(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 33/16 20060101AFI20220119BHJP
【FI】
H02K33/16 B
(21)【出願番号】P 2016230683
(22)【出願日】2016-11-28
【審査請求日】2019-11-26
(31)【優先権主張番号】201610150002.8
(32)【優先日】2016-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513178997
【氏名又は名称】寧波賽嘉電器有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100098899
【氏名又は名称】飯塚 信市
(74)【代理人】
【識別番号】100163865
【氏名又は名称】飯塚 健
(72)【発明者】
【氏名】羅 寧
(72)【発明者】
【氏名】蔡 延鐘
(72)【発明者】
【氏名】曹 亮亮
(72)【発明者】
【氏名】李 玉想
【審査官】大島 等志
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第204835883(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2006/0255665(US,A1)
【文献】特表2005-525067(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104143890(CN,A)
【文献】登録実用新案第3208869(JP,U)
【文献】中国実用新案第204349756(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 33/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、第1の電磁グループおよび第2の電磁グループを備えるステータと、前記第1の電磁グループと前記第2の電磁グループとの間に挿設されたロータとを備えるモータにおいて、前記ロータが回転軸および前記回転軸を囲む外壁に取り付けられた磁性部材を備え、前記モータが、さらに
第1の接触部が少なくとも第1の端部と第2の端部とを備え、前記第1の端部と第2の端部が前記ハウジングのリヤカバーに固定され、第2の接触部が前記第1の端部と第2の端部の間に位置する中間棒を備え、前記中間棒が前記回転軸と連結されている弾性部材を備え、
前記弾性部材が少なくとも二つの異なる方向に弾性変形を発生させることができ、
前記ロータは、前記弾性部材の回復力の作用下で前記回転軸を回って往復回転すると共に前記回転軸の垂直方向に沿って振動することができること、を特徴とするモータ。
【請求項2】
前記弾性部材の第1の接触部が前記リヤカバー内の溝内に取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記回転軸の尾端に少なくとも一つの係止溝が設けられ、前記弾性部材の第2の接触部が前記係止溝により前記回転軸の尾端に固定されていることを特徴とする、請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記弾性部材がS型スプリングであることを特徴とする、請求項3に記載のモータ。
【請求項5】
前記リヤカバーと前記S型スプリングとが一体に射出成形されていることを特徴とする、請求項4に記載のモータ。
【請求項6】
前記ロータが、さらに、前記回転軸および前記回転軸を囲む外壁に取り付けられた磁性部材を一体に射出成形するための回転軸射出成形部品を備えることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項7】
前記磁性部材が、第1の磁石、第2の磁石、第1の磁束収束板および第2の磁束収束板を備え、
前記第1の磁石と前記第2の磁石とがそれぞれ前記回転軸射出成形部品の二つの対向する側面に嵌め込んで取り付けられ、前記第1の磁束収束板と前記第2の磁束収束板とがそれぞれ前記回転軸射出成形部品の別の二つの対向する側面に固定され、かつ前記第1の磁束収束板と前記第2の磁束収束板とがそれぞれ前記第1の磁石および前記第2の磁石と接触していることを特徴とする、請求項6に記載のモータ。
