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特許7010616燃料電池発電システム及び燃料電池発電システムの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】燃料電池発電システム及び燃料電池発電システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04746 20160101AFI20220119BHJP
   H01M 8/04858 20160101ALI20220119BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20220119BHJP
【FI】
H01M8/04746
H01M8/04858
H01M8/04 J
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2017144820
(22)【出願日】2017-07-26
(65)【公開番号】P2019029108
(43)【公開日】2019-02-21
【審査請求日】2020-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 信人
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 信人
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(72)【発明者】
【氏名】小川 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 彩香
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-143212(JP,A)
【文献】再公表特許第2015/170413(JP,A1)
【文献】特開2014-007060(JP,A)
【文献】特開2003-197231(JP,A)
【文献】特開2014-010924(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04-8/0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素ガスを含むアノードガスが供給されるアノードと、酸素ガスを含むカソードガスが供給されるカソードとを備え、前記アノードに供給された前記水素ガスと、前記カソードに供給された前記酸素ガスとを用いて発電を行う、燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックから電気を取り出す、電気システムと、
前記アノードへの前記アノードガスの供給及び前記カソードへの前記カソードガスの供給を制御する制御部であって、前記電気システムが他の電力系統に接続される系統連系運転の場合と、前記電気システムが前記他の電力系統に接続されずに自立負荷に接続される自立運転の場合とにおける制御を変更する、制御部と、
前記アノードに前記アノードガスを供給する、第1供給路と、
前記アノードから使用済みのアノードオフガスを排出する、第1排出路と、
前記カソードに前記カソードガスを供給する第2供給路と、
を備えた燃料電池発電システムにおいて
前記制御部は、前記第1供給路から前記アノードに供給される前記アノードガスの供給量、前記第1排出路から排出される前記アノードオフガスの排出量及び前記第2供給路から前記カソードに供給される前記カソードガスの供給量のうち少なくとも1つを制御して、前記電気システムが他の電力系統に接続される系統連系運転の場合と、前記電気システムが前記他の電力系統に接続されずに自立負荷に接続される自立運転の場合とにおける制御を変更し、
前記制御部は、前記自立運転時において、
前記第2供給路から供給する前記カソードガスの供給量が、定格発電出力の50%の出力をする場合のカソードガスの供給量以上となる制御、及び、
前記第1供給路から供給する前記アノードガスの供給量が、定格発電出力の50%の出力をする場合のアノードガスの供給量以上となる制御
の少なくともいずれか一方の制御をする、
燃料電池発電システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記系統連系運転の場合、供給する燃料の量に対する発電量の効率を優先する制御を行い、
前記自立運転の場合、発電する出力の変化速度を優先する制御を行う、
請求項1に記載の燃料電池発電システム。
【請求項3】
前記第1供給路に供給される前記アノードガスの圧力を前記系統連系時及び前記自立運転時において調整する、第1燃料圧力弁と、
