(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】吐出量制御装置
(51)【国際特許分類】
F04C 14/26 20060101AFI20220119BHJP
F04C 14/24 20060101ALI20220119BHJP
F04C 15/06 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
F04C14/26 A
F04C14/24 A
F04C15/06 B
(21)【出願番号】P 2017209065
(22)【出願日】2017-10-30
【審査請求日】2020-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【氏名又は名称】中川 裕人
(72)【発明者】
【氏名】双木 勝之
(72)【発明者】
【氏名】木倉 崇晴
(72)【発明者】
【氏名】平脇 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】小平 和生
(72)【発明者】
【氏名】山形 進
(72)【発明者】
【氏名】江口 則空
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-114186(JP,A)
【文献】特開2016-145586(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 14/26
F04C 14/24
F04C 15/06
F04C 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動油を吸入する吸入ポートと、前記吸入ポートから吸入された作動油を吐出する吐出ポートと、前記吸入ポートと前記吐出ポートの間に形成され前記吸入ポートから吸入された作動油を吐出する中間ポートとを有するオイルポンプの吐出量制御装置であって、
前記吐出ポートから吐出される作動油が油圧機構へ向けて流動されるライン圧回路と、
前記ライン圧回路に連通され前記中間ポートから吐出される作動油が流動される吐出量制御回路と、
前記吐出量制御回路に流動される作動油を備蓄すると共に備蓄した作動油を前記吐出量制御回路に還流するアキュムレーターと、
前記油圧機構において必要とされる油量に応じて前記吐出量制御回路から前記ライン圧回路に合流される作動油の流動状態を制御するレギュレーターとを備え
、
前記レギュレーターには前記油圧機構において必要とされる油量に応じて前記吐出量制御回路と前記ライン圧回路との連通を開放する開放位置と前記吐出量制御回路と前記ライン圧回路との連通を閉塞する閉塞位置との間で移動される開閉ロッドが設けられ、
前記開閉ロッドを前記開放位置から前記閉塞位置へ向けて付勢する付勢部材が設けられ、
前記開閉ロッドが前記アキュムレーターからの前記吐出量制御回路への作動油の還流時に生じる圧力によって前記閉塞位置へ向けた付勢力に反して前記閉塞位置から前記開放位置へ向けて移動される
吐出量制御装置。
【請求項2】
前記レギュレーターと前記ライン圧回路に連通する与圧回路が形成され、
前記ライン圧回路に流動される作動油の圧力が前記与圧回路を介して前記開閉ロッドに付与され前記開閉ロッドが前記開放位置から前記閉塞位置へ向けて付勢された
請求項1に記載の吐出量制御装置。
【請求項3】
作動油を吸入する吸入ポートと、前記吸入ポートから吸入された作動油を吐出する吐出ポートと、前記吸入ポートと前記吐出ポートの間に形成され前記吸入ポートから吸入された作動油を吐出する中間ポートとを有するオイルポンプの吐出量制御装置であって、
前記吐出ポートから吐出される作動油が油圧機構へ向けて流動されるライン圧回路と、
前記ライン圧回路に連通され前記中間ポートから吐出される作動油が流動される吐出量制御回路と、
前記吐出量制御回路に流動される作動油を備蓄すると共に備蓄した作動油を前記吐出量制御回路に還流するアキュムレーターと、
前記油圧機構において必要とされる油量に応じて前記吐出量制御回路から前記ライン圧回路に合流される作動油の流動状態を制御するレギュレーターとを備え、
前記レギュレーターには前記油圧機構において必要とされる油量に応じて前記吐出量制御回路と前記ライン圧回路との連通を開放する開放位置と前記吐出量制御回路と前記ライン圧回路との連通を閉塞する閉塞位置との間で移動される開閉ロッドが設けられ、
前記レギュレーターと前記ライン圧回路に連通する与圧回路が形成され、
前記ライン圧回路に流動される作動油の圧力が前記与圧回路を介して前記開閉ロッドに付与され前記開閉ロッドが前記開放位置から前記閉塞位置へ向けて付勢され、
前記開閉ロッドが前記アキュムレーターからの前記吐出量制御回路への作動油の還流時に生じる圧力によって前記閉塞位置へ向けた付勢力に反して前記閉塞位置から前記開放位置へ向けて移動され、
前記ライン圧回路に流動される作動油の圧力を受ける前記開閉ロッドの受圧面の面積は、前記吐出量制御回路への作動油の還流時に生じる圧力を受ける前記開閉ロッドの受圧面の面積より大きい
吐出量制御装置。
【請求項4】
前記開閉ロッドを前記開放位置から前記閉塞位置へ向けて付勢する付勢部材が設けられた
請求項3に記載の吐出量制御装置。
【請求項5】
