(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】多斜面の先端形状を有する針
(51)【国際特許分類】
A61M 5/32 20060101AFI20220119BHJP
【FI】
A61M5/32 520
(21)【出願番号】P 2017531616
(86)(22)【出願日】2015-12-10
(86)【国際出願番号】 US2015064923
(87)【国際公開番号】W WO2016094620
(87)【国際公開日】2016-06-16
【審査請求日】2018-09-12
【審判番号】
【審判請求日】2020-08-20
(32)【優先日】2014-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504317824
【氏名又は名称】ファセット・テクノロジーズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】チョプラ,ベンジャミン
【合議体】
【審判長】千壽 哲郎
【審判官】佐々木 一浩
【審判官】井上 哲男
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/073947(WO,A1)
【文献】特開2005-323898(JP,A)
【文献】特表2006-514874(JP,A)
【文献】特開2010-104781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/158
A61M 5/32,520
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端と、遠位端と、前記近位端と前記遠位端との間に延在する長手方向軸線と、前記長手方向軸線に沿って軸方向に延びる細長い内腔と、前記遠位端にある多斜面の先とを有するカニューレを備え、
前記多斜面の先は、近位斜面、一対の中間斜面、及び一対の遠位斜面を含み、前記近位斜面は、前記長手方向軸線に対して第1の傾斜角度で形成され、前記一対の中間斜面は、前記長手方向軸線に対して第2の傾斜角度で形成され、前記一対の遠位斜面は、第3の傾斜角度が形成され、前記一対の遠位斜面は、前記近位斜面と前記一対の中間斜面に対して前記カニューレの前記長手方向軸線を中心に異なる回転角を有し、前記第2の傾斜角度は、その間に顕著な頂点を画定するために、第1の傾斜角度とは実質的に異なり、
前記多斜面の先は、前記内腔と連通する細長い遠位開口部を形成し、前記近位斜面は、前記多斜面の先の最近位部分から、前記多斜面の先の対向する細長い側部に沿って連続的に長手方向に延び、
前記多斜面の先は、軸方向の全長を有し、前記近位斜面は、前記多斜面の先の前記軸方向の全長の少なくとも半分である軸方向の長さを有し、
少なくとも1つの滑らかな横方向の遷移ゾーンは、前記近位斜面、前記中間斜面、及び前記遠位斜面の少なくとも2つの隣接する斜面の間に形成される、
針。
【請求項2】
少なくとも1つの滑らかな周辺の遷移ゾーンが、前記近位斜面、前記中間斜面、及び前記遠位斜面と前記内腔を画定する針の内面との間、前記近位斜面、前記中間斜面、及び前記遠位斜面と前記針の外面との間、又はその両方に形成される、
請求項1に記載の針。
【請求項3】
少なくとも1度の差が、前記第1の傾斜角度と前記第2の傾斜角度との間にもたらされる、
請求項1又は2に記載の針。
【請求項4】
少なくとも2度の差が、前記第1の傾斜角度と前記第2の傾斜角度との間にもたらされる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の針。
【請求項5】
前記第2の傾斜角を、前記第1の傾斜角よりも10%以上大きくした、
請求項1から3のいずれか一項に記載の針。
【請求項6】
前記第2の傾斜角を、前記第1の傾斜角よりも20%以上大きくした、
請求項1から3のいずれか一項に記載の針。
【請求項7】
前記近位斜面は、連続的な平坦面を形成する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の針。
【請求項8】
前記針が取り付けられたハブと組み合わせて、注射器ペンと交換可能な使用のためのペン針を形成する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の針。
【請求項9】
前記注射器ペンと組み合わせる、
請求項8に記載の針。
【請求項10】
請求項1の前記針における前記多斜面の先端を形成する方法であって、
前記第1の傾斜角度で前記近位斜面を形成するために、針用ブランクを研削するステップと、
第2の傾斜角で一対の中間斜面を形成するために、前記針用ブランクを研削するステップであって、前記第1の傾斜角度及び前記第2の傾斜角度は実質的に等しくないステップと、
前記近位斜面及び前記中間斜面からオフセットした第1の回転角度で第1の遠位斜面を形成するために、前記針用ブランクを研削するステップと、
前記第1の回転角度からオフセットすると共に、前記近位斜面及び前記中間斜面からオフセットした第2の回転角度で第2の遠位斜面を形成するために、前記針用ブランクを研削するステップと、
含む方法。
【請求項11】
