(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】読取システム
(51)【国際特許分類】
H01Q 21/24 20060101AFI20220119BHJP
H01Q 9/40 20060101ALI20220119BHJP
H01Q 3/24 20060101ALI20220119BHJP
G06K 7/00 20060101ALI20220119BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20220119BHJP
G07G 1/00 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
H01Q21/24
H01Q9/40
H01Q3/24
G06K7/00 004
G06K7/10 236
G06K7/10 304
G07G1/00 311Z
(21)【出願番号】P 2018022792
(22)【出願日】2018-02-13
【審査請求日】2020-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】室伏 信男
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-286755(JP,A)
【文献】特開2017-228992(JP,A)
【文献】国際公開第2011/145264(WO,A1)
【文献】特開平04-134910(JP,A)
【文献】特開2010-171836(JP,A)
【文献】特開2016-129320(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0220959(US,A1)
【文献】特開2007-287048(JP,A)
【文献】米国特許第06371375(US,B1)
【文献】Sylvain PFLAUM, Robert STARAJ, Georges KOSSIAVAS,Planar Inverted F Antenna Circularly Polarized for RFID applications,Proceedings of the 2012 IEEE International Symposium on Antennas and Propagation,IEEE,2012年,DOI:10.1109/APS.2012.6349342
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 3/00-11/20
H01Q 21/00-25/04
G06K 7/00- 7/14
G07G 1/00- 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグを読み取る第1の読取装置と、第2の読取装置と、情報処理装置とを備える読取システムであって、
前記第1の読取装置
は、
一の頂点から2方向に分岐したアンテナ素子と、
前記アンテナ素子の底面を覆う第1の導体と、
前記アンテナ素子の側面の一部を覆う第2の導体と、
を備え
、
前記第2の読取装置は、
前記アンテナ素子の前記頂点の劣角側に配置され、
前記情報処理装置は、
前記第1の読取装置の読取結果と、前記第2の読取装置の読取結果とに基づいて、前記無線タグを有する物品を特定する読取管理手段、
を備える読取システム。
【請求項2】
前記アンテナ素子は、前記頂点の角度が略直角である、
請求項1に記載の
読取システム。
【請求項3】
前記第1の読取装置は、
2方向に分岐した各方向に信号を出力する分岐回路を備える、
請求項1
又は2に記載の
読取システム。
【請求項4】
前記読取管理手段は、前記第1の読取装置の読取結果と、前記第2の読取装置の読取結果との両方に同一の情報が含まれていることを条件に、前記物品を特定する、
請求項1乃至3の何れか一項に記載の読取システム。
【請求項5】
前記第2の読取装置は、コードシンボルを読み取る読取装置である、
請求項1乃至請求項4
の何れか一項に記載の読取システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、読取システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、RFID(Radio Frequency Identification)タグや、電子タグや、応答器と呼ばれる無線タグに記憶されている情報を読み書きする無線タグ読取装置が知られている。
【0003】
例えば、無線タグは、カードやスマートフォン等の携帯可能な物品に埋め込まれる。そして、無線タグ読取装置は、無線タグが埋め込まれた物品がアンテナにかざされた場合に、無線タグと無線通信を実行する。これにより、無線タグ読取装置は、無線タグに記憶されている情報の読み書きを実行する。
【0004】