前記与圧回路には、前記開閉ロッドに付与される作動油の圧力を制御する制御弁が設けられた
請求項2から請求項4の何れかに記載の吐出量制御装置。
【請求項6】
前記開閉ロッドを前記閉塞位置に保持する保持機構が設けられた
請求項1から請求項5の何れかに記載の吐出量制御装置。
【請求項7】
前記吐出量制御回路に作動油の前記アキュムレーターから前記中間ポートへ向けての流動を規制する逆止弁が配置された
請求項1から請求項6の何れかに記載の吐出量制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油圧機構へ向けて流動される作動油のライン圧回路における流動量を制御する吐出量制御装置についての技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
車両におけるクラッチ機構やブレーキ機構や変速機構等の油圧によって動作される各種の油圧機構には、円滑な動作を行うためや保護のために作動油が供給される。このような油圧機構には、オイルポンプからライン圧回路を介して作動油が供給され、オイルポンプにはオイルタンクから作動油が吸入される。
【0003】
オイルポンプは、例えば、外歯を有するインナーローターと内歯を有するアウターローターが偏芯された状態でそれぞれケース体に対して回転自在に支持されたタイプがある。このようなタイプのオイルポンプには、ケース体に吸入ポートと吐出ポートが形成され、インナーローターとアウターローターの間にポンプ室として形成される空間の容積がインナーローターとアウターローターの回転に伴って変化されることにより、ポンプ室の圧力が変化されて吸入ポートからの作動油の吸入と吐出ポートからの作動油の吐出が行われる。
【0004】
このようなオイルポンプにおいては、上記したように、ポンプ室の圧力が変化されて吸入ポートからの作動油の吸入と吐出ポートからの作動油の吐出が行われるため、ポンプ室の圧縮過程においてポンプ室の圧力が上昇することによりインナーローターとアウターローターを回転させるための駆動トルクが増加するおそれがある。
【0005】
そこで、従来のオイルポンプには、吸入ポートと吐出ポートの他にケース体に中間ポートを形成し、インナーローターとアウターローターの回転時に中間ポートに対応してポンプ室が位置されるようにすることによりポンプ室の圧力を低減し、駆動トルクの増加を抑制するように構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、油圧機構に作動油を供給する車両においては、油圧機構の動作状態によって必要とされる作動油の油量が異なるため、動作状態に応じた量の作動油を油圧機構に供給して油圧機構における動作の信頼性の向上及び円滑な動作状態を確保することが望まれる。
【0008】
例えば、車両の発進時等においてクラッチの締結が行われるときには、油圧機構に多くの作動油を供給して円滑な動作状態を確保する必要がある。
【0009】
そこで、本発明は、オイルポンプの駆動トルクの増加を抑制した上で油圧機構における動作の信頼性の向上及び円滑な動作状態を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る吐出量制御装置は、作動油を吸入する吸入ポートと、前記吸入ポートから吸入された作動油を吐出する吐出ポートと、前記吸入ポートと前記吐出ポートの間に形成され前記吸入ポートから吸入された作動油を吐出する中間ポートとを有するオイルポンプの吐出量制御装置であって、前記吐出ポートから吐出される作動油が油圧機構へ向けて流動されるライン圧回路と、前記ライン圧回路に連通され前記中間ポートから吐出される作動油が流動される吐出量制御回路と、前記吐出量制御回路に流動される作動油を備蓄すると共に備蓄した作動油を前記吐出量制御回路に還流するアキュムレーターと、前記油圧機構において必要とされる油量に応じて前記吐出量制御回路から前記ライン圧回路に合流される作動油の流動状態を制御するレギュレーターとを備え、前記レギュレーターには前記油圧機構において必要とされる油量に応じて前記吐出量制御回路と前記ライン圧回路との連通を開放する開放位置と前記吐出量制御回路と前記ライン圧回路との連通を閉塞する閉塞位置との間で移動される開閉ロッドが設けられ、前記開閉ロッドを前記開放位置から前記閉塞位置へ向けて付勢する付勢部材が設けられ、前記開閉ロッドが前記アキュムレーターからの前記吐出量制御回路への作動油の還流時に生じる圧力によって前記閉塞位置へ向けた付勢力に反して前記閉塞位置から前記開放位置へ向けて移動されるものである。
【0011】
これにより、油圧機構において必要とされる油量に応じてレギュレーターが動作され吐出量制御回路からライン圧回路に合流される作動油の流動状態が制御される。また、ライン圧回路と吐出量制御回路の油圧に拘わらず開閉ロッドが付勢部材によって閉塞位置へ向けて付勢される。さらに、開閉ロッドが吐出量制御回路に流動される作動油の圧力によって開放位置へ向けて付勢されるため、開閉ロッドを開放するための専用の部材が不要になる。
【0014】
第2に、上記した本発明に係る吐出量制御装置においては、前記レギュレーターと前記ライン圧回路に連通する与圧回路が形成され、前記ライン圧回路に流動される作動油の圧力が前記与圧回路を介して前記開閉ロッドに付与され前記開閉ロッドが前記開放位置から前記閉塞位置へ向けて付勢されることが望ましい。
