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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】パネル体把持具及びパネル体構造物
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20220119BHJP
【FI】
E04B2/74 501B
E04B2/74 561H
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017207978
(22)【出願日】2017-10-27
(65)【公開番号】P2019078136
(43)【公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】山本 崇之
(72)【発明者】
【氏名】塩寺 亮義
(72)【発明者】
【氏名】崎本 隆之
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-109527(JP,U)
【文献】実開昭51-092939(JP,U)
【文献】特開2016-211183(JP,A)
【文献】特開2002-061748(JP,A)
【文献】特開平11-200589(JP,A)
【文献】特開2005-242149(JP,A)
【文献】実公昭45-004174(JP,Y1)
【文献】米国特許第03848388(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/61
E04B 1/68
E04B 2/74
E04F 13/00-13/30
E04F 19/02
E04F 19/06
E04D 3/366
F16B 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル体を把持する把持部本体と、前記把持部本体に着脱自在な着脱部とを備え、
前記把持部本体は、
前記パネル体が挿入可能な隙間を空けて対向配置される一対の把持片と、
前記把持片同士を連結する連結部と、
を備え、
前記着脱部は、
前記把持部本体に前記着脱部が装着された状態で少なくとも一方の前記把持片を他方の前記把持片に向けて押圧する押圧部と、
前記押圧部を支持すると共に前記把持部本体に前記着脱部が装着された状態で前記把持片を覆うベース部と
を備え、
前記把持部本体及び前記着脱部は、一方が直線状に設けられたアリ溝を有し、他方が前記アリ溝に挿入可能なアリ型を有する
ことを特徴とするパネル体把持具。
【請求項2】
パネル体を把持する把持部本体と、前記把持部本体に着脱自在な着脱部とを備え、
前記把持部本体は、
前記パネル体が挿入可能な隙間を空けて対向配置される一対の把持片と、
前記把持片同士を連結する連結部と、
を備え、
前記着脱部は、
前記把持部本体に前記着脱部が装着された状態で少なくとも一方の前記把持片を他方の前記把持片に向けて押圧する押圧部を備え、
前記把持部本体及び前記着脱部は、一方が直線状に設けられたアリ溝を有し、他方が前記アリ溝に挿入可能なアリ型を有し、
前記押圧部は、前記アリ型の前記アリ溝への挿入方向上流側から下流側に向かうに連れて前記把持片に向けての突出量が増加する坂状突部からなる
ことを特徴とするパネル体把持具。
【請求項3】
パネル体を把持する把持部本体と、前記把持部本体に着脱自在な着脱部とを備え、
前記把持部本体は、
前記パネル体が挿入可能な隙間を空けて対向配置される一対の把持片と、
前記把持片同士を連結する連結部と、
を備え、
前記着脱部は、
前記把持部本体に前記着脱部が装着された状態で少なくとも一方の前記把持片を他方の前記把持片に向けて押圧する押圧部を備え、
前記把持部本体に装着された前記着脱部の前記把持部本体と反対側の外表面と、前記把持部本体の前記着脱部と反対側の外表面とが同一形状である
ことを特徴とするパネル体把持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル体把持具及びパネル体構造物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばオフィスや公共施設等の執務空間においては、執務空間内を複数の空間に区画して効率的に使用するために、仕切パネルを立設する場合がある。また、執務者に執務作業面を提供するための天板付き什器においても、天板上の執務作業空間と外部空間とを外部からの視線を遮るように区画するために、仕切パネルを設置する場合がある。このような仕切パネルを複数設置する場合には、例えば仕切パネルの配置レイアウトを維持するために、特許文献1~5等に開示されているような連結部材が多く用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5399680号公報
