びこれらの組み合わせを含む粉末が挙げられる。
【0067】
高融点金属粒子は、好ましくは少なくとも約1100℃、より好ましくは少なくとも1200℃の融点を有するが、より低い融点の金属も使用してもよい。例としては、ステンレス鋼(約1360~1450℃)、ニッケル(1452℃)、鋼(1371℃)、タングステン(3400℃)、クロム(1615℃)、インコネル(Ni+Cr+Fe、1390~1425℃)、鉄(1530℃)、マンガン(1245~1260℃)、コバルト(1132℃)、モリブデン(2625℃)、モネル(Ni+Cu、1300~1350℃)、ニオブ(2470℃)、チタン(1670℃)、バナジウム(1900℃)、アンチモン(1167℃)、ニクロム(Ni+Cr、1400℃)、前述の金属の合金(任意選択的に、炭素、ケイ素、及びホウ素のうちの1つ以上も含む)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。異なる2つ以上の高融点金属粒子の組み合わせを使用してもよい。
【0068】
固まっていない粉末粒子は、任意選択的に、低融点金属粒子(例えば、ろう材粒子)を更に含んでいてもよい。低融点金属粒子は、高融点金属粒子の最低融点よりも少なくとも50℃低い(好ましくは少なくとも75℃低い、少なくとも100℃又は少なくとも150℃低い)最高融点を有することが好ましい。本明細書で使用するとき、用語「融点」は、ある材料の融解温度範囲内の全ての温度を含む。好適な低融点金属粒子の例としては、アルミニウム(660℃)、インジウム(157℃)、黄銅(905~1083℃)、青銅(798~1083℃)、銀(961℃)、銅(1083℃)、金(1064℃)、鉛(327℃)、マグネシウム(671℃)、ニッケル(1452℃、高融点金属と共に使用される場合)、亜鉛(419℃)、スズ(232℃)、活性金属ろう材(例えば、InCuAg、TiCuAg、CuAg)、前述の金属の合金、及びこれらの組み合わせなどの金属の粒子が挙げられる。
【0069】
一般的に、研磨粒子に対する高融点金属粒子及び/又は任意選択的な低融点金属粒子の重量比は、約10:90~約90:10の範囲に及ぶが、このことは必須ではない。
【0070】
固まっていない粉末粒子は、任意選択的に、例えば、細孔誘発物質、充填剤、及び/又は融剤粒子などの他の成分を更に含んでもよい。細孔誘導剤の例としては、グラスバブルズ及び有機粒子が挙げられる。いくつかの実施形態では、低融点金属粒子は、例えば米国特許第6,858,050号明細書(Palmgren)に記載されるように、融剤の役割も果たしうる。
【0071】
固まっていない粉末粒子は、任意選択的に、それらの流動性及び層の展開の均一性を向上するために改質されていてもよい。粉末の改良方法としては、凝集、噴霧乾燥、ガス噴霧又は水噴霧、フレーム形成、粒状化、ミリング加工、及び篩分けが挙げられる。追加的に、例えば、ヒュームドシリカ、ナノシリカ、ステアリン酸塩類、及びデンプンなどの流動剤が任意選択的に添加されてもよい。
【0072】
微細な細粒度を達成するために、固まっていない粉末粒子は、好ましくは、400ミクロン以下、好ましくは、250ミクロン以下、より好ましくは、200ミクロン以下、より好ましくは、150ミクロン以下、100ミクロン以下、又は更に80ミクロン以下の最大サイズを有するように(例えば、篩い分けによって)サイズが設定される。ただし、より大きなサイズもまた用いられ得る。実施形態のいくつかでは、固まっていない粉末粒子は、1ミクロン以下(例えば、「サブミクロン」);例えば、500ナノメートル(nm)以下、又は更には150nm以下の平均粒径を有する。固まっていない粉末粒子の様々な構成成分は、最大粒径、D90、D50、及び/又はD10粒径分布パラメータが同じでも異なっていてもよい。
【0073】
更に
図1Aを参照すると、熱170は、伝導又は照射によって選択的に適用されて、層138の(例えば、所定の)エリア180を加熱処理する。熱の供給源150は特に限定されず、例えば単一供給源又は多点供給源が挙げられるがこれらに限定されない。好適な単一点供給源としては、例えば加熱チップ156及びレーザー158が挙げられる。加熱チップとしては、典型的には、加熱された金属チップ又は加熱されたセラミックチップ、例えば一般的なはんだづけツールに見られる金属チップが挙げられる。当業者は、適切な低出力レーザー、例えば、Coherent Inc.(Santa Clara,CA)のCUBE 405-100Cダイオードレーザーシステムを選択することができる。有用な多点供給源としては、直接感熱印刷又は熱転写印刷で一般的に使用されるようなサーマルプリントヘッド、及び2つ以上のレーザーが挙げられる。例えば、好適なサーマルプリントヘッドの1つは、京セラ株式会社(京都、日本)から入手可能なモデルKEE-57-24GAG4-STAである。したがって、
図1Bを参照すると、
図1Aのプロセスの第3工程が、サーマルプリントヘッド152熱源と共に表示されている。フィルム154は、層138の上に配置され、サーマルプリントヘッド152熱源と層138のエリア180との間に障壁を提供している。好適なフィルムとしては、例えば、限定するものではないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシ(PFA)、及び高温で安定であることが知られる他のフィルムが挙げられる。
【0074】
図1Cを参照すると、
図1Aのプロセスの第3工程が、単一チップ156熱源と共に表示されている。フィルム154が層138の上に配置され、単一チップ156熱源と層138のエリア180との間に障壁を提供する。次に
図1Dを参照すると、
図1Aのプロセスの第3工程が、レーザー158熱源と共に表示されている。
図1Dは、層138のエリア180に向けられているレーザービーム170を更に含む。この図示された例示的な実施形態では、フィルムは設けられていない。
【0075】
熱は、層138の選択エリア180内の有機化合物粒子を軟化及び/又は溶融し、固まっていない粉末粒子を所定のパターン(及び複数回繰り返したときの最終的な3D形状)に従って互いに結合する。熱が単一の加熱チップを用いて適用される実施形態のいくつかでは、チップは、固まっていない粉末粒子の層の(例えば、所定の)エリアに任意で圧力を更に適用する。圧力適用の利点は、特に、固まっていない粉末粒子が多量の有機化合物粒子を含む場合に、圧力が粉末粒子を高密度化するのに有効となり得ることである。
【0076】
再度
図1Aを参照すると、有機化合物材料は、固まっていない粉末粒子の少なくとも1つの所定の領域(又はエリア)において、固まっていない粉末粒子を結合して、例えば、有機化合物粒子の少なくとも一部を軟化及び/又は溶融することによって、結合された粉末粒子の層を形成する。
【0077】