【0015】
これにより、開閉ロッドがライン圧回路に流動される作動油の圧力によって閉塞位置へ向けて付勢される。
【0018】
第3に、本発明に係る別の吐出量制御装置は、作動油を吸入する吸入ポートと、前記吸入ポートから吸入された作動油を吐出する吐出ポートと、前記吸入ポートと前記吐出ポートの間に形成され前記吸入ポートから吸入された作動油を吐出する中間ポートとを有するオイルポンプの吐出量制御装置であって、前記吐出ポートから吐出される作動油が油圧機構へ向けて流動されるライン圧回路と、前記ライン圧回路に連通され前記中間ポートから吐出される作動油が流動される吐出量制御回路と、前記吐出量制御回路に流動される作動油を備蓄すると共に備蓄した作動油を前記吐出量制御回路に還流するアキュムレーターと、前記油圧機構において必要とされる油量に応じて前記吐出量制御回路から前記ライン圧回路に合流される作動油の流動状態を制御するレギュレーターとを備え、前記レギュレーターには前記油圧機構において必要とされる油量に応じて前記吐出量制御回路と前記ライン圧回路との連通を開放する開放位置と前記吐出量制御回路と前記ライン圧回路との連通を閉塞する閉塞位置との間で移動される開閉ロッドが設けられ、前記レギュレーターと前記ライン圧回路に連通する与圧回路が形成され、前記ライン圧回路に流動される作動油の圧力が前記与圧回路を介して前記開閉ロッドに付与され前記開閉ロッドが前記開放位置から前記閉塞位置へ向けて付勢され、前記開閉ロッドが前記アキュムレーターからの前記吐出量制御回路への作動油の還流時に生じる圧力によって前記閉塞位置へ向けた付勢力に反して前記閉塞位置から前記開放位置へ向けて移動され、前記ライン圧回路に流動される作動油の圧力を受ける前記開閉ロッドの受圧面の面積は、前記吐出量制御回路への作動油の還流時に生じる圧力を受ける前記開閉ロッドの受圧面の面積より大きいものである。
【0019】
これにより、油圧機構において必要とされる油量に応じてレギュレーターが動作され吐出量制御回路からライン圧回路に合流される作動油の流動状態が制御される。また、開閉ロッドに付与される油圧差により開閉ロッドが付勢される。
【0020】
第4に、上記した本発明に係る吐出量制御装置においては、前記開閉ロッドを前記開放位置から前記閉塞位置へ向けて付勢する付勢部材が設けられることが望ましい。
【0021】
これにより、ライン圧回路と吐出量制御回路の油圧に拘わらず開閉ロッドが付勢部材によって閉塞位置へ向けて付勢される。
【0022】
第5に、上記した本発明に係る吐出量制御装置においては、前記与圧回路には、前記開閉ロッドに付与される作動油の圧力を制御する制御弁が設けられることが望ましい。
【0023】
これにより、制御弁の動作状態に応じて開閉ロッドに対する作動油の圧力が変化される。
【0024】
第6に、上記した本発明に係る吐出量制御装置においては、前記開閉ロッドを前記閉塞位置に保持する保持機構が設けられることが望ましい。
【0025】
これにより、アキュムレーターへの作動油の備蓄時に保持機構によって開閉ロッドが閉塞位置に保持される。
【0026】
第7に、上記した本発明に係る吐出量制御装置においては、前記吐出量制御回路に作動油の前記アキュムレーターから前記中間ポートへ向けての流動を規制する逆止弁が配置されることが望ましい。
【0027】
これにより、アキュムレーターから吐出量制御回路への作動油の還流時に作動油の中間ポートへ向けての流動が規制される。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、油圧機構において必要とされる油量に応じてレギュレーターが動作され吐出量制御回路からライン圧回路に合流される作動油の流動状態が制御されるため、オイルポンプの駆動トルクの増加を抑制した上で油圧機構における動作の信頼性の向上及び円滑な動作状態を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図2乃至
図8と共に本発明吐出量制御装置の実施の形態を示すものであり、本図は、オイルポンプの分解斜視図である。
【
図3】吐出量制御装置において、作動油がアキュムレーターに備蓄される状態を示す模式図である。
【
図4】吐出量制御装置において、備蓄された作動油が吐出量制御回路に還流される状態を示す模式図である。
【
図5】第1の変形例において、作動油がアキュムレーターに備蓄される状態を示す模式図である。
【
図6】第1の変形例において、備蓄された作動油が吐出量制御回路に還流される状態を示す模式図である。
【
図7】第2の変形例において、作動油がアキュムレーターに備蓄される状態を示す模式図である。
【
図8】第2の変形例において、備蓄された作動油が吐出量制御回路に還流される状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明の吐出量制御装置を実施するための形態について、添付図面を参照して説明する。
【0031】
以下に示す吐出量制御装置1はオイルポンプの吐出量を制御する装置であり、以下には、オイルポンプの一例として、トロコイド歯型を有するトロコイド式のオイルポンプについて説明する。