少なくとも2つの前記近位斜面、前記中間斜面、及び前記遠位斜面の間に滑らかな遷移ゾーンを形成するステップをさらに含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記滑らかな遷移ゾーンは、ビードブラストによって形成される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記一対の遠位斜面は、
前記カニューレの長手方向軸に直交する垂直軸線に対して前記カニューレの前記長手方向軸線を中心に
第1の回転角度で形成され、前記多斜面の先は、前記一対の遠位斜面に対して異なる
第2の回転角度に形成された後方斜面をさらに備える、
請求項1から9のいずれか一項に記載の針。
【請求項14】
前記後方斜面と前記一対の遠位斜面は、前縁を画定するために交差する、
請求項13に記載の針。
【請求項15】
前記第1の回転
角度と前記第2の回転
角度は、約180°プラス又はマイナスの回転オフセットによって互いにオフセットされる、
請求項13又は14に記載の針。
【請求項16】
前記回転オフセットは非ゼロであり、前記後方斜面と前記一対の遠位斜面との前記交差点における前縁は、前記針の長手方向軸線に対して斜めに傾けられる、
請求項15に記載の針。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2014年12月11日に出願された米国仮特許出願第62/090,548号及び2015年4月21日に出願された米国仮特許出願第62/150,697号の利益を主張するものであり、全体の参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、医療用皮下注射針の分野に関し、特に、例えばインスリン又は他の薬剤の送達のために注射ペンで使用されるペン針のような針のために改良された先端形状に関するものである。
【背景技術】
【0003】
様々な形態の皮下注射針が、ヒト又は動物の患者の皮膚を通して、血液採取のために、及び他の医学的や研究目的のために、注射可能な薬剤を体内に送達するために使用される。例えば、ペン針は、糖尿病管理用のインスリンのような薬剤の投与のために医療提供者及び患者によって一般的に使用されている。
【0004】
ペン針は、典型的には、その中に埋め込まれた中空針を有するプラスチックハブを含む。針の一端は、患者の皮膚を貫通する注射用の尖った先端を有し、他端は、注射ペンによって送達される薬剤を受けるように構成される。針を使用後に取り外し、その後に注射ペンを使用するために新しい針と交換可能となるように、ペン針のハブは、典型的には、注射ペンへの取外し可能な取り付けのためのねじ式又はスナップ式の接続部を含む。
【0005】
皮下注射針の鋭利な注入先又は先端形状は、その機能に影響を及ぼし、及び/又はユーザの嗜好に影響を及ぼす可能性がある。例えば、様々な先端形状は、注射中に皮膚を貫通するために多かれ少なかれ力を必要とするかもしれず、及び/又は、様々なユーザは、様々な先端形状を有する針による様々な痛みのレベル又は様々な触覚反応を感じるかもしれない。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、例えば、薬剤の送達、血液サンプリング、又は他の医療若しくは研究の用途において使用される皮下注射針若しくはカニューレのために、改良された先端形状に関する。例示的な形態では、本発明は、例えば糖尿病管理用のインスリンの投与等において、注射ペンと組み合わせて使用されるペン針のために改良された先端形状に関する。
【0007】
1つの態様では、本発明は、針シャフトの長手方向軸線に対して第1の傾斜角度で形成された近位斜面と、長手方向軸線に対して異なる第2の傾斜角度で形成された一対の中間斜面と、針シャフトの長手方向軸線に対して、及び/又は針軸の長手方向軸線に対して異なる回転角度で、及び/又は針の長手方向軸線にほぼ直交する垂直軸線に対して第3の傾斜角で形成された一対の遠位斜面と、を有する多斜面の針の先端形状に関する。好ましくは、回転オフセットは、近位斜面と中間斜面との相互間に設けられておらず、実質的に異なる第1及び第2の傾斜角度は、近位斜面と中間斜面の交点に著しい頂点又はピークを画定する。
【0008】
任意には、1つ以上のアール形状である遷移部は、斜面間の角度オフセット間、少なくとも1つの斜面と針の内腔との間、及び/又は、少なくとも1つの斜面と針の外面との間において、より滑らかな遷移部を設けるために、隣接した斜面の交差点に形成されている。
【0009】
別の態様では、本発明は、針シャフト又はカニューレと多斜面の先とを含む多斜面のペン針に関する。好ましくは、隣接する表面の特徴の間にエッジ又は切れ目を形成する明確な遷移又は交差が存在しないように、少なくとも1つのアール形状の遷移部は、隣接する斜面の間、少なくとも1つの斜面及び内腔の間、及び/又は、少なくとも1つの斜面とカニューレの外面との間に形成されている。
【0010】
