(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理装置及び画面表示方法
(51)【国際特許分類】
G09G 5/00 20060101AFI20220119BHJP
G09G 5/377 20060101ALI20220119BHJP
G06F 3/0481 20220101ALI20220119BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
G09G5/00 510H
G09G5/36 520M
G09G5/00 520H
G06F3/0481
G01C21/26 C
(21)【出願番号】P 2017194443
(22)【出願日】2017-10-04
【審査請求日】2020-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501271479
【氏名又は名称】株式会社トヨタマップマスター
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】花井 三晴
【審査官】西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-345332(JP,A)
【文献】特開2005-056389(JP,A)
【文献】特開2002-259244(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0200909(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 5/00 - 5/42
G06F 3/0481
G01C 21/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
ユーザからの入力内容を受け付ける受付手段、
前記入力内
容、及び前記入力内容に対するレコメンドの内容を第1の画面
の背景の前面に表示する第1の画面制御手段、
前記入力内容に対するレコメンドの内容から推定された機能のうち、利用される可能性が最も高い機能の第2の画面又は確定された機能の第2の画面を生成して前記第1の画面の背面に配置する第2の画面制御手段、
前記入力内容に対するレコメンドの内容から推定された機能の第2の画面と前記入力内容に対するレコメンドの内容から確定された機能の前記第2の画面との見やすさが異なるように前記第2の画面の見やすさを判定する判定手段、
として機能させ、
前記判定手段は、前記推定又は確定された機能の数が多いほど、前記第1の画面の背景の透過率を低く判定し、前記推定又は確定された機能の数が少ないほど、前記第1の画面の背景の透過率を高く判定し、
前記第1の画面制御手段は、前記第2の画面の見やすさが前記判定手段による判定の結果の見やすさとなるように前記第1の画面の背景の透過率を可変すること
を特徴とするプログラム。
【請求項2】
ユーザからの入力内容を受け付ける受付手段と、
前記入力内
容、及び前記入力内容に対するレコメンドの内容を第1の画面
の背景の前面に表示する第1の画面制御手段と、
前記入力内容に対するレコメンドの内容から推定された機能のうち、利用される可能性が最も高い機能の第2の画面又は確定された機能の第2の画面を生成して前記第1の画面の背面に配置する第2の画面制御手段と、
前記入力内容に対するレコメンドの内容から推定された機能の第2の画面と前記入力内容に対するレコメンドの内容から確定された機能の前記第2の画面との見やすさが異なるように前記第2の画面の見やすさを判定する判定手段と、
を有し、
前記判定手段は、前記推定又は確定された機能の数が多いほど、前記第1の画面の背景の透過率を低く判定し、前記推定又は確定された機能の数が少ないほど、前記第1の画面の背景の透過率を高く判定し、
前記第1の画面制御手段は、前記第2の画面の見やすさが前記判定手段による判定の結果の見やすさとなるように前記第1の画面の背景の透過率を可変すること
を特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
ユーザからの入力内容を受け付ける受付手順と、
前記入力内
容、及び前記入力内容に対するレコメンドの内容を第1の画面
の背景の前面に表示する第1の画面制御手順と、
前記入力内容に対するレコメンドの内容から推定された機能のうち、利用される可能性が最も高い機能の第2の画面又は確定された機能の第2の画面を生成して前記第1の画面の背面に配置する第2の画面制御手順と、
前記入力内容に対するレコメンドの内容から推定された機能の第2の画面と前記入力内容に対するレコメンドの内容から確定された機能の前記第2の画面との見やすさが異なるように前記第2の画面の見やすさを判定する判定手順と、
をコンピュータが実行し
てなる画面表示方法であって、