前記第1供給路に供給される前記アノードガスの圧力を前記自立運転時において調整する、前記アノードガスの圧力を前記第1燃料圧力弁よりも高い状態で制御する、第2燃料圧力弁と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記自立運転の場合、前記第1供給路から供給する前記アノードガスの供給圧力を前記第1燃料圧力弁よりも高圧な圧力の制御をする前記第2燃料圧力弁を用いて上昇させ、前記アノードガスの供給量が定格発電出力の50%の出力をする場合のアノードガスの供給量以上となるように制御する請求項1又は請求項2に記載の燃料電池発電システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記自立運転の場合、排出路から排出する前記アノードオフガスの排出量が定格出力をする場合のアノードオフガスの排出量に基づいた第3の所定の量以上となるように制御する請求項1に記載の燃料電池発電システム。
【請求項5】
前記第1排出路及び前記第1供給路に接続され、前記アノードにおいて再利用される前記アノードオフガスを前記アノードへと再供給する、循環路をさらに備え、
前記制御部は、前記循環路から前記アノードに供給される前記アノードオフガスの再供給量を制御して、前記系統連系運転の場合と、前記自立運転の場合とにおける制御を変更する、
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の燃料電池発電システム。
【請求項6】
水素ガスを含むアノードガスが供給されるアノードと、酸素ガスを含むカソードガスが供給されるカソードとを備え、前記アノードに供給された前記水素ガスと、前記カソードに供給された前記酸素ガスとを用いて発電を行う、燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックから電気を取り出す、電気システムと、
前記アノードへの前記アノードガスの供給及び前記カソードへの前記カソードガスの供給を制御する、制御部と、
前記アノードに前記アノードガスを供給する、第1供給路と、
前記アノードから使用済みのアノードオフガスを排出する、第1排出路と、
前記カソードに前記カソードガスを供給する第2供給路と、
を備える燃料電池発電システムの制御方法であって、
前記制御部が、前記第1供給路から前記アノードに供給される前記アノードガスの供給量、前記第1排出路から排出される前記アノードオフガスの排出量及び前記第2供給路から前記カソードに供給される前記カソードガスの供給量のうち少なくとも1つを制御して、前記電気システムが他の電力系統に接続される系統連系運転の場合と、前記電気システムが前記他の電力系統に接続されずに自立負荷に接続される自立運転の場合とにおける制御を変更し、
前記制御部は、前記自立運転時において、
前記第2供給路から供給する前記カソードガスの供給量が、定格発電出力をする場合のカソードガスの供給量に基づいた第1の所定の量以上となる制御、及び、
前記第1供給路から供給する前記アノードガスの供給量が、定格発電出力をする場合のアノードガスの供給量に基づいた第2の所定の量以上となる制御
の少なくともいずれか一方の制御をする、
燃料電池発電システムの制御方法。
【請求項7】
水素ガスを含むアノードガスが供給されるアノードと、酸素ガスを含むカソードガスが供給されるカソードとを備え、前記アノードに供給された前記水素ガスと、前記カソードに供給された前記酸素ガスとを用いて発電を行う、燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックから電気を取り出す、電気システムと、
前記アノードへの前記アノードガスの供給及び前記カソードへの前記カソードガスの供給を制御する制御部であって、前記電気システムが他の電力系統に接続される系統連系運転の場合と、前記電気システムが前記他の電力系統に接続されずに自立負荷に接続される自立運転の場合とにおける制御を変更する、制御部と、
前記アノードに前記アノードガスを供給する、第1供給路と、
前記アノードから使用済みのアノードオフガスを排出する、第1排出路と、
前記カソードに前記カソードガスを供給する第2供給路と、
を備えた燃料電池発電システムにおいて
前記制御部は、前記第1供給路から前記アノードに供給される前記アノードガスの供給量、前記第1排出路から排出される前記アノードオフガスの排出量及び前記第2供給路から前記カソードに供給される前記カソードガスの供給量のうち少なくとも1つを制御して、前記電気システムが他の電力系統に接続される系統連系運転の場合と、前記電気システムが前記他の電力系統に接続されずに自立負荷に接続される自立運転の場合とにおける制御を変更し、
前記制御部は、前記自立運転時において、
前記第2供給路から供給する前記カソードガスの供給量が、定格発電出力をする場合のカソードガスの供給量に基づいた第1の所定の量以上となる制御、及び、
前記第1供給路から供給する前記アノードガスの供給量が、定格発電出力をする場合のアノードガスの供給量に基づいた第2の所定の量以上となる制御
の少なくともいずれか一方の制御をし、
前記第1排出路及び前記第1供給路に接続され、前記アノードにおいて再利用される前記アノードオフガスを前記アノードへと再供給する、循環路をさらに備え、
前記制御部は、前記循環路から前記アノードに供給される前記アノードオフガスの再供給量を制御して、前記系統連系運転の場合と、前記自立運転の場合とにおける制御を変更する、
