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特許7010593シート束分離具及びこれを用いたシュレッダ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】シート束分離具及びこれを用いたシュレッダ
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/64 20060101AFI20220119BHJP
   B65H 3/32 20060101ALI20220119BHJP
   B02C 18/06 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
B65H29/64
B65H3/32
B02C18/06 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2017020729
(22)【出願日】2017-02-07
(65)【公開番号】P2018127308
(43)【公開日】2018-08-16
【審査請求日】2020-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】501315762
【氏名又は名称】株式会社サカエ
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】野口 善弘
(72)【発明者】
【氏名】松本 弘一
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-122482(JP,U)
【文献】特開2004-244167(JP,A)
【文献】特開平06-343891(JP,A)
【文献】特開昭47-028662(JP,A)
【文献】特開2006-290606(JP,A)
【文献】特開2001-137732(JP,A)
【文献】特開平05-317740(JP,A)
【文献】特開平09-077287(JP,A)
【文献】登録実用新案第3154631(JP,U)
【文献】西独国特許出願公開第02447601(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 29/64
B65H 1/00-3/68
B02C 13/00-13/31
B02C 18/00-18/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意枚数のシート束の最下面を受け止めて予め決められた方向に沿って前記シート束全体を移動可能に案内する案内部材と、
前記案内部材に対して間隙保持部材を介して保持され、前記案内部材との間に分離すべきシート束の厚さに対応する間隙を介して略平行に設置され、前記シート束を分離すべきシート束とそれ以外とに分離する分離部材と、を備え、
前記分離部材は、前記案内部材のうち前記シート束の移動方向上流側端部よりも前記シート束の移動方向下流側に偏位配置され、前記案内部材上を移動する前記シート束に当接する端部には当該シート束に入り込んで前記シート束が分離可能に形成された爪部を有し、
前記分離部材は、前記シート束の移動方向に対して前記爪部から離れた部位に前記間隙保持部材を設け、前記案内部材との間隙に挟まれたシート束の先端を前記間隙保持部材でせき止めることを特徴とするシート束分離具。
【請求項2】
請求項1に記載のシート束分離具において、
前記案内部材は、前記分離部材の設置位置に対して前記シート束の移動方向上流側及び下流側の両側に突出して設けられていることを特徴とするシート束分離具。
【請求項3】
請求項1に記載のシート束分離具において、
前記間隙保持部材は、前記案内部材と前記分離部材との間隙を調整可能に設定するものであることを特徴とするシート束分離具。
【請求項4】
請求項1に記載のシート束分離具において、
前記爪部は、前記シート束の厚さ方向寸法が先端に向かって鋭利な薄刃状に形成されていることを特徴とするシート束分離具。
【請求項5】
請求項1に記載のシート束分離具において、
前記爪部は、前記シート束の移動方向に交差する幅方向寸法が先端に向かって窄まるように形成されていることを特徴とするシート束分離具。
【請求項6】
請求項1に記載のシート束分離具において、
前記案内部材は、前記シート束の移動方向に沿う端部のいずれかにステープラ針除去用の突起部を有していることを特徴とするシート束分離具。
【請求項7】
細断用シート束が投入可能な投入口及び当該投入口から投入されたシート束を搬入する搬入経路を有するシュレッダ筐体と、
前記シュレッダ筐体の前記搬入経路の途中に設けられ、前記投入されたシート束を細断する細断機構と、
前記シュレッダ筐体のうち前記投入口に至る手前領域に面した部位に設置され、前記細断用シート束を予め決められた枚数以下に分離して前記投入口に案内するシート束分離具と、を備え、
前記シート束分離具は、前記投入口に至る手前領域に設けられ、任意枚数のシート束の最下面を受け止めて予め決められた方向に沿って前記シート束全体を移動可能に案内する案内部材と、
前記案内部材との間に分離すべきシート束の厚さに対応する間隙を介して略平行に設置され、前記シート束を分離すべきシート束とそれ以外とに分離する分離部材と、を備え、
前記分離部材は、前記案内部材のうち前記シート束の移動方向上流側端部よりも前記シート束の移動方向下流側に偏位配置され、前記分離部材と前記案内部材との間には前記投入口に至るまで分離された前記シート束を通過させる空間部が形成されており、
前記分離部材は、前記案内部材上を移動する前記シート束に当接する端部には当該シート束に入り込んで前記シート束が分離可能に形成された爪部を有すると共に、前記爪部とは反対側の端部には分離された前記シート束以外の残シートが収容される収容部を有する
ことを特徴とするシュレッダ。
【請求項8】
請求項に記載のシュレッダにおいて、
前記分離部材は前記案内部材の上方に設置され、
前記分離部材の上方には間隙を介して少なくとも前記爪部を覆う被覆部材を備えることを特徴とするシュレッダ。
【請求項9】
請求項に記載のシュレッダにおいて、
前記分離部材の前記爪部よりも前記シート束の搬送方向下流側に位置する部分と前記案内部材との間隙は、前記分離部材のうち前記爪部と前記案内部材との最小間隙よりも広く設定されていることを特徴とするシュレッダ。
【請求項10】
請求項に記載のシュレッダにおいて、
前記シート束分離具の全部又は一部が前記シュレッダ筐体に対して着脱自在であることを特徴とするシュレッダ。
【請求項11】
請求項7に記載のシュレッダにおいて、
前記分離部材は前記シート束の移動方向に交差する幅方向の略中央に一つの爪部を有することを特徴とするシュレッダ。
【請求項12】
請求項11に記載のシュレッダにおいて、
前記分離部材は前記爪部を挟んで幅方向の両側に前記シート束の移動方向に向かって徐々に切り欠かれる切欠部を有していることを特徴とするシュレッダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙等のシート束を分離するシート束分離具に係り、特に、任意枚数のシート束から必要枚数のシート束を分離する上で有効なシート束分離具及びこれを用いたシュレッダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来におけるシート束分離方法、あるいは、シート束分離装置、更にはシート束分離装置を搭載した製品としては、例えば特許文献1~3に記載のものが既に知られている。
特許文献1には、シート材の所定枚数を重ねた被圧体を、千鳥状にずらして積載し、被圧体の積載体とし、積載体より被圧体を掴持搬送し得るようにシート材を分離する方法において、積載体の最も上に位置する被圧体の端面の位置をセンサーにて確認し、センサーによる複数個の端面の位置データにより、積載体の積載形状の傾向を算出し、先行して分離装置に掴持する位置を伝達して積載体より被圧体を分離するシート材の分離方法が開示されている。
特許文献2には、シート束をシート積層体から分離するシート束分離位置を非接触で特定する分離位置特定手段と、分離位置特定手段で特定したシート束分離位置でシート束を分離するシート束分離手段とを有するシート束分離装置が開示されている。
