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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】建築用シャッター装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/17 20060101AFI20220119BHJP
【FI】
E06B9/17 T
E06B9/17 W
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018102353
(22)【出願日】2018-05-29
(65)【公開番号】P2019206841
(43)【公開日】2019-12-05
【審査請求日】2021-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(74)【代理人】
【識別番号】100206106
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】高橋 巧
(72)【発明者】
【氏名】山藤 義広
(72)【発明者】
【氏名】青木 駿介
【審査官】藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-036576(JP,A)
【文献】特開2001-295567(JP,A)
【文献】実開平02-043398(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0226745(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00 - 9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に通過可能な開口部の開閉をするシャッターカーテンと、該シャッターカーテンの開閉案内をするガイドレールと、前記シャッターカーテンが巻装される巻取りドラムと、該巻取りドラムの左右各端部を支持するべく躯体側に取付けられる左右の支持ブラケットと、巻取りドラムから繰出されるシャッターカーテンの移動を許容するべく躯体側とのあいだに間隙を存する状態で左右支持ブラケット間に設けられるマグサ部とを備えて構成される建築用シャッター装置において、
前記マグサ部を補強するための補強部材を設けるにあたり、
該補強部材は、巻取りドラムの上方に配される状態で基端部が躯体側に支持される第一補強体と、巻取りドラムの下方に配される状態で基端部がマグサ部側に支持される第二補強体と、巻取りドラムの躯体側とは反対側に配される状態で前記第一、第二補強体の先端部に上下端部が前後方向移動自在かつ着脱自在に支持される第三補強体とを備えて構成されていることを特徴とする建築用シャッター装置。
【請求項2】
第一補強体は躯体側に対して前後方向移動自在に支持され、第二補強体はマグサ部側に対して前後方向移動自在に支持されていることを特徴とする請求項1記載の建築用シャッター装置。
【請求項3】
第三補強体は、第一、第二補強体に対してそれぞれ上下方向移動自在に支持されていることを特徴とする請求項1または2記載の建築用シャッター装置。
【請求項4】
第一補強体と第三補強体とのあいだには、第一補強体に対しては前後方向移動自在で、第三補強体に対しては上下方向移動自在な第一補助補強体が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載の建築用シャッター装置。
【請求項5】
第二補強体と第三補強体とのあいだには、第二補強体に対しては前後方向移動自在で、第三補強体に対しては上下方向移動自在な第二補助補強体が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1記載の建築用シャッター装置。
【請求項6】
第一補強体は、躯体側に対して前後方向移動自在かつ着脱自在に支持され、第二補強体は、マグサ部側に対して前後方向移動自在かつ着脱自在に支持されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1記載の建築用シャッター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の出入り口等の開口部に建て付けられる建築用シャッター装置の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、ビル、マンション等の建築物には、人物や車両等の移動体が前後方向(内外方向)に通過可能な出入口等の開口部が設けられるが、該開口部に、シャッターカーテンを開閉自在に移動せしめることで開口部の開閉をするように構成した建築用シャッター装置を建て付けることがある。このような建築用シャッター装置のなかには、開口部の間口幅(左右幅)が左右に広いところに建て付けることがあり、このような場合には、建築用シャッター装置も間口幅に対応して左右幅広のものとなる。