燃料電池発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、燃料電池発電システム及び燃料電池発電システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、燃料が有している化学エネルギーを直接電気に変換するシステムとして燃料電池が知られている。燃料である水素と、酸化剤である酸素とを電気化学的に反応させることにより直接電気を取り出す燃料電池は、高い効率で電気エネルギーを取り出すことができるとともに、静音性に優れ、さらに、有害な排ガスを排出しないという環境性にも優れた特徴を有するシステムである。近年まで、比較的大型のPAFC(Phosphoric Acid Fuel Cell:リン酸形燃料電池)が主に開発されてきたが、最近では、小型のPEFC(Polymer Electrolyte Fuel Cell:固体高分子形燃料電池)の開発が活発になってきている。この結果、家庭用燃料電池発電システムの商品化も実現し、2016年度には、国内に約15万台が設置される状況となっている。また、将来の水素社会に向け、純水素を直接導入する純水素燃料電池の開発も行われている。
【0003】
純水素燃料電池システムは、上述したように高い効率を持っているが、この効率を保つためには、水素を無駄なくほぼ全量使用する仕組みが重要となる。このような燃料電池システムは、出力変化を速く行うことが困難であり、一般的に最低出力から最高出力までを30秒から1分掛けて変化させる。通常運転時における系統連系で使用されている場合には、出力変化に掛かる時間はそれほど問題とはならない。しかしながら、系統が停電した場合等、自立発電を行う場合において、発電出力は、接続される電気の負荷次第であり、瞬時に上昇又は下降に対応しなければならないこともある。従来技術においては、この出力変化に対応するために、バッテリーやキャパシターを緩衝材(ヒーター)として利用するなどして対応していたが、コストが高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-152997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の実施形態が解決しようとする課題は、緩衝材となる追加機器が不要となる自立機能を実現する燃料電池システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る燃料電池システムは、
水素ガスを含むアノードガスが供給されるアノードと、酸素ガスを含むカソードガスが供給されるカソードとを備え、前記アノードに供給された前記水素ガスと、前記カソードに供給された前記酸素ガスとを用いて発電を行う、燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックから電気を取り出す、電気システムと、
前記アノードへの前記アノードガスの供給及び前記カソードへの前記カソードガスの供給を制御する制御部であって、前記電気システムが他の電力系統に接続される系統連系運転の場合と、前記電気システムが前記他の電力系統に接続されずに自立負荷に接続される自立運転の場合とにおける制御を変更する、制御部と、
前記アノードに前記アノードガスを供給する、第1供給路と、
前記アノードから使用済みのアノードオフガスを排出する、第1排出路と、
前記カソードに前記カソードガスを供給する第2供給路と、
を備え、
前記制御部は、前記第1供給路から前記アノードに供給される前記アノードガスの供給量、前記第1排出路から排出される前記アノードオフガスの排出量及び前記第2供給路から前記カソードに供給される前記カソードガスの供給量のうち少なくとも1つを制御して、前記電気システムが他の電力系統に接続される系統連系運転の場合と、前記電気システムが前記他の電力系統に接続されずに自立負荷に接続される自立運転の場合とにおける制御を変更する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態によれば、緩衝材が不要となる自立機能を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る燃料電池システムの機能を示すブロック図。
図2】自立運転モードへの移行処理を示すフローチャート。
図3】系統連系運転時におけるガス供給量・排出量の制御値を示す図。
図4】第1実施形態に係る自立運転時におけるガス供給量・排出量の制御値を示す図。
図5】第2実施形態に係る燃料電池システムの機能を示すブロック図。
図6】第2実施形態に係る自立運転時におけるガス供給量・排出量の制御値を示す図。
図7】第3実施形態に係る自立運転時におけるガス供給量・排出量の制御値を示す図。
図8】第4実施形態に係る燃料電池システムの機能を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0010】
(第1実施形態)
本実施形態に係る燃料電池システム1は、他の電力系統と接続される系統連系運転から自立発電運転へと遷移する場合に、アノードに供給される水素ガスの供給量及びカソードに供給される酸素ガスの供給量を増加させることにより、緩衝材を用いることなく、燃料電池システム1に接続される自立負荷に必要な発電量の変化に対応できるように、発電の出力変化を系統連系時と比較して高速に行おうとするものである。