しかしながら、人間の手は誘電体である。そのため、アンテナは、手がアンテナに近づけられると、電波の放射特性が阻害されてしまう。そこで、無線タグが手に持ってアンテナにかざされた場合であっても、アンテナが放射する電波の放射特性の悪化を軽減させる技術が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電波の放射特性の悪化を軽減することができる読取システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の読取システムは、無線タグを読み取る第1の読取装置と、第2の読取装置と、情報処理装置とを備える。前記第1の読取装置は、アンテナ素子と、第1の導体と、第2の導体とを備える。前記テナ素子は、一の頂点から2方向に分岐する。前記第1の導体は、前記アンテナ素子の底面を覆う。前記第2の導体は、前記アンテナ素子の側面の一部を覆う。前記第2の読取装置は、前記アンテナ素子の前記頂点の劣角側に配置される。前記情報処理装置は、前記第1の読取装置の読取結果と、前記第2の読取装置の読取結果とに基づいて、前記無線タグを有する物品を特定する読取管理手段を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本実施形態にかかる読取システムの構成の一例を説明する説明図である。
【
図2】
図2は、アンテナの外観構成の一例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、第1アンテナ素子、及び第2アンテナ素子に流れる電流の方向の一例を説明する説明図である。
【
図4】
図4は、アンテナが形成する読取領域の一例を説明する正面図である。
【
図5】
図5は、アンテナが形成する読取領域の一例を説明する左側側面図である。
【
図6】
図6は、POS端末のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、コードシンボル読取装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、無線タグ読取装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、無線タグのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、読取システムが備える各装置特徴的な機能構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、アンテナおよび読取システムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、アンテナおよび読取システムの一実施形態であって、その構成や仕様等を限定するものではない。本実施形態のアンテナおよび読取システムは、例えばスーパーマーケット等の店舗において、無線タグと電波を送受信するアンテナと接続されたPOS(Point Of Sales)端末への適用例である。
【0009】
図1は、本実施形態にかかる読取システム1の構成の一例を説明する説明図である。読取システム1は、POS端末10と、コードシンボル読取装置20と、無線タグ読取装置30とを備えている。POS端末10は、コードシンボル読取装置20、及び無線タグ読取装置30と通信可能に接続されている。読取システム1は、各装置により物品4が備えているコードシンボル41又は物品4が備えている無線タグ42を読み取る。
【0010】
POS端末10は、販売対象の商品を登録する販売登録と、販売登録により登録された商品の会計処理とを実行する情報処理装置である。また、POS端末10は、コードシンボル読取装置20、及び無線タグ読取装置30に読取対象の読取処理の実行を要求する。そして、POS端末10は、コードシンボル読取装置20、及び無線タグ読取装置30から読取処理の実行結果を受信する。
【0011】
コードシンボル読取装置20は、第2の読取装置の一例である。コードシンボル読取装置20は、バーコードや、2次元コード等のコードシンボル41を読み取る読取装置である。コードシンボル読取装置20は、例えばレーザ光を照射して反射光によりコードシンボル41を読み取る。コードシンボル読取装置20は、POS端末10から読取処理の実行要求を受信した場合に読取処理を実行する。そして、コードシンボル読取装置20は、読取処理による読取結果をPOS端末10に送信する。
【0012】
無線タグ読取装置30は、第1の読取装置の一例である。無線タグ読取装置30は、RFID(Radio Frequency Identification)タグや、電子タグや、応答器と呼ばれる無線タグ42と無線通信を実行することで、無線タグ42に各種情報の読み書きを実行する読取装置である。無線タグ読取装置30は、POS端末10から読取処理の実行要求を受信した場合に、無線タグ42を読み取る電波を送信する。また、無線タグ読取装置30は、無線タグ42が記憶している各種情報を、無線タグ42から受信する。このようにして、無線タグ読取装置30は、読取処理を実行する。そして、無線タグ読取装置30は、読取処理による読取結果をPOS端末10に送信する。
【0013】
次に、無線タグ読取装置30が備えているアンテナ31について説明する。ここで、
図2は、アンテナ31の外観構成の一例を示す斜視図である。