ところで建築用シャッター装置は、シャッターカーテンが巻装される巻取りドラムの左右両端部を左右の支持ブラケットで支持することになるが、該支持ブラケットは、躯体側に設けられる縦面(縦壁)に前後方向一端部が取付けられる(固定される)一方で、該左右の支持ブラケット間に、躯体側とのあいだに間隙(隙間)を存する状態でマグサ部を設け、該間隙を移動経路(移動空間)として前記巻取りドラムから繰出されるシャッターカーテンが開閉移動をする構成になっている。
このようなマグサ部は、左右両端部については支持ブラケットを介して躯体側に支持できるため強度上の問題が生じない構成にすることはできるが、左右方向中間部については、躯体側に対して前記間隙を存するものであるため、躯体側からの直接的な支持を受けることができず、この結果、どうしても強度的に弱いものになりがちであって、この傾向は間口幅が広いものほど顕著になり、場合によっては、マグサ部の左右方向中間部位が重みにより垂れ下がったものになってしまう惧れがある。
このような建築用シャッター装置において、巻取りドラム等の構成部材が外部から視認される建付け構成となるものがあり、このようなものでは、これら構成部材全体をシャッターケースで覆蓋して外部から視認できないようにする(目隠しする)ことになるが、このような場合のシャッターケースは、外部に露出するものであるため耐久性が要求されることになって強度的に強いものとなるのが一般的である。そこでこのようなシャッターケースが設けられるものでは、該シャッターケースの上板(天板)から垂設した補強部材を前記マグサ部側に連結するようにし、これによって該マグサ部の補強をするようにしたものが提唱されている(例えば特許文献1参照。)。
ところが建築用シャッター装置のなかには、シャッターカーテンを含めた装置全体の重量が重い重量式の建築用シャッター装置に数多く見受けられるが、巻取りドラムを含めた構成部材を天井内に収容して通常ではこれら構成部材が外部から直接視認できないようにして建て付けるものがあり、このようなものでは前記のようなシャッターケースが必ずしも必要でないため、シャッターケース自体が設けられていないもの(無いもの)、またはシャッターケースが設けられていたとしても、該シャッターケースは、単に巻取りドラムに巻装されたシャッターカーテンを覆蓋する程度の簡易的なものであれば十分であって強度的に弱く、これらのような場合には、前記マグサ部を、強度的に強いシャッターケースを利用して補強する、ということは事実上できないものとなる。
そこでこのようにシャッターケースが設けられていなかったり、設けられていても強度的に弱いものであったりした場合、上端部が躯体側に固定されたコ字形をした補強部材の下端部をマグサ部側に連結することで該マグサ部の補強をするように構成したものが提唱されている(例えば特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-132736号公報
【文献】特開2013-227854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そして前記特許文献2のように躯体側に支持されるコ字形の補強部材を採用することで、マグサ部について必要な強度を確保できることにはなったが、建築用シャッター装置は、現場(建付け現場)での設置条件が個々に異なることもあり、このため前記補強部材についても、これら設置条件に対応したものを用意することが要求される。
ところで補強部材としては、前記設置条件に対応したものを予め工場にて熔着(溶接)により組立て、これを現場に供給するようにしているが、このようにした場合、工場では現場に対応した数多くの補強部材を製作し、在庫として保管しておく必要があるため、工場での生産管理、在庫管理等の管理が煩雑になるだけでなく、工場での広い保管場所の確保、さらには現場搬送するときに広い荷台スペースの確保が必要になってしまうという問題がある。