【文献】特許第3627183号公報
【文献】実公昭53-22974号公報
【文献】実用新案登録第3108592号公報
【文献】特開平7-150659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような連結部材は、弾性変形する一対の把持片を有しており、これらの把持片によって仕切パネルを挟持することで仕切パネルに固定されている。このため、仕切パネルに連結部材を固定する場合には、一対の把持片の間に仕切パネルを押し込む必要がある。この場合には、自らの復元力によって仕切パネルの表面に強く押し当てられた把持片が仕切パネルの表面を摺動することを避けられない。したがって、従来の連結部材は、仕切パネルへの着脱時に仕切パネルの表面を傷つける可能性がある。
【0005】
なお、上述のような問題は、仕切パネル同士を連結部材で連結する場合にのみに生じるものではない。パネル体の縁部に対して上述のような一対の把持片を有するパネル体把持具を着脱する場合には、把持片が摺動することにより同様にパネル体の表面を傷つける可能性がある。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、パネル体に一対の把持片を有するパネル体把持具を着脱する場合に、パネル体の表面が傷つくことを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0008】
第1の発明は、パネル体把持具であって、パネル体を把持する把持部本体と、上記把持部本体に着脱自在な着脱部とを備え、上記把持部本体が、上記パネル体が挿入可能な隙間を空けて対向配置される一対の把持片と、上記把持片同士を連結する連結部と、を備え、上記着脱部が、上記把持部本体に上記着脱部が装着された状態で少なくとも一方の上記把持片を他方の上記把持片に向けて押圧する押圧部を備えるという構成を採用する。
【0009】
本発明によれば、着脱部を把持部本体に装着し、着脱部の押圧部によって把持部本体の把持片を押圧することで、一対の把持片にパネル体が挟持される。このため、着脱部を把持部本体から脱離させることによって、把持片が元の形状に復元し、一対の把持片からパネル体が解放される。したがって、本発明によれば、着脱部が脱離された状態で把持部本体をパネル体に取付け、その後に着脱部を把持部本体に装着することで、把持片をパネル体の表面に摺動させることなく取り付けることが可能となる。また、本発明によれば、着脱部を把持部本体から脱離させてから、把持部本体をパネル体から取り外すことで、把持片をパネル体の表面に摺動させることなく取り外すことが可能となる。
【0010】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記把持部本体が、一対の上記把持片を複数備えるという構成を採用する。
【0011】
本発明によれば、1つの一対の把持片によって1つのパネル体を挟持することができる。このため、一対の把持片を複数備えることによって、複数のパネル体を挟持することができ、パネル体同士を連結することが可能となる。
【0012】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、上記把持部本体及び上記着脱部が、一方が直線状に設けられたアリ溝を有し、他方が上記アリ溝に挿入可能なアリ型を有するという構成を採用する。
【0013】
本発明によれば、把持部本体及び着脱部の一方に設けられたアリ溝に対して、把持部本体部及び着脱部の他方に設けられたアリ型を挿入することで着脱部を把持部本体に着脱することができる。したがって、本発明によれば、アリ溝及びアリ型の延伸方向に沿って着脱部を把持部本体にスライドさせる動作を行うのみで、容易に着脱部を把持部本体に対して着脱することが可能となる。
【0014】
第4の発明は、上記第3の発明において、上記押圧部が、上記アリ溝に対する上記アリ型の挿入量に応じて上記把持片の押圧量を増加する形状を有するという構成を採用する。
【0015】