前記判定手順は、前記推定又は確定された機能の数が多いほど、前記第1の画面の背景の透過率を低く判定し、前記推定又は確定された機能の数が少ないほど、前記第1の画面の背景の透過率を高く判定し、
前記第1の画面制御手順は、前記第2の画面の見やすさが前記判定手順による判定の結果の見やすさとなるように前記第1の画面の背景の透過率を可変すること
を特徴とする画面表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報処理装置及び画面表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、擬人化されたエージェントを相手にしたコミュニケーション機能を有する車両用エージェント装置がある。従来の車両用エージェント装置にはユーザに最適な情報をレコメンドする車両用エージェント装置があった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、いわゆるエージェントとは、ユーザの性格や行動や趣味趣向等の多様な情報を学習し、ユーザに最適な情報(ユーザの希望している情報)を推定してレコメンドしてくれることが期待されるものである。また、従来のエージェントはユーザの希望している情報を確定してレコメンド動作を行うまでに、ユーザからの入力を何度か受け付けなければならない場合がある。しかしながら、従来のエージェントはユーザの希望している情報を確定する前の途中段階における推定結果に基づいてレコメンド動作を行うと、画面等の切替が頻繁に発生し、ユーザに混乱を与えてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は上記した課題に鑑みなされたものであり、ユーザにとって分かり易いレコメンド動作を行うことができるプログラム、情報処理装置及び画面表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施の形態は、コンピュータを、ユーザからの入力内容を受け付ける受付手段、
前記入力内容、及び前記入力内容に対するレコメンドの内容を第1の画面の背景の前面に表示する第1の画面制御手段、前記入力内容に対するレコメンドの内容から推定された機能のうち、利用される可能性が最も高い機能の第2の画面又は確定された機能の第2の画面を生成して前記第1の画面の背面に配置する第2の画面制御手段、前記入力内容に対するレコメンドの内容から推定された機能の第2の画面と前記入力内容に対するレコメンドの内容から確定された機能の前記第2の画面との見やすさが異なるように前記第2の画面の見やすさを判定する判定手段、として機能させ、前記判定手段は、前記推定又は確定された機能の数が多いほど、前記第1の画面の背景の透過率を低く判定し、前記推定又は確定された機能の数が少ないほど、前記第1の画面の背景の透過率を高く判定し、前記第1の画面制御手段は、前記第2の画面の見やすさが前記判定手段による判定の結果の見やすさとなるように前記第1の画面の背景の透過率を可変することを特徴とするプログラムである。
【0007】
このため、入力内容に対するレコメンドの内容から推定された機能の第2の画面及び入力内容に対するレコメンドの内容から確定された機能の第2の画面の見やすさが異なるように第2の画面を表示できる。したがって、ユーザにとって分かり易いレコメンド動作を行うことができるプログラムを提供できる。
【0008】
本発明の他の実施の形態において、前記判定手段は、前記第1の画面の背景の透過率を、前記推定又は確定された機能の数に応じて判定するようにしてもよい。
【0009】
このため、推定又は確定された機能の数に応じて第1の画面の背景の透過率を判定できる。したがって、ユーザにとって分かり易いレコメンド動作を行うことができるプログラムを提供できる。
【0010】
本発明の他の実施の形態において、前記判定手段は、前記推定又は確定された機能の数が多いほど、前記第1の画面の背景の透過率を低く判定し、前記推定又は確定された機能の数が少ないほど、前記第1の画面の背景の透過率を高く判定できる。
【0011】
このため、推定又は確定された機能の数が多いほど、第2の画面が第1の画面の背景を透過しにくく、推定又は確定された機能の数が少ないほど、第2の画面が第1の画面の背景を透過しやすくなる。したがって、ユーザにとって分かり易いレコメンド動作を行うことができるプログラムを提供できる。
【0012】
本発明の他の実施の形態において、前記第1の画面制御手段は、前記第1の画面に、ユーザからの前記入力内容を表示すると共に、前記入力内容に対するレコメンドの内容を表示できる。
【0013】
このため、第1の画面で入力内容と、その入力内容に対するレコメンドの内容とを確認しながら、第1の画面の背景を透過する第2の画面を確認できる。したがって、ユーザにとって分かり易いレコメンド動作を行うことができるプログラムを提供できる。