【請求項8】
前記第1の電磁グループと前記第2の電磁グループとがキャビティを形成するように対称に固定され、前記ロータの磁性部材が前記キャビティの内部に挿設されており、
前記第1の電磁グループが第1の磁化部材および前記第1の磁化部材に巻かれた第1のコイルを備え、前記第2の電磁グループが第2の磁化部材および前記第2の磁化部材に巻かれた第2のコイルを備えることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項9】
ハウジングと、第1の電磁グループおよび第2の電磁グループを備えるステータと、前記第1の電磁グループと前記第2の電磁グループとの間に挿設されたロータとを備えるモータにおいて、前記ロータが回転軸および前記回転軸を囲む外壁に取り付けられた磁性部材を備え、前記モータが、さらに第1の接触部が前記ハウジングのリヤカバーに固定され、第2の接触部が前記回転軸と連結されている弾性部材を備え、前記弾性部材が少なくとも二つの異なる方向に弾性変形を発生させることができ、
前記ハウジングが、さらに、第1の本体ハウジング、第2の本体ハウジングおよびフロントカバーを備え、
前記第1の本体ハウジングおよび前記第2の本体ハウジングが前記磁性部材の外部を囲んで設けられ、前記フロントカバーが前記回転軸に被せて設けられかつ前記第1の本体ハウジングと前記第2の本体ハウジングとの先端と連結され、前記リヤカバーが前記第1の本体ハウジングと前記第2の本体ハウジングとの後端と連結されており、
前記第1の本体ハウジングおよび前記第2の本体ハウジングにそれぞれ第1の取付溝および第2の取付溝と電磁グループ固定部材が設けられ、電磁グループ固定部材により前記第1の電磁グループを前記第1の取付溝内に取り付け、前記第2の電磁グループを前記第2の取付溝内に取り付けており、
前記回転軸に軸受が被せて設けられ、前記軸受が前記フロントカバーの軸受溝内に取り付けられ、
前記第1の本体ハウジングおよび前記第2の本体ハウジングの尾端と前記回転軸との間に隙間を有することを特徴とする、モータ。
【請求項10】
前記隙間の先端にエラストマーが設けられていることを特徴とする、請求項
9に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機分野に関し、特にモータに関する。
【背景技術】
【0002】
社会の持続的な発展に伴い、人々は口腔内の健康を益々重視するようになり、歯の日常的な手入れにも関心が集まっている。歯石は、歯周病を引き起こす重要な要素の一つであり、歯面に石灰化されたまたは石灰化されているプラークおよび白質を指し、75%のリン酸カルシウム、15~25%の水、有機物、リン酸マンガン、鉱酸カルシウムおよび微量のカリウム、ナトリウム、鉄からなる。人々が通常の歯ブラシを使用して歯石を取り除くことは困難であり、歯科病院に行って徹底的にクリニック、治療したとしても、歯石はすぐに再び歯の表面に堆積されてしまいやすい。
【0003】
現在、回転電動歯ブラシ、音波振動電動歯ブラシおよび音波揺動電動歯ブラシのような多くの電動歯ブラシが市販されている。市販されている電動歯ブラシは、歯ブラシのモータが歯ブラシを動かして左右に揺動させ、歯ブラシに歯の表面を周期的に左右に摩擦させることしかできないため、このようにして歯石の浅い表層しか取り除くことができず、歯石を深く取り除くことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに鑑みて、本発明が解決しようとする技術的課題は、ロータが複数の方向に運動できるモータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記技術的課題を解決するために、本発明の一実施例に基づいて、ハウジング、ステータおよびロータを備えるモータを提供し、前記ステータは第1の電磁グループと第2の電磁グループとを備え、前記ロータは前記第1の電磁グループと前記第2の電磁グループとの間に挿設され、回転軸および前記回転軸を囲む外壁に取り付けられた磁性部材を備え、前記モータは、さらに、
第1の接触部が前記ハウジングのリヤカバーに固定され、第2の接触部が前記回転軸と連結されている弾性部材を備え、前記弾性部材は少なくとも二つの異なる方向に弾性変形を発生させることができる。