本発明によれば、着脱部の把持部本体に対する着脱動作と同時に把持片の押圧量を変化させることができる。したがって、着脱部の着脱動作と把持片の押圧あるいは復元動作を、着脱部を把持部本体に対してスライドさせるという1つの作業で同時行うことができる。よって、本発明によれば、把持部本体に対する着脱部の取付操作を簡素化することが可能となる。
【0016】
第5の発明は、上記第3または第4の発明において、上記押圧部が、上記アリ型の上記アリ溝への挿入方向上流側から下流側に向かうに連れて上記把持片に向けての突出量が増加する坂状突部からなるという構成を採用する。
【0017】
本発明によれば、アリ型のアリ溝への挿入量が増加するほど、坂状突部の把持片の押圧量が大きくなる。このため、簡易な形状で、アリ溝に対するアリ型の挿入量に応じて把持片の押圧量を増加させることが可能となる。
【0018】
第6の発明は、上記第1~第6いずれかの発明において、一対の上記把持片の少なくとも一方は、他方の上記把持片に向けて突設された爪部を有するという構成を採用する。
【0019】
本発明によれば、把持片が、対をなす他方の把持片に向けて突設する爪部を有するため、把持片によってパネル体を挟持する場合に、爪部の先端をパネル体に当接させ、パネル体を強く挟持することが可能となる。このため、取付後に意図せず本発明のパネル体把持部がパネル体から外れることを抑止することができる。
【0020】
第7の発明は、上記第1~第6いずれかの発明において、上記把持部本体に装着された上記着脱部の上記把持部本体と反対側の外表面と、上記把持部本体の上記着脱部と反対側の外表面とが同一形状であるという構成を採用する。
【0021】
本発明によれば、着脱部の外表面と把持部本体の外表面とが同一形状であることから、着脱部が把持部本体に装着された状態における着脱部側から見た全体形状と把持部本体側から見た全体形状とに統一性を持たせることができる。このため、パネル体に対して本発明のパネル体把持具を取り付ける場合に、パネル体の表裏面方向に対する着脱部及び把持部本体の位置関係を注意する必要がなく、取付け作業の負担を軽減することができる。
【0022】
第8の発明は、パネル体構造物であって、パネル体と、上記パネル体に固定された上記第1~第7いずれかの発明であるパネル体把持具とを備えるという構成を採用する。
【0023】
本発明によれば、第1~第7のパネル体把持具がパネル体に固定されているため、パネル体把持具の着脱によりパネル体の表面が傷つくことを防止することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、把持片をパネル体の表面に摺動させることなく、パネル体の取り付け及び取り外しが可能であることから、パネル体に一対の把持片を有するパネル体把持具を着脱する場合に、パネル体の表面が傷つくことを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態におけるパネル体構造物の概略構成を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態におけるパネル体構造物が備える把持クリップの分解斜視図である。
図3】把持クリップの断面図であり、図1のA-A断面図である。
図4】把持クリップの概略構成図であり、(a)が斜視図であり、(b)が(a)のB-B断面図である。
図5】把持クリップの取付動作を説明するための断面図である。
図6】本発明の第1変形例である把持クリップの断面図である。
図7】(a)が物品載置板を有する把持クリップの変形例を示す斜視図であり、(b)がフックを有する把持クリップの変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明に係るパネル体把持具及びパネル体構造物の一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0027】
図1は、本実施形態のパネル体構造物10の概略構成を示す斜視図である。この図に示すように、本実施形態のパネル体構造物10は、パネル体20と、把持クリップ30とを備えている。
【0028】
パネル体20は、例えば執務室等の空間を区画する仕切板であり、パネル本体21と、脚部22とを備えている。パネル本体21は、例えば有色のアクリル樹脂等によって形成されたり、木材等からなる芯材の外周にクロスを張って構成されたりする矩形状の平板である。なお、パネル本体21の構造は特に限定されるものではなく、他の材料等によって形成することも可能である。例えば、柔軟な材料によって形成され、容易に変形可能なパネル体とすることも可能である。脚部22は、パネル本体21の下縁部に固定されており、パネル本体21を立設した状態で支持する。本実施形態においては、脚部22は、2つ設けられており、パネル本体21の下縁部に沿って配列されている。本実施形態のパネル体構造物10は、このようなパネル体20を2つ有している。ただし、パネル体20の数は任意に変更可能である。