【0014】
本発明の実施の形態の情報処理装置は、ユーザからの入力内容を受け付ける受付手段と、前記入力内容、及び前記入力内容に対するレコメンドの内容を第1の画面の背景の前面に表示する第1の画面制御手段と、前記入力内容に対するレコメンドの内容から推定された機能のうち、利用される可能性が最も高い機能の第2の画面又は確定された機能の第2の画面を生成して前記第1の画面の背面に配置する第2の画面制御手段と、前記入力内容に対するレコメンドの内容から推定された機能の第2の画面と前記入力内容に対するレコメンドの内容から確定された機能の前記第2の画面との見やすさが異なるように前記第2の画面の見やすさを判定する判定手段と、を有し、前記判定手段は、前記推定又は確定された機能の数が多いほど、前記第1の画面の背景の透過率を低く判定し、前記推定又は確定された機能の数が少ないほど、前記第1の画面の背景の透過率を高く判定し、前記第1の画面制御手段は、前記第2の画面の見やすさが前記判定手段による判定の結果の見やすさとなるように前記第1の画面の背景の透過率を可変することを特徴とする。
【0015】
このため、入力内容に対するレコメンドの内容から推定された機能の第2の画面及び入力内容に対するレコメンドの内容から確定された機能の第2の画面の見やすさが異なるように第2の画面を表示できる。したがって、ユーザにとって分かり易いレコメンド動作を行うことができる情報処理装置を提供できる。
【0016】
本発明の実施の形態の画面表示方法は、ユーザからの入力内容を受け付ける受付手順と、前記入力内容、及び前記入力内容に対するレコメンドの内容を第1の画面の背景の前面に表示する第1の画面制御手順と、前記入力内容に対するレコメンドの内容から推定された機能のうち、利用される可能性が最も高い機能の第2の画面又は確定された機能の第2の画面を生成して前記第1の画面の背面に配置する第2の画面制御手順と、前記入力内容に対するレコメンドの内容から推定された機能の第2の画面と前記入力内容に対するレコメンドの内容から確定された機能の前記第2の画面との見やすさが異なるように前記第2の画面の見やすさを判定する判定手順と、をコンピュータが実行してなる画面表示方法であって、前記判定手順は、前記推定又は確定された機能の数が多いほど、前記第1の画面の背景の透過率を低く判定し、前記推定又は確定された機能の数が少ないほど、前記第1の画面の背景の透過率を高く判定し、前記第1の画面制御手順は、前記第2の画面の見やすさが前記判定手順による判定の結果の見やすさとなるように前記第1の画面の背景の透過率を可変することを特徴とする。
【0017】
このため、入力内容に対するレコメンドの内容から推定された機能の第2の画面及び入力内容に対するレコメンドの内容から確定された機能の第2の画面の見やすさが異なるように第2の画面を表示できる。したがって、ユーザにとって分かり易いレコメンド動作を行うことができる画面表示方法を提供できる。
【発明の効果】
【0018】
ユーザにとって分かり易いレコメンド動作を行うことができるプログラム、情報処理装置及び画面表示方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態に係る情報処理システムの一例の構成図である。
【
図2】コンピュータの一例のハードウェア構成図である。
【
図3】GPS受信機を有するコンピュータの一例のハードウェア構成図である。
【
図4】本発明の本実施形態に係る情報処理システムの一部の機能を示した一例の機能構成図である。
【
図5】本発明の本実施形態に係るユーザ端末の一例の機能構成図である。
【
図7】画面表示方法の一例のフローチャートである。
【
図8】エージェントのフロント画面と推定機能の画面との関係を表した一例のイメージ図である。
【
図9】ユーザ端末に表示される画面の一例の遷移図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明のプログラム、情報処理装置及び画面表示方法を適用した実施の形態について説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態に係る情報処理システムの一例の構成図である。情報処理システム1は、センタ10、車両20、ユーザ端末30、コンテンツプロバイダ40及びサービスプロバイダ50を含む。
図1の車両20は、DCM(Data Communication Module)21、車載器22、マイク23及びスピーカ24を搭載している。なお、
図1では車両20、ユーザ端末30、コンテンツプロバイダ40及びサービスプロバイダ50が一台の例を示したが、一台以上であればよい。
【0022】