【0032】
尚、以下の説明においては、オイルポンプの回転軸方向を上下方向として上下前後左右の方向を示すものとする。但し、以下に示す上下前後左右の方向は説明の便宜上のものであり、本発明の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
【0033】
<オイルポンプの構成>
オイルポンプ1はアウターローター2とインナーローター3とポンプハウジング4を有している(
図1及び
図2参照)。
【0034】
アウターローター2は外形状が円柱状に形成され、外周部を除く部分に上下に貫通された配置孔2aを有している。アウターローター2の内周部には内歯2b、2b、・・・が設けられている。
【0035】
インナーローター3はアウターローター2の配置孔2aに回転可能な状態で配置され、中央部に上下に貫通された結合孔3aを有している。インナーローター3の外周部には外歯3b、3b、・・・が設けられている。インナーローター3の外歯3b、3b、・・・はアウターローター2の内歯2b、2b、・・・の数よりも一つ少なくされている。
【0036】
インナーローター3にはシャフト5が結合孔3aに挿入された状態で結合されている。シャフト5は図示しない駆動源の駆動力によって軸回り方向へ回転される。
【0037】
インナーローター3はアウターローター2に対して偏芯された状態で配置孔2aに配置されている。アウターローター2とインナーローター3によってローターユニット6が構成されている。
【0038】
ポンプハウジング4はケース7とカバー8が上下で結合されて構成されている。
【0039】
ケース7には上方に開口された円形状の支持凹部9が形成されている。ケース7には支持凹部9を形成する底面部7aに、上下に貫通されたシャフト挿通孔10が形成されている。ケース7には底面部7aに、それぞれ上方に開口された吸入ポート11と吐出ポート12が形成されている。底面部7aには吸入ポート11と吐出ポート12の間に上下に貫通された中間ポート13が形成されている。吸入ポート11と吐出ポート12と中間ポート13は周方向に離隔して形成されている。
【0040】
ケース7には支持凹部9を挟んだ反対側にそれぞれ上方に開口された吸入穴14と吐出穴15が形成されている。吸入穴14はケース7の内部において吸入ポート11と連通され、吐出穴15はケース7の内部において吐出ポート12と連通されている。
【0041】
カバー8の略中央部には挿入孔16が形成されている。カバー8には挿入孔16を挟んだ反対側にそれぞれ上下に貫通された吸入孔17と吐出孔18が形成されている。
【0042】
カバー8は支持凹部9にアウターローター2とインナーローター3が配置された状態においてケース7に上方から結合される。カバー8がケース7に結合された状態において、シャフト5はケース7のシャフト挿通孔10とインナーローター3の結合孔3aとカバー8の挿入孔16に挿通され、結合孔3aに固定される。従って、シャフト5はポンプハウジング4に対してインナーローター3と一体になって回転される。このときアウターローター2の内歯2b、2b、・・・とインナーローター3の外歯3b、3b、・・・との噛合と離隔が順次繰り返され、アウターローター2にインナーローター3の回転力が付与されてアウターローター2がポンプハウジング4に対してインナーローター3と異なる回転数で回転される。
【0043】
カバー8がケース7に結合された状態においてカバー8の吸入孔17とケース7の吸入穴14とが上下で連通され、吸入孔17と吸入穴14によって作動油の吸入路19が形成される。また、カバー8がケース7に結合された状態においてカバー8の吐出孔18とケース7の吐出穴15とが上下で連通され、吐出孔18と吐出穴15によって作動油の吐出路20が形成される。
【0044】
支持凹部9にアウターローター2とインナーローター3が配置された状態においてケース7とカバー8が結合されることにより、アウターローター2とインナーローター3とケース7の底面部7aとカバー8の下面とによって複数の空間が形成され、これらの各空間がポンプ室21、21、・・・とされる。
【0045】
<オイルポンプの動作>
上記のように構成されたオイルポンプ1においては、吸入路19から作動油が吸入され、吸入された作動油が吸入ポート11からポンプ室21、21、・・・に流動される。このときアウターローター2とインナーローター3が同じ方向へ異なる回転数で回転され、ポンプ室21、21、・・・が容積の拡大と縮小を繰り返す。ポンプ室21、21、・・・の容積が拡大と縮小を繰り返すことにより、各ポンプ室21、21、・・・に流入された作動油の圧力が変化され、作動油が吐出ポート12から吐出路20に流動され、流動された作動油が吐出路20から吐出される。このとき一部の作動油が中間ポート13からもオイルポンプ1の外部へ向けて吐出される。
【0046】
このようにオイルポンプ1には吸入ポート11と吐出ポート12の間に中間ポート13が形成されているため、インナーローター3とアウターローター2の回転時に中間ポート13に対応してポンプ室21が位置されることによりポンプ室21の圧力が低減され、インナーローター3とアウターローター2を回転させる駆動トルクの増加を抑制することができる。