また万が一、現場搬送された補強部材の納まり寸法が実際要求されるものと異なっていた場合、補強部材は溶着固定されたものであるため現場での修正ができず、急遽、補強部材を工場に再発注して対応しなければならなくなるが、この場合、補強部材を修正したり発注品が納品されるまでのあいだ建築用シャッター装置の組立て作業が中断され、場合によっては納期に間に合わない等の事態が発生する惧れがある。
この様なことを想定して、補強部材を現場組立てすることが提唱されるが、現場のなかには火気厳禁であって溶接設備を用意できないようなところもあり、また現場では、工場のように正確な寸法出しをする設備も整っていない場合もある等の理由から工場組立てをせざるを得ないのが実情であり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、前後方向に通過可能な開口部の開閉をするシャッターカーテンと、該シャッターカーテンの開閉案内をするガイドレールと、前記シャッターカーテンが巻装される巻取りドラムと、該巻取りドラムの左右各端部を支持するべく躯体側に取付けられる左右の支持ブラケットと、巻取りドラムから繰出されるシャッターカーテンの移動を許容するべく躯体側とのあいだに間隙を存する状態で左右支持ブラケット間に設けられるマグサ部とを備えて構成される建築用シャッター装置において、
前記マグサ部を補強するための補強部材を設けるにあたり、
該補強部材は、巻取りドラムの上方に配される状態で基端部が躯体側に支持される第一補強体と、巻取りドラムの下方に配される状態で基端部がマグサ部側に支持される第二補強体と、巻取りドラムの躯体側とは反対側に配される状態で前記第一、第二補強体の先端部に上下端部が前後方向移動自在かつ着脱自在に支持される第三補強体とを備えて構成されていることを特徴とする建築用シャッター装置である。
請求項2の発明は、第一補強体は躯体側に対して前後方向移動自在に支持され、第二補強体はマグサ部側に対して前後方向移動自在に支持されていることを特徴とする請求項1記載の建築用シャッター装置である。
請求項3の発明は、第三補強体は、第一、第二補強体に対してそれぞれ上下方向移動自在に支持されていることを特徴とする請求項1または2記載の建築用シャッター装置である。
請求項4の発明は、第一補強体と第三補強体とのあいだには、第一補強体に対しては前後方向移動自在で、第三補強体に対しては上下方向移動自在な第一補助補強体が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載の建築用シャッター装置である。
請求項5の発明は、第二補強体と第三補強体とのあいだには、第二補強体に対しては前後方向移動自在で、第三補強体に対しては上下方向移動自在な第二補助補強体が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1記載の建築用シャッター装置である。
請求項6の発明は、第一補強体は、躯体側に対して前後方向移動自在かつ着脱自在に支持され、第二補強体は、マグサ部側に対して前後方向移動自在かつ着脱自在に支持されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1記載の建築用シャッター装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、マグサ部を補強するための補強部材が、巻取りドラムの上方に配される第一補強体、下方に配される第二補強体に対し、巻取りドラムの躯体側とは反対側に配される第三補強体が前後方向移動自在に支持されることになる結果、マグサ部の躯体側からの設置位置に対応しての補強部材の現場組付けが簡単にできることになる。
請求項2の発明とすることにより、第一、第二補強体についても、前後方向の取付け位置の調節が現場でできることになって補強部材組付けの自由度が向上する。
請求項3の発明とすることにより、第三補強体の第一、第二補強体に対する上下位置の調節ができることになって補強部材組付けの自由度が向上する。
請求項4の発明とすることにより、第一、第三補強体とのあいだの強度が、第一補助補強体により向上することになる。
請求項5の発明とすることにより、第二、第三補強体とのあいだの強度が、第二補助補強体により向上することになる。
請求項6の発明とすることにより、第一補強体の躯体側に対する取付けの自由度、第二補強体のマグサ部に対する取付けの自由度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】建築用シャッター装置の全体正面図である。
図2】建築用シャッター装置の全体側面図である。
図3】建築用シャッター装置の全体平面図である。
図4】建築用シャッター装置の要部側面図である。