その後、上記の工程は、3次元(3D)研磨物品プリフォームにおいて、繰返しにより得られる所定のデザインに従って、熱の適用が実施される領域を層毎に変更しながら、繰り返される(工程185)。各繰り返しにおいて、固まっていない粉末粒子は独立して選択されてもよく、すなわち、固まっていない粉末粒子の一部又は全部は、隣接する堆積層と同じであっても異なっていてもよい。
【0078】
研磨物品プリフォームは、結合された粉末粒子及び残りの固まっていない粉末粒子を含む。研磨物品プリフォームを形成するために十分な繰返しを実施した後、同プリフォームを、残りの固まっていない粉末粒子の実質的に全て(例えば、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、好ましくは少なくとも95パーセント、より好ましくは少なくとも99パーセント)から分離することが好ましいが、このことは必須ではない。実施形態のいくつかにおいて、有機化合物材料の少なくとも一部は、結合された粉末粒子の分離の後、かつ金属の注入の前又は注入と同時に、バーンオフ(例えば、揮発及び/又は分解)される。
【0079】
所望に応じて、異なる粉末を各々に収容する複数の粒子貯蔵槽を使用してもよい。同様に、複数の異なる有機化合物粒子を使用してもよい。この結果、異なる粉末/バインダーが、研磨物品の異なる個別の領域に配置される。例えば、比較的廉価であるが性能の低い研磨粒子及び又はガラス質ボンド前駆体粒子は、高い性能特性を有することが特に重要とされない(例えば、研磨面から離れた内部における)ビトリファイドボンド研磨物品の領域に割り当てられてもよい。同じアプローチを、メタルボンド研磨物品に適用することができる。
【0080】
別の態様において、本開示は、ガラス質ボンド研磨物品前駆体を提供する。ガラス質ボンド研磨物品前駆体は、ガラス質ボンド前駆体材料及び有機化合物によって互いに結合された研磨粒子を含み、当該ガラス質ボンド研磨物品前駆体は、ガラス質ボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの蛇行状冷却チャネル;又はガラス質ボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの弓状冷却チャネルのうちの少なくとも1つを更に含む。研磨粒子は、多くの場合、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、又は金属酸化物セラミック粒子のうちの少なくとも1つを含む。
【0081】
概して、本開示のやり方で製造されたガラス質ボンド研磨物品は、その体積全体にわたって相当な多孔性を有する。したがって、研磨物品プリフォームは、次に、追加のガラス質ボンド前駆体材料の溶液若しくは分散液、又は結晶粒成長変性剤を注入されてもよい。
【0082】
固まっていない粉末粒子が高融点金属粒子及び低融点金属粒子を含む実施形態では、研磨物品プリフォームを十分に加熱して、低融点金属粒子を軟化/溶融させ、固まっていない粉末粒子の少なくとも一部分に結合させた後、冷却してメタルボンド研磨物品を得る。固まっていない粉末粒子が、高融点金属粒子を含むが、低融点金属粒子を含まない実施形態では、研磨物品プリフォームを十分に加熱して、高融点金属粒子を少なくとも焼結させ、固まっていない粉末粒子の少なくとも一部分に結合させた後、冷却してメタルボンド研磨物品を得る。冷却は、例えば、低温急冷又は室温までの空気冷却など、当該技術で知られている任意の手段によって実現されうる。
【0083】
本開示により製造される、メタルボンド研磨物品及び/又は研磨物品プリフォームは、体積全体で相当な多孔率を有する多孔性の金属含有マトリックス(例えば、焼結されうる、金属粒子及び研磨粒子を含みうる)を含みうるが、このことは必須ではない。例えば、多孔性の金属含有マトリックスは、1~60体積パーセント、好ましくは5~50体積パーセント、より好ましくは15~50体積パーセント、より好ましくは40~50体積パーセントの空隙率を有してもよいが、このことは必須ではない。これに応じ、次いで、研磨物品プリフォームに、他の任意の金属成分の(1つ以上の)融点よりも低い温度の溶融した金属を注入した後、冷却してもよい。溶融され、研磨物品プリフォームに注入にされ得る好適な金属の例としては、アルミニウム、インジウム、黄銅、青銅、銀、銅、金、鉛、コバルト、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、スズ、鉄、クロム、ケイ素合金、前述の金属の合金、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0084】
焼結及びその後の溶融金属の注入に関する更なる詳細は、例えば、米国特許第2,367,404号明細書(Kott)及び米国特許出願公開第2002/095875号明細書(D’Evelyn et al.)に見ることができる。
【0085】
有利なことに、本開示による方法は、他の方法により簡単に又は容易に製造できない各種のメタルボンド研磨物品の製造に適している。例えば、結合されていない固まっていない粉末の除去のための研磨剤プリフォームの外部への開口部が存在している限り、内部空隙を含むことが可能である。したがって、本開示の方法を用いて、蛇行状及び又は弓状経路を有する冷却チャネルを容易に製作することができる。冷却チャネルは、メタルボンド研磨物品の外部に対して開いている。いくつかの実施形態では、それらは単一の開口部を有するが、より典型的には、それらは2つ以上の開口部を有する。冷却媒体(例えば、空気、水、エマルション、又は油)は、冷却チャネル(単数又は複数)を通って循環し、研磨プロセスの間に発生した熱を除去する。
【0086】
したがって、別の態様では、本開示は、有機化合物材料によって互いに結合された金属粒子と研磨粒子とを含むメタルボンド研磨物品前駆体を提供し、当該メタルボンド研磨物品前駆体は、メタルボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの蛇行状冷却チャネル;メタルボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの弓状冷却チャネル、のうちの少なくとも1つを更に含む。
【0087】
次いで、研磨物品プリフォーム190を加熱して(
図1Aの工程195)、存在し得る有機化合物材料を除去し、メタルボンド又はガラス質ボンド前駆体粒子と共に研磨粒子を焼結し(例えば、有機化合物材料をバーンオフすることによって)、それによって、それぞれメタルボンド又はガラス質ボンド研磨物品を提供する。
【0088】
実施形態のいくつかでは、ガラス質ボンド又はメタルボンド研磨物品は、単体構造化された研磨ディスク、研磨研削ビット、研磨セグメント、研磨リム、成形研磨粒子(例えば、三角形研磨粒子)及び研磨ホイール、並びに多数のこれまで未知のガラス質ボンド又はメタルボンド研磨物品からなる群から選択される。いくつかの好ましい実施形態では、メタルボンド研磨物品は、歯科用回転ツール(例えば、歯科用ドリルビット、歯科用バー、又は歯科用艶出しツール)の少なくとも一部分を構成する。