特許文献3には、シート束の所定部分(例えば綴じ具付き箇所)を切断する切断手段と、切断手段にて切断されたシート束を所定枚数に分離して搬送する分離搬送手段(供給ローラと分離部材)と、搬送されたシートを断裁する断裁手段とを備えたシュレッダが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-157118号公報(実施例,図1
【文献】特開2006-176216号公報(発明を実施するための最良の形態,図1
【文献】特開2010-82570号公報(発明を実施するための最良の形態,図4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1,2にあっては、積載されたシート束を分離するに当たって、いずれもシート束の積層状態や分離位置を認識するためのセンサー等の情報を利用し、これに基づいて分離する要素を駆動する態様が開示されており、例えばシート束分離のための専用装置としては有効かも知れないが、センサーや駆動装置など装置構成が複雑であり、装置コストが嵩むことは避けられない。
また、特許文献3にあっては、シュレッダの投入口からの搬入経路の途中に断裁するシート束を所定枚数に分離して搬送する分離搬送手段(供給ローラと分離部材)が組み込まれているため、断裁手段には予め決められた規定枚数以内のシート束が供給されることになる。このため、断裁機構に過剰な負荷がかかるという事態は有効に回避されると言えるかも知れない。
しかしながら、シュレッダの投入口に投入されたシート束が仮に規定枚数を超えたものである場合には、シート束は分離搬送手段を通過することができず、搬入経路中にシート束が滞留することになるため、例えば滞留ジャム検出センサにてシート束の滞留状態を検出することでシュレッダの全ての動作を一時的に停止し、表示パネルにこの情報を表示して操作者に報知することが行われる。このとき、操作者はシート束の滞留状態を把握することで可能になるが、その後、搬入経路中に滞留するシート束を取り除くためのジャム処理を行うことが必要になり、その分、シュレッダの作業効率が低下する事態は避けられない。
【0005】
一般に、例えばシュレッダでの細断処理に当たって、大量の書類を廃棄するような状況(例えば古いファイルに保管されていた書類を廃棄するような状況等)においては、ユーザは、廃棄作業効率を高める上で、多数積載されているシート束を複数枚毎にまとめてシュレッダの投入口に投入するという作業が通常行われる。このような状況において、シュレッダの投入口に投入するシート束の枚数はユーザの感覚によってまちまちであるため、シュレッダの投入口に投入されるシート束の枚数が予め決められた規定枚数(シュレッダの細断性能を示す同時細断最大枚数に相当)を超えてしまうケースが起こり易い。このようなケースが生じた場合には、仮に、過剰なシート枚数のシート束がシュレッダ内の細断機構に到達すると、その過剰な負荷を検出することで細断機構による細断処理が不可と判断して細断機構の駆動を停止し、その後、細断機構等を逆転させることで過剰なシート束を投入口から外部へと吐き出すというオートリバース方式が多く採用されている。
ところが、このような過剰なシート束の投入回数が多くなると、細断機構には過剰なシート束による過剰負荷が多く作用することから、その分、細断機構の寿命を縮めてしまい、細断機構の交換頻度が高くなってしまう懸念がある。
このような状況下において、ユーザはシュレッダの投入口に対して過剰なシート束を投入しないように、シュレッダの細断性能よりも少ない枚数のシート束を投入するなどしているが、このような対処では、シュレッダの細断性能を十分に生かせているとは言えない。
尚、このような状況は、シュレッダへのシート束の投入動作に限られるものではなく、規定枚数を超えるシート束では不都合が生ずる仕分け動作等においても同様である。
【0006】
本発明が解決しようとする技術的課題は、任意枚数のシート束を予め決められた枚数以下のシート束に簡単に分離することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の技術的特徴は、任意枚数のシート束の最下面を受け止めて予め決められた方向に沿って前記シート束全体を移動可能に案内する案内部材と、前記案内部材に対して間隙保持部材を介して保持され、前記案内部材との間に分離すべきシート束の厚さに対応する間隙を介して略平行に設置され、前記シート束を分離すべきシート束とそれ以外とに分離する分離部材と、を備え、前記分離部材は、前記案内部材のうち前記シート束の移動方向上流側端部よりも前記シート束の移動方向下流側に偏位配置され、前記案内部材上を移動する前記シート束に当接する端部には当該シート束に入り込んで前記シート束が分離可能に形成された爪部を有し、前記分離部材は、前記シート束の移動方向に対して前記爪部から離れた部位に前記間隙保持部材を設け、前記案内部材との間隙に挟まれたシート束の先端を前記間隙保持部材でせき止めることを特徴とするシート束分離具である。
【0008】
本発明の第2の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えたシート束分離具において、前記案内部材は、前記分離部材の設置位置に対して前記シート束の移動方向上流側及び下流側の両側に突出して設けられていることを特徴とするシート束分離具である
本発明の第の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えたシート束分離具において、前記間隙保持部材は、前記案内部材と前記分離部材との間隙を調整可能に設定するものであることを特徴とするシート束分離具である。
本発明の第の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えたシート束分離具において、前記爪部は、前記シート束の厚さ方向寸法が先端に向かって鋭利な薄刃状に形成されていることを特徴とするシート束分離具である。
本発明の第の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えたシート束分離具において、前記爪部は、前記シート束の移動方向に交差する幅方向寸法が先端に向かって窄まるように形成されていることを特徴とするシート束分離具である。
本発明の第の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えたシート束分離具において、前記案内部材は、前記シート束の移動方向に沿う端部のいずれかにステープラ針除去用の突起部を有していることを特徴とするシート束分離具である。
【0009】
本発明の第の技術的特徴は、細断用シート束が投入可能な投入口及び当該投入口から投入されたシート束を搬入する搬入経路を有するシュレッダ筐体と、前記シュレッダ筐体の前記搬入経路の途中に設けられ、前記投入されたシート束を細断する細断機構と、前記シュレッダ筐体のうち前記投入口に至る手前領域に面した部位に設置され、前記細断用シート束を予め決められた枚数以下に分離して前記投入口に案内するシート束分離具と、を備え、前記シート束分離具は、前記投入口に至る手前領域に設けられ、任意枚数のシート束の最下面を受け止めて予め決められた方向に沿って前記シート束全体を移動可能に案内する案内部材と、前記案内部材との間に分離すべきシート束の厚さに対応する間隙を介して略平行に設置され、前記シート束を分離すべきシート束とそれ以外とに分離する分離部材と、を備え、前記分離部材は、前記案内部材のうち前記シート束の移動方向上流側端部よりも前記シート束の移動方向下流側に偏位配置され、前記分離部材と前記案内部材との間には前記投入口に至るまで分離された前記シート束を通過させる空間部が形成されており、前記分離部材は、前記案内部材上を移動する前記シート束に当接する端部には当該シート束に入り込んで前記シート束が分離可能に形成された爪部を有すると共に、前記爪部とは反対側の端部には分離された前記シート束以外の残シートが収容される収容部を有することを特徴とするシュレッダである。
【0010】
本発明の第の技術的特徴は、第の技術的特徴を備えたシュレッダにおいて、前記分離部材は前記案内部材の上方に設置され、前記分離部材の上方には間隙を介して少なくとも前記爪部を覆う被覆部材を備えることを特徴とするシュレッダである
本発明の第の技術的特徴は、第の技術的特徴を備えたシュレッダにおいて、前記分離部材の前記爪部よりも前記シート束の搬送方向下流側に位置する部分と前記案内部材との間隙は、前記分離部材のうち前記爪部と前記案内部材との最小間隙よりも広く設定されていることを特徴とするシュレッダである。