さらに別の態様では、本発明は、多斜面のペン針の先端を形成する方法であって、近位端から遠位端まで長手方向軸線に沿って延びる中空の針又はカニューレを設けるステップであって、針は、長手方向軸線に沿ってそれを通って延びる内腔を含むステップと、固定具内に針の近位端を固定するステップであって、遠位端は、概してそれとの係合されていないステップと、長手方向軸線に対して第1の傾斜角で針を位置決めするステップと、近位斜面を形成するために遠位端を研削するステップと、針を長手方向軸線に対して第2の傾斜角度に位置決めするステップと、一対の中間斜面を形成するために遠位端を研削するステップであって、中間斜面は概して近位斜面に隣接するステップと、針を長手方向軸線に対して第3の傾斜角度に位置決めするステップと、長手方向軸線の周りで針を垂直軸線に対して第1の回転角度まで回転させるステップであって、垂直軸線は、概して長手方向軸線に対して横方向であるステップと、第1の遠位斜面を形成するために遠位端を研削するステップと、針を長手方向軸線の周りで垂直軸線に対して第2の回転角度まで回転させるステップであって、第2の回転角度は、第1の回転角度に概して反対であるステップと、第2の遠位斜面を形成するために遠位端を研削するステップと、少なくとも2つの斜面の間、少なくとも1つの斜面と内腔との間、及び少なくとも1つの斜面と針の外面との間に滑らかでアール形状である遷移部を形成するステップと、を含む。
【0011】
さらに別の態様では、本発明は、隣接した斜面との間、少なくとも1つの斜面と内腔との間、及び/又は、少なくとも1つの斜面と針の外面との間において、多斜面の先及び少なくとも1つの滑らかでアール形状である遷移部を含む、多斜面のペン針に関する。針は、概して、長手方向軸線に沿って近位端から遠位端に延び、それを通って延びる細長い内腔を含む。多斜面の先は、針の端部の少なくとも1つの近位に形成され、少なくとも近位斜面及び一対の遠位斜面を含む。近位斜面は、長手方向軸線に対して第1の傾斜角度で形成され、一対の遠位斜面は、長手方向軸線及び/又は長手方向軸線に対して横方向に位置する垂直軸線に対して、第2の傾斜角及び対応する回転角の両方で概して対照的に形成されている。異なる第1及び第2の傾斜角は、傾斜の交差点の頂点又はピークをもたらし、任意には斜面間により滑らかな遷移部を設けるために、円形状又はアール形状であり得る。
【0012】
本発明のこれら及び他の態様、特徴、並びに利点は、本明細書の図面及び詳細な説明が参照して理解され、添付の特許請求の範囲で特に指摘された様々な要素及び組み合わせによって実現されるだろう。前述の一般的な説明と、以下の図面の簡単な説明や例示的な実施形態の詳細な説明の両方は、本発明の例示的な実施形態を説明するものであり、請求項の範囲として本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の例示的な実施形態に係るペン針の遠位端の斜視図である。
【
図2】
図1のペン針の斜視図であり、針ハブから分離された保護キャップ又はカバー、及び露出された針の尖った先端が示されている。
【
図3】
図1のペン針の針先端部分の斜視図であり、本発明の例示的な実施形態に係る針の先端形状を示す。
【
図4】
図3の針先端部分の詳細図であり、斜面と内腔の内面との間、及び斜面と針の外縁との間の滑らかなアール形状である遷移部を示す。
【
図5】
図3の針先端部分の更に詳細且つ異なる斜視図である。
【
図6A】
図3の針先端部分の側面図であり、近位斜面及び中間斜面の傾斜角度を示す。
【
図6B】
図6Aの針先端部分の側面斜視図であり、遠位斜面の傾斜角度を示す。
【
図7】
図6Aの針先端部分の7-7線による部分断面図であり、遠位斜面の回転角度を示す。
【
図9】本発明の別の例示的な実施形態に係る針の先端の斜視図である。
【
図10】
図9の針先端部分の斜視図であり、斜面と内腔の内面との間、及び斜面と針の外縁との間の滑らかなアール形状である遷移部を示す。
【
図12A】
図9の針先端部分の側面図であり、近位斜面の傾斜角度を示す。
【
図13】
図12Aの針先端部分の13-13線による部分断面図であり、遠位斜面の回転角度を示す。
【
図15A】本発明の別の例示的な実施形態に係るペン針の遠位端の斜視図である。
【
図15B】
図15Aのペン針の斜視組立図であり、針ハブから分離された保護キャップ又はカバー、及び露出された針の尖った先端が示されている。
【
図16A】本発明のさらなる例示的な実施形態に係る多斜面の針の先端形状を有する、
図15Aに係るペン針のアセンブリに使用するための針の平面図、側面図、側面斜視図、及び端面図をそれぞれ示す。
【
図16B】本発明のさらなる例示的な実施形態に係る多斜面の針の先端形状を有する、
図15Aに係るペン針のアセンブリに使用するための針の平面図、側面図、側面斜視図、及び端面図をそれぞれ示す。
【
図16C】本発明のさらなる例示的な実施形態に係る多斜面の針の先端形状を有する、
図15Aに係るペン針のアセンブリに使用するための針の平面図、側面図、側面斜視図、及び端面図をそれぞれ示す。
【
図16D】本発明のさらなる例示的な実施形態に係る多斜面の針の先端形状を有する、
図15Aに係るペン針のアセンブリに使用するための針の平面図、側面図、側面斜視図、及び端面図をそれぞれ示す。
【
図17A】本発明の例示的な実施形態に係る多斜面の針の先端形状を有する、針の詳細な斜視図及び平面図を示す。
【
図17B】本発明の例示的な実施形態に係る多斜面の針の先端形状を有する、針の詳細な斜視図及び平面図を示す。
【
図18A】本発明の例示的な実施形態に係る多斜面の針の先端形状を有する、針の詳細な側面図及び平面図を示す。
【
図18B】本発明の例示的な実施形態に係る多斜面の針の先端形状を有する、針の詳細な側面図及び平面図を示す。