【0089】
次に
図2を参照すると、例示的なガラス質ボンド又はメタルボンド研磨ホイール200は、弓状及び蛇行状冷却チャネル220をそれぞれ有する。
【0090】
図3は、蛇行状の冷却チャネル320を有する別の例示的なガラス質ボンド又はメタルボンド研磨ホイール300を示す。
【0091】
図4は、例示的なガラス質ボンド又はメタルボンド研磨セグメント400を示す。一般的な使用においては、複数のガラス質ボンド又はメタルボンド研磨セグメント400を、金属ディスクの周縁に沿って一様に間隔を設けて取り付け、研磨ホイールを形成する。
【0092】
図5は、ガラス質ボンド又はメタルボンド研磨ディスク500が2つの領域510、520を有することを示す。各領域は、ガラス質ボンド又はメタルボンドマトリックス材料550、560中にそれぞれ保持された研磨粒子530、540を有する。
【0093】
図6A~
図6B及び
図7A~
図7Bは、セラミック平面状基材620、720と一体的に形成された、精密に賦形されたセラミック研磨要素610、710を有する様々な単体構造化された研磨ディスクをそれぞれ示す。
【0094】
図8は、回転研磨工具800(例えば、Dremel工具などの、手持ち式モータ駆動シャフトのためのビット)を示す。
【0095】
例示的な歯科用バー900を
図9に示す。次に
図9を参照すると、歯科用バー900は、軸920に固定されたヘッド930を含む。歯科用バー900は、多孔性のメタルボンド又はガラス質ボンド910に固定された研磨粒子905を含む。
【0096】
図2及び
図3に示される上記の研磨ホイールは、対応するグリーン体(即ち、同じ大まかな形状特徴を有するが、一時的バインダーによって保持されたガラス質ボンド又はメタルボンド前駆体粒子を含む)を焼成することによって、調製することができる。
【0097】
一部の実施形態では、本開示による少なくともいくつかの態様に従って、(例えば、非一時的)機械可読媒体が、ガラス質ボンド研磨物品及び/又はメタルボンド研磨物品の付加製造に用いられる。データは、典型的には機械可読媒体に保存される。データは、ガラス質ボンド研磨物品又はメタルボンド研磨物品の三次元モデルを表し、付加製造デバイス(例えば、3Dプリンタ、製造デバイス等)とインターフェースする少なくとも1つのコンピュータプロセッサによってアクセスできる。データは、少なくともガラス質ボンド研磨物品前駆体若しくはプリフォーム又はメタルボンド研磨物品前駆体若しくはプリフォームを付加製造装置に作製させるために使用される。
【0098】
ガラス質ボンド研磨物品又はメタルボンド研磨物品を表すデータは、コンピュータ支援設計(CAD)データのようなコンピュータモデリングを使用して生成されてもよい。ガラス質ボンド研磨物品及び/又はメタルボンド研磨物品の設計を表す画像データは、STLフォーマットで、又は任意の他の適切なコンピュータ処理可能なフォーマットで、付加製造装置にエクスポートすることができる。三次元オブジェクトを走査するための走査方法も、ガラス質ボンド研磨物品又はメタルボンド研磨物品を表すデータの作成に使用できる。データを取得するための例示的な技法の1つは、デジタル走査である。X線写真、レーザー走査、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴映像法(MRI)、及び超音波画像診断を含む、任意の他の好適な走査技法を、物品を走査するために使用できる。他の可能な走査方法は、例えば、米国特許出願公開第2007/0031791号(Cinader,Jr.,et al.)に説明されている。走査オペレーションからの生データ、及び生データから導出した物品を表わすデータの両方を含み得る当初のデジタルデータセットを処理して、任意の周囲構造(例えば、研磨物品用支持具)から研磨物品を分割することができる。
【0099】
多くの場合、機械可読媒体は、コンピューティングデバイスの一部として提供される。コンピューティングデバイスは、1又は複数のプロセッサ、揮発性メモリ(RAM)、機械可読媒体を読み取るためのデバイス、並びに入力/出力デバイス、例えば、ディスプレイ、キーボード、及びポインティングデバイスを有し得る。更に、コンピューティングデバイスは、オペレーティングシステム及び他のアプリケーションソフトウェア等の他のソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせも含み得る。コンピューティングデバイスは、例えば、ワークステーション、ラップトップ、携帯情報端末(PDA)、サーバ、メインフレーム又は任意の他の汎用若しくは特定用途向けコンピューティングデバイスであってもよい。コンピューティングデバイスは、コンピュータ可読媒体(例えば、ハードドライブ、CD-ROM、又はコンピュータメモリ等)から実行可能なソフトウェアの命令を読み出してもよく、又は別のネットワーク化コンピュータ等の、コンピュータに論理的に接続された別のソースからの命令を受信してもよい。
図10を参照すると、コンピューティングデバイス1000は、多くの場合、内部プロセッサ1080、ディスプレイ1100(例えば、モニタ)並びにキーボード1140及びマウス1120等の1又は複数の入力デバイスを有する。
図10では、回転研磨工具1130がディスプレイ1100に表示されている。
【0100】
図11を参照すると、いくつかの実施形態では、本開示は、システム1150を提供する。システム1150は、メタルボンド研磨物品(例えば、
図10のディスプレイ1100に表示されているような回転研磨工具1130)の3Dモデル1155を表示するディスプレイ1160と、ユーザにより選択された3Dモデル1155に応じて、メタルボンド研磨物品のメタルボンド研磨物品前駆体1180の物理的オブジェクトを3Dプリンタ/付加製造デバイス1175に作製させる、1又は複数のプロセッサ1165と、を含む。メタルボンド研磨物品前駆体1180は、有機化合物材料によって互いに結合された金属粒子と研磨粒子とを含む。メタルボンド研磨物品前駆体1180は、メタルボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの蛇行状冷却チャネル;及びメタルボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの弓状冷却チャネルのうちの少なくとも1つを更に含む。同様に、いくつかの実施形態では、システム1150は、ガラス質ボンド研磨物品の3Dモデル1155を表示するディスプレイ1160と、ユーザによって選択された3Dモデル1155に応じて、ガラス質ボンド研磨物品のガラス質ボンド研磨物品前駆体1180の物理的オブジェクトを3Dプリンタ/付加製造デバイス1175に作製させる、1又は複数のプロセッサ1165と、を含む。ガラス質ボンド研磨物品前駆体1180は、ガラス質ボンド前駆体材料及び有機化合物によって互いに結合された研磨粒子を含む。ガラス質ボンド研磨物品前駆体1180は、ガラス質ボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの蛇行状冷却チャネル;又はガラス質ボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの弓状冷却チャネルのうちの少なくとも1つを更に含む。