本発明の第10の技術的特徴は、第の技術的特徴を備えたシュレッダにおいて、前記シート束分離具の全部又は一部が前記シュレッダ筐体に対して着脱自在であることを特徴とするシュレッダである。
本発明の第11の技術的特徴は、第7の技術的特徴を備えたシュレッダにおいて、前記分離部材は前記シート束の移動方向に交差する幅方向の略中央に一つの爪部を有することを特徴とするシュレッダである。
本発明の第12の技術的特徴は、第11の技術的特徴を備えたシュレッダにおいて、前記分離部材は前記爪部を挟んで幅方向の両側に前記シート束の移動方向に向かって徐々に切り欠かれる切欠部を有していることを特徴とするシュレッダである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1の技術的特徴によれば、任意枚数のシート束を予め決められた枚数以下のシート束に簡単に分離することができることに加え、案内部材と分離部材との間に所定の間隙を簡単に確保することができる。特に、任意枚数のシート束から分離すべきシート束を残ったシートと容易に分離することができる。
本発明の第2の技術的特徴によれば、案内部材として、分離部材の設置位置に対してシート束の移動方向下流側にも突出した形状にすることができる
本発明の第の技術的特徴によれば、任意枚数のシート束から分離すべきシート束の枚数を適宜選定することができる。
本発明の第の技術的特徴によれば、分離部材の爪部の断面形状を工夫することで、任意枚数のシート束の端部の分離箇所に爪部を入り込み易くすることができる。
本発明の第の技術的特徴によれば、分離部材の爪部の先端形状を工夫することで、任意枚数のシート束の端部の分離箇所に爪部を入り込み易くすることができる。
本発明の第の技術的特徴によれば、ステープラ針で綴じられた任意枚数のシート束からステープラ針を簡単に除去した後に、シート束を所定枚数以下のシート束に簡単に分離することができる。
本発明の第の技術的特徴によれば、任意枚数のシート束を予め決められた枚数以下のシート束に簡単に分離し、細断機構による細断負荷が過負荷にならない状態で細断機構に細断用シート束を供給することができる。特に、分離部材にて分離されたシート束以外の残シートを分離部材上に積載することができ、次のシート束分離作業をし易くすることができる。
本発明の第の技術的特徴によれば、ユーザが分離部材の爪部に直接触れることを防止することができる
本発明の第の技術的特徴によれば、分離部材で分離されたシート束を案内部材に沿って投入口へ詰まることなく押し進めることができる。
本発明の第10の技術的特徴によれば、既存のシュレッダにシート束分離具を着脱可能に組み付けることができる。
本発明の第11の技術的特徴によれば、任意枚数のシート束の分離位置をばらつくことなく容易に特定することができる。
本発明の第12の技術的特徴によれば、分離部材の爪部周りの構成を工夫することで、シート束の分離動作をスムーズに進めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】(a)は本発明が適用されたシート束分離具の実施の形態の概要を示す説明図、(b)は(a)中矢印B方向から見た矢視図、(c)は本発明が適用されたシート束分離具を用いたシュレッダの実施の形態の概要を示す説明図である。
図2】(a)は実施の形態1に係るシート束分離具を示す斜視図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図、(c)は(a)中C方向から見た矢視図である。
図3】実施の形態1に係るシート束分離具を要素毎に分解した状態を示す分解斜視図である。
図4】(a)は実施の形態1に係るシート束分離具によるシート束の分離動作を模式的に示す説明図、(b)はシート束分離具により分離されたシート束をシュレッダの投入口に投入する状態を示す説明図である。
図5】(a)は実施の形態1に係るシート束分離具によるシート束の分離前の状態を模式的に示す説明図、(b)は同シート束分離具によるシート束の分離時の状態を模式的に示す説明図である。
図6】実施の形態2に係るシート束分離具の要部を示す説明図である。
図7】(a)は実施の形態2に係るシート束分離具の変形の形態2-1の要部を示す説明図、(b)は(a)中B-B線で切断した断面図である。
図8】(a)は実施の形態3に係るシート束分離具の要部を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図、(c)は実施の形態3に係るシート束分離具の変形の形態3-1の要部を示す説明図である。
図9】(a)は実施の形態4に係るシート束分離具の要部を示す説明図、(b)は(a)に示すシート束分離具の平面説明図、(c)は実施の形態4に係るシート束分離具の変形の形態4-1の要部を示す説明図である。
図10】(a)は実施の形態5に係るシュレッダの要部(シート束分離具周辺)を示す説明図、(b)は(a)中B-B線で切断した断面図である。
図11】(a)は実施の形態5に係るシュレッダに搭載したシート束分離具によるシート束の分離挙動を模式的に示す説明図、(b)は同シート束分離具の爪部周辺によるシート束の分離挙動を模式的に示す説明図である。
図12】(a)は実施の形態5に係るシュレッダの変形の形態5-1の要部(シート束分離具周辺)を示す説明図、(b)は(a)中B-B線で切断した断面図である。
図13】(a)は実施の形態6に係るシュレッダの要部(シート束分離具周辺)を示す説明図、(b)は同シュレッダの変形の形態6-1の要部を示す説明図、(c)は同シュレッダの変形の形態6-2の要部を示す説明図である。
図14】(a)は実施の形態7に係るシュレッダの要部(シート束分離具周辺)を示す説明図、(b)は同シュレッダに搭載されたシート束分離具による間隙調整例1を示す説明図、(c)は同シュレッダに搭載されたシート束分離具による間隙調整例2を示す説明図である。
図15】(a)は実施の形態7に係るシュレッダの変形の形態7-1の要部(シート束分離具周辺)を示す説明図、(b)は同シュレッダに搭載されたシート束分離具による間隙調整例を示す説明図である。
図16】(a)は実施の形態8に係るシュレッダの要部(シート束分離具)を示す説明図、(b)は(a)に示すシート束分離具を示す斜視説明図、(c)は(b)中C-C線で切断した断面図である。
図17】(a)は実施の形態8に係るシュレッダの変形の形態8-1の要部(シート束分離具)を示す説明図、(b)は(a)に示すシート束分離具を示す斜視説明図、(c)は(b)中C-C線で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
◎実施の形態の概要
図1(a)(b)は本発明が適用されたシート束分離具の実施の形態の概要を示す。
同図において、シート束分離具1は、任意枚数のシート束Sの最下面を受け止めて予め決められた方向に沿ってシート束Sを移動可能に案内する案内部材2と、案内部材2との間に予め決められた間隙gを介して略平行に設置され、シート束Sを分離する分離部材3と、を備え、分離部材3は、案内部材2よりもシート束Sの移動方向下流側に偏位配置され、移動するシート束Sに当接する端部には当該シート束Sに入り込んでシート束Sが分離可能に形成された爪部4を有するものである。
【0014】
このような技術的手段において、案内部材2はシート束Sを移動可能に案内する機能を具備すればよく、その形態は板状、棒状を問わない。
また、分離部材3は案内部材2との間に所定の間隙gを介して設置されていればよく、所定の間隙gは分離したいシート束Sの枚数に合わせて選定するようにすればよい。
そして、分離部材3と案内部材2との位置関係は、任意枚数のシート束Sを案内部材2に沿って移動させたときに、シート束Sの移動方向先端が分離部材3の端部に突き当たることが必要であり、分離部材3によって所定枚数のシート束Sのうち分離部材3と案内部材2との間隙gに挟まれたシート束Saが分離すべきシート束であり、それ以外のシート束Sbが残ったシート束になり、次のシート束Sの分離作業に供される。
更に、分離部材3は任意枚数のシート束Sを所定枚数以下に分離するための爪部4を有することが必要である。この爪部4は分離部材3と一体的に設けていてもよいし、別部材を分離部材3の端部に取り付けるようにしてもよい。
【0015】
次に、本実施の形態に係るシート束分離具1の代表的な態様又は好ましい態様について説明する。