【0006】
上記モータに対して、一つの実現可能な形態において、前記弾性部材の第1の接触部は前記リヤカバー内の溝内に取り付けられている。
【0007】
上記モータに対して、一つの実現可能な形態において、前記回転軸の尾端に少なくとも一つの係止溝が設けられ、前記弾性部材の第2の接触部は前記係止溝により前記回転軸の尾端に固定されている。
【0008】
上記モータに対して、一つの実現可能な形態において、前記弾性部材はS型スプリングである。
【0009】
上記モータに対して、一つの実現可能な形態において、前記リヤカバーと前記S型スプリングとが一体に射出成形されている。
【0010】
上記モータに対して、一つの実現可能な形態において、前記ロータは、さらに、前記回転軸および前記回転軸を囲む外壁に取り付けられた磁性部材を一体に射出成形するための回転軸射出成形部品を備える。
【0011】
上記モータに対して、一つの実現可能な形態において、前記磁性部材は第1の磁石、第2の磁石、第1の磁束収束板および第2の磁束収束板を備える。
【0012】
前記第1の磁石と前記第2の磁石とはそれぞれ前記回転軸射出成形部品の二つの対向する側面に嵌め込んで取り付けられ、前記第1の磁束収束板と前記第2の磁束収束板とはそれぞれ前記回転軸射出成形部品の別の二つの対向する側面に固定され、かつ前記第1の磁束収束板と前記第2の磁束収束板とはそれぞれ前記第1の磁石および前記第2の磁石と接触している。
【0013】
上記モータに対して、一つの実現可能な形態において、前記第1の電磁グループと前記第2の電磁グループとはキャビティを形成するように対称に固定され、前記ロータの磁性部材は前記キャビティの内部に挿設されている。
【0014】
前記第1の電磁グループは第1の磁化部材および前記第1の磁化部材に巻かれた第1のコイルを備え、前記第2の電磁グループは第2の磁化部材および前記第2の磁化部材に巻かれた第2のコイルを備える。
【0015】
上記モータに対して、一つの実現可能な形態において、前記ハウジングは、さらに、第1の本体ハウジング、第2の本体ハウジングおよびフロントカバーを備える。
【0016】
前記第1の本体ハウジングおよび前記第2の本体ハウジングは前記磁性部材の外部を囲んで設けられ、前記フロントカバーは前記回転軸に被せて設けられかつ前記第1の本体ハウジングおよび前記第2の本体ハウジングの先端と連結され、前記リヤカバーは前記第1の本体ハウジングおよび前記第2の本体ハウジングの後端と連結されている。
【0017】
前記第1の本体ハウジングと前記第2の本体ハウジングとにそれぞれ第1の取付溝と第2の取付溝と電磁グループ固定部材とが設けられ、電磁グループ固定部材により前記第1の電磁グループを前記第1の取付溝内に取り付け、前記第2の電磁グループを前記第2の取付溝内に取り付けている。
【0018】
上記モータに対して、一つの実現可能な形態において、前記回転軸に軸受が被せて設けられ、前記軸受は前記フロントカバーの軸受溝内に取り付けられている。
【0019】
上記モータに対して、一つの実現可能な形態において、前記第1の本体ハウジングおよび前記第2の本体ハウジングの尾端と前記回転軸との間に隙間を有する。
【0020】
上記モータに対して、一つの実現可能な形態において、前記隙間の先端にエラストマーが設けられている。
【発明の効果】
【0021】
本発明のモータは、複数の方向に弾性変形を発生可能な弾性部材によって、モータの回転軸を複数の方向に運動させることができ、例えば左右に回転することや上下に振動することができる。該モータは、電動歯ブラシ、カミソリ、スピーカー、電気ハンマー、撹拌機、冷凍機、ミシン、包装・梱包機および電磁ポンプなどに適用することができる。電動歯ブラシを例として、上記構造のモータを使用すると、歯ブラシの回転軸は高周波で揺動することができると同時に、高周波で叩き、振動する作用を有し、高周波で叩くことによって歯表面の歯石を粉砕し、より清潔さに優れた効果を有する。
【0022】
下記参考図面に基づいて例示的な実施例に対して詳細に説明し、本発明のその他の特徴および態様を明らかにする。
【0023】