【0047】
<吐出量制御装置の構成>
次に、吐出量制御装置30の構成について説明する(
図3参照)。
【0048】
吐出量制御装置30は、オイルポンプ1に作動油を吸入する吸入回路31と、オイルポンプ1から吐出された作動油が流動されるライン圧回路32と、ライン圧回路32に連通されオイルポンプ1から吐出された作動油が流動される吐出量制御回路33と、作動油を備蓄するアキュムレーター34と、吐出量制御回路33からライン圧回路32に流動される作動油の流動状態を制御するレギュレーター35とを備えている。
【0049】
吸入回路31はオイルポンプ1の吸入路19に連通され、オイルタンク100から流動される作動油を吸入路19へ向けて流動させる油路である。吸入回路31には潤滑用回路36が連通されており、オイルタンク100から流動された作動油の一部が、例えば、各種の歯車機構や回転機構やエンジンの各部等の潤滑部200へ向けて潤滑用回路36から流動される。
【0050】
潤滑用回路36には潤滑圧調整弁37が接続されている。潤滑圧調整弁37は潤滑用回路36に流動される作動油の圧力を調整し、潤滑部200へ向けて流動される作動油の油量を制御する機能を有している。
【0051】
ライン圧回路32はオイルポンプ1の吐出路20に連通され、吐出路20から吐出された作動油を、例えば、クラッチ機構やブレーキ機構や変速機構等の油圧機構300へ向けて流動させる油路である。ライン圧回路32にはライン圧調整弁38が接続されている。ライン圧調整弁38はライン圧回路32に流動される作動油の圧力を調整し、潤滑圧調整弁37に分岐回路39を介して接続されている。
【0052】
吐出量制御回路33は一端がオイルポンプ1の中間ポート13に連通され他端がライン圧回路32におけるライン圧調整弁38の下流に連通されている。
【0053】
アキュムレーター34は一端部が吐出量制御回路33に連通されたシリンダー状の蓄油ケース40と蓄油ケース40の内部に配置された作動バネ41と作動バネ41の一端部に取り付けられた排出用ロッド42とを有している。蓄油ケース40は一端部が吐出量制御回路33に連通された連通口40aとして形成されている。排出用ロッド42は作動バネ41の付勢力によって連通口40a側へ付勢されている。
【0054】
レギュレーター35は吐出量制御回路33にアキュムレーター34の下流において接続され、配置ケース43と開閉ロッド44を有している。
【0055】
配置ケース43には流入口43aと流出口43bが形成されている。中間ポート13から吐出され吐出量制御回路33に流動された作動油は配置ケース43に流入口43aから流入され、流入口43aから流入された作動油は流出口43bからライン圧回路32へ向けて流動される。配置ケース43にはエアー流通孔43cが形成されている。
【0056】
開閉ロッド44は流出口43bを開放する開放位置と流出口43bを閉塞する閉塞位置との間で移動される。このときエアー流通孔43cによって配置ケース43に対するエアーの流出又は流入が行われ、開閉ロッド44が円滑に移動される。開閉ロッド44は移動方向において連続する大径部44aと小径部44bを有し、大径部44aが小径部44bの径より大きくされている。従って、大径部44aの油圧を受ける受圧面の面積が小径部44bの油圧を受ける受圧面の面積より大きくされている。
【0057】
配置ケース43には与圧回路45の一端が連通されている。与圧回路45の他端はライン圧回路32において吐出量制御回路33との連通部分より下流に連通されている。与圧回路45にはライン圧回路32に流動される作動油の一部が流入され、与圧回路45に流入された作動油の油圧が大径部44aに付与されて開閉ロッド44が開放位置から閉塞位置へ移動される方向へ付勢にされる。
【0058】
開閉ロッド44は大径部44aが与圧回路45側に位置され小径部44bが吐出量制御回路33側に位置されている。
【0059】
与圧回路45には制御弁46が接続されている。制御弁46の動作によって与圧回路45における作動油の圧力が制御され、与圧回路45における作動油による開閉ロッド44に対する付勢力が変化される。制御弁46には図示しない制御回路から作動信号(オンオフ信号)が送出される。
【0060】
吐出量制御回路33には中間ポート13とアキュムレーター34の間に逆止弁47が配置されている。逆止弁47はバネ部材48と開閉体49を有し、開閉体49が中間ポート13から吐出された作動油の吐出量制御回路33における流動を規制する方向へ付勢されている。バネ部材48の付勢力(バネ力)はアキュムレーター34における作動バネ41の付勢力(バネ力)より大きくされている。開閉体49は、例えば、球状に形成されている。
【0061】
<吐出量制御装置の動作>
次いで、吐出量制御装置1の動作について説明する(
図3及び
図4参照)。
【0062】
オイルタンク100から吸入回路31に流動された作動油は、一部を除いてオイルポンプ1へ向けて流動され、一部が潤滑用回路36に流動される。
【0063】
潤滑用回路36に流動される作動油は潤滑圧調整弁37によって圧力が調整され、潤滑部200へ向けて流動される。
【0064】