【0014】
アンテナ31は、中空部312を有する矩形形状の筐体311を備えている。中空部312には、コードシンボル読取装置20が配置される。コードシンボル読取装置20は、例えば
図2の正面や左側面に向けてコードシンボル41を読み取るレーザ光を照射する。また、
図2に示す中空部312は、矩形形状であるが、円形であってもよいし、コードシンボル読取装置20の形状に合わせた形状であってもよい。
【0015】
アンテナ31は、筐体311の内部に、一の頂点から2方向に分岐したアンテナ素子313を備えている。アンテナ素子313は、例えば基板上に形成される基板アンテナである。以下、
図2に示すX方向に伸びたアンテナ素子313を第1アンテナ素子314と呼称する。また、
図2に示すY方向に伸びたアンテナ素子313を第2アンテナ素子315と呼称する。
【0016】
本実施形態では、無線タグ読取装置30は、無線タグ42をかざす操作者から見て、操作者の右側前方に配置されることを想定している。そして、操作者は、右手に無線タグ42を持ち、無線タグ42をアンテナ31の上方から無線タグ42をかざすことを想定している。この場合、操作者は、筐体311の前方の辺、又は左側の辺の方向から、無線タグ42をかざす。そこで、無線タグ読取装置30は、筐体311の前方の辺、又は左側の辺の方向から進入した手が所持している無線タグ42を読み取ることを想定している。
【0017】
次に、アンテナ素子313について詳細について説明する。
【0018】
図3は、第1アンテナ素子314、及び第2アンテナ素子315に流れる電流の方向の一例を説明する説明図である。
図4は、アンテナ31が形成する読取領域の一例を説明する正面図である。
図5は、アンテナ31が形成する読取領域の一例を説明する左側側面図である。
【0019】
第1アンテナ素子314は、X方向に長い矩形形状になっている。第2アンテナ素子315は、Y方向に長い矩形形状になっている。そして、第1アンテナ素子314と、第2アンテナ素子315とは、頂点を共有する共役角を形成している。さらに詳しくは、第1アンテナ素子314と、第2アンテナ素子315とは、一の頂点の角度が略直角を形成するように配置される。
【0020】
アンテナ素子313は、底面が底面導体部316により覆われている。底面導体部316は、第1の導体の一例である。また、アンテナ素子313は、アンテナ素子313の側面の一部が側面導体部317に覆われている。さらに詳しくは、第1アンテナ素子314と、第2アンテナ素子315とが形成する共有角のうち優角側の側面が側面導体部317により覆われている。側面導体部317は、第2の導体の一例である。底面導体部316、及び側面導体部317は、金属等の導体により形成されている。
【0021】
そして、第1アンテナ素子314には、X方向、つまり第1アンテナ素子314の長手方向に高周波信号電流が流れている。よって、第1アンテナ素子314には、高周波信号電流が流れている方向と直交する方向、つまりY方向に直線偏波を放射する。また、第2アンテナ素子315には、Y方向、つまり第2アンテナ素子315の長手方向に高周波信号電流が流れている。よって、第2アンテナ素子315には、高周波信号電流が流れている方向と直交する方向、つまりY方向に直線偏波を放射する。すなわち、第1アンテナ素子314と第2アンテナ素子315とは、90度位相をずらして電波を放射する。
【0022】
また、アンテナ素子313は、底面が底面導体部316に覆われ、優角側の側面が側面導体部317に覆われている。底面導体部316と、側面導体部317とは、アンテナ素子313が放射する電波を反射して、底面側方向や優角側方向に電波が放射されることを低減するとともに、上方や劣角側方向に電波が強くなるようにしている。その結果、第1アンテナ素子314は、
図4に示すように、上方や劣角側方向に電波を放射して、無線タグ42の読取領域を形成する。同様に、第2アンテナ素子315は、
図5に示すように、上方や劣角側方向に電波を放射して、無線タグ42の読取領域を形成する。すなわち、アンテナ素子313は、無線タグ42がかざされると想定している領域に読取領域を形成することができる。
【0023】
ここで、直線偏波が一方向から放射されている場合、無線タグ42のアンテナ421(
図9参照)向きによっては、無線タグ42は、通信が行えないことがある。しかし、第1アンテナ素子314と第2アンテナ素子315とは、それぞれ略直交するように直線偏波を放射している。よって、第1アンテナ素子314と第2アンテナ素子315とは、通信精度を向上させることができる。
【0024】
また、コードシンボル読取装置20は、中空部312に配置される。すなわち、コードシンボル読取装置20は、第1アンテナ素子314と第2アンテナ素子315とが形成する頂点の内側に配置される。そして、コードシンボル読取装置20は、
図2の正面や左側面等に向けてコードシンボル41を読み取るレーザ光を照射する。また、アンテナ素子313は、
図4及び
図5に示す領域に読取領域を形成する。従って、コードシンボル読取装置20と、無線タグ読取装置30との読取領域は重なっていることから、物品4を一度かざすことにより両装置は読取処理を実行することができる。