明細書に含まれかつ明細書の一部を構成する図面は明細書とともに本発明の例示的な実施例、特徴および態様を示し、かつ本発明の原理を説明するために用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施例によるモータの構成図であって、(a)は構造模式図、(b)は弾性部材の変形方向模式図である。
【
図2】本発明の別の実施例によるS型スプリングのリセット原理模式図である。
【
図3】本発明の別の実施例によるモータのロータの構造模式図である。
【
図4】本発明の別の実施例によるモータのステータの構造模式図である。
【
図5】本発明の別の実施例によるロータの回転原理模式図である。
【
図6】本発明の別の実施例によるモータの分解図である。
【
図7】本発明の別の実施例によるモータの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の各種の例示的な実施例、特徴および態様を詳細に説明する。図面中の同一符号は機能が同じまたは類似する部品を示す。図面に実施例の各種の態様を示したが、特に断らない限り、割合に従って図面を描く必要はない。
【0026】
ここで専用単語「例示」とは「例、実施例または説明」として用いることを意味する。ここで「例示」として説明された全ての実施例がその他の実施例より優れているまたは良いことを解釈する必要はない。
【0027】
また、本発明をより良く説明するために、以下の発明を実施するための形態において多くの具体的な詳細を加える。当該業者は、ある具体的な詳細がなくても本発明を同様に実施することができることを理解すべきである。いくつかの実例においては、本発明の主旨を強調するために、当該業者が熟知する方法、手段、部品および回路については詳細に記載していない。
【実施例1】
【0028】
図1(a)は本発明の一実施例によるモータの構造模式図を示す。
図1(a)に示すように、該モータは、主に、ハウジング100、ステータ200およびロータ300を備える。具体的に、前記ステータ200は第1の電磁グループ210と第2の電磁グループ220とを備え、前記ロータ300は前記第1の電磁グループ210と前記第2の電磁グループ220との間に挿設され、前記ロータ300は回転軸2および前記回転軸2を囲む外壁に取り付けられた磁性部材310を備える。前記モータは、さらに、第1の接触部が前記ハウジング100のリヤカバー11に固定され、第2の接触部が前記回転軸2と連結されている弾性部材(図示せず)を備え、前記弾性部材は少なくとも二つの異なる方向に弾性変形を発生させることができる。
【0029】
モータとは、電磁誘導の法則に従って電力変換または転送を実現する電磁装置を指し、電気設備に広く使用されている。弾性部材とは、回復性を有する弾性部品を指し、変形が発生した場合、回復力を生じさせて自身を元の状態に回復させることができる。本実施例のモータのステータ200は二つの電磁グループが使用され、ロータ300の磁性部材310は、好ましくは永久磁石であり、それによりロータ300の質量をより軽く、動的応答を速くし、同じアンペア回数の電流を提供した場合、出力トルクをより大きく出力する。同時に、上記構造を使用すると、モータの取り付けおよび取り外しをより便利にし、後期のメンテナンス・点検・修理のコストを減少させることができる。
【0030】
一つの実現可能な形態において、前記弾性部材の第1の接触部は前記リヤカバー11内の溝内に取り付けられている。前記回転軸2の尾端に少なくとも一つの係止溝が設けられ、前記弾性部材の第2の接触部は前記係止溝により前記回転軸2の尾端に固定されている。弾性部材は、好ましくはS型スプリング10であり、
図1bに示すように、S型スプリング10は少なくとも二つの方向に弾性変形を発生させることができる。例えば、S型スプリング10は第1の方向に引っ張られまたは圧縮されることができ、かつS型スプリング10は第2の方向に引っ張られまたは圧縮されることができる。
【0031】
具体的には、
図2(a)~
図2(d)に示すように、S型スプリング10の第1の接触部は第1の端部10Aと第2の端部10Bとを備え、モータのリヤカバー11に二つの対称である溝が設けられ、該溝には可動スペースがあり、第1の端部10Aと第2の端部10Bとはそれぞれその対応する溝内に取り付けられている。好ましくは、該S型スプリング10とリヤカバー11とは一体に射出成形された構造である。S型スプリング10の第2の接触部はその中間棒10Cであり、回転軸2の尾端に長い係止溝が設けられ、S型スプリング10の中間棒10Cは回転軸2の長い係止溝内に固定され、回転軸2とS型スプリング10とは取り外すことができる。取り外し可能な構造を使用すると、モータのリヤカバー11および弾性部材を交換することができ、これによって、モータの使用寿命を延長させ、コストを低減させる。