図5】補強部材の正面図である。
図6】補強部材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1はビル、マンション等の建築物の出入口等の開口部に建て付けられる建築用のシャッター装置であって、該シャッター装置1は、本実施の形態のものは重量式であるが、開口部の左右両側部に設けられるガイドレール2と、該ガイドレール2に昇降案内されることで開口部の開閉移動をするシャッターカーテン3と、天井板Hの上方空間(天井部空間)Sに配設(内装)されていて、前記シャッターカーテン2が巻装される巻取りドラム4と、該巻取りドラム4の左右各端部を支持する前後方向一端縁部が躯体側の縦壁Wに支持される左右一対の支持ブラケット5、6と、前記巻取りドラム4の開閉駆動をするべくチエン伝動機構7を介して巻取りドラム4側の入力ギア4aと出力軸8aに設けた出力ギア8bとが連動連結される電動式の開閉機8と、該電動機8の駆動制御をするための制御部9とを備えていること等の一般的構成は何れも従来通りである。
【0009】
前記支持ブラケット5、6は四角板形状をし、上下両端縁部には左右方向外方に向けて折曲する折曲片5a、5b、6a、6bがそれぞれ形成されている。また支持ブラケット5、6の後端縁部(本実施の形態では、建築用シャッター装置が建て付けられる躯体縦壁Wを正面視したときに、「前側」を躯体縦壁Wから手前側に離間する側、「後側」を躯体縦壁Wに近接する側として便宜上「前後」の定義をするが、これに限定されるものではない。)には上下方向に長いL字形をしたアングル材5c、6cが熔着等の適宜固定手段によって固定されているが、一方の支持ブラケット(本実施の形態では、前記正面視したときの図1において右側の支持ブラケット)5の左右方向外側面に固着されるアングル材5cの左右方向外方に向いた辺部と、他方の支持ブラケット6の左右方向内側面に固着されたアングル材6cの左右方向内方に向いた辺部とがそれぞれボルト(アンカーボルト)10を介して縦壁Wに固定されており、このようにして左右各支持ブラケット5、6が躯体に取付け支持されている。
【0010】
さらに前記左右の支持ブラケット5、6のうち、一方の支持ブラケット(本実施の形態では、建築用シャッター装置1を正面視したときの図1において右側の支持ブラケット)5は、他方の支持ブラケット6に対して前側に向けて少し長くなるよう延出形成され、該延出部位に前記開閉機8が取付けられている。
【0011】
また、左右の支持ブラケット5、6間には、ガイドレール2の上端部前後両側に位置する状態で前後方向に間隙(隙間、空間(マグサ空間))Mを存する状態で前後(内外)一対のマグサ材11、12が設けられているが、本実施の形態のものは該マグサ材11、12に前記天井板Hが設けられた構成になっている。そして巻取りドラム4から繰出されるシャッターカーテン3は、該前後一対のマグサ材11、12間の間隙Mを移動経路として上下方向に移動(通過)するようになっており、シャッターカーテン3が全開した場合に、シャッターカーテン3の最下端に設けられる座板(座板スラット)3aがマグサ材11、12位置に略位置する設定になっている。
【0012】
因みに、前記マグサ材11、12のうち、間隙Mに対して躯体側(間隙Mの後側)に配される一方のマグサ材11を「外マグサ」、躯体とは反対側(間隙Mの前側)に配される他方のマグサ材12を「内マグサ」と称することがある。
そして前記他方のマグサ材12は、左右支持ブラケット5、6に架け渡されるようにして設けた角パイプ(マグサ受け)14、連結材15に連結されることで補強されており、このようにして本実施の形態では、本発明のマグサ部Xに相当するものが構成されている。
尚、図中、2aはガイドレール2の上端部に形成されるシャッターカーテン3の呑み込みガイド、16は前記支持ブラケット5、6の大きさ(外形)内に納まる状態で、巻取りドラム4に巻装された最大径のシャッターカーテン3を囲撓するようにして設けられる略半円弧筒形状をしたシャッターケース、18はシャッターカーテン3の左右方向中間部位を案内するべく角パイプ14に支持されるスムーサーローラ、19はシャッターカーテン3の巻取り異常があったことを検知するべく図示しない検知スイッチに設けられる検知バーである。
【0013】