【0025】
次に、読取システム1が備える各装置のハードウェア構成について説明する。
【0026】
図6は、POS端末10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。POS端末10は、制御部101、記憶部102、通信インタフェース103、第1接続インタフェース104、第2接続インタフェース105、キーボード106、第1表示部107、第2表示部108、印字部109、及びカードリーダライタ110を備える。
【0027】
制御部101は、POS端末10の全体の動作を制御し、POS端末10が有する各種の機能を実現するコンピュータである。制御部101は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを備える。CPUは、POS端末10の動作を統括的に制御する。ROMは、各種プログラムやデータを記憶する記憶媒体である。RAMは、各種プログラムや各種データを一時的に記憶する記憶媒体である。そして、CPUは、RAMをワークエリア(作業領域)としてROM又は記憶部102等に格納されたプログラムを実行する。
【0028】
記憶部102は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの記憶装置である。記憶部102は、制御プログラム111を記憶する。制御プログラム111は、オペレーティングシステムや、POS端末10が備えている機能を発揮させるためのプログラムである。制御プログラム111には、本実施形態に係る特徴的な機能を発揮させるプログラムが含まれる。
【0029】
通信インタフェース103は、ネットワークに接続された各種装置と通信するためのインタフェースである。
【0030】
第1接続インタフェース104は、コードシンボル読取装置20と通信するためのインタフェースである。第2接続インタフェース105は、無線タグ読取装置30と通信するためのインタフェースである。
【0031】
キーボード106は、POS端末10を操作する各種キーを備える。
【0032】
第1表示部107は、表示面上にタッチパネルが積層された液晶表示装置等である。第1表示部107は、例えば、店舗の店員に向けて各種画面を表示する。第2表示部108は、表示面上にタッチパネルが積層された液晶表示装置等である。第2表示部108は、例えば、顧客に向けて各種画面を表示する。
【0033】
印字部109は、取引内容やポイント状況等が示されたレシート等を用紙に印字するプリンタである。カードリーダライタ110は、カードに付されている磁性体等の記憶媒体が記憶する情報の読み取り及び書き込みを実行する装置である。
【0034】
図7は、コードシンボル読取装置20のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。コードシンボル読取装置20は、制御部201、接続インタフェース202、及びスキャナ203を備える。
【0035】
制御部201は、コードシンボル読取装置20の全体の動作を制御し、コードシンボル読取装置20が有する各種の機能を実現するコンピュータである。制御部201は、CPUと、ROMと、RAMとを備える。CPUは、コードシンボル読取装置20の動作を統括的に制御する。ROMは、各種プログラムやデータを記憶する記憶媒体である。RAMは、各種プログラムや各種データを一時的に記憶する記憶媒体である。そして、CPUは、RAMをワークエリア(作業領域)としてROM等の記憶媒体に格納されたプログラムを実行する。
【0036】
接続インタフェース202は、POS端末10と通信するためのインタフェースである。
【0037】
スキャナ203は、光を照射して、反射した反射光を受光する。これにより、スキャナ203は、コードシンボル41等を読み取る。
【0038】
図8は、無線タグ読取装置30のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。無線タグ読取装置30は、制御部301、接続インタフェース302、送信部303、受信部304、及びアンテナ31を備える。さらに、アンテナ31は、第1アンテナ素子314、第2アンテナ素子315、及び分岐部319を備える。
【0039】
制御部301は、無線タグ読取装置30の全体の動作を制御し、無線タグ読取装置30が有する各種の機能を実現するコンピュータである。制御部301は、CPUと、ROMと、RAMとを備える。CPUは、無線タグ読取装置30の動作を統括的に制御する。ROMは、各種プログラムやデータを記憶する記憶媒体である。RAMは、各種プログラムや各種データを一時的に記憶する記憶媒体である。そして、CPUは、RAMをワークエリア(作業領域)としてROM等の記憶媒体に格納されたプログラムを実行する。
【0040】
接続インタフェース302は、POS端末10と通信するためのインタフェースである。
【0041】
送信部303は、符号化回路、変調回路、フィルタ回路、及び増幅回路を備えている。送信部303は、これらの回路により制御部から出力されるデジタル信号を高周波のアナログ信号に変換する。そして、送信部303は、高周波のアナログ信号を出力する。