【
図19A】本発明の例示的な実施形態に係る多斜面の針の先端形状を有する、別の針の詳細な側面図及び平面図を示す。
【
図19B】本発明の例示的な実施形態に係る多斜面の針の先端形状を有する、別の針の詳細な側面図及び平面図を示す。
【
図20】本発明の例示的な実施形態に係る多斜面の針の先端形状を有する、別の針の詳細な平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、本開示の一部を形成する添付の図面と併せて例示的な実施形態の以下の詳細な説明を参照することにより、より容易に理解され得る。本発明は、本明細書に記載された及び/又は示された特定の装置、方法、条件、又はパラメータに限定されず、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を単なる例として説明するためのものであり、特許請求する発明を限定するものではないことを理解されたい。本明細書で特定されたすべての特許及び他の刊行物は、本明細書に完全に記載されているかのように参照により組み込まれる。
【0015】
また、文脈上明確に別段の指示が行われている場合を除いて、添付の特許請求の範囲を含む明細書で使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は複数を含み、特定の数値への言及は少なくともその特定の値を含む。範囲は、本明細書では、「約」1つの特定の値、及び/又は「約」又は「およそ」の別の特定の値から表現されてもよい。そのような範囲が表される場合、別の実施形態は、1つの特定の値及び/又は他の特定の値を含む。同様に、値が近似値として表現される場合、先行する「約」の使用によって、特定の値が別の実施形態を形成すると理解されるだろう。
【0016】
ここで、図面を参照すると、いくつかの図にわたって同様の参照番号が対応する部分を表しており、
図1は、例示的な形態のペン針Pを示す。
図2は、鋭利な針の先端Nを露出させるために、ハブHから取り外された針ガードG及びカバーCを備えるペン針Pを示す。いくつかの例示的な形態では、針ガードG及び/又はカバーCは、色付けされている。
【0017】
図3から
図8は、本発明の例示的な実施形態による針10の鋭利な先又は先端形状を示す。例示的な形態では、針10は、
図1及び
図2に示すようなペン針Pの針N、標準皮下注射器の針、又は注射若しくは他の医療若しくは研究用途のための様々な他の装置の針を含むことができる。針10は、概して、近位端16から遠位端20まで長手方向軸線Aに沿ってそこを通って延びる流体運搬ダクト又は内腔14を画定する管又はカニューレ12を備える。典型的な実施形態では、カニューレ12及び内腔14の両方(すなわち、カニューレの内壁面及び外壁面)は、カニューレ12の長さに沿って実質的に連続的な壁の厚さを画定するために、概して円筒形であり、互いに同心又は同軸に配置される。針10の近位端16及び/又は内側部分は、ペン針のハブ、シリンジアセンブリのバレル、又は別のデバイス若しくは固定具に取り付けるために構成されている。遠位端20は、好ましくは、例えば本明細書で詳述するように、複数の斜面を含む多斜面の先22を含む。ペン針の先端形状の形態を採用する実施形態に関して本明細書では概して説明されているが、また、本発明の先端形状は、例えば皮下注射針、ランセット、及びカテーテルなどの様々な他のアイテムに関連して使用するように適合可能である。
【0018】
多斜面の先22は、概して軸方向の長さL(
図8参照)によって特徴付けられ、その複数の斜面は、概して内腔14の外縁26の周り/沿って形成される。複数の斜面は、内腔14の遠位開口部に連続的に近接しており、又は内腔の縁から所定距離だけ離間され得る。
図3-
図8の実施形態では、多斜面の先22は、近位斜面30、中間斜面32a、32b、及び一対の遠位斜面34a、34bを備える。図示の実施形態では、一対の中間斜面32a、32b及び一対の遠位斜面34a、34bは、近位斜面30に対して対称的に形成されているが、別の実施形態では、傾斜形状は非対称であり得る。
【0019】
選択的に、アール形状、円形状、又はその他の滑らかな遷移ゾーンは、斜面の間(一般に軸方向)、斜面と内腔との間(一般に半径方向)、及び/又は斜面とカニューレ12の外縁との間に形成される。例えば、
図4及び
図5に示すように、第1の滑らかな遷移部40aは、遠位斜面34a、34bの間に設けられ、長手方向の頂点36に集まる。第2の滑らかな遷移部40bは、遠位斜面34aと中間斜面32aとの間に設けられ、第3の滑らかな遷移部40cは、遠位斜面34bと中間斜面32bとの間に設けられ、第4の滑らかな遷移部40dは、中間斜面32aと近位斜面30の一部との間に設けられ、及び、第5の滑らかな遷移部40eは、中間斜面32bと近位斜面30の一部との間に設けられている。また、例示的な実施形態では、滑らかな遷移部42は、内腔14の外縁26に沿って配置された斜面の各々と内腔14の内面15との間に設けられており(例えば、傾斜面から内腔への遷移部)、滑らかな遷移部44は、斜面の各々の交差点とカニューレ12の外面又は外縁との間に設けられている。例示的な形態では、滑らかな遷移部は、概して、約R0.0001-R0.035ミリメートル、例えば約0.02ミリメートルの曲率半径Rを備える。好ましくは、表面間の遷移部が滑らかとなるように、滑らかな遷移部は、斜面と針の先端の他の表面との間の鋭利なエッジ又は明確に画定された交差点を避ける。滑らかな遷移部は、例えば、針の表面をビードブラスト、研削、研磨、コーティング、又は他の方法で処理することによって形成され得る。