【0029】
把持クリップ30は、パネル体20とパネル体20との接続箇所に配置されており、一方のパネル体20の側縁部と他方のパネル体20の側縁部とに固定されることによって、2つのパネル体20を連結している。
【0030】
図2図5を参照して把持クリップ30について詳細に説明する。なお、把持クリップ30は、パネル体20に対して様々な姿勢で取り付けることができる。ただし、以下の説明においては、説明の便宜上、後述の把持部本体1が配置される側を前側とし、後述の着脱部2が配置される側を後側とする。また、着脱部2においてストッパ壁2a3が位置する側を上側とし、ストッパ壁2a3と反対側を下側とする。さらに、前後方向と上下方向とに直交する方向を左右方向とする。
【0031】
図2は、把持クリップ30の分解斜視図である。また、図3は、把持クリップ30の断面図であり、図1のA-A断面図である。これらの図に示すように、把持クリップ30は、把持部本体1と、着脱部2とを備えている。把持部本体1は、パネル体20を直接的に把持する部位である。着脱部2は、このような把持部本体1に対して着脱自在な部位である。
【0032】
把持部本体1は、例えば図3に示すように、基台部1aと、連結部1bと、可撓片1cと、アリ型1dとが一体的に接続されることで形成されている。基台部1aは、下縁部を除く外縁部に着脱部2側に突出したU状突部1e1を有するトレー状のベース部1eと、ベース部1eから着脱部2側に向けて突出した複数の前側爪部1f(爪部)とを備えた部位である。ベース部1eは、連結部1b、可撓片1c及びアリ型1dを直接的あるいは間接的に支持する。このベース部1eの着脱部2と反対側の外表面1e2は、把持クリップ30の前方側の外形面を形成しており、上下方向から見て中央部が前方に向けて膨出した湾曲線が上下方向に連続してなる形状とされている。前側爪部1fは、図3に示すように複数(本実施形態では4つ)設けられており、左右方向に配列されている。これらの前側爪部1fの各々は、上下方向に直線状に延伸されており、互いに平行に配置されている。このような前側爪部1fは、把持クリップ30がパネル体20に固定されている状態にて、先端部がパネル体20の表面に当接される。
【0033】
このような基台部1aは、左右方向における中央部を挟んで左側の部位(以下、基台部左側片1gと称する)と、右側の部位(以下、基台部右側片1h)とが、パネル体20を把持する把持片として機能する。基台部左側片1gは、2つ設けられた可撓片1c(把持片)のうち左側に配置された左側可撓片1iと対をなし、左側可撓片1iの前方に一定の隙間を空けて対向配置されている。このような基台部左側片1gは、把持クリップ30がパネル体20に固定されている状態にて、左側可撓片1iと共にパネル体20を挟持する。基台部右側片1hは、2つ設けられた可撓片1cのうち右側に配置された右側可撓片1jと対をなし、右側可撓片1jの前方に一定の隙間を空けて対向配置されている。このような基台部右側片1hは、把持クリップ30がパネル体20に固定されている状態にて、右側可撓片1jと共にパネル体20を挟持する。
【0034】
例えば図3に示すように、基台部左側片1gと基台部右側片1hとは、各々が上述の前側爪部1fを有している。つまり、本実施形態においては、把持片として機能する基台部左側片1gが、対をなす左側可撓片1iに向けて突設された前側爪部1fを有している。また、把持片として機能する基台部右側片1hが、対をなす右側可撓片1jに向けて突設された前側爪部1fを有している。
【0035】
連結部1bは、例えば図3に示すように、基台部1aの左右方向の中央部に配置されており、基台部1aの着脱部2側の面から着脱部2に向けて突出して設けられている。この連結部1bは、上下方向に直線状に延伸されており、基台部1aと可撓片1cとを接続している。つまり、連結部1bは、対をなす基台部左側片1gと左側可撓片1iとを連結している。また、連結部1bは、対をなす基台部右側片1hと右側可撓片1jとを連結している。
【0036】