【0011】
図1は、第1実施形態に係る燃料電池システム1の機能を示すブロック図である。この図1に示すように、燃料電池システム1は、燃料電池スタック10と、電気システム20と、コントローラ30と、を備える。
【0012】
燃料電池スタック10は、アノード12と、カソード14とを備え、水素ガスと酸素ガスとを反応させることにより発電をする装置である。なお、本実施形態の説明においては、発電に関する処理は一般的な装置と同様であるので、例えば、電解質、セパレータ及びアノード12とカソード14を接続する外部導線といった他の構成については特に説明はしないが、燃料電池スタック10に必要なものは備えられているものとする。また、説明のため、アノード12と、カソード14を備えるセルについて1組だけ図示しているが、これも一般的な構成をするものであり、燃料電池スタック10内には複数のアノード12と、カソード14とが備えられている。
【0013】
アノード12は、水素ガスを含むアノードガスを電解質と反応させる装置である。このアノード12にアノードガスを供給する手段として、第1供給路500がアノード12に接続されている。また、電解質と反応させた後のアノードオフガスを排出する手段として、循環路504を介して第1排出路502がアノード12に接続されている。
【0014】
第1供給路500には、例えば、自力式調整弁である第1燃料圧力調節弁120と、燃料を遮断する弁である第1燃料遮断弁122が備えられている。第1燃料圧力調節弁120は、アノード12へと供給されるアノードガスの供給量を調整するべく圧力を調整する弁である。第1燃料圧力調節弁120のガスの入力側では、高圧(例えば、10kPaよりも高い圧力)が掛けられている。第1燃料圧力調節弁120は、この高圧のガスを、出力側において適切な供給量となるような圧力(例えば、6kPa)となるように調整する。
【0015】
第1燃料圧力調節弁120を介して適切な圧力に変換されたアノードガスは、第1燃料遮断弁122により遮断され、適切なタイミングにおいてアノード12へと供給されるように調整される。このように、第1燃料圧力調節弁120及び第1燃料遮断弁122を介してアノード12へ供給されるアノードガスの供給量が調整される。
【0016】
アノードガスが供給されたアノード12において、電解質と水素ガスとが反応し、水素イオン及び電子がカソード14へと供給される。アノード12内において反応した後のアノードガスは、循環路504へと流入される。
【0017】
循環路504は、第1供給路500に接続され、かつ、第1アノードブリード弁124を介して第1排出路502と接続されている。第1供給路500から循環路504へとアノード12における反応前のアノードガスが流入しないように、アノードリサイクルブロワ126が備えられている。このアノードリサイクルブロワ126により、第1アノードブリード弁124が閉じられている場合に、アノードオフガスが循環路504へと流入する。アノードオフガスが、第1供給路500を介してアノード12へと再流入することにより、アノードオフガス内に残留している水素ガスをアノード12において再利用することが可能となる。なお、第1供給路500から循環路504へガスが流入しないように、第1供給路500と循環路504との接続箇所において逆止弁を備えていてもよい。
【0018】
第1排出路502は、循環路504及び第1アノードブリード弁124を介してアノード12と接続され、第1アノードブリード弁124が開いている場合に、アノードオフガスを外部へと排出する。第1アノードブリード弁124は、このようにアノード12からアノードオフガスを排出するための経路であり、アノードオフガスのリサイクル効率との兼ね合いで、適切なタイミングにおいて開放され、第1排出路502を介してアノードオフガスを外部へと排出する。
【0019】
カソード14は、空気中の酸素ガスと、アノード12により分離された水素ガス及び電子とを化学反応させ直流電気を発生させる装置である。カソード14に酸素ガスを含む空気(カソードガス)を流入する手段として、第2供給路510がカソード14に接続されている。また、反応させた後のカソードオフガスを排出する手段として第2排出路512がカソード14に接続されている。
【0020】
第2供給路510には、カソード14へとカソードガスを供給するカソードブロワ140が備えられている。カソードブロワ140は、カソード14へと適切な量のカソードガスが供給されるように、カソードガスの流入量を調整する。カソード14において化学反応に用いられたカソードオフガスは、第2排出路512を介して外部へと排出される。
【0021】
電気システム20は、カソード14における化学反応により発生した電気を取り出し、適切な箇所へと送電する。電気システム20は、例えば、インバータ22を備えている。なお、電気システム20の構成に関しては、一般的な燃料電池システムと同等のものであるので、詳しくは説明しない。