【0020】
図6A、
図6B、及び
図7は、多斜面の先22のさらなる詳細を示す。
図6Aに示すように、近位斜面30は、第1の傾斜角度30aで形成され、中間斜面32a、32bは実質的に異なる(すなわち実質的に等しい)第2の傾斜角度32aで形成され、角度30a及び32aは画定される針軸の長手方向軸線Aに対して相対的に移動可能である。近位斜面30及び中間斜面32bは、好ましくは、同じ回転角度(すなわち、長手方向軸線Aの周りに回転オフセットがない)で形成される。第1の傾斜角度30aは、例えば軸線Aに対して約7.3-7.7度であり得るもので、第2の傾斜角度32aは、例えば軸線Aに対して約9.3-9.7度の間であり得るもので、したがって、約2度(すなわち、角度30a及び32aにおける約20%-25%の相対差)の角度オフセット又は差を画定する。別の実施形態では、第1の傾斜角度30aは、例えば約6.0-9.0度であり、第2の傾斜角度32aは、例えば約8.0-11.0度である。さらに他の実施形態では、第1の傾斜角度32aは、約8度であり、第2の傾斜角度32aは、約10度であり、約2度の差(すなわち約22%の差)をもたらす。好ましくは、第1の傾斜角度30aと第2の傾斜角度32aとの間の角度オフセット又は差は、少なくとも約1.0-2.0度以上、又は少なくとも約10-20%差以上である。このように実質的に等しくない第1及び第2の傾斜角度30a及び32aを設けることは、近似斜面30と中間斜面32a、32bとの交差点に円形状又は滑らかな遷移部40d及び40eの近傍に顕著な頂点又はピークをもたらす。
【0021】
図6Bを参照すると、遠位斜面34a、34bは、長手方向軸線Aに対して例えば約18-19度の間の第3の傾斜角度34aで形成される。別の実施形態では、第3の傾斜角度34aは、長手方向軸線Aに対して約17-20度であり、すなわち例えば約22.2-22.3度の間である。好ましくは、遠位斜面34a、34bを形成する前に、ペン針10は、近位及び中間斜面30、32a、32bに対して実質的に異なる回転角度(同様に傾斜角度で)で遠位斜面34a、34bを形成するために、長手方向軸線Aを中心として時計回り方向及び反時計回り方向にそれぞれ回転される。
図7に示すように、第1の遠位斜面34aと第2の遠位斜面34b(回転角度34βとして示す)との間の針10の全体の回転は、垂直軸線Bに対して約130度である。このように、第1の遠位斜面34aを形成するために、針は、長手方向軸線Aを中心として約65度の回転角度で時計方向に回転され、傾斜角度34aで傾けられる。同様に、第2の遠位斜面34bを形成するために、針10は、傾斜角度34aを維持しながら、(65度の時計回りの位置から)反時計回り方向に約130度で長手方向軸線Aを中心に反時計回り方向に回転される。したがって、例示的な形態では、遠位斜面34a、34bを形成するための回転角度は、概して、長手方向軸線Aの周りを時計回り及び反時計回りの両方向に約65度回転させることによってもたらされる。任意には、回転角度は、時計回り及び反時計回りに約55-75度の間であり得る。
【0022】
斜面間の滑らかな遷移部は、垂直軸線Bと滑らかな遷移部40d、40eとの間に角度30βが画定され、垂直軸線Bと滑らかな遷移部40b、40cとの間に角度32βが設けられるように構成され得る。例示的な実施形態では、角度30βは約90度であり、角度32βは約73度である。好ましくは、近位斜面30と中間斜面32a、32bとの間の回転角度は厳密に(又は少なくとも実質的に)ゼロであるので、角度30βは概してほぼ90度のままであろう。そして、針10は、遠位斜面34a、34bを形成する前に時計回り及び反時計回りの方向に回転するので、角度32βは、概して垂直軸線Bに対して約60度から約80度の間であるだろう。
【0023】
図8を参照すると、例示的な実施形態では、多斜面の表面22の軸方向の全長Lは、約1.3-1.45ミリメートルの間である。さらなる例示的な実施形態では、長さLは、約1.32-1.42ミリメートルの間である。さらなる例示的な実施形態では、長さLは、約1.20-1.60ミリメートルの間である。例示的な実施形態では、近位斜面30の長さ30Lは、約0.800-0.900ミリメートルの間であり、中間斜面32a、32bの長さ32Lは、約0.200-0.250ミリメートルの間であり、遠位斜面34a-bの長さ34Lは、約0.320-0.450ミリメートルの間である。さらなる例示的な実施形態では、近位斜面30の長さ30Lは、約0.810-0.880ミリメートルの間であり、中間斜面32a、32bの長さ32Lは、約0.229-0.236ミリメートルの間であり、遠位斜面34a-bの長さ34Lは、約0.360-0.400ミリメートルの間である。さらなる例示的な実施形態では、近位斜面30の長さ30Lは、約0.600-1.050ミリメートルの間であり、中間斜面32a、32bの長さ32Lは、約0.110‐0.350ミリメートルの間であり、遠位斜面34a-bの長さ34Lは、約0.200-0.620ミリメートルの間である。例示的な実施形態では、近位斜面30の長さ30L1(近位斜面30の山と谷との間で測定される)は、約0.350-0.390ミリメートルの間である。さらなる例示的実施形態では、長さ30L1は、約0.355-0.338ミリメートルの間である。さらなる例示的な実施形態では、長さ30L1は、約0.325-0.400ミリメートルの間である。例えば、典型的な実施形態では、多斜面の先は、内腔と連通する細長い遠位開口部を形成し、近位斜面は、多斜面の先の最近位部分から多斜面の先の対向する細長い側部に沿って連続的に延び、多斜面の先は、軸方向の全長を有し、近位斜面は、多斜面の先の軸方向の全長の少なくとも半分である軸方向の長さを有する。