可撓片1cは、連結部1bの後方側の端部から左右方向に延出して設けられた板状の部位であり、基台部1a側に向けて容易に弾性変形可能な厚み寸法に設定されている。本実施形態においては、上述のように、連結部1bの左側に配置される左側可撓片1iと、連結部1bの右側に配置される右側可撓片1jとの2つの可撓片1cが設けられている。これらの可撓片1cは、パネル体20を把持する把持片として機能する。左側可撓片1iは、対をなす基台部左側片1gと共に2つのパネル体20の一方を挟持する。また、右側可撓片1jは、対をなす基台部右側片1hと共に2つのパネル体20の他方を挟持する。このように、本実施形態においては、把持クリップ30が、対をなす把持片(左側可撓片1i及び基台部左側片1gと、右側可撓片1j及び基台部右側片1h)が2組(複数)設けられており、2つのパネル体20を連結可能とされている。
【0037】
また、左側可撓片1iの左側端部には基台部左側片1gに向けて突設された後側爪部1k(爪部)が設けられ、右側可撓片1jの右側端部には基台部右側片1hに向けて突設された後側爪部1k(爪部)が設けられている。つまり、本実施形態において、可撓片1cは、対をなす把持片に向けて突設された後側爪部1kを有している。これらの後側爪部1kの各々は、上下方向に直線状に延伸されており、互いに平行に配置されている。このような後側爪部1kは、把持クリップ30がパネル体20に固定されている状態にて、先端部がパネル体20の表面に当接される。
【0038】
アリ型1dは、連結部1bのさらに後方に配置され、連結部1bの後端に接続されている。このアリ型1dは、上下方向から見た形状がT形状とされた突部であり、上下方向に直線状に延伸されている。このようなアリ型1dは、上下方向から見た形状が後述のアリ溝2b1の補完形状よりも僅かに小さい形状とされており、アリ溝2b1に対して上下方向に挿入出可能とされている。
【0039】
このような把持部本体1は、基台部左側片1g、左側可撓片1i及び連結部1bによって囲まれることで形成された溝形の左側パネル本体挿入部1mを有している。また、把持部本体1は、基台部右側片1h、右側可撓片1j及び連結部1bによって囲まれることで形成された溝形の右側パネル本体挿入部1nを有している。左側パネル本体挿入部1mは左方向に向けて開口されており、右側パネル本体挿入部1nは右方向に向けて開口されている。したがって、これらの左側パネル本体挿入部1mと右側パネル本体挿入部1nとの各々にパネル体20を挿入して把持クリップ30と固定することにより、図1に示すように、パネル体20を表裏面が1つの平面に沿うように並べて連結することができる。
【0040】
図4は、着脱部2の概略構成図であり、(a)が斜視図であり、(b)が(a)のB-B断面図である。例えば図3及び図4(a)に示すように、着脱部2は、ベース部2aと、係合部2bと、押圧部2cとを備えている。ベース部2aは、下縁部を除く外縁部に把持部本体1側に突出したU状突部2a1を有するトレー状の部位であり、係合部2b及び押圧部2cを直接的あるいは間接的に支持する。このベース部2aの把持部本体1と反対側の外表面2a2は、把持クリップ30の後方側の外形面を形成しており、把持部本体1のベース部1eの外表面1e2と同一形状とされている。このような外表面2a2は、上下方向から見て中央部が後方に向けて膨出した湾曲線が上下方向に連続してなる形状とされている。
【0041】
また、U状突部2a1のうち、ベース部2aの上縁部に形成された部位は、アリ溝2b1に挿入されたアリ型1dがアリ溝2b1の上端から抜け出すことを防止するストッパ壁2a3として機能する。つまり、ストッパ壁2a3は、アリ溝2b1の上端を塞いでおり、アリ溝2b1に挿入されたアリ型1dの上端に当接することによって、アリ型1dがアリ溝2b1の上端よりも上方に移動することを規制する。
【0042】
係合部2bは、ベース部2aの左右方向の中央部に配置されており、ベース部2aの把持部本体1側の面から前方に向けて突出された部位であり、図3に示すように、把持部本体1の左側可撓片1iと右側可撓片1jとの左右方向の寸法を合わせた寸法と略同一の幅寸法を有しており、同じ幅寸法のまま上下方向に直線状に延伸して設けられている。このような係合部2bは、上下方向に直線状に延伸するT形状のアリ溝2b1を内部に有している。このアリ溝2b1に把持部本体1のアリ型1dが挿入されることによって、着脱部2が把持部本体1に係止される。このように把持部本体1に係止された着脱部2は、把持部本体1に対して後方に移動することが規制される。
【0043】