【0101】
図12を参照すると、プロセッサ1220(又は1つよりも多くのプロセッサ)は、機械可読媒体1210(例えば、非一時的媒体)、3Dプリンタ/付加製造デバイス1240、及び任意にユーザが見るためのディスプレイ1230のそれぞれと通信する。3Dプリンタ/付加製造デバイス1240は、機械可読媒体1210からの物品1250の3Dモデルを表すデータを提供するプロセッサ1220からの命令に基づいて1又は複数の物品1250を製造するように構成されている。
【0102】
図13を参照すると、例えば、限定するものではないが、付加製造方法は、(例えば、非一時的)機械可読媒体から、本開示の少なくとも1つの実施形態によるガラス質ボンド研磨物品又はメタルボンド研磨物品の3Dモデルを表すデータを検索すること1310を含む。方法は、1又は複数のプロセッサによって、データを使用する製造デバイスとインターフェースする付加製造アプリケーションを実行すること1320と、製造デバイスによって、ガラス質ボンド研磨物品前駆体又はメタルボンド研磨物品の物理的オブジェクトを生成すること1330と、を更に含む。付加製造装置は、金属粒子又はガラス質ボンド前駆体粒子と研磨粒子及び有機化合物材料とを、1組のコンピュータ制御の設計命令に従って選択的に結合して、それぞれ所望のメタルボンド研磨物品前駆体若しくはプリフォーム又はガラス質ボンド研磨物品前駆体若しくはプリフォームを作製することができる。1又は複数の様々な任意のポストプロセス工程1340を実行してもよい。例えば、任意に、メタルボンド研磨物品前駆体若しくはプリフォーム又はガラス質ボンド研磨物品前駆体若しくはプリフォームを加熱して、メタルボンド研磨物品又はガラス質ボンド研磨物品をそれぞれ形成する。更に、
図14を参照すると、メタルボンド研磨物品前駆体若しくはプリフォーム又はガラス質ボンド研磨物品前駆体若しくはプリフォームを形成するための方法は、1又は複数のプロセッサを有する製造デバイスによって、メタルボンド研磨物品又はガラス質ボンド研磨物品の複数の層を規定するデータを含むデジタルオブジェクトを受信すること1410と、製造デバイスで、付加製造プロセスによって、デジタルオブジェクトに基づいてメタルボンド研磨物品前駆体若しくはプリフォーム又はガラス質ボンド研磨物品前駆体若しくはプリフォームを生成すること1420と、を含む。この場合も、物品に1又は複数の工程のポストプロセス1430を実施してもよい。
【0103】
本開示の選択された実施形態
【0104】
実施形態1は、ガラス質ボンド研磨物品の製造方法であって、
a)逐次的に、
i)固まっていない粉末粒子の層を限定された領域内に堆積させる工程であって、固まっていない粉末粒子が、ガラス質ボンド前駆体粒子、研磨粒子、及び有機化合物粒子を含み、固まっていない粉末粒子の層が、実質的に均一な厚さを有する、堆積させる工程、及び
ii)伝導又は照射によって熱を選択的に適用して、固まっていない粉末粒子の層のエリアを加熱処理する工程、
を含むサブプロセス工程と、
b)工程a)を複数回独立して実施して、結合された粉末粒子と残りの固まっていない粉末粒子とを含む研磨物品プリフォームを生成する工程であって、各工程a)において、固まっていない粉末粒子が独立して選択される、工程と、
c)残りの固まっていない粉末粒子の実質的に全てを研磨物品プリフォームから分離する工程と、
d)研磨物品プリフォームを加熱して、ガラス質ボンド材料中に保持された研磨粒子を含むガラス質ボンド研磨物品を提供する工程と、
の逐次的工程を含む、製造方法である。
【0105】
実施形態2は、研磨粒子が、ダイヤモンド粒子又は立方窒化ホウ素粒子のうちの少なくとも1つを含む、実施形態1に記載の方法である。
【0106】
実施形態3は、研磨粒子が、金属酸化物セラミック粒子を含む、実施形態1に記載の方法である。
【0107】
実施形態4は、研磨粒子及びガラス質ボンド材料が、同じ化学組成を有する、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法である。
【0108】
実施形態5は、ガラス質ボンド研磨物品が、少なくとも1つの冷却チャネルを含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法である。
【0109】
実施形態6は、ガラス質ボンド研磨物品が、単体構造化された研磨ディスク、研磨研削ビット、研磨セグメント、研磨リム、及び研磨ホイールからなる群から選択される、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法である。
【0110】
実施形態7は、有機化合物粒子が、50℃~250℃(両端の値を含む)の融点を有する、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法である。
【0111】
実施形態8は、有機化合物粒子が、100℃~180℃(両端の値を含む)の融点を有する、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法である。
【0112】
実施形態9は、有機化合物粒子が、ワックス、糖、デキストリン、250℃以下の融点を有する熱可塑性材料、アクリレート、メタクリレート、及びこれらの組み合わせから選択される、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法である。
【0113】
実施形態10は、有機化合物粒子が、ワックス、アクリレート、メタクリレート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、及びこれらの組み合わせから選択される、実施形態7~9のいずれか1つに記載の方法である。
【0114】
実施形態11は、有機化合物粒子が、固まっていない粉末粒子の2.5重量%~30重量%の量で存在する、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法である。
【0115】
実施形態12は、有機化合物粒子が、固まっていない粉末粒子の5重量%~20重量%の量で存在する、実施形態1~11のいずれか1つに記載の方法である。
【0116】
実施形態13は、無機ガラス質ボンド前駆体が、αアルミナの前駆体を含む、実施形態11又は12に記載の方法である。
【0117】
実施形態14は、固まっていない粉末粒子がサブミクロンのセラミック粒子を含む、実施形態8~13のいずれか1つに記載の方法である。