【0024】
図8に示すように、また、近位、中間、及び遠位斜面30、32a-b、34a-bは、それぞれのアーク長30AL、32AL、及び34ALによって画定され得る。アーク長は、概して、斜面の内縁に沿って、内腔14の外縁26に沿って、隣接する斜面の間の遷移部の間に画定される。一例の形態では、近位斜面30のアーク長30ALは、約0.930-1.050ミリメートルの間であり、中間斜面32a-32bのアーク長32ALは約0.220-0.255ミリメートルの間であり、遠位斜面34a-bのアーク長34ALは、約0.175-0.245ミリメートルの間である。別の例示的な形態では、近位斜面30のアーク長30ALは、約0.944-1.034ミリメートルの間であり、中間斜面32a-bのアーク長32ALは約0.232-0.240ミリメートルの間であり、遠位斜面34a-bのアーク長34ALは、約0.203-0.213ミリメートルの間である。別の例示的な形態では、近位斜面30のアーク長30ALは、約0.650-1.550ミリメートルの間であり得、中間斜面32a-bのアーク長32ALは、約0.150-0.350ミリメートルの間であり得、遠位斜面34a-bのアーク長34ALは、約0.100-0.315ミリメートルの間であり得る。
【0025】
本発明のペン針10は、例えば延伸、成形、又は他の製造工程などの、ステンレス鋼などの鋼材から形成され得る。例示的な形態では、針10は、外径OD及び内径IDを有する。外径ODは、カニューレ12の外周面にわたって測定され、内径IDは、内腔14の内面15にわたって測定される。例示的な形態では、針10の外径ODは、概して、約0.1770-0.3460ミリメートルの間、すなわち例えば約29ゲージから約34ゲージであり、内径は、約0.0550-0.2260ミリメートルの間である。さらなる実施形態では、外径ODは、約0.1778-0.3430ミリメートルの間であり、内径IDは、約0.0578-0.2230ミリメートルの間である。さらなる実施形態では、外径ODは約0.1700-0.335mmの間であり得、内径IDは約0.0500~0.2300mmの間であり得る。例示的な形態では、ペン針は、全長で約4-25ミリメートルである。以下のチャートは、本発明の例示的な実施形態に係るいくつかのゲージ針の例示的な寸法を示す。
【表1】
【0026】
例示的な形態では、本発明の針10は、概して、自動工程において一度に約50-1000針の間で量産される。典型的には、アーム又は他の連接構造体は、針用ブランクを保持するための固定装置のシステムを備え、それらの各々は、針10をもたらす針の先端を形成するためにそれぞれ数回研削される。例示的な形態では、多斜面の先端の斜面は、円盤状の砥石又はベルトによって研削される。例示的な形態では、固定具を保持するアームは、グラインダが針の各々に多斜面を連続して又は同時に提供できるように、グラインダに近接して配置される。好ましくは、針が遠位斜面34a-bを形成するために回転され得るように、固定システムは、それの回転を提供する。傾斜角度に対する調整は、アームの角運動及び/又はアームに対する各固定具の傾斜角度の角度変化によってもたらされ得る。
【0027】
例示的な製造方法では、針用ブランクの端部は、研削される前に平坦な端面から始まり得る。次いで、針用ブランクは、長手方向軸線Aに対して傾斜角度30aに配置され、グラインダは、近位斜面30を形成する。同じ回転角度のままの間において、針用ブランクの傾斜角度は、長手方向軸線Aに対して傾斜角度32aに変更される。グラインダは、中間斜面32a、32bを形成する。残りの遠位斜面34a-34bが形成されるが、これは針用ブランクの傾斜角度及び回転角度に対する調整を必要とする。例示的な形態では、針は、傾斜角度34aに調整され、次に時計回りの方向に約34β、例えば垂直軸線Bから時計回り方向に34βの限界まで回転される。グラインダは、第1の遠位斜面34aを形成する。次いで、針は、回転角度34βの全長にわたって反時計方向に回転され、グラインダは、第2の遠位斜面34bを形成する。あるいは、斜面を形成するための製造工程及び/又はステップの順序は、変更することができる。
【0028】