押圧部2cは、係合部2bの左右方向の両端部に各々設けられており、各々が上下方向に直線状に延伸して設けられている。係合部2bの左側の端部に設けられた押圧部2c(以下、左側押圧部2dと称する)は、係合部2bの左側の端部から把持部本体1の左側可撓片1i(前方)に向けて突設されている。図4(b)に示すように、左側押圧部2dは、アリ型1dのアリ溝2b1への挿入方向の上流側から下流側(下側から上側)に向かうに連れて、左側可撓片1iに向けての突出量が増加する坂状突部からなる。このような左側押圧部2dは、把持部本体1に装着された状態で、左側可撓片1iを基台部左側片1gに向けて押圧する。また、左側押圧部2dは、下側から上側に向けて突出量が増加する形状であるため、アリ溝2b1に対するアリ型1dの挿入量に応じて左側可撓片1iの押圧量を増加する。つまり、左側押圧部2dは、アリ溝2b1に対するアリ型1dの挿入量に応じて左側可撓片1iの押圧量を増加する形状とされている。
【0044】
係合部2bの右側の端部に設けられた押圧部2c(以下、右側押圧部2eと称する)は、係合部2bの右側の端部から把持部本体1の右側可撓片1j(前方)に向けて突設されている。右側押圧部2eは、左側押圧部2dと同様に、アリ型1dのアリ溝2b1への挿入方向の上流側から下流側(下側から上側)に向かうに連れて、右側可撓片1jに向けての突出量が増加する坂状突部からなる。このような右側押圧部2eは、把持部本体1に装着された状態で、右側可撓片1jを基台部右側片1hに向けて押圧する。また、右側押圧部2eは、下側から上側に向けて突出量が増加する形状であるため、アリ溝2b1に対するアリ型1dの挿入量に応じて右側可撓片1jの押圧量を増加する。つまり、右側押圧部2eは、アリ溝2b1に対するアリ型1dの挿入量に応じて右側可撓片1jの押圧量を増加する形状とされている。
【0045】
このような把持クリップ30にて2つのパネル体20を連結する場合には、まず把持部本体1から着脱部2を脱離した状態とする。この状態にて、把持部本体1の左側パネル本体挿入部1mに一方のパネル体20の側縁部を挿入し、右側パネル本体挿入部1nに他方のパネル体20の側縁部を挿入する。このとき、把持部本体1の左側可撓片1iと右側可撓片1jとは、基台部左側片1g及び基台部右側片1hに向けて押圧されていない。このため、左側パネル本体挿入部1m及び右側パネル本体挿入部1nの開口幅が大きく確保されており、パネル体20の表裏面に左側可撓片1i、右側可撓片1j、基台部左側片1g及び基台部右側片1hが摺動しないように、パネル体20を左側パネル本体挿入部1m及び右側パネル本体挿入部1nに差し込むことができる。
【0046】
続いて、着脱部2の係合部2bに形成されたアリ溝2b1の下端を、把持部本体1のアリ型1dの上端に合わせ、着脱部2を下方にスライドさせることによって、アリ型1dをアリ溝2b1に挿入させる。このとき、挿入開始直後は、図5(a)に示すように、左側押圧部2d及び右側押圧部2eが係合部2bから突出していない箇所が、左側可撓片1i及び右側可撓片1jの後方に配置されている。このため、挿入開始直後は、左側押圧部2d及び右側押圧部2eが左側可撓片1i及び右側可撓片1jを押圧していない状態となる。一方で、アリ型1dのアリ溝2b1への挿入量が大きくなると、図5(b)に示すように、左側押圧部2d及び右側押圧部2eが左側可撓片1i及び右側可撓片1jを押圧する。このため、左側可撓片1i及び右側可撓片1jが基台部左側片1g及び基台部右側片1hに向けて撓む。この結果、可撓片1c(左側可撓片1i)を介して、対をなす左側押圧部2dと基台部左側片1gとによって一方のパネル体20が挟持される。また、可撓片1c(右側可撓片1j)を介して、対をなす右側押圧部2eと基台部右側片1hとによって他方のパネル体20が挟持される。
【0047】
また、パネル体20同士の連結を解除する場合には、把持クリップ30の着脱部2を把持部本体1に対してアリ溝2b1に沿ってスライドさせることで、着脱部2を把持部本体1から脱離する。着脱部2が把持部本体1から脱離されると、左側可撓片1i及び右側可撓片1jが元の形状に復元する。このため、パネル体20の表裏面に左側可撓片1i、右側可撓片1j、基台部左側片1g及び基台部右側片1hが摺動しないように、パネル体20を左側パネル本体挿入部1m及び右側パネル本体挿入部1nから取り外すことができる。
【0048】