【0042】
受信部304は、復調回路、フィルタ回路、及び復号化回路を備えている。受信部304は、これらの回路により第1アンテナ素子314、又は第2アンテナ素子315から出力される高周波のアナログ信号をデジタル信号に変換する。そして、受信部304は、デジタル信号を出力する。
【0043】
分岐部319は、分岐回路の一例である。分岐部319は、第1アンテナ素子314と、第2アンテナ素子315との2方向に分岐した各方向に高周波のアナログ信号を出力する電子回路である。さらに詳しくは、分岐部319は、送信部303から入力された高周波のアナログ信号を第1アンテナ素子314と、第2アンテナ素子315とに出力する。また、分岐部319は、第1アンテナ素子314と、第2アンテナ素子315とから入力された高周波のアナログ信号を受信部304に出力する。
【0044】
図9は、無線タグ42のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。無線タグ42は、アンテナ421、送受信部422、及び記憶部423を備える。
【0045】
アンテナ421は、電波等を送受信する。
【0046】
送受信部422は、アンテナ421が受信した電波を用いて電磁誘導等により発電する。そして、送受信部422は、発電した電力を用いて読み出し処理や書き込み処理を実行する。
【0047】
また、送受信部422は、無線タグ42が記憶している情報を読み出す電波をアンテナ421が受信した場合に、記憶部423の情報をアンテナ421に送信させる。送受信部422は、無線タグ42に情報を書き込む電波をアンテナ421が受信した場合に、受信した電波に含まれている情報を記憶部423に書き込む。
【0048】
記憶部423は、電力が供給されなくても情報を記憶することができる不揮発性の書換え可能な記憶媒体である。記憶部423は、例えば無線タグ42を識別可能な識別コードを記憶している。なお、記憶部423は、識別コードに代えて、又は識別コードと共に、任意の情報を記憶していてもよい。
【0049】
次に、読取システム1が備える各装置の特徴的な機能について説明する。ここで、
図10は、読取システム1が備える各装置特徴的な機能構成の一例を示すブロック図である。
【0050】
POS端末10の制御部101は、記憶部102の制御プログラム111をRAMに展開し、制御プログラム111に従って動作することで、
図10に示す各機能部をRAM上に生成する。具体的には、POS端末10の制御部101は、機能部として、接続制御部1001と、商品登録部1002と、会計処理部1003と、読取管理部1004と、出力制御部1005とを備える。
【0051】
接続制御部1001は、第1接続インタフェース104を制御して、コードシンボル読取装置20との通信を実行する。また、接続制御部1001は、第2接続インタフェース105を制御して、無線タグ読取装置30との通信を実行する。
【0052】
商品登録部1002は、販売対象の商品の販売登録を制御する。商品登録部1002は、商品を識別可能な商品コードが入力された場合に、商品コードにより特定される商品を販売登録する。
【0053】
会計処理部1003は、商品登録部1002が販売登録した商品の会計処理を制御する。例えば、会計処理部1003は、商品登録部1002が販売登録した商品の合計価格を算出する。また、会計処理部1003は、顧客から受領した金額から合計価格を減算してお釣りを算出する。
【0054】
読取管理部1004は、コードシンボル読取装置20、及び無線タグ読取装置30による読取処理を制御する。例えば、読取管理部1004は、読取処理を開始させる操作等を受け付けた場合に、読取処理の開始を要求する読取開始要求を接続制御部1001に送信させる。読取管理部1004は、コードシンボル読取装置20と、無線タグ読取装置30との両方の読取装置に対して一度に読取開始要求を送信させてもよいし、両方の読取装置に対して別々に読取開始要求を送信させてもよい。読取管理部1004は、例えば読取処理を終了させる操作や、読取処理の読取結果を受信した場合等に、読取処理の終了を要求する読取終了要求を接続制御部1001に送信させる。
【0055】
また、読取管理部1004は、接続制御部1001が受信した読取結果を用いて、かざされた物品4を特定する。例えば、読取管理部1004は、コードシンボル読取装置20の読取結果と、無線タグ読取装置30の読取結果との何れか一方の読取結果に含まれている情報からかざされた物品4を特定する。または、読取管理部1004は、コードシンボル読取装置20の読取結果と、無線タグ読取装置30の読取結果との両方に同一の情報が含まれていることを条件にかざされた物品4を特定してもよい。
【0056】
また、読取管理部1004は、コードシンボル読取装置20の読取結果と、無線タグ読取装置30の読取結果との複合により物品4をかざされた特定してもよい。例えば、読取対象の物品4が期限付きのクーポン券である場合に、コードシンボル読取装置20の読取結果により期限を特定し、無線タグ読取装置30の読取結果によりクーポン券の種別を特定してもよい。