【0032】
さらに、ステータ200の第1の電磁グループ210および第2の電磁グループ220に通電して磁場を発生させた場合、ステータ200の内部に挿設されたロータ300は磁気スラストの作用を受けて回転し、初期軸心位置にずれが生じる。これによって、ロータ300の回転軸2はS型スプリング10を動かして
図2bに示される位置に到達する。このときに、S型スプリング10は
図1bに示される二つの異なる方向に弾性変形を発生させることができる。このような場合、ロータ300はS型スプリング10の二つの方向の回復力の作用下で初期位置に回復することができる。次に、ステータ200の電流方向を変えると、磁気スラストの方向を変えることができ、それによりロータ300に前の段階の方向と反対の回転を生じさせ、初期軸心位置にずれが生じるようにする。これによって、ロータ300はS型スプリング10を動かして
図2dに示される位置に到達する。このような場合、ロータ300は再びS型スプリング10の二つの方向の回復力の作用下で初期位置に回復する。何度も繰り返して、ロータ300は一定の揺動幅で往復回転し、回転軸2の垂直方向に沿って振動する。
【0033】
S型スプリング10は、発生する騒音が小さく、リセット性が強く、取り付けやすいという特徴を有する。具体的には、S型スプリング10の両端は非半円弧に曲げられ、両端の弾性リセット力が増加する。半円弧の弧度の違いによって、生じる柔軟性と剛性が異なり、性能を制御しやすい。同時に、S型スプリング10は、取り付けプロセスが簡単で、かつ位置決め寸法が良く、良好な同軸特徴を有し、回転軸2との同心位置を比較的良好に保証することができる。
【0034】
本実施例のS型スプリング10を使用することは一例示にすぎず、さらにS型スプリング10に類似した複数の方向に弾性変形を発生させることができるその他の種類の弾性部材、例えば、Z型スプリング、M型、X型、U型、I型、N型スプリングなどを使用することもできる。
【0035】
本実施例のモータは、電動歯ブラシ、カミソリ、スピーカー、電気ハンマー、撹拌機、冷凍機、ミシン、包装・梱包機および電磁ポンプなどに適用する。電動歯ブラシを例として、上記構造のモータを使用すると、歯ブラシの回転軸は高周波で揺動することができると同時に、高周波で叩き、振動する作用を有し、高周波で叩くことによって歯表面の歯石を粉砕し、より清潔さに優れた効果を有する。
【実施例2】
【0036】
図3(a)~
図3(b)は本発明の別の実施例によるモータのロータ300の構造模式図を示す。
図3(a)~
図3(b)と
図1(a)~
図1(b)、
図2(a)~
図2(d)の符号が同じ構成部品は同じ意味を有しており、ここではさらに説明しない。
【0037】
上記実施例と異なる箇所は、本実施例におけるモータのロータ300が、さらに、前記回転軸2および前記回転軸2を囲む外壁に取り付けられた磁性部材310を一体に射出成形するための回転軸射出成形部品21を備えることである。回転軸2は、好ましくは一体棒である。上記一体棒構造を使用すると、回転軸2の応力をより均一にし、容易に断裂しなくなるとともによりスムーズな運動軌跡を生成することもできる。
【0038】
一つの実現可能な形態において、
図3aに示すように、磁性部材310は回転軸射出成形部品21により回転軸2を囲む外壁に取り付けられている。具体的には、前記磁性部材310は第1の磁石9、第2の磁石18、第1の磁束収束板8および第2の磁束収束板12を備える。前記第1の磁石9と前記第2の磁石18とはそれぞれ前記回転軸射出成形部品21の二つの対向する側面に嵌め込んで取り付けられている。前記第1の磁束収束板8と前記第2の磁束収束板12とはそれぞれ前記回転軸射出成形部品21の別の二つの対向する側面に固定され、かつ前記第1の磁束収束板8と前記第2の磁束収束板12とはそれぞれ前記第1の磁石9および前記第2の磁石18と接触している。
【0039】