オイルポンプ1へ向けて流動された作動油は、オイルポンプ1に吸入路19から吸入され、一部を除いて吐出路20からライン圧回路32に流動される。ライン圧回路32に流動される作動油はライン圧調整弁38によって圧力が調整され、一部を除いて油圧機構300へ向けて流動される。ライン圧回路32に流動される作動油の一部はライン圧調整弁38から分岐回路39に流動され、潤滑圧調整弁37を介して潤滑部200へ向けて流動可能にされている。
【0065】
オイルポンプ1に吸入路19から吸入された作動油の一部は、中間ポート13から吐出量制御回路33に流動される。
【0066】
このときローターユニット6が高回転状態の場合には中間ポート13から吐出量制御回路33に流動される作動油の油圧が大きくされており、油圧機構300に供給されている作動油の油量が十分である状態にされている。このような高回転状態の場合には、吐出量制御回路33における油圧がバネ部材48の付勢力より大きいため、油圧によって逆止弁47が開放され中間ポート13から吐出された作動油が逆止弁47より下流に流動される(
図3参照)。
【0067】
また、高回転状態の場合には、制御回路から制御弁46にオン信号が送出されて制御弁46が開放され、開閉ロッド44において大径部44aに対する油圧が小径部44bに対する油圧より大きくされており、レギュレーター35の開閉ロッド44が閉塞位置に保持される。従って、アキュムレーター34の蓄油ケース40に中間ポート13から吐出された作動油が備蓄され、作動バネ41の付勢力に反して排出用ロッド42が蓄油ケース40の奥側へ移動される。
【0068】
一方、ローターユニット6が低回転状態の場合には中間ポート13から吐出量制御回路33に流動される作動油の油圧が小さくされており、油圧機構300に供給されている作動油の油量が不十分である状態にされている場合がある。このような状態は、例えば、車両においてクラッチの締結時やCVT(continuously variable transmission)において急激な変速動作が行われる場合等である。低回転状態の場合には、吐出量制御回路33における油圧がバネ部材48の付勢力より小さいため、バネ部材48の付勢力によって逆止弁47が閉塞され吐出量制御回路33において作動油のアキュムレーター34からオイルポンプ1側へ向けての流動が防止されている(
図4参照)。
【0069】
また、低回転状態の場合には、制御回路から制御弁46にオフ信号が送出されて制御弁46が閉塞され、開閉ロッド44の大径部44aに対する油圧が小さくなる。従って、作動バネ41が伸長されて排出用ロッド42が連通口40aに近付く方向へ移動され、アキュムレーター34の蓄油ケース40に備蓄されている作動油が吐出量制御回路33に還流される。吐出量制御回路33に還流された作動油は、逆止弁47が閉塞されているためライン圧回路32へ向けて流動され、レギュレーター35の開閉ロッド44がライン圧回路32へ向けて流動される作動油の油圧により開放位置へ向けて移動される。開閉ロッド44が開放位置へ向けて移動されるため、ライン圧回路32へ向けて流動された作動油が吐出量制御回路33からライン圧回路32に合流されて油圧機構300へ向けて流動される。
【0070】
従って、油圧機構300には吐出ポート12から吐出されライン圧回路32に流動された作動油と蓄油ケース40から吐出量制御回路33に還流されライン圧回路32に合流された作動油の双方の作動油が供給され、油圧機構300に供給されている作動油の油量が不十分である状態が解消される。作動油が蓄油ケース40から吐出量制御回路33に還流されライン圧回路32に合流されると、吐出量制御回路33の油圧が小さくなり、制御回路から制御弁46にオン信号が送出され、レギュレーター35の開閉ロッド44が再び閉塞位置に保持される。
【0071】
<まとめ>
上記したように、吐出量制御装置30にあっては、吐出量制御回路33に流動される作動油を備蓄すると共に備蓄した作動油を吐出量制御回路33に還流するアキュムレーター34と、油圧機構300において必要とされる油量に応じて吐出量制御回路33からライン圧回路32に合流される作動油の流動状態を制御するレギュレーター35とが設けられている。
【0072】
従って、油圧機構300において必要とされる油量に応じてレギュレーター35が動作され吐出量制御回路33からライン圧回路32に合流される作動油の流動状態が制御されるため、例えば、クラッチの締結時や急激な変速動作等の場合に油圧機構300に十分な油量が供給され、オイルポンプ1の駆動トルクの増加を抑制した上で油圧機構300における動作の信頼性の向上及び円滑な動作状態を確保することができる。
【0073】
また、開閉ロッド44を受圧面の面積が異なる構成にして油圧により開放位置から閉塞位置へ向けて付勢されるようにしているため、開閉ロッド44の構造が簡素であり、構造の簡素化を図った上で吐出量制御装置30の円滑な動作状態を確保することができる。
【0074】
さらに、与圧回路45には開閉ロッド44に付与される作動油の圧力を制御する制御弁46が設けられているため、動作状態に応じて制御弁46によって開閉ロッド44に対する作動油の圧力が変化され、吐出量制御装置30における円滑な動作状態を確保することができる。
【0075】
さらにまた、吐出量制御回路33に作動油のアキュムレーター34から中間ポート13へ向けての流動を規制する逆止弁47が配置されている。