【0118】
実施形態15は、固まっていない粉末粒子が、流動剤粒子を更に含む、実施形態1~14のいずれか1つに記載の方法である。
【0119】
実施形態16は、工程d)が、有機化合物材料をバーンアウトすることを更に含む、実施形態1~15のいずれか1つに記載の方法である。
【0120】
実施形態17は、工程ii)において、熱が単一の加熱チップ又はサーマルプリントヘッドを用いて適用される、実施形態1~16のいずれか1つに記載の方法である。
【0121】
実施形態18は、工程ii)において、単一の加熱チップが、固まっていない粉末粒子の層のエリアに圧力を更に適用する、実施形態17に記載の方法である。
【0122】
実施形態19は、工程ii)において、熱が少なくとも1つのレーザーを用いて適用される、実施形態1~16のいずれか1つに記載の方法である。
【0123】
実施形態20は、ガラス質ボンド前駆体材料及び有機化合物によって互いに結合された研磨粒子を含むガラス質ボンド研磨物品前駆体であって、当該ガラス質ボンド研磨物品前駆体は、ガラス質ボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの蛇行状冷却チャネル;又はガラス質ボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの弓状冷却チャネルのうちの少なくとも1つを更に含む。
【0124】
実施形態21は、研磨粒子が、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、又は金属酸化物セラミック粒子のうちの少なくとも1つを含む、実施形態20に記載のガラス質ボンド研磨前駆体である。
【0125】
実施形態22は、メタルボンド研磨物品の製造方法であって、
a)逐次的に、
i)固まっていない粉末粒子の層を限定された領域内に堆積させる工程であって、固まっていない粉末粒子が、高融点金属粒子、研磨粒子、及び有機化合物粒子を含み、固まっていない粉末粒子の層が、実質的に均一な厚さを有する、堆積させる工程、及び
ii)伝導又は照射によって熱を選択的に適用して、固まっていない粉末粒子の層のエリアを加熱処理する工程、
を含むサブプロセス工程と、
b)工程a)を複数回独立して実施して、結合された粉末粒子と残りの固まっていない粉末粒子とを含む研磨物品プリフォームを生成する工程であって、各工程a)において、固まっていない粉末粒子が独立して選択される、工程と、
c)残りの固まっていない粉末粒子の実質的に全てを研磨物品プリフォームから分離する工程と、
d)研磨物品プリフォームに溶融した低融点金属を注入する工程であって、高融点金属粒子の少なくとも一部が、溶融した低融点金属と接触したときに完全には溶融しない、注入する工程と、
e)溶融した低融点金属を固化して、メタルボンド研磨物品を提供する工程と、
の逐次的工程を含む、製造方法。
【0126】
実施形態23は、固まっていない粉末粒子が、融剤粒子を更に含む、実施形態22に記載の方法である。
【0127】
実施形態24は、研磨粒子が、ダイヤモンド粒子又は立方窒化ホウ素粒子のうちの少なくとも1つを含む、実施形態22又は23に記載の方法である。
【0128】
実施形態25は、研磨粒子が、金属酸化物セラミック粒子を含む、実施形態22又は23に記載の方法である。
【0129】
実施形態26は、メタルボンド研磨物品が、少なくとも1つの冷却チャネルを含む、実施形態22~25のいずれか1つに記載の方法である。
【0130】
実施形態27は、メタルボンド研磨物品が、研磨パッド、研磨研削ビット、研磨セグメント、及び研磨ホイールからなる群から選択される、実施形態22~26のいずれか1つに記載の方法である。
【0131】
実施形態28は、メタルボンド研磨物品が、歯科用回転ツールの少なくとも一部分を構成する、請求項22~26のいずれか1つに記載の方法である。
【0132】
実施形態29は、有機化合物粒子が、50℃~250℃(両端の値を含む)の融点を有する、実施形態22~28のいずれか1つに記載の方法である。
【0133】
実施形態30は、有機化合物粒子が、100℃~180℃(両端の値を含む)の融点を有する、実施形態22~29のいずれか1つに記載の方法である。
【0134】
実施形態31は、有機化合物粒子が、ワックス、糖、デキストリン、250℃以下の融点を有する熱可塑性材料、アクリレート、メタクリレート、及びこれらの組み合わせから選択される、実施形態22~30のいずれか1つに記載の方法である。
【0135】
実施形態32は、有機化合物粒子が、ワックス、アクリレート、メタクリレート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、及びこれらの組み合わせから選択される、実施形態29~31のいずれか1つに記載の方法である。
【0136】
実施形態33は、有機化合物粒子が、固まっていない粉末粒子の1.5重量%~25重量%の量で存在する、実施形態22~32のいずれか1つに記載の方法である。
【0137】
実施形態34は、有機化合物粒子が、固まっていない粉末粒子の3重量%~20重量%の量で存在する、実施形態22~33のいずれか1つに記載の方法である。
【0138】
実施形態35は、高融点金属粒子が、溶融した低融点金属の温度よりも少なくとも50℃高い融点を有する、実施形態22~34のいずれか1つに記載の方法である。
【0139】
実施形態36は、工程c)と工程d)との間に、有機化合物材料の少なくとも一部分をバーンオフすることを更に含む、実施形態22~35のいずれか1つに記載の方法である。
【0140】
実施形態37は、工程ii)において、熱が単一の加熱チップ又はサーマルプリントヘッドを用いて適用される、実施形態22~36のいずれか1つに記載の方法である。
【0141】
実施形態38は、工程ii)において、単一の加熱チップが、固まっていない粉末粒子の層のエリアに圧力を更に適用する、実施形態37に記載の方法である。
【0142】
実施形態39は、工程ii)において、熱が少なくとも1つのレーザーを用いて適用される、実施形態22~36のいずれか1つに記載の方法である。
【0143】
実施形態40は、メタルボンド研磨物品の製造方法であって、
a)逐次的に、
i)固まっていない粉末粒子の層を限定された領域内に堆積させる工程であって、固まっていない粉末粒子が、金属粒子、研磨粒子、及び有機化合物粒子を含み、固まっていない粉末粒子の層が、実質的に均一な厚さを有する、堆積させる工程、
ii)伝導又は照射によって熱を選択的に適用して、固まっていない粉末粒子の層のエリアを加熱処理する工程、
を含むサブプロセス工程と、
b)工程a)を複数回独立して実施して、結合された粉末粒子と残りの固まっていない粉末粒子とを含む研磨物品プリフォームを生成する工程であって、研磨物品プリフォームは所定の形状を有し、各工程a)において、固まっていない粉末粒子が独立して選択される、工程と、