針10の先端に斜面が形成された後に、斜面と隣接する表面との間の任意のエッジ、交点、又は遷移部が、アール形状、円形状、又は滑らかとなるように、針は、好ましくはビードブラスト工程を経て、非常に小さなガラスビーズが多斜面の先に投影される。1つの形態では、ガラスビーズの投影は、多斜面の先22の特定の部分に必ずしも集中されるわけではなく、代わりに、概して長手方向軸線Aにほぼ垂直な方向に先22に投影される。例示的な形態では、ガラスビーズの噴射は、装置によって制御され、針10の延長部にほぼ平行な方向(それらの間の任意の角度を含む)からほぼ垂直な方向に調整され得る。一例の形態によれば、ガラスビーズの噴射角度は、針10の延長部に対して(例えば、それと平行になる)約30度になるように構成されている。そして、針10は、アルカリ浴、超音波洗浄工程、酸浴、電解研磨工程、洗浄工程、及びパッシベーション工程を経る。好ましくは、これらの工程は、針が研磨され、滑らかであり、バリがなく、腐食に対して耐性が低いことを保証する。任意には、針を処理した後に(例えば、電解研磨、清掃、及び不動態化)、針は、品質基準が満たされていることを確実にするために視覚又は機械検査工程を受ける。概して、検査工程は、針及びその多斜面の先を、目標仕様を有する十分な針のサンプル又は画像と比較することを含む。例えば、いくつかの例示的な形態では、針10は測定され、測定値は、針の2次元寸法のプリントと比較される。針が目標仕様の指定された範囲又は公差内にある場合には、針は、検査に合格し、ペン針、シリンジ、又は他の品目を形成するために組み立てられ、さらに運搬のために処理され、及び/又は包装される。
【0029】
図9-
図14は、本発明の別の例示的な実施形態に係るペン針110を示す。ペン針110は、多くの態様において、上述したペン針10と実質的に類似しているが、上述の5つの斜面の先端形状ではなく3つの斜面の先端形状を備える。ペン針110は、近位斜面130及び一対の遠位斜面134a、134bを備える。ペン針110は、概して、そこを通って延びる内腔114を有する細長いカニューレ112を備え、それは長手方向軸線Aに沿って近位端116から遠位端120まで延びる。
【0030】
円形状、アール形状、又はそれ以外の滑らかな遷移部は、斜面と内腔との間、及び/又は斜面とカニューレ112の外縁との間に任意に設けられる。例えば、
図10-11に示すように、第1の滑らかな遷移部140aは、長手方向の頂点136で集まる遠位斜面134a、134bの間に設けられる。第2の滑らかな遷移部140bは、遠位斜面134aと近位斜面130の一部との間に設けられ、第3の滑らかな遷移部140cは、遠位斜面134bと近位斜面130の一部との間に設けられる。滑らかな遷移部142は、内腔114の周囲126に沿って配置された斜面の各々と内腔114の内面115(例えば、内腔の遷移部に対する斜面)との間に任意に設けられ、滑らかな遷移部144は、各斜面の交差点とカニューレ112の外面又は外周との間に設けられる。
【0031】
図12A、
図12b、及び
図13は、多斜面の先122のより詳細を示す。
図12Aの図示の実施形態では、近位斜面130は、長手方向軸線Aに対して画定された第1の傾斜角度130aで形成される。例えば、1つの例示的な実施形態では、第1の傾斜角度130aは、軸に対して約7.3-7.7度の間である。別の実施形態では、第1の傾斜角度130aは、約6.0-9.0度の間である。
図12Bの図示された実施形態では、遠位斜面134a、134bは、長手方向軸線Aに対して第2の傾斜角度134a、例えば約18.0-19.0度の間で形成される。別の実施形態では、第2の傾斜角度134aは、約18.3-18.9度の間である。任意には、第2の傾斜角度134aは、長手方向軸線Aに対して約17.0-20度の間である。好ましくは、遠位斜面134a、134bを形成する前に、遠位斜面134a、134bが近位斜面130に対して実質的に異なる回転角度で(上述したような異なる傾斜角で)形成されるように、ペン針110は、それぞれ時計回り及び反時計回りの両方向で長手方向軸線Aの周りにそれぞれ回転される。
図13に示すように、第1の遠位斜面134aと第2の遠位斜面134b(回転角134βとして示される)との間の針110の全回転は、垂直軸線Bに対して約130度である。このように、第1の遠位斜面134aを形成するために、針は、長手方向軸線Aを中心に約65度時計方向に回転され、傾斜角度134aで傾けられる。同様に、第2の遠位斜面134bを形成するために、針110は、傾斜角度134aを維持しながら、反時計方向に約130度反時計回り方向(65度の時計回りの位置)で長手方向軸線Aを中心に回転される。したがって、例示的な形態では、遠位斜面134a、134bを形成するための回転角度は、概して、長手方向軸線Aを中心に時計回り及び反時計回りの両方向に針110を約65度回転させることによってもたらされる。任意には、回転角は、時計回り及び反時計回り方向に約55-75度の間であり得る。
【0032】
図示したように、斜面間の滑らかな遷移部は、角度130βが垂直軸線Bと滑らかな遷移部140b、140cとの間に画定されるように構成され得る。例示的な形態では、角度130βは、約73度である。遠位斜面134a、134bを形成する前に針110を時計回り及び反時計回りに回転させるので、角度130βは、概して垂直軸線Bに対して約60度から約85度の間であるだろう。
【0033】