DCM21及び車載器22は一例としてCAN(Controller Area Network)25により互いに通信可能に接続される。マイク23及びスピーカ24は車載器22に直接接続されており、音声データを入出力する。センタ10、車両20に搭載されたDCM21、ユーザ端末30、コンテンツプロバイダ40及びサービスプロバイダ50は移動体通信網やインターネット網などのネットワーク60を介して接続されている。
【0023】
センタ10は一台以上のコンピュータ(情報処理装置)により構成される。センタ10は車両20又はユーザ端末30からユーザの発話音声データ又は入力文字データなどを収集し、ユーザの発話又は文字入力の意図を理解してエージェントによる対話サービス又は表示サービスなどを提供する。
【0024】
車両20に搭載された車載器22は、ナビゲーションECU(ナビゲーション電子制御装置)であってもよい。車載器22は、CAN25、DCM21及びネットワーク60を介してセンタ10と通信を行う。DCM21は車両20に搭載される通信部又は無線通信装置の一例であり、例えば3G(3rd Generation)、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、又は5G(5th Generation)等の通信回線を介して無線通信を行う。ユーザ端末30は、CAN25及びDCM21を介さず、ネットワーク60を介してセンタ10と通信を行う。
【0025】
ユーザ端末30及び車載器22はユーザが操作する端末装置である。ユーザ端末30はスマートフォンや携帯電話、タブレットPC、ノートPC、PDA(Personal Digital Assistant)等の情報処理装置である。ユーザ端末30及び車載器22はエージェントアプリが搭載されている。コンテンツプロバイダ40及びサービスプロバイダ50は一台以上のコンピュータにより構成される。コンテンツプロバイダ40はリクエストに応じて気象データ、道路データ、看板情報、施設情報、観光スポット、営業情報、イベント情報などの各種情報をリザルトとして提供する。また、サービスプロバイダ50はリクエストに応じたリザルトを車両20又はユーザ端末30に提供する。
【0026】
なお、車両20のCAN25は一例であって、CAN25の代わりに、Ethernet(登録商標)プロトコルを採用したバス等のCAN25以外のバスを用いてもよい。また、車両20には、これら以外にも様々な装置や機器が搭載されるが、本発明の実施の形態の説明に必要な構成要素を抜き出して示している。
【0027】
図1のセンタ10、コンテンツプロバイダ40及びサービスプロバイダ50を構成するコンピュータは、例えば
図2に示すようなハードウェア構成により実現される。
図2はコンピュータの一例のハードウェア構成図である。
【0028】
図2に示したコンピュータ500は、ドライブ装置501、補助記憶装置502、メモリ装置503、CPU504及びインタフェース装置505などを備え、それぞれがバス507で相互に接続されている。インタフェース装置505は、コンピュータ500をネットワーク60に接続するインタフェースである。補助記憶装置502は、プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置の一例である。
【0029】
ドライブ装置501は、記録媒体506とのインタフェースである。コンピュータ500はドライブ装置501を介してSDメモリカードなどの記録媒体506からプログラムやデータの読み取りを行うことができる。メモリ装置503はプログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリ(記憶装置)の一例である。
【0030】
CPU504は、メモリ装置503が保持するプログラムやデータに従って処理を実行する。
図1のセンタ10、コンテンツプロバイダ40及びサービスプロバイダ50は例えば
図2に示すコンピュータ500のハードウェア構成により、後述するような各種処理を実現できる。
【0031】
図1の車載器22及びユーザ端末30を構成するコンピュータ600は、例えば
図3に示すようなGPS(Global Positioning System)受信機を有するハードウェア構成により実現される。
図3は、GPS受信機を有するコンピュータの一例のハードウェア構成図である。
【0032】
図3に示したコンピュータ600は、ドライブ装置601、補助記憶装置602、メモリ装置603、CPU604、通信装置605、表示装置606、入力装置607及びGPS受信機608などを備え、それぞれがバス610で相互に接続されている。ドライブ装置601、補助記憶装置602、メモリ装置603及びCPU604は
図2のドライブ装置501、補助記憶装置502、メモリ装置503及びCPU504と同様である。
【0033】