先ず、分離部材3の代表的な保持構造としては、案内部材2に対して間隙保持部材5を介して保持されている態様が挙げられる。本例は、分離部材3と案内部材2との間に間隙保持部材5を介在し、両者間に所定の間隙gを確保する。この間隙保持部材5は分離部材3や案内部材2とは別体のものでもよいし、分離部材3又は案内部材2と一体的に設けていてもよい。
また、分離部材3の好ましい態様としては、シート束Sの移動方向に対して爪部4から離れた部位に間隙保持部材5を設け、案内部材2との間隙gに挟まれたシート束Saの先端を間隙保持部材5でせき止める態様が挙げられる。本例は、間隙保持部材5がシート束Sを分離する際にストッパとして機能する態様である。
更に、分離部材3の別の好ましい態様としては、案内部材2と分離部材3との間隙gを調整可能に設定する態様が挙げられる。本例は、間隙保持部材5が間隙gを調整可能にする態様であり、例えば案内部材2と分離部材3とを間隙調整に連結し、両者間に付勢部材を介在させる態様や、両者間に可変調整可能なスペーサを介在させる態様が挙げられる。
【0016】
また、爪部4の好ましい態様としては、シート束Sの厚さ方向寸法が先端に向かって鋭利な薄刃状に形成されている態様が挙げられる。本例は、爪部4のシート束Sの厚さ方向寸法が先端に向かって鋭利な薄刃状に形成された態様であり、任意枚数のシート束Sの端部に当接したときにシート束Sの厚さ方向の分離箇所に入り込み易い点で好ましい。
更に、爪部4の別の好ましい態様としては、シート束Sの移動方向に交差する幅方向寸法が先端に向かって窄まるように形成されている態様が挙げられる。本例は、爪部4のシート束Sの幅方向寸法が先端に向かって窄まる態様であり、任意枚数のシート束Sの端部に突き当たったときに、爪部4の先端がシート束Sの分離箇所に入り込むと、シート束Sを移動させるにつれてシート束Sが容易に分離される点で好ましい。
更にまた、案内部材2の好ましい態様としては、シート束Sの移動方向に沿う端部のいずれかにステープラ針除去用の突起部6を有している態様が挙げられる。本例は、案内部材2のうちシート束Sの移動方向に沿う端部のいずれかにステープラ針除去用の突起部6を有し、この突起部6にてステープラ針を除去可能とする。
【0017】
次に、シート束分離具1を組み込んだシュレッダ7の代表的態様について説明する。
本実施の形態において、シュレッダ7は、図1(c)に示すように、細断用シート束Sが投入可能な投入口8a及び当該投入口8aから投入されたシート束Sを搬入する搬入経路8bを有するシュレッダ筐体8と、シュレッダ筐体8の搬入経路8bの途中に設けられ、投入されたシート束Sを細断する細断機構9と、シュレッダ筐体8のうち投入口8aに至る領域に面した部位に設置され、細断用シート束Sを予め決められた枚数以下に分離して投入口8aに案内するシート束分離具1と、を備え、シート束分離具1は、任意枚数のシート束Sの最下面を受け止めて予め決められた方向に沿ってシート束Sを移動可能に案内する案内部材2と、案内部材2との間に予め決められた間隙gを介して略平行に設置され、シート束Sを分離する分離部材3と、を備え、分離部材3は、案内部材2よりもシート束Sの移動方向下流側に偏位配置し、移動するシート束Sに当接する端部には当該シート束Sに入り込んでシート束Sが分離可能に形成された爪部4を有すると共に、案内部材2との間には投入口8aに至るまで分離されたシート束Saを通過させる空間部を形成するものである。
【0018】
このような技術的手段において、案内部材2はシュレッダ筐体8の投入口8aに至る案内機能を備えていればよく、シュレッダ筐体8の投入口8aへの案内面を兼用するようにしてもよいし、シュレッダ筐体8とは別部材にて構成してもよい。
また、分離部材3は、任意枚数のシート束Sを分離する機能と、案内部材2との間に投入口8aに至るまでの空間を形成することで分離されたシート束Saの通路とする機能とを備えていればよい。
【0019】
次に、本実施の形態に係るシュレッダの代表的態様又は好ましい態様について説明する。
先ず、この種のシュレッダ7の代表的な態様としては、分離部材3は案内部材2の上方に設置され、分離部材3の上方には間隙を介して少なくとも爪部4を覆う被覆部材(図示せず)を備える態様が挙げられる。本例は、ユーザが分離部材3の爪部4に直接触ることを防止する安全策である。そして、本例では、被覆部材と分離部材3との間の間隙は分離されたシート束Sa以外の残シートSbが入り込む程度に選定することが好ましい。もし当該間隙が狭く選定されてしまうと、分離されたシート束Sa以外の残シートSbが被覆部材の端部に突き当たり、シート束Sの分離性が不完全になる懸念がある。
【0020】
また、分離部材3の好ましい態様としては、任意枚数のシート束Sのうち爪部4で分離されて投入口8aに至るシート束Sa以外の残シートSbが収容される収容部10を有する態様が挙げられる。本例は、分離部材3にて分離されたシート束Sa以外の残シートSbの収容部10を有する態様である。ここで、収容部10としては、分離部材3の上面を利用して残シートSbを積載する積載部や、分離された残シートSbを回収する回収部が挙げられる。尚、積載部としては分離された残シートSbが積載部から落下しないようにストッパでせき止める構造が好ましい。また、回収部としては、残シートSbが回収可能であれば適宜選定して差し支えないが、スペース、作業性を考慮すると、残シートSbが縦置きで直ちに持ち上げ可能な箱状若しくはトレイ状の回収受けが好ましい。
【0021】
更に、分離部材3の別の好ましい態様としては、シート束Sの移動方向に交差する幅方向の略中央に一つの爪部4を有する態様が挙げられる。本例は、分離部材3がその幅方向の略中央に一つの爪部4を有するため、シート束Sの分離位置がばらつく懸念はない。
更にまた、分離部材3の別の好ましい態様としては、爪部4を挟んで幅方向の両側にシート束Sの移動方向に向かって徐々に切り欠かれる切欠部(図示せず)を有している態様が挙げられる。本例は、分離部材3の幅方向略中央に設けられた爪部4で、任意枚数のシート束Sの分離位置を特定し、当該爪部4の両側に形成された切欠部にて爪部4によるシート束Sの分離領域をシート束Sの幅方向に徐々に広げていき、シート束Sの分離を完成するものである。
【0022】
また、分離部材3の更に別の好ましい態様としては、分離部材3の爪部4よりもシート束Sの移動方向下流側に位置する部分と案内部材2との間隙gは、分離部材3のうち爪部4と案内部材2との最小間隙gminよりも広く設定されている態様が挙げられる。本例は、分離後のシート束Saの搬入性を確保した態様である。
ここで、間隙gの調整法としては例えば以下のように適宜選定して差し支えない。
(1)分離部材3の爪部4の間隙g内に張り出す肉厚を調整する手法。
(2)分離部材3の爪部4よりもシート束Saの移動方向下流側部分を、案内部材2との間隙gを次第に拡開するように傾斜配置する手法。
(3)分離部材3の爪部4に対向した案内部材2上にスペーサを置き、爪部4との間隙gを調整する手法。
【0023】
更に、シュレッダ7の好ましい態様としては、シート束分離具1の全部又は一部がシュレッダ筐体8に対して着脱自在である態様が挙げられる。本例は、既存のシュレッダ7にシート束分離具1を付加し、シート束Sを分離してシュレッダ7内に投入する態様である。
ここで、シート束分離具1は例えばシュレッダ筐体8に予め形成された投入口8aに至る案内面を案内部材2の全部又は一部として利用し、爪部4を有する分離部材3を、案内面からの間隙gを調整して設置するようにしてもよいし、あるいは、シュレッダ筐体8の投入口8a縁に対して着脱可能なシート束分離具1の全部又は一部を位置決め装着するようにしてもよい。
【0024】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明をより詳細に説明する。
◎実施の形態1
図2(a)は実施の形態1に係るシート束分離具の全体構成を示す斜視図である。
同図において、シート束分離具20は、図示外のシュレッダの投入口に投入するシート束(図示せず)を分離するデバイスであって、任意枚数のシート束の最下面を受け止めて予め決められた方向に沿ってシート束を移動可能に案内する案内プレート21と、案内プレート21との間に予め決められた間隙g(図2(b)参照)を介して略平行に設置され、シート束を分離する分離プレート25と、を備えている。