図14に示すように、例示的な実施形態では、多斜面の面122の長さLは、約1.30-1.45mmの間である。さらなる例示的な実施形態では、長さLは約1.32-1.42ミリメートルの間である。さらなる実施形態では、長さLは、約1.220-1.66ミリメートルの間であり得る。例示的な実施形態では、近位斜面130の長さ130Lは、約0.800-0.900ミリメートルの間であり、遠位斜面134a-bの長さ134Lは、約0.320-0.450ミリメートルの間である。さらなる例示的な実施形態では、近位斜面30の長さ130Lは、約0.810-0.880ミリメートルの間であり、遠位斜面34a-bの長さ134Lは、約0.360-0.400ミリメートルの間である。さらなる例示的な実施形態では、近位斜面130の長さ130Lは、約0.600-1.050ミリメートルの間であり、遠位斜面134a-bの長さ134Lは、約0.200-0.620ミリメートルの間である。例示的な実施形態では、近位斜面30の長さ130L1(近位斜面130の山と谷との間で測定される)は、概して、約0.350-0.390ミリメートルの間である。さらなる例示的な実施形態では、長さ130L1は、約0.355-0.338ミリメートルの間である。さらに別の実施形態では、長さ130L1は、約0.325-0.400ミリメートルの間である。
【0034】
近位及び遠位斜面130、134a-bは、それぞれのアール長130AL、134ALによって画定され得る。アール長は、概して、斜面間の遷移部の間に、内腔114の外縁126の周りの斜面の内縁に沿って画定される。一例の形態では、近位斜面130のアール長130ALは、約0.930-1.050ミリメートルの間であり、遠位斜面134a-bのアール長134ALは、約0.175-0.245ミリメートルの間である。例示的な形態では、近位斜面130のアール長130ALは、約0.944-1.034ミリメートルの間であり、遠位斜面134a-bのアール長134ALは、約0.203-0.213ミリメートルの間である。さらなる例では、近位斜面130のアール長130ALは、約0.650-1.550ミリメートルの間であり、遠位斜面134a-bのアール長134ALは、約0.100-0.315ミリメートルの間である。
【0035】
例示的な実施形態では、針110の外径ODは、概して約0.1770-0.3460ミリメートルの間であり、すなわち、例えば約29ゲージから約34ゲージの間であり、内径は、約0.0550-0.2260ミリメートルの間である。さらなる例示的な実施形態では、外径ODは、約0.1778-0.33830ミリメートルの間であり、内径IDは、約0.0578-0.2230ミリメートルの間である。さらに他の例示的な実施形態では、外径ODは、約0.1700-0.3500ミリメートルの間であり得、内径IDは、約0.0500-0.2300ミリメートルの間であり得る。例示的な形態では、ペン針は、全長で約4-25ミリメートルである。上記のグラフ(段落[0047]参照)は、本発明の例示的な実施形態に係るいくつかのゲージ針の例示的な寸法を示す。
【0036】
図15A-20は、本発明のさらなる実施形態に係るペン針及び針の先端形状の追加特徴及び実施形態を示す。例示的な形態では、ペン針210は、ハブ214に取り付けられた針用カニューレ212、シールド216、及び容器又はカバー218を備える。針212は、多斜面の先222を含む遠位端220を有する。多斜面の先222は、近位斜面230、中間斜面232、1つ以上の遠位斜面234、及び後方斜面236を含む複数の斜面を備える。例示的な実施形態では、近位斜面230、中間斜面232、及び遠位斜面234は、上記の実施形態の各々の斜面と実質的に同様に構成され得る。さらなる例示的な実施形態では、1つ以上の近位斜面230、中間斜面232、及び遠位斜面234は、互いに対して異なる傾斜角で、及び/又は互いに対して回転角度で形成される。
【0037】
後方斜面236は、近位斜面230、中間斜面232、及び遠位斜面234から針カニューレ212の回転方向反対側又は面上に(すなわち、カニューレの軸線Cの周りで約180°の回転方向で)形成されることが好ましい。後方斜面236は、好ましくは、先222の先端に鋭利な前縁240を画定するのに十分な深さまでカニューレ212の壁厚に研削され、後方斜面の平面が遠位斜面234の平面と交差してチゼルの先端形状を画定する。任意には、後方斜面236は、(カニューレの軸線Cに対して)斜めに傾斜した前縁240を形成するために、遠位斜面234に対してわずかに角度的にオフセットした(180°から)回転配向で形成される。
図16cに示される実施形態では、後方斜面は、遠位斜面234から約152°の回転オフセットで研削される。代替の実施形態では、回転オフセットは、カニューレの軸Cに対して前縁240の角度を変化させるために、例えば+/-45°、+/-30°、+/-15°、+/-5°、及び/又は厳密な180°からの他のオフセットの範囲内にされ得る。あるいは、後方斜面236は、カニューレの軸Cに対して直角又は横方向の前縁を形成するために、遠位斜面234から回転オフセットして180°に形成され得る。針210は、本発明の範囲内の例示的な実施形態において、様々な異なる斜面形状及び先端構成だけでなく、様々な異なるゲージ、長さ、針形状等で上述したものと同様の方法で形成され得る。
【0038】
本発明は、好ましい例示的な実施形態を参照して説明されてきたが、当業者であれば、以下の特許請求の範囲によって画定されるように、様々な修正、追加、及び削除が本発明の範囲内であることが理解されるであろう。