ユーザ端末30の場合、通信装置605は無線通信によってネットワーク60に接続するための装置である。車載器22の場合、ネットワーク60に接続するための装置は通信装置605でなくDCM21となる。表示装置606は液晶ディスプレイ等であり、後述するエージェントの画面や各種機能の画面を表示する。入力装置607はタッチパネルや操作ボタン等であり、ユーザから様々な入力内容を受け付けるために用いられる。GPS受信機608は、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信し、そのGPS信号に基づき車両20又はユーザ端末30の現在位置を測定する。
図1の車載器22及びユーザ端末30は例えば
図3に示すコンピュータ600のハードウェア構成により、後述するような各種処理を実現できる。
【0034】
本実施形態に係る情報処理システム1では車載器22又はユーザ端末30に搭載されたエージェントアプリの機能が
図4に示すようなセンタ10、コンテンツプロバイダ40及びサービスプロバイダ50の機能を利用して後述するようなサービスを、車載器22又はユーザ端末30を操作するユーザに提供する。
【0035】
図4は、本発明の本実施形態に係る情報処理システムの一部の機能を示した一例の機能構成図である。車載器22及びユーザ端末30はGPS受信機608により位置情報を取得している。ユーザは車載器22又はユーザ端末30に搭載されたエージェントアプリに要求があるとき、その内容を入力するために発話や文字入力などを行う。なお、以下では発話による入力を例として説明するが、文字入力などであってもよい。
【0036】
車載器22又はユーザ端末30はユーザの発話を音声データに変換し、音声データと位置情報とをリクエストとしてセンタ10に送信する。センタ10の音声認識部11は例えばエージェントDBに含まれる音声認識辞書を用いてユーザの音声データをテキストに変換する。なお、音声認識辞書を用いた音声認識処理は既存の技術であるため、説明を省略する。
【0037】
意図理解部12は音声データから変換されたテキストを形態素解析し、文脈(何に対する問い合わせであるか等)を理解する。意図理解部12は理解した文脈やエージェントDBに含まれる意図理解辞書により、問い合わせ内容や問いかけ内容等、ユーザの発話の意図を理解する。また、意図理解部12は理解したユーザの発話の意図(ユーザ要求)に基づき、ユーザの発話に対する回答を判断する。また、機能推定部13は意図理解部12が理解したユーザの発話の意図から、次のユーザ要求に対応する機能を推定する。機能推定部13による次のユーザ要求に対応する推定機能(候補機能)の推定は、過去実績などに基づいて行うことができる。
【0038】
配信用1次DB生成部14は意図理解部12が判断したユーザの発話に対する回答及び機能推定部13が推定した推定機能の画面の生成に必要なデータである配信用1次DBをプローブDBやID管理DBなどのデータベースから生成する。プローブDBは、例えばVICS(登録商標)による最新の交通情報と過去の統計データ、ユーザの走行情報から生成されたプローブ交通情報を保存している。また、配信用1次DB生成部14はサービスプロバイダ50で行う処理にコンテンツプロバイダ40が保存しているデータベースが必要であれば、必要に応じて位置情報を指定してコンテンツプロバイダ40に要求し、そのデータベースをサービスプロバイダ50に送信させる。
【0039】
配信用1次DB生成部14は意図理解部12が判断したユーザの発話に対する回答及び機能推定部13が推定した推定機能の情報、生成した配信用1次DBを結果としてサービスプロバイダ50に送信する。サービスプロバイダ50の配信用2次DB生成部51は配信用1次DBとコンテンツプロバイダ40から受信したデータベースから配信用2次DBを生成する。
【0040】
音声合成部52は意図理解部12が判断したユーザの発話に対する回答を音声合成した音声データ、意図理解部12が判断したユーザの発話に対する回答及び機能推定部13が推定した推定機能の情報、生成した配信用2次DBを結果として車載器22又はユーザ端末30に送信する。機能推定部13が推定した推定機能の情報には、推定機能数、最も可能性の高い推定機能の情報、が含まれる。なお、ユーザの発話や文字入力等に対する回答は音声合成に限定されるものでなく、文字や画像などの表示であってもよい。
【0041】
車載器22又はユーザ端末30はサービスプロバイダ50からリクエストに対する結果を受信すると、
図5に示すような機能を利用して、後述するエージェントのフロント画面の背面に、最も可能性の高い推定機能の画面を配置して、フロント画面の透過率を可変することで、フロント画面に最も可能性の高い推定機能の画面を透過させる。
【0042】
また、車載器22又はユーザ端末30は例えば推定機能の数に応じてフロント画面の透過率を変更することで、推定機能の数が多いほど透過率を低くし、推定機能の数が少なくなるほど(機能の確定が近づくほど)透過率を高くすることで、エージェントが次に起こすアクションやエージェントによる意図理解の状況をユーザに認識させる。