以上のような本実施形態のパネル体構造物10の把持クリップ30によれば、着脱部2を把持部本体1に装着し、着脱部2の押圧部2cによって把持部本体1の可撓片1cを押圧することで、可撓片1cと基台部1aとにパネル体20が挟持される。このため、着脱部2を把持部本体1から脱離させることによって、可撓片1cが元の形状に復元し、可撓片1cと基台部1aとからパネル体20が解放される。したがって、把持クリップ30によれば、着脱部2が脱離された状態で把持部本体1をパネル体に取付け、その後に着脱部2を把持部本体1に装着することで、左側可撓片1i、右側可撓片1j、基台部左側片1g及び基台部右側片1hをパネル体20の表面に摺動させることなく取り付けることが可能となる。また、把持クリップ30によれば、着脱部2を把持部本体1から脱離させてから、把持部本体1をパネル体20から取り外すことで、左側可撓片1i、右側可撓片1j、基台部左側片1g及び基台部右側片1hをパネル体20の表面に摺動させることなく取り外すことが可能となる。よって、把持クリップ30によれば、着脱時に、パネル体20の表面が傷つくことを防止することが可能となる。
【0049】
また、本実施形態の把持クリップ30においては、把持部本体1が、対をなす左側可撓片1i及び基台部左側片1gと、対をなす右側可撓片1j及び基台部右側片1hとを備えている。つまり、把持クリップ30は、一対の把持片を複数備えている。このため、複数のパネル体20を挟持することができ、パネル体20同士を連結することが可能となる。
【0050】
また、本実施形態の把持クリップ30においては、着脱部2が直線状に設けられたアリ溝2b1を有し、把持部本体1がアリ溝2b1に挿入可能なアリ型1dを有している。このため、着脱部2に設けられたアリ溝2b1に対して、把持部本体1に設けられたアリ型1dを挿入することで着脱部2を把持部本体1に着脱することができる。したがって、本実施形態の把持クリップ30によれば、アリ溝2b1及びアリ型1dの延伸方向に沿って着脱部2を把持部本体1にスライドさせる動作を行うのみで、容易に着脱部2を把持部本体1に対して着脱することが可能となる。
【0051】
また、本実施形態の把持クリップ30においては、押圧部2cが、アリ溝2b1に対するアリ型1dの挿入量に応じて可撓片1cの押圧量を増加する形状を有している。このため、着脱部2の着脱動作と可撓片1cの押圧あるいは復元動作を、着脱部2を把持部本体1に対してスライドさせるという1つの作業で同時行うことができる。よって、本実施形態の把持クリップ30によれば、把持部本体1に対する着脱部2の取付操作を簡素化することが可能となる。
【0052】
また、本実施形態の把持クリップ30においては、押圧部2cが、アリ型1dのアリ溝2b1への挿入方向上流側から下流側に向かうに連れて可撓片1cに向けての突出量が増加する坂状突部からなる。このため、簡易な形状で、アリ溝2b1に対するアリ型1dの挿入量に応じて可撓片1cの押圧量を増加させることが可能となる。
【0053】
また、本実施形態の把持クリップ30においては、可撓片1cが後側爪部1kを有し、基台部1aが前側爪部1fを有している。このため、パネル体20を挟持する場合に、前側爪部1fの先端と後側爪部1kの先端をパネル体20に当接させ、パネル体20を強く挟持することが可能となる。このため、取付後に意図せず把持クリップ30がパネル体20から外れることを抑止することができる。
【0054】
また、本実施形態の把持クリップ30においては、把持部本体1に装着された着脱部2の把持部本体1と反対側の外表面2a2と、把持部本体1の着脱部2と反対側の外表面1e2とが同一形状とされている。このため、着脱部2が把持部本体1に装着された状態における着脱部2側から見た全体形状と把持部本体1側から見た全体形状とに統一性を持たせることができる。このため、パネル体20に対して把持クリップ30を取り付ける場合に、パネル体20の表裏面方向(本実施形態の前後方向)に対する着脱部2及び把持部本体1の位置関係を注意する必要がなく、取付け作業の負担を軽減することができる。
【0055】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0056】
例えば、上記実施形態においては、着脱部2が押圧部2cを備えると共に把持クリップ30の後側の外形形状を形成する構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、把持クリップ30の第1変形例の断面図である図6に示すように、押圧部2cを着脱部2から分離して、楔型の別体とする構成を採用することも可能である。このような場合には、楔型の別体とされた部位が、押圧部2cを備えると共に把持部本体1に着脱可能とされた着脱部として機能し、残りの部位が把持クリップ30の後側の外形形状を形成するカバー体として機能する。