本例において、案内プレート21は、図2(a)~(c)に示すように、例えばステンレス製の厚さ寸法h(本例では1.2~2.0mm)、幅寸法w(本例では10~20mm)、長さ寸法L(本例では130~170mm)の長尺な矩形プレートからなる。
また、分離プレート25は、案内プレート21と同様な素材にて案内プレート21と同じ厚さ寸法、幅寸法で長さ寸法が短い(本例では案内プレート21の略半分程度の寸法L)長尺な矩形プレートからなり、案内プレート21の長手方向の中央付近の位置を略中央にして案内プレート21に対向して配置されている。
【0025】
更に、本例では、分離プレート25は、図2(b)に示すように、案内プレート21の長手方向一端部よりもシート束の移動方向下流側に偏位して配置されている。本例では、分離プレート25は案内プレート21の長手方向一端部から当該分離プレート25の長さ寸法Lよりも長い寸法L(L>L>L)だけ離れた位置に配置されている。
そして、分離プレート25のうち移動するシート束に当接する端部にはシート束分離用の爪部26が一体的に形成されている。本例では、爪部26は、図2(a)(b)に示すように、シート束の厚さ方向寸法が先端に向かって鋭利な薄刃状に形成されており、シート束の移動方向に交差する幅方向寸法が先端に向かって窄まるように形成されている。このため、本例では、爪部26の先端部は幅寸法m(本例では1mm未満)の薄刃状幅狭部26aとして形成されている。
【0026】
また、本例では、分離プレート25と案内プレート21との間には両者の略同じ幅寸法の薄板状のスペーサ27が介在されている。ここで、スペーサ27は、図2(b)に示すように、分離プレート25の長さ寸法Lよりも短い寸法Lを有しており、分離プレート25の爪部26側部分と案内プレート21との間にはスペーサ27の厚さに対応した間隙gの空間部28が確保されている。
ここで、スペーサ27の厚さは、シュレッダに投入される同時細断最大枚数を踏まえて選定するようにすればよい。
そして、分離プレート25及びスペーサ27は長手方向の2箇所にて案内プレート21に対して固定的に取り付けられている。本例における取付構造は、図2及び図3に示すように、案内プレート21、分離プレート25及びスペーサ27に対して夫々2箇所に取付孔31~33を開設し、各取付孔31に止め具34としての固定ねじ34aを挿入し、止め具34としてのナット34bにて共締め固定したものである。尚、符号34c,34dは止め具34の一要素であるワッシャである。
【0027】
更に、本例では、案内プレート21のシート束Sの移動方向の下流側端には、ステープラ針を除去するためのリムーバ部40が一体的に形成されている。ここで、リムーバ部40は案内プレート21の端部に向かって略三角形状に突出し、その先端部にステープラ針の幅寸法よりも狭い幅寸法mの薄刃状の突起部41を有している。
【0028】
次に、本実施の形態に係るシート束分離具20の使用方法について説明する。
今、図4(b)に示すように、シュレッダ100の投入口102にシート束Saを投入する際には、図示外の細断機構に過負荷がかからないようにする上でシート束Saの厚さをシュレッダ100の同時細断最大枚数以下に抑えることが好ましい。
本実施の形態に係るシート束分離具20はこのような要請を満たすために用いられるものであって、以下のように使用すればよい。
先ず、図4(a)に示すように、シート束分離具20の案内プレート21のリムーバ部40とは異なる側の端部に向けて任意枚数のシート束S(本例では厚さt)を対向して配置した後、シート束分離具20に向けてシート束Sを移動させる。あるいは、シート束Sを固定して保持し、シート束分離具20を移動してもよい。この場合はシート束分離具20とシート束Sを図とは上下関係を逆にすると作業しやすくなる。
この状態において、任意枚数のシート束Sは、図5(a)に示すように、案内プレート21に沿って移動し、図5(b)に示すように、シート束Sの移動方向先端が分離プレート25の爪部26に突き当たり、当該爪部26がシート束Sの端部の分離位置に入り込む。特に、本例では、爪部26の先端が薄刃状幅狭部26aとして構成されているため、シート束Sの端部の分離位置に入り込み易い。尚、本例では「薄刃状幅狭部26a」の薄刃状には針状も含まれる。
【0029】
この後、更に、シート束Sを移動させると、分離プレート25の爪部26は先端に向かって窄まるような形状を有しているため、シート束Sの端部の分離位置からシート束S間に入り込み、シート束Sを二分する。つまり、シート束Sのうち、分離プレート25と案内プレート21との間の間隙gの空間部28に入り込んだシート束Saはスペーサ27の端部にせき止められて停止し、一方、分離プレート25の爪部26上に乗り上げたシート束が残シートSbとして分離プレート25上を移動する。このため、シート束Sのうち、シート束分離具20でせき止められた厚さtのシート束Saが分離すべきシート束となり、厚さtの残シートSbとして分離される。
このように分離された厚さtのシート束Saは、シュレッダ100のシュレッダ筐体101の頂部に形成された案内用凹所104の案内面に沿って投入口102に投入され、図示外の細断機構にて細断される。このとき、シート束Saは同時細断最大枚数以下の枚数であるため、細断機構による細断負荷が過剰になる懸念はない。
また、残シートSbは、次のシート束Sの分離作業に供され、シート束分離具20によって所定厚以下のシート束Saが分離される。
【0030】
◎実施の形態2
図6は実施の形態2に係るシート束分離具の要部を示す。
同図において、シート束分離具20の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、スペーサ27が実施の形態1と異なる。尚、実施の形態1と同様な構成要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本例において、スペーサ27は、所定厚のスペーサ用シート50をシュレッダ100の同時細断最大枚数に相当する枚数分重ねたものであり、各スペーサ用シート50には予め決められた位置に取付孔33を開設するようにしたものである。ここで、スペーサ用シート50としては予め決められた所定厚のものを適宜枚数用意しておき、ユーザがシュレッダ100の細断性能(同時細断最大枚数)を見てその重ね枚数を選定してもよいし、あるいは、ユーザが通常使用しているシートを直接利用し、これをシュレッダ100の同時細断最大枚数に対応した枚数分重ねるようにしても差し支えない。
【0031】
本実施の形態に係るシート束分離具20によれば、例えばシュレッダ100の細断性能が高い態様では、スペーサ27の厚さが同時細断最大枚数に対応する厚さgになるようにスペーサ用シート50を重ね、また、シュレッダ100の細断性能が低い態様では、スペーサ27の厚さが同時細断最大枚数に対応する厚さg(g<g)になるようにスペーサ用シート50を重ね、案内プレート21と分離プレート25(爪部26を具備)との間に介在させ、止め具34にて共締めするようにすればよい。
このようなシート束分離具20によれば、各ユーザが所有するシュレッダ100の細断性能に応じた厚さのシート束Saを分離するためのスペーサ27の厚さをユーザ毎に可変調整することが可能になり、任意枚数のシート束Sから所定枚数のシート束Saを分離可能なシート束分離具20を簡単に構築することができる点で好ましい。
【0032】
◎変形の形態2-1
本実施の形態に係るシート束分離具20では、所定厚のスペーサ用シート50を必要枚数重ねてスペーサ27の厚さを可変設定するようにしたものであるが、スペーサ27の厚さを可変設定する手法としては、これに限られるものではなく、例えば図7(a)(b)に示す変形の形態2-1のように構築してもよい。尚、実施の形態2と同様な構成要素については実施の形態2と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
同図において、スペーサ27は、案内プレート21と分離プレート25との間の所定間隙gの空間部28において、例えば止め具34の固定ねじ34aの周囲に巻き付くように装着されるコイルスプリング51にて構成されている。
尚、本例では、スペーサ27であるコイルスプリング51が巻き付けられている止め具34の固定ねじ34aが分離すべきシート束Saをせき止める機能を担っている。