【0043】
なお、
図1及び
図4の構成図は一例であって、
図1及び
図4に示す構成に限定するものではない。例えば、コンテンツプロバイダ40の機能の一部又は全部はサービスプロバイダ50に含まれる構成であってもよいし、それらの機能の一部又は全部はセンタ10に含まれる構成であってもよい。
【0044】
車載器22及びユーザ端末30の機能構成として、ここではユーザ端末30の機能構成を一例として説明する。
図5は本発明の本実施形態に係るユーザ端末の一例の機能構成図である。
図5のユーザ端末30は、入力内容受付部101、リクエスト送信部102、リザルト受信部103、透過率判定部104、エージェント画面制御部105、背景画面制御部106、透過率テーブル記憶部107を有する構成である。
【0045】
入力内容受付部101はユーザから発話による入力内容を受け付ける。リクエスト送信部102はユーザの発話を変換した音声データ及び位置情報をリクエストとしてセンタ10に送信する。リザルト受信部103はサービスプロバイダ50からリクエストに対するリザルトとして、意図理解部12が判断したユーザの発話に対する回答を音声合成した音声データ、意図理解部12が判断したユーザの発話に対する回答及び機能推定部13が推定した推定機能の情報を受信する。
【0046】
透過率判定部104はリザルトに含まれる機能推定部13が推定した推定機能の情報から推定機能数を読み出し、推定機能数に応じた透過率を判定する。透過率の判定には後述の透過率テーブルを利用する。エージェント画面制御部105はエージェントのフロント画面の表示内容の表示と、そのフロント画面の背景の透過率とを制御する。フロント画面の表示内容には、ユーザの音声データから変換したテキスト(入力内容)と、その入力内容に対する回答と、が含まれる。
【0047】
背景画面制御部106はリザルトに含まれる機能推定部13が推定した推定機能の情報に基づき、最も可能性の高い推定機能を選択し、選択した推定機能の画面をサービスプロバイダ50が生成した配信用2次DBに基づいて生成する。そして、背景画面制御部106は生成した推定機能の画面をエージェントのフロント画面の背面に配置する。
【0048】
透過率テーブル記憶部107は
図6に示すような透過率テーブルを記憶している。
図6は透過率テーブルの一例の構成図である。
図6の透過率テーブルは推定機能数と対応付けて透過率及び背景機能の有無を記憶している。背景機能は推定機能の画面をエージェントのフロント画面の背面に配置するか否かを表す情報である。背景機能「無」は推定機能の画面をエージェントのフロント画面の背面に配置しないことを表している。また、背景機能「有」は推定機能の画面をエージェントのフロント画面の背面に配置することを表している。
【0049】
透過率はフロント画面の背景の透過率を表している。
図6の透過率テーブルは推定機能数「0」と「5以上」の場合に、背景機能「無」であるため、透過率が設定されていない例を表している。推定機能数「1」の場合は機能が確定されているため、透過率上限値の80%が設定されている。また、推定機能「2」から「4」の場合は機能が確定されていないため、透過率を60%から20%に設定している。なお、
図6の透過率テーブルは一例であって、透過率が設定されていないことを示す「-」に変えて、透過率「0%」を設定しておいても良い。
【0050】
ユーザ端末30はサービスプロバイダ50からリザルトを受信すると例えば
図7に示す手順で画面を制御する。
図7は画面表示方法の一例のフローチャートである。ステップS11に進み、透過率判定部104は例えば
図6の透過率テーブルを参照する。ステップS12に進み、透過率判定部104は推定機能数に対応する透過率が設定されているか否かを判定する。
【0051】
例えば
図6の透過率テーブルでは推定機能数が「0」又は「5以上」の場合に推定機能数に対応する透過率が設定されていないと判定される。また、
図6の透過率テーブルでは推定機能数が「1」から「4」の場合に推定機能数に対応する透過率が設定されていると判定する。
【0052】
推定機能数に対応する透過率が設定されていなければ、透過率判定部104は透過率を0%と判定し、ステップS13に進み、エージェントのフロント画面を透過率0%で表示する。なお、透過テーブルの背景機能が「無」であるため、フロント画面の背面への推定機能の画面の配置は行わない。
【0053】
一方、推定機能数に対応する透過率が設定されていれば、透過率判定部104は透過率テーブルに設定されていた透過率を、エージェントのフロント画面の透過率として判定してステップS14に進む。ステップS14において、背景画面制御部106は透過テーブルの背景機能が「有」であるため、判定率が一番高い推定機能をフロント画面の背面に配置する。そして、ステップS15に進み、エージェント画面制御部105は判定した透過率のエージェントのフロント画面を表示する。