【0057】
出力制御部1005は、読取結果を出力する。例えば、出力制御部1005は、第1表示部107、及び第2表示部108を制御して、読取結果を表示出力する。または、出力制御部1005は、印字部109を制御して、読取結果を印字出力する。
【0058】
コードシンボル読取装置20の制御部201は、ROMのプログラムをRAMに展開し、プログラムに従って動作することで、
図10に示す各機能部をRAM上に生成する。具体的には、コードシンボル読取装置20の制御部201は、機能部として、接続制御部2001と、読取制御部2002とを備える。
【0059】
接続制御部2001は、接続インタフェース202を制御して、POS端末10との通信を実行する。
【0060】
読取制御部2002は、スキャナ203を制御して、読取処理を実行する。例えば、読取制御部2002は、接続制御部2001が読取開始要求を受信した場合に、読取処理を開始する。読取制御部2002は、コードシンボル41を読み取った場合に、読み取ったコードシンボル41に含まれている情報を含む読取結果を接続制御部2001に送信させる。読取制御部2002は、接続制御部2001が読取終了要求を受信した場合に、読取処理を終了する。
【0061】
無線タグ読取装置30の制御部301は、ROMのプログラムをRAMに展開し、プログラムに従って動作することで、
図10に示す各機能部をRAM上に生成する。具体的には、無線タグ読取装置30の制御部301は、機能部として、接続制御部3001と、読取制御部3002とを備える。
【0062】
接続制御部3001は、接続インタフェース302を制御して、POS端末10との通信を実行する。
【0063】
読取制御部3002は、送信部303、受信部304、及びアンテナ31を制御して、読取処理を実行する。例えば、読取制御部3002は、接続制御部3001が読取開始要求を受信した場合に、読取処理を開始する。
【0064】
読取制御部3002は、読取処理が終了した場合に、読み取った情報を含む読取結果を接続制御部3001に送信させる。読取制御部3002は、接続制御部3001が読取終了要求を受信した場合に、読取処理を終了する。
【0065】
以上のように、本実施形態に係る無線タグ読取装置30のアンテナ31によれば、アンテナ素子313は、一の頂点から第1アンテナ素子314と、第2アンテナ素子315との2方向に分岐している。すなわち、無線タグ42をかざす操作者が無線タグ42をかざす付近にはアンテナ素子313が配置されていない。さらに、アンテナ素子313の底面は、導体により形成された底面導体部316に覆われている。また、アンテナ素子313の側面の一部は、側面導体部317に覆われている。よって、アンテナ31は、第1アンテナ素子314と、第2アンテナ素子315との内側上方に電波強度の高い読取領域を形成している。従って、本実施形態に係る無線タグ読取装置30のアンテナ31は、電波の放射特性の悪化を軽減することができる。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0067】
また、上記実施形態では、第2の読取装置の一例としてコードシンボル読取装置20の場合を例に説明した。しなしながら、第2の読取装置は、コードシンボル読取装置20に限らず、他の読取装置であってもよい。例えば、第2の読取装置は、第1の読取装置である無線タグ読取装置30とは異なる周波数帯に対応した無線タグ42を読み取る読取装置であってもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、第1アンテナ素子314と、第2アンテナ素子315とは一定になっている。しかしながら、第1アンテナ素子314と、第2アンテナ素子315とは別々のアンテナ素子であってもよい。
【0069】
上記実施形態や変形例の各装置で実行されるプログラムは、各装置が備える記憶媒体(ROM又は記憶部)に予め組み込んで提供するものとするが、これに限らないものとする。例えば、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。さらに、記憶媒体は、コンピュータ或いは組み込みシステムと独立した媒体に限らず、LANやインターネット等により伝達されたプログラムをダウンロードして記憶又は一時記憶した記憶媒体も含まれる。
【0070】
また、上記実施形態や変形例の各装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよいし、インターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 読取システム
10 POS端末
20 コードシンボル読取装置
30 無線タグ読取装置
31 アンテナ
312 中空部
313 アンテナ素子
314 第1アンテナ素子
315 第2アンテナ素子
316 底面導体部
317 側面導体部
319 分岐部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0072】