本例によれば、例えば止め具34の固定ねじ34aの締め付けを調整することで、スペーサ27であるコイルスプリング51が弾性変形することから、スペーサ27を交換することなく、案内プレート21と分離プレート25との間の空間部28の間隙gを可変調整することができる点で好ましい。
【0033】
◎実施の形態3
図8(a)(b)は実施の形態3に係るシート束分離具20の要部を示す。
同図において、シート束分離具20は、実施の形態1と同様に、案内プレート21と分離プレート25(爪部26を具備)との間にスペーサ27を介在し、分離プレート25の爪部26と案内プレート21との間に所定間隙gの空間部28を確保するものであるが、案内プレート21に対する分離プレート25、スペーサ27の保持構造が実施の形態1と異なる。尚、実施の形態1と同様な構成要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本例において、スペーサ27は1つの止め具34(固定ねじ34a、ナット34b、ワッシャ34c,34d)にて案内プレート21と分離プレート25との間に共締めされている。更に、本例では、分離プレート25及びスペーサ27は、断面逆U字状の回り止めホルダ52にて案内プレート21との間で抱き込み保持されている。具体的には、案内プレート21には回り止めホルダ52の一対の脚部が挿入可能な回り止め孔53が開設されており、回り止めホルダ52は、一対の脚部をつなぐ連結部の中央付近に取付孔(図示せず)を有し、各脚部が案内プレート21の回り止め孔53に挿入係止された状態で、分離プレート25及びスペーサ27を抱き込み、図示外の取付孔から固定ねじ34aを挿入することで当該固定ねじ34aを含む止め具34にて案内プレート21、分離プレート25及びスペーサ27と共締め固定される。
従って、本実施の形態では、分離プレート25及びスペーサ27は案内プレート21に対して一つの止め具34で固定されているが、回り止めホルダ52にて抱き込み保持されているため、実施の形態1の2箇所での共締め方式と略同様に、分離プレート25及びスペーサ27は案内プレート21に対して回り止めされた状態で固定される。
【0034】
◎変形の形態3-1
本実施の形態に係るシート束分離具20では、分離プレート25及びスペーサ27は一つの止め具34と回り止めホルダ52とを用いて案内プレート21に固定されているが、これに限られるものではなく、例えば図8(c)に示す変形の形態3-1のように構築してもよい。
同図において、案内プレート21は、当該案内プレート21上に設置される直方体形状のスペーサ27の両側面(本例では案内プレート21の長手方向に沿う両側面)が保持可能な位置に一対の回り止め壁55を有している。ここで、回り止め壁55は少なくともスペーサ27の厚さよりも高く設定され、分離プレート25の長手方向に沿う両側面をも保持可能になっていることが好ましい。
そして、本例では、分離プレート25及びスペーサ27は、回り止め壁55間に保持された状態で、一つの止め具34にて案内プレート21に共締め固定されている。
従って、本例においても、分離プレート25及びスペーサ27は案内プレート21に対して回り止めされた状態で固定される。
【0035】
◎実施の形態4
図9(a)(b)は実施の形態4に係るシート束分離具20の要部を示す。
同図において、シート束分離具20は、実施の形態1~3と略同様に、案内プレート21と分離プレート25(爪部26を具備)とを所定の間隙の空間部28を介して配置したものであるが、分離プレート25と案内プレート21との間の間隙の保持構造が実施の形態1~3と異なる。尚、実施の形態1~3と略同様な構成要素については実施の形態1~3と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本例において、分離プレート25は長手方向の一端側に爪部26を有しており、長手方向他端側には案内プレート21に対して略直交するように延びる間隙保持腕部57を有している。そして、分離プレート25は、案内プレート21上に間隙保持腕部57を溶着あるいは接着にて固着することで、案内プレート21に対して略平行に設置され、分離プレート25と案内プレート21との間には所定の間隙の空間部28が確保されるようになっている。
また、本実施の形態では、実施の形態1~3とは異なり、分離プレート25の幅方向寸法Wが案内プレート21の幅方向寸法Wよりも狭く設定されている。
従って、本実施の形態によれば、任意枚数のシート束(図示せず)は、案内プレート21に沿って移動した後、分離プレート25の爪部26で所定枚数のシート束(図示せず)に分離された状態で空間部28内に入り込み、間隙保持腕部57にてせき止められる。
また、案内プレート21と分離プレート25の幅の寸法関係は限定されるものではないが、本例では、案内プレート21は分離プレート25に対して幅広に構成されているため、例えば腰の弱い薄紙からなるシート束を案内する状況ではシート束の姿勢を保ち易い点でシート束の分離作業が容易に行われる。
尚、本例では、分離プレート25に間隙保持腕部57を一体的に形成しているが、これに限られるものではなく、例えば案内プレート21と分離プレート25との間に別部材からなる間隙保持腕部57を介在させるようにしてもよい。
【0036】
◎変形の形態4-1
本実施の形態に係るシート束分離具20では、案内プレート21に対して分離プレート25の間に所定の間隙の空間部28を確保する態様であるが、これに限られるものではなく、例えば図9(c)に示す変形の形態4-1のように構築してもよい。
同図において、シート束分離具20は、例えば断面円形の長尺な案内ロッド61を有し、この案内ロッド61に対して例えば断面円形の長尺な案内ロッド61よりは短い分離ロッド65を略平行に設置し、分離ロッド65の長手方向一端側にシート束分離用の爪部66を形成すると共に、長手方向他端側に間隙保持腕部67を一体的に形成し、案内ロッド61に対して分離ロッド65の間隙保持腕部67を溶着あるいは接着にて固着し、分離ロッド65と案内ロッド61との間に所定間隙の空間部28を確保するようにしたものである。尚、案内ロッド61の長手方向の少なくとも一端部にはステープラ針除去用のリムーバ部68が一体的に形成されている。
従って、本例においても、任意枚数のシート束(図示せず)は、案内ロッド61に沿って移動した後、分離ロッド65の爪部66で所定枚数のシート束(図示せず)に分離された状態で空間部28内に入り込み、間隙保持腕部67にてせき止められる。
【0037】
◎実施の形態5
図10(a)(b)は実施の形態5に係るシュレッダの要部を示す。
同図において、シュレッダ100は、細断用シート束(図示せず)が投入可能な投入口102及び当該投入口102から投入されたシート束を搬入する搬入経路103を有するシュレッダ筐体101と、シュレッダ筐体101の搬入経路103の途中に設けられ、投入されたシート束を細断する細断機構106と、シュレッダ筐体101のうち投入口102に至る領域に面した部位に設置され、細断用シート束を予め決められた枚数以下に分離して投入口102に案内するシート束分離具120と、を備えている。
【0038】
本実施の形態において、シュレッダ筐体101には、投入口102に至る領域に面して細断用シート束を案内するための案内用凹所104が形成されており、案内用凹所104には投入口102に向かって斜めに傾斜した案内面105が形成されている。
また、細断機構106は例えばカッタ要素として対構成の刃付ドラムが用いられるクロスカット方式を採用したもので、対構成の刃付ドラムの噛み合い領域に細断用シート束を挿通させることで、シート束の搬入方向に沿う方向(縦方向)及びこれに略直交する交差方向(横方向)について縦横同時に細断するようにしたものである。尚、細断機構106のカッタ要素としては、クロスカット方式に限られるものではなく、例えば細断用シート束を短冊状に細断するストレートカッタと、短冊状の細断物を所定のピッチ間隔で切断するスパイラルカッタ及びフラットカッタとを組み合わせて用いてもよいことは勿論である。
そして、この種の細断機構106は駆動モータ108からの駆動力を駆動伝達機構107を介して伝達するようになっており、細断機構106による細断負荷を管理する上で駆動モータ108の電流を検出する電流計109が接続されている。本例では、例えば細断機構106に細断用シート束が詰まると、細断機構106に過剰な細断負荷が作用するため、これを回避するために、電流計109が細断機構106による過剰な細断負荷を検出すると、図示外の制御装置は細断機構106の駆動モータ108を直ちに停止させた後、当該駆動モータ108を逆転させることで詰まったシート束を投入口102から吐き出すという所謂オートリバース処理が行われるようになっている。