c)残りの固まっていない粉末粒子の実質的に全てを研磨物品プリフォームから分離する工程と、
d)研磨物品プリフォームを加熱して、メタルボンド研磨物品を提供する工程と、
の逐次的工程を含む、製造方法である。
【0144】
実施形態41は、固まっていない粉末粒子が、融剤粒子を更に含む、実施形態40に記載の方法である。
【0145】
実施形態42は、研磨粒子が、ダイヤモンド粒子又は立方窒化ホウ素粒子のうちの少なくとも1つを含む、実施形態40又は41に記載の方法である。
【0146】
実施形態43は、研磨粒子が、金属酸化物セラミック粒子を含む、実施形態40又は41に記載の方法である。
【0147】
実施形態44は、金属粒子が、高融点金属粒子と低融点金属粒子との組み合わせを含み、高融点金属粒子は、溶融した低温金属の温度よりも少なくとも50℃高い融点を有する、実施形態40~43のいずれか1つに記載の方法である。
【0148】
実施形態45は、メタルボンド研磨物品が、少なくとも1つの冷却チャネルを含む、実施形態40~44のいずれか1つに記載の方法である。
【0149】
実施形態46は、メタルボンド研磨物品が、研磨パッド、研磨研削ビット、研磨セグメント、及び研磨ホイールからなる群から選択される、実施形態40~45のいずれか1つに記載の方法である。
【0150】
実施形態47は、メタルボンド研磨物品が、歯科用回転ツールの少なくとも一部分を含む、請求項40~45のいずれか1つに記載の方法である。
【0151】
実施形態48は、有機化合物粒子が、50℃~250℃(両端の値を含む)の融点を有する、実施形態40~47のいずれか1つに記載の方法である。
【0152】
実施形態49は、有機化合物粒子が、100℃~180℃(両端の値を含む)の融点を有する、実施形態40~48のいずれか1つに記載の方法である。
【0153】
実施形態50は、有機化合物粒子が、ワックス、糖、デキストリン、250℃以下の融点を有する熱可塑性材料、アクリレート、メタクリレート、及びこれらの組み合わせから選択される、実施形態40~49のいずれか1つに記載の方法である。
【0154】
実施形態51は、有機化合物粒子が、ワックス、アクリレート、メタクリレート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、及びこれらの組み合わせから選択される、実施形態48~50のいずれか1つに記載の方法である。
【0155】
実施形態52は、有機化合物粒子が、固まっていない粉末粒子の1.5重量%~25重量%の量で存在する、実施形態40~51のいずれか1つに記載の方法である。
【0156】
実施形態53は、有機化合物粒子が、固まっていない粉末粒子の3重量%~20重量%の量で存在する、実施形態40~52のいずれか1つに記載の方法である。
【0157】
実施形態54は、工程ii)において、熱が単一の加熱チップ又はサーマルプリントヘッドを用いて適用される、実施形態40~53のいずれか1つに記載の方法である。
【0158】
実施形態55は、工程ii)において、単一の加熱チップが、固まっていない粉末粒子の層のエリアに圧力を更に適用する、実施形態54に記載の方法である。
【0159】
実施形態56は、工程ii)において、熱が少なくとも1つのレーザーを用いて適用される、実施形態40~53のいずれか1つに記載の方法である。
【0160】
実施形態57は、有機化合物材料によって互いに結合された金属粒子と研磨粒子とを含むメタルボンド研磨物品前駆体であって、メタルボンド研磨物品前駆体は、メタルボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの蛇行状冷却チャネル;及びメタルボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの弓状冷却チャネルのうちの少なくとも1つを更に含む。
【0161】
実施形態58は、ガラス質ボンド研磨物品の三次元モデルを表すデータを有する非一時的機械可読媒体であって、3Dプリンタとインターフェースする1又は複数のプロセッサによってアクセスされたときに、ガラス質ボンド研磨物品のガラス質ボンド研磨物品前駆体を3Dプリンタに作製させる、非一時的機械可読媒体である。ガラス質ボンド研磨物品前駆体は、ガラス質ボンド前駆体材料及び有機化合物によって互いに結合された研磨粒子を含む。ガラス質ボンド研磨物品前駆体は、ガラス質ボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの蛇行状冷却チャネル;又はガラス質ボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの弓状冷却チャネルのうちの少なくとも1つを更に含む。
【0162】
実施形態59は、(例えば、非一時的)機械可読媒体から、ガラス質ボンド研磨物品の3Dモデルを表すデータを検索することを含む、方法である。ガラス質ボンド研磨物品プリフォームのガラス質ボンド研磨物品前駆体は、ガラス質ボンド前駆体材料及び有機化合物によって互いに結合された研磨粒子を含む。ガラス質ボンド研磨物品前駆体は、ガラス質ボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの蛇行状冷却チャネル;又はガラス質ボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの弓状冷却チャネルのうちの少なくとも1つを更に含む。方法は、1又は複数のプロセッサによって、データを使用する製造デバイスとインターフェースする3D印刷アプリケーションを実行することと、製造デバイスによって、ガラス質ボンド研磨物品前駆体の物理的オブジェクトを生成することと、を更に含む。
【0163】
実施形態60は、実施形態59の方法を用いて生成されたガラス質ボンド研磨物品前駆体である。
【0164】
実施形態61は、1又は複数のプロセッサを有する製造デバイスによって、ガラス質ボンド研磨物品前駆体の複数の層を規定するデータを含むデジタルオブジェクトを受信することを含む、方法である。ガラス質ボンド研磨物品前駆体は、ガラス質ボンド前駆体材料及び有機化合物によって互いに結合された研磨粒子を含む。ガラス質ボンド研磨物品前駆体は、ガラス質ボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの蛇行状冷却チャネル;又はガラス質ボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの弓状冷却チャネルのうちの少なくとも1つを更に含む。方法は、製造デバイスで、付加製造プロセスによって、デジタルオブジェクトに基づいてガラス質ボンド研磨物品前駆体を生成することを更に含む。
【0165】
実施形態62は、固まっていない粉末粒子をガラス質ボンド研磨物品前駆体から分離することと、研磨物品前駆体を加熱して、ガラス質ボンド材料中に保持された研磨粒子を含むガラス質ボンド研磨物品を提供することと、を更に含む、実施形態61に記載の方法である。