【0057】
また、把持部本体1において基台部1aを削除し、新たな可撓片1c及びアリ型1dを上記実施形態の可撓片1c及びアリ型1dに対して対称的に設け、着脱部2を把持部本体1の両側に設ける構成を採用することも可能である。
【0058】
また、上記実施形態においては、パネル体20同士を連結するための把持クリップ30について説明した。しかしながら、本発明はパネル同士を連結する構成に限定されるものではない。例えば、図7(a)に示すように、物品載置板51を備える把持クリップ50に本発明を適用することも可能である。このような場合には、把持部本体あるいは着脱部に対して物品載置板51が固定されていれば良い。また、図7(b)に示すように、フック61を備える把持クリップ60に本発明を適用することも可能である。このような場合には、把持部本体あるいは着脱部に対してフック61が固定されていれば良い。これらの構成を採用する場合には、一対の把持片を1つのみ備える構成を採用することが可能である。
【0059】
また、上記実施形態においては、同一面に表裏面が平行となるように2つのパネル体20を並べて把持クリップ30によって連結する構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、1組の把持片に対して他の組の把持片を90°異なる方向に向けて配置することによって、2つのパネル体20を平面視で90°に屈曲させて連結する構成を採用することも可能である。また、一対の把持片を3つ以上備えることによって、3つ以上のパネル体20を連結する構成を採用することも可能である。
【0060】
また、上記実施形態においては、押圧部2cが坂状突部である構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、押圧部として回転させることにより突出量が変化するネジ等を用いることも可能である。
【0061】
また、上記実施形態においては、アリ型1d及びアリ溝2b1がT形状である構成について説明した。しかしながら、アリ型1d及びアリ溝2b1の形状は限定されるものではなく、略三角形状のアリ型及びアリ溝を採用することも可能である。
【0062】
また、上記実施形態においては、可撓片1cが後側爪部1kを有し、基台部1aが前側爪部1fを有している構成を採用した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。可撓片1cや基台部1aが爪部を備えずにパネル体20の表裏面に面接触するような構成を採用することも可能である。また、可撓片1cや基台部1aに爪部に換えてクッション材等を設置することも可能である。
【0063】
また、上記実施形態においては、押圧部2cを坂状突部とする構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、可撓片1c側に坂状突部を設け、平板状の押圧部をスライドさせることによって可撓片1cを押圧する構成を採用することも可能である。
【0064】
また、上記実施形態においては、アリ型1dを把持部本体1に設置し、アリ溝2b1を着脱部2に設置する構成を採用した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、アリ溝を把持部本体1に設置し、アリ型を着脱部2に設置する構成を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0065】
1……把持部本体、1a……基台部、1b……連結部、1c……可撓片(把持片)、1d……アリ型、1e……ベース部、1e1……U状突部、1e2……外表面、1f……前側爪部(爪部)、1g……基台部左側片(把持片)、1h……基台部右側片(把持片)、1i……左側可撓片(把持片)、1j……右側可撓片(把持片)、1k……後側爪部(爪部)、1m……左側パネル本体挿入部、1n……右側パネル本体挿入部、2……着脱部、2a……ベース部、2a1……U状突部、2a2……外表面、2a3……ストッパ壁、2b……係合部、2b1……アリ溝、2c……押圧部、2d……左側押圧部、2e……右側押圧部、10……パネル体構造物、20……パネル体、30……把持クリップ(パネル体把持具)、50……把持クリップ(パネル体把持具)、51……物品載置板、60……把持クリップ(パネル体把持具)、61……フック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7