【0039】
また、本実施の形態において、シート束分離具120は、シュレッダ筐体101の案内用凹所104の案内面105に沿って細断用シート束を投入口102に向かって移動させるもので、案内面105と略平行に分離プレート125を設置したものである。
本例の分離プレート125は例えばシュレッダ筐体101と同様な素材からなる板材であって、案内用凹所104の案内面105の入口に対して細断用シート束の移動方向下流側に偏位配置され、移動するシート束に当接する端部には当該シート束に入り込んでシート束が分離可能に形成された爪部126を有している。
そして、本例では、爪部126は、細断用シート束の移動方向に交差する幅方向の略中央に一つ設けられており、細断用シート束の厚さ方向寸法が先端に向かって鋭利な薄刃状に形成され、かつ、細断用シート束の幅方向寸法が先端に向かって窄まるように形成された薄刃状幅狭部126aを有している。当該薄刃状には針状も含まれることは前述した通りである。
更に、分離プレート125は、爪部126を挟んで幅方向の両側に細断用シート束の移動方向に向かって徐々に切り欠かれる切欠部127を有している。
更にまた、分離プレート125は、案内面105との間に投入口102に至るまで分離されたシート束を通過させる所定の間隙gの空間部128を確保するようになっている。
【0040】
また、分離プレート125の爪部126とは反対側の端部には投入口102に至るシート束以外の残シートが収容される収容受け110が一体的に設けられている。本例では、収容受け110はシュレッダ筐体101の頂部において案内用凹所104に隣接した部位に凹所として設けられており、この収容受け110には収容された残シートが落下しないようにせき止めるストッパ111やあるいは落下した残シートを受け止め回収する回収ボックス112が必要に応じて設けられる。
【0041】
次に、本実施の形態に係るシュレッダでの細断用シート束の分離動作について説明する。
今、図11(a)に示すように、任意枚数の厚さtの細断用シート束Sを案内用凹所104の案内面105に沿って投入口102に向けて移動させると、シート束Sの先端が分離プレート125の爪部126に突き当たる。
この状態において、分離プレート125の爪部126はシート束Sの端部の分離位置に入り込む。特に、本例では、爪部126の先端が薄刃状幅狭部126aとして構成されているため、シート束Sの端部の分離位置に入り込み易い。
この後、更に、シート束Sを移動させると、図11(b)に示すように、分離プレート125の爪部126は先端に向かって窄まるような形状を有しているため、シート束Sの端部の分離位置からシート束S間に入り込み、シート束Sを二分する。この後、爪部126の両側に形成された切欠部127は爪部126によるシート束Sの分離領域をシート束Sの幅方向に徐々に広げていき、シート束Sの分離を完成させる。つまり、シート束Sのうち、分離プレート125と案内面105との間の間隙gの空間部128に入り込んだシート束Sa(本例では厚さt)は案内面105に沿って投入口102へと導かれる。一方、分離プレート125の爪部126上に乗り上げたシート束Sが残シートSb(本例では厚さt)として収容受け110に収容される。
この状態において、投入口102に到達したシート束Saは搬入経路103を経て細断機構106へ至り、細断処理に供される。このとき、細断機構106に至るシート束Saはシュレッダ100の細断性能(同時細断最大枚数)を考慮した所定の厚さtに調整されているため、細断機構106による細断負荷が過剰になることは有効に回避される。
尚、収容受け110に収容された残シートSbについては、再びシート束分離具120にてシート束Sの分離動作を経て所定厚のシート束Saは細断機構106へと供されるようにすればよい。
【0042】
◎変形の形態5-1
本実施の形態では、分離プレート125の爪部126がシュレッダ筐体101の頂部に露呈した態様であるが、これに限定されるものではなく、例えば図12(a)(b)に示す変形の形態5-1のように構築してもよい。
同図において、シュレッダ100の基本的構成は、実施の形態5に係るシュレッダ100と略同様であるが、実施の形態5と異なり、分離プレート125の上方に間隙を介して少なくとも爪部126(薄刃状幅狭部126aを具備)を覆うガードプレート130を付加するようにしたものである。ここで、ガードプレート130と分離プレート125との間隙は分離されたシート束Sa以外の残シートSbが入り込む程度に設定されていればよい。尚、実施の形態5と同様な構成要素については実施の形態5と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本例によれば、実施の形態5と略同様な作用を奏するほか、ガードプレート130が分離プレート125の爪部126を上方から覆っているため、ユーザが分離プレート125の爪部126に直接触れる懸念がない点で好ましい。
【0043】
◎実施の形態6
図13(a)は実施の形態6に係るシュレッダの要部を示す説明図である。
同図において、シュレッダ100の基本的構成は、実施の形態5と略同様であるが、実施の形態5と異なり、シュレッダ筐体101に設置されるシート束分離具120として、シュレッダ筐体101の投入口102に向かう平板状の案内プレート121を設けると共に、この案内プレート121に対向するように平板状の分離プレート125を設置し、この分離プレート125のシート束の挿入側端に爪部126を一体的に設けたものであり、特に、案内プレート121と分離プレート125の入口部(具体的には爪部126の先端部位)の間隙をginとし、案内プレート121と分離プレート125との出口部の間隙をgoutとすると、gout>ginを満たすように、案内プレート121に対して分離プレート125を少し傾斜して配置するようにしたものである。この寸法については適宜選定して差し支えないが、|gout-gin|≦0.2~0.5mm程度であれば十分である。
尚、本例では、案内プレート121及び分離プレート125はシュレッダ筐体101の投入口102を挟む位置に設けられており、投入口102からの細断機構106に至る搬入経路103を区画する区画シュート122をも兼用した構成になっている。また、実施の形態5と同様な構成要素については実施の形態5と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
従って、本実施の形態では、任意枚数のシート束(図示せず)は、案内プレート121に沿って投入口102へと案内され、分離プレート125の爪部126にて分離され、間隙ginの空間部128を経て投入口102に至る。このとき、案内プレート121と分離プレート125との出口部の間隙goutが入口部の間隙ginより広く選定されているため、投入口102を通過したシート束は搬入経路103の途中で詰まることなく、細断機構106へスムーズに搬入される点で好ましい。
【0044】
◎変形の形態6-1,6-2
本実施の形態では、分離プレート125は平板状のものが用いられており、案内プレート121に対して全体的に傾斜配置するようにしているが、これに限られるものではなく、例えば図13(b)(c)に示す変形の形態6-1,6-2のように構築してもよい。
変形の形態6-1は、図13(b)に示すように、分離プレート125を例えば投入口102を越えて搬入経路103の区画シュートを兼用する部分だけを傾斜配置するようにしたものである。
また、変形の形態6-2は、図13(c)に示すように、分離プレート125の例えば投入口102付近に段差部123を設け、その前後で案内プレート121との間の空間部128の間隙を変えるようにしたものである。
【0045】
◎実施の形態7
図14(a)は実施の形態7に係るシュレッダの要部を示す。