【0166】
実施形態63は、有機化合物材料をバーンアウトすることを更に含む、実施形態62に記載の方法である。
【0167】
実施形態64は、ガラス質ボンド研磨物品の3Dモデルを表示するディスプレイと、ユーザによって選択された3Dモデルに応じて、ガラス質ボンド研磨物品のガラス質ボンド研磨物品前駆体の物理的オブジェクトを3Dプリンタに作製させる、1又は複数のプロセッサと、を含むシステムである。ガラス質ボンド研磨物品前駆体は、ガラス質ボンド前駆体材料及び有機化合物によって互いに結合された研磨粒子を含む。ガラス質ボンド研磨物品前駆体は、ガラス質ボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの蛇行状冷却チャネル;又はガラス質ボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの弓状冷却チャネルのうちの少なくとも1つを更に含む。
【0168】
実施形態65は、メタルボンド研磨物品の三次元モデルを表すデータを有する非一時的機械可読媒体であって、3Dプリンタとインターフェースする1又は複数のプロセッサによってアクセスされたときに、メタルボンド研磨物品のメタルボンド研磨物品前駆体を3Dプリンタに作製させる、非一時的機械可読媒体である。メタルボンド研磨物品前駆体は、有機化合物材料によって互いに結合された金属粒子と研磨粒子とを含む。メタルボンド研磨物品前駆体は、メタルボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの蛇行状冷却チャネル;及びメタルボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの弓状冷却チャネルのうちの少なくとも1つを更に含む。
【0169】
実施形態66は、非一時的機械可読媒体から、メタルボンド研磨物品前駆体の3Dモデルを表すデータを検索することを含む、方法である。メタルボンド研磨物品前駆体は、有機化合物材料によって互いに結合された金属粒子と研磨粒子とを含む。メタルボンド研磨物品前駆体は、メタルボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの蛇行状冷却チャネル;及びメタルボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの弓状冷却チャネルのうちの少なくとも1つを更に含む。方法は、1又は複数のプロセッサによって、データを使用する製造デバイスとインターフェースする3D印刷アプリケーションを実行することと、製造デバイスによって、メタルボンド研磨物品前駆体の物理的オブジェクトを生成することと、を更に含む。
【0170】
実施形態67は、実施形態66の方法を用いて生成されたメタルボンド研磨物品前駆体である。
【0171】
実施形態68は、1又は複数のプロセッサを有する製造デバイスによって、メタルボンド研磨物品前駆体の複数の層を規定するデータを含むデジタルオブジェクトを受信することを含む、方法である。メタルボンド研磨物品前駆体は、有機化合物材料によって互いに結合された金属粒子と研磨粒子とを含む。メタルボンド研磨物品前駆体は、メタルボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの蛇行状冷却チャネル;及びメタルボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの弓状冷却チャネルのうちの少なくとも1つを更に含む。方法は、製造デバイスで、付加製造プロセスによって、デジタルオブジェクトに基づいてメタルボンド研磨物品前駆体を生成することを更に含む。
【0172】
実施形態69は、固まっていない粉末粒子をメタルボンド研磨物品プリフォームから分離することと、研磨物品プリフォームに溶融した低融点金属を注入することであって、金属粒子の少なくとも一部は、溶融した低融点金属と接触したときに完全には溶融しない、注入することと、溶融した低融点金属を固化して、メタルボンド研磨物品を提供することとを、更に含む、実施形態68に記載の方法である。
【0173】
実施形態70は、メタルボンド研磨物品の3Dモデルを表示するディスプレイと、ユーザによって選択された3Dモデルに応じて、メタルボンド研磨物品のメタルボンド研磨物品前駆体の物理的オブジェクトを3Dプリンタに作製させる、1又は複数のプロセッサと、を含むシステムである。メタルボンド研磨物品前駆体は、有機化合物材料によって互いに結合された金属粒子と研磨粒子とを含む。メタルボンド研磨物品前駆体は、メタルボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの蛇行状冷却チャネル;及びメタルボンド研磨物品前駆体を少なくとも部分的に通って延びる少なくとも1つの弓状冷却チャネルのうちの少なくとも1つを更に含む。
【実施例】
【0174】
特に記載のない限り、実施例及び本明細書のその他の箇所における全ての部、百分率、比などは、重量によるものである。
【表1】
【0175】
実施例1
混合物重量を基準として、77.3重量%のPDR1、13.6重量%のPDR2、及び9.1重量%のPDR3を混合することによって、印刷材料P1を調製した。粉末混合物を、ガラスジャーに入れ、ローリングバンクミキサ上で約50rpmで15分間回転させた。直線状の金属ブレードを用いて、印刷材料を1枚の紙の上に展延し、1枚の紙をシムとして使用し、得られた第1の粉末層の厚さは約100ミクロンであった。これを、厚さ2mil(50.8マイクロメートル)のPETフィルムで被覆した。はんだごてを約425°F(約218℃)まで加熱し、その高温チップを、所定の約1センチメートル(cm)×1cmのエリア上にゆっくりと動かした。わずかな圧力しか適用されず、PETフィルムはほとんど変形しなかった。その後、PETフィルムを除去し、加熱チップがPETフィルムに接触したエリアにおいて、印刷材料P1が淡灰色から暗灰色に変わったことが観察された。第2層の紙をシムとして使用して、第2の厚さ0.1ミリメートル(mm)の印刷材料の層を、印刷材料の第1層の上に展延した。再びPETフィルムで被覆し、再びはんだごてのチップで同じ1cmx1cmのエリアを加熱した。その後、第3層について、この手順を繰り返した。PETフィルムを除去した後、固まっていない粉末から固形物を抽出した。3つの層は共に溶融してグリーン体を形成したことが観察された。次に、このグリーン体を炉内に入れ、400℃で2時間バーンアウトした後、700℃で4時間焼結して、約1cm×1cmで厚さ0.3mmの寸法の正方形の研磨剤を得た。
【0176】
実施例2
【0177】
実験装置及び製剤
【0178】