17は前記マグサ部Xの左右方向中間部を補強するための補強部材であって、該補強部材17は、巻取りドラム4の上方に配されていて前後方向に長く基端部(後端部)が躯体側に支持される第一補強体17aと、該巻取りドラム4の下方に配されていて前後方向に長く基端部(後端部)がマグサ部X側に支持される第二補強体17bと、巻取りドラム4の躯体側とは反対側(前側)に配される状態で上下両端部が前記第一、第二補強体17a、17bの先端部(前端部)に支持される第三補強体17cとを備えることで側面視コ字形に構成されている。尚、補強部材17は、マグサ部Xの補強をするにあたり、左右方向中央位置を含めて、該中央位置から左右方向に位置ずれした適宜の中間位置の少なくとも1か所の補強をすることができるものであれば足り、補強位置、補強数については必要において適宜の選択実施ができるものである。
【0014】
前記第一、第二補強体17a、17bは、本実施の形態ではそれぞれ左右一対の杆状体により構成されているが、第一補強体17aは、躯体縦壁Wにボルト27aを介して固定した基材27に支持した第一支持具20に前後方向移動自在に支持されている。本実施の形態において具体的には、第一支持具20は、前後方向に長く基端部が躯体縦壁Wに固定支持される雌螺子体で構成され、該第一支持具20に、雄螺子体で構成される第一補強体17aの基端部を前後方向移動自在に螺入できる構成になっており、そして、第一補強体17aは、第一支持具20に対して所望位置まで螺入(挿入)した状態で該第一支持具20の側面部から螺入する固定用のビス20aの緊締により前記所望位置での躯体側に対する固定支持ができるようになっている。
この構成については第二補強体17bについても同様であって、該第二補強体17bは、マグサ部Xの構成部材である角パイプ14に基端部を固定支持した第二支持具21に対して前後移動自在に螺入し、そして所望位置まで螺入した状態で第二支持具21の側面から螺入する固定用のビス21aの緊締により、該所望位置での第二補強体17bのマグサ部X側に対する固定支持ができるようになっている。
【0015】
一方、前記第三補強体17cは、上下方向に長い雄螺子体によって構成されるものであるが、第三補強体17cの上下両端部は、L字形をした第一、第二の連結体(連結金具)22、23の板面が前後および左右方向に展開する一片22a、23aに対して上下方向移動自在に貫通している。そして第一、第二連結体22、23は、該一片22a、23aを上下に挟む状態で第三補強体17cに螺入した上下一対のナット22c、22dおよび23c、23dの上下移動調節および緊締により上下方向移動自在でかつ所望位置での固定支持ができるようになっている。
【0016】
さらに第一、第二連結体22、23の先端部は、第一、第二連結体22、23の板面が上下および左右方向に展開する他片22b、23bに対して、前記第三補強体17cの貫通位置(支持位置)を左右に挟む状態で前後方向移動自在に貫通している。そして第一、第二連結体22、23は、該他片22b、23bを前後に挟む状態で第三補強体17cに螺入した前後一対のナット22e、22fおよび23e、23fの前後移動調節および緊締により前後方向移動自在でかつ所望位置での固定支持ができるようになっている。
【0017】
そして補強部材17は、建築用シャッター装置1の建付け現場において、まず第一、第二補強体17a、17bを前述したように躯体側、マグサ側に固定支持した状態で、該第一、第二補強体17a、17bの先端部に、第三補強体17cの上下各端部を第一、第二連結体22、23を介して連結取付けすることで簡単に組付けることができ、これによってマグサ部Xの左右方向中間部位を、補強部材17によって補強することができるが、さらにこのものでは、補強部材17自体が後述する複数の補助補強体によってさらに補強されている。
【0018】
24は第一補助補強体であって、該第一補助補強体24は、第一補強体17aと第三補強体17cとのあいだに筋かい状(傾斜状)に設けられることで両補強体17a、17c同士を補強するものであるが、上下両端部には、第一、第三補強体17a、17cの螺子溝が前後方向、上下方向移動自在に螺入する雌螺子部が形成された上下の連結部24a、24bが設けられており、これら連結部24a、24bの位置調節がなされたら、連結部24a、24bから螺入するビス24cにより固定支持できるようになっている。
一方、25は第二補助補強体であって、該第二補助補強体25は、第二補強体17bと第三補強体17cとのあいだに筋かい状(傾斜状)に設けられることで両補強体17b、17c同士を補強するものであるが、上下両端部には、第二、第三補強体17b、17cの螺子溝が上下方向、前後方向移動自在に螺入する雌螺子部が形成された上下の連結部25b、25aが設けられており、これら連結部25a、25bの位置調節がなされたら、連結部25a、25bから螺入するビス25cにより固定支持できるようになっている。