同図において、シュレッダ100の基本的構成は、実施の形態6と略同様に、シュレッダ筐体101の投入口102を挟んで案内プレート121及び分離プレート125とを対向して配置したものであるが、実施の形態6と異なり、分離プレート125の爪部の構成を工夫することで、案内プレート121と分離プレート125との入口部、出口部の間隙gin,goutについて、gout>ginを満たし、かつ、入口部の間隙ginを容易に可変調整することを可能としたものである。尚、実施の形態6と同様な構成要素については実施の形態6と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本例において、分離プレート125の入口側縁には爪部品140が着脱可能に設けられている。ここで、爪部品140は細断用シート束(図示せず)が挿入される方向に対向して先端に向かって鋭利な薄刃状に形成される爪部141を有しており、分離プレート125の幅方向の略中央縁部に装着可能な装着溝142を有している。
【0046】
従って、本実施の形態では、任意枚数のシート束(図示せず)は、案内プレート121に沿って投入口102へと案内され、分離プレート125の爪部品140の爪部141にて分離され、間隙ginの空間部128を経て投入口102に至る。
このとき、爪部品140は分離プレート125の入口側縁部に着脱可能に装着されるものであるが、爪部品140のうち分離プレート125の内面から空間部128内に張り出す部分を有するため、本例では、必然的にgout>ginを満たすことが可能である。
更に、本例では、爪部品140のうち分離プレート125の内面から空間部128内に張り出す寸法hを調整することで、間隙ginを可変調整することが可能である。
例えば図14(b)に示すように、爪部品140の張り出し寸法hをhに設定すると、間隙ginはgin(1)に調整され、図14(c)に示すように、爪部品140の張り出し寸法hをhに(h<h)設定すると、間隙ginはgin(2)(gin(2)>gin(1))に調整される。
【0047】
◎変形の形態7-1
本実施の形態では、分離プレート125の爪部品140を工夫することで、案内プレート121と分離プレート125との入口部、出口部の間隙gin,goutについて、gout>ginを満たし、かつ、入口部の間隙ginを容易に可変調整することを可能としたものであるが、これに限られるものではなく、例えば図15(a)(b)に示す変形の形態7-1のように構築してもよい。
同図において、シート束分離具120の基本的構成は、実施の形態7と略同様に、案内プレート121と分離プレート125とを対向して配置したものであるが、実施の形態7と異なり、分離プレート125の入口側には爪部126を一体的に形成し、案内プレート121のうち、シート束(図示せず)の移動方向上流側端部から分離プレート125の爪部126先端を少し越えた位置に及んで間隙調整シート145を設置したものである。
本例において、間隙調整シート145は所定厚zの平板状シートからなり、案内プレート121のシート束の移動方向上流側端部に引っ掛かる鉤状の引っ掛け部146を一体的に形成したものである。ここで、間隙調整シート145は適宜素材で形成して差し支えないが、案内プレート121上に設置されたときにシート束の搬送性を維持できる程度に摩擦抵抗の小さい素材で形成することが好ましい。また、引っ掛け部146としては、鉤状に案内プレート121の縁部を抱き込むものが示されているが、例えば断面L字状として案内プレート121の縁部に係止するようにしてもよい。
【0048】
本例によれば、案内プレート121と分離プレート125との間隙を少し大きめに設定したシート束分離具120を予め作製しておき、案内プレート121の所定位置に所定厚zの間隙調整シート145を設置するようにすればよい。
このように構成すれば、例えば案内プレート121と分離プレート125とを略平行に配置した態様に対し、案内プレート121と分離プレート125との入口部、出口部の間隙gin,goutについて、gout>ginを満たすように調整することができる。
このため、シート束分離具120によって分離されたシート束は搬入経路103の途中で詰まることなく、細断機構106へと供される。
更に、異なる厚さzの間隙調整シート145を予め複数種用意しておけば、案内プレート121と分離プレート125との入口部の間隙ginをシュレッダ100の細断性能に応じた枚数を分離可能なように調整することが可能である。
【0049】
◎実施の形態8
図16(a)は実施の形態8に係るシュレッダの要部を示す。
同図において、シュレッダ100の基本的構成は、実施の形態5~7とは異なり、シュレッダ筐体101に対して着脱可能なシート束分離具120を備えたものである。
本例において、シート束分離具120は、図16(a)~(c)に示すように、例えばシュレッダ筐体101の案内用凹所104の案内面105に沿って着脱可能に設置され、図示外の投入口に分離したシート束を導くものであり、案内用凹所104の案内面105に沿って設置される平板状の案内プレート151と、案内プレート151と対向して配置される平板状の分離プレート155と、案内プレート151と分離プレート155との間に介在されて所定の間隙の空間部159を形成するスペーサ158とを備えている。そして、分離プレート155は案内プレート151よりもシート束の移動方向下流側に偏位配置され、分離プレート155のシート束の移動方向上流側端部の幅方向略中央に爪部156を形成すると共に、この爪部156を挟んでシート束の移動方向に向かって徐々に幅方向に広がるように切り欠かれる切欠部157を形成したものである。尚、シュレッダ筐体101のうち、案内用凹所104に隣接した箇所には分離プレート155にて分離されたシート束以外の残シートが収容される収容受け110が設けられている。
従って、本実施の形態では、既存のシュレッダ100のシュレッダ筐体101の案内用凹所104にシート束分離具120を装着し、シート束分離具120の案内プレート151に沿って任意枚数のシート束(図示せず)を投入口に向かって移動させるようにすればよい。
この状態において、任意枚数のシート束は、分離プレート155の爪部156及び切欠部157にて分離され、分離されたシート束とそれ以外の残シートとに二分される。分離されたシート束は、投入口から投入され、図示外の搬入経路を経て図示外の細断機構へと供給される。
【0050】
◎変形の形態8-1
本実施の形態は、シート束分離具120の投入口側部分の全体が案内用凹所104に着脱可能に挿入されているが、これに限られるものではなく、例えば図17(a)~(c)に示す変形の形態8-1のように構築してもよい。
同図において、シート束分離具120の基本的構成は、実施の形態8と略同様であるが、シュレッダ筐体101への着脱構造が実施の形態8と異なる。尚、実施の形態8と同様な構成については実施の形態8と同様の符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本例において、シート束分離具120は、分離プレート155の爪部156とは反対側の縁部に引っ掛けプレート160が一体的に設けられており、この引っ掛けプレート160は平板状の案内プレート151に対してシート束の移動方向に向かって拡開するように傾斜して設けられている。尚、本例では、シュレッダ筐体101の案内用凹所104に隣接した箇所には引っ掛けプレート160が載置可能な載置台113が設けられている。
従って、本例によれば、シュレッダ筐体101にシート束分離具120を装着する場合には、シート束分離具120の案内プレート151及びスペーサ158の一端側部分を案内用凹所104内に挿入すると共に、分離プレート155と一体的に設けられている引っ掛けプレート160をシュレッダ筐体101の載置台113に載置することで、シュレッダ筐体101に対してシート束分離具120を位置決めするようにすればよい。この形態は既存のシュレッダ100に対して、前述した収容受け110の効用を引っ掛けプレート160で果たしつつシート束分離具120を装着することができる。
以上の通り、実施の形態8及び変形の形態8-1によれば、シュレッダ100の既存のモデルに対してもまた新規モデルにおいても、細断作業能率を最大限に高め、シュレッダ100への負荷を許容最小限に抑えた手段を提供すると共に、使い勝手の良いかつ信頼性の高いシュレッダ100を低コストで提供することが可能である。
【符号の説明】
【0051】
1…シート束分離具,2…案内部材,3…分離部材,4…爪部,5…間隙保持部材,6…突起部,7…シュレッダ,8…シュレッダ筐体,8a…投入口,8b…搬入経路,9…細断機構,10…収容部,S…シート束,Sa…分離されたシート束,Sb…残シート,g…間隙
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