【0022】
インバータ22は、発電された直流の電気を交流の電気へと変換し、送電する。通常運転における系統連系時には、連系している系統40へ、この交流電気が送電される。停電等の通常運転では無い場合には、自立負荷42へ、この交流電気が送電され、燃料電池システム1は、自立運転へと切り替わる。燃料電池システム1は、これらのそれぞれの負荷に基づいてその発電出力を変化させることが好ましい。すなわち、燃料電池システム1に接続される負荷に基づいて、燃料電池スタック10の発電量を制御することが好ましい。
【0023】
コントローラ30は、上述した各弁及びブロワの制御を行う装置である。コントローラ30が弁及びブロワが制御することにより、燃料電池システム1は、その発電する出力を調整する。
【0024】
図2は、本実施形態に係る燃料電池システム1の動作の処理を示すフローチャートである。前提として、燃料電池システム1は、上述したように平常時においては系統連系により運転され、系統の停電等が起こり通常運転では無い場合には、自立運転を行う。
【0025】
まず、上述したように平常時において、燃料電池システム1は、他の電力系統と接続される系統連系で使用され、系統連系モードとして運転している(ステップS10)。連系している系統が正常に運転している場合、燃料電池システム1は、この系統連系モードとして運転を続行する。
【0026】
図3は、系統連系モードにおけるカソード14へのカソードガスの供給量を制御するカソード流量制御、循環路504におけるアノードオフガスのアノード12へのリサイクル量(率)を制御するアノードリサイクル制御、第1排出路502におけるアノードオフガスのアノード12からの排出量を制御するアノードブリード制御及び第1供給路500からアノード12へと供給されるアノードガスの供給量を制御するためのアノード供給圧力制御を示す表である。
【0027】
コントローラ30は、この図3に示すように系統連系モードにおける各ガスの供給、リサイクル及び排出量を制御する。系統連系モードにおける運転時には、燃料からの発電効率を高くするように制御されている。例えば、アノード12に供給されるアノードガスに含まれる水素ガスを無駄なくほぼ全量使用するように制御する。具体的には、アノードオフガスのリサイクル率を高く保つことにより、アノードオフガスに含まれる水素ガスの再利用を促進する。また、カソードに流入するカソードガスの供給量についても、アノード12において発生する水素イオンを無駄なく利用する化学反応が可能なように調整する。
【0028】
一例として、コントローラ30は、カソード流量制御をカソードガス(空気)の利用率が一定になるように制御し、アノードリサイクルブロワを燃料利用率が一定となるように制御する。リサイクルの効率を高めるために、アノードブリード制御は、必要最低限のアノードオフガスを第1排出路502から外部へと排出するように制御する。第1燃料圧力調節弁120は、上述したように供給するアノードガスの圧力が6kPaとなるように制御される。
【0029】
そして、例えば、第1アノードブリード弁124が開放されると、それと同時に、又は、それに前後して第1燃料遮断弁122が開放される。このように、水素ガス濃度の低いアノードオフガスが第1排出路502を介して排出されるとともに、水素ガスを豊富に含むアノードガスが第1供給路500を介してアノード12へと供給されるようにする。
【0030】
なお、アノードブリード量が必要最低ブリード制御であるとは、例えば、燃料中の不純物が所定値以下となるように制御する方法である。このように制御する結果、アノードオフガスに含まれる水素ガスの量が発電に適さない程度に少なくなる前に、水素ガスを豊富に含むアノードガスが流入されることが可能となる。
【0031】
このように、第1アノードブリード弁124と第1燃料遮断弁122を制御し、水素ガスを含むガスの供給と排出を制御することにより、アノードガス及びアノードオフガスが含む水素ガスを効率よく利用することが可能となる。なお、上記の説明は一例として説明したものであり、圧力等は、システムに適したものに変更することは可能である。また、他の一般的な系統連系における燃料電池システムの運転方法としてもよい。
【0032】
図2にもどり、燃料電池システム1は、通常運転が可能であるか否かをモニタしていてもよい(ステップS12)。モニタ情報において、系統連系モードの運転が可能である場合、すなわち、自立運転を行わない場合(ステップS12:NO)、燃料電池システム1は、系統連系モードの運転を継続する。一方で、停電等により、系統連系モードで運転するのが不可能又は困難である場合、すなわち、自立運転を行う場合(ステップS12:YES)、燃料電池システム1は、運転モードを自立運転モードへと変更する(ステップS13)。
【0033】
なお、ステップS12においては、常時モニタリングしている必要は無く、所定の時間毎に確認するようにしてもよい。また、別の手法としては、通常運転ができなくなった場合に、割り込み処理としてステップS12の判断をするようにしてもよい。
【0034】
図4は、本実施形態に係る自立運転モードにおけるアノード12及びカソード14へと供給するガス量等を制御するためのパラメータを示す表である。