【0019】
さらに26は第三補助補強体であって、該第三補助補強体26は、第一補強体17aと躯体縦壁Wとのあいだに筋かい状(傾斜状)に設けられることで第一補強体17aの補強をするものであるが、第三補助補強体26の基端部(後端部)は、前記躯体縦壁Wに固定される基材27の上端部に連結(例えば溶着により)される一方、先端部(前端部)には、第一補強体17aに前後方向移動自在に螺入する連結部26bが連結(例えば溶着により)されている。そして第三補助補強体26は、前記第一支持具20に支持された第一補強体17aに対して連結部26bを位置調節する状態で組み付けることができるようになっている。
尚、本実施の形態では、基材27の下端部に前記第一支持具20が固定支持されている。また28は左右支持ブラケット5、6の先端部と躯体縦壁Wとのあいだに設けられる補強材である。
【0020】
叙述の如く構成された本実施の形態において、躯体縦壁Wに対して間隙を存するようにして設けられるマグサ部Xを補強するための補強部材17は、第一、第二、第三の補強体17a、17b、17cを用いて組立てられることになるが、巻取りドラム4の上方に配される第一補強体17a、下方に配される第二補強体17bに対し、巻取りドラム4の前方に配される第三補強体17cが前後方向移動自在でかつ着脱自在に支持されることになる結果、マグサ部Xに対応した補強部材17を現場において組付けることが簡単にできることになって、個々の現場に対応した多数の補強部材をいちいち工場において製造し、保管する等の必要がなくなることになる。
【0021】
そのうえこの場合に、第一補強体17cについては躯体側に設けた第一支持具20に対して前後方向移動自在に支持され、第二補強体17bについてはマグサ部X側に設けた第二支持具21に対して前後方向移動自在に支持され、第三補強体17cについては第一、第二補強体17a、17bに対して上下方向移動自在に支持されるものであるため、補強部材17の組付け性の自由度が向上し、現場での組付け性が向上することになる。
しかもこの場合に、第一、第二補強体17a、17bは、躯体側、マグサ部左側に対して着脱自在になっているため、これら第一、第二補強体17a、17bを現場にて組付けることができ組付け性の向上がさらに図れることにになる。
【0022】
またこのものにおいて、第一、第三補強体17a、17cは第一補助補強体24によって、第二、第三補強体17b、17cは第二補助補強体25によってそれぞれ補強される結果、補強部材17がコ字形をしたものであっても十分な強度を確保できることになるが、これら第一、第二補助補強体24、25についても、対応する補強体17a、17bまたは17cに対して移動自在であるため、取付けの自由度が向上し、組付け性の向上が達成できる。
さらに第一補強体17aについては、躯体側に対して第三補助補強体26を介して補強されるため、補強部材17の強度確保に大いに寄与できることになるが、この第三補助補強体26も前後方向移動自在に取付けられるため、取付けの自由度が達成できる。
【0023】
尚、本発明は前記実施の形態のものに限定されないものであることは勿論であって、各部位同士の位置移動自在な取付けについては、例えば第一補強体17aの第一支持具20に対するもののように螺子方式のもの、第一補強体17aの第一連結体22に対するもののように貫通方式のもの等、適宜のものを採用することができ、また位置調節されたもの同士の固定については、第一連結体17aを第一支持具20に固定する場合のように螺子固定をするもの、第一補強体17aを第一連結具22に固定する場合のようにナット(ダブルナットも含む)によるもの、固定ピンを貫通するもの等、適宜のものを採用できることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、建築物の出入り口等の開口部に建て付けられる建築用シャッター装として利用することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 建築用シャッター装置
2 ガイドレール
3 シャッターカーテン
4 巻取りドラム
5 支持ブラケット
6 支持ブラケット
17 補強部材
17a 第一補強体
17b 第二補強体
17c 第三補強体
20 第一支持具
21 第二支持具
22 第一連結具
23 第二連結具
24 第一補助補強体
25 第二補助補強体
26 第三補助補強体
M 間隙
X マグサ部
W 縦壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6