【0076】
従って、アキュムレーター34から吐出量制御回路33への作動油の還流時に作動油の中間ポート13へ向けての流動が規制されるため、アキュムレーター34から吐出量制御回路33への還流時に作動油の逆流を防止して油圧機構300への流動量を確実に増加させることができる。
【0077】
<変形例>
以下に、アキュムレーター34とレギュレーター35に関する各変形例について説明する(
図5乃至
図8参照)。
【0078】
第1の変形例は、アキュムレーター34の排出用ロッド42を保持する保持機構50が設けられ、制御弁46が設けられていない例である(
図5及び
図6参照)。
【0079】
保持機構50は排出用ロッド42を作動バネ41の付勢力に反して所定の位置に保持する機構である。
【0080】
レギュレーター35の配置ケース43にはライン圧回路32に連通された与圧回路45の一端が連通されている。与圧回路45には制御弁46が接続されていないため、与圧回路45にはライン圧回路32から常に作動油が流入されている。従って、配置ケース43には、常時、与圧回路45に流入された作動油が流入可能な状態にされており、開閉ロッド44が油圧によって開放位置から閉塞位置へ向けて付勢されている。
【0081】
第1の変形例において、ローターユニット6が高回転状態の場合には、吐出量制御回路33における油圧が大きいため、油圧によって逆止弁47が開放され中間ポート13から吐出された作動油が吐出量制御回路33に流動される(
図5参照)。
【0082】
このとき油圧によって付勢されている開閉ロッド44が閉塞位置に保持されており、アキュムレーター34の蓄油ケース40に中間ポート13から吐出された作動油が備蓄され、作動バネ41の付勢力に反して排出用ロッド42が蓄油ケース40の奥側へ移動される。
【0083】
一方、ローターユニット6が低回転状態にされると、吐出量制御回路33における油圧が小さくなり、逆止弁47が閉塞され吐出量制御回路33において作動油のアキュムレーター34からオイルポンプ1側へ向けての流動が防止される(
図6参照)。
【0084】
このとき保持機構50による排出用ロッド42に対する保持が解除され、排出用ロッド42が作動バネ41の付勢力によって連通口40aに近付く方向へ移動され、アキュムレーター34の蓄油ケース40に備蓄されている作動油が吐出量制御回路33に還流される。吐出量制御回路33に還流された作動油は、逆止弁47が閉塞されているため、ライン圧回路32へ向けて流動される。作動油がアキュムレーター34からライン圧回路32へ向けて流動されると、ライン圧回路32へ向けて流動される作動油の圧力がレギュレーター35の開閉ロッド44に付与され、開閉ロッド44が閉塞位置から開放位置へ向けて移動される。従って、アキュムレーター34から吐出量制御回路33に還流された作動油が吐出量制御回路33からライン圧回路32に合流されて油圧機構300へ向けて流動される。
【0085】
アキュムレーター34からライン圧回路32へ向けての作動油の流動量が低減されていくと、ライン圧回路32へ向けて流動される作動油の開閉ロッド44に対する圧力が低減され、与圧回路45の開閉ロッド44における大径部44aに付与される油圧により開閉ロッド44が閉塞位置へ向けて移動される。従って、開閉ロッド44によって吐出量制御回路33が閉塞され、吐出量制御回路33からライン圧回路32へ向けての作動油の流動が停止される。
【0086】
吐出量制御回路33からライン圧回路32へ向けての作動油の流動が停止されることにより、ローターユニット6が高回転状態にされたときに、逆止弁47が開放されアキュムレーター34の蓄油ケース40に中間ポート13から吐出された作動油が備蓄されていき、作動バネ41の付勢力に反して排出用ロッド42が蓄油ケース40の奥側へ移動され、排出用ロッド42が所定の位置において再び保持機構50によって保持される。
【0087】
上記のように、第1の変形例においては、ライン圧回路32に流動される作動油の圧力が与圧回路45を介して開閉ロッド44に付与され開閉ロッド44が開放位置から閉塞位置へ向けて付勢されている。
【0088】
従って、開閉ロッド44がライン圧回路32に流動される作動油の圧力によって閉塞位置へ向けて付勢されるため、開閉ロッド44を付勢して閉塞位置に保持する部材が不要になり、構造の簡素化による吐出量制御装置30の製造コストの低減を図ることができる。
【0089】
また、開閉ロッド44がアキュムレーター34からの吐出量制御回路33への作動油の還流時に生じる圧力によって閉塞位置へ向けた付勢力に反して閉塞位置から開放位置へ向けて移動される。
【0090】
従って、開閉ロッド44が吐出量制御回路33に流動される作動油の圧力によって開放位置へ向けて付勢されるため、開閉ロッド44を開放するための専用の部材が不要になり、構造の簡素化による吐出量制御装置30の製造コストの低減を図ることができる。
【0091】
第2の変形例は、開閉ロッド44Xを付勢する付勢部材51と開閉ロッド44Xを保持する保持機構52とが設けられ、制御弁46が設けられていない例である(
図7及び
図8参照)。
【0092】
第2の変形例においては、レギュレーター35に代えてレギュレーター35Xが設けられており、レギュレーター35Xは配置ケース43と開閉ロッド44Xと付勢部材51を有している。