【0035】
例えば、系統に異常が起きた場合等には、インバータ22の出力制御を電流制御から電圧制御へと切り替え、自立運転へと移行する。このようにすることにより、接続される電力負荷である自立負荷42により瞬時出力変動が発生する。この出力変動に対応するために、コントローラ30は、以下のように各入力値及び出力値を制御する。
【0036】
系統連系モードから、自立運転モードへと移行すると、コントローラ30は、この図4に示される表のようにガスの供給及び排出の制御を遷移させる。すなわち、コントローラ30は、カソード流量制御を、空気利用率一定制御から定格発電出力相当の一定流量制御へと遷移させ、アノードリサイクル制御を、燃料利用率一定制御から定格発電出力相当の一定制御へと遷移させ、アノードブリード制御を、必要最低ブリード制御から最大出力ブリード制御へと遷移させる。したがって、この場合、カソード14を流れるカソードガス(空気)の量及びアノード12を流れるアノードガス(燃料)の量が最大となり、定格又は定格に近い発電が可能な状態となる。このような状態になると、インバータ22の電流制御により、定格相当の電力を出力することが可能となる。
【0037】
上記のような制御は、具体的には、一例として以下のように行われる。カソード流量制御を行う場合、コントローラ30は、カソードブロワ140に流れるカソードガスの流量が定格出力に相当するようにカソードブロワ140を制御する。アノードリサイクル制御を行う場合、コントローラ30は、アノードリサイクルブロワ126に流れるアノードオフガスの流量が定格出力に相当するようにアノードリサイクルブロワ126を制御する。アノードブリード制御を行う場合、コントローラ30は、第1アノードブリード弁124を開放することにより最大出力ブリードとなるように制御する。
【0038】
また、上記に加えて、コントローラ30は、アノードガスの供給量とアノードオフガスの排出量が同等になるように、第1燃料遮断弁122を適宜開放するように制御してもよい。
【0039】
ここで、定格とは、例えば、システムが長期連続運転に耐えうる最大の入力又は出力を示す値である。本実施形態においては、最大入力及び最大出力には限られず、各装置の状態に応じ、最大よりも少し少ない入力及び出力量も含むものとする。例えば、カソード流量制御の値を第1の所定の値である定格発電出力相当の95%以上とし、同様に、アノードリサイクル制御の値を第2の所定の値である定格発電出力相当の95%以上としてもよい。システムの信頼性によっては、95%ではなく、さらに高い98%等としてもよい。
【0040】
ここで、定格相当とは、定格の出力をしようとした場合における、上記のような定格出力に相当する値、すなわち、機器における出力のぶれや、出力をする際の環境による出力のぶれにより、定格よりも少し低い出力値となった場合を含む概念であるとする。これは、機器の安全に鑑みて、定格より少し少ない出力量とした場合も含む概念であるとする。上述した第1の所定の値は、この定格相当の出力を行うために必要となるカソード流量の値のことを言う。同様に、第2の所定の値は、この定格相当の出力のために必要となるアノードリサイクル制御の値のことを言う。
【0041】
この場合、さらに、第1アノードブリード弁124から排出されるアノードオフガスを第3の所定の値以上であるようにしてもよい。第3の所定の値は、例えば、定格出力の95%の出力を可能とするアノードガスがアノード12へと供給されるように制御される値であり、例えば、第1アノードブリード弁124を開放している状態に制御している状態を言う。第3の所定の値についても上記と同様であり、定格相当の出力をするために必要となるアノードオフガスの排出量の値のことを言う。
【0042】
このように制御することにより、燃料電池スタック10が消費するプロセス流量は、カソード14については定格出力相当が流れており、アノード12についても、定格出力に近い流量が流れていることから、瞬時の負荷変化に対応できるようになる。なお、補機が定格出力相当で動作していること、及び、アノードブリード量が増加していることから、低出力時の発電効率が数%低下するものの、自立運転時は、停電等の非常時であることに鑑みると、電力の価値が非常に高く、発電対燃料の効率よりも、発電の信頼性及び確実性が重視されるため、大きな問題とはならない。
【0043】
以上のように、本実施形態によれば、自立運転モードにおいて、自立負荷に応じて発電すべき出力が瞬時に上昇又は下降を行う必要がある場合であっても、高価で応答速度の速い高圧のコンプレッサー等を利用することなく瞬時出力変化に対応することが可能となる。すなわち、大幅なコストアップ無しに、自立運転モードの瞬時出力変化に対応可能な燃料電池システム1を供給することが可能となる。この結果、系統連系時においては、発電対燃料の効率を重視し、停電等異常時における自立運転時においては、自立負荷に応答すべく、発電量の出力の変化速度を優先する制御を行い、燃料電池システム1に接続される負荷に基づいて燃料電池スタック10の発電出力を適切に変化させることが可能となる。
【0044】