図3aに示すように、第1の磁石9と第2の磁石18とは平行でかつ極性方向が一致し、それぞれ回転軸射出成形部品21の二つの対向する側面に嵌め込んで取り付けられている。第1の磁束収束板8と第2の磁束収束板12とはそれぞれ第1の磁石9および第2の磁石18と接触しかつ接触面をカバーしている。
図3(b)に示すように、回転軸2、第1の磁石9、第2の磁石18、第1の磁束収束板8および第2の磁束収束板12は互いに一体に固定され、モータの一致する同軸度を効果的に保持することができる。第1の磁石9と第2の磁石18とは、好ましくは永久磁石であり、第1の磁束収束板8と第2の磁束収束板12とは、好ましくは導磁性材料により作製された板状構造であり、磁束収束板上に回転軸射出成形部品21に取り付けるためのスルーホールが設けられ、スルーホールは回転軸射出成形部品21における突起に被せて接続することができる。スルーホールおよび突起の形状は限定されず、図に示される方形であってもよいし、その他の形状であってもよい。もちろん、貼り付け、リベット接合などのその他の方法により二つの磁束収束板を回転軸射出成形部品21に固定してもよく、本実施例ではこれを限定しない。
【0040】
図4(a)~
図4(b)は本発明の別の実施例によるモータのステータ200の構造模式図を示す。
図4(a)~
図4(b)と
図1(a)~
図1(b)、
図2(a)~
図2(d)、
図3(a)~
図3(b)の符号が同じ構成部品は同じ意味を有しており、ここではさらに説明しない。
【0041】
上記実施例と異なる箇所は、ステータ200が第1の電磁グループ210と第2の電磁グループ220とを備え、前記第1の電磁グループ210と前記第2の電磁グループ220とがキャビティを形成するように対称に固定され、前記ロータ300の磁性部材310が前記キャビティの内部に挿設されていることである。前記第1の電磁グループ210は第1の磁化部材5および前記第1の磁化部材5に巻かれた第1のコイル4を備え、前記第2の電磁グループは第1の磁化部材15および前記第1の磁化部材15に巻かれた第2のコイル14を備える。
【0042】
第1の磁化部材5および第2の磁化部材15は珪素鋼などの磁化材料により作製することができる。
図4(b)に示すように、二つの横断面がU字形でかつそれぞれコイルが巻かれた珪素鋼板(第1の磁化部材5および第2の磁化部材15)は対向して設置されてキャビティを形成し、ロータ300の磁性部材はキャビティ内に挿設されている。モータが動作している状態で、
図4(a)に示すように、第1のコイル4および第2のコイル14に同一方向の電流が流れ、磁場を生じさせて珪素鋼板を磁化させ、右手の法則により磁場の方向を判断することができる。
【0043】
さらに、第1のコイル4および第2のコイル14に通電した後、珪素鋼板(第1の磁化部材5および第2の磁化部材15)は電磁場により磁化され、
図5(a)に示されるN-S極分布を生成し、ロータ300との間にS-N極相互反発磁場を生成する。第1のコイル4および第2のコイル14の電流方向は変化して、珪素鋼板が電磁場により磁化されると、
図5cに示されるS-N極分布を生成し、ロータ300との間にN-S極相互反発磁場を生成する。通電された高レベル位置と低レベル位置とは一定の周波数に従って互いに交換し、ステータ200が生じた磁場方向を逆向きにし、それによりモータの回転軸2を同一周波数の異なる方向の力の作用下で左右に同一幅で揺動させ、かつS型スプリング10の作用下で正常の揺動位置に回復させる。
【0044】
本実施例のモータのステータは二つの電磁グループが使用され、ロータは永久磁石構造が使用され、それによりロータの質量をより軽く、動的応答を速くし、同一アンペア回数の電流を提供した場合、出力トルクをより大きく出力する。同時に、上記構造を使用すると、モータの取り付けおよび取り外しをより便利にし、後期のメンテナンス・点検・修理のコストを減少させることができる。
【実施例3】
【0045】
図6は本発明の別の実施例によるモータの分解図を示す。
図6と
図1(a)~
図1(b)、
図2(a)~
図2(d)、
図3(a)~
図3(b)、
図4(a)~
図4(b)、
図5(a)~
図5(d)の符号が同じ構成部品は同じ意味を有しており、ここではさらに説明しない。
【0046】