【0093】
開閉ロッド44Xは移動方向における両側の受圧面の面積が同じにされ、例えば、丸軸状に形成されている。
【0094】
レギュレーター35Xにおいては、開閉ロッド44Xが付勢部材51によって開放位置から閉塞位置へ向けて付勢されている。開閉ロッド44Xは閉塞位置において保持機構52に保持される。
【0095】
第2の変形例において、ローターユニット6が高回転状態の場合には、吐出量制御回路33における油圧が大きいため、油圧によって逆止弁47が開放され中間ポート13から吐出された作動油が吐出量制御回路33に流動される(
図7参照)。
【0096】
このとき保持機構52によって開閉ロッド44Xが閉塞位置に保持されており、アキュムレーター34の蓄油ケース40に中間ポート13から吐出された作動油が備蓄され、作動バネ41の付勢力に反して排出用ロッド42が蓄油ケース40の奥側へ移動される。
【0097】
一方、ローターユニット6が低回転状態にされると、吐出量制御回路33における油圧が小さくなり、逆止弁47が閉塞され吐出量制御回路33において作動油のアキュムレーター34からオイルポンプ1側へ向けての流動が防止される(
図8参照)。
【0098】
このとき保持機構52による開閉ロッド44Xに対する閉塞位置における保持が解除され、開閉ロッド44Xが開放位置へ向けて移動可能な状態にされ、排出用ロッド42が作動バネ41の付勢力によって連通口40aに近付く方向へ移動され、アキュムレーター34の蓄油ケース40に備蓄されている作動油が吐出量制御回路33に還流される。吐出量制御回路33に還流された作動油は、逆止弁47が閉塞されているため、ライン圧回路32へ向けて流動される。作動油がアキュムレーター34からライン圧回路32へ向けて流動されると、吐出量制御回路33における作動油の圧力によって、閉塞位置における保持が解除されている開閉ロッド44Xが付勢部材51の付勢力に反して閉塞位置から開放位置へ向けて移動される。開閉ロッド44Xが開放位置へ向けて移動されていくと、アキュムレーター34から吐出量制御回路33に還流された作動油が吐出量制御回路33からライン圧回路32に合流されて油圧機構300へ向けて流動される。
【0099】
アキュムレーター34からライン圧回路32へ向けての作動油の流動量が低減されていくと、ライン圧回路32へ向けて流動される作動油の開閉ロッド44Xに対する圧力が低減され、付勢部材51の付勢力によって開閉ロッド44Xが閉塞位置へ向けて移動される。従って、開閉ロッド44Xによって吐出量制御回路33が閉塞され、吐出量制御回路33からライン圧回路32へ向けての作動油の流動が停止される。開閉ロッド44Xは閉塞位置まで移動され保持機構52によって再び閉塞位置に保持される。
【0100】
吐出量制御回路33からライン圧回路32へ向けての作動油の流動が停止されることにより、ローターユニット6が高回転状態にされたときに、逆止弁47が開放されアキュムレーター34の蓄油ケース40に中間ポート13から吐出された作動油が備蓄されていき、作動バネ41の付勢力に反して排出用ロッド42が蓄油ケース40の奥側へ移動される。
【0101】
上記のように、第2の変形例においては、開閉ロッド44Xを開放位置から閉塞位置へ向けて付勢する付勢部材51が設けられ、開閉ロッド44Xがアキュムレーター34からの吐出量制御回路33への作動油の還流時に生じる圧力(流動圧)によって付勢部材51の付勢力に反して閉塞位置から開放位置へ向けて移動される。
【0102】
従って、開閉ロッド44Xが作動油の圧力によって開放位置へ向けて移動されるため、開閉ロッド44Xを移動させる専用の部材を必要とせず、構造の簡素化による吐出量制御装置1の製造コストの低減を図ることができる。
【0103】
また、開閉ロッド44Xを開放位置から前記閉塞位置へ向けて付勢する付勢部材51が設けられることにより、吐出量制御回路33の油圧が低下したときに付勢部材51によって開閉ロッド44Xが閉塞位置まで移動され、開閉ロッド44Xを閉塞位置に移動させてアキュムレーター34に作動油を確実に備蓄させることができる。
【0104】
さらに、開閉ロッド44Xを閉塞位置に保持する保持機構52が設けられているため、アキュムレーター34への作動油の備蓄時に保持機構52によって開閉ロッド44Xが閉塞位置に保持され、吐出量制御装置30における動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0105】
尚、上記には、開閉ロッド44が用いられた構成において付勢部材41を設けた例を示したが、上記した大径部44aと小径部44bを有する開閉ロッド44が用いられた構成においても、付勢部材51を用いることも可能である。また、上記した第1の変形例と第2の変形例において、保持機構50、52が設けられない構成にすることも可能である。
【符号の説明】
【0106】
1…オイルポンプ、11…吸入ポート、12…吐出ポート、13…中間ポート、30…吐出量制御装置、32…ライン圧回路、33…吐出量制御回路、34…アキュムレーター、35…レギュレーター、44…開閉ロッド、45…与圧回路、46…制御弁、47…逆止弁、300…油圧機構、44X…開閉ロッド、51…付勢部材