Coherent(Santa Clara,California)から入手可能なCO2レーザー、モデルE-400、及びGSI Group,Inc(Billerica,MA)から入手可能な3軸モジュラースキャナ、モデルHPLK 1330-17,CO2 30MMからなるレーザーマーキングデバイスを組み立てた。デバイスは、Nutfield Technology(Hudson,NH)のWaveRunner Advanced Laser Scanning Software,Version 3.3.5 build-0200を実行するコンピュータによって制御した。
【0179】
WaveRunnerスキャンソフトウェアプログラムでは、一辺1.5cmの正方形がスキャンフィールドのほぼ中心に描かれた。このプログラム内で「ハッチ」機能を使用可にし、正方形をクロスハッチするために使用した。第1のハッチパターンは0度の角度であり、第2のハッチパターンは90度の角度であった。いずれのハッチパターンでも、線は0.5mmの間隔に設定した。ハッチパターンのみがマークされ、形状の輪郭はマークされなかった。
【0180】
レーザースキャン条件は、速度2000mm/秒、出力:8%、周波数20kHzに設定した。8%の出力設定は、27.8Wのレーザービーム出力に等しい。
【0181】
実験手順
【0182】
2枚の紙をレーザーマーキングデバイスのレーザースキャンエリアに置いた。紙の上に、直線状の金属ブレードを用いて印刷材料P1を展延し、互いに重なり合って層状になった2枚の紙をシムとして使用した。得られた第1の粉末層の厚さは約200ミクロンであった。第1の粉末層を、上記条件を用いてレーザースキャナでマーキングした。レーザーが層をマーキングしたエリアにおいて、印刷材料P1が淡灰色から暗灰色に変わったことが観察された。その後、それぞれ厚さ200ミクロンの第2及び第3層の印刷材料P1を置いて、同様にマーキングした。最後に、先の3つの層の上に第4層を置き、この最終層にレーザーを2回通過させてマーキングした。
【0183】
固まっていない粉末から固形物を抽出した。4つの層が共に溶融し、分離することなく安全に取り扱うことができるグリーン体を形成したことが観察された。
次に、このグリーン体を炉内に入れ、400℃で2時間バーンアウトした後、700℃で4時間焼結して、約1.5cm×1.5cmで厚さ0.8mmの寸法の正方形の研磨剤を得た。
【0184】
実施例3
実験装置及び製剤
【0185】
粉末を用いた3D印刷用の装置を、
図1の概略図のように構築した。それぞれxy平面に約3インチ×2インチ(7.62cmx5.08cm)及びz方向に2インチ(5.08cm)の寸法の隣接する2つのチャンバを、厚さ2インチ(5.08cm)のアルミニウムブロック状にフライス加工した。アルミニウム製の密着する正方形のピストン2つをチャンバに挿入し、USAutomation(Mission Viejo,California)より入手可能なステッピングモーターリニアアクチュエータ、VersaDrive 17、モデルUSV17-110-AB-0506(リードスクリュー長さ6インチ(15.24))に接続した。一方のチャンバ及びピストンを粉末供給に指定し、他方をビルドチャンバに指定した。リニアアクチュエータは、ピストンがz方向に上下動できるようにする。チャンバの上方の約1mmの面内には、モータで駆動される回転アルミローラーを取付けた。このローラを、USAutomation(Mission Viejo,California)より入手可能なステッピングモーターリニアアクチュエータ、VersaDrive 17、モデルUSV17-110-AB-2512(リードスクリュー長さ12インチ(30.48cm))を用いて、x方向に作動した。この作動されたローラにより、粉末が粉末供給チャンバからビルドチャンバに移動できる。
【0186】
モータを、AllMotion(Union City,California)より入手可能なモーションコントローラボード、モデルEZ4AXISに接続した。モーションコントローラは、次のシーケンスを実行するようにプログラムした:最初に、ビルドピストンを0.10mm下降させる。次いで、粉末供給ピストンを0.16mm上昇させる。次いで、ローラモータをオンにしてローラを作動させて、粉末を粉末供給チャンバからビルドチャンバへと移動させる。ローラモータを停止する。その後、ローラを原点に戻す。この手順は、ビルドエリアに、均一な、厚さ0.1mmの粉末の層を生じる。2つのチャンバアセンブリの上に、電動のxy位置決めステージを取り付け、TEM-Laser(Wuhan,Hubei,China)より入手可能な500mW、405nmダイオードレーザー、モデルM-33A405-500-Gを取り付けた。このxy台は、レーザー彫刻用のGrblコントローラボードを含み、機械の動作を制御するためのオープンソースソフトウェアであるGrbl0.9によって制御することができた。図案を、オープンソースグラフィクスソフトウェアであるInkscape 0.48(レーザー彫刻機プラグイン使用)にロードした。このソフトウェアは、図面からxyモーションコントロール及びレーザー出力コードを生成し、それをGrbl 0.9ソフトウェアに転送した。
【0187】
混合物重量を基準として、77.3重量%のPDR1、13.6重量%のPDR2、及び9.1重量%のPDR4を混合することによって、印刷材料P2を調製した。粉末混合物を、ガラスジャーに入れ、ローリングバンクミキサ上で約50rpmで15分間回転させた。粉末供給ピストンを底まで下降させ、チャンバ内に印刷材料P2を充填した。ビルドピストンを、最上部まで上昇させた。その後、粉末展延手順を10回実行して、ビルドエリア内に均一な粉末ベースを形成した。
【0188】
Inkscapeソフトウェアで、Arialフォント、フォントサイズ14ptを選択し、「Test」という語を書いた。その後、レーザー彫刻機プラグインを選択した。レーザーを100%出力に設定し、10mm/秒の移動速度を選択し、Grblコードを生成し、Grbl 0.9ソフトウェアに転送した。次いで、印刷材料P2の厚さ0.1mmの第1層を展延した。次に、Grblコードを実行した。レーザーがオンになって、「Test」の語の形に移動し、粉末は「Test」の語の形で淡灰色から暗灰色に変わったことが観測された。
【0189】
同じく厚さ0.1mmの印刷材料P2の第2層を展延し、第2回目のGrblコードが実行された。このシーケンスを、合計20層が展延されてレーザーに露光されるまで繰り返した。
【0190】
次に、ヘラを用いて対象物を周囲の粉末から除去した。固まっていない粉末を除去し、「Test」の語の形の、厚さ2.05mmの物体を回収した。
【0191】
20層が共に溶融し、分離することなく安全に取り扱うことができるグリーン体を形成したことが観察された。このグリーン体を炉内に入れ、400℃で2時間バーンアウトした後、700℃で4時間焼結して、「Test」の語の形の研磨物品を得た。この物品でアルミニウムのブロックを摩擦し、研磨パターンを観察した。