上述の制御することにより、例えば、自立運転をする場合において、自立負荷42の急激な変化に燃料電池システム1が耐久できなくなり、燃料電池システム1に備えられている安全回路の機能により燃料電池システム1がシャットダウンせざるを得なくなる可能性を抑制することが可能となる。この結果、燃料電池システム1の運転の信頼性を向上させるとともに、燃料電池システム1自体の自立運転時における不慮の故障等を未然に防ぐ可能性を高めることもできる。
【0045】
なお、図4の表に示す全ての値を制御する必要は無く、少なくとも1つの値を図3から図4のように制御することによっても一定の効果が得られる。これは、以下の実施形態についても同様であるものとする。
【0046】
(第2実施形態)
前述した第1実施形態においては、アノードリサイクル量及びカソード流量を制御することにより、出力変化の速度を速くすることを可能としたが、本実施形態においては、さらにアノードガスの供給する圧力を高くすることにより、出力変化の速度を速くしようとするものである。以下、第1実施形態と異なる部分について詳しく説明する。
【0047】
図5は、本実施形態に係る燃料電池システム1の機能ブロック図である。この図5に示すように、燃料電池システム1は、さらに、第1供給路500に、高圧の第2燃料圧力調節弁128と、高圧の第2燃料圧力調節弁128からの燃料の供給を調整する第2燃料遮断弁130と、循環路504と第1排出路502との間に第1アノードブリード弁124と並行するように設置される大流量の第2アノードブリード弁132とを備える。
【0048】
高圧の第2燃料圧力調節弁128は、第1燃料圧力調節弁120と同様に、例えば、自力式調整弁である。一方、前述の例と同様に、第1燃料圧力調節弁120が出力するアノードガスの圧力を6kPaに制御する場合に、高圧の第2燃料圧力調節弁128は、例えば、出力するアノードガスの圧力を10kPaに制御する。このように高圧の第2燃料圧力調節弁128は、第1燃料圧力調節弁120よりも高い圧力で第1供給路500へとアノードガスを供給する。
【0049】
図6は、本実施形態に係る自立運転モードにおけるアノード12及びカソード14へと供給するガス量等を制御するためのパラメータを示す表である。本実施形態における燃料電池システム1は、自立運転モードでは、コントローラ30により次のように各ガスの流入及び排出量が制御される。カソード流量制御、アノードリサイクル制御及びアノードブリード制御は、前述の第1実施形態と同様に制御される。そして、アノード供給圧力は、前述の第1実施形態とは異なり、高圧力に制御される。
【0050】
アノードガスの供給圧力を系統連系モードに比べて高くするために、高圧の第2燃料圧力調節弁128及び第2燃料遮断弁130が用いられる。第1燃料圧力調節弁120及び第1燃料遮断弁122と並列に設置された高圧の第2燃料圧力調節弁128及び第2燃料遮断弁130をコントローラ30が制御することにより、アノードガスの供給圧力を通常時よりも高く維持する。具体的には、第1燃料圧力調節弁120よりも高い圧力が掛けられた高圧の第2燃料圧力調節弁128に直列に接続される第2燃料遮断弁130を開放するようにコントローラ30が制御することにより、系統連系モードと比べて高い圧力のアノードガスをアノード12へと供給することになり、結果的にアノードガスの供給量を増加させる。
【0051】
この場合、第1アノードブリード弁124を開放するだけではアノードガスの供給量に比べてアノードオフガスの排出量が低くなり、徐々にアノードガスの供給量が減少し、例えば、自立負荷42が低い状態から高い状態へとなった場合に、その出力の変動に追従できなくなる可能性がある。そこで、循環路504に設けられた大流量の第2アノードブリード弁132を併せて開放し、アノードオフガスをより多く排出することにより、水素ガスを豊富に含むアノードガスをアノード12へと供給できるようにする。
【0052】
以上のように、本実施形態によっても、自立運転モードにおいて、追加するのはいくつかの弁であり、高コストの機器を追加することなく、瞬時出力変化に対応することが可能となる。さらに、本実施形態のように、アノードガスの供給する圧力を高くし、アノードオフガスの排出量を増加させることにより、より多くのアノードガスをアノード12へと供給することが可能となり、より速い出力変化にも追従することが可能となる。
【0053】
(第3実施形態)
前述した各実施形態においては、自立運転時の各ガスの供給量等を、燃料電池スタック10の定格出力相当になるように制御したが、本実施形態においては、自立運転を行う場合に、常時定格出力相当に制御するのではなく、少し低めの発電量にしておき、自立負荷42の増減に併せて必要があれば発電量を増加させる燃料電池システム1について説明する。
【0054】
図7は、本実施形態に係る自立運転モードにおけるアノード12及びカソード14へと供給するガス量等を制御するためのパラメータを示す表である。本実施形態における燃料電池システム1は、自立運転モードでは、コントローラ30により次のように各ガスの流入及び排出量が制御される。カソード流量制御は、第1の所定の値以上、例えば、定格出力相当の80%に相当する値以上の流量に制御される。同じように、アノードリサイクル制御及びアノードブリード制御は、定格出力相当の80%に相当する値以上の流量に制御される。