図6に示すように、モータのハウジング100はさらに第1の本体ハウジング7、第2の本体ハウジング17およびフロントカバー1を備える。前記第1の本体ハウジング7および前記第2の本体ハウジング17は前記磁性部材310の外部を囲んで設けられ、前記フロントカバー1は前記回転軸2に被せて設けられ、かつ前記第1の本体ハウジング7および前記第2の本体ハウジング17の先端と連結され、前記リヤカバー11は前記第1の本体ハウジング7および前記第2の本体ハウジング17の後端と連結されている。前記第1の本体ハウジング7および前記第2の本体ハウジング17にそれぞれ第1の取付溝および第2の取付溝と電磁グループ固定部材3、6、13、16が設けられ、電磁グループ固定部材3、6、13、16により前記第1の電磁グループ210を前記第1の取付溝内に取り付け、前記第2の電磁グループ220を前記第2の取付溝内に取り付けている。
【0047】
一つの実現可能な形態において、前記回転軸2に軸受19が被せて設けられ、前記軸受19は前記フロントカバー1の軸受溝内に取り付けられている。
【0048】
具体的には、軸受19が回転軸2に被せて設けられ、フロントカバー1の中に軸受溝が設けられ、回転軸2とフロントカバー1とを組み合わせて押圧するように軸受1を固定し、軸受19の主要機能はロータ300の回転軸2を支え、その運動過程における摩擦係数を減少させ、その回転精度を保証することである。
【0049】
一つの実現可能な形態において、前記第1の本体ハウジング7および前記第2の本体ハウジング17の尾端と前記回転軸2との間に隙間を有する。好ましくは、前記隙間の先端にエラストマー20が設けられている。
【0050】
図7に示すように、第1の本体ハウジング7および第2の本体ハウジング17の尾端と回転軸2との間に隙間を設けて回転軸2が軸心線に垂直な方向に振動する際に障害を比較的小さくする。同時に、隙間の先端にエラストマー20が設けられ、エラストマー20は、好ましくはモータの揺動・振動の回復性を増強可能な軟質ゴムである。
【0051】
本実施例のモータの動作原理は下記の通りである。
図7に示すように、回転軸2の尾端をS型スプリング10と固定し、かつ回転軸2と本体ハウジングの尾部との間に隙間を有する。てこの原理によると、S型スプリング10および軸受19をてこの支点とし、ロータ300が揺れ動く際に生じる振動を利用して、ロータ300が左右に揺れ動きかつ同時に
図7に示される支点を原点として不規則な曲線振動を行うようにする。最後に、ロータ300はS型スプリング10が生じた柔軟な復元力およびエラストマー20の弾性回復の作用下で、初期位置に回復し、何度も繰り返す。
【0052】
本実施例のモータは電動歯ブラシ、カミソリ、スピーカー、電気ハンマー、撹拌機、冷凍機、ミシン、包装・梱包機および電磁ポンプなどに適用する。電動歯ブラシを例として、上記構造のモータを使用すると、歯ブラシの回転軸は高周波で揺動することができると同時に、不規則な曲線振動の作用を有し、不規則な曲線振動によって歯表面の歯石を粉砕し、より清潔さに優れた効果を有する。
【0053】
以上は、発明を実施するための具体的な形態にすぎないが、本発明の保護範囲はこれに限らず、本技術分野を熟知する当該業者の誰もが本発明に開示された技術範囲内で簡単に考えられる変化または入れ替えは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。したがって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲を基準とすべきである。
【符号の説明】
【0054】
1 フロントカバー
2 回転軸
3 第1の電磁グループ固定部材
4 第1のコイル
5 第1の磁化部材
6 第2の電磁グループ固定部材
7 第1の本体ハウジング
8 第1の磁束収束板
9 第1の磁石
10 S型スプリング
11A 第1の端部
10B 第2の端部
10C 中間棒
11 リヤカバー
12 第2の磁束収束板
13 第3の電磁グループ固定部材
14 第2のコイル
15 第2の磁化部材
16 第4の電磁グループ固定部材
17 第2の本体ハウジング
18 第2の磁石
19 軸受
20 エラストマー
21 回転軸射出成形部品
100 ハウジング
200 ステータ
300 ロータ
210 第1の電磁グループ
220 第2の電磁グループ
310 磁性部材