【0054】
図8はエージェントのフロント画面と推定機能の画面との関係を表した一例のイメージ図である。
図8に示すようにエージェントのフロント画面1000はユーザの目線方向から見て推定機能の画面1001の前面に配置されている。つまり、エージェントのフロント画面1000の透過率を制御することで、フロント画面1000の背面にある推定機能の画面1001の見やすさを調整できる。
【0055】
推定機能数が多ければ機能を絞り切れていないため、エージェントのフロント画面1000の透過率を低くして、推定機能の画面1001を見づらくすることで、ユーザに機能が絞り切れていない状況を認識させることができる。また、推定機能数が少なければ機能を絞り切れているため、エージェントのフロント画面1000の透過率を高くして、推定機能の画面1001を見やすくすることで、ユーザに機能が絞り切れている状況を認識させることができる。
【0056】
図9はユーザ端末に表示される画面の一例の遷移図である。
図9(A)では、ユーザがエージェントに対して呼びかける発話を行い、センタ10で機能推定ができなかった場合にユーザ端末30に表示される画面例を示している。
図9(A)は推定機能数が「0」であるため、推定機能の画面が配置されず、エージェントのフロント画面の透過率も0%である。
【0057】
図9(B)では、ユーザがエージェントに対して「おすすめ場所に関する質問」の発話を行い、センタ10で推定した機能が3つであった場合にユーザ端末30に表示される画面例を示している。
図9(B)は推定機能数が「3」であるため、次に利用される可能性が最も高い「ナビ機能」の画面が、透過率「40%」のエージェントのフロント画面の背面に配置されている。
【0058】
図9(C)では、ユーザがエージェントに対して「明日の予定に追加をリクエスト」の発話を行い、センタ10で推定した機能が2つであった場合にユーザ端末30に表示される画面例を示している。
図9(C)は推定機能数が「2」であるため、次に利用される可能性が最も高い「ナビ機能」の画面が、透過率「60%」のエージェントのフロント画面の背面に配置されている。
【0059】
また、
図9(D)では、ユーザがエージェントに対して「出発時間とナビセットをリクエスト」の発話を行い、センタ10で推定した機能が1つであった場合にユーザ端末30に表示される画面例を示している。
図9(D)は推定機能数が「1」であるため、推定された「ナビ機能」の画面が、透過率「80%」のエージェントのフロント画面の背面に配置されている。
【0060】
以上、本実施形態ではエージェントのフロント画面の透過率により推定機能の画面の表示形態を異ならせて、推定機能の絞り込みの状況を表したが、この例に限定されるものではなく、アイコンの形状やアニメーション、モーフィング(変化)や色、大きさの変化により表してもよい。
【0061】
また、本実施形態では、エージェントと各種機能とが連携する場合に、エージェントの画面をフロント画面とし、推定機能の画面をフロント画面から透過させることで、頻繁な画面切替を無くし、ユーザに混乱を与えることを防ぎ、ユーザにとって分かり易いレコメンド動作が可能となる。
【0062】
本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。本発明の実施形態に係る情報処理システム1のセンタ10で行う音声認識、意図理解などの処理は、センタ10以外で行うようにしてもよく、例えば車載器22やユーザ端末30で行ってもよい。
【0063】
なお、入力内容受付部101は特許請求の範囲に記載した受付手段の一例である。フロント画面1000は第1の画面の一例である。エージェント画面制御部105は第1の画面制御手段の一例である。推定機能の画面1001は第2の画面の一例である。透過率判定部104は判定手段の一例である。背景画面制御部106は第2の画面制御手段の一例である。
【符号の説明】
【0064】
1 情報処理システム
10 センタ
11 音声認識部
12 意図理解部
13 機能推定部
14 配信用1次DB生成部
20 車両
21 DCM(Data Communication Module)
22 車載器
23 マイク
24 スピーカ
25 CAN(Controller Area Network)
30 ユーザ端末
40 コンテンツプロバイダ
50 サービスプロバイダ
51 配信用2次DB生成部
52 音声合成部
60 ネットワーク
101 入力内容受付部
102 リクエスト送信部
103 リザルト受信部
104 透過率判定部
105 エージェント画面制御部
106 背景画面制御部
107 透過率テーブル記憶部