【0055】
このようにすることにより、自立運転モードにおいては、例えば、定格出力の80%に相当する量の発電を行う。すなわち、前述した第1実施形態において、第1の所定の値及び第2の所定の値を定格(又は、定格から少し小さい値の)発電相当とするのではなく、例えば、定格出力の80%となるように設定する。そして自立負荷42が大きくなった場合、又は、大きくなることが想定される場合に、その出力変化に追従できるように、例えば、第1の所定の値及び第2の所定の値を定格出力相当になるように調整する。
【0056】
このようにすることにより、自立運転モードにおける出力値の変化速度に追従することを可能とするとともに、自立負荷が定格発電しなければいけないほど高くない場合、発電量の過多による水素ガスの使用量をも抑制することが可能となる。上記において、80%は、一例として挙げたものであり、この限りではない。例えば、所定の値を定格の50%としておき、自立負荷が大きくなる場合には、定格の80%相当程度、又は、定格相当に発電量が変わるようにコントローラ30が制御するようにしてもよい。
【0057】
以上のように、本実施形態によれば、自立運転モードにおいて、定格出力が必要とされるほど高い自立負荷42では無い場合に、水素ガスの利用効率を増加させるとともに、自立負荷42による出力が高くなる場合に、発電出力が定格相当となるように制御することにより、発電の出力変化にも高速に適応することが可能となる。
【0058】
(第4実施形態)
前述した各実施形態においては、アノードガスの供給量を、第1供給路500におけるアノードガスの圧力について、例えば、自立調整弁である第1燃料圧力調節弁120等で制御するものであったが、本実施形態においては、このアノードガスの供給量の制御をインジェクター等他の機器を用いようというものである。
【0059】
図8は、本実施形態に係る燃料電池システム1の機能を示すブロック図である。この図8に示すように、アノードガスの供給は、アノードガス供給量調節部134を介して行われる。このアノードガス供給量調節部134は、例えば、インジェクターと、圧力計とを備えている。
【0060】
インジェクターは、コントローラ30により制御されるガスを自動注入する装置であり、例えば、アノード12に対して、所定の間隔又は所定の量でアノードガスを注入する。この場合、併設する圧力計により、注入するアノードガスの圧力を計測する。この圧力計により計測されたアノードガスの圧力を参照することにより、コントローラ30は、アノードガスの供給量を制御する。
【0061】
例えば、この圧力計の示す圧力が6kPaとなるようにインジェクターにより注入するアノードガスの圧力を設定することにより、第1実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。この場合、他の弁については、第1実施形態と同様の制御を行う。なお、本実施形態においては、各弁等の制御値としては、図4図6及び図7に示す表に準じるものとする。
【0062】
以上のように、本実施形態によれば、インジェクター等他の装置を用いて、アノードガスの供給量を制御することにより、自立運転モードにおける出力変化に対応することが可能となる。このように、調整弁ではなく、供給量を制御するその他の安価な装置によっても、前述した実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0063】
なお、上述した全ての実施形態において、圧力又は供給量を調整するために必要最小限となる弁等のみを説明したものであるので、燃料電池システム1に必要となる調整弁等は、説明してはいないが当然備えられているものとする。また、一例として、図5の第1燃料遮断弁122及び第2燃料遮断弁130は、直列して接続されているが、これらの弁は並行に接続されていてもよい。すなわち、第1燃料圧力調節弁120と第1燃料遮断弁122の直列に接続された弁のセットと、高圧の第2燃料圧力調節弁128と第2燃料遮断弁130の直列に接続された弁のセットが並列に接続されていてもよい。このように、発明の本質的ではない部分は適宜変更や入れ替え等をすることができる。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、当然のことながら、本発明の要旨の範囲内で、これらの実施の形態を部分的に適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0065】
1:燃料電池システム、10:燃料電池スタック、12:アノード、120:第1燃料圧力調節弁、122:第1燃料遮断弁、124:第1アノードブリード弁、126:アノードリサイクルブロワ、14:カソード、140:カソードブロワ、20:電気システム、22:インバータ、30:コントローラ、40:電気系統、42